特許第6983087号(P6983087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983087
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20211206BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20211206BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20211206BHJP
【FI】
   B23K26/34
   B33Y30/00
   B23K26/21 Z
   B23K26/21 W
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-41066(P2018-41066)
(22)【出願日】2018年3月7日
(65)【公開番号】特開2019-155376(P2019-155376A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2021年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 泰之
(72)【発明者】
【氏名】橘 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】周田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】橘 華実
(72)【発明者】
【氏名】坪田 秀峰
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−210068(JP,A)
【文献】 特開2014−161903(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0165554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/34
B33Y 30/00
B23K 26/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料を溶融させて積層造形を行う積層造形装置であって、
前記金属材料がワイヤ状に形成された少なくとも3つのワイヤ状金属材料であって、それぞれの先端が円周方向に互いに間隔をあけるように配置された少なくとも3つのワイヤ状金属材料と、
レーザービームを発振するレーザー発振器と、
前記レーザービームの照射位置を連続的に変えることによって前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれに照射させるレーザー照射部と
を備える積層造形装置。
【請求項2】
前記レーザー照射部は、前記レーザービームを回転させるプリズムローテーターである、請求項1に記載の積層造形装置。
【請求項3】
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの先端によって囲まれる内側領域に向かって第1シールドガスを供給する第1シールドガス供給部と、
前記内側領域及び前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの先端を取り囲む環状の外側領域に向かって第2シールドガスを供給する第2シールドガス供給部と
を備える、請求項1または2に記載の積層造形装置。
【請求項4】
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料の少なくとも1つには、該ワイヤ状金属材料に通電して加熱するための通電部が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層造形装置。
【請求項5】
前記通電部を備える前記ワイヤ状金属材料には、該ワイヤ状金属材料の先端と前記通電部との間に、非導電性の材料から形成された筒状のガイド部材が、該ガイド部材に前記ワイヤ状金属材料が挿入されるようにして設けられている、請求項4に記載の積層造形装置。
【請求項6】
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの延びる方向と鉛直方向とがなす鋭角側の角度は30°以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層造形装置。
【請求項7】
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料を溶融させて造形した造形部上に粉末状のドライアイスを供給するための供給部をさらに備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属材料を溶融させて積層造形を行う積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の粉末材料よりも低コストであるワイヤ形状の金属材料にレーザービームを照射させることによって金属材料を溶融させて積層造形を行う積層造形装置が特許文献1に記載されている。この積層造形装置は、2つのワイヤ形状の金属材料を用いている。金属材料の供給方向が2つのみであると、積層造形装置のヘッド部分の移動方向を変えるときに、金属材料が溶融して形成される溶融池の安定性を確保しにくくなるため、積層造形時の移動方向の自由度が制約されてしまう。これに対し、3つ以上のワイヤ形状の金属材料を用いれば、積層造形時の移動方向の自由度を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−14613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の積層造形装置では、レーザービーム発振器で発振されたレーザービームのサイズを光学素子で調節しているため、3つ以上のワイヤ形状の金属材料にレーザービームを照射するためにはレーザービームのサイズを比較的大きくしなければならず、レーザービームのエネルギー密度が小さくなってしまう。そうすると、レーザービームのパワーを大きくしなければならず、その結果、入熱が大きくなって、積層造形体の変形が大きくなる等の問題が生じるおそれがある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、入熱の増加を抑制しながら積層造形時の移動方向の自由度を高めた積層造形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも1つの実施形態に係る積層造形装置は、
金属材料を溶融させて積層造形を行う積層造形装置であって、
前記金属材料がワイヤ状に形成された少なくとも3つのワイヤ状金属材料であって、それぞれの先端が円周方向に互いに間隔をあけるように配置された少なくとも3つのワイヤ状金属材料と、
レーザービームを発振するレーザー発振器と、
前記レーザービームの照射位置を連続的に変えることによって前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれに照射させるレーザー照射部と
を備える。
【0007】
上記(1)の構成によると、レーザービームの照射位置を連続的に変えることによって少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれにレーザービームが照射されることにより、レーザービームのサイズを小さくしてエネルギー密度を高く維持したまま各ワイヤ状金属材料にレーザービームを照射することができる。これにより、入熱の増加を抑制しながら積層造形時の移動方向の自由度を高めることができる。
【0008】
(2)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記レーザー照射部は、前記レーザービームを回転させるプリズムローテーターである。
【0009】
上記(2)の構成によると、レーザービームの照射位置が円形形状を描くので、各ワイヤ状金属材料の先端付近が曲がっていたとしても、レーザービームを確実に各ワイヤ状金属材料に照射させることができる。
【0010】
(3)いくつかの実施形態では、上記(1)または(2)の構成において、
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの先端によって囲まれる内側領域に向かって第1シールドガスを供給する第1シールドガス供給部と、
前記内側領域及び前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの先端を取り囲む環状の外側領域に向かって第2シールドガスを供給する第2シールドガス供給部と
を備える。
【0011】
積層造形時の移動方向の自由度が高いと、広い範囲をシールドする必要がある。上記(3)の構成によると、少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの先端によって囲まれる内側領域に向かって供給される第1シールドガスの他に、内側領域及び少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの先端を取り囲む環状の外側領域に向かって第2シールドガスが供給されるので、第1シールドガスのみによってシールドする場合に比べて広い範囲をシールドすることができる。
【0012】
(4)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料の少なくとも1つには、該ワイヤ状金属材料に通電して加熱するための通電部が設けられている。
【0013】
上記(4)の構成によると、通電部が設けられたワイヤ状金属材料は通電されて加熱されるので、ワイヤ状金属材料を溶融しやすくすることができる。
【0014】
(5)いくつかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記通電部を備える前記ワイヤ状金属材料には、該ワイヤ状金属材料の先端と前記通電部との間に、非導電性の材料から形成された筒状のガイド部材が、該ガイド部材に前記ワイヤ状金属材料が挿入されるようにして設けられている。
【0015】
上記(5)の構成によると、レーザービームが通電部に照射されて通電部が損傷するおそれを低減することができる。また、ワイヤ状金属材料が加熱されると軟化して曲がりやすくなり、ワイヤ状金属材料の先端の近傍部分が、レーザービームに照射される位置からずれてしまう場合もあり得る。しかし、筒状のガイド部材に挿入されたワイヤ状金属材料は曲がりが抑制されるので、ワイヤ状金属材料の先端の近傍部分がレーザービームに照射され得るようにすることができる。
【0016】
(6)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(5)のいずれかの構成において、
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれの延びる方向と鉛直方向とがなす鋭角側の角度は30°以下である。
【0017】
上記(6)の構成によると、ワイヤ状金属材料を溶融させて造形した造形体とワイヤ状金属材料とが互いに干渉することによって積層造形時の移動方向の自由度が低下するおそれを低減することができる。
【0018】
(7)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(6)のいずれかの構成において、
前記少なくとも3つのワイヤ状金属材料を溶融させて造形した造形体上に粉末状のドライアイスを供給するための供給部をさらに備える。
【0019】
上記(7)の構成によると、粉状のドライアイスを用いることによって、造形体にドライアイスが確実に付着し、その後、ドライアイスは昇華してなくなるので、造形体を汚染することなく確実に冷却することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、レーザービームの照射位置を連続的に変えることによって少なくとも3つのワイヤ状金属材料のそれぞれにレーザービームが照射されることにより、レーザービームのサイズを小さくしてエネルギー密度を高く維持したまま各ワイヤ状金属材料にレーザービームを照射することができる。これにより、入熱の増加を抑制しながら積層造形時の移動方向の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施形態1に係る積層造形装置の構成を示す断面模式図である。
図2】本開示の実施形態1に係る積層造形装置においてワイヤ状金属材料の先端の近傍部分の拡大部分正面図である。
図3】本開示の実施形態1に係る積層造形装置においてワイヤ状金属材料のそれぞれの先端の近傍部分の拡大平面図である。
図4】本開示の実施形態1に係る積層造形装置においてレーザービームがワイヤ状金属材料に照射される動作を説明するための図である。
図5】本開示の実施形態2に係る積層造形装置の構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0023】
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係る積層造形装置1の構成を示す。積層造形装置1は、ワイヤ状に形成された3つのワイヤ状金属材料2(図1には2つのみが図示されている)を溶融させて積層造形を行う装置である。3つのワイヤ状金属材料2は、それぞれの先端2aが円周方向に互いに間隔をあけて、好ましくは等しい間隔をあけるように配置されている。積層造形装置1は、レーザービーム11を発振するレーザー発振器3と、レーザービーム11の照射位置を連続的に変えることによってレーザービーム11を3つのワイヤ状金属材料のそれぞれに照射させるレーザー照射部4とを備えている。レーザー発振器3とレーザー照射部4とは、光ファイバー5を介して接続されている。レーザー照射部4は、レーザービーム11をその進行方向に平行な軸線周りに(矢印Aのように)回転させるプリズムローテーター4aである。
【0024】
各ワイヤ状金属材料2は、各ワイヤ供給装置12から供給されている。各ワイヤ状金属材料2には、ワイヤ状金属材料2に通電して加熱するための通電部である筒状のコンタクトチップ14が装着されている。各コンタクトチップ14は、電源15に電気的に接続されている。また、各ワイヤ状金属材料2には、ワイヤ状金属材料2の先端2aとコンタクトチップ14との間に、非導電性の材料、例えばセラミックで形成された筒状のガイド部材13が装着されている。ガイド部材13の先端からワイヤ状金属材料2の先端2aの近傍部分が突出しており、これらの近傍部分にレーザービーム11が照射されるようになっている。
【0025】
各ワイヤ状金属材料2はそれぞれ、積層造形される面に対してできるだけ大きな角度をなすように配置することが好ましい。図2に示されるように、ワイヤ状金属材料2の延びる方向Rと鉛直方向Rとがなす鋭角側の角度θは30°以下であることが好ましい。
【0026】
図1に示されるように、積層造形装置1は、第1シールドガス22を供給する第1シールドガス供給部21と、第2シールドガス24を供給する第2シールドガス供給部23とをさらに備えている。図3に示されるように、3つのワイヤ状金属材料2のそれぞれの先端2aによって囲まれるように内側領域31が構成され、内側領域31及び3つのワイヤ状金属材料2のそれぞれの先端2aを取り囲むように環状の外側領域32が構成され、第1シールドガス22(図1参照)は内側領域31に向かって供給されるようになっており、第2シールドガス24(図1参照)は外側領域32に向かって供給されるようになっている。
【0027】
このような形態で第1シールドガス22及び第2シールドガス24を供給するための具体的な構成の一例として、図1に示されるように、積層造形装置1は、第1シールドガス22が流通する内管部25と、第2シールドガス24が流通する外管部26とを有する二重管構造を有することができる。積層造形装置1の先端側の部分、例えば外管部26には、冷却水が流通する冷却水流路27が形成されている。冷却水流路27は、冷却水の給水源28と連通している。
【0028】
次に、実施形態1に係る積層造形装置1により積層造形を行う動作について説明する。
図1に示されるように、積層造形装置1に3つのワイヤ状金属材料2が供給された状態で積層造形装置1が起動すると、レーザー発振器3はレーザービーム11を発振する。プリズムローテーター4aは、レーザービーム11を矢印Aの方向に回転させる。レーザービーム11の回転数及び回転径は、積層造形装置1のサイズやワイヤ状金属材料2の材質等により任意に設定可能であるが、一般的に、回転数は60〜100rpm、回転径は1〜15mmが好ましい範囲である。
【0029】
レーザービーム11が回転すると、図4に示されるように、レーザービーム11の照射位置LPは、B方向に回転して円形状の軌跡TRを描く。軌跡TR上にワイヤ状金属材料2のいずれかの部分が存在すれば、各ワイヤ状金属材料2にレーザービーム11が照射されるようになる。このため、ワイヤ状金属材料2の先端2aの近傍部分に多少曲がりがあったとしても、レーザービーム11を確実に各ワイヤ状金属材料2に照射させることができる。
【0030】
また、レーザービーム11をこのように回転させて各ワイヤ状金属材料2にレーザービーム11を照射するようにすると、レーザービーム11を3つのワイヤ状金属材料2全部に同時に照射させる場合に比べて、レーザービーム11のサイズを小さくすることができる。そうすると、レーザービーム11のエネルギー密度を高く維持したまま各ワイヤ状金属材料2にレーザービーム11を照射することができるので、エネルギー密度の低いレーザービームを照射する場合に比べてレーザービームのパワーが抑えられ、入熱が増加するのを抑制することができる。
【0031】
図1に示されるように、このような動作でレーザービーム11が各ワイヤ状金属材料2に照射されると、レーザービーム11が照射された部分でワイヤ状金属材料2が溶融する。そうすると、各ワイヤ状金属材料2の先端2aによって囲まれる内側領域31(図3参照)に溶融金属が溜まり始め、最終的に溶融金属の溶融池30が形成される。尚、この実施形態1では、各ワイヤ状金属材料2はコンタクトチップ14によって通電されて加熱されているので、ワイヤ状金属材料2を溶融しやすくすることができ、溶融池30の形成が促進される。
【0032】
溶融池30が形成された状態で積層造形装置1を矢印Cの方向に移動させると、移動方向の後方に、溶融池30内の一部の溶融金属が連続して留まり、それが冷却されて凝固することで、帯状の造形体40が形成される。形成された造形体40の上にさらに造形体を形成することにより、立体的な造形体を形成することもできる。
【0033】
造形体40が立体的になると、積層造形装置1の移動方向を変える際に、ワイヤ状金属材料2と造形体40とが互いに干渉する場合がある。しかし、積層造形装置1では、積層造形される面に対してできるだけ大きな角度をなすようにワイヤ状金属材料2が配置されているので、このような干渉が生じるおそれを低減でき、その結果、積層造形時の移動方向の自由度が低下するおそれを低減することができる。
【0034】
積層造形装置1による積層造形中、形成された溶融池30は第1シールドガス22によってシールドされる。積層造形装置1は、3つのワイヤ状金属材料2を用いていることにより、積層造形時の移動方向の自由度が高くなっているので、どの方向に積層造形装置1の移動方向が変わったとしてもシールドできるように広い範囲をシールドする必要がある。この積層造形装置1では、第1シールドガス22の他に、第1シールドガス22を取り囲むように第2シールドガス24が供給されているので、積層造形時の移動方向が任意の方向に変化しても第2シールドガス24によるシールドが可能となる。すなわち、積層造形時の移動方向の自由度が高いことにより広い範囲をシールドすることが要求されることに適切に対応することができる。
【0035】
また、積層造形装置1による積層造形中、各ワイヤ状金属材料2にレーザービーム11が照射されると、レーザービーム11の一部が反射されて、積層造形装置1の先端付近の温度が上昇する。これに対し、積層造形装置1では、冷却水流路27を冷却水が流通することにより、積層造形装置1の先端付近が冷却される。
【0036】
このように、レーザービーム11の照射位置LPを変えることによって少なくとも3つのワイヤ状金属材料2のそれぞれにレーザービーム11が照射されることにより、レーザービーム11のサイズを小さくしてエネルギー密度を高く維持したまま各ワイヤ状金属材料2にレーザービーム11を照射することができる。これにより、入熱の増加を抑制しながら積層造形時の移動方向の自由度を高めることができる。
【0037】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る積層造形装置について説明する。実施形態2に係る積層造形装置は、実施形態1に対して、形成された造形体を冷却可能にしたものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図5に示されるように、実施形態2に係る積層造形装置1は、形成された造形体40に粉状のドライアイス51を供給するための供給部50を備えている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0039】
形成された造形体40に、供給部50から粉状のドライアイス51が供給されると、造形体40にドライアイス51が確実に付着し、その後、ドライアイス51は昇華してなくなる。このため、造形体40を汚染することなく確実に冷却することができる。これに対し、ペレット状のドライアイスが供給される場合には、造形体40に供給されたドライアイスが跳ね返ってしまい、造形体40に付着することができないので、粉状のドライアイス51を用いた場合に比べて造形体40を冷却する効果は小さくなる。
【0040】
尚、ドライアイス51を供給する位置は、凝固直後の造形体40で、第2シールドガス24によるシールドを乱さない位置、具体的には、溶融池30の中心付近から50〜100mm程度の範囲内であることが好ましい。
【0041】
ただし、ドライアイス51によって冷却するのは、オーステナイトステンレス鋼又はニッケル基合金を材質とするワイヤ状金属材料2を用いた場合である。急冷すると悪影響が出る材料、例えば炭素鋼を材質とするワイヤ状金属材料2を用いた場合には、ドライアイス51を供給しないほうがよい。
【0042】
実施形態1及び2ではそれぞれ、レーザー照射部4はプリズムローテーター4aであったが、この形態に限定するものではない。レーザー照射部4は、レーザービーム11の照射位置LPを連続的に変えることによって3つのワイヤ状金属材料2のそれぞれに照射させることができるものであればどのようなものを用いてもよく、例えば、レーザービーム11の進行方向を変えて、各ワイヤ状金属材料2に順番に又はランダムにレーザービーム11を照射できるガルバルスキャナであってもよい。
【0043】
実施形態1及び2ではそれぞれ、3つのワイヤ状金属材料2を用いていたが、3つに限定するものではない。4つ以上の任意の数のワイヤ状金属材料2を用いることもできる。ただし、3つ以上の任意の数のワイヤ状金属材料2を用いても、それらを1束にまとめて用いてしまうと移動の自由度を高める効果はない。円周方向に隣り合うワイヤ状金属材料2が互いに間隔をあけて、好ましくは等間隔で配置される必要がある。
【0044】
実施形態1及び2ではそれぞれ、3つのワイヤ状金属材料2のそれぞれにコンタクトチップ14及びガイド部材13を装着していたが、少なくとも1つのワイヤ状金属材料2にコンタクトチップ14を装着してもよく、又は、コンタクトチップ14及びガイド部材13を装着してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 積層造形装置
2 ワイヤ状金属材料
3 レーザー発振器
4 レーザー照射部
4a プリズムローテーター
5 光ファイバー
11 レーザービーム
12 ワイヤ供給装置
13 セラミックガイド
14 コンタクトチップ(通電部)
15 電源
21 第1シールドガス供給部
22 第1シールドガス
23 第2シールドガス供給部
24 第2シールドガス
25 内管部
26 外管部
27 冷却水流路
28 給水源
30 溶融池
31 内側領域
32 外側領域
40 造形体
50 供給部
51 ドライアイス
LP 照射位置
TR 軌跡
図1
図2
図3
図4
図5