特許第6983091号(P6983091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983091インプリント装置、および、物品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983091
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】インプリント装置、および、物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20211206BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20211206BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   B29C59/02 B
   B29C33/38
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-51516(P2018-51516)
(22)【出願日】2018年3月19日
(65)【公開番号】特開2019-165091(P2019-165091A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2021年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 航
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−22378(JP,A)
【文献】 特開2017−50428(JP,A)
【文献】 特開2017−37926(JP,A)
【文献】 特開2016−149547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
B29C 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材の上のインプリント材とモールドのパターン部とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させることによって前記部材の上にパターンを形成するインプリント装置であって、
前記モールドの側面に力を加えることによって前記パターン部を変形させる変形機構と、
前記モールドの面のうち前記パターン部が設けられた面とは反対側の面である裏面に加えられる力を調整することによって前記パターン部の撓みを調整する調整部と、を備え、
前記変形機構によって前記側面に加えられる力に応じて前記調整部によって前記裏面に加えられる力が調整される、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
前記調整部によって前記裏面に加えられる力の調整は、前記変形機構によって前記側面に加えられる力による前記パターン部の撓みが低減されるようになされる、
ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
前記調整部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記変形機構によって前記側面に加えられる力と当該力による前記パターン部の撓みとの関係を示す情報に基づいて、前記パターン部の撓みが低減されるように前記調整部を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載のインプリント装置。
【請求項4】
前記パターン部の厚さ方向に直交する方向における前記パターン部の歪みを計測する計測器を更に備え、
前記調整部によって前記裏面に加えられる力の調整は、前記計測器による計測結果に基づいて、前記パターン部の撓みが低減されるようになされる、
ことを特徴とする請求項2に記載のインプリント装置。
【請求項5】
前記モールドの前記裏面は、周辺部と、前記周辺部の内側の中央部と、を有し、
前記調整部は、前記周辺部を吸引することによって前記モールドを保持する力、および、前記中央部に加えられる力の少なくとも一方を制御することによって前記パターン部の撓みを調整する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記モールドの前記裏面は、周辺部と、前記周辺部の内側の中央部と、を有し、
前記調整部は、前記中央部に加えられる力を制御することによって前記パターン部の撓みを調整し、
前記変形機構によって前記側面に加えられる力によって前記モールドが前記部材の側に向かって凸形状になるように撓むことは、前記調整部によって前記中央部に加えられる力を低下させることよって低減される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項7】
前記モールドの前記裏面は、周辺部と、前記周辺部の内側の中央部と、を有し、
前記調整部は、前記モールドを保持するために前記周辺部が吸引される力を制御することによって前記パターン部の撓みを調整し、
前記変形機構によって前記側面に加えられる力によって前記モールドが前記部材の側に向かって凸形状になるように撓むことは、前記調整部によって前記周辺部が吸引される力を増加させることによって低減される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項8】
前記部材は、基板であり、
前記インプリント装置は、前記基板を保持する保持部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項9】
前記部材は、レプリカモールドを作製するためのブランクモールドであり、
前記インプリント装置は、前記ブランクモールドを保持する保持部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項10】
前記ブランクモールドの面のうち前記パターンが形成される面とは反対側の面である第2裏面に加えられる力を調整することによって前記ブランクモールドの撓みを調整する第2調整部を更に備え、
前記変形機構によって前記側面に加えられる力に応じて前記第2調整部によって前記第2裏面に加えられる力が調整される、
ことを特徴とする請求項9に記載のインプリント装置。
【請求項11】
前記第2調整部によって前記第2裏面に加えられる力の調整は、前記変形機構によって前記側面に加えられる力による前記パターン部の撓みによる、前記ブランクモールドに形成される前記パターンの歪みが低減されるようになされる、
ことを特徴とする請求項10に記載のインプリント装置。
【請求項12】
ブランクモールドの上のインプリント材とマスターモールドのパターン部とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させることによって前記ブランクモールドの上にパターンを形成するインプリント装置であって、
前記マスターモールドの側面に力を加えることによって前記パターン部を変形させる変形機構と、
前記マスターモールドの面のうち前記パターン部が設けられた面とは反対側の面である第1裏面に加えられる力を調整することによって前記パターン部の撓みを調整する第1調整部と、
前記ブランクモールドの面のうち前記パターンが形成される面とは反対側の面である第2裏面に加えられる力を調整することによって前記ブランクモールドの撓みを調整する第2調整部と、を備え、
前記変形機構によって前記側面に加えられる力に応じて前記第1調整部によって前記第1裏面に加えられる力および前記第2調整部によって前記第2裏面に加えられる力の少なくとも一方が調整される、
ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項13】
前記第1調整部によって前記第1裏面に加えられる力および前記第2調整部によって前記第2裏面に加えられる力の少なくとも一方は、前記変形機構が前記側面に加える力による前記パターン部の撓みによる、前記ブランクモールドに形成される前記パターンの歪みが低減されるようになされる、
ことを特徴とする請求項12に記載のインプリント装置。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインプリント装置を用いて部材の上にパターンを形成する工程と、
前記工程において前記パターンが形成された部材の処理を行う工程と、
を含み、前記処理が行われた前記部材から物品を製造することを特徴とする物品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置、および、物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上のインプリント材とモールド(型)のパターン部とを接触させた状態でインプリント材を硬化させることによって基板の上にパターンを形成するインプリント装置が注目されている。特許文献1には、モールドの側面に力を加えることによってモールドを変形させ、これによってモールドのパターン部を変形させることが記載されている。このような技術は、基板が有するパターンとモールドのパターン(基板の上に転写されるパターン)との重ね合わせ誤差を低減させるために有利である。特許文献2には、基板の上のインプリント材とモールドのパターンとを接触させる際に、モールドの裏面側(パターンが設けられた面の反対側)の空間の圧力を上げることにより、モールドを基板に向かって凸形状に撓ませることが記載されている。このような技術は、モールドのパターンを構成する凹部にインプリント材を速やかに充填するために有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−147414号公報
【特許文献2】特開2012−94818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モールドの側面に力を加えることによってモールドのパターン部を変形させる技術において、パターン部の変形可能量を大きくしたいとの要求がある。パターン部の変形可能量が大きいことは、基板のショット領域とモールドのパターン部との形状差に対する許容量が大きいことを意味し、より量産への対応が容易になる。しかしながら、パターン部の変形可能量を大きくするためにモールドの側壁に加える力を大きくすると、モールドが撓みうる。モールドが撓むと、パターン部に目標とする圧縮力を与えることができないので、パターン部の形状を目標形状に変形させることが難しくなる。
【0005】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、モールドの側面に力を加えることによってモールドのパターン部を変形させるインプリント装置における重ね合わせ誤差の低減に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、部材の上のインプリント材とモールドのパターン部とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させることによって前記部材の上にパターンを形成するインプリント装置に係り、前記インプリント装置は、前記モールドの側面に力を加えることによって前記パターン部を変形させる変形機構と、前記モールドの面のうち前記パターン部が設けられた面とは反対側の面である裏面に加えられる力を調整することによって前記パターン部の撓みを調整する調整部と、を備え、前記変形機構によって前記側面に加えられる力に応じて前記調整部によって前記裏面に加えられる力が調整される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モールドの側面に力を加えることによってモールドのパターン部を変形させるインプリント装置における重ね合わせ誤差の低減に有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態のインプリント装置の構成を模式的に示す図。
図2】モールド保持部およびモールド駆動機構、ならびに、それらの周辺の構成要素を模式的に示す図。
図3】アライメント動作においてパターン部が平坦になるように圧力調整部によって圧力調整空間の圧力が調整された状態で変形機構によってモールドの側面に力が加えられたときのモールドの撓みの1つの例を模式的に示す図。
図4】本発明の第1実施形態のアライメント動作において変形機構によるモールドの変形によって発生しうるモールドの撓みを低減する方法の1つの例を模式的に示す図。
図5】アライメント動作においてパターン部が平坦になるように圧力調整部によって圧力調整空間の圧力が調整された状態で変形機構によってモールドの側面に力が加えられたときのモールドの撓みの他の例を模式的に示す図。
図6】本発明の第1実施形態のアライメント動作において変形機構によるモールドの変形によって発生しうるモールドの撓みを低減する方法の他の例を模式的に示す図。
図7】本発明の第2実施形態のインプリント装置の構成を模式的に示す図。
図8】マスターモールド、マスターモールド保持部および変形機構ならびにブランクモールドおよびブランクモールド保持部と、それらの周辺の構成要素を模式的に示す図。
図9】アライメント動作においてパターン部が平坦になるように圧力調整部によって圧力調整空間の圧力が調整された状態で変形機構によってモールドの側面に力が加えられたときのモールドの撓みの1つの例を模式的に示す図。
図10】アライメント動作においてパターン部が平坦になるように圧力調整部によって圧力調整空間の圧力が調整された状態で変形機構によってモールドの側面に力が加えられたときのモールドの撓みの他の例を模式的に示す図。
図11】物品の製造方法を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明をその例示的な実施形態を通して説明する。
【0010】
図1には、本発明の第1実施形態のインプリント装置100の構成が模式的に示されている。インプリント装置100は、部材Sの上のインプリント材IMとモールドMのパターン部Pとを接触させた状態でインプリント材IMを硬化させることによって部材Sの上にパターンを形成する。部材Sは、基板でありうる。基板の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられうる。必要に応じて、基板は、下地基板の上に1または複数の層を有してもよい。基板は、例えば、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスを含みうる。半導体デバイスの製造においては、部材Sとして、半導体材料を含む基板が使用されうる。部材Sは、あるいは、レプリカモールドを作製するためのブランクモールドであってもよい。
【0011】
インプリント材としては、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱等が用いられうる。電磁波は、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される光、例えば、赤外線、可視光線、紫外線などでありうる。硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物でありうる。これらのうち、光の照射により硬化する光硬化性組成物は、少なくとも重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を更に含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。インプリント材は、液滴状、或いは複数の液滴が繋がってできた島状又は膜状となって基板上に配置されうる。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下でありうる。
【0012】
本明細書および添付図面では、部材Sの表面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系において方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行な方向をX方向、Y方向、Z方向とし、X軸周りの回転、Y軸周りの回転、Z軸周りの回転をそれぞれθX、θY、θZとする。X軸、Y軸、Z軸に関する制御または駆動は、それぞれX軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向に関する制御または駆動を意味する。また、θX軸、θY軸、θZ軸に関する制御または駆動は、それぞれX軸に平行な軸の周りの回転、Y軸に平行な軸の周りの回転、Z軸に平行な軸の周りの回転に関する制御または駆動を意味する。また、位置は、X軸、Y軸、Z軸の座標に基づいて特定されうる情報であり、姿勢は、θX軸、θY軸、θZ軸の値で特定されうる情報である。位置決めは、位置および/または姿勢を制御することを意味する。位置合わせ(アライメント)は、基板および型の少なくとも一方の位置および/または姿勢の制御を含みうる。
【0013】
インプリント装置100は、部材Sを保持するチャックを有する部材保持部16と、ベース41の上で部材保持部16を駆動することによって部材Sを駆動する部材駆動機構42とを備えうる。部材保持部16は、例えば、真空吸引または静電吸引によって部材Sを保持するように構成されうる。部材駆動機構42は、例えば、部材S(部材保持部16)を複数の軸(例えば、X軸、Y軸、θZ軸の3軸、好ましくは、X軸、Y軸、Z軸、θX軸、θY軸、θZ軸の6軸)について駆動するように構成されうる。部材駆動機構42は、例えば、複数のリニアモータ等のアクチュエータを含みうる。部材駆動機構42は、部材保持部16を微駆動する微動機構と、微動機構を粗駆動する粗動機構とを含んでもよい。
【0014】
インプリント装置100は、モールドMを保持するチャックを有するモールド保持部11と、モールド保持部11を駆動することによってモールドMを駆動するモールド駆動機構12とを備えうる。モールド保持部11は、例えば、真空吸引または静電吸引によってモールドMを保持するように構成されうる。モールド駆動機構12は、モールドM(モールド保持部11)を複数の軸(例えば、Z軸、θX軸、θY軸の3軸、好ましくは、X軸、Y軸、Z軸、θX軸、θY軸、θZ軸の6軸)について駆動するように構成されうる。モールド駆動機構12は、例えば、圧電素子、リニアモータ、エアシリンダ、および、VCM(ボイスコイルモータ)の少なくとも1つを含みうる。
【0015】
部材駆動機構42および/またはモールド駆動機構12は、部材SとモールドMとの相対的な位置および相対的な回転の少なくも1つを変更する相対駆動機構を構成する。部材Sの上のインプリント材IMとモールドMのパターン部Pとの接触動作、および、硬化したインプリント材IMとパターン部Pとの分離動作は、相対駆動機構によってなされうる。一例において、接触動作および分離動作は、モールド駆動機構12によってなされうる。他の例において、接触動作および分離動作は、部材駆動機構42によってなされうる。更に他の例において、接触動作および分離動作は、モールド駆動機構12および部材駆動機構42によってなされうる。
【0016】
図2には、モールド保持部11およびモールド駆動機構12、ならびに、それらの周辺の構成要素が模式的に示されている。モールドMは、部材S(の上のインプリント材IM)に転写すべきパターンを有するパターン部Pが設けられた表面(主面)FSと、パターン部Pが設けられた表面FSとは反対側の面である裏面BSと、側面SSとを含みうる。側面SSは、表面FSの外周端と裏面BSの外周端とを接続する面である。裏面BSは、周辺部BSpと、周辺部BSpの内側の中央部BScとを含みうる。この例では、周辺部BSpの厚さ寸法は、中央部BScの厚さ寸法より大きく、モールドMは、中央部BScが周辺部BSpよりも窪んだ形状を有する。周辺部BSpと中央部BScとの境界は、例えば、円筒面等の柱面を構成しうる。中央部BScと柱面とで一部が画定される空間は、キャビティ空間と呼ばれうる。キャビティ空間は、モールドMの裏面BS、より詳しくは、裏面BSの中央部BScに圧力あるいは力を加えるために利用されうる。
【0017】
モールド保持部11のチャックMCHは、モールドMの裏面BSの周辺部BSpを吸引することによってモールドMを保持するように構成されうる。例えば、モールド保持部11のチャックMCHは、モールドMの裏面BSの周辺部BSpを真空吸引することによってモールドMを保持するように構成されうる。モールド保持部11は、モールドMの裏面BSの周辺部BSpを吸引する吸引力(保持力)を調整する吸引力調整部21を含みうる。
【0018】
インプリント装置100は、モールドMの面のうち側面SSに力を加えることによってパターン部Pを変形させる変形機構9を備えうる。変形機構9は、モールドMの側面SSにおける互いに異なる位置に対してそれぞれ力を加える複数のアクチュエータ(加圧機構)を含みうる。該複数のアクチュエータは、例えば、圧電素子、VCM(ボイスコイルモータ)、リニアモータ、エアシリンダの少なくとも1つを含みうる。該複数のアクチュエータの出力は、個別に制御されうる。
【0019】
モールドMがモールド保持部11によって保持されることによって、モールドMの裏面BSの中央部BScが面する圧力調整空間SPが形成される。キャビティ空間は、圧力調整空間SPの一部または全部を構成しうる。圧力調整空間SPの少なくとも一部は、例えば、インプリント材IMを硬化させるためのエネルギー(例えば、光エネルギー)を透過させる透過部材23によって確定されうる。モールド保持部11またはモールド駆動機構12は、インプリント材IMを硬化させるためのエネルギー通過させるための開口を有しうる。透過部材23は、例えば、モールド保持部11またはモールド駆動機構12によって保持されうる。
【0020】
インプリント装置100は、圧力調整空間SPの圧力を調整する圧力調整部22を含みうる。圧力調整空間SPの圧力を調整することは、モールドMの裏面BSの中央部BScに加えられる力あるいは圧力を調整することを意味する。圧力調整空間SPの圧力を調整することによって、モールドM(のパターン部P)の撓みを調整することができる。例えば、圧力調整空間SPの圧力を外部空間(モールドMの面のうち表面FSが面する空間)の圧力より高い圧力に調整することにより、モールドM(のパターン部P)を部材Sの側に向かって凸形状に撓ませることができる。
【0021】
モールドMは、その側面SSに変形機構9によって力が加えられることによっても、部材Sの側に向かって凸形状、または、部材Sの側に向かって凹形状に撓みうる。このような撓みは、モールド保持部11のチャックMCHがモールドMの裏面BSの周辺部BSpに与える吸引力を調整することによっても調整あるいは矯正されうる。したがって、圧力調整部22および吸引力調整部21の少なくとも一方、または双方は、モールドMの裏面BSに加えられる力を調整することによってモールドMのパターン部Pの撓みを調整する調整部20として機能しうる。
【0022】
インプリント装置100は、その他、硬化部2、ディスペンサ5、計測器31および制御部51を備えうる。硬化部2は、部材Sの上のインプリント材IMとモールドMのパターン部Pとが接触し、パターン部Pの凹部にイプリント材IMが十分に充填された状態でインプリント材IMに硬化用のエネルギーを照射する。これにより、インプリント材IMが硬化し、インプリント材IMの硬化物からなるパターン(モールドMのパターン部Pのパターンが転写されたパターン)が形成される。インプリント材IMの硬化物からなるパターンが形成された後、前述の相対駆動機構によって、該硬化物からなるパターンとモールドMのパターン部Pとが分離される。
【0023】
ディスペンサ5は、部材Sのショット領域(パターン形成領域)にインプリント材IMを供給あるいは配置する。インプリント装置100は、ディスペンサ5を備えなくてもよく、その場合、外部装置においてインプリント材IMが配置された部材Sがインプリント装置100に供給されうる。計測器31(アライメントスコープ)は、部材Sのショット領域が有するアライメントマークとモールドMのパターン部Pが有するアライメントマークとの相対位置を検出する。これにより、部材Sのショット領域とモールドMのパターン部Pとの重ね合わせ誤差(相対的な位置および回転ならびに相対的な形状差)が検出することができる。
【0024】
制御部51は、部材駆動機構42、モールド駆動機構12、変形機構9、吸引力調整部21圧力調整部22、硬化部2、ディスペンサ5および計測器31を制御しうる。制御部51は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、又は、プログラムが組み込まれた汎用コンピュータ、又は、これらの全部または一部の組み合わせによって構成されうる。
【0025】
ここで、インプリント装置100によるパターン形成処理を例示的に説明する。このパターン形成処理は、制御部51によって制御される。まず、ディスペンサ5によって部材Sのショット領域にインプリント材IMが配置されうる。次いで、ショット領域がパターン部Pの直下に位置するように部材Sが部材駆動機構42によって位置決めされうる。次いで、モールドMが部材Sの側に向かって凸形状になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整されうる。そして、モールド駆動機構12および/または部材駆動機構42によって、部材Sの上のインプリント材IMとパターン部Pとが接触させられうる。この状態で、圧力調整部22が圧力調整空間SPの圧力を徐々に低下させながらモールドM(のパターン部P)が徐々に平坦に戻される。これにより、部材Mのショット領域の上のインプリント材IMとパターン部Pとの接触領域が徐々に拡大しつつ、パターン部Pの凹部にインプリント材IMが充填される。
【0026】
その後、または、接触領域の拡大と並行して、計測器31を使って部材Sのショット領域とモールドMのパターン部との重ね合わせ誤差が検出される。そして、重ね合わせ誤差に基づいて、重ね合わせ誤差が低減されるように、部材駆動機構42およびモールド駆動機構12によって部材SとモールドMとが相対駆動される。また、重ね合わせ誤差が低減されるように、変形機構9によってモールドMのパターン部Pが変形される。変形機構9によるモールドMのパターン部Pの変形は、例えば、インプリント材IMとパターン部Pとの接触前に開始されてもよい。あるいは、変形機構9によるモールドMのパターン部Pの変形は、例えば、インプリント材IMとパターン部Pとの接触後、ショット領域の全域においてインプリント材IMとパターン部Pとが接触する前に開始されてもよい。以下では、重ね合わせ誤差を低減するためになされる部材駆動機構42およびモールド駆動機構12による部材SとモールドMとの相対駆動および変形機構9によるパターンPの変形をアライメント動作と呼ぶ。
【0027】
アライメント動作において、パターン部Pが平坦になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整された状態で変形機構9によってモールドMの側面Sに力が加えられると、モールドMが撓みうる。そこで、本実施形態では、変形機構9によってモールドMの側面Sに加えられる力に応じて、調整部20によってモールドMの裏面BSに加えられる力が調整されうる。調整部20によってモールドMの裏面BSに加えられる力の調整は、変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力によるパターン部Pの撓みが低減されるようになされうる。
【0028】
以上の工程を経て重ね合わせ誤差が許容範囲に収まった後、硬化部2によってインプリント材IMに硬化用のエネルギーが照射され、インプリント材IMが硬化する。その後、モールド駆動機構12および/または部材駆動機構42によって、部材Sの上の硬化したインプリント材IMとパターン部Pとが分離される。
【0029】
図3には、アライメント動作においてパターン部Pが平坦になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整された状態で変形機構9によってモールドMの側面Sに力が加えられたときのモールドMの撓みの1つの例が模式的に示されている。変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えて側面SSに変位Δdを与えたときに、モールドM(のパターン部P)に撓みΔpが発生しうる。撓みΔpは、変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えた状態におけるパターン部Pの表面の位置(Z方向位置)と変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えていない状態におけるパターン部Pの表面の位置(Z方向位置)との差分として評価されうる。撓みΔpが発生すると、パターン部Pに対して、意図した変形(歪)を与えることができない。
【0030】
図4には、本発明の第1実施形態のアライメント動作において変形機構9によるモールドMの変形によって発生しうるモールドMの撓みを低減する方法の1つの例が模式的に示されている。パターン部Pが平坦になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整された状態で変形機構9によってモールドMの側面Sに力が加えられると、上記のように、撓みΔpが発生しうる。そこで、図4に示される例では、制御部51は、変形機構9によってモールドMの側面Sに加えられる力に応じて、調整部20の圧力調整部22によってモールドMの裏面BS(の中央部BSc)に加えられる力(圧力)を調整するように構成されうる。圧力調整部22によってモールドMの裏面BSに加えられる力(圧力)の調整は、変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力によるパターン部Pの撓みΔpが低減されるようになされうる。変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力によってモールドMが部材Sの側に向かって凸形状になるように撓むことは、調整部20の圧力調整部22によって中央部BScに加えられる力を低下させることよって低減されうる。
【0031】
制御部51は、例えば、変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力Fと当該力Fによるパターン部Pの撓みΔpとの関係を示す情報に基づいて、パターン部Pの撓みΔpが低減されるように調整部20の圧力調整部22を制御しうる。この情報は、例えば、Δp=f1(F)という関数で与えられうる。より具体的には、変形機構9がn個のアクチュエータを有し、n個のアクチュエータがモールドMの側面SSに加える力をF1〜Fnとすれば、Δpは、Δp=f2(F1,F2,・・・・,Fn)という関数で与えられうる。この関数は、実験またはシミュレーションによって決定されうる。
【0032】
また、撓みΔpを低減するために圧力調整部22によってモールドMの裏面BSに加えられる力を圧力調整空間SPの圧力Pspで制御する場合、圧力Pspは、Psp=f3(Δp)という関数で与えられうる。この関数は、実験またはシミュレーションによって決定されうる。
【0033】
制御部51は、計測器31による計測結果(アライメント誤差)に基づいて、パターン部Pの撓みが低減されるように、調整部20の圧力調整部22によってモールドMの裏面BS(中央部BSc)に加えられる力(圧力)を調整してもよい。ここで、計測器31は、パターン部Pの厚さ方向(Z方向)に直交する方向(X方向、Y方向)におけるパターン部Pの歪みを、例えば、モールドMに設けられたアライメントマークの目標位置からのシフト量(Δx、Δy)として計測しうる。あるいは、計測器31は、X方向、Y方向におけるパターン部Pの歪みを、例えば、モールドMに設けられたアライメントマークと部材Sに設けられたアライメントマークとの相対位置(Δx、Δy)として計測しうる。
【0034】
図5には、アライメント動作においてパターン部Pが平坦になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整された状態で変形機構9によってモールドMの側面Sに力が加えられたときのモールドMの撓みの他の例が模式的に示されている。変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えて側面SSに変位Δdを与えたときに、モールドM(のパターン部P)に撓みΔpが発生しうる。図5に示された例では、撓みΔPは、モールド保持部11の保持面(モールドMと接触する面)からのモールドMの裏面BSの周辺部BSp(モールド保持部11のモールドチャックMCHによって吸引される面)の浮き上がりを伴って発生している。撓みΔpは、変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えた状態におけるパターン部Pの表面の位置(Z方向位置)と変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えていない状態におけるパターン部Pの表面の位置(Z方向位置)との差分として評価されうる。図5に示された例では、図3に示された例よりも大きな撓みΔpが発生しうる。撓みΔpが発生すると、パターン部Pに対して、意図した変形(歪)を与えることができない。
【0035】
図6には、本発明の第1実施形態のアライメント動作において変形機構9によるモールドMの変形によって発生しうるモールドMの撓みを低減する方法の他の例が模式的に示されている。パターン部Pが平坦になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整された状態で変形機構9によってモールドMの側面Sに力が加えられると、上記のように、撓みΔpが発生しうる。そこで、図6に示される例では、制御部51は、変形機構9によってモールドMの側面Sに加えられる力に応じて、調整部20の吸引力調整部21によってモールドMの裏面BS(の周辺部BSp)に加えられる力を調整するように構成されうる。吸引力調整部21によってモールドMの裏面BSに加えられる力の調整は、変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力によるパターン部Pの撓みΔpが低減されるようになされうる。変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力によってモールドMが部材Sの側に向かって凸形状になるように撓むことは、調整部20の吸引力調整部21によって周辺部BSpが吸引される力を増加させることによって低減されうる。
【0036】
制御部51は、例えば、変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力Fと当該力Fによるパターン部Pの撓みΔpとの関係を示す情報に基づいて、パターン部Pの撓みΔpが低減されるように調整部20の吸引力調整部21を制御しうる。この情報は、前述のように、例えば、Δp=f1(F)という関数で与えられうる。より具体的には、変形機構9がn個のアクチュエータを有し、n個のアクチュエータがモールドMの側面SSに加える力をF1〜Fnとすれば、Δpは、Δp=f2(F1,F2,・・・・,Fn)という関数で与えられうる。この関数は、実験またはシミュレーションによって決定されうる。
【0037】
また、撓みΔpを低減するために吸引力調整部21によってモールドMの裏面BSに加えられる力を吸引力を発生させるための圧力Pchで制御する場合、圧力Pchは、Pch=f4(Δp)という関数で与えられうる。この関数は、実験またはシミュレーションによって決定されうる。
【0038】
制御部51は、計測器31による計測結果(アライメント誤差)に基づいて、パターン部の撓みΔpが低減されるように、調整部20の吸引力調整部21によってモールドMの裏面BS(周辺部BSp)に加えられる吸引力を調整してもよい。前述のように、計測器31は、パターン部Pの厚さ方向(Z方向)に直交する方向(X方向、Y方向)におけるパターン部Pの歪みを、例えば、モールドMに設けられたアライメントマークの目標位置からのシフト量(Δx、Δy)として計測しうる。あるいは、計測器31は、X方向、Y方向におけるパターン部Pの歪みを、例えば、モールドMに設けられたアライメントマークと部材Sに設けられたアライメントマークとの相対位置(Δx、Δy)として計測しうる。
【0039】
更に、制御部51は、圧力調整部22および吸引力調整部21の双方を制御することによって、変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力によるパターン部Pの撓みΔpを低減してもよい。
【0040】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。図7には、本発明の第2実施形態のインプリント装置101の構成が模式的に示されている。第2実施形態のインプリント装置101は、モールドMをマスターモールドとして、マスターモールドのレプリカであるレプリカモールドを製造するように構成されている。第2実施形態のインプリント装置101は、第1実施形態のインプリント装置100の部材保持部16が、レプリカモールドを製造するためのブランクモールドBMを保持するブランクモールド保持部16’として具体化された例として理解されうる。ブランクモールドBMの上のインプリント材IMとモールド(マスターモールド)Mのパターン部Pとを接触させた状態でインプリント材IMを硬化させることによってブランクモールドBMの上にモールドMのパターンが転写されたパターンが形成される。これにより、レプリカモールドが得られる。
【0041】
図8に例示されるように、ブランクモールドBMは、マスターモールドのパターンが転写されるパターン部P2を有する表面(主面)FS2と、表面FS2とは反対側の面である裏面BS2と、側面SS2とを含みうる。側面SS2は、表面FS2の外周端と裏面BS2の外周端とを接続する面である。裏面BS2は、周辺部BS2pと、周辺部BS2pの内側の中央部BS2cとを含みうる。この例では、周辺部BS2pの厚さ寸法は、中央部BS2cの厚さ寸法より大きく、ブランクモールドBMは、中央部BS2cが周辺部BS2pよりも窪んだ形状を有する。周辺部BS2pと中央部BS2cとの境界は、例えば、円筒面等の柱面を構成しうる。中央部BS2cと柱面とで一部が画定される空間は、キャビティ空間と飛ばれうる。キャビティ空間は、ブランクモールドBMの裏面BS2、より詳しくは、中央部BS2cに圧力あるいは力を加えるために利用されうる。また、レプリカモールドとして使用される際は、キャビティ空間は、第1実施形態で説明されたモールドMにおけるキャビティ空間として利用されうる。
【0042】
ブランクモールド保持部16’のチャックMCH2は、ブランクモールドBMの裏面BS2の周辺部BS2pを吸引することによってブランクモールドBMを保持するように構成されうる。例えば、ブランクモールド保持部16’のチャックMCH2は、ブランクモールドBMの裏面BS2の周辺部BS2pを真空吸引することによってブランクモールドBMを保持するように構成されうる。ブランクモールド保持部16’は、ブランクモールドBMの裏面BS2の周辺部BSp2を吸引する吸引力(保持力)を調整する吸引力調整部25を含みうる。
【0043】
ブランクモールドBMがブランクモールド保持部16’によって保持されることによって、ブランクモールドBMの裏面BS2の中央部BS2cが面するように圧力調整空間SP2が形成される。インプリント装置101は、圧力調整空間SP2の圧力を調整する圧力調整部26を含みうる。圧力調整空間SP2の圧力を調整することは、ブランクモールドBMの裏面BS2の中央部BS2cに加えられる力あるいは圧力を調整することを意味する。圧力調整空間SP2の圧力を調整することによって、ブランクモールドBMの撓みを調整することができる。例えば、圧力調整空間SP2の圧力を外部空間(ブランクモールドBMの面のうち表面FS2が面する空間)の圧力より高い圧力に調整することにより、ブランクモールドBMをモールドMの側に向かって凸形状に撓ませることができる。このような機能を利用して、圧力調整部26は、ブランクモールドBMの撓みの調整を介して、モールドMの撓みを調整あるいは矯正することができる。
【0044】
また、モールドMの撓みは、ブランクモールド保持部16’のチャックMCH2がブランクモールドBMの裏面BS2の周辺部BS2pに与える吸引力を調整することによっても調整あるいは矯正されうる。例えば、モールドMがブランクモールドBMに向かって凸形状であり、ブランクモールドBMがモールドMに向かって凹形状である場合、ブランクモールドBMの裏面BS2の周辺部BS2pがブランクモールド保持部16’の保持面から浮き上がりうる。この場合、チャックMCH2がブランクモールドBMの裏面BS2の周辺部BS2pを吸引する力を強くすることによって、ブランクモールドBMの撓みを低減し、これによってモールドMの撓みを低減することができる。よって、圧力調整部26および吸引力調整部25の少なくとも一方、または双方は、ブランクモールドBMの裏面BS2に加えられる力を調整することによってモールドMのパターン部Pの撓みを調整する第2調整部29として機能しうる。
【0045】
変形機構9によってモールドMの側面SSに加えられる力に応じて第1調整部20によってモールドMの第1裏面BSに加えられる力および第2調整部29によってブランクモールBMドの裏面である第2裏面BS2に加えられる力の少なくとも一方が調整される。第1調整部20によって第1裏面BSに加えられる力および第2調整部29によって第2裏面BS2に加えられる力の少なくとも一方は、ブランクモールドBMに形成されるパターンの歪みが低減されるようになされうる。ここで、ブランクモールドBMに形成されるパターンの歪は、変形機構9が側面SSに加える力によるパターン部Pの撓みによってパターン部Pが目標通りに変形しないことによる歪を含みうる。
【0046】
図9には、アライメント動作においてパターン部Pが平坦になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整された状態で変形機構9によってモールドMの側面Sに力が加えられたときのモールドMの撓みの1つの例が模式的に示されている。変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えて側面SSに変位を与えたときに、モールドMに撓みが発生しうる。この撓みは、変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えた状態におけるパターン部Pの表面の位置(Z方向位置)と変形機構9がモールドMの側面SSに力を加えていない状態におけるパターン部Pの表面の位置(Z方向位置)との差分として評価されうる。撓みが発生すると、パターン部Pに対して、意図した変形(歪)を与えることができない。
【0047】
図10には、本実施形態のアライメント動作において変形機構9によるモールドMの変形によって発生しうるモールドMの撓みを低減する方法の1つの例が模式的に示されている。パターン部Pが平坦になるように圧力調整部22によって圧力調整空間SPの圧力が調整された状態で変形機構9によってモールドMの側面Sに力が加えられると、上記のように、パターン部Pに撓みが発生しうる。そこで、図10に示される例では、制御部51は、変形機構9によってモールドMの側面Sに加えられる力に応じて、第1調整部20および第2調整部29の少なくとも1つを用いてモールドM(のパターン部P)の撓みを調整する。
【0048】
インプリント装置を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
【0049】
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
【0050】
次に、インプリント装置によって基板にパターンを形成し、該パターンが形成された基板を処理し、該処理が行われた基板から物品を製造する物品製造方法について説明する。図11(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウエハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
【0051】
図11(b)に示すように、インプリント用の型(モールド)4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図11(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1と型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを介して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
【0052】
図11(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
【0053】
図11(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図11(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
100:インプリント装置、101:インプリント装置、S:部材、M:モールド、P:パターン部、9:変形機構、20:調整部、21:吸引力調整部、22:圧力調整部、51:制御部、BS:裏面、SP:圧力調整空間、IM:インプリント材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11