(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバーが、前記可動カバー部が前記固定カバー部に対して、前記先端工具を覆う方向に移動するように、前記操作部材を付勢する付勢部材をさらに備える、請求項1から6の何れか一項の電動工具。
モータと、前記モータに接続される動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部を備える電動工具に、前記先端工具の少なくとも一部を覆うように取り付けられるカバーであって、
前記ハウジングに対して固定された固定カバー部と、前記固定カバー部に対して移動可能な可動カバー部と、前記可動カバー部と機械的に連結しており、前記可動カバー部を前記固定カバー部に対して移動させる操作部材を備えており、
前記先端工具が、前記ハウジングに対して回転軸周りに回転可能であって、
前記操作部材が、前記固定カバー部に対して前記回転軸に略直交するスライド方向に沿って移動可能であり、
前記可動カバー部が、前記固定カバー部に対して前記回転軸および前記スライド方向に略直交する回動軸周りに回動可能である、カバー。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動工具は、モータと、前記モータに接続される動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記先端工具の少なくとも一部を覆うカバーを備えていてもよい。前記カバーは、前記ハウジングに対して固定された固定カバー部と、前記固定カバー部に対して移動可能な可動カバー部と、前記可動カバー部と機械的に連結しており、前記可動カバー部を前記固定カバー部に対して移動させる操作部材を備えていてもよい。
【0010】
1つまたはそれ以上の実施形態において、カバーは、モータと、前記モータに接続される動力伝達機構と、前記モータおよび前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部を備える電動工具に、前記先端工具の少なくとも一部を覆うように取り付けられてもよい。前記カバーは、前記ハウジングに対して固定された固定カバー部と、前記固定カバー部に対して移動可能な可動カバー部と、前記可動カバー部と機械的に連結しており、前記可動カバー部を前記固定カバー部に対して移動させる操作部材を備えていてもよい。
【0011】
上記の電動工具や、上記のカバーによれば、ユーザは、可動カバー部を掴むことなく、操作部材を操作することによって、可動カバー部を固定カバー部に対して移動させることができる。このため、先端工具が駆動している時に、可動カバー部を移動させようとする場合でも、可動カバー部の近傍で駆動している先端工具にユーザの手を近づけることなく、可動カバー部を移動させることができる。上記の電動工具や、上記のカバーによれば、ユーザの安全性を向上することができる。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記操作部材は、前記可動カバー部および前記先端工具よりも先に障害物に当接する当接部を備えていてもよい。前記当接部が前記障害物によって押し込まれた時に、前記可動カバー部は前記固定カバー部に対して、前記先端工具を露出させる方向に移動してもよい。
【0013】
上記の構成によれば、例えば壁面等の障害物の近傍で、例えば床面等のワークに対して作業をする際に、当接部を障害物に押し付けることによって、可動カバー部を固定カバー部に対して移動させて、先端工具を露出させることができる。操作部材に手を触れることなく、可動カバー部を固定カバー部に対して移動させることができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記操作部材をユーザが手で操作することによって、前記可動カバー部が前記固定カバー部に対して、前記先端工具を露出させる方向に移動してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、ユーザが先端工具を露出させたい場合に、自身の手で操作部材を操作することで、可動カバー部を固定カバー部に対して移動させて、先端工具を露出させることができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記カバーは、前記可動カバー部が前記固定カバー部に対して、前記先端工具を覆う方向に移動するように、前記操作部材を付勢する付勢部材をさらに備えていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、操作部材に対して外力が作用していない場合に、付勢部材の付勢力によって、可動カバー部が固定カバー部に対して移動して、先端工具が覆われる。上記の構成によれば、先端工具が露出した状態のまま放置されることがないので、ユーザの安全性をより向上することができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記先端工具は、前記ハウジングに対して回転軸周りに回転可能であってもよい。前記操作部材は、前記固定カバー部に対して前記回転軸に略直交するスライド方向に沿って移動可能であってもよい。
【0019】
多くの場合、先端工具の少なくとも一部を覆うカバーは、先端工具の回転軸に直交する方向に広がりのある形状を有している。上記の構成によれば、操作部材の移動方向を、カバーの外形形状に沿った方向とすることができ、カバーを小型化することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記可動カバー部は、前記固定カバー部に対して前記回転軸に略平行な回動軸周りに回動可能であってもよい。
【0021】
上記の構成によれば、可動カバー部を固定カバー部に対して回動させた時に、可動カバー部が先端工具やワークから遠ざかる方向に移動するので、可動カバー部が作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記可動カバー部は、前記固定カバー部に対して前記回転軸および前記スライド方向に略直交する回動軸周りに回動可能であってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、可動カバー部を固定カバー部に対して回動させた時に、可動カバー部が先端工具やワークから遠ざかる方向に移動するので、可動カバー部が作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記操作部材および前記可動カバー部の一方は、カム溝を備えていてもよい。前記操作部材および前記可動カバー部の他方は、前記カム溝の内部を摺動可能なカム突起を備えていてもよい。前記操作部材を前記固定カバー部に対して前記スライド方向に移動させると、前記可動カバー部が前記回動軸周りに回動してもよい。
【0025】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、操作部材の移動に連動した可動カバー部の回動を実現することができる。
【0026】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例の集塵カバー2は、グラインダ4に取り付けて使用される。
図2に示すように、グラインダ4は、ダイヤモンドカップ6の回転によって、コンクリート、ブロック、レンガ、石材等のワークの研削を行うことができる。なお、以下の説明では、グラインダ4の長手方向を前後方向といい、ダイヤモンドカップ6の回転軸方向を上下方向といい、前後方向と上下方向に直交する方向を左右方向という。
【0027】
図3に示すように、グラインダ4は、本体ハウジング8と、ギヤハウジング10と、ベアリングボックス12を備えている。
【0028】
本体ハウジング8の前方内部には、モータ14が収容されている。モータ14は、前後方向に伸びる出力軸16を有している。出力軸16は、ベアリング18,20を介して、本体ハウジング8に回転可能に支持されている。本体ハウジング8の後方内部には、電源回路22が収容されている。電源回路22には、外部の電源から電源コード24を介して電力が供給される。電源回路22は、ユーザがスイッチ26(
図2等参照)をオンに操作すると、モータ14に電力を供給し、ユーザがスイッチ26をオフに操作すると、モータ14への電力の供給を停止する。モータ14は、電源回路22から供給される電力によって、出力軸16を回転させる。
【0029】
ギヤハウジング10は、本体ハウジング8の前方に取り付けられている。ギヤハウジング10の内部には、互いに噛み合うように配置された第1ベベルギヤ28と第2ベベルギヤ30が収容されている。第1ベベルギヤ28は、出力軸16の前方端部に固定されている。第2ベベルギヤ30は、上下方向に伸びるスピンドル32の上方端部に固定されている。以下では、第1ベベルギヤ28と第2ベベルギヤ30を総称して、単にベベルギヤ34ともいう。ベベルギヤ34は、モータ14の回転を減速してスピンドル32に伝達する減速機構であり、動力伝達機構ということができる。ギヤハウジング10は、ベアリング36を介して、スピンドル32の上方端部を保持している。
図1に示すように、ギヤハウジング10の上面には、シャフトロック38が設けられている。ユーザがシャフトロック38を下方に押し込むと、第2ベベルギヤ30の回転が禁止されて、スピンドル32の回転が禁止される。
【0030】
図3に示すように、ベアリングボックス12は、ギヤハウジング10の下方に取り付けられている。ベアリングボックス12は、ベアリング40,42を介して、スピンドル32を保持している。スピンドル32は、上下方向に沿った回転軸に関して、ベアリングボックス12に対して回転可能である。スピンドル32の下方端部には、インナフランジ44とアウタフランジ46を介して、ダイヤモンドカップ6を取り付け可能である。インナフランジ44は、スピンドル32に嵌合されている。ダイヤモンドカップ6は、インナフランジ44の下方からスピンドル32に取り付けられて、インナフランジ44に嵌合されている。アウタフランジ46は、スピンドル32の下方端部からスピンドル32に螺着されて、インナフランジ44との間でダイヤモンドカップ6を挟持する。グラインダ4において、モータ14が回転すると、スピンドル32とともにダイヤモンドカップ6が回転軸周りに回転することで、ワークの研削を行うことができる。スピンドル32は、先端工具であるダイヤモンドカップ6を保持する先端工具保持部ということもできる。なお、以下の説明では、本体ハウジング8、ギヤハウジング10およびベアリングボックス12を総称して、単にハウジング48ともいう。
【0031】
集塵カバー2は、ベアリングボックス12に形成された略円筒形状のカバー取り付け部50に取り付けられている。集塵カバー2は、グラインダ4に取り付けられた時に、ダイヤモンドカップ6の周囲を覆う形状に形成されている。集塵カバー2は、ダイヤモンドカップ6がワークを研削する際に、周囲に切削粉が飛び散ることを防止するとともに、切削粉を集塵機(図示せず)によって収集するために使用される。
【0032】
図4に示すように、集塵カバー2は、ベース52と、カバー本体54と、ノズル56とを備えている。
【0033】
ベース52は、バンド58と、ベースプレート60を備えている。バンド58は、帯状の平板を円筒形状に湾曲させた湾曲部58aと、湾曲部58aの両端から外側に向けて伸びる一対の平板部58bと、一対の平板部58bの間隔を調整する締結具58cを備えている。ベースプレート60は、略円形状の開口部60aを有する平板部60bと、開口部60aの縁に沿って上方に屈曲する半円筒形状の半円筒部60cを備えている。バンド58とベースプレート60は、半円筒部60cの外周面と湾曲部58aの内周面を溶接することによって、互いに固定されている。集塵カバー2は、締結具58cを緩めてバンド58を拡径させた状態で、バンド58をベアリングボックス12のカバー取り付け部50の外周面に取り付け、その後に締結具58cを締めてバンド58を縮径させることで、ベアリングボックス12に対して固定される。
【0034】
カバー本体54は、固定カバー部62と、可動カバー部64と、カバー開閉機構66を備えている。固定カバー部62は、ベース52の下方に配置されている。固定カバー部62は、締結具68a、68b、68c、68dを介して、ベース52のベースプレート60に固定されている。可動カバー部64は、固定カバー部62の前方に配置されている。固定カバー部62と可動カバー部64は、互いに組み合わされた時に皿型の形状となるように形成されている。固定カバー部62の外縁下方と、可動カバー部64の外縁下方には、集塵ブラシ70(
図2参照)が設けられている。グラインダ4によってワークを研削する際には、固定カバー部62と、可動カバー部64と、集塵ブラシ70によって、ダイヤモンドカップ6の周囲が覆われる。なお、固定カバー部62には、ノズル56が一体的に形成されている。ノズル56の内部の空間は、固定カバー部62の内側の空間と連通している。ノズル56には、集塵機(図示せず)から伸びるホース(図示せず)を取り付けることができる。
【0035】
図5に示すように、カバー開閉機構66は、操作部材72と、弾性部材74を備えている。
【0036】
図6に示すように、操作部材72は、上方から平面視した時に後方が開口した略Π字形状を有する平板状の基部72aと、基部72aに形成されており、前後方向に長手方向を有する長孔72b、72cと、基部72aの後方端部の上面に形成された突起72d、72eと、基部72aよりも上方にオフセットした位置に形成されており、上方から平面視した時に後方が開口した略Π字形状を有する当接部72fと、当接部72fの左右方向の端面に形成されており、上下方向に長手方向を有するカム溝72g、72hを備えている。
【0037】
図5に示すように、固定カバー部62の上面には、締結具68a、68b、68c、68dを受け入れるボス62a、62b、62c、62dが形成されている。操作部材72を固定カバー部62に取り付けた状態では、固定カバー部62のボス62aが操作部材72の長孔72bを貫通しており、かつ固定カバー部62のボス62bが操作部材72の長孔72cを貫通している。ボス62aは長孔72bの内部を前後方向に摺動可能であり、ボス62bは長孔72cの内部を前後方向に摺動可能である。これによって、操作部材72は、固定カバー部62に対して、前後方向に移動可能に支持されている。
【0038】
弾性部材74は、引張ばね74a、74bを備えている。また、固定カバー部62の上面には、突起62e、62fが形成されている。操作部材72を固定カバー部62に取り付けた状態では、固定カバー部62の突起62eと操作部材72の突起72dが引張ばね74aによって接続されており、かつ固定カバー部62の突起62fと操作部材72の突起72eが引張ばね74bによって接続されている。引張ばね74a、74bは、操作部材72を固定カバー部62に対して前方に向けて付勢する。
【0039】
図7に示すように、可動カバー部64の後方端部には、左右方向の端部近傍に回動シャフト64a、64bが形成されている。回動シャフト64a、64bは、左右方向に軸方向を有する略円柱形状に形成されている。
図8に示すように、固定カバー部62の前方端部には、左右方向の端部近傍に、保持部62g、62hが形成されている。保持部62g、62hには、可動カバー部64の回動シャフト64a、64bを着脱可能である。可動カバー部64を固定カバー部62に取り付けた状態では、保持部62g、62hが回動シャフト64a、64bを回動可能に保持する。従って、可動カバー部64を固定カバー部62に取り付けた状態では、可動カバー部64は固定カバー部62に対して、左右方向に沿った回動軸周りに回動可能である。
【0040】
図7に示すように、可動カバー部64には、操作部材72のカム溝72g、72hに対応するカム突起64c、64dと、カム突起64c、64dを支持するアーム64e、64fが形成されている。カム突起64c、64dは、回動シャフト64a、64bよりも前方であり、かつ回動シャフト64a、64bよりも上方の位置に配置されている。
図5に示すように、可動カバー部64と操作部材72を固定カバー部62に取り付けた状態では、可動カバー部64のカム突起64cは、操作部材72のカム溝72gに入り込んでおり、可動カバー部64のカム突起64dは、操作部材72のカム溝72hに入り込んでいる。カム突起64c、64dは、カム溝72g、72hの内部を上下方向に摺動可能である。
【0041】
図5に示すように、操作部材72の当接部72fに外力が作用していない状態では、弾性部材74の付勢力によって、操作部材72は固定カバー部62に対して前方の位置に移動している。この状態では、可動カバー部64は固定カバー部62に対して閉じられている。また、この状態では、操作部材72の当接部72fは、可動カバー部64の前方の端部よりも前方の位置に配置されている。
【0042】
図9に示すように、操作部材72の当接部72fに後ろ向きの外力が作用して、弾性部材74の付勢力に抗して操作部材72が固定カバー部62に対して後方の位置に移動すると、可動カバー部64のカム突起64c、64dも後方に向けて移動することで、可動カバー部64が固定カバー部62に対して開く方向に回動する。このように、本実施例の集塵カバー2では、弾性部材74の付勢力に抗して操作部材72を後方に押し込むことで、可動カバー部64を固定カバー部62に対して開く方向に回動させることができる。
【0043】
図10に示すように、グラインダ4を用いて、壁面Wの近傍の床面Fを研削する場合がある。このような場合に、本実施例の集塵カバー2では、操作部材72の当接部72fを壁面Wに当接させた状態で、グラインダ4を壁面Wに向けて押し込むことで、壁面Wから当接部72fに操作部材72を後方に押し込む外力を作用させる。これによって、
図11に示すように、可動カバー部64が固定カバー部62に対して開く方向に回動し、ダイヤモンドカップ6を部分的に露出させることができる。壁面Wの近傍の床面Fをダイヤモンドカップ6によって研削することができる。なお、壁面Wを利用する代わりに、ユーザが操作部材72の当接部72fを掴んで後方に押し込むことによっても、可動カバー部64が固定カバー部62に対して開く方向に回動し、ダイヤモンドカップ6を部分的に露出させることができる。
【0044】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ4(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されるベベルギヤ34(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ34を収容するハウジング48と、ベベルギヤ34に接続されており、ダイヤモンドカップ6(先端工具の例)を保持するスピンドル32(先端工具保持部の例)と、ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆う集塵カバー2(カバーの例)を備えている。集塵カバー2は、ハウジング48に対して固定された固定カバー部62と、固定カバー部62に対して移動可能な可動カバー部64と、可動カバー部64と機械的に連結しており、可動カバー部64を固定カバー部62に対して移動させる操作部材72を備えている。
【0045】
1つまたはそれ以上の実施形態において、集塵カバー2は、モータ14と、モータ14に接続されるベベルギヤ34と、モータ14およびベベルギヤ34を収容するハウジング48と、ベベルギヤ34に接続されており、ダイヤモンドカップ6を保持するスピンドル32を備えるグラインダ4(電動工具の例)に、ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆うように取り付けられる。集塵カバー2は、ハウジング48に対して固定された固定カバー部62と、固定カバー部62に対して移動可能な可動カバー部64と、可動カバー部64と機械的に連結しており、可動カバー部64を固定カバー部62に対して移動させる操作部材72を備えている。
【0046】
上記のグラインダ4や、上記の集塵カバー2によれば、ユーザは、可動カバー部64を掴むことなく、操作部材72を操作することによって、可動カバー部64を固定カバー部62に対して移動させることができる。このため、ダイヤモンドカップ6が駆動している時に、可動カバー部64を移動させようとする場合でも、可動カバー部64の近傍で駆動しているダイヤモンドカップ6にユーザの手を近づけることなく、可動カバー部64を移動させることができる。上記のグラインダ4や、上記の集塵カバー2によれば、ユーザの安全性を向上することができる。
【0047】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材72は、可動カバー部64およびダイヤモンドカップ6よりも先に壁面W(障害物の例)に当接する当接部72fを備えている。当接部72fが壁面Wによって押し込まれた時に、可動カバー部64は固定カバー部62に対して、ダイヤモンドカップ6を露出させる方向に移動する。
【0048】
上記の構成によれば、例えば壁面W等の障害物の近傍で、例えば床面F等のワークに対して作業をする際に、当接部72fを障害物に押し付けることによって、可動カバー部64を固定カバー部62に対して移動させて、ダイヤモンドカップ6を露出させることができる。操作部材72に手を触れることなく、可動カバー部64を固定カバー部62に対して移動させることができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0049】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材72をユーザが手で操作することによって、可動カバー部64が固定カバー部62に対して、ダイヤモンドカップ6を露出させる方向に移動する。
【0050】
上記の構成によれば、ユーザがダイヤモンドカップ6を露出させたい場合に、自身の手で操作部材72を操作することで、可動カバー部64を固定カバー部62に対して移動させて、ダイヤモンドカップ6を露出させることができる。
【0051】
1つまたはそれ以上の実施形態において、集塵カバー2は、可動カバー部64が固定カバー部62に対して、ダイヤモンドカップ6を覆う方向に移動するように、操作部材72を付勢する弾性部材74(付勢部材の例)をさらに備えている。
【0052】
上記の構成によれば、操作部材72に対して外力が作用していない場合に、弾性部材74の付勢力によって、可動カバー部64が固定カバー部62に対して移動して、ダイヤモンドカップ6が覆われる。上記の構成によれば、ダイヤモンドカップ6が露出した状態のまま放置されることがないので、ユーザの安全性をより向上することができる。
【0053】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ダイヤモンドカップ6は、ハウジング48に対して回転軸周りに回転可能である。操作部材72は、固定カバー部62に対してダイヤモンドカップ6の回転軸に略直交するスライド方向(例えば前後方向)に沿って移動可能である。
【0054】
ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆う集塵カバー2は、ダイヤモンドカップ6の回転軸に直交する方向(前後方向および左右方向)に広がりのある形状を有している。上記の構成によれば、操作部材72の移動方向を、集塵カバー2の外形形状に沿った方向とすることができ、集塵カバー2を小型化することができる。
【0055】
1つまたはそれ以上の実施形態において、可動カバー部64は、固定カバー部62に対してダイヤモンドカップ6の回転軸および操作部材72のスライド方向に略直交する回動軸(例えば左右方向)周りに回動可能である。
【0056】
上記の構成によれば、可動カバー部64を固定カバー部62に対して回動させた時に、可動カバー部64がダイヤモンドカップ6やワークから遠ざかる方向に移動するので、可動カバー部64が作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0057】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材72および可動カバー部64の一方(例えば操作部材72)は、カム溝72g,72hを備えている。操作部材72および可動カバー部64の他方(例えば可動カバー部64)は、カム溝72g,72hの内部を摺動可能なカム突起64c,64dを備えている。操作部材72を固定カバー部62に対してスライド方向に移動させると、可動カバー部64が回動軸周りに回動する。
【0058】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、操作部材72の移動に連動した可動カバー部64の回動を実現することができる。
【0059】
(実施例2)
本実施例の集塵カバー102は、実施例1の集塵カバー2と同様に、グラインダ4に取り付けて使用される。以下では本実施例の集塵カバー102について、実施例1の集塵カバー2と相違する点のみについて詳細に説明する。
【0060】
図12、
図13に示すように、本実施例の集塵カバー102では、カバー本体54が、固定カバー部104と、第1可動カバー部106と、第2可動カバー部108と、カバー開閉機構110を備えている。固定カバー部104は、ベース52の下方に配置されている。固定カバー部104は、締結具112a、112b、112cを介して、ベース52のベースプレート60に固定されている。また、ノズル56は、固定カバー部104と一体的に形成されている。ノズル56の内部の空間は、固定カバー部104の内側の空間と連通している。
【0061】
第1可動カバー部106と、第2可動カバー部108は、固定カバー部104の前方に配置されている。固定カバー部104と、第1可動カバー部106と、第2可動カバー部108は、互いに組み合わされた時に皿型の形状となるように形成されている。固定カバー部104の外縁下方と、第1可動カバー部106の外縁下方と、第2可動カバー部108の外縁下方には、集塵ブラシ70(
図13参照)が設けられている。グラインダ4によってワークを研削する際には、固定カバー部104と、第1可動カバー部106と、第2可動カバー部108と、集塵ブラシ70によって、ダイヤモンドカップ6の周囲が覆われる。
【0062】
図14に示すように、カバー開閉機構110は、操作部材114と、弾性部材116を備えている。操作部材114は、上方から平面視した時に略長方形状を有する略平板枠状の部材である。操作部材114は、後方中央の上面に形成された突起114aと、前後方向に長手方向を有する長孔114b、114cと、前方端部に形成された当接部114dと、左右方向に長手方向を有する長孔であるカム溝114e、114fを備えている。固定カバー部104の上面には、締結具112a、112b、112cを受け入れるボス104a、104b、104cが形成されている。操作部材114を固定カバー部104に取り付けた状態では、固定カバー部104のボス104bが操作部材114の長孔114bを貫通しており、かつ固定カバー部104のボス104cが操作部材114の長孔114cを貫通している。ボス104bは長孔114bの内部を前後方向に摺動可能であり、ボス104cは長孔114cの内部を前後方向に摺動可能である。これによって、操作部材114は、固定カバー部104に対して、前後方向に移動可能に支持されている。
【0063】
固定カバー部104の上面には、突起104dが形成されている。弾性部材116は、例えば引張ばねであって、固定カバー部104の突起104dと操作部材114の突起114aの間を接続している。弾性部材116は、操作部材114を固定カバー部104に対して前方に向けて付勢する。
【0064】
図15に示すように、第1可動カバー部106は、略円環状に形成された円環部106aと、第1可動カバー部106の上面に形成されたカム突起106bを備えている。
図16に示すように、第2可動カバー部108は、略円環状に形成された円環部108aと、第2可動カバー部108の上面に形成されたカム突起108bを備えている。
図14に示すように、固定カバー部104の上面には、第1可動カバー部106の円環部106aおよび第2可動カバー部108の円環部108aに対応して、略円筒状に上方に突出する円筒部104eが形成されている。第1可動カバー部106と第2可動カバー部108は、固定カバー部104の円筒部104eに第2可動カバー部108の円環部108aを取り付け、その後に固定カバー部104の円筒部104eに第1可動カバー部106の円環部106aを取り付けることで、固定カバー部104に対して取り付けられている。第1可動カバー部106と第2可動カバー部108を固定カバー部104に取り付けた状態では、円筒部104eが円環部106aと円環部108aを回動可能に保持する。従って、第1可動カバー部106と第2可動カバー部108を固定カバー部104に取り付けた状態では、第1可動カバー部106と第2可動カバー部108は、互いに干渉しない範囲で、円筒部104eの軸方向(すなわち上下方向)を回動軸として、固定カバー部104に対して回動可能である。なお、固定カバー部104の上面には、第1可動カバー部106の回動範囲を規制するストッパ104f、104gと、第2可動カバー部108の回動範囲を規制するストッパ104h、104iが形成されている。第1可動カバー部106は、ストッパ104f、104gと干渉しない範囲で、固定カバー部104に対して回動可能である。第2可動カバー部108は、ストッパ104h、104iと干渉しない範囲で、固定カバー部104に対して回動可能である。
図16に示すように、第2可動カバー部108には、ノズル56との干渉を回避するための切り欠き108cが形成されている。
【0065】
図14に示すように、第1可動カバー部106と、第2可動カバー部108と、操作部材114を固定カバー部104に取り付けた状態では、第1可動カバー部106のカム突起106bは、操作部材114のカム溝114eに入り込んでおり、第2可動カバー部108のカム突起108bは、操作部材114のカム溝114fに入り込んでいる。カム突起106b、108bは、カム溝114e、114fの内部を左右方向に摺動可能である。
【0066】
操作部材114の当接部114dに外力が作用していない状態では、弾性部材116の付勢力によって、操作部材114は固定カバー部104に対して前方の位置に移動している。この状態では、第1可動カバー部106と第2可動カバー部108は、固定カバー部104に対して閉じられている。また、この状態では、操作部材114の当接部114dは、第1可動カバー部106の前方の端部および第2可動カバー部108の前方の端部よりも前方の位置に配置されている。
【0067】
図17に示すように、操作部材114の当接部114dに後ろ向きの外力が作用して、弾性部材116の付勢力に抗して操作部材114が固定カバー部104に対して後方の位置に移動すると、第1可動カバー部106のカム突起106bと、第2可動カバー部108のカム突起108bも後方に向けて移動することで、第1可動カバー部106と第2可動カバー部108が固定カバー部104に対して開く方向に回動する。このように、本実施例の集塵カバー102では、弾性部材116の付勢力に抗して操作部材114を後方に押し込むことで、第1可動カバー部106と第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して開く方向に回動させることができる。
【0068】
図18に示すように、グラインダ4を用いて、壁面Wの近傍の床面Fを研削する場合がある。このような場合に、本実施例の集塵カバー102では、操作部材114の当接部114dを壁面Wに当接させた状態で、グラインダ4を壁面Wに向けて押し込むことで、壁面Wから当接部114dに操作部材114を後方に押し込む外力を作用させる。これによって、
図19に示すように、第1可動カバー部106と第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して開く方向に回動し、ダイヤモンドカップ6を部分的に露出させることができる。壁面Wの近傍の床面Fをダイヤモンドカップ6によって研削することができる。なお、壁面Wを利用する代わりに、ユーザが操作部材114の当接部114dを掴んで後方に押し込むことによっても、第1可動カバー部106と第2可動カバー部108が固定カバー部104に対して開く方向に回動し、ダイヤモンドカップ6を部分的に露出させることができる。
【0069】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ4(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されるベベルギヤ34(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ34を収容するハウジング48と、ベベルギヤ34に接続されており、ダイヤモンドカップ6(先端工具の例)を保持するスピンドル32(先端工具保持部の例)と、ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆う集塵カバー102(カバーの例)を備えている。集塵カバー102は、ハウジング48に対して固定された固定カバー部104と、固定カバー部104に対して移動可能な第1可動カバー部106、第2可動カバー部108(可動カバー部の例)と、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108と機械的に連結しており、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して移動させる操作部材114を備えている。
【0070】
1つまたはそれ以上の実施形態において、集塵カバー102は、モータ14と、モータ14に接続されるベベルギヤ34と、モータ14およびベベルギヤ34を収容するハウジング48と、ベベルギヤ34に接続されており、ダイヤモンドカップ6を保持するスピンドル32を備えるグラインダ4に、ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆うように取り付けられる。集塵カバー102は、ハウジング48に対して固定された固定カバー部104と、固定カバー部104に対して移動可能な第1可動カバー部106、第2可動カバー部108と、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108と機械的に連結しており、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して移動させる操作部材114を備えている。
【0071】
上記のグラインダ4や、上記の集塵カバー102によれば、ユーザは、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を掴むことなく、操作部材114を操作することによって、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して移動させることができる。このため、ダイヤモンドカップ6が駆動している時に、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を移動させようとする場合でも、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108の近傍で駆動しているダイヤモンドカップ6にユーザの手を近づけることなく、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を移動させることができる。上記のグラインダ4や、上記の集塵カバー102によれば、ユーザの安全性を向上することができる。
【0072】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材114は、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108およびダイヤモンドカップ6よりも先に壁面W(障害物の例)に当接する当接部114dを備えている。当接部114dが壁面Wによって押し込まれた時に、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108は固定カバー部104に対して、ダイヤモンドカップ6を露出させる方向に移動する。
【0073】
上記の構成によれば、例えば壁面W等の障害物の近傍で、例えば床面F等のワークに対して作業をする際に、当接部114dを障害物に押し付けることによって、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して移動させて、ダイヤモンドカップ6を露出させることができる。操作部材114に手を触れることなく、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して移動させることができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0074】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材114をユーザが手で操作することによって、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108が固定カバー部104に対して、ダイヤモンドカップ6を露出させる方向に移動する。
【0075】
上記の構成によれば、ユーザがダイヤモンドカップ6を露出させたい場合に、自身の手で操作部材114を操作することで、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108が固定カバー部104に対して移動させて、ダイヤモンドカップ6を露出させることができる。
【0076】
1つまたはそれ以上の実施形態において、集塵カバー102は、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108が固定カバー部104に対して、ダイヤモンドカップ6を覆う方向に移動するように、操作部材114を付勢する弾性部材116(付勢部材の例)をさらに備えている。
【0077】
上記の構成によれば、操作部材114に対して外力が作用していない場合に、弾性部材116の付勢力によって、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108が固定カバー部104に対して移動して、ダイヤモンドカップ6が覆われる。上記の構成によれば、ダイヤモンドカップ6が露出した状態のまま放置されることがないので、ユーザの安全性をより向上することができる。
【0078】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ダイヤモンドカップ6は、ハウジング48に対して回転軸周りに回転可能である。操作部材114は、固定カバー部104に対してダイヤモンドカップ6の回転軸に略直交するスライド方向(例えば前後方向)に沿って移動可能である。
【0079】
ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆う集塵カバー102は、ダイヤモンドカップ6の回転軸に直交する方向(前後方向および左右方向)に広がりのある形状を有している。上記の構成によれば、操作部材114の移動方向を、集塵カバー102の外形形状に沿った方向とすることができ、集塵カバー102を小型化することができる。
【0080】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108は、固定カバー部104に対してダイヤモンドカップ6の回転軸に略平行な(例えば上下方向に伸びる)回動軸周りに回動可能である。
【0081】
上記の構成によれば、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108を固定カバー部104に対して回動させた時に、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108がダイヤモンドカップ6やワークから遠ざかる方向に移動するので、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108が作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0082】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材114および第1可動カバー部106、第2可動カバー部108の一方(例えば操作部材114)は、カム溝114e,114fを備えている。操作部材114および第1可動カバー部106、第2可動カバー部108の他方(例えば第1可動カバー部106、第2可動カバー部108)は、カム溝114e,114fの内部を摺動可能なカム突起106b,106cを備えている。操作部材114を固定カバー部104に対してスライド方向に移動させると、第1可動カバー部106、第2可動カバー部108が回動軸周りに回動する。
【0083】
上記の構成によれば、簡素な構成によって、操作部材114の移動に連動した第1可動カバー部106、第2可動カバー部108の回動を実現することができる。
【0084】
(実施例3)
本実施例の集塵カバー202は、実施例1の集塵カバー2と同様に、グラインダ4に取り付けて使用される。以下では本実施例の集塵カバー202について、実施例1の集塵カバー2と相違する点のみについて詳細に説明する。
【0085】
図21、
図22に示すように、本実施例の集塵カバー202では、カバー本体54が、固定カバー部204と、可動カバー部206と、カバー開閉機構208を備えている。固定カバー部204は、ベース52の下方に配置されている。固定カバー部204は、締結具210a、210b、210c、210dを介して、ベース52のベースプレート60に固定されている。また、ノズル56は、固定カバー部204と一体的に形成されている。ノズル56の内部の空間は、固定カバー部204の内側の空間と連通している。
【0086】
可動カバー部206は、固定カバー部204の前方に配置されている。固定カバー部204は、下方から平面視した時に外縁が略U字形状を有しており、下方および前方が開口した箱状の形状を有している。可動カバー部206は、固定カバー部204の前方の開口を閉塞する略平板状の蓋形状を有している。固定カバー部204の外縁下方と、可動カバー部206の下方には、集塵ブラシ70(
図21参照)が設けられている。グラインダ4によってワークを研削する際には、固定カバー部204と、可動カバー部206と、集塵ブラシ70によって、ダイヤモンドカップ6の周囲が覆われる。
【0087】
図22に示すように、カバー開閉機構208は、操作部材212と、弾性部材214を備えている。操作部材212は、固定カバー部204の前方上面に沿った形状を有する基部212aと、基部212aに形成されており、前後方向に長手方向を有する長孔212b、212cと、左右方向に長手方向を有する回動シャフト212dと、回動シャフト212dを介して可動カバー部206の上方端部と連結した保持部212eと、固定カバー部204の左右方向の端面の外側に伸びる側壁部212f、212gと、側壁部212f、212gから後方に向けて伸びるアーム部212h、212iを備えている。
【0088】
図23に示すように、側壁部212fの内側には、前後方向に長手方向を有するガイド突起214aが形成されている。また、側壁部212fから伸びるアーム部212hの内側には、上下方向に長手方向を有する係合突起216aが形成されている。なお、側壁部212fおよびアーム部212hと、側壁部212gおよびアーム部212iは、集塵カバー202の中央を挟んで左右対称な形状を有している。すなわち、側壁部212gの内側には、前後方向に長手方向を有するガイド突起214bが形成されている。また、側壁部212gから伸びるアーム部212iの内側には、上下方向に長手方向を有する係合突起216bが形成されている。
【0089】
図24に示すように、固定カバー部204の左方向の端面には、ガイド突起214aに対応して、前後方向に長手方向を有するガイド溝218aが形成されている。また、固定カバー部204の左方向の端面には、係合突起216aに対応して、上下方向に長手方向を有する第1係合溝220aと第2係合溝222aが形成されている。第1係合溝220aは、第2係合溝222aよりも前方の位置に配置されている。なお、同様に、固定カバー部204の右方向の端面には、ガイド突起214bに対応して、前後方向に長手方向を有するガイド溝218bが形成されている。また、固定カバー部204の右方向の端面には、係合突起216bに対応して、上下方向に長手方向を有する第1係合溝220bと第2係合溝222bが形成されている。第1係合溝220bは、第2係合溝222bよりも前方の位置に配置されている。
【0090】
図22に示すように、固定カバー部204の上面には、締結具210a、210b、210c、210dを受け入れるボス204a、204b、204c、204dが形成されている。操作部材212を固定カバー部204に取り付けた状態では、固定カバー部204のボス204aが操作部材212の長孔212bを貫通しており、かつ固定カバー部204のボス204bが操作部材212の長孔212cを貫通している。ボス204aは長孔212bの内部を前後方向に摺動可能であり、ボス204bは長孔212cの内部を前後方向に摺動可能である。また、操作部材212を固定カバー部204に取り付けた状態では、操作部材212のガイド突起214a(
図23参照)が、固定カバー部204のガイド溝218a(
図24参照)に入り込み、かつ操作部材212のガイド突起214bが、固定カバー部204のガイド溝218bに入り込んでいる。ガイド突起214aはガイド溝218aの内部を前後方向に摺動可能であり、ガイド突起214bはガイド溝218bの内部を前後方向に摺動可能である。これによって、操作部材212は、固定カバー部204に対して、前後方向に移動可能に支持されている。
【0091】
操作部材212を固定カバー部204に取り付けた状態では、操作部材212の係合突起216a、216b(
図23参照)を、固定カバー部204の第1係合溝220a、220b(
図24参照)または第2係合溝222a、222b(
図24参照)に係合させることで、操作部材212を固定カバー部204に対して固定することができる。以下では、操作部材212の係合突起216a、216bを、固定カバー部204の第1係合溝220a、220bに係合させた時の操作部材212の位置を前進位置ともいい、操作部材212の係合突起216a、216bを、固定カバー部204の第2係合溝222a、222bに係合させた時の操作部材212の位置を後退位置ともいう。なお、操作部材212には、後退位置まで移動した時にノズル56と干渉しないように、切り欠き212jが形成されている。
【0092】
図20に示すように、弾性部材214は、例えば捩りばねであって、操作部材212に対して可動カバー部206を閉じる方向に付勢している。操作部材212が前進位置にある場合には、可動カバー部206は、弾性部材214の付勢力によって、固定カバー部204に対して閉じられている。
【0093】
この状態から、操作部材212の係合突起216a、216bを、固定カバー部204の第1係合溝220a、220bから離脱させて、操作部材212を固定カバー部204に対して後方に移動させると、可動カバー部206の上方端部が操作部材212と一体的に後方に移動する。可動カバー部206の後方端面が、固定カバー部204の前方端面に当接して、可動カバー部206は上方の回動シャフト212dの軸方向周りに開く方向に回動しながら、固定カバー部204の上面に乗り上げる。
図25に示すように、操作部材212を後退位置まで移動させて、操作部材212の係合突起216a、216bを、固定カバー部204の第2係合溝222a、222bに係合させると、可動カバー部206は完全に開いた状態となる。
【0094】
図26に示すように、操作部材212が前進位置にある場合、ダイヤモンドカップ6は、集塵カバー202によって、周囲を覆われている。これに対して、
図27に示すように、操作部材212が後退位置にある場合には、ダイヤモンドカップ6は、集塵カバー202から部分的に露出する。
【0095】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ4(電動工具の例)は、モータ14と、モータ14に接続されるベベルギヤ34(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ34を収容するハウジング48と、ベベルギヤ34に接続されており、ダイヤモンドカップ6(先端工具の例)を保持するスピンドル32(先端工具保持部の例)と、ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆う集塵カバー202(カバーの例)を備えている。集塵カバー202は、ハウジング48に対して固定された固定カバー部204と、固定カバー部204に対して移動可能な可動カバー部206と、可動カバー部206と機械的に連結しており、可動カバー部206を固定カバー部204に対して移動させる操作部材212を備えている。
【0096】
1つまたはそれ以上の実施形態において、集塵カバー202は、モータ14と、モータ14に接続されるベベルギヤ34と、モータ14およびベベルギヤ34を収容するハウジング48と、ベベルギヤ34に接続されており、ダイヤモンドカップ6を保持するスピンドル32を備えるグラインダ4に、ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆うように取り付けられる。集塵カバー202は、ハウジング48に対して固定された固定カバー部204と、固定カバー部204に対して移動可能な可動カバー部206と、可動カバー部206と機械的に連結しており、可動カバー部206を固定カバー部204に対して移動させる操作部材212を備えている。
【0097】
上記のグラインダ4や、上記の集塵カバー202によれば、ユーザは、可動カバー部206を掴むことなく、操作部材212を操作することによって、可動カバー部206を固定カバー部204に対して移動させることができる。このため、ダイヤモンドカップ6が駆動している時に、可動カバー部206を移動させようとする場合でも、可動カバー部206の近傍で駆動しているダイヤモンドカップ6にユーザの手を近づけることなく、可動カバー部206を移動させることができる。上記のグラインダ4や、上記の集塵カバー202によれば、ユーザの安全性を向上することができる。
【0098】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材212をユーザが手で操作することによって、可動カバー部206が固定カバー部204に対して、ダイヤモンドカップ6を露出させる方向に移動する。
【0099】
上記の構成によれば、ユーザがダイヤモンドカップ6を露出させたい場合に、自身の手で操作部材212を操作することで、可動カバー部206を固定カバー部204に対して移動させて、ダイヤモンドカップ6を露出させることができる。
【0100】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ダイヤモンドカップ6は、ハウジング48に対して回転軸周りに回転可能である。操作部材212は、固定カバー部204に対してダイヤモンドカップ6の回転軸に略直交するスライド方向(例えば前後方向)に沿って移動可能である。
【0101】
ダイヤモンドカップ6の少なくとも一部を覆う集塵カバー202は、ダイヤモンドカップ6の回転軸に直交する方向(前後方向および左右方向)に広がりのある形状を有している。上記の構成によれば、操作部材212の移動方向を、集塵カバー202の外形形状に沿った方向とすることができ、集塵カバー202を小型化することができる。
【0102】
1つまたはそれ以上の実施形態において、可動カバー部206は、固定カバー部204に対してダイヤモンドカップ6の回転軸および操作部材212のスライド方向に略直交する回動軸(例えば左右方向)周りに回動可能である。
【0103】
上記の構成によれば、可動カバー部206を固定カバー部204に対して回動させた時に、可動カバー部206がダイヤモンドカップ6やワークから遠ざかる方向に移動するので、可動カバー部206が作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0104】
上記の各実施例では、電動工具がグラインダ4であり、先端工具がダイヤモンドカップ6であり、先端工具保持部がスピンドル32であり、カバーが集塵カバー2,102,202である場合を例として説明したが、電動工具は他の種類の電動工具であってもよいし、先端工具は他の種類の先端工具であってもよいし、先端工具保持部は他の種類の先端工具保持部であってもよいし、カバーは他の種類のカバーであってもよい。また、上記の各実施例では、電動工具であるグラインダ4が、電源コード24から交流電力を供給されて動作する構成について説明したが、これとは異なり、電動工具であるグラインダ4は、本体ハウジング8に取り付けられたバッテリから直流電力を供給されて動作する構成としてもよい。
【0105】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。