(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記再現性誤差は、前記核データの変化に伴って変化する前記計算評価値の感度に関する係数である感度係数を成分とする感度係数ベクトルと、前記臨界実験の計算体系における核データの不確かさである共分散行列とに基づいて算出されており、
前記制御部は、
前記臨界実験における前記測定評価値と前記計算評価値との差異が整合するように前記共分散行列を調整する共分散調整処理を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の未臨界性評価装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、計算コードの不確かさは、一般的に、計算コードにより算出した計算値と、臨界実験で得られた測定値との差異から求められる。ここで、計算コードの不確かさを求めるための対象となる臨界実験は、例えば、評価対象が使用済燃料ピット(SFP)である場合、実機のSFPを体現する再現性の高い臨界実験が選定される。しかしながら、選定される臨界実験は、そのケース数が少ないことから、統計処理において95%信頼度・95%確率を担保するための信頼係数が大きくなり、計算コードの不確かさは、大きく評価される。一方で、ケース数を増やすことで、95%信頼度・95%確率に基づく信頼係数が小さくなり、計算コードの不確かさを小さく、合理的に評価することが考えられるが、この場合、実機SFPの再現性の低い臨界実験を選定することとなり、原子力設備に対して再現性の高い臨界実験と比べて、再現性が低い臨界実験において、計算コードにより算出した計算値と、臨界実験で得られた測定値との差異が小さければ、原子力設備の未臨界性評価に用いる計算コードの不確かさを過小評価し、不適切な合理化となる。
【0005】
そこで、本発明は、原子力設備に対して再現性の低い臨界実験を選定する場合であっても、未臨界評価計算コードの不確かさを適切に評価することができる未臨界性評価装置、未臨界性評価方法及び未臨界性評価プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の未臨界性評価装置は、原子燃料を貯蔵した原子力設備の未臨界性を評価する未臨界性評価装置であって、未臨界性を評価するために入力される核データ、前記原子力設備の幾何形状及び組成を含む入力パラメータに基づいて、未臨界評価計算コードから、未臨界性の評価値を導出するにあたって、前記未臨界評価計算コードの不確かさを導出する制御部を備え、前記制御部は、臨界実験で得られる測定評価値と、前記臨界実験の計算体系に基づいて前記未臨界評価計算コードを用いて導出される計算評価値との関係に、前記臨界実験の前記原子力設備に対する再現性誤差を考慮して、前記未臨界評価計算コードの不確かさを算出する算出処理を実行することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の未臨界性評価方法は、原子燃料を貯蔵した原子力設備の未臨界性を評価する未臨界性評価装置で実行される未臨界評価方法であって、未臨界性を評価するために入力される核データ、前記原子力設備の幾何形状及び組成を含む入力パラメータに基づいて、未臨界評価計算コードから、未臨界性の評価値を導出するにあたって、前記未臨界評価計算コードの不確かさを導出するコード不確かさ導出ステップが実行され、前記コード不確かさ導出ステップでは、臨界実験で得られる測定評価値と、前記臨界実験の計算体系に基づいて前記未臨界評価計算コードを用いて導出される計算評価値との関係に、前記臨界実験の前記原子力設備に対する再現性誤差を考慮して、前記未臨界評価計算コードの不確かさを算出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の未臨界性評価プログラムは、原子燃料を貯蔵した原子力設備の未臨界性を評価する未臨界性評価装置で実行される未臨界評価プログラムであって、未臨界性を評価するために入力される核データ、前記原子力設備の幾何形状及び組成を含む入力パラメータに基づいて、未臨界評価計算コードから、未臨界性の評価値を導出するにあたって、前記未臨界評価計算コードの不確かさを導出するコード不確かさ導出ステップを、前記未臨界性評価装置に実行させ、前記コード不確かさ導出ステップにおいて、臨界実験で得られる測定評価値と、前記臨界実験の計算体系に基づいて前記未臨界評価計算コードを用いて導出される計算評価値との関係に、前記臨界実験の前記原子力設備に対する再現性誤差を考慮して、前記未臨界評価計算コードの不確かさを算出することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、臨界実験の原子力設備に対する再現性誤差を考慮した未臨界評価計算コードの不確かさを導出することができる。このため、原子力設備に対して再現性の低い臨界実験が選定される場合であっても、再現性誤差を考慮することにより、原子力設備を再現する臨界実験として取り扱うことができる。これにより、原子力設備に係る未臨界評価計算コードの不確かさを適切に評価することができる。また、取り扱う臨界実験のケース数を増やすことが可能となる。なお、原子力設備としては、例えば、使用済燃料ピットである。また、評価値としては、例えば、実効増倍率である。
【0010】
また、前記未臨界評価計算コードの不確かさは、前記臨界実験で得られる前記測定評価値と前記臨界実験の計算体系に基づいて導出される前記計算評価値との差分と、前記臨界実験で得られる測定評価値に含まれる実験誤差と、前記臨界実験の前記原子力設備に対する再現性誤差と、を少なくとも含む算出式から導出されており、前記制御部は、前記差分、前記実験誤差及び前記再現性誤差を取得する取得処理を、さらに実行し、前記算出処理において、取得した前記差分、前記実験誤差及び前記再現性誤差に基づいて、前記算出式から前記未臨界評価計算コードの不確かさを算出する算出処理と、を実行することが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、差分、実験誤差及び再現性誤差に基づいて、未臨界評価計算コードの不確かさを算出することができる。なお、未臨界評価計算コードが中性子輸送計算として統計処理を行うモンテカルロ法を用いることにより、臨界実験の計算体系に基づいて導出される計算評価値が統計誤差を含む場合、算出式に、統計誤差をさらに含ませることが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記臨界実験のケース数に応じて前記算出処理を実行することで、前記ケース数に応じた複数の前記未臨界評価計算コードの不確かさを取得しており、複数の前記未臨界評価計算コードの不確かさを、信頼係数を用いた統計的手法により評価するコード不確かさ評価処理を実行することが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、信頼係数を用いた統計的手法により多数の未臨界評価計算コードの不確かさを評価することで、未臨界評価計算コードの不確かさを合理的に評価することができる。
【0014】
また、前記再現性誤差は、前記核データの変化に伴って変化する前記計算評価値の感度に関する係数である感度係数を成分とする感度係数ベクトルと、前記臨界実験の計算体系における核データの不確かさである共分散行列とに基づいて算出されており、前記制御部は、前記臨界実験における前記測定評価値と前記計算評価値との差異が整合するように前記共分散行列を調整する共分散調整処理を実行することが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、共分散行列を調整することで、臨界実験における測定評価値と計算評価値との差異を整合させることができるため、未臨界評価計算コードの不確かさを精度よく評価することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0018】
[本実施形態]
本実施形態の未臨界評価方法及び未臨界性評価装置10は、原子燃料を装荷した原子力設備の未臨界性を評価する方法及び装置である。原子燃料としては、例えば、使用済みの燃料集合体が適用される。また、原子力設備としては、例えば、使用済燃料を貯蔵する使用済燃料ピット(SFP:Spent Fuel Pit)が適用される。なお、以下の説明では、使用済燃料ピットに適用して説明するが、燃料を管理する設備であれば、使用済燃料ピットに限定されず、例えば、新燃料を貯蔵する設備に適用してもよい。本実施形態の未臨界評価方法及び未臨界性評価装置10の説明に先立ち、評価対象となる使用済燃料ピット1について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の未臨界評価方法の評価対象となる使用済燃料ピットを示す図である。
図1は、使用済燃料ピット1を上方側から見た平面図となっている。使用済燃料ピット1は、冷却材としての水を貯留する貯留ピット5と、燃料集合体8を収容する複数のラック6と、を備えている。貯留ピット5は、内部に収容空間を有する長方体形状の槽である。ラック6は、水平面内において、格子状に複数配置されている。ラック6は、四角形となる角筒形状、または、角筒の四隅のL字部分のみ存在するアングル形状となっており、その内部に燃料集合体8を収容可能な収容空間が形成されている。このラック6は、鉛直方向に亘って燃料集合体8を収容する。
【0020】
燃料集合体8は、断面方形状に形成され、例えば、17×17のセルで構成されている。そして、複数のセルには、制御棒、バーナブルポイズン、及び燃料棒が適宜挿入されている。
【0021】
次に、
図2を参照して、評価対象となる使用済燃料ピット1に貯蔵される燃料の未臨界性を評価する未臨界性評価装置10について説明する。
図2は、本実施形態の未臨界性評価装置を模式的に表した概略構成図である。未臨界性評価装置10は、燃料の核データ及び使用済燃料ピット1に関するデータを入力パラメータとし、この入力パラメータに基づいて未臨界評価計算を行って、使用済燃料ピット1の未臨界性の評価値としての実効増倍率を算出する装置となっている。
【0022】
未臨界性評価装置10は、各種プログラムを実行して各種処理を実行可能な制御部11と、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶部12と、キーボード等の入力デバイスで構成された入力部13と、モニタ等の表示デバイスで構成された表示部14とを有している。なお、未臨界性評価装置10は、単体の装置で構成してもよいし、他の装置と一体に構成してもよいし、演算装置及びデータサーバ等の各種装置を組み合わせたシステムとして構成してもよく、特に限定されない。
【0023】
記憶部12には、各種プログラムとして、例えば、未臨界評価に用いられる未臨界評価計算コードを含む未臨界評価プログラムPが記憶されている。また、記憶部12には、データとして、核データ、使用済燃料ピット1の幾何形状及び組成を含む入力パラメータが記憶され、例えば、燃料に含まれる核種に関する核データD1と、核データD1の不確かさに関する共分散データD2と、使用済燃料ピット1及び燃料集合体8の製造公差に関する公差パラメータD3と、を含んで記憶されている。これらのデータD1,D2,D3は、後述する未臨界評価に用いられる。
【0024】
未臨界性評価装置10は、未臨界評価プログラムPを実行すると、入力部13から入力された入力データ及び記憶部12に記憶されたデータ等を制御部11が取得する。制御部11は、取得した核データD1、共分散データD2及び公差パラメータD3を含む各種データを入力パラメータとし、この入力パラメータに基づいて未臨界評価計算コードを用いて計算を行うことで、実効増倍率を算出する。
【0025】
次に、使用済燃料ピット1の未臨界性評価について具体的に説明する。上記したように、使用済燃料ピット1の未臨界性評価は、入力パラメータに基づいて未臨界評価計算コードを用いて計算を行うことで、使用済燃料ピット1における実効増倍率を算出することである。使用済燃料ピット1における実効増倍率は、下記する(1)式に示すように、使用済燃料ピット1の計算体系(以下、SFP体系ともいう)におけるノミナル状態での未臨界評価計算コードの計算値としての実効増倍率と、未臨界評価計算コードの不確かさと、使用済燃料ピット1及び燃料集合体8の製造公差の不確かさとを用いて表される。
【0027】
ここで、未臨界評価計算コードの不確かさは、下記の(2)式に示すように、使用済燃料ピット1におけるノミナル状態での実効増倍率の測定値(測定評価値)と、SFP体系におけるノミナル状態での実効増倍率の計算値(計算評価値)との差分である。ここで、使用済燃料ピット1におけるノミナル状態での実効増倍率を、測定値として計測することは困難である。このため、未臨界評価計算コードの不確かさは、上記の差分に対して、臨界実験の使用済燃料ピット1に対する再現性誤差を考慮することで導出される。そして、未臨界評価計算コードの不確かさを算出するにあたって、臨界実験で得られる実効増倍率の測定値と、臨界実験の計算体系(以下、臨界実験体系ともいう)における実効増倍率の計算値とを用いている。
【0029】
ここで、臨界実験で得られる実効増倍率の測定値は、下記の(3)式に示すように、実効増倍率の測定値の誤差である実験誤差を含んでいる。また、臨界実験体系における実効増倍率の計算値は、下記の(4)式に示すように、未臨界評価計算コードが統計処理を行うモンテカルロ法を用いた中性子輸送計算コードである場合、統計誤差を含んでいる。なお、未臨界評価計算コードが統計誤差を含まない計算手法である場合、統計誤差をゼロとして、つまり統計誤差を省いて取り扱ってもよい。さらに、臨界実験の使用済燃料ピット1に対する再現性誤差を、(5)式に示すように定義する。
【0031】
再現性誤差は、(5)式に示すように、使用済燃料ピット1における実効増倍率の測定値とSFP体系における実効増倍率の計算値との差異と、臨界実験における実効増倍率の測定値と臨界実験体系における実効増倍率の計算値との差異と、の差分となっている。(3)式から(5)式を、(2)式に代入すると、下記する(6)式となる。
【0033】
ここで、臨界実験の測定値は、(7)式で与えられ、また、実験誤差、統計誤差及び再現性誤差は、独立した値となっていることから、(6)式は、(8)式で表すことができる。臨界実験の測定値は臨界を想定しているが、臨界でない場合、臨界実験体系の計算値を臨界実験の測定値で割り、臨界実験体系の計算値の規格化を行う。
【0035】
ここで、(8)式は、所定の臨界実験における未臨界評価計算コードの不確かさであり、所定の臨界実験を、臨界実験nとし、臨界実験のケース数をN個とすると、臨界実験nにおける未臨界評価計算コードの不確かさは、(9)式及び(10)式で表すことができる。また、N個の臨界実験を用いた未臨界評価計算コードの不確かさは、統計的に(11)式で表すことができる。このとき、加重平均実効増倍率は、(12)式で表され、不確かさは、(13)式で表される。
【0037】
このとき、(13)式に示すように、不確かさは、再現性誤差を考慮することで、臨界実験のケース数を多くできることから、信頼係数Uを用いた統計的手法において、合理的に評価することが可能となる。信頼係数Uは、統計処理において95%信頼度に95%確率を担保するために乗算する係数である。
【0038】
次に、再現性誤差について具体的に説明する。再現性誤差は、感度係数ベクトルと共分散行列とから算出される実効増倍率の不確かさ、及び、臨界実験体系と未臨界性評価を行う原子力設備体系(たとえば、SFP体系)間の類似度を用いて表される。ここで、感度係数ベクトルは、臨界実験体系において、反応断面積α等の核データD1の変化に伴う実効増倍率の計算値の変化を感度係数とし、核データD1に対応する感度係数を成分としたベクトルである。核データD1には核種毎の反応断面積の他、核分裂あたりの発生中性子数、核分裂スペクトルが格納されている。共分散行列は、共分散データD2に含まれる情報であり、核データD1における核種及びエネルギー群に対応する反応断面積等の不確かさ(ばらつき)である。SFP体系及び臨界実験体系における感度係数ベクトルは、(14)式で表され、共分散行列は、(15)式で表される。
【0040】
ここで、
図3を参照し、SFP体系と臨界実験体系とにおける実効増倍率の感度係数ベクトルについて説明する。
図3は、SFP体系と臨界実験体系とにおける実効増倍率の感度係数ベクトルに関する説明図である。共分散行列Wで満たされたM次元空間でのS
SFP−S
EXP同士の内積を、下記する(16)式で定義し、核データの不確かさに起因するSFP体系及び臨界実験体系における実効増倍率の不確かさの差分の2乗となる。
【0042】
(16)式に基づくと、再現性誤差は、下記する(17)式及び(18)式で表され、類似度は、(19)式で表される。
【0044】
このように、再現性誤差は、感度係数ベクトルと共分散行列とから算出されるSFP体系及び臨界実験体系における実効増倍率の不確かさ、及び類似度を用いて算出される。なお、(17)式は
図3より余弦定理を用いて幾何学的に導出することも可能である。ここで、
図3のθの余弦(cos)が(19)式に示す類似度に等しい。
【0045】
ところで、(15)式に示す共分散行列の各成分は、反応断面積等の核データα
mの相関係数となっている。共分散行列は、共分散データD2として提供され、また、理論値となっている。この共分散行列は、臨界実験の測定値と計算値との差異から見て、過大評価または過小評価となる場合があることから、測定値と計算値との差異を整合するように、共分散行列を調整する。
【0046】
次に、
図4及び
図5を参照して、共分散行列の調整について説明する。
図4は、不確かさを含む実効増倍率の測定値と計算値との関係を示す、共分散行列の調整前のグラフである。
図5は、不確かさを含む実効増倍率の測定値と計算値との関係を示す、共分散行列の調整後のグラフである。
【0047】
臨界実験における実効増倍率の測定値の不確かさは、(3)式に示す実験誤差を含むことから、下記する(20)式の左辺で表すことができる。また、臨界実験体系における実効増倍率の計算値の不確かさは、(4)式に示す統計誤差の他、核データD1の反応断面積等の不確かさを含み、また、統計誤差及び反応断面積等の核データの不確かさは、独立した値となっていることから、下記する(20)式の右辺で表すことができる。このとき、(20)式では、計算値の不確かさが測定値の不確かさを包絡するように、計算値の不確かさに含まれる共分散行列に調整因子μを乗じている。
【0049】
図4は、共分散行列が過小評価されている場合を示しており、共分散行列の調整前(μ=1)においては、計算値の不確かさが測定値の不確かさを包絡していない。そこで、調整因子μを調整することで、
図5に示すように、計算値の不確かさが測定値の不確かさを包絡するように、共分散行列を調整する。
【0050】
次に、
図6から
図9を参照して、未臨界性評価装置10により、使用済燃料ピット1における不確かさを含む実効増倍率を導出する制御動作について説明する。
図6は、不確かさを含む実効増倍率を算出する制御動作に関するフローチャートである。
図7は、未臨界評価計算コードの不確かさを算出する制御動作に関するフローチャートである。
図8は、N個の臨界実験に関する未臨界評価計算コードの不確かさを算出する制御動作に関するフローチャートである。
図9は、共分散行列を調整する制御動作に関するフローチャートである。
【0051】
図6に示すように、不確かさを含む実効増倍率を算出する場合、先ず、未臨界性評価装置10の制御部11は、SFP体系において、核データD1を含む入力パラメータに基づいて、未臨界評価計算コードから、SFP体系におけるノミナル状態での実効増倍率の計算値を算出する(ステップS11)。続いて、制御部11は、SFP体系における未臨界評価計算コードの不確かさを算出する(ステップS12:コード不確かさ導出ステップ)。なお、コード不確かさ導出ステップS12について、詳細は後述する。次に、制御部11は、使用済燃料ピット1及び燃料集合体8における製造公差の不確かさを算出する(ステップS13)。そして、制御部11は、(1)式に基づいて、使用済燃料ピット1の実効増倍率を算出する(ステップS14)。
【0052】
次に、
図7を参照して、コード不確かさ導出ステップS23について説明する。コード不確かさ導出ステップS23において、SFP体系における未臨界評価計算コードの不確かさを算出するにあたり、制御部11は、先ず、再現性誤差を算出する(ステップS21)。なお、再現性誤差を算出するステップについて、詳細は後述する。
【0053】
続いて、制御部11は、各種誤差を取得する取得処理を実行する(ステップS22:誤差取得ステップ)。誤差取得ステップS22において、制御部11は、予め算出した臨界実験体系におけるノミナル状態での実効増倍率の計算値に基づく差分を取得する。この差分は、臨界実験における実効増倍率の測定値と、臨界実験体系における実効増倍率の計算値との差分であり、(8)式の右項に示すとおりである。また、誤差取得ステップS22において、制御部11は、予め既知となっている(3)式に示す実験誤差を取得する。また、誤差取得ステップS22において、制御部11は、臨界実験体系における実効増倍率の計算により導出された統計誤差を取得する。
【0054】
そして、制御部11は、各種誤差に基づいて、(8)式から、未臨界評価計算コードの不確かさを算出する算出処理を実行する(ステップS23:算出ステップ)。
【0055】
次に、
図8を参照して、N個のケース数の臨界実験に基づく未臨界評価計算コードの不確かさの算出について説明する。制御部11は、
図7において、各ケースの臨界実験に基づく未臨界評価計算コードの不確かさを導出することで、N個のケース数の臨界実験に基づく未臨界評価計算コードの不確かさを取得する(ステップS31)。制御部11は、ステップS31において、N個の未臨界評価計算コードの不確かさを取得すると、(9)式から(13)式を用いて、信頼係数Uを用いた統計的手法により、未臨界評価計算コードの不確かさを評価するコード不確かさ評価処理を実行する(ステップS32)。
【0056】
次に、
図9を参照して、再現性誤差を算出するステップS21について説明する。制御部11は、臨界実験体系における実効増倍率の計算により導出された(14)式に示す感度係数ベクトルと、予め既知となっている(15)式に示す共分散行列とに基づいて再現性誤差を算出している。ここで、制御部11は、(20)式を用いて、共分散行列の調整因子μを算出する(ステップS41)。そして、制御部11は、算出した調整因子μを、共分散行列に乗算して共分散行例を調整する共分散調整処理を実行する(ステップS42)。この後、制御部11は、調整後の共分散行例と感度係数ベクトルとに基づいて、(18)式及び(19)式から、再現性誤差を算出する(ステップS43)。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、臨界実験の使用済燃料ピット1に対する再現性誤差を考慮した未臨界評価計算コードの不確かさを導出することができる。このため、使用済燃料ピット1に対して再現性の低い臨界実験が選定される場合であっても、再現性誤差を考慮することにより、使用済燃料ピット1を再現する臨界実験として取り扱うことができる。これにより、使用済燃料ピット1に係る未臨界評価計算コードの不確かさを適切に評価することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、差分、実験誤差、統計誤差及び再現性誤差に基づいて、未臨界評価計算コードの不確かさを適切に算出することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、信頼係数を用いた統計的手法により多数の未臨界評価計算コードの不確かさを評価することで、未臨界評価計算コードの不確かさを合理的に評価することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、共分散行列を調整することで、臨界実験における実効増倍率の測定値と計算値との差異を整合させることができるため、未臨界評価計算コードの不確かさを精度よく評価することができる。