(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983211
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ディスク形状物品輸送容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/57 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
B65D85/57 L
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-226924(P2019-226924)
(22)【出願日】2019年12月17日
(65)【公開番号】特開2020-109018(P2020-109018A)
(43)【公開日】2020年7月16日
【審査請求日】2019年12月18日
(31)【優先権主張番号】62/788,828
(32)【優先日】2019年1月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/295,981
(32)【優先日】2019年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トニー ジャラミ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド レングエン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス パークス
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−511791(JP,A)
【文献】
特開2013−157374(JP,A)
【文献】
特開平10−264984(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0024887(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク形状物品を輸送するための容器であって、
上部開口部と、前記ディスク形状物品を受容し、前記ディスク形状物品の平面に垂直な方向の前記ディスク形状物品の移動を制限するためのスロットを間に画定する複数の仕切りと、前記ディスク形状物品を支持し、前記ディスク形状物品の下方向の垂直移動を制限するためのパッドと、底部開口部と、を有するカセットと、
前記上部開口部上で前記カセットに連結可能であり、複数の弾性的な可撓性フィンを有する上部蓋と、
前記底部開口部を覆うように前記カセットに連結可能な底部蓋と、
を備え、
前記上部蓋及び前記底部蓋が前記カセットに連結されている場合、前記底部蓋が前記上部蓋とインターロック可能であり、
前記底部蓋が前記カセットに連結され、前記上部蓋が前記カセットに連結され、かつ前記底部蓋と前記上部蓋とがインターロックしている場合、前記上部蓋が前記カセットに完全に連結され、
前記上部蓋が前記カセットに完全に連結され、前記ディスク形状物品が前記パッド上に支持され、かつ前記容器が収縮包装されていない場合、前記複数の弾性的な可撓性フィンと前記ディスク形状物品との間に非占有の間隙が画定され、
前記上部蓋が前記カセットに完全に連結され、前記ディスク形状物品が前記パッド上に支持され、かつ前記容器が収縮包装されている場合、前記複数の弾性的な可撓性フィンが、前記ディスク形状物品と接触し、前記ディスク形状物品に対して屈曲する、容器。
【請求項2】
前記複数の弾性的な可撓性フィンが、前記カセット内に受容された前記ディスク形状物品の第1の側面と整列された第1の弾性的な可撓性フィンと、前記カセット内に受容された前記ディスク形状物品の前記第1の側面とは反対側の第2の側面と整列された第2の弾性的な可撓性フィンと、を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記上部蓋が前記カセットに連結されている場合、前記複数の弾性的な可撓性フィンのそれぞれが、複数の前記スロットを横断する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記非占有の間隙が、0.2mm〜1.0mmである、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記上部蓋が、前記ディスク形状物品に向かって突出する垂直収容壁を更に有し、
前記上部蓋が前記カセットに完全に連結され、前記ディスク形状物品が前記パッド上に支持され、かつ前記容器が収縮包装されていない場合、前記垂直収容壁と前記ディスク形状物品との間に第2の非占有の間隙が画定され、
前記上部蓋が前記カセットに完全に連結され、前記ディスク形状物品が前記パッド上に支持され、かつ前記容器が収縮包装されている場合、前記垂直収容壁が、前記ディスク形状物品と接触する、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記垂直収容壁が、前記カセット内に受容された前記ディスク形状物品の第1の側面と整列された第1の垂直収容壁と、前記カセット内に受容された前記ディスク形状物品の前記第1の側面とは反対側の第2の側面と整列された第2の垂直収容壁と、を有する、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記上部蓋が前記カセットに連結されている場合、前記垂直収容壁のそれぞれが、複数の前記スロットを横断する、請求項5に記載の容器。
【請求項8】
前記第2の非占有の間隙が、0.2mm〜1.0mmである、請求項5に記載の容器。
【請求項9】
前記上部蓋が、前記ディスク形状物品の前記平面に垂直な方向の移動を制限するための、格納空間に突出する歯を含まない、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
ディスク形状物品を輸送するための方法であって、
カセットの中で、前記カセットの複数の仕切りの間に画定されたスロット内に、及び前記カセットのパッド上にディスク形状物品を配置することと、
前記カセットに底部蓋を連結することと、
前記ディスク形状物品が前記カセットの前記パッド上に配置されたときに、上部蓋の弾性的な可撓性のフィンのそれぞれと前記ディスク形状物品との間に間隙が画定されるように、前記上部蓋と前記底部蓋とをインターロックして、前記カセットに前記上部蓋を完全に連結することと、
前記上部蓋が前記カセットに完全に連結されている状態で、前記カセット及び前記上部蓋を収縮包装材で収縮包装して前記間隙を低減し、前記上部蓋の前記弾性的な可撓性フィンを付勢して前記ディスク形状物品と接触させることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記カセット及び前記上部蓋を収縮包装することが、
前記カセット及び前記上部蓋を前記収縮包装材で包むことと、
前記収縮包装材内の圧力を少なくとも10%〜15%低下させることと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カセットに前記上部蓋を完全に連結することは、前記ディスク形状物品が前記カセットの前記パッド上に配置されたときに、前記上部蓋の垂直収容壁のそれぞれと前記ディスク形状物品との間に第2の間隙が画定されるように、前記カセットに前記上部蓋を完全に連結することを更に含み、
前記カセット及び前記上部蓋を収縮包装することが、前記第2の間隙を低減し、前記垂直収容壁を付勢して前記ディスク形状物品と接触させる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記収縮包装することが、前記カセット、前記上部蓋、及び前記底部蓋を前記収縮包装材で収縮包装することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記収縮包装材を前記カセット及び前記上部蓋から除去することと、
前記上部蓋を前記カセットから分離することと、
前記カセットとは異なるように構成されている第2のカセットの中で、前記第2のカセットの複数の第2の仕切りの間に画定された第2のスロット内に、及び前記第2のカセットの第2のパッド上に第2のディスク形状物品を配置することと、
前記第2のディスク形状物品が前記第2のカセットの前記第2のパッド上に配置されたときに、前記上部蓋の弾性的な可撓性のフィンのそれぞれと前記第2のディスク形状物品との間に第2の間隙が画定されるように、前記第2のカセットに前記上部蓋を完全に連結することと、
前記上部蓋が前記第2のカセットに完全に連結されている状態で、前記第2のカセット及び前記上部蓋を収縮包装材で収縮包装して前記第2の間隙を低減し、前記上部蓋の前記弾性的な可撓性フィンを付勢して前記第2のディスク形状物品と接触させることと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも、
前記第2のスロットのサイズが、前記スロットのサイズとは異なるか、
又は、
前記第2のスロットの数が、前記スロットの数とは異なる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ディスク形状物品を輸送するためのシステムであって、
上部開口部と、前記ディスク形状物品を受容し、前記ディスク形状物品の平面に垂直な方向の前記ディスク形状物品の移動を制限するためのスロットを間に画定する複数の仕切りと、前記ディスク形状物品を支持し、前記ディスク形状物品の下方向の垂直移動を制限するためのパッドと、底部開口部と、をそれぞれ有する複数のカセットと、
前記上部開口部上で前記複数のカセットのそれぞれに互換的に連結可能であり、弾性的な可撓性フィンを有する上部蓋と、
底部蓋と、を備え、
前記底部蓋が、前記底部開口部を覆うように前記複数のカセットのそれぞれに互換的に連結可能であり、
前記上部蓋及び前記底部蓋が前記複数のカセットのうち同じ1つのカセットに連結されている場合、前記底部蓋が、前記上部蓋とインターロック可能であり、
前記底部蓋が前記複数のカセットに連結され、前記上部蓋が前記複数のカセットに連結され、かつ前記底部蓋と前記上部蓋とがインターロックしている場合、前記上部蓋が前記複数のカセットに完全に連結され、
前記複数のカセットのそれぞれが、前記複数のカセットのうちの任意の他のカセットとは異なるように構成され、
前記上部蓋が前記複数のカセットのいずれか1つに完全に連結され、前記ディスク形状物品が前記パッド上に支持され、かつ前記上部蓋及び前記複数のカセットのいずれか1つが収縮包装されていない場合、前記弾性的な可撓性フィンと前記ディスク形状物品との間に非占有の間隙が画定され、
前記上部蓋が前記複数のカセットのいずれか1つに完全に連結され、前記ディスク形状物品が前記パッド上に支持され、かつ前記上部蓋及び前記複数のカセットのいずれか1つが収縮包装されている場合、前記弾性的な可撓性フィンが、前記ディスク形状物品と接触し、前記ディスク形状物品に対して屈曲する、システム。
【請求項17】
少なくとも、
前記複数のカセットのうちのいずれか1つの前記スロットのサイズが、前記複数のカセットのうちの任意の他の前記スロットの前記サイズとは異なるか、
又は、
前記複数のカセットのうちのいずれか1つの前記スロットの総数が、前記複数のカセットのうちの任意の他の前記スロットの前記総数とは異なる、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年1月5日に出願された米国仮特許出願の第62/788,828号の優先権を主張し、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、概してディスク形状物品の製造に関し、より具体的には、容器内のディスク形状物品をある場所から別の場所に輸送することに関する。
【背景技術】
【0003】
ハードディスクドライブに使用するハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)媒体などのディスク形状物品は、多くの場合、ある場所で製造され、別の場所、時には離れた場所にあるハードディスクドライブなどのアセンブリに組み入れられる。したがって、ディスク形状物品は、多くの場合、ある場所から別の場所に輸送又は移送される。HDD媒体を含む一部のディスク形状物品は、摩耗及び汚染を受けやすく、ディスク形状物品は、輸送のために耐磨耗性容器内に確実に保持されなければならない。しかし、異なる場所間での移送及び格納中に、ディスク形状物品を固定し、動かないようにし、かつ保護するように構成された従来の容器は、ディスク形状物品の摩耗及び汚染を依然として発生させる。
【発明の概要】
【0004】
本出願の主題は、当該技術分野の現状に応じて、特に、HDDに媒体をインストールする前などに、ハードディスクドライブ(HDD)媒体などのディスク形状物品の容器を格納及び輸送することに関連する問題及びニーズに対応して開発された。従来の容器は、異なる場所間での移送及び格納中に、ディスク形状物品を固定し、動かないようにし、かつ保護するように構成されていても、ディスク形状物品を摩耗及び汚染する傾向がある。上記を考慮して、本出願の主題は、移送及び格納中のディスク形状物品の摩耗及び汚染を低減することによって、先行技術の欠点の多くを克服する輸送容器を提供するために開発された。
【0005】
ディスク形状物品を輸送するための容器が本明細書に開示される。容器は、カセットを備える。カセットは、上部開口部を有する。カセットはまた、ディスク形状物品を受容し、ディスク形状物品の横方向の移動を制限するためのスロットを画定する複数の仕切りを有する。カセットは、ディスク形状物品を支持し、ディスク形状物品の下方向の垂直移動を制限するためのパッドを更に有する。容器はまた、上部開口部上でカセットに連結可能であり、弾性的な可撓性フィンを有する上部蓋を備える。上部蓋がカセットに完全に連結され、ディスク形状物品がパッド上に支持され、かつ容器が収縮包装されていない場合、弾性的な可撓性フィンとディスク形状物品との間に非占有の間隙が画定される。上部蓋がカセットに完全に連結され、ディスク形状物品がパッド上に支持され、かつ容器が収縮包装されている場合、弾性的な可撓性フィンが、ディスク形状物品と接触し、これに対して屈曲する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例1を特徴とする。
【0006】
弾性的な可撓性フィンは、カセット内に受容されたディスク形状物品の第1の側面と整列された第1の弾性的な可撓性フィンと、カセット内に受容されたディスク形状物品の第1の側面とは反対側の第2の側面と整列された第2の弾性的な可撓性フィンとを有する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例2を特徴とし、実施例2はまた、上記実施例1に記載の主題を含む。
【0007】
上部蓋がカセットに連結されている場合、弾性的な可撓性フィンのそれぞれが、複数のスロットを横断する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例3を特徴とし、実施例3はまた、上記実施例1〜2のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0008】
非占有の間隙は、0.2mm〜1.0mmの厚みを有する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例4を特徴とし、実施例4はまた、上記実施例1〜3のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0009】
カセットは、底部開口部を更に有する。容器は、底部開口部の上でカセットに連結可能な底部蓋を更に有する。上部蓋及び底部蓋がカセットに連結されている場合、底部蓋は上部蓋とインターロック可能である。本段落の前述の主題は、本開示の実施例5を特徴とし、実施例5はまた、上記実施例1〜4のいずれか1つに記載の主題も含む。
【0010】
底部蓋がカセットに連結され、上部蓋がカセットに連結され、かつ底部蓋と上部蓋とがインターロックしている場合、上部蓋はカセットに完全に連結される。本段落の前述の主題は、本開示の実施例6を特徴とし、実施例6はまた、上記実施例5に記載の主題を含む。
【0011】
上部蓋は、垂直収容壁を更に有する。上部蓋がカセットに完全に連結され、ディスク形状物品がパッド上に支持され、かつ容器が収縮包装されていない場合、垂直収容壁とディスク形状物品との間に第2の非占有の間隙が画定される。上部蓋がカセットに完全に連結され、ディスク形状物品がパッド上に支持され、かつ容器が収縮包装されている場合、垂直収容壁は、ディスク形状物品と接触する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例7を特徴とし、実施例7はまた、上記実施例1〜6のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0012】
垂直収容壁は、カセット内に受容されたディスク形状物品の第1の側面と整列された第1の垂直収容壁と、カセット内に受容されたディスク形状物品の第1の側面とは反対側の第2の側面と整列された第2の垂直収容壁とを有する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例8を特徴とし、実施例8はまた、上記実施例7に記載の主題を含む。
【0013】
上部蓋がカセットに連結されている場合、垂直収容壁のそれぞれが複数のスロットを横断する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例9を特徴とし、実施例9はまた、上記実施例7〜8のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0014】
第2の非占有の間隙は、0.2mm〜1.0mmの厚みを有する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例10を特徴とし、実施例10はまた、上記実施例7〜9のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0015】
上部蓋は、ディスク形状物品の横方向の移動を制限しない。本段落の前述の主題は、本開示の実施例11を特徴とし、実施例11はまた、上記実施例1〜10のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0016】
ディスク形状物品を輸送するための方法が本明細書に開示される。本方法は、カセットの中で、カセットの複数の仕切り間に画定されたスロット内に、及びカセットのパッド上にディスク形状物品を配置することを含む。本方法は、ディスク形状物品がカセットのパッド上に配置されたときに、上部蓋の弾性的な可撓性のフィンのそれぞれとディスク形状物品との間に間隙が画定されるように、カセットに上部蓋を完全に連結することも含む。本方法は、上部蓋がカセットに完全に連結されている状態で、カセット及び上部蓋を収縮包装材で収縮させて間隙を低減し、上部蓋の弾性的な可撓性フィンを付勢してディスク形状物品と接触させることを更に含む。本段落の前述の主題は、本開示の実施例12を特徴とする。
【0017】
カセットと上部蓋を収縮包装することは、収縮包装材でカセットと上部蓋を包むことと、収縮包装材内の圧力を少なくとも10%〜15%低下させることを含む。本段落の前述の主題は、本開示の実施例13を特徴とし、実施例13はまた、上記実施例12に記載の主題を含む。
【0018】
カセットに上部蓋を完全に連結することは、ディスク形状物品がカセットのパッド上に配置されたときに、上部蓋の垂直収容壁のそれぞれとディスク形状物品との間に第2の間隙が画定されるように、カセットに上部蓋を完全に連結することを更に含む。カセット及び上部蓋を収縮包装することは、第2の間隙を低減し、垂直収容壁を付勢してディスク形状物品と接触させるようにすることを含む。本段落の前述の主題は、本開示の実施例14を特徴とし、実施例14はまた、上記実施例12〜13のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0019】
本方法は、カセットに底部蓋を連結することと、上部蓋及び底部蓋をインターロックすることと、を更に含む。収縮包装することは、カセット、上部蓋及び底部蓋を収縮包装材で収縮包装することを更に含む。本段落の前述の主題は、本開示の実施例15を特徴とし、実施例15はまた、上記実施例12〜14のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0020】
本方法は、カセット及び上部蓋から収縮包装材を除去することを更に含む。本方法はまた、上部蓋をカセットから分離することを含む。本方法は、加えて、上部蓋をカセットから分離することを含む。本方法はまた、第2のカセットの中で、第2のカセットの複数の第2の仕切りの間に画定された第2のスロット内に、及び第2のカセットの第2のパッド上に第2のディスク形状物品を配置することを含み、第2のカセットは、カセットとは異なるように構成されている。本方法は、第2のディスク形状物品が第2のカセットの第2のパッド上に配置されたときに、上部蓋の弾性的な可撓性のフィンのそれぞれと第2のディスク形状物品との間に第2の間隙が画定されるように、第2のカセットに上部蓋を完全に連結することを更に含む。本方法は、加えて、上部蓋が第2のカセットに完全に連結されている状態で、第2のカセット及び上部蓋を収縮包装材で収縮させて第2の間隙を低減し、上部蓋の弾性的な可撓性フィンを付勢して第2のディスク形状物品と接触させることを含む。本段落の前述の主題は、本開示の実施例16を特徴とし、実施例16はまた、上記実施例12〜15のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0021】
第2のスロットのサイズの少なくとも1つは、スロットのサイズと異なり、又は第2のスロットの数はスロットの数と異なる。本段落の前述の主題は、本開示の実施例17を特徴とし、実施例17はまた、上記実施例16に記載の主題を含む。
【0022】
加えて、ディスク形状物品を輸送するためのシステムが本明細書に記載される。システムは、複数のカセットを備え、複数のカセットは、上部開口部と、ディスク形状物品を受容し、ディスク形状物品の横方向の移動を制限するためのスロットを間に画定する複数の仕切りと、ディスク形状物品を支持し、ディスク形状物品の下方向の垂直移動を制限するためのパッドとをそれぞれ有する。複数のカセットのそれぞれは、複数のカセットのうちの任意の他のカセットとは異なるように構成されている。本システムはまた、上部開口部上で複数のカセットのそれぞれに互換的に連結可能であり、弾性的な可撓性フィンを有する上部蓋を備える。上部蓋が複数のカセットのいずれか1つに完全に連結され、ディスク形状物品がパッド上に支持され、かつ容器が収縮包装されていない場合、弾性的な可撓性フィンとディスク形状物品との間に非占有の間隙が画定される。上部蓋が複数のカセットのいずれか1つに完全に連結され、ディスク形状物品がパッド上に支持され、かつ容器が収縮包装されている場合、弾性的な可撓性フィンが、ディスク形状物品と接触し、これに対して屈曲する。本段落の前述の主題は、本開示の実施例18を特徴とする。
【0023】
少なくとも、(i)複数のカセットのうちのいずれか1つのスロットのサイズが、複数のカセットのうちの任意の他のスロットのサイズとは異なるか、又は、(ii)複数のカセットのうちのいずれか1つのスロットの総数が、複数のカセットのうちの任意の他のスロットの総数と異なる。本段落の前述の主題は、本開示の実施例19を特徴とし、実施例19はまた、上記実施例18に記載の主題を含む。
【0024】
システムは、底部蓋を更に有する。複数のカセットのそれぞれは、底部開口部を更に有する。底部蓋は、底部開口部の上で複数のカセットのそれぞれに互換的に連結可能である。上部蓋及び底部蓋が複数のカセットのうちの同じ1つのカセットに連結されている場合、底部蓋は、上部蓋とインターロック可能である。本段落の前述の主題は、本開示の実施例20を特徴とし、実施例20はまた、上記実施例18〜19のいずれか1つに記載の主題を含む。
【0025】
本開示の主題の記載された特徴、構造、利点、及び/又は特性は、1つ以上の実施形態及び/又は実装において任意の好適な方法で組み合わせることができる。以下の記載において、本開示の主題の実施形態の完全な理解を与えるために、数多くの具体的な詳細が提供される。当業者は、本開示の主題が、特定の実施形態又は実装の特定の特徴、詳細、構成要素、材料、及び/又は方法のうちの1つ以上を伴わずに実施され得ることを認識するであろう。他の例では、全ての実施形態又は実装において存在しない可能性がある特定の実施形態及び/又は実装において、追加の特徴及び利点が認識され得る。更に、いくつかの例では、周知の構造、材料、又は動作は、本開示の主題の態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されていないか、又は記載されていない。本開示の主題の特徴及び利点は、以下の記載及び添付の番号付けされた段落からより完全に明らかとなるか、又は以下に記載されるような主題の実施によって習得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
主題の利点がより容易に理解され得るように、添付の図面に示されている特定の実施形態を参照することにより、上記で簡潔に記載された主題のより具体的な記載が行われる。これらの図面は主題の典型的な実施形態のみを示しており、したがってその範囲を限定するものとして見なされるべきではないと理解した上で、添付図面の使用を通じて、付加的な特殊性及び詳細を伴って、本主題は記載され説明される。
【0027】
【
図1】本開示の1つ以上の実施例による、ハードディスクドライブ(HDD)媒体を輸送するための容器の斜視図である。
【0028】
【
図2】本開示の1つ以上の実施例による、
図1の容器の分解斜視図である。
【0029】
【
図3】本開示の1つ以上の実施例による、
図1の線3−3に沿った、
図1の容器の側面断面図である。
【0030】
【
図4】本開示の1つ以上の実施例による、
図1の線4−4に沿った、
図1の容器の正面断面図である。
【0031】
【
図5】本開示の1つ以上の実施例による、容器内に格納されたHDD媒体と共に示されている、
図1の線3−3に沿った
図1の容器の側面断面図である。
【0032】
【
図6】本開示の1つ以上の実施例による、容器内に格納されたHDD媒体と共に示され、収縮包装材によって収縮包装された、
図1の線3−3と同様の線に沿った、
図1の容器の側面断面図である。
【0033】
【
図7】本開示の1つ以上の実施例による、HDD媒体を輸送する方法の概略フローチャートである。
【0034】
【
図8】本開示の1つ以上の実施例による、HDD媒体を輸送するためのシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書の全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、又はそれに類似した言葉の参照は、本実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の全体を通して、「一実施形態では(in one embodiment)」、「一実施形態では(in an embodiment)」、及びそれに類似した言葉の語句の表記は、必ずしも全て同一の実施形態を参照するのではない。同様に、用語「実装」の使用は、本開示の1つ以上の実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性を有する実装を意味するが、そうでなければ、別の意味を示すための明示的な相関がない場合、実装は1つ以上の実施形態に関連付けられてもよい。
【0036】
本開示の主題の実施形態は、ハードディスクドライブ(HDD)媒体、光ディスク、ウェハ、基板などのディスク形状物品に適用可能である。記載を簡単にするために、本開示の実施例は、HDD媒体に関して記載されているが、他のディスク形状物品にも等しく適用可能である。換言すれば、特に断りがない限り、HDD媒体への言及は、他のディスク形状物品と置き換えることができる。
【0037】
図1及び
図2を参照すると、いくつかの実施例による、ハードディスクドライブ(HDD)媒体を輸送するための容器100が本明細書に開示される。本明細書で使用される場合、HDD媒体108は、1つのディスク若しくは媒体、又は複数のディスク若しくは媒体であり得る。一般に、HDD媒体108の各ディスクは円形ディスクであり、円形ディスクは、円形状の外周又は縁部を有する薄いウェハ状構造として定義される。容器100は、異なる場所間での移送及び格納中に、複数のHDD媒体(例えば、ディスク)を固定し、動かないようにし、及び保護するように構成されている。特定の実施態様では、HDD媒体は、ある設備で製造され、離れた場所にある設備でHDDに組み入れられる。容器100は、HDD媒体がある設備から別の設備に輸送される(すなわち移送される)際に、HDD媒体を格納及び保護するのに役立つ。
図7を参照すると、容器100内にHDD媒体が設置された後、容器100は、容器100によるHDD媒体の確実な収容を促進するために収縮包装される。いくつかの実施例では、HDD媒体は、磁気記憶ディスクである。
【0038】
容器100は、カセット102(又は本体)と、カセット102に取り外し可能に連結可能な上部蓋106とを有する。上部蓋106は、カセット102に取り外し可能に連結されると、カセット102の上部開口部160及び開放端部152を覆う。いくつかの実施例では、容器100は、カセット102に取り外し可能に連結可能な底部蓋104を更に有する。底部蓋104は、カセット102に取り外し可能に連結されると、カセット102の底部開口部162を覆う。上部蓋106及び底部蓋104は、容器100の取り扱い及び輸送を支援する機構などの容器100の機能に関連する様々な機構のいずれかを有していてもよい。
【0039】
上部蓋106は、第1のインターロック機構142を有し、底部蓋104は第2のインターロック機構144を有する。上部蓋106の第1のインターロック機構142のそれぞれは、底部蓋104の第2のインターロック機構144の対応する1つとインターロックするように構成されている。上部蓋106及び底部蓋104をカセット102に連結し、第1のインターロック機構142及び第2のインターロック機構144を連結することにより、上部蓋106と底部蓋104との間にカセット102を固定する。いくつかの実施態様では、第1のインターロック機構142及び第2のインターロック機構144をインターロックすることにより、上部蓋106及び底部蓋104は、上部蓋106と底部蓋104との間にカセット102を効果的にクランプ又は挟持する。第1のインターロック機構142及び第2のインターロック機構144は、クリップ、バックル、戻り止めなどの様々なインターロック連結器のいずれかを有することができる。いくつかの実施例では、底部蓋104はカセット102に一体化されて、カセット102と一体型で、連続的かつモノリシックな構造を形成する。
【0040】
カセット102は、第1の側壁122と、第2の側壁124と、第1の側壁122と第2の側壁124との間に画定された媒体格納空間120とを有する。第1の側壁122は、第2の側壁124の反対側にあり、第2の側壁124を鏡映する。第1の側壁122及び第2の側壁124は、媒体格納空間120が、HDD媒体108に対応する断面形状を有するように成形される(例えば、
図5を参照)。媒体格納空間120の断面形状は、HDD媒体108の湾曲を補完するためにカセット102の底部において実質的に湾曲している。媒体格納空間120の最大水平寸法は、HDD媒体108がカセット102内に収まることができるように、HDD媒体108の直径よりも大きい。
【0041】
図2〜
図4を参照すると、カセット102は、第1の側壁122及び第2の側壁124のそれぞれから媒体格納空間120内に突出する仕切り110を更に有する。第1の側壁122上の全ての仕切り110に対して、第2の側壁124上に対応する仕切り110があり、第2の側壁124上の対応する仕切り110は、媒体格納空間120を横切って、第1の側壁122上の仕切り110と整列される。仕切り110は、カセット102の上部開口部160に近接する位置から、カセット102の上部開口部160と底部開口部162との間の中間位置まで垂直に延在する。第1の側壁122及び第2の側壁124のそれぞれの仕切り110は、カセット102の長さに沿って、HDD媒体108のそれぞれの幅に対応する距離だけ、隣接する仕切り110から離間している。その上、仕切り110は、第1の側壁122及び第2の側壁124上の対向する仕切り110の間の距離をHDD媒体108の直径よりも小さくするために、媒体格納空間120内に十分に突出する。したがって、隣接する仕切り110の間の空間に、HDD媒体108が挿入され、横方向に保持され得るスロット111を画定する。換言すれば、スロット111を画定する仕切り110は、スロット111内に挿入されたHDD媒体108の横方向の移動(例えば、カセット102の長さに平行な移動)を制限する(例えば、防止する)ための停止部として作用する。カセット102の複数の仕切り110は、カセット102が複数のHDD媒体108を同時に受容し保持することができるように、カセット102の長さに沿って複数のスロット111を画定する。
【0042】
カセット102は、第1の側壁122及び第2の側壁124から媒体格納空間120内に突出するパッド112を追加的に有する。パッド112のそれぞれは、対応するスロット111と垂直に整列され、カセット102の仕切り110と底部開口部162との間に位置する。パッド112は、媒体格納空間120内でHDD媒体108を受容し、直接支持するように構成されている。パッド112のそれぞれは、HDD媒体108の外周の湾曲を補完する湾曲を有する凹面を有する。パッド112は、第1の側壁122及び第2の側壁124と共に形成され、それらと同じ材料で作製されてもよい。あるいは、パッド112は、別個に形成され、第1の側壁122及び第2の側壁124の内面に取り付けられ、第1の側壁122及び第2の側壁124とは異なる(例えば、より軟質の)材料で作製されてもよい。パッド112は、カセット102内に収容されたときに、HDD媒体108の下方向の垂直移動を制限するのに役立つ。いくつかの実施例では、第1の側壁122及び第2の側壁124のそれぞれは、スロット111の対応する1つとそれぞれ整列された複数のパッド112を有する。しかしながら、他の実施例では、第1の側壁122及び第2の側壁124のそれぞれは、カセット102に沿って長手方向に延在して複数のスロット111を横断する単一のパッド112を有する。
【0043】
上述のように、カセット102の上部は開いており、媒体格納空間120内のカセット102のそれぞれのスロット111内へのHDD媒体108の挿入が可能となる。HDD媒体108がカセット102内に挿入された後、カセット102の上部開口部160は、容器100の上部蓋106で閉じられる。いくつかの実施例では、上部蓋106は、容器100のフォームファクタを低減するために、HDD媒体108の形状を補完するように成形される。
【0044】
容器100を収縮包装する前に(以下により詳細に記載されるように)、及び上部蓋106がカセット102の上部に完全に連結された状態で、HDD媒体108がスロット111内のパッド112上で支持されているときに、上部蓋106のどの部分もHDD媒体108と接触することができない。例えば、いくつかの従来の輸送容器とは対照的に、上部蓋106は、上部蓋106がカセット102に連結されたときにHDD媒体108の横方向の動きを制限するための、媒体格納空間120に突出する歯を含まない。換言すれば、上部蓋106は、HDD媒体108の横方向の移動を制限しない。このような歯は、HDD媒体と接触すると、容器100が取り扱われて輸送される際に、HDD媒体108上に摩耗を引き起こし、粒子を生成する可能性がある。その上、本発明者らは、仕切り110がHDD媒体108の横方向の動きを適切に制限できるので、HDD媒体108の横方向の動きを制限するために上部蓋106に歯を形成することが必要ないことを観察した。
【0045】
加えて、
図8を参照して以下で説明するように、歯がない場合、上部蓋106は、異なる量のHDD媒体108又は異なるサイズのHDD媒体108(例えば、異なる厚さを有するHDD媒体108)を格納するようにそれぞれ構成された複数のカセット102と互換的に使用することができる。いくつかの例では、97×0.635mmのディスクを格納するカセット102と、97×1.27mmのディスクを格納するカセット102で同じ上部蓋106を使用できる。更に、上述のように、歯がないことにより、媒体の摩耗及び粒子の発生の原因となる蓋と媒体との接触を減らすことができる。
【0046】
いくつかの例によれば、上部蓋106がカセット102の上部に完全に連結されると、カセット102の最上縁部154は、上部蓋106のカセット係合凹部156の対応する下方向の係合面から0.40mm超離れる(例えば、
図3を参照)。いくつかの実施例では、上部蓋106がカセット102に連結され、底部蓋104がカセット102に連結され、上部蓋106及び底部蓋104とがインターロックしている場合、上部蓋106がカセット102の上部に完全に連結される。別の実施形態では、上部蓋106の材料は、粒子の生成を更に低減するために、従来使用されているポリプロピレンではなくポリカーボネートであってもよい。
【0047】
カセット102内に収容されたとき、及び容器100が収縮包装された後に、HDD媒体108の上方向の垂直移動の制限を補助するために、上部蓋106はフィン114を有する。フィン114は、フィン114の高さHに等しい距離で、上部蓋106から媒体格納空間120内に突出する。フィン114は、HDD媒体108の両側と整列されるように、上部蓋106の両側に配置される。フィン114は、フィン114の付勢力よりも大きな圧力が加えられた状態でフィン114が弾力的に屈曲可能なように、細長く及び断面が比較的薄い。その上、フィン114のそれぞれは、フィン114に最も近い第1の側壁122及び第2の側壁124のうちの対応する一方に向かって垂直から少なくともわずかに傾斜している。フィン114のこのような角度付けにより、以下に記載されるように、HDD媒体108が接触すると、フィン114が第1の側壁122及び第2の側壁124の対応する一方に向かって外向きに撓むことが可能になる。
【0048】
図5を参照すると、上部蓋106がカセット102と完全に連結され、HDD媒体108がパッド112上で支持された後、容器100が収縮包装される前に、フィン114の高さHは、フィン114とHDD媒体108との間に非占有の間隙G1又は空間が画定されるようになる。一例では、各フィン114の高さHは約3.5mmである。したがって、容器100が収縮包装される前に、フィン114は、上部蓋106がカセット102に連結される前、最中、又は後に、パッド112上に支持されたHDD媒体108と接触しない。そのような構成は、上部蓋106がカセット102に連結されるか、又は分離される間など、輸送又は取り扱いのためにHDD媒体108の保持が必要とされない時間の間、上部蓋106のフィン114とHDD媒体108との間の摩耗を排除するのに役立つ。
【0049】
いくつかの実施例では、上部蓋106は、カセット102内に収容されている場合、及び容器100が収縮包装された後に、HDD媒体108の上方向の垂直移動を更に制限するのを補助する垂直収容壁130を追加的に有する。垂直収容壁130は、HDD媒体108の両側と整列されるように、上部蓋106の両側に配置される。垂直収容壁130は、上部蓋106に沿って長さ方向に延在する。したがって、垂直収容壁130のそれぞれは、上部蓋106がカセット102に連結されたときにカセット102の複数のスロット111を横断する。その上、各垂直収容壁130は、媒体格納空間120に面する垂直収容面132を有する。いくつかの実施例では、各垂直収容面132は、HDD媒体108との単一の接触点を確保するのを補助するために平坦である。他の実施例では、各垂直収容面132は、HDD媒体108の外縁部の輪郭又は湾曲と一致するように輪郭付け又は湾曲している。このように、垂直収容壁130及び垂直収容面132は、それらが垂直に配向されているからではなく、HDD媒体108の上方向への垂直移動を制限するので、このように呼称されている。むしろ、垂直収容壁130は、容器100が水平面上に支持されるとき、水平面に対して角度を付けられている。
【0050】
上部蓋106がカセット102に連結されている状態で、垂直収容面132は、HDD媒体108の中心から距離rに配置される。
図5を参照すると、上部蓋106がカセット102と完全に連結され、HDD媒体108がパッド112上で支持された後、容器100が収縮包装される前に、距離rはHDD媒体108の半径よりも大きく、その結果、垂直収容面132とHDD媒体108との間に未充填の間隙G2又はスペースが画定される(例えば、
図5を参照)。特定の一例では、間隙G2は約0.2mm〜1.0mmである。したがって、容器100が収縮包装される前、垂直収容壁130の垂直収容面132は、上部蓋106がカセット102に連結される前、最中、又は後に、パッド112上に支持されたHDD媒体108と接触しない。そのような構成は、上部蓋106がカセット102に連結されるか、又は分離される間など、輸送又は取り扱いのためにHDD媒体108の保持が必要とされない時間の間、上部蓋106の垂直収容壁130とHDD媒体108との間の摩耗を排除するのに役立つ。
【0051】
図6を参照すると、上部蓋106がカセット102に連結された後、かつ輸送前に、HDD媒体108が保持された容器100全体は、収縮包装又は真空袋詰め法を使用して真空封止される。容器100を収縮包装することは、収縮包装材又は袋を容器100の周囲に巻き付けることと、収縮包装材又は袋内の圧力を(例えば、真空ポンプを使用して)排気して、材料又は袋を容器100に対して緊密に封止することを含む。このように容器100の周囲を収縮包装材で封止することにより、容器100に圧縮力Pを加えることによって容器100を圧縮し、底部蓋104及び上部蓋106をカセット102に対して付勢して、より緊密に成形する。容器100の圧縮は、輸送のために、底部蓋104及び上部蓋106をカセット102に安定させる又は移動不能に固定するのに役立つ。収縮包装材又は収縮フィルムは、ポリマープラスチックで作製される。いくつかの実施態様では、収縮包装材は、収縮包装材内の圧力の排出ではなく、熱を与えることによって容器100の周りを収縮包装する。
【0052】
容器100を収縮包装により圧縮することにより、上部蓋106がHDD媒体108に近づき、間隙G1が低減し、フィン114を付勢してHDD媒体108の周辺縁部とを接触させる。1つの特定の実施例では、間隙G1は、約0.2mm〜約1.0mmであり、容器100を収縮包装すると、上部蓋106をHDD媒体108に近接して0.2mm〜1.0mm以上移動させ、その結果、間隙G1はゼロに低減し、フィン114はHDD媒体108に対して屈曲する。上述のように、HDD媒体108との接触により、フィン114が弾性的に屈曲し、HDD媒体108に付勢力を加える。付勢力は、容器100の輸送及び取り扱い中に容器100内に収容されたHDD媒体108の上方向への垂直移動を制限するのに役立つ。このようにして、フィン114は、必要な場合にのみHDD媒体108と接触し、これは、取り扱われ、容器100によって輸送されるHDD媒体108の摩耗を低減するのに役立つ。上部蓋106は、いくつかの例では、カセット102の対応する側の仕切り110によって画定された全てのスロットにわたる又は横断する、上部蓋106の各側に1つの連続フィン114を有する。他の例では、上部蓋106は、上部蓋106の各側に複数のフィン114を有し、各フィン114は、仕切り110によって画定されるスロットの対応する1つと整列するように配置される。
【0053】
更に、容器100を収縮包装により圧縮することにより、HDD媒体108の中心からの距離rが低減し、間隙G2が低減し、垂直収容壁130の垂直収容面132を付勢して、HDD媒体108の周辺縁部と接触させる。特定の一実施例では、距離rは、間隙G2が約0.2mm〜約1.0mmになるように、HDD媒体108の半径よりも約0.2mm〜約1.0mmだけ大きく、容器100を収縮包装することにより、垂直格納壁130を、0.2mm〜1.0mm以上移動させて、HDD媒体108に近づけ、その結果、距離rはHDD媒体108の半径以下となり、間隙G2はゼロまで低減する。垂直収容面132とHDD媒体108の周辺縁部との間の接触は、容器100の輸送及び取り扱い中に容器100内に収容されたHDD媒体108の上方向への垂直移動を制限するのに役立つ。垂直収容壁130は、必要な場合にのみHDD媒体108と接触するため、取り扱われ、容器100によって輸送されるHDD媒体108の摩耗が低減される。弾性的な可撓性フィン114は、垂直収容面132がHDD媒体108の周辺縁部と接触する位置とは異なる位置(例えば、離間した位置)で、HDD媒体108の周辺縁部と接触する。上部蓋106によってHDD媒体108の各側面上に複数の接触点を提供することは、HDD媒体108の各側に単一の接触点を有するよりも垂直にHDD媒体108を固定するのに役立つ。
【0054】
図7を参照すると、一実施例によれば、HDD媒体108を輸送する方法200が開示される。方法200は、カセット102の複数の仕切り110とカセット102のパッド112との間に画定されたスロット111内のカセット102にHDD媒体108を配置することを含む(ブロック202)。方法200は、HDD媒体108がカセット102のパッド112上に配置される場合に、上部蓋106をカセット102に完全に連結して、上部蓋106の弾性的な可撓性フィン114のそれぞれとHDD媒体108との間に間隙G1(例えば、第1の間隙)が画定されるようにすることも含む(ブロック204)。方法200は、上部蓋106がカセット102に完全に連結された状態で、カセット102及び上部蓋106を収縮包装材164で収縮包装して、上部蓋106の弾性的な可撓性フィン114とHDD媒体108との間の間隙を低減し、上部蓋106の弾性的な可撓性フィン114を付勢して、HDD媒体108と接触させることを追加的に含む(ブロック206)。
【0055】
いくつかの例では、カセット102及び上部蓋106は、収縮包装材164でカセット102及び上部蓋106を包み、収縮包装材164内の圧力を少なくとも10%〜15%低下させることによって、収縮包装される。方法200の特定の例によれば、上部蓋106をカセット102に完全に連結することは、HDD媒体108がカセット102のパッド112上に配置されたときに、上部蓋106の垂直収容壁130のそれぞれとHDD媒体108との間に第2の間隙G2が画定されるように、上部蓋106をカセットに完全に連結することを更に含む。カセット102及び上部蓋106を収縮包装することにより、第2の間隙G2が低減し、垂直収容壁130を付勢して、HDD媒体108と接触させる。
【0056】
特定の実施例によれば、方法200は、カセット102に底部蓋104を連結し、上部蓋106及び底部蓋104をインターロックすることを含む。方法200の収縮包装は、カセット102、上部蓋106及び底部蓋104を収縮包装材164で収縮包装することを更に含む。
【0057】
図8を参照すると、HDD媒体108を輸送するためのシステム101の例が開示されている。システム101は、第1のカセット102A、第2のカセット102B及び第3のカセット102Cを含む複数のカセットを備える。第1のカセット102A、第2のカセット102B及び第3のカセット102Cのそれぞれは、カセット102の特徴と概ね類似する特徴を有する。しかしながら、第1のカセット102A、第2のカセット102B及び第3のカセット102Cは、より詳細に記載されるように、互いに異なる構成である。
【0058】
システム101にも、上部蓋106及び底部蓋104が含まれる。上部蓋106は、第1のカセット102A、第2のカセット102B及び第3のカセット102Cのそれぞれに対して互換的に連結可能であるので、第1のカセット102A、第2のカセット102B及び第3のカセット102Cに対応する上部開口部160をカバーする。同様に、底部蓋104は、第1のカセット102A、第2のカセット102B及び第3のカセット102Cのそれぞれに対して互換的に連結可能であるので、第1のカセット102A、第2のカセット102B及び第3のカセット102Cに対応する底部開口部162をカバーする。システム101の複数のカセットの最上縁部154のサイズ及び形状は同じであり、これにより、上部蓋106のカセット係合凹部156は、複数のカセットのそれぞれへの連結に適合することができる。同様に、システム101の複数のカセットの最底縁部は、底部蓋104が複数のカセットのそれぞれへの連結に適合することを可能にするために同じであり得る。
【0059】
上部蓋106は、歯などの横方向移動制限機構を含まないため、上部蓋106は、様々なHDD媒体108の収容構成のいずれかを有する様々なカセットのうちのいずれかと共に使用することができる。より具体的には、上部蓋106は横方向移動制限機構を含まないため、横方向移動制限機構の空間配置と不適合である方法でカセット内に空間的に構成されたHDD媒体108を妨害するような横方向移動制限機構は存在しない。したがって、HDD媒体108は、様々な構成のうちのいずれかで空間的に構成することができ、更に上部蓋106の使用に適合することができる。HDD媒体108の空間構成は、システム101の複数のカセットのそれぞれごとに異なる。
【0060】
HDD媒体108の異なる空間構成は、異なるカセット内のスロット111の異なる構成によって影響される。例えば、システム101の1つのカセットのスロット111は、システム101の別のカセットとは異なるサイズを有することによって、異なるように構成され得る。別の例として、システム101の1つのカセットのスロット111は、システム101の別のカセットとは異なる数のスロット111(例えば、更に離間している)を有することによって、異なるように構成することができる。
図8を参照すると、一実施例では、第1のカセット102Aのスロット111Aは、第2のカセット102Bのスロット111Bと同じサイズ(例えば、同じ幅であり、一例では、0.635mm)を有しているが(同じサイズのHDD媒体108を収容するため)、第2のカセット102Bのスロット111Bよりも互いに近接して離間配置されている(1つの容器内により多くのHDD媒体108を収容するため)。したがって、第1のカセット102Aは、第2のカセット102B(例えば、25個)よりも多くのスロット111A(例えば、50個)を有する。再び
図8を参照すると、一例では、第3のカセット102Cのスロット111Cは、第1のカセット102Aのスロット111Aよりも広い(1.27mm幅のHDD媒体などの異なるサイズのHDD媒体108を収容するために)。スロット111Cのサイズはスロット111Aよりも広いため、いくつかの例では、第3のカセット102Cも、第1のカセット102Aよりも少ないスロットを有する。システム101は、それぞれ異なるスロット構成を有する任意の数の異なる構成のカセットを有することができる。
【0061】
上記の記載では、「上(up)」、「下(down)」、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「左(left)」、「右(right)」、「上に(over)」、「下に(under)」などの特定の用語が使用されてもよい。これらの用語は、該当する場合、相対関係に対処する際に記載を明確にするために使用される。しかし、これらの用語は、絶対関係、位置、及び/又は向きを意味することを意図するものではない。例えば、物体に関しては、「上部(upper)」表面は、単にその物体を裏返すだけで「下部(lower)」表面になり得る。それでもなお、同じ物体である。更に、「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」という用語及びそれらの変形は、特に明示しない限り、「〜を有するが、限定されない」ことを意味する。列挙された項目の一覧は、特に明示しない限り、それらの項目のいずれか又は全てを相互に排他する及び/又は相互に含めることを暗に意味するものではない。「a」、「an」、及び「the」はまた、特に明示しない限り、「1つ以上」を表す。更に、用語「複数」は、「少なくとも2つ」として定義され得る。その上、特に明記しない限り、本明細書で定義されるように、複数の特定の特徴は、特定の特徴のセット又はクラス全体の全ての特定の特徴を必ずしも意味するものではない。
【0062】
加えて、1つの要素が別の要素に「連結」される本明細書における事例は、直接的及び間接的な連結を含むことができる。直接的連結は、別の要素に連結され、別の要素と何らかの接触している1つの要素として定義することができる。間接的連結は、互いに直接接触はしないが、連結された要素間に1つ以上の追加の要素を有する、2つの要素間の連結として定義することができる。更に、本明細書で使用される、1つの要素を別の要素に固定することは、直接的固定及び間接的固定を含むことができる。加えて、本明細書で使用される、「隣接する」は、必ずしも接触を示すものではない。例えば、1つの要素は、その要素と接触することなく、別の要素に隣接していてもよい。
【0063】
本明細書で使用される、語句「のうちの少なくとも1つ」は、項目のリストと共に使用される場合、リストされた項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用されてもよく、リスト内の項目のうちの1つのみが必要とされる場合があることを意味する。項目は、特定の物体、物事、又はカテゴリであってもよい。換言すれば、「のうちの少なくとも1つ」とは、項目又は項目の数の任意の組み合わせがリストから使用されてもよいが、リスト内の項目の全てが必要とされない場合があることを意味する。例えば、「項目A、項目B及び項目Cのうちの少なくとも1つ」とは、項目A;項目A及び項目B;項目B;項目A、項目B及び項目C;又は項目B及び項目Cを意味し得る。一部の場合には、「項目A、項目B及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、例えば、これらに限定されないが、項目Aのうちの2つ、項目Bのうちの1つ及び項目Cのうちの10個;項目Bのうちの4つ及び項目Cのうちの7つ;又はいくつかの他の好適な組み合わせを意味し得る。
【0064】
別途記載のない限り、「第1の」、「第2の」、などの用語は、本明細書では単にラベルとして使用され、これらの用語が参照する項目に順序、位置、又は階層的要件を課すことを意図するものではない。その上、例えば、「第2の」項目への言及は、例えば、「第1の」若しくはより低い番号の項目、及び/又は、例えば、「第3」若しくはより高い番号の項目の存在を必要とせず、又は排除しない。
【0065】
本明細書で使用される、特定の機能を実行するように「構成されている」システム、装置、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、更なる修正後に特定された機能を実行する可能性を単に有するだけではなく、いかなる修正も行わずに、特定の機能を実際に実行することが可能である。換言すれば、特定の機能を実行するように「構成されている」システム、装置、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、特定の機能を実行する目的で特別に選択、作成、実装、利用、プログラム、及び/又は設計される。本明細書で使用される、「構成されている」は、システム、装置、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を示し、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアが、更なる修正なしに特定の機能を実行することを可能にする。本開示の目的のために、特定の機能を実行するように「構成されている」と記載されているシステム、装置、構造体、物品、要素、構成要素、又はハードウェアを追加的に又は代替として「適合される」及び/又はその機能を実行するよう「作動する」と記載することができる。
【0066】
本明細書に含まれる概略フローチャート図は、概して、論理フローチャート図として記載される。したがって、描写された順序及びラベル付けされた工程は、提示される方法の一実施形態を示す。他の工程及び方法として、機能、論理、又は効果の点で、示された方法の1つ以上の工程、又はその部分と同等なものを着想してもよい。加えて、採用されるフォーマット及び記号は、方法の論理的工程を説明するために提供され、本方法の範囲を限定するものではないと理解される。様々な矢印のタイプ及び線のタイプがフローチャートで用いられ得るが、それらは対応する方法の範囲を限定しないものとして理解される。実際に、いくつかの矢印又は他のコネクタを使用して、方法の論理フローのみを示すことができる。例えば、矢印は、図示された方法の列挙された工程間の不特定の継続時間の待ち又は監視期間を示してもよい。加えて、特定の方法が行われる順序は、示される対応する工程の順序を厳密に順守してもよく、又は厳密に順守しなくてもよい。
【0067】
本主題は、その趣旨又は本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態で具現化されてもよい。説明された実施形態は、あらゆる点で、例示的であり、かつ制限的でないものと考慮されるべきである。特許請求の範囲の意味及び均等物の範囲内に収まる全ての変更は、それらの範囲に包含されるべきである。