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特許6983235ヘア製品を塗布するための化粧品のレフィル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983235
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ヘア製品を塗布するための化粧品のレフィル
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/04 20060101AFI20211206BHJP
   A45D 1/00 20060101ALI20211206BHJP
   A45D 7/06 20060101ALI20211206BHJP
   A45D 19/16 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A45D1/04 C
   A45D1/00 501Z
   A45D7/06
   A45D19/16
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-526540(P2019-526540)
(86)(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公表番号】特表2019-537484(P2019-537484A)
(43)【公表日】2019年12月26日
(86)【国際出願番号】EP2017079421
(87)【国際公開番号】WO2018091577
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年6月3日
(31)【優先権主張番号】1661218
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアール・メサジェ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ジョレ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・デュル
【審査官】 大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/097625(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0153461(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/139054(WO,A1)
【文献】 実開昭58−167603(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第03039988(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00〜97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を処理するためのシステム(2)のハウジングに取り外し可能に挿入されるよう意図された化粧品のレフィル(20)であって、
- 液体形態のヘア製品を収容するリザーバ(30)を形成する空洞を備える本体(23)であって、前記リザーバ(30)が開口部(31)を有している、本体(23)と、
- 前記開口部(31)を通って部分的に前記リザーバ(30)の中に延在する多孔質の塗布部材(26)であって、前記レフィル(20)が使用されるとき前記リザーバ(30)に固定され、前記塗布部材(26)が、前記リザーバ(30)の幅Kの部分のみに亘って延在し、前記塗布部材(26)が、前記リザーバ(30)内に含まれた前記ヘア製品と少なくとも部分的に接触し、かつ、少なくとも部分的に前記リザーバ(30)の中に延在している、少なくとも2つのより大きな向かい合った側面(27、28)を備える略平行六面体を有し、前記塗布部材(26)の平均孔径が5μm〜100μmである、多孔質の塗布部材(26)と、
を備える、レフィル。
【請求項2】
前記塗布部材(26)が、前記リザーバ(30)の高さH全体にわたって前記リザーバ(30)の中に延在し、前記リザーバ(30)の底部に載っている、請求項1に記載のレフィル。
【請求項3】
前記塗布部材(26)が、焼結材料から作られる、請求項1または2に記載のレフィル。
【請求項4】
前記塗布部材(26)が成形されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のレフィル。
【請求項5】
前記塗布部材(26)が、前記開口部(31)の断面よりも大きいかまたは前記開口部(31)の断面に等しい断面を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のレフィル。
【請求項6】
前記塗布部材(26)が、前記リザーバ(30)に取り外し可能に取り付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のレフィル。
【請求項7】
前記塗布部材(26)の厚さeが30mm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載のレフィル。
【請求項8】
前記リザーバ(30)が、実質的に円筒形状である、請求項1から7のいずれか一項に記載のレフィル。
【請求項9】
前記リザーバ(30)が、取り外し可能なストッパー(46)によって閉じられたヘア製品充填開口(48)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のレフィル。
【請求項10】
毛髪を処理するためのシステム(2)であって、
- 前記毛髪を処理するための装置と、
- 前記装置に取り付けられた、請求項1から9のいずれか一項に記載のレフィル(20)と
を備える、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムを使用して毛髪の房にヘア製品を塗布することにあるステップを含む、毛髪を処理するための方法。
【請求項12】
34Nの圧力をかけ、2cm/sの速さで前記装置を動かして、実質的に27cmに等しい長さを有する標準的な毛髪の房上に1回の塗布において堆積されるヘア製品の量が、0.005gから0.5gの間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
34Nの圧力をかけ、2cm/sの速さで前記装置を動かして、実質的に27cmに等しい長さを有する標準的な毛髪の房上に1回の塗布において前記レフィルで堆積されるヘア製品の量が、1回目の塗布から75回目の塗布までの間において、堆積される製品の量が最大50%変化する、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアトリートメントシステムにおいて使用することが意図された、ヘア製品を塗布するための化粧品のレフィルに関する。本発明はまた、このタイプのレフィルを含むヘアトリートメントシステム、およびそのようなシステムを使用して毛髪を処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(米国特許US8561620)は、製品が染み込んだ多孔質の塗布部材を備える化粧品のレフィルを記載している。このタイプのレフィルでは、その使用中に望み通りにヘア製品の塗布を一定にすることができない。毛髪に堆積される製品の量は、実際は、レフィルの使用回数に合わせて非常に急速に減少する。
【0003】
特許文献2(国際出願WO 2014/064660)および特許文献3(WO 2015/097625)は、製品を収容しているリザーバと、リザーバとは別個の多孔質の塗布部材とを有する、ヘア製品の塗布を可能にする化粧品のレフィルを開示し、製品は、ポンプによってリザーバから塗布部材に運ばれる。このタイプのレフィルは、ポンプの存在によりかなり複雑であって、製造するのに費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US8561620
【特許文献2】WO 2014/064660
【特許文献3】WO 2015/097625
【特許文献4】US 2009/0025247
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同様に、特許文献4(米国特許出願US 2009/0025247)は、リザーバと、多孔質の塗布部材とを含むヘア製品レフィルを開示し、多孔質の塗布部材は、部分的にリザーバに浸され、装置の使用中に毛髪と接触する。塗布部材への製品の供給は、レフィルの向きに応じて変わる傾向があり、これは、結果の均質性に好ましくない場合がある。製造および使用が容易で、時間により比較的一定である、ヘア製品の塗布の質を可能にするヘア製品レフィルの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その態様の第1によれば、本発明は、毛髪を処理するためのシステムのハウジングに取り外し可能に挿入されるように意図された化粧品のレフィルによってこの必要に応え、このレフィルは、
- 開口部を有するヘア製品のリザーバと、
- 開口部を通って部分的にリザーバの中に延在する多孔質の塗布部材であって、レフィルが使用されるときリザーバに固定される、多孔質の塗布部材と
を備える。
【0007】
塗布部材がリザーバにおいて移動できないことは、リザーバ内のヘア製品のレベル、またはヘア製品が毛髪に塗布されるとき塗布部材にかかる圧力に関わりなく同じであるリザーバ内の位置に塗布部材を有することを可能にする。したがって、毛髪を処理するとき送出される製品の量は、事実上、レフィルの向きに依存しない。塗布部材によるヘア製品の塗布は、それゆえより容易に制御可能および再現可能である。さらに、塗布部材が移動できないことは、ヘア製品がリザーバ開口部で漏出するリスクを下げる。
【0008】
好ましくは、レフィルは、リザーバを形成する空洞を備える本体を備え、ヘア製品は、好ましくは液体形態である。
【0009】
好ましくは、塗布部材は、リザーバの高さ全体にわたってリザーバの中に延在し、有利にはリザーバの底部に載っている(bear on)。これは、塗布部材が、レフィルの位置にかかわらず、リザーバに収容されているヘア製品に接触していること、および常にヘア製品を供給されることを可能にする。
【0010】
好ましくは、塗布部材は、リザーバの幅の一部分のみにわたって延在する。
【0011】
好ましくは、塗布部材は、リザーバの長さ全体にわたって延在する。
【0012】
好ましくは、塗布部材は、少なくとも2つの向かい合った側面であって、少なくとも部分的にリザーバの中に延在しており、リザーバに収容されているヘア製品と少なくとも部分的に接触している少なくとも2つの向かい合った側面を有する。ヘア製品と接触している2つの向かい合った側面があることは、ヘア製品と塗布部材との間のより大きい接触面面積、および塗布部材へのより均一な供給を可能にする。
【0013】
塗布部材は、毛管効果により製品を運ぶことができる任意の材料から作られてもよい。
【0014】
好ましくは、塗布部材は、塗布の時にその形状を保持するのに十分に硬いものである。これは、具体的には、望ましくないポンプ効果を避けることを可能にする。
【0015】
好ましくは、塗布部材が、焼結材料、具体的にはプラスチック、好ましくは熱可塑性プラスチックのフリット(frit)であり、たとえばポリオレフィンの具体的にはPEフリットから、たとえば、参照番号XS-49010でポレックス社(Porex Corporation)が販売しているフリットから作られる。
【0016】
好ましくは、塗布部材は成形されている。これにより、広範囲にわたる可能な形状を有することができる。
【0017】
好ましくは、塗布部材は、実質的に角柱形状、具体的には平行六面体、特に直角平行六面体(right parallelepiped)を有する。そのような形状は、製造がより容易である。
【0018】
好ましくは、塗布部材は、毛髪への塗布を円滑にするために、丸みを帯びた塗布表面を有する。
【0019】
材料の全体積に対する孔の体積の比率によって定義される、塗布部材のポロシティー(porosity)は、0.05から2の間、さらに良くは実質的に0.4に等しくてもよい。
【0020】
塗布部材は、0.11から0.25g/cm3の間の密度を有してもよい。
【0021】
平均孔サイズは、5から100μmの間、さらに良くは20から60μmの間であってもよい。このレベルのポロシティーは、ヘア製品を塗布部材にうまく保持することを可能にしつつ、依然として毛管効果によって塗布部材にヘア製品をうまく供給できるようにする。好ましくは、塗布部材が下向きになっているときには塗布部材はヘア製品が染み込むが、重力によっては前記製品が塗布部材から流れないように、塗布部材のポロシティーはヘア製品の粘度の働きに応じて選ばれる。
【0022】
塗布部材の厚さは、3cm以下であってもよい。そのような厚さは、2回の塗布の間にヘア製品が塗布部材に芯まで容易に染み込むことができることを意味する。塗布部材が細長い開口部にかみ合わせられるとき、厚さは、開口部の軸に、および塗布部材の縦軸に、直角に測定される。
【0023】
ヘア製品は、無水または水性組成物であってもよい。
【0024】
好ましくは、ヘア製品が油性形態であるとき、塗布部材は疎水性である。これにより、ヘア製品が油性形態であるとき、塗布部材においてヘア製品をより良く分配できる。
【0025】
好ましくは、ヘア製品が水性形態であるとき、塗布部材は親水性である。これにより、ヘア製品が水性形態であるとき、塗布部材においてヘア製品をより良く分配できる。
【0026】
好ましくは、塗布部材は、開口部の断面よりも大きいかまたは開口部の断面に等しい断面を有する。これは、開口部での塗布部材の把持を実現し、ヘア製品が開口部から漏れ出ないようにすることを可能にする。これにより、これらの2つの要素間にさらなる密封が存在する必要性がなくなる。
【0027】
好ましくは、アプリケータ部材は、リザーバと一体である。これにより、リザーバのより優れた密封を保証することができる。
【0028】
変形例では、塗布部材は、取り外し可能にリザーバに取り付けられる。これにより、これが望ましいとき、リザーバを変える必要なしに、摩耗した塗布部材を容易に取り替えることが可能になる。
【0029】
塗布部材は、単に、摩擦によって開口部に保持されてもよい。
【0030】
好ましくは、リザーバの本体は、実質的に円筒形状であり、具体的には、多角形の、たとえば長方形の底面を有する、または好ましくは円形の底面を有する。円形底面の円筒形リザーバでは、より大量のヘア製品を有しつつ、塗布部材に向かう漏斗の形状により、依然として製品と塗布部材との間で良好な接触を有することができる。塗布部材におけるヘア製品の分配は、したがって改善され、これは、レフィルのコストおよび環境影響を最適化する。
【0031】
リザーバに自由な形態で、すなわち塗布部材に含浸させている製品とは別に、収容されているヘア製品の量は、100ml以下であってもよい。
【0032】
リザーバは、取り外し可能なストッパーによって閉じられている、ヘア製品の充填開口を備えてもよい。
【0033】
好ましくは、リザーバには、空気戻りポート(air-return port)がない。塗布部材は、実際には、空気が戻れるように十分に多孔質である。変形例では、リザーバには、空気戻りポートがある。
【0034】
本発明のさらなる主題は、毛髪を処理するためのシステムであって、
- 毛髪を処理するための装置と、
- 装置に取り付けられた、本発明の第1の態様によるレフィルと
を備える、システムである。
【0035】
好ましくは、装置は、毛髪を処理するための閉じた構成(closed configuration)と、2つアーム間で処理される毛髪をかみ合わせるための開いた構成(spread configuration)との間で、互いに対して移動することができる前記2つのアームを備え、アームの1つはハウジングを備え、レフィルはハウジングに取り外し可能に配置される。
【0036】
レフィルが配置されるアームの反対側のアームは、蒸気出口を有し、好ましくはコームも有してもよい。
【0037】
好ましくは、特に毛髪をまっすぐにすることが目的であるとき、装置は、毛髪に接触するよう意図された加熱要素を備え、さらに良くは、2つの加熱要素を備え、各々がそれぞれのアームに配置される。この、またはこれらの加熱要素は、各々、適切な熱導体である材料から作られたプレートを備えてもよく、プレートは、毛髪に接触するための高温表面を定め、前記表面の温度はたとえば95℃以上、さらに良くは90から230℃の間である。
【0038】
好ましくは、製品は、蒸気を当てるおよび/または加熱要素によってまっすぐにするおよび/またはコーミングするより前に、装置に差し込まれた毛髪の房に塗布される。これにより、アームの間に差し込まれた毛髪は、蒸気および加熱要素にさらされる前に、塗布部材に接触することができ、毛髪の房は、装置のアームの間で動かされることになる。
【0039】
好ましくは、本発明による毛髪を処理するための装置は、具体的にはアームの閉じた構成で接触する平らな加熱要素を有するストレートナーである。
【0040】
本発明のさらなる主題は、上記で定義したように、本発明によるシステムを使用して毛髪の房にヘア製品を塗布することにあるステップを含む、毛髪を処理するための方法である。
【0041】
好ましくは、34Nの圧力をかけ、長さ27cmの標準的な80g/m2の紙のシート上で、2cm/sの速さでアプリケータを動かして、1回の塗布において堆積されるヘア製品の量は、0.005gから0.5gの間である。
【0042】
34Nの圧力をかけ、長さ27cmの標準的な80g/m2の紙のシート上で、2cm/sの速さでアプリケータを動かして、1回の塗布においてレフィルで堆積されるヘア製品の量は、1回目の塗布から75回目の塗布までの間において、堆積される製品の量が、最大50%、さらに良くは35%、一層良くは20%変化する場合がある。
【0043】
本発明は、その非限定的例示的実施形態の次の詳細な説明を読むことにより、また添付図面を調べることにより、よりよく理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】毛髪を処理するためのシステムの例の斜視図を示す図である。
図2図1のII-IIの横断面図である。
図3】レフィルの例の斜視図である。
図4図3のレフィルの例のIVに沿った図である。
図5】以下で説明する実施例1による、レフィルを使用して塗布されるヘア製品の量を表すグラフである。
図6図3および図4によるレフィルを使用して、以下で説明する実施例2による、塗布されるヘア製品の量を表すグラフである。
図7】変形レフィルを示す図である。
図8図7によるレフィルを使用して、以下で説明する実施例3による、塗布されるヘア製品の量を表すブラフである。
図9】別の変形レフィルを示す図である。
図10図9によるレフィルを使用して、以下で説明する実施例4による、塗布されるヘア製品の量を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
残りの説明において、同一もしくは同様の要素、または同一もしくは同様の機能を有する要素は、同じ参照符号を有する。より簡潔にするために、そのような要素は、すべての図に対して説明されず、実施形態間の違いのみが示されている。
【0046】
図1および図2は、本発明による毛髪を処理するためのシステムの例のハンドピース2を示す。
【0047】
このハンドピース2は、2つのあご3、4を有し、2つのあご3、4は、前記あごの間に毛髪の房を差し込むための開いた構成(図示せず)と、処理するための閉じた構成との間で、互いに対して移動することができる。
【0048】
あご3、4は、それぞれ上側アーム5および下側アーム6によって担持され、アームは、この例では、ジョイント8によって一端が互いに結合され、したがって、ハンドピース2はトングを形成する。
【0049】
上側アーム5および下側アーム6は、各々好ましくは22cmから37cmの間、好ましくは31cmの全長を有し、ジョイント8とあご3、4との間に、それぞれのハーフハンドル10、11を画定し、使用者はあご3、4を互いに閉じるためにハーフハンドル10、11を押下することができる。
【0050】
あご3、4を開いた構成に戻すために、好ましくは弾性戻り部材(見えない)が設けられ、この弾性戻り部材は、たとえば、ジョイント8の軸の周りに配置されたばねである。
【0051】
本発明は、上側アーム5および下側アーム6を互いに結合する特定の方法に限定されず、あご3、4は、本発明の範囲から逸脱することなく何らかの他の方法で移動できるようにされてもよい。しかしながら、ジョイントの存在は、ジョイントにより実現される人間工学のために大いに好ましい。
【0052】
あご3、4は、それらあごの間に毛髪を処理するための領域を画定し、前記領域は、処理される毛髪の房を受け入れるように意図され、ハンドピース2は、処理中に前記領域に沿って、たとえば毛髪の根元から先端への方向に、動かされる。
【0053】
この例では、ハンドピース2は、毛髪を蒸気で処理し、次いで2つの高温表面15および16との接触により毛髪に熱処理を行うために、ヘア製品を塗布するように構成される。
【0054】
図4に示す、毛髪を覆うハンドピース2の移動の方向Dは、好ましくは上側アーム5および下側アーム6に対して実質的に直角である。
【0055】
ハンドピース2は、この例では、処理中には固定され、かつ電源に接続されているベースステーション(図示せず)にリードによって接続されている。
【0056】
このベースステーションは、ハンドピース2に電力を提供し、蒸気を発生させるための水の供給も行い、ハンドピース2から受信される電気信号を処理するという追加の機能を行う場合もある。ハンドピース2をベースステーションに接続するリード18は、したがって、様々な電気導線、および給水パイプを備えてもよい。
【0057】
ハンドピース2には、たとえばハンドピースのいくつかの構成要素を起動するオプションを使用者に与えるために、ユーザインターフェース(図には示されていない)が存在してもよい。
【0058】
ヘア製品は、2つのアーム5またはアーム6のうちの一方によって、この場合は押下要素21と接触する上側アーム5によって、保持されるレフィル20によって塗布される。押下要素21は、取り外し可能であってもよい。
【0059】
図2においてより詳細にわかり得るように、レフィル20は、本体23と、ヘア製品用のリザーバ30と、処置領域を通って延在する毛髪と接触するように配置された多孔質の塗布部材26とを備える。
【0060】
レフィル20は、いずれかの手段によって、具体的には図2に示すように、本体23のリブを相補的な形状を持つ溝に滑り込ませることによって、アーム5または6に固定されてもよい。
【0061】
リザーバ30は、開口部31から外側に向かって開き、レフィルは製造されるときに塗布部材26が挿入軸Xに沿って挿入される。
【0062】
図3および図4において本体23の例をさらに詳細に示す。
【0063】
本体23は、縦軸Z上の細長い直方体の全体的な形状を有してもよい。断面においては、図2に示すように、本体23は開口部31を形成するためにその一側、具体的にはそのより小さい一側で部分的に開いた長方形形状を有してもよい。
【0064】
本体23は、2つの側壁34および36ならびに底部42によって結合される、互いに向かい合う前壁38および後壁40を備える。壁34および36は、内側に向かって戻り部44を有し、それらの間に、塗布部材26を通すための開口部31を画定する。
【0065】
本体23の内部空洞は、リザーバ30を形成する。
【0066】
リザーバ30は、たとえば、側壁34および36の間に定められる、約10mmに等しい幅Kと、約90mmに等しい、縦軸Z上の長さLと、底部42と開口部31との間に画定される、約20mmに等しい高さHとを有する。リザーバ30は、液体形態のヘア製品を収容している。
【0067】
塗布部材26は、実質的に直方体形状である。
【0068】
塗布部材26は、開口部31を通ってリザーバ30の中に、リザーバの高さ全体にわたり、その幅の部分のみに、その全長にわたって延在する。
【0069】
塗布部材26の高さpは、したがって、リザーバ30の高さHよりも大きく、その厚さeは、リザーバ30の幅Kよりも小さく、その長さは、リザーバ30の長さLに実質的に等しい。塗布部材26の厚さeは、開口部31の幅に実質的に等しいか、開口部31の幅よりもわずかに大きい。塗布部材は、約21mmに等しい高さk、および約3mmに等しい厚さeを有する。
【0070】
塗布部材は、塗布部材のより大きい向かい合った側面27および28のうち、リザーバ30の中に延在している部分によって、リザーバ30に収容されているヘア製品と接触している。その上側表面29は、本体23の底部42と接触している。
【0071】
塗布部材26は、約1mmに等しい高さmにわたって本体23の外側に延在する。
【0072】
本体23は、熱可塑性プラスチック、たとえば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン、コポリエステル、具体的にはTritan(登録商標)、エラストマーまたはそれらの混合物、具体的にはPBTおよびPETの混合物から作られる。
【0073】
塗布部材26は、多孔質の、疎水性焼結材料から作られ、具体的にはPE、たとえば前に定義したPorex(登録商標)から作られる。孔サイズは、好ましくは20から60μmの間である。
【0074】
好ましくは、レフィル20は、塗布部材26が開口部31を通ってレフィル20から手動で取り外せるように製造される。
【0075】
本体23は、ストッパー46によって閉じられた、ヘア製品の充填開口48を備える。そのような開口48は、リザーバ30が空であるとき、塗布部材を取り除くことなくリザーバ30を満たすことができるようにする。
【0076】
図7および図9に示す変形例では、本体23は、円形の底面を有する実質的な円筒形状であって、塗布部材26は、本体23の円筒側壁の開口部31に差し込まれ、本体の両端の円形壁は、レフィル20の前壁38および後壁40を形成する。リザーバ30の充填を可能にするために、円形壁38および40の少なくとも一方を取り外すことが可能であってもよい。
【0077】
図9に示す変形態では、塗布部材26は、約5mmに等しい厚さeを有し、レフィル20は、開口部31にシール50を備え、シール50は、塗布部材26と開口部31の縁部との間の密封を保証することを可能にする。
【実施例1】
【0078】
この例では、レフィルは、空洞を有する本体と、空洞を満たす多孔質の塗布部材とを備える。塗布部材は、21mmの高さおよび10mmの厚さに対して、90mmの長さを有し、実質的に0.13g/cm3に等しい密度を有する不織多孔質部材である。塗布部材は、飽和状態までヘア製品が染み込む。
【0079】
レフィル20に差し込まれたヘア製品は、無水セラム液(anhydrous serum solution)である。
【0080】
レフィルは、上記で説明した図1および図2のシステムに取り付けられる。
【0081】
システムは、実質的に27cmに等しい長さを有する標準的な毛髪の房の端部で閉じられ、2cm/sの速さで前記房に沿って動かされる。毛髪の房にヘア製品を塗布するこの動作は、各動作の間および新しい標準的な毛髪の房を取る各時間の間にレフィルを変えることまたは充填することなく75回繰り返される。各毛髪の房は、房に塗布されたヘア製品の量を確認するために重さを量られている。
【0082】
図5によるグラフは、システムが標準的な毛髪の房に使用された回数に応じた各動作において塗布されるヘア製品の量を表す。
【0083】
塗布されるヘア製品の量は、塗布の回数に応じて大きく変わる。上記の量は、7回目の動作では0.45gであり、75回目の動作では0.05g未満である。房当たりに測定されるヘア製品の量の変化は、85%よりも大きい。
【実施例2】
【0084】
この例では、レフィル20は、図3および図4に示すようなものである。
【0085】
塗布部材は、20から60μmの間の平均孔サイズを有する、疎水性のポリエチレンから作られた多孔質材料である。
【0086】
レフィルに収容されているヘア製品は、実施例1のヘア製品と同じである。レフィルに収容されているヘア製品の重さは、約7.2gである。
【0087】
レフィル20は、実施例1のシステムと同一のシステムに取り付けられている。
【0088】
ヘア製品は、実施例1の動作方法と同じ動作方法により、実施例1の房と同一の標準的な房に塗布される。
【0089】
図6によるグラフは、システムが標準的な毛髪の房に使用された回数に応じた各動作において塗布されるヘア製品の量を表す。
【0090】
塗布されるヘア製品の量は、1回目の動作と75回目の動作との間で実質的に一定である。実施例1とは異なり、観測できる有意な減少がない。
【0091】
測定されるヘア製品の量は、房当たり0.064g+/-0.02gである。房当たりに堆積されるヘア製品の量の変化は、35%未満である。
【実施例3】
【0092】
この例では、レフィル20は、図7に示すようなものである。
【0093】
塗布部材は、実施例2の塗布部材と同一である。レフィルに収容されているヘア製品は、実施例1および実施例2のヘア製品と同じである。
【0094】
レフィルに収容されているヘア製品の重さは、約3.8gである。
【0095】
レフィル20は、実施例1および実施例2のシステムと同一のシステムに取り付けられる。
【0096】
ヘア製品は、実施例1および実施例2のシステムと同一の標準的な房に塗布され、同じ動作方法が使用される。
【0097】
図8によるグラフは、システムが標準的な毛髪の房に使用された回数に応じた各動作において塗布されるヘア製品の量を表す。
【0098】
塗布されるヘア製品の量は、1回目の動作と75回目の動作との間で実質的に一定である。実施例1とは異なり、観測できる有意な減少がない。
【0099】
測定されるヘア製品の量は、房当たり0.0126g+/-0.0025gである。房当たりに堆積されるヘア製品の量の変化は、20%未満である。
【実施例4】
【0100】
この例では、レフィル20は、図9に示すようなものである。
【0101】
塗布部材は、20から60μmの間の平均孔サイズを有する、疎水性のポリエチレンから作られた多孔質材料である。
【0102】
レフィルに収容されているヘア製品は、実施例1および実施例2のヘア製品と同じである。
【0103】
レフィルに収容されているヘア製品の重さは、約3.4gである。
【0104】
レフィル20は、実施例1および実施例2のシステムと同一のシステムに取り付けられる。
【0105】
ヘア製品は、同じ動作方法により、実施例1および実施例2の房と同一の標準的な房に塗布される。
【0106】
図10は、システムが標準的な毛髪の房に使用された回数に応じた各動作において塗布されるヘア製品の量を表す。
【0107】
測定されるヘア製品の量は、1回目の動作と75回目の動作との間で実質的に一定である。実施例1とは異なり、観測できる有意な減少がない。
【0108】
測定されるヘア製品の量は、房当たり0.0364g+/-0.0016gである。房当たりに堆積されるヘア製品の量の変化は、5%未満である。
【0109】
上記の実施例2〜実施例4はしたがって、本発明が、房を処理するための少なくとも75回の塗布の時間にわたって実質的に一定であるヘア製品の塗布を得られるようにすることを明確に示す。
【0110】
本発明は、上記で説明した実施形態に限定されない。
【0111】
たとえば、塗布部材は、直方体形状以外の形状を有してもよい。
【符号の説明】
【0112】
2 ハンドピース
3 あご
4 あご
5 上側アーム
6 下側アーム
8 ジョイント
10 ハーフハンドル
11 ハーフハンドル
15 高温表面
16 高温表面
18 リード
20 レフィル
21 押下要素
23 本体
26 塗布部材
27 側面
28 側面
29 上側表面
30 リザーバ
31 開口部
34 側壁
36 側壁
38 前壁
40 後壁
42 底部
44 戻り部
46 ストッパー
48 充填開口
50 シール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10