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特許6983183インテリジェント圧力波保護システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983183
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】インテリジェント圧力波保護システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20211206BHJP
   B61D 49/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B61L23/00 Z
   B61D49/00 Z
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-569025(P2018-569025)
(86)(22)【出願日】2018年12月3日
(65)【公表番号】特表2020-530416(P2020-530416A)
(43)【公表日】2020年10月22日
(86)【国際出願番号】CN2018118991
(87)【国際公開番号】WO2020010787
(87)【国際公開日】20200116
【審査請求日】2018年12月26日
(31)【優先権主張番号】201810760796.9
(32)【優先日】2018年7月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518460864
【氏名又は名称】新誉軌道交通科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】New United Rail Transit Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】馬麗麗
(72)【発明者】
【氏名】仲啓端
(72)【発明者】
【氏名】秦海剛
(72)【発明者】
【氏名】杜暁青
(72)【発明者】
【氏名】陳▲シン▼鐸
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−215885(JP,A)
【文献】 特開2005−205947(JP,A)
【文献】 特開2005−225239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インテリジェント圧力波保護システムであって、
マスタモジュールと、内部通信モジュールと、測位モジュールとを有し、
前記内部通信モジュールが前記マスタモジュールと接続し、前記測位モジュールが前記内部通信モジュールと接続し、
前記測位モジュールは、列車の位置を特定し、位置情報を前記内部通信モジュールを介して前記マスタモジュールへ送信するように構成され、
前記マスタモジュールは、前記位置情報を取得し、前記位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、前記インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成され、
前記マスタモジュールと接続される記憶モジュールをさらに有し、
前記記憶モジュールには、前記列車の複数の運行路線、各前記運行路線の地理情報及び各前記運行路線の前記起動エリアが記憶され、そのうち、各前記起動エリアにおいてそれぞれ1つの起動ポジションを有し、
前記マスタモジュールと接続される列車ネットワーク通信モジュールをさらに有し、
前記列車ネットワーク通信モジュールは、地面信号システムと接続し、前記地面信号システムからのトンネル進入信号を受信し、前記トンネル進入信号を前記マスタモジュールへ送信するように構成され、
前記マスタモジュールは、さらに、前記トンネル進入信号を受信し、起動信号を生成して、前記インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成され、
前記マスタモジュールと接続される学習モジュールをさらに有し、
前記学習モジュールは、前記マスタモジュールにより前記起動信号が生成されたとき、前記列車の現在の前記運行路線における位置を記録し、前記位置に基づいて前記運行路線の起動ポジション及び前記起動ポジションが位置する起動エリアをマーキングするように構成される
ことを特徴とするインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項2】
前記測位モジュールは、前記列車の前進方向の先頭車両の先端に設置されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項3】
前記起動ポジションが、前記列車の現在の前記運行路線の走行方向における、最寄りトンネルの入口から規定距離を離間する位置に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項4】
前記マスタモジュールは、演算ユニットと、判断ユニットとを有し、
前記マスタモジュールは前記位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するステップは、
前記演算ユニットは、前記位置と前記起動ポジションとの距離を計算し、前記距離を前記判断ユニットへ送信するステップと、
前記判断ユニットは、前記距離が前記起動ポジションから前記起動エリアの境界までの距離より短いか否かを判断し、YESの場合、前記位置が予め記憶された起動エリアにあると判断するステップとを含む
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項5】
前記演算ユニットは、前記位置の経緯度及び前記起動ポジションの経緯度に基づいて前記距離を計算するように構成されることを特徴とする請求項4に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項6】
前記マスタモジュールは、プロセッサーを中心とする組み込み式プラットフォームと、複数のインターフェースユニットとを含み、標準的なシリアルインターフェースを介して前記内部通信モジュールと通信接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項7】
前記内部通信モジュールと接続される圧力差センサーをさらに有し、前記圧力差センサーは、前記列車内外の圧力波信号を検出し、前記圧力波信号を前記内部通信モジュールを介して前記マスタモジュールへ送信するように構成され、
前記マスタモジュールは、さらに、前記圧力波信号を受信し、前記圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたとき、起動信号を生成し、前記インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項8】
前記内部通信モジュールと接続される圧力センサーをさらに有し、前記圧力センサーは、前記列車内外の圧力波信号を検出し、前記圧力波信号を前記内部通信モジュールを介して前記マスタモジュールへ送信するように構成され、
前記マスタモジュールは、さらに、前記圧力波信号を受信し、前記圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたとき、起動信号を生成し、前記インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成される
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項9】
前記内部通信モジュールは、前記測位モジュールからの通信信号を受信したか否かを判断し、判断結果を前記マスタモジュールへ送信するように構成される状態判断ユニットを有し、
前記マスタモジュールは、さらに、前記判断結果に基づいて前記測位モジュールの作動状態を判断するように構成される
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項10】
前記マスタモジュールは、第1判断ユニットと第2判断ユニットとを有し、
前記第1判断ユニットは、前記マスタモジュールにより前記測位モジュールの作動状態が正常状態であると判断されたとき、第1起動条件を用いて前記インテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、
前記第2判断ユニットは、前記マスタモジュールにより前記測位モジュールの作動状態が異常状態であると判断されたとき、第2起動条件を用いて前記インテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、
前記第1起動条件は、前記位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するものであり、前記第2起動条件は、前記圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたか否かを判断するものである
ことを特徴とする請求項9に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項11】
前記マスタモジュールは、第1判断ユニットと第2判断ユニットとを有し、
前記第1判断ユニットは、前記マスタモジュールにより前記測位モジュールの作動状態が正常状態であると判断されたとき、第1起動条件を用いて前記インテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、
前記第2判断ユニットは、前記マスタモジュールにより前記測位モジュールの作動状態が異常状態であると判断されたとき、第2起動条件を用いて前記インテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、
前記第1起動条件は、前記位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するものであり、前記第2起動条件は、前記マスタモジュールが前記トンネル進入信号を受信したか否かを判断するものである
ことを特徴とする請求項9に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項12】
前記測位モジュールは、北斗測位モジュール、GPS測位モジュール及び北斗GPS結合測位モジュールのうちの1つ又は複数を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のインテリジェント圧力波保護システム。
【請求項13】
マスタモジュールと、内部通信モジュールと、測位モジュールとを有し、前記内部通信モジュール及び記憶モジュールが何れも前記マスタモジュールと接続し、前記測位モジュールが前記内部通信モジュールと接続するように構成される請求項1〜12のいずれか1項に記載のインテリジェント圧力波保護システムに適用されるインテリジェント圧力波保護方法であって
前記測位モジュールは、列車の位置を特定し、位置情報を前記内部通信モジュールを介して前記マスタモジュールへ送信するステップと、
前記マスタモジュールは、前記位置情報を取得し、前記位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、前記インテリジェント圧力波保護システムを起動させるステップとを含み、
前記インテリジェント圧力波保護システムは、前記マスタモジュールと接続される列車ネットワーク通信モジュールをさらに有し、
前記方法は、
前記列車ネットワーク通信モジュールが、地面信号システムからのトンネル進入信号を受信し、前記トンネル進入信号を前記マスタモジュールへ送信するステップと、
前記マスタモジュールが、前記トンネル進入信号を受信し、起動信号を生成して、前記インテリジェント圧力波保護システムを起動させるステップと
をさらに含み、
前記インテリジェント圧力波保護システムは、前記マスタモジュールと接続される学習モジュールをさらに有し、
前記方法は、
前記学習モジュールが、前記マスタモジュールにより前記起動信号が生成されたとき、前記列車の現在の前記運行路線における位置を記録し、前記位置に基づいて前記運行路線の起動ポジション及び前記起動ポジションが位置する起動エリアをマーキングするステップ
をさらに含む
ことを特徴とするインテリジェント圧力波保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の交互引用
本出願は、2018年07月12日に中国専利局に提出した出願番号が2018107607969であり、名称が「インテリジェント圧力波保護システム及びその方法」である中国特許出願に基づいて優先権を主張する。
【0002】
本発明は、車両の圧力波保護の技術分野に属し、具体的に、インテリジェント圧力波保護システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、車両、特に列車(例えば普通列車又は動車組等の高速列車)が高速にトンネルを出入るとき、又は列車がすれ違うとき、車外の圧力変動が大きいため、車外の圧力変動が車内に伝われて、車内の乗客に不快感が与えられ、ひどくなる場合、耳ツン現象が引き起こされるようになる。車内の圧力の変動を抑え、乗車の快適性を向上させるため、車両には、圧力変動の伝達を抑制するための圧力波保護システムが必要である。
【0004】
従来技術において、圧力差センサーを用いて列車内外の圧力差を検出することにより圧力波保護システムを起動させることが多いが、圧力差の検出感度が低いため、列車が高速に走行する最中に、圧力波保護システムの起動が遅れる場合があるので、乗車の快適性及びユーザー体験を損なった。
【0005】
上記のような、圧力差の検出感度が低くて、乗車の快適性及びユーザー体験を損なうような技術問題に対して、効果的な解決手段がなかった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、例えば、上記の乗車の快適性及びユーザー体験を向上させる技術問題を解決できるインテリジェント圧力波保護システムを提供することを目的としている。
【0007】
本発明は、例えば、上記の乗車の快適性及びユーザー体験を向上させる技術問題を解決できるインテリジェント圧力波保護方法をさらに提供することを目的としている。
【0008】
本発明の実施例は、以下のように実現される。
【0009】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュールと、内部通信モジュールと、測位モジュールとを有し、内部通信モジュールがマスタモジュールと接続し、測位モジュールが内部通信モジュールと接続し、測位モジュールは、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュールを介してマスタモジュールへ送信するように構成され、マスタモジュールは、位置情報を取得し、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成される。
【0010】
測位モジュールは、列車の前進方向の先頭車両の先端に設置されるように構成されることが好ましい。
【0011】
本発明のインテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュールと接続される記憶モジュールをさらに有し、記憶モジュールには、列車の複数の運行路線、各運行路線の地理情報及び各運行路線の起動エリアが記憶され、そのうち、各起動エリアにおいてそれぞれ1つの起動ポジションを有することが好ましい。
【0012】
起動ポジションが、列車の現在の運行路線の走行方向における、最寄りトンネルの入口から規定距離を離間する位置に設定されることが好ましい。
【0013】
本発明において、マスタモジュールは、演算ユニットと、判断ユニットとを有し、マスタモジュールは位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するステップは、演算ユニットは位置と起動ポジションとの距離を計算し、距離を判断ユニットへ送信するステップと、判断ユニットは距離が起動ポジションから起動エリアの境界までの距離より短いか否かを判断し、YESの場合、位置が予め記憶された起動エリアにあると判断するステップとを含むことが好ましい。
【0014】
演算ユニットは、位置の経緯度及び起動ポジションの経緯度に基づいて距離を計算するように構成されることが好ましい。
【0015】
マスタモジュールは、プロセッサーを中心とする組み込み式プラットフォームと、複数のインターフェースユニットとを含み、標準的なシリアルインターフェースを介して内部通信モジュールと通信接続することが好ましい。
【0016】
本発明において、インテリジェント圧力波保護システムは、内部通信モジュールと接続される圧力差センサーをさらに有し、圧力差センサーは、列車内外の圧力波信号を検出し、圧力波信号を内部通信モジュールを介してマスタモジュールへ送信するように構成され、マスタモジュールは、さらに、圧力波信号を受信し、圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたとき、起動信号を生成し、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成されることが好ましい。
【0017】
インテリジェント圧力波保護システムは、内部通信モジュールと接続される圧力センサーをさらに有し、圧力センサーは、列車内外の圧力波信号を検出し、圧力波信号を内部通信モジュールを介してマスタモジュールへ送信するように構成され、マスタモジュールは、さらに、圧力波信号を受信し、圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたとき、起動信号を生成し、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成されることが好ましい。
【0018】
本発明において、インテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュールと接続される列車ネットワーク通信モジュールをさらに有し、列車ネットワーク通信モジュールは、地面信号システムと接続し、地面信号システムからのトンネル進入信号を受信し、トンネル進入信号をマスタモジュールへ送信するように構成され、マスタモジュールは、さらに、トンネル進入信号を受信し、起動信号を生成して、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成されることが好ましい。
【0019】
本発明において、インテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュールと接続される学習モジュールをさらに有し、該学習モジュールは、マスタモジュールにより起動信号が生成されたとき、列車の現在の運行路線における位置を記録し、該位置に基づいて運行路線の起動ポジション及び該起動ポジションが位置する起動エリアをマーキングするように構成されることが好ましい。
【0020】
本発明において、内部通信モジュールは、測位モジュールからの通信信号を受信したか否かを判断し、判断結果をマスタモジュールへ送信するように構成される状態判断ユニットを有し、マスタモジュールは、さらに、判断結果に基づいて測位モジュールの作動状態を判断するように構成されることが好ましい。
【0021】
本発明において、マスタモジュールは、第1判断ユニットと第2判断ユニットとを有し、第1判断ユニットは、マスタモジュールにより測位モジュールの作動状態が正常状態であると判断されたとき、第1起動条件を用いてインテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、第2判断ユニットは、マスタモジュールにより測位モジュールの作動状態が異常状態であると判断されたとき、第2起動条件を用いてインテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、第1起動条件は、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するものであり、第2起動条件は、圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたか否かを判断するものであることが好ましい。
【0022】
マスタモジュールは、第1判断ユニットと第2判断ユニットとを有し、第1判断ユニットは、マスタモジュールにより測位モジュールの作動状態が正常状態であると判断されたとき、第1起動条件を用いてインテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、第2判断ユニットは、マスタモジュールにより測位モジュールの作動状態が異常状態であると判断されたとき、第2起動条件を用いてインテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成され、第1起動条件は、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するものであり、第2起動条件は、マスタモジュールがトンネル進入信号を受信したか否かを判断するものであることが好ましい。
【0023】
本発明において、測位モジュールは、北斗測位モジュール、GPS測位モジュール及び北斗GPS結合測位モジュールのうちの1つ又は複数を含むことが好ましい。
【0024】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護方法は、上記のインテリジェント圧力波保護システムに適用され、該システムは、マスタモジュールと、内部通信モジュールと、測位モジュールとを有し、内部通信モジュール及び記憶モジュールが何れもマスタモジュールと接続し、測位モジュールが内部通信モジュールと接続するように構成され、測位モジュールは、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュールを介してマスタモジュールへ送信するステップと、マスタモジュールは、位置情報を取得し、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるステップとを含む。
【0025】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護方法は、上記のインテリジェント圧力波保護システムに適用され、測位モジュールは、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュールを介してマスタモジュールへ送信するステップと、マスタモジュールは、位置情報を取得し、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるステップとを含む。
【0026】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護方法は、列車の位置を特定するステップと、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるステップとを含む。
【0027】
従来技術と比べ、本発明の実施例は、例えば以下のような有益効果を備える。
【0028】
以上により、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システム及びその方法は、測位モジュールが、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュールを介してマスタモジュールへ送信し、マスタモジュールが、位置情報を取得した後、該位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、起動エリアにおいてインテリジェント圧力波保護システムを前もって起動させることができたので、圧力波保護システムの起動が遅れることなく、乗客の乗車の快適性を向上させたとともに、ユーザー体験も向上させた。
【0029】
本発明のその他の特徴及び利点について、これから明細書で説明し、そして、その一部について、明細書から容易に想到でき、又は本発明を実施することにより判明される。本発明の目的及びその他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面で特定される構成により実現、獲得される。
【0030】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより簡単にするため、以下、好ましい実施例を挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の具体の実施形態又は従来技術における技術案をより明瞭に説明するため、以下、具体の実施形態又は従来技術の説明に必要の図面を簡単に説明する。以下に説明される図面が本発明の実施形態の一部を示すものであり、当業者にとって、発明能力を利用しなくても、これらの図面に基づいてその他の図面を得ることが可能である。
図1】本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図である。
図2】本発明の実施例によるもう1つのインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図である。
図3】本発明の実施例によるもう1つのインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図である。
図4】本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムのソフトウェアのフローチャートである。
図5】本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護方法のフローチャートである。
図6】本発明の実施例によるもう1つのインテリジェント圧力波保護方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするため、以下、図面を参照しながら本発明の技術案を明瞭、完全に説明する。説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全部の実施例ではないことが無論である。本発明における実施例に基づいて、当業者は、発明能力を利用せずに獲得したすべてのその他の実施例も、本発明の保護範囲に属する。
【0033】
このため、以下において図面に示された本発明の実施例に対する説明は、本発明の好ましい実施例を表すものに過ぎず、保護しようとする本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が発明能力を利用せずに獲得した全てのその他の実施例も、本発明の保護範囲に属する。
【0034】
なお、類似な符号は、図面において類似な項目を示すので、ある項目が1つの図面で定義された場合、その後の図面で当該項目をさらに定義、解釈することが不要である。
【0035】
従来、列車における圧力波保護システムの起動は、圧力差センサー(又は圧力センサー)により実現されることが一般である。具体的に、圧力差センサーが列車の車両内外の圧力差を取得し、列車がトンネルを高速に通過するとき、圧力差が大きくなり、圧力差の絶対値が一定の閾値を超えると、圧力波保護システムが起動されるようになる。
【0036】
実際の使用の場合、圧力差センサーが通常列車の先頭車両に取り付けられ、列車がトンネルに入る後、センサーにより圧力差が閾値を超えたことが検出されたときから圧力波保護システムが起動されるまで約1sの時間が必要である。列車は、高速に走行するとき、1sで50〜90メートル走行でき、つまり、1sで走行した距離が約2〜3車両の総長に相当する。このため、このような方法による判断の感度が十分ではない。また、上記の圧力差センサーにより圧力差を検出する判断方法は、車両の密閉性に対する要求が高いので、長いトンネルを通過するときに車両の密閉性が十分でない場合、トンネル通過中に車両内外の圧力差が小さくなり、閾値以下になると、圧力波保護システムがオフされ、圧力波保護効果がある程度影響される。
【0037】
さらに、トンネル形態、気候、風速等の要因によって、圧力差の変化の特性にも差異があるため、圧力差閾値の設定が比較的に困難であり、閾値が高すぎると、トンネルに入るときの感度が低くなり、閾値が低すぎると、誤作動が発生しやすくなる。
【0038】
上記の圧力差検出の判断方法以外、トンネル信号を取得する方法を採用してもよい。即ち、列車は、列車の通信ネットワークを介して地面信号システムと通信し、地面信号システムからの列車進入信号を受信して、圧力波保護システムを起動させるように構成される。しかし、このような方法は、地面信号システム及び列車管理システムの設計及び情報交換によるものであり、現在の車種及び路線であれば、僅か一部の車種及び路線に有効であり、大部の列車に対して、圧力波保護システムを効果的に起動させることが困難である。
【0039】
これを鑑みて、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システム及びその方法は、圧力波保護システムを効果的に起動させて、乗車の快適性及びユーザー体験を向上させることができる。
【実施例】
【0040】
本実施例を容易に理解するため、まず本発明の実施例のインテリジェント圧力波保護システムを詳細に説明する。
【0041】
実施例1
図1のインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図に示すように、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュール10と、マスタモジュール10と接続される内部通信モジュール20と、内部通信モジュール20と接続される測位モジュール30とを有している。
【0042】
具体的に実現する場合、測位モジュール30は、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュール20を介してマスタモジュール10へ送信するように構成される。
【0043】
マスタモジュール10は、位置情報を取得し、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成される。
【0044】
具体的に実現する場合、マスタモジュール10は、プロセッサーを中心とする組み込み式プラットフォームであり、そして複数のインターフェースユニットを備え、標準的なシリアルインターフェースを用いてその他のモジュールと通信接続する。好ましくは、内部通信モジュールは、列車の各サブシステム及び関連のセンサー制御回路の情報に対して読み込み、コーディング、通信及びデータ演算等を行い、各サブシステムの信号をマスタモジュール10へ送信し、マスタモジュール10は、さらなる処理及び判断を行うことにより、各サブシステムを協調性よく制御し、さらに列車全体に対して効果的に制御を行う。
【0045】
また、内部通信モジュール20は、RS485又はRS232のような通信プロトコル又は通信用インターフェースであってもよく、測位モジュール30とマスタモジュール10との通信を実現させるように構成される。実際の応用において、上記測位モジュール30は、列車に対して測位を行うように、通常列車の前進方向の先頭車両の先端に設置されている。測位モジュール30は、北斗測位モジュール、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)測位モジュール、及び北斗GPS結合測位モジュールのうちの1つ又は複数を含む。例えば、列車には、1つの北斗測位モジュール、GPS測位モジュール又は北斗GPS結合測位モジュールを単独に設置してもよく、列車に対してより精確に測位するように、実際状況に応じて複数の測位モジュールを設置してもよい。具体的に実現する場合、本発明の実施例における測位モジュール30は、北斗GPS結合測位モジュールを利用することが好ましく、そのうち、北斗GPS結合測位モジュールが、BD/GPS測位モジュールとも呼ばれ、即ち、BD(北斗)+GPSの2つの機能を有する測位モジュールであり、これによって、列車に対する高精度の測位、リアルタイムの追跡及び運動軌跡の再生等の機能を実現できる。
【0046】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、測位モジュール30にが列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュール20を介してマスタモジュール10へ送信し、マスタモジュール10が位置情報が取得した後、該位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、起動エリア内にある場合、前もってインテリジェント圧力波保護システムを起動させることができるので、圧力波保護システムの起動が遅れることがなく、乗車の快適性を向上させたとともに、ユーザー体験も向上させた。
【0047】
実際の使用の場合、マスタモジュール10が列車の位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを精確に判断するため、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、列車の運行路線を記憶するための記憶モジュール40を有している。したがって、図1に示したインテリジェント圧力波保護システムをもとに、本発明の実施例がもう1つのインテリジェント圧力波保護システムを提供した。図2のもう1つのインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図に示すように、図1に示された構成以外、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、記憶モジュール40をさらに有する。
【0048】
具体的に、記憶モジュール40は、マスタモジュール10と接続し、列車の複数の運行路線、各運行路線の地理情報及び各運行路線の起動エリアを記憶し、そのうち、各起動エリアにおいてそれぞれ1つの起動ポジションを有する。
【0049】
具体的に実現する場合、上記起動ポジションが、列車が現在の運行路線の運行方向における、トンネルの入口から一定距離を離間する位置に設定され、通常経緯度で表すことが可能である。また、上記起動エリアは、該起動ポジションから前後一定距離を離間する範囲に設定することが可能であり、例えば、該起動ポジションから前後50メートル範囲内のエリアが起動エリアとして設定され、起動ポジションをトンネルの入口から100メートル離間するところに設定されることが可能である。実際の使用の場合、マスタモジュール10が位置情報を取得して計算を行うため、起動ポジション及び起動エリアの情報を記憶モジュール40に記憶しておくことが可能である。
【0050】
通常、上記マスタモジュール10は、演算ユニット101と判断ユニット102とを有する。ここで、マスタモジュール10は位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するステップは、マスタモジュール10が演算ユニット101を用いて上記位置と起動ポジションとの距離を計算し、距離を判断ユニットに送信することを含んでいる。具体的に、測位モジュール30により特定される位置が経緯度で表されることが可能であり、上記起動ポジションの位置も経緯度でマーキングすることが可能である。このため、演算ユニット101が位置の経緯度及び起動ポジションの経緯度を利用して位置と起動ポジションとの距離を計算することができる。
【0051】
判断ユニット102は、該距離が起動ポジションから起動エリアの境界までの距離より短いであるか否かを判断し、YESの場合、位置が予め記憶された起動エリアにあると判断する。
【0052】
例えば、起動ポジションがトンネルの入口から100メートルのところに設定され、起動ポジションから起動エリアの境界までの距離が50メートルに設定される。このとき、起動エリアは、現在の運行路線における、トンネルの入口からの50m−150mの範囲となる。この場合、測位モジュール30により列車の前進方向の先頭車両の位置が該起動エリアにあると検出されたとき、インテリジェント圧力波保護システムを起動させる。
【0053】
具体的に実現する場合、上記起動インテリジェント圧力波保護システムは、圧力波保護弁を閉弁することにより、車外の圧力変動を車内へ伝達することを阻止し、受動的に保護してもよく、ブロア等のような換気装置を起動させることにより、外部の空気を送り込み、列車の内部と外部との空気交換を行わせて、空気圧の変動を相殺するように、主動的に保護してもよい。具体的な起動方法は、実際の状況に応じて選択、設置すればよく、本発明の実施例に限定されない。
【0054】
上記インテリジェント圧力波保護システムにおいて、マスタモジュール10が列車の位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断することが、記憶モジュール40に記憶された起動ポジション及び起動エリアを基に実現される。実際に利用される際に、現在の運行路線に対して起動ポジション又は起動エリアが記憶されていない場合がある。このとき、上記インテリジェント圧力波保護システムの起動は、圧力差センサー50により実現される。また、マスタモジュール10には、圧力差センサー50により列車の車両内外の圧力差が一定の閾値を超えたことが検出されたときの位置を記録し、起動ポジションのマーキング及び起動エリアの計算を行うための学習モジュール70を設置することが可能である。
【0055】
このため、図2のインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図に示すように、該インテリジェント圧力波保護システムは、内部通信モジュール20と接続される圧力差センサー50をさらに有する。具体的に、圧力差センサー50は、列車内外の圧力波信号を検出し、圧力波信号を内部通信モジュール20を介してマスタモジュール10へ送信するように構成されている。
【0056】
マスタモジュール10は、該圧力波信号を受信し、圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたとき、起動信号を生成し、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成されている。
【0057】
一部の列車が列車通信ネットワークを介して地面信号システムと通信し、地面信号システムからの列車のトンネル進入信号を受信することができるため、上記インテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュール10と接続される列車ネットワーク通信モジュール60をさらに有することが好ましい。列車ネットワーク通信モジュール60は、地面信号システムと接続し、地面信号システムからのトンネル進入信号を受信し、トンネル進入信号をマスタモジュール10へ送信するように構成されている。マスタモジュール10は、さらに、トンネル進入信号を受信し、起動信号を生成して、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるように構成されている。
【0058】
具体的に実現する場合、上記の圧力差センサー50による列車内外の圧力波信号の検出は、圧力センサーにより実現される。具体的に、実際の状況に応じて設置すればよく、本発明の実施例に限定されない。
【0059】
好ましくは、上記圧力差センサー50及び列車ネットワーク通信モジュール60は、インテリジェント圧力波保護システムを起動する補助モジュールとして設置され、列車におけるマスタモジュール10は、上記補助モジュールを介してインテリジェント圧力波保護システムを起動する位置を習得した場合、起動ポジションのマーキング及び起動エリアの決定を行う。
【0060】
このため、図2に示すように、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュール10と接続される学習モジュール70をさらに有する。
【0061】
具体的に、該学習モジュール70は、マスタモジュールにより起動信号が生成されたとき、列車が現在の運行路線における位置を記録し、該位置に基づいて前記運行路線の起動ポジション及び該起動ポジションが位置する起動エリアをマーキングするように構成されている。
【0062】
列車がトンネルに入るときのみ圧力差(圧力波信号)が圧力差センサー50により検出されることを考慮し、該位置に基づいて起動ポジションをマーキングする場合、トンネルの出入口から離間する方向に、該位置から100メートル離間する位置をマーキングし、トンネル進入信号を受信する場合、トンネルの入口から離間する方向に、トンネル受信信号を受信した位置から100メートル離間する位置をマーキングしてもよい。具体的な距離は、実際の状況に応じて設置すればよく、本発明の実施例に限定されない。学習モジュール70は、圧力波信号に基づいてトンネルの長さを計算することも好ましい。例えば、列車がトンネルを出入るときに圧力差が検出された時間の間隔を記録し、さらに列車の平均速度を取得して、これらによってトンネルの長さを計算する。したがって、列車がトンネルから出るときに、適時にインテリジェント圧力波保護システムの起動信号をOFFにすることができる。
【0063】
具体的に実現する場合、マスタモジュール10は測位モジュール30により特定された位置に基づいて列車の位置が起動エリアにあるか否かを判断するため、列車の実際の運行において、上記内部通信モジュール20は、測位モジュール30の作動状態が正常であるか否かを判断するための状態判断ユニット201をさらに有する。
【0064】
このため、図2のインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図をもとに、本発明の実施例は、もう1つのインテリジェント圧力波保護システムの構成ブロック図を提供した。図3に示すように、内部通信モジュール20は、状態判断ユニット201をさらに有する。
【0065】
具体的に、該状態判断ユニット201は、測位モジュール30からの通信信号を受信したか否かを判断し、判断の結果をマスタモジュール10へ送信するように構成されている。
【0066】
マスタモジュール10は、さらに、判断結果に基づいて測位モジュール30の作動状態を判断するように構成されている。
【0067】
具体的に、マスタモジュール10は、第1判断ユニット103と第2判断ユニット104とを有する。第1判断ユニット103は、マスタモジュール10により測位モジュール30の作動状態が正常状態であると判断された場合、即ち状態判断ユニット201により測位モジュール30からの通信信号を受信したと判断された場合、第1起動条件を用いてインテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成される。第2判断ユニット104は、マスタモジュール10により測位モジュール30の作動状態が異常状態であると判断された場合、即ち状態判断ユニット201により測位モジュール30からの通信信号を受信しなかったと判断された場合、第2起動条件を用いてインテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断するように構成される。
【0068】
そのうち、上記通信信号は、測位モジュール30が正常に作動するときに内部通信モジュール20へ送信する通信信号であり、第1起動条件は、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断するものであり、第2起動条件は、圧力波信号の値が予め設定された圧力値を超えたか否か、又は、マスタモジュール10がトンネル進入信号を受信したか否かを判断するものである。
【0069】
上記の測位モジュール30の作動状態に対する判断により、マスタモジュール10がインテリジェント圧力波保護システムを効果的に起動させることができるので、圧力波保護システムの起動が遅れることがなくて、乗車の快適性及びユーザー体験を向上させた。
【0070】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムを容易に理解するため、図3をもとに、図4は、インテリジェント圧力波保護システムのソフトウェアのフローチャートを示した。図4に示すように、以下のステップを含む。
【0071】
ステップS402は、状態判断ユニット201が測位モジュール30からの通信信号を受信したか否かを判断し、YESの場合、ステップS404が実行され、NOの場合、ステップS408が実行される。
【0072】
ステップS404は、測位モジュール30が位置を特定する。
【0073】
ステップS406は、第1判断ユニット103が第1起動条件を用いてインテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断する。
【0074】
ステップS408は、圧力差センサー50が列車内外の圧力波信号を検出し、又は列車ネットワーク通信モジュール60が地面信号システムからのトンネル進入信号を受信する。
【0075】
ステップS410は、第2判断ユニット104が第2起動条件を用いて前記インテリジェント圧力波保護システムを起動するか否かを判断する。
【0076】
具体的に実現する場合、上記の各ステップのプログラムが相応のモジュールに記憶される。例えば、状態判断のプログラム、列車ネットワーク通信のプログラム、位置情報を取得するプログラム、第1判断ユニット103の判断プログラム及び第2判断ユニット104の判断プログラム等を含むことが可能である。また、実際の状況に応じればよく、本発明の実施例に限定されない。
【0077】
実施例2
上記実施例1をもとに、本発明の実施例は、さらにインテリジェント圧力波保護の方法を提供した。該方法は、上記実施例1によるインテリジェント圧力波保護システムに適用される。具体的に、インテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュール10と、内部通信モジュール20と、測位モジュール30とを有し、内部通信モジュール20及び記憶モジュール40が何れもマスタモジュール10と接続し、測位モジュール30が内部通信モジュール20と接続するように構成されている。図5のインテリジェント圧力波保護方法のフローチャートに示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0078】
ステップS502は、測位モジュール30が、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュール20を介してマスタモジュール10へ送信する。
【0079】
ステップS504は、マスタモジュール10が、位置情報を取得し、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させる。
【0080】
実施例3
上記実施例1をもとに、本発明の実施例は、さらにインテリジェント圧力波保護の方法を提供した。該方法は、上記実施例1によるインテリジェント圧力波保護システムに適用され、以下のステップを含む。
【0081】
ステップS502は、測位モジュール30が、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュール20を介してマスタモジュール10へ送信する。
【0082】
ステップS504は、マスタモジュール10が、位置情報を取得し、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させる。
【0083】
実施例4
図6に示すように、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護方法は、列車の位置を特定し、前記位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、前記インテリジェント圧力波保護システムを起動させることを含む。測位モジュール30により列車の位置が特定されることが好ましい。起動エリアが予めマスタモジュール10に記憶され、位置情報が内部通信モジュール20を介してマスタモジュール10へ送信される。
【0084】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護方法は、上記実施例によるインテリジェント圧力波保護システムと同様の技術的特徴を有しているため、同様な技術問題を解決でき、同様な技術効果を備えている。
【0085】
上記のように、本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システム及びその方法は、以下の有益な効果を備える。
【0086】
(1)本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、測位モジュール10と、車両内外の圧力差と、列車ネットワーク通信モジュール60の列車ネットワーク信号との3つの方法によりインテリジェント圧力波保護システムを起動させることができ、トンネルに関わる状況をより正確に判断できるので、インテリジェント圧力波保護システムの感度及び確実性を向上させて、列車がトンネルを高速に通過するときの車内の圧力変化値が基準を超える問題を改善し、乗客の乗車の快適性を向上させた。
【0087】
(2)測位モジュール30、記憶モジュール40及び学習モジュール70により、圧力差閾値が高すぎて又は低すぎて設定される問題を改善し、地上運行するときのインテリジェント圧力波保護システムの誤作動を避けることができる。
【0088】
(3)本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システムは、柔軟性を有し、システムを変更する必要があるとき(例えば、列車ネットワーク信号の制御が必要としなくなるとき又は一部のデータの伝送又は計算を追加する必要があるとき)、ソフトウェアにより制御されて要求を満たすことができる。
【0089】
本発明の実施例によるインテリジェント圧力波保護システム及びその方法のコンピュータプログラム製品は、プログラムコードが記憶されているコンピュータの読み取り可能な記憶媒体を有し、プログラムコードで表される命令は、上記の方法の実施例に記載された方法を実行するように構成され、具体的な実現は方法の実施例を参照できるので、ここでその説明を省略する。
【0090】
その他の実施例
図1は、インテリジェント圧力波保護システムの一実施例を示す構成ブロック図である。インテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュール10と、マスタモジュール10と接続される内部通信モジュール20と、内部通信モジュール20と接続される測位モジュール30とを有している。
【0091】
図2は、インテリジェント圧力波保護システムのもう1つの実施例を示す構成ブロック図である。インテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュール10と、内部通信モジュール20と、測位モジュール30と、記憶モジュール40と、圧力差センサー50と、列車ネットワーク通信モジュール60と、学習モジュール70とを有する。マスタモジュール10は、演算ユニット101と判断ユニット102とを有する。内部通信モジュール20、記憶モジュール40、列車ネットワーク通信モジュール60及び学習モジュール70は、何れもマスタモジュール10と接続している。測位モジュール30及び圧力差センサー50は、何れも内部通信モジュール20と接続している。
【0092】
図3は、インテリジェント圧力波保護システムのもう1つの実施例の構成ブロック図である。インテリジェント圧力波保護システムは、マスタモジュール10と、内部通信モジュール20と、測位モジュール30と、記憶モジュール40と、圧力差センサー50と、列車ネットワーク通信モジュール60と、学習モジュール70とを有する。マスタモジュール10は、演算ユニット101と、判断ユニット102と、第1判断ユニット103と、第2判断ユニット104とを有する。内部通信モジュールは、状態判断ユニット201を有する。内部通信モジュール20、記憶モジュール40、列車ネットワーク通信モジュール60及び学習モジュール70は、何れもマスタモジュール10と接続している。測位モジュール30及び圧力差センサー50は、何れも内部通信モジュール20と接続している。第1判断ユニット103及び第2判断ユニット104は、何れも状態判断ユニット201と接続している。
【0093】
図5は、インテリジェント圧力波保護方法の一実施例のフローチャートである。インテリジェント圧力波保護方法は、測位モジュール30が、列車の位置を特定し、位置情報を内部通信モジュール20を介してマスタモジュール10へ送信するステップS502と、マスタモジュール10が、位置情報を取得し、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるステップS504とを含む。
【0094】
図6は、インテリジェント圧力波保護方法のもう1つの実施例のフローチャートである。インテリジェント圧力波保護方法は、列車の位置を特定するステップS602と、位置が予め記憶された起動エリアにあるか否かを判断し、YESの場合、インテリジェント圧力波保護システムを起動させるステップS604とを含む。
【0095】
当業者は、以上に説明した方法の具体的な作業プロセスについて、上記実施例における該当するプロセスを参照できるので、説明の便宜及び簡潔のために、ここで説明を省略する。
【0096】
また、本発明の実施例の説明において、明確な規定と制限がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気接続でもよい。また、直接に接続されてもよいし、中間物を介して間接に接続されてもよいし、2つの素子の内部の連通でもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本発明における具体的な意味を理解することが可能である。
【0097】
前記機能は、ソフトウェア機能ユニットの形式で実現され、そして、独立の製品として市販されたり使用されたりする場合、コンピュータの読み取り可能な記憶媒体に記憶できる。このような理解に基づいて、本発明の技術方案のそのもの、従来技術に貢献する部分或いは該技術方案の一部は、ソフトウェア製品の形式で実現できる。該コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、コンピュータ装置(個人用コンピュータ、サーバ或いはネットワーク装置等)に本発明の各実施例の前記方法の全て又は一部を実行させるための複数の命令を含む。前記記憶媒体は、USBディスク、携帯型ハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM:Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等の各種の、プログラムコードの記憶できる媒体を含む。
【0098】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」等の用語が表す方位或いは位置関係は、図面に基づくものであり、本発明を便宜及び簡略に説明するためのものに過ぎず、該当装置或いは素子が必ず特定の方向を有し、特定の方向に構成されたり操作されたりすることを明示又は暗示するものではないので、本発明に対する限定ではないと理解すべきである。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は、説明するためのものに過ぎず、相対重要性を明示又は暗示するものではないと理解すべきである。
【0099】
また、上記の実施例は、本発明の具体的な実施形態であり、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、限定するものではない。本発明の保護範囲は、これに限定されない。前記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、本発明に記載される技術的範囲内で、前記実施例に記載の技術案に対して、改良又は変更、或いはその一部の技術的特徴を均等置換することができる。これらの改良、変更又は置換は、該当する技術案の本質を本発明の実施例の技術案の趣旨と範囲から逸脱させなく、全てが本発明の保護範囲に含まれている。このため、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずる。
【0100】
なお、矛盾がない限り、本発明の実施例における特徴を任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
上記のように、本発明によるインテリジェント圧力波保護システム及びその方法は、感度が高く、起動に遅れることがなく、乗客の体験を向上させた。
【符号の説明】
【0102】
10 マスタモジュール
101 演算ユニット
102 判断ユニット
103 第1判断ユニット
104 第2判断ユニット
20 内部通信モジュール
30 測位モジュール
40 記憶モジュール
50 圧力センサー
60 列車ネットワーク通信モジュール
70 学習モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6