(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983237
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】可変周波数ドライブのパケットベースのネットワーキング
(51)【国際特許分類】
H02P 27/08 20060101AFI20211206BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20211206BHJP
【FI】
H02P27/08
H02M7/48 E
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-528465(P2019-528465)
(86)(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公表番号】特表2019-536417(P2019-536417A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】US2017063084
(87)【国際公開番号】WO2018098333
(87)【国際公開日】20180531
【審査請求日】2019年7月1日
(31)【優先権主張番号】62/425,711
(32)【優先日】2016年11月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519184871
【氏名又は名称】キミドライブ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】KIMIDRIVE LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100172591
【弁理士】
【氏名又は名称】江嶋 清仁
(72)【発明者】
【氏名】マイケル レダ, サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】サミ, ブトロス
【審査官】
佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−149709(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/136627(WO,A1)
【文献】
特開2002−212844(JP,A)
【文献】
特開2007−124858(JP,A)
【文献】
特開2014−183648(JP,A)
【文献】
特開2008−131453(JP,A)
【文献】
特開2015−154280(JP,A)
【文献】
特開平08−214564(JP,A)
【文献】
特開平07−177794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 4/00
H02P 6/00−6/34
H02P 21/00−25/03
H02P 25/04
H02P 25/08−31/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがモータを駆動するためのパルス幅変調(PWM)信号を発生するように構成された2以上の可変周波数ドライブ(VFD)を制御する方法であって、複数の連続する時間間隔のそれぞれにおいて、
それぞれの制御されるVFDについて、所望のPWM信号を発生するため、次の時間間隔のための前記VFDのパワーセクションの複数のパワートランジスタをスイッチするための複数の駆動信号を計算し、
それぞれのVFDのためのダウンリンク(DL)送信パケットの単一のメインDLフレームでそれぞれのVFDへ前記複数の駆動信号を無線送信する方法であり、
それぞれのVFDのための前記DL送信パケットは前記VFDについてのユニークな識別子を含み、前記DL送信パケットはパケット交換ネットワークを介して送信されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記駆動信号は各々のパワートランジスタをオンかオフにスイッチする別々の指示を含み、さらに前記スイッチするタイミングを指示する方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
1以上の前記時間間隔において、前記送信パケットの付加的なDLフレームで命令又はパラメータ値を1以上のVFDへ追加的に送信することをさらに特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法であって、
前記メインDLフレームのヘッダは前記送信パケット内に付加的なDLフレームが有ることを示す指示フィールドを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
付加的なDLフレームで前記VFDに自律的に動作をするための第1の命令を送信し、
前記第1の命令に応じて、前記自律的なVFDへメインDLフレームでの駆動信号の前記送信を中止し、
付加的なDLフレームで制御されるべき前記VFDに第2の命令を送信し、
前記第2の命令に応じて、前記自律的なVFDへメインDLフレームでの駆動信号の前記送信を再開することをさらに特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法であって、
1以上の前記時間間隔において、アップリンク(UL)送信パケットのメインULフレームで前記VFD又はモータの状態に関するフィードバックを1以上のVFDから受信することをさらに特徴とする方法。
【請求項7】
それぞれがモータを駆動するためのパルス幅変調(PWM)信号を発生するように構成された2以上の可変周波数ドライブ(VFD)を制御するように構成されたコントローラであって、前記コントローラは無線送受信機を含み、
前記無線送受信機と動作可能に接続されたプロセッサであって、複数の時間間隔のそれぞれにおいて各々の制御されるVFDについて、所望のPWM信号を発生するために、次の時間間隔のための前記VFDのパワーセクション内の複数のパワートランジスタをスイッチするための複数の駆動信号を計算し、
前記複数の駆動信号を、それぞれのVFDへ、それぞれのVFDのための送信パケットの単一のメインダウンリンク(DL)フレームで無線送信するように構成されたプロセッサを特徴とするコントローラであり、
それぞれのVFDのための前記送信パケットは前記VFDについてのユニークな識別子を含み、前記送信パケットはパケット交換ネットワークを介して送信されることを特徴とするコントローラ。
【請求項8】
リモートコントローラによって制御される可変周波数ドライブ(VFD)によりモータを駆動するためのパルス幅変調(PWM)信号を発生する方法であって、複数の連続する時間間隔において、
ダウンリンク(DL)送信パケットの単一のメインDLフレームで、次の時間間隔で前記VFDのパワーセクションの複数のパワートランジスタをスイッチするための複数の駆動信号を前記コントローラから無線で受信し、
前記次の時間間隔において、前記受信された駆動信号に従って、前記PWM信号を発生するために前記複数のパワートランジスタをスイッチする方法であり、
それぞれのVFDのための前記送信パケットは前記VFDについてのユニークな識別子を含み、前記送信パケットはパケット交換ネットワークを介して送信されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記駆動信号は各々のパワートランジスタをオンかオフにスイッチする別々の指示を含み、さらに前記スイッチするタイミングを指示する方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の方法であって、
1以上の前記時間間隔において、前記DL送信パケットの付加的なDLフレームで命令又はパラメータ値を追加的に受信することをさらに特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の方法であって、
前記メインDLフレームのヘッダは前記送信パケット内に付加的なDLフレームが有ることを示す指示フィールドを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
付加的なDLフレームで自律的に動作するための第1の命令を受信し、
前記第1の命令に応じて前記パワートランジスタをスイッチするための駆動信号を発生し、
付加的なDLフレームで、再び制御されるために第2の命令を受信し、前記第2の命令に応じて、前記コントローラから各々の時間間隔で受信される駆動信号に従って前記パワートランジスタをスイッチすることを再開することをさらに特徴とする方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか1項に記載の方法であって、
1以上の前記時間間隔において、アップリンク(UL)送信パケットのメインULフレームにおいて前記VFD又は前記モータの状態に関するフィードバックを前記コントローラへ無線送信することをさらに特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記フィードバックは、瞬間のモータ速度、瞬間のモータ電流、パワートランジスタの温度、モータのロータの温度、DCバス電圧、及び電流と電圧からモータ速度を計算するためのコントローラへの指示の内の1つ以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法であって、
前記UL送信パケットは前記VFDの1以上の動作パラメータを含む付加的なULフレームを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記メインULフレームのヘッダは前記UL送信パケット内に付加的なULフレームが有ることを示す指示フィールドを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記メインULフレームのヘッダは前記動作パラメータが属するパラメータグループを示すグループ識別フィールドを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
モータを駆動するためのパルス幅変調(PWM)信号を発生するように構成された可変周波数ドライブ(VFD)であって、リモートコントローラにより制御され、無線送受信機を含み、
前記無線送受信機と動作可能に接続されたプロセッサであって、複数の連続する時間間隔で前記コントローラから、ダウンリンク(DL)送信パケットの単一のメインDLフレームで、次の時間間隔に前記VFDのパワーセクションにおける複数のパワートランジスタをスイッチするための複数の駆動信号を無線で受信し、
前記次の時間間隔において、前記受信された駆動信号に従って、前記PWM信号を発生するために前記複数のパワートランジスタをスイッチするように構成されたプロセッサを特徴とするVFDであり、
それぞれのVFDのための前記送信パケットは前記VFDについてのユニークな識別子を含み、前記送信パケットはパケット交換ネットワークを介して送信される可変周波数ドライブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年11月23日に出願された米国仮特許出願62/425,711についての優先権を主張する。その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は基本的に可変周波数ドライブ(VFD)に関し、とりわけパケット交換ネットワークを介したVFDの制御に関する。
【背景技術】
【0003】
電気モータの速度、トルク、始動、制動などの運転特性はモータに供給される電流の大きさとタイミングによって制御される。制御される電流供給の一般的な形態はパルス幅変調(PWM)であり、パルスのデューティサイクル又は方形波の信号が、ゼロと最大レベルとの間で所望の大きさの平均電流を供給するように制御される。電子的可変周波数ドライブ(VFD)はモータを駆動するためにPWM電流信号を発生する回路である。
【0004】
図1は、モータ16に駆動信号を供給する代表的なVFD10のブロック図を示す。一般的に言えば、VFD10は、出力電流を発生するパワーセクション12、プログラムされた又はユーザ入力パラメータに従ってパワーセクション12を制御するコントローラ14を備える。VFD10は通常は回路に接続されており、要求されるモータ制御とアプリケーションの複雑さに依存して、ポテンショメータ、ローカルのプログラマブルロジックコントローラ(PLC)、又は他のVFD10を介して制御される。
【0005】
VFD10の機能を説明する簡単な方法は、コントローラ14、パワーセクション12及びそれが駆動するモータをそれぞれ脳、筋肉、人体の残りに例えることである。身体からある動きプロファイルが望まれると、脳は所望の方法で身体部位を的確に動かすために必要な電気信号を筋肉へ送る。神経系を介して脳へ送られるフィードバック信号は身体部位の位置、その速度、もしあればそれが経験する抵抗を脳へ与える。人体におけるこれらの量を測定するセンサは目と筋肉それ自体である。人体の重さ又は外部の負荷が所望の動きプロファイルを邪魔している場合は、目は脳へ、ある意味で、脳が見出した実速度が所望の速度を下回ることを知らせる。また、筋肉は抵抗する負荷を克服するのに十分な力を発生するためにより収縮が必要であることを脳へ知らせる。VFDの世界では、目はモータシャフトに取り付けられたインクリメントする速度エンコーダ又はレゾルバであり、筋肉の収縮はモータへ届けられるVFDの出力電流である。筋肉はそのような収縮を測定するメカニズムを含む。同様に、パワーセクション12は、モータ16へ供給される電流を測定し、コントローラ(脳)へそれをフィードバックする電流センサを含む。
【0006】
現在の最新技術の3相モータおいて、パワーセクション12は、それぞれが逆並列フリーホイールダイオードを有する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)又はMOSFETのような6個のパワートランジスタを含む。IGBT又はMOSFETは、各々のハーフブリッジが2つのトランジスタから構成される、3つのハーフブリッジに配置される:DCリンクの正負のレールに上側の1つと下側の1つとがそれぞれ接続される。モータ電流は各々のハーフブリッジの上側と下側のトランジスタの間の中点から出力される。いくつかのケースでは、電気制動(electric braking)における電圧チョッパとして動作する第7のトランジスタがある。この追加のトランジスタは、電気制動の間の過剰な電圧の増大を避けるために一定の許容範囲内にDCリンク電圧を保つような方法でオン及びオフする。最新のVFD10においては、6個(又は7個)のトランジスタがIGBTモジュール、トランジスタモジュール又はパワーモジュールと呼ばれる1つの筐体内に存在し、場合によっては電圧整流器も、場合によってはトランジスタゲートドライブ回路も組み込まれる。パワーセクション12は、出力電流、DCリンク電圧、トランジスタモジュールの温度、実際のモータシャフト速度及び位置の少なくともいずれか、パワーセクション12の過電圧又は過電流を示す各種の障害信号、その他同様なものを示す各種のフィードバック信号もコントローラ14へ送る。
【0007】
コントローラ14はパワートランジスタをオン及びオフにスイッチする働きをする6つ(又は7つ)のゲート信号を生成する。これらのゲート信号は、トランジスタに、駆動されるモータの要求される瞬間速度をぴったりと追跡する基本周波数のPWM電圧を発生させる。
【0008】
VFD10と人体との間の前のメタファーを更に一歩進めると、所定の運動プロファイルを実行することの決定は、脳内局所的に生じるか他の外部のマスタ又はピアからそれに送信され得る。駆動自動化語法(drive automation parlance)において、第1のケースは外部の観察に応じて複雑な動きプロファイルを生成するようにプログラムされた十分に高度なVFDコントローラ14に対応する。第2のケースは
図1にも示されるように、その命令をマスタコントローラ18から取り込むVFD10に対応する。マスタコントローラ18は1つの場所でVFD10のグループを駆動するプログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マスタ/スレーブ接続シナリオにおいてマスタVFD10、又は分散化インストールシナリオにおいてピアVFD10であってよい。後の制御構成の一例は区分されたコンベアアプリケーションであり、コンベアの各々の区分は別個のドライブ(VFD10とモータ16の組み合わせ。)により実行される。このアプリケーションでは、近接センサ又は隣接のVFD10は、引き継ぐときや停止するときにVFD10と通信する。
図1に示されるように、マスタコントローラ18は、速度、位置、又はトルクセットポイント及び各種のパラメータ設定のような高レベル命令をVFD10へ提供してもよい。そして、VFD10はマスタコントローラ18へフィードバック信号を追加的に提供してもよい。
【0009】
現在の最新技術
・コントローラ14とパワーセクション12は同じ筐体内にある。同じプリント回路基板(PCB)上又はヘッダコネクタを介して共に接続される異なる基板上のいずれかである。
【0010】
・コントローラ14はプリセットされた速度プロファイルに従ってモータを駆動するのに必要なPWM信号を発生するためにパワートランジスタをオン及びオフにスイッチするためのゲート信号を発行する。前記速度プロファイルは、マスタコントローラ18(外部の)、VFD10にローカルに格納されたプログラム(命令セット)又はポテンショメータを介する手動設定により指示され得る。
【0011】
・外部のマスタコントローラ18は通常はVFD10と同じ場所にあるPLCである。PLCのプログラミングはささいな仕事ではない。また、いくつかのアプリケーションにおいて、条件は同じ場所にあるマスタコントローラのインストールにとって非常に厳しくなり得る(アクセス可能性、ケーブル長、高さ(elevation)、温度、塵など)。
【0012】
・マスタコントローラ18は、ワイヤケーブルを介してアナログ又はデジタル信号として速度又は位置の設定点(set point)のような高次レベル信号のみを送信する。VFD10はローカルに記憶されたプログラムを介してこれらの入力に反応するよう指示される。コントローラ14はマスタコントローラの高レベル入力に基づいてパワートランジスタに対するゲート信号を発生する。
【0013】
・VFD10のプログラムを変更したい場合、それはオンザフライ(on the fly)で行うことはできない。パーソナルコンピュータかラップトップが、プログラムを編集又はアップデートするために規格インタフェース(例えばUSB)を介してVFD10に接続されなければならない。このような変更が頻繁に行われなければならない場合、それは面倒なタスクである。
【0014】
・マスタコントローラ18とVFD10との間の接続は、ケーブルを取り付けるコストとメインテナンス(これは現実的には稀なケースだが)を避けるために無線接続(例えばブルートゥース(登録商標)又は無線プロフィバス(wireless profibus))であり得る、しかしマスタコントローラ18はVFD10と同じ場所に配置されなければならず、それはゲート信号を発生も発行もしない。それは設定点を発行するだけで、コントローラ14はそれらをそのローカルなプログラミングに従ってゲート信号に変換する。PWMモータ駆動信号を発生するためのパワートランジスタを直接スイッチする、ゲート信号の厳しいタイミング要求を満たすことが必要である。
【0015】
・VFD10は、速度リミット、電流リミット、速度のランプアップ(ramp up)及びダウン時間等、並びにそのアナログ及びデジタルI/Oの定義など、そのパラメータセットの値を格納するためにオンボードに十分なメモリを有する。例えば、第1のデジタル入力は動作/停止などに対応するように形成されてもよい。より高度なVFD10は、VFD10に動きプロファイルを実行し、外部入力に対して所定の方法で反応すること命じる所定の命令セットを運んでもよい。
【0016】
実際のVFD10は
図1のブロック図に示されていない追加の回路を含む。例えば、VFD10は、各種電子基板へ動作電力を供給するDC電源装置、パワートランジスタにより発生される余計な熱を放熱するためのヒートシンク、コントローラにより発行された弱いゲート信号を強めてそれらをパワートランジスタを駆動できるように形成するための電流アンプとして動作するゲート駆動回路、オペレータが検査し制御命令を与えるためのキーパッド又はスクリーンのような入出力手段、及び他のアクセサリーなどを含んでいてもよい。
【0017】
本書の背景は、技術的及び動作のコンテキストにおいて本発明の実施形態を置くために提供され、当業者がそれらの範囲と実用性を理解するのをアシストする。背景に記載されたアプローチは追及されることができるが、必ずしも以前に思いつかれた又は追及されたアプローチではない。明示的にそのようなものとして特定されていない限り、ここの記載は背景に含まれるだけで先行技術とは認められない。
【発明の概要】
【0018】
当業者に基本的な理解を提供するために開示の簡略な概要を以下に提示する。この概要は開示の広範囲にわたる概観ではなく、本発明の実施形態の重要/主要な要素を特定すること又は本発明の範囲を線引きすることを意図するものでもない。この概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、簡略な形式でここに開示されたいくつかの概念を提示することである。
【0019】
本開示の例示的な実施形態において、1以上のVFDはパケットネットワークに接続され、VFDコントローラにより通常実行される制御機能のいくつかはパケットネットワーク内に配置されたソフトウエアコントローラにより実行される。パケットネットワークは有線又は無線ネットワークであり得る。VFDの制御は、(1)パケットネットワークを介してVFDと通信するいくつかの集中ソフトウエアコントローラを使う集中化、及び/又は(2)VFDがパケットネットワークを介してお互いにピア接続できるケースで、例えば引き継ぐベルトコンベアについてVFDが次のVFDに問うように、制御状態を通信する分散化、とすることができる。本発明は言い換えれば、
【0020】
制御はVFDから地理的に分離することができ、より大きな、よりパワフルなコンピュータ又は携帯機器がVFDをモニタ又は遠隔制御するために使用できる。
【0021】
コントローラは高次レベル命令を発行するのではなく、むしろその所望の動きプロファイルを実現するためにパワートランジスタをオン及びオフにする低レベルのゲート信号を発行する。
【0022】
これらのゲート信号は遠隔のコンピュータで算出されてダウンリンク方向のパケットネットワークを介してVFDへ送られる。
【0023】
コントローラは、ゲート信号の算出を生成するのに役立つように、瞬間のモータ速度、モータ温度、トランジスタ温度、モータトルク、モータ電流、DCバス電圧などについて詳細なフィードバックを受け取る。これらのフィードバック信号はアップリンク方向においてパケットネットワークを介して送信される。
【0024】
L2/L3ネットワークアドレスが複数のVFDのそれぞれに割り当てられ、いずれの事業のITアプリケーションと同様にいずれのVFDは遠隔的にモニタされ制御されてもよい。
【0025】
VFDと外部のコントローラの間のデータは双方向でブロック(パケット)で送信される。1以上のパケットフォーマットエンコーディングが、所与のVFDを制御/モニタするために必要なものをエンコードするための必要なビットを搬送するために提案される。IP又はUDPなどのシンプルなトランスポートプロトコルがVFD間でパケットフレームを搬送するために使用されてもよい。
【0026】
データパケットは送信時間間隔(TTI)内に送信される。
【0027】
1つのTTIはPWM期間毎に必要とされ、少量の情報を搬送する。典型的なPWM周波数は4、8、12、又は16kHzであり、パケットネットワークによって容易にサポートできる。
【0028】
スケールするために、コントローラの連合(federation)はスケールアウトでき、より多くのVFDを制御/モニタすることができる。コントローラの連合はアクティブ/アクティブ及びアクティブ/スタンバイの冗長性を追加的に提供することができる。
【0029】
VFDのネットワークの制御/モニタのためのパケットネットワークへの収束は、パケットネットワークにおいて利用可能な弾力性と冗長性から利益を得るだろう。ソフトウエアコントローラはパブリックなクラウドからオンプレミス(on premise)又は遠隔で実行することができる。制御はモビリティアプリケーションを介して提供される。この制御は集中コントローラからでもでき、又は一つの(スーパー)VFDから他のVFDへも可能である。
【0030】
一実施形態は、各々のVFDがモータを駆動するPWM信号を発生するように構成された、1以上のVFDを制御する方法に関する。各々の制御されるVFDに対して、複数の駆動信号が計算される。駆動信号は、所望のPWM信号を発生するために、VFD内の複数のパワートランジスタをある時間間隔でスイッチするように構成される。複数の駆動信号が無線で各々の制御されるVFDへ、それらが適用される時間間隔の前に、少なくとも送信パケットのメインダウンリンク(DL)フレームで送信される。他の実施形態は、各々のVFDがモータを駆動するPWM信号を発生するように構成された、1以上のVFDを制御するように構成されたコントローラに関する。コントローラは無線送受信機と、無線送受信機に動作可能に接続されたプロセッサを含む。プロセッサは、各々の制御されるVFDについて、所望のPWM信号を発生するために、ある時間間隔でVFD内の複数のパワートランジスタをスイッチするための複数の駆動信号を計算するように構成される。プロセッサはさらに、複数の駆動信号を、各々の制御されるVFDへ、それらが適用される時間間隔の前に、少なくとも送信パケットのメインダウンリンク(DL)フレームで無線で送信するように構成される。
【0031】
さらに別の実施形態は、リモートコントローラにより制御されるVFDにより、モータを駆動するためのPWM信号を発生する方法に関する。時間間隔についての複数の駆動信号はコントローラから、受信パケットのメインダウンリンク(DL)フレームにおいて、無線で受信される。後続の時間間隔において、複数のパワートランジスタは、受信された駆動信号に従って、PWM信号を発生するためにスイッチされる。
【0032】
さらに別の実施形態は、モータを駆動するためのPWM信号を発生するように構成されたVFDに関する。VFDはリモートコントローラにより制御され、無線送受信機と、無線送受信機に動作可能に接続されたプロセッサを含む。プロセッサは、受信パケットのメインダウンリンク(DL)フレームにおいて、時間間隔に対する複数の駆動信号を無線で受信するように構成される。そして、後続の時間間隔で、受信された駆動信号に従って、PWM信号を発生するために複数のパワートランジスタをスイッチする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して以下により十分に説明される。しかし、本発明はここで明らかにされる実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は開示が徹底的かつ完全になり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。全体を通じて同じ番号は同じ要素を参照する。
【
図2】
図2は本開示の一実施形態によるVFDのネットワークを示す。
【
図3】
図3はVFDからマスタコントローラへ送られるアップリンク(UL)フレームについての構造を示す。
【
図4】
図4はコントローラからVFDへ送られるダウンリンク(DL)フレームについての構造を示す。
【
図5】
図5はULフレームの例示的なヘッダを示す。
【
図6】
図6はDLフレームの例示的なヘッダを示す。
【
図7】
図7は1つ以上のVFDを制御するリモートコントローラによって実施される例示的な方法100を示す。
【
図8】
図8はモータを駆動するPWM信号を発生するVFDによって実施される例示的な方法200を示す。
【
図9】
図9はオンボードコントローラ無しの例示的なVFDの概略図。
【
図10】
図10はオンボードコントローラ有りの例示的なVFDの概略図。
【
図12】
図12はオンボードコントローラ無しの例示的なVFDの詳細なブロック図。
【
図13】
図13はオンボードコントローラ有りの例示的なVFDの詳細なブロック図。
【
図14】
図14はオンボードコントローラ無しの例示的なVFDの別の詳細なブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
簡素化と説明に役立つ目的のために、本発明は例示的実施形態を主に参照することにより説明される。以下の説明において、本発明の徹底的な理解を提供するために多くの特定の詳細が説示される。しかし、本発明はこれらの特定の詳細に限定されずに実施できることは当業者には容易に明らかであろう。この説明において、周知の方法と構成は、本発明を不必要に不明瞭化しないように詳細には説明されない。また、図において使用される同じ参照番号は同じ構成を参照する。
【0035】
図2は特定のサイトでのVFD20間の新規接続スキームを示す。この接続スキームはVFD20が外界と同様にお互い同士が通信することを可能にする。各々のVFD20はもののインターネット(IoT)ネットワークのノードとして見られ、バックボーンはパケットベースのネットワークである。1つの場所にあるVFD20のグループを、そのVFDを、1)同じ基本サービスセット(BSS)内に配置されたマスタコントローラ30、2)1より多いBSSを束ねる分散システム、及び/又は3)有線世界と間でデータをやりとりするパケットゲートウエイ50、と接続するBSSごとに1つのアクセスポイント(AP)40を有するパケットネットワーク(例えば、802.1.1xx)におけるBSSの局(STA)として見ることができる。以下により詳細に説明するように、接続スキームは、VFD20のパワーセクション22(
図10)のパワートランジスタをスイッチするよう働く低レベルのゲート信号の発生をマスタコントローラ30へ移動させることを可能にする。別の実施形態では、VFD10とコントローラ20の間のメディエータ(mediator)として動作するAP40は完全に除外されるか、コントローラ20自身に統合することができる。
【0036】
図2は、BBS1とBBS2とラベル付された2つのグループの複数のVFD20を含む1以上の実施形態に係るパケットベースのVFDネットワークを示す。また
図2はマスタコントローラ30を配置する可能性を示す。同じBSS内に一緒に、異なるBSS内に又は工業サイトから地理的に離れて配置することができる。これが、パケットゲートウエイ50がDSを有線インターネットへ接続して、コントローラの離れた場所とデータをやり取りするために必要な理由である。マスタコントローラ30が同じBSS内に一緒に配置される場合、それはVFD20の1つに組み込まれることすらでき、それはスーパーVFDとして考えることができる。スーパーVFD20は、ここで説明されるように、パケットネットワークを介して他のVFD20と通信しかつ駆動命令を与えることに加えてそれ自身の負荷を駆動する能力を有する。名前が示唆するように、アップリンク及びダウンリンク情報はVFD20とコントローラ30/スーパーVFD20との間でパケットで送信される。これはVFDデータの性質に完全に適合する。駆動技術において、動き制御はパルス幅変調(PWM)により実現され、時間領域は小さな間隔(PWM間隔)へ分割される。それぞれの間隔において、コントローラ30は、この間隔内での所定の平均電圧と電流を実現するためにパワートランジスタ(IGBT又はMOSFET)をオン又はオフにする決定をする。
【0037】
このシナリオでは、ナローバンドIoT、802.XXX又はブルートゥース又はそれらの変形版などのパケットネットワークのPHY、MAC及びネットワークレイヤプロトコルが利用され得る。
【0038】
アドレスが必要でない回線交換のケースと異なり、各々のVFD20は、所定のデータパケットをそれへ送るために一般的なL2又はL3アドレスを有する。アドレッシングは絶対又はBSSに相対であり得る。すなわち、そのアドレスはBSSに割り当てられた絶対グループアドレスと相対アドレスの連結である。それがL2アドレスの場合、それはMACヘッダの一部になる。
【0039】
時間領域はPWM間隔(PWM周波数の逆)又はその半分に等しい短い間隔に分割される。これらの間隔のそれぞれ1つは送信時間間隔(TTI)と呼ばれる。これらのTTIのそれぞれにおいて、VFD20は所定の物理量とパラメータの値を報告するアップリンク(UL)パケットをコントローラ30へ送信する。また各々のTTIにおいて、コントローラ30は、次のTTIにおいてどのパワートランジスタがオン及びオフにスイッチされるかに関してVFD20に指示をするダウンリンク(DL)パケットを送信すると共に、いくつかのパラメータの値をそれに送信する。
【0040】
いくつかの実施形態では、VFD20はまた、それ自身のパワートランジスタに対する権限を取り戻し、それらをオンおよびオフにするゲート信号を発行する、「ヘッドレス」で動作する能力を与えられる。
【0041】
UL及びDLパケットはVFDの適切な動作を可能にする所定の情報を搬送しなければならない。
【0042】
UL方向において、VFD20は、例えば、瞬間のモータ速度(インバータにより推定されるかモータシャフトにエンコーダが搭載されている場合に測定される)、瞬間のモータ電流、IGBTモジュールの温度、ロータの温度及びDCバス電圧のためのフィールドを含むメインアップリンク(UL)フレームと呼ばれる、メインMACフレームを構築する。VFD20の処理能力がローカルにモータ速度を推定しそれを報告するのに十分高くない場合、それは、報告された電流及び電圧値をもとに速度推定を行うようにコントローラ30に指示するために、速度フィールド又は別のフィールドにて所定のビットパターン(例えばオール1)を送信できる。報告された速度が測定されたのか推定されたのかも別のフィールドでコントローラへ示すことが出来る。上述されたフィールドはVFD20とコントローラ30の両方に既知である定められた順序とビット数を有する。当業者は所定のアプリケーション、本発明の所定の教示に対してビット定義を構築してもよい。一例が
図3に示される。
【0043】
VFD20はTTI毎にメインULフレームを送信する必要はない。ULトラヒックが非常に高いかVFD20の動作がその頻繁な報告を要求しない場合は、コントローラ30によりNT個のTTI毎に送信することを指示されてもよい。
【0044】
VFD20は、タイプ、長さ及び値(TLV)又は単純に各種パラメータのタイプと値(TV)を周期的に報告する「付加的なULフレーム」と呼ばれる第2のMACフレームを構築してもよい。TVフォーマットでパラメータを報告する場合、値のフィールドの長さはVFD20とコントローラ30との両方に分かっていなければならない。付加的なULフレームは、TTI毎、NT個毎又はコントローラ30が要求するときはいつでも送信されてよい。付加的なフレームがTTI毎に義務とされていない場合は、現送信におけるその存在を示すフィールドをアドレスフィールドの後のMACヘッダに含めなければならない。例えばコントローラハンドオーバ(1つのコントローラ30が新しいコントローラ30へVFD20のプロビジョニングをハンドオーバする)する場合に、新しいサービングコントローラ30がVFD20の動作パラメータ値を知るために、新しいコントローラ30は所定のパラメータの送信を要求してもよい。
【0045】
付加的なULフレームが送信される度に、全てのパラメータ値が報告されなければならない訳ではない。例えば、VFDのランプアップ又はランプダウン時間を定めるパラメータはコントローラ30がそれらを更新しない限り変わらない。不必要なULトラヒックを減らすために、
i)パラメータを、それぞれグループIDが割り当てられたNP個のグループに分割でき、ラウンドロビン法で付加的なフレームが送信される度に一つのグループのみが送信される、
ii)それらはコントローラ30が所定のグループの送信を要求するときにのみ送信される、又は
iii)コントローラがハンドオーバするシナリオにおいて、コントローラ30はすべてのグループの送信を順次要求することができる。メインULフレームのMACヘッダのフィールドはどのパラメータグループが送信されているかを示さなければならない。グループは1つのパラメータのみを含んでいてもよい。
【0046】
マスタコントローラ30からVFD20へのダウンリンク(DL)MACフレームは、それぞれメインDLフレーム及び付加的なDLフレームと呼ばれるメイン及び付加的なフレームを含む。メインDLフレームは、各々のパワートランジスタの、TTIの始めの部分に対して相対的に、スイッチオン及びオフ時間オフセットを示す、6つのフィールド(各々の出力位相に2つ)を含む。ブレーキチョッパ(BRC)トランジスタのための第7番目のフィールドが含まれてもよい。一実施形態では、下側のトランジスタのスイッチングパターンは上側のトランジスタと対(complement)だから、フィールドの数は6から3へ減らされる。マルチレベルのスイッチングが使用される場合は、フィールドの数は増加してもよい。VFD20とコントローラ30とにそれらの順序が知られている限り、当業者はメインDLフレームに特定のフィールドを定義してもよい。
図4に例が示される。
【0047】
また、付加的なDLフレームはメインDLフレームの後ろに含まれていてよく、それが含まれていることはメインDLフレームのMACヘッダの所定のフィールドにより示されなければならない。それはVFD20に所定のパラメータグループの値を送信することを要求するフィールドを含んでもよく、又はそれはTLV又はTVフォーマットでパラメータ値を設定してもよい。
【0048】
命令が外部のマスタコントローラ30により発行されるという事実はVFD20のオンボードコントローラ28(
図11参照)を有することの可能性を減じない。垂直運動(昇降機(hoist)、エレベータなど)のような、VFD20とリモートコントローラ30との間の切断を許容しないアプリケーションは最小の機能、例えば、コントローラの信号が許容できない遅延を被る場合にV/F操作モード又は機械的ブレーキと係わるための対策のみ、を持ったオンボードコントローラ28を必要とする。ある場合には、コントローラ30はVFD20に、それ自身のコントローラ28によって「ヘッドレス」で実行することを指示してもよい。この場合、それはVFD20へ、ここで説明した付加的なDLの一部として、実行する設定点速度を送信しなければならない。コントローラ30が改めて制御を主張する(assert)するときはいつでも、メインDLフレームで、自身のコントローラ28を止めさせ、コントローラ30により送信される低レベルなゲート信号に従わせるための要求をVFD20へ送信する。コントローラ30からVFD20に、ヘッドレスで実行すること又はリーダーシップを取り戻すことを求める要求は所定のDLヘッダフィールドを介して実行されることができる。
【0049】
動作の初めに、コントローラ30はVFD20がモータのパラメータを収集するためのトレーニングセッションを実行することを指示してもよい。このセッションは、上述したように、ローカルのオンボードコントローラ28により又はコントローラ30からVFD20へ低レベルなゲート信号を送信することにより実行できる。VFD20は付加的なフレームでモータモデルパラメータをコントローラへ送り返す。付加的なフレームがTVフォーマットでモータパラメータ又はVFDパラメータを搬送するかどうかを示すフィールドがULフレームのヘッダ内になければならない。
【0050】
ULヘッダは
図5に示されるフィールドを含むべきだが、必ずしも示される順序になっている必要はない。第2フィールドは付加的なフィールドで報告されているパラメータグループのIDを搬送する。このフィールドの所定の値はモータトレーニングプロセスにおいてモータモデルパラメータを識別するために予約され得る。第3及び第4フィールドは、それぞれ、VFD20が付加的なフィールドのパラメータ値に基づいてヘッドレスで実行する又は制御を戻すコントローラ要求を確認応答するためのものである。最後のフィールドは将来の使用のために確保されている。
【0051】
DLヘッダは
図6に示されるフィールドを含むべきだが、必ずしも示される順序になっている必要はない。STAアドレスフィールドは1つのVFDアドレス、マルチキャストアドレス又はブロードキャストアドレスであり得る。第2フィールドで、コントローラは所定のパラメータグループを送信することをVFD20に対して要求する。第3及び第4フィールドで、VFD20に、ヘッドレスで実行するか又はコントローラ30へ制御を戻すことを指示する。最後のフィールドは将来の使用のために確保されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、コントローラ30とVFD20との間又は複数のVFD20間の通信はセキュアなパケットトンネルを介して行われる。このトンネルは、例えば、VFD20を攻撃するサービスの否定(Denial of Service(DoS))を防ぐためのSSLVPN又はIPSecトンネルであり得る。いくつかの実施形態では、認証の機構がコントローラと所定のVFD20との間のセキュアな通信を認証するために使用される。
【0053】
図7は1つ以上のVFD20を制御する、地理的に離れたリモートコントローラ30によって実施される例示的な方法100を示す。各々のVFD20はモータを駆動するためにPWM信号を発生するように構成される。コントローラ30は、各々の制御されるVFD20に対して、所望のPWM信号を発生するために、第1の時間間隔でVFD20内の複数のパワートランジスタをスイッチするための複数の駆動信号を計算する(ブロック110)。コントローラ30は第1の時間間隔の前に、それぞれのVFD20へ複数の駆動信号を無線で送信する(ブロック120)。一実施形態によれば、各々のVFD20に対する駆動信号が送信パケットのダウンリンク(DL)フレームで送信される。
【0054】
方法100の一実施形態では、複数の駆動信号を無線で送信することは、第1の時間間隔を含む複数の連続する時間間隔で複数の駆動信号を送信することを含み、連続する時間間隔の1つで送信される駆動信号は次回の時間間隔に対して有効である。
【0055】
方法100の一実施形態では、駆動信号は各々のパワートランジスタをオンかオフにスイッチする別々の指示を含み、さらにスイッチするタイミングも指示する。
【0056】
方法100の一実施形態はさらに、制動トランジスタ(brakingtransistor)をオンかオフにスイッチする指示を含み、さらにスイッチするタイミングを指示する。
【0057】
方法100の一実施形態では、各々のトランジスタのスイッチング信号のタイミングは次回の時間間隔の初めの部分からのオフセットである。
【0058】
方法100の一実施形態はさらに、時間間隔の1つ以上において、送信パケットの付加的なDLフレームで1以上のVFDへ命令やパラメータ値を追加的に送信することを含む。
【0059】
方法100の一実施形態では、同じ駆動信号、命令又はパラメータ値が2以上の制御されるVFDへブロードキャストされる。
【0060】
方法100の一実施形態では、駆動信号、命令又はパラメータ値が各々の制御されるVFDへ別個に送信される。
【0061】
方法100の一実施形態はさらに、VFDに自律的に動作するための命令を付加的なDLフレームで送信すること、及び自律的なVFDへメインDLフレームで駆動信号の送信を中止することを含む。
【0062】
方法100の一実施形態はさらに、制御するためにVFDに対して付加的なDLフレームで命令を送信すること、及び自律的なVFDへメインDLフレームで駆動信号の送信を再開することを含む。
【0063】
方法100の一実施形態はさらに、1以上の時間間隔において、受信パケットのメインアップリンク(UL)フレームにおいてVFD又はモータの状態に関するフィードバックを1以上のVFDからの受信することを含む。
【0064】
方法100のいくつかの実施形態では、コントローラ30は第1のVFD内に収容され、第2のVFD20へ駆動信号を無線送信する。
【0065】
図8はモータを駆動するPWM信号を発生するVFD20により実施される例示的な方法200を示す。VFD20は遠隔の地理的に離れたリモートコントローラ30により制御される。VFD20は、受信パケットのメインダウンリンク(DL)フレームで時間間隔に対する複数の駆動信号をコントローラ30から無線で受信する(ブロック210)。後続の時間間隔において、VFD20は、受信された駆動信号に従って、PWM信号を発生するために複数のパワートランジスタをスイッチする。
【0066】
方法200のいくつかの実施形態では、複数の駆動信号を無線で受信することは、各々の連続する時間間隔で複数の駆動信号を受信することを含み、後続の時間間隔は次回の時間間隔を含んでいる。
【0067】
方法200いくつかの実施形態では、駆動信号は各々のパワートランジスタをオンかオフにスイッチする別々の指示を含み、さらにスイッチするタイミングを指示する。
【0068】
方法200のいくつかの実施形態では、駆動信号は制動トランジスタをオンかオフにスイッチする指示をさらに含み、さらにスイッチするタイミングも指示する。
【0069】
方法200のいくつかの実施形態では、各々のトランジスタのスイッチング信号のタイミングは次回の時間間隔の初めの部分からのオフセットである。
【0070】
方法200のいくつかの実施形態は、1つ以上の時間間隔において、受信パケットの付加的なDLフレームで命令かパラメータ値を追加的に受信することをさらに含む。
【0071】
方法200のいくつかの実施形態は、付加的なDLフレームで自律的に動作するための命令を受信することとトランジスタをスイッチするための駆動信号を発生することをさらに含む。
【0072】
方法200のいくつかの実施形態は、再び制御するための命令を付加的なDLフレームで受信すること及びコントローラからの各々の時間間隔で受信される駆動信号に従ってトランジスタをスイッチすることを再開することをさらに含む。
【0073】
方法200のいくつかの実施形態は、1以上の時間間隔において、送信パケットのメインアップリンク(UL)フレームでVFD又はモータの状態に関するフィードバックをコントローラへ無線送信することをさらに含む。
【0074】
方法200のいくつかの実施形態では、フィードバックは、瞬間のモータ速度、瞬間のモータ電流、パワートランジスタ温度、モータのロータの温度、DCバス電圧及び電流と電圧とからモータ速度を計算するためのコントローラに対する指示の内の1以上を含む。
【0075】
方法200のいくつかの実施形態は、1以上の時間間隔において、送信パケットの付加的なアップリンク(UL)フレームにおいて1以上のパラメータの値をコントローラへ無線送信することをさらに含む。
【0076】
方法200のいくつかの実施形態では、コントローラ30は第1のVFD内に収容され、第2のVFD20へ駆動信号を無線送信する。
【0077】
図9は、オンボードコントローラ28を有さない、一実施形態による例示的なVFD20を示す。VFD20はパワーセクション22と無線送受信機/信号アダプタ24とを含む。無線送受信機/信号アダプタ24は無線送受信機(例えば、ブルートゥース、ナローバンドIoT、プロフィバス(Profibus)など)を、VFD20により送信及び受信される信号を処理するための信号アダプタと組み合わせる。信号処理は、例えば、信号の符号化及び復号化、フィルタリング、信号変換及びフォーマットを含む。無線送受信機/信号アダプタはマイクロプロセッサ、ハードウェア回路又は他の処理回路を備える。無線送受信機/信号アダプタ24はさらに、送信のために温度及び電流をデジタル型式に変換する検知ADCを含む。無線送受信機/信号アダプタ24はマスタコントローラ30からゲート信号を受信し、パワーセクション22へゲート信号を出力し、パワーセクション22へゲート信号を出力する。パワーセクション22はモータ16を駆動するためのモータ駆動信号を発生する。
【0078】
図10は一実施形態に拠るオンボードコントローラ28を有する例示的なVFD20を示す。VFD20はパワーセクション22と無線送受信機/信号アダプタ24とを備える。無線送受信機/信号アダプタ24は無線送受信機(例えば、ブルートゥース、ナローバンドIoT、プロフィバス(Profibus)など)を、VFD20により送信及び受信される信号を処理するための信号アダプタと組み合わせる。信号処理は、例えば、信号の符号化及び復号化、フィルタリング、信号変換及びフォーマットを含む。信号アダプタはマイクロプロセッサ、ハードウェア回路又は他の処理回路を備える。無線送受信機/信号アダプタ24はさらに、温度及び電流を送信のためにデジタル型式に変換する検知ADCを含む。無線送受信機/信号アダプタ24はマスタコントローラ30からゲート信号及び/又は制御信号を受信し、それらをローカルのコントローラ28へ渡す。一動作モードでは、ローカルのコントローラ28はマスタコントローラ30から受信したパワーセクション22へのゲート信号をパワーセクション22へ出力する。ヘッドレスモードでは、ローカルのコントローラ28がゲート信号をローカルで発生し、パワーセクション22へゲート信号を出力してもよい。ローカルのコントローラ28は、無線送受信機/信号アダプタ24を介してマスタコントローラ30と制御信号を交換できる。
【0079】
図11は、オンボードコントローラ28を有さない、一実施形態による例示的なコントローラ30を示す。コントローラ30は処理回路32、メモリ34及び無線送受信機36(例えば、ブルートゥース、ナローバンドIoT、プロフィバスなど)を備える。処理回路32は、ここに説明したようなゲート信号を発生するため及びVFD20の動作を制御するために1以上のマイクロプロセッサ、ハードウェア回路、ファームウェア又はその組み合わせを備える。処理回路32はメモリ34に格納されているコンピュータプログラム命令を実行する。メモリ34は、機能を実行するために処理回路32により必要なコンピュータプログラムとデータを格納する。メモリ34はコンピュータプログラムと命令を格納するための不揮発性メモリ(例えば電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)又はフラッシュメモリ)と一時的にデータを格納するための揮発性メモリ(例えばランダムアクセスメモリ(RAM))との両方を備える。処理回路はここで説明されたようにゲート信号及び/又は制御信号を発生する。無線送受信機34はゲート信号及び/又は制御信号をVFD20へ送信する。無線送受信機34はまた、フィードバック信号及び/又は制御信号をVFD20から受信し、これらの信号を処理回路32へ渡す。
【0080】
図12はオンボードコントローラ無しの例示的なVFD20の詳細なブロック図である。
図12の実施形態は基本的に
図9の概略図に対応する。パワーセクション22は青で示されるようにVFD20の構成要素によって表される。
【0081】
図13は、オンボードコントローラ28を有さない、一実施形態による例示的なコントローラ30を示す。
図12の実施形態は基本的に
図10の概略図に対応する。パワーセクション22は青で示されるようにVFD20の構成要素によって表される。
【0082】
図14はオンボードコントローラ28の無しの例示的なVFD20の別の詳細なブロック図である。
図14の実施形態は基本的に
図9の概略図に対応する。パワーセクション22は青で示されるようにVFD20の構成要素によって表される。
【0083】
本発明の実施形態は従来技術に係るVFD20を越える多くの利点を提示する。
【0084】
・コントローラ20はVFD20の構造、ブランド、アナログ及びデジタル入出力などにとらわれないようになる。いくつデジタル入力があるか又はVFD20はそれらをどう解釈するかを心配する必要はない。事前の設定や試運転は必要がない。コントローラ20は計算に基づいて低レベルゲートスイッチング信号を送信する。
【0085】
・VFD20は、いかなる命令の実行も、いかなる計算も、いかなるデジタル入力の解釈もする必要なしに、単にゲート信号を見るにすぎないから、VFDのプログラム又は機能を更新することは簡単な仕事になり、シームレスに実行される。
【0086】
・同期動作を要求するアプリケーションにおいて、コントローラ30は、同じ速度で動作することになっているすべてのVFD20へ1つのパケットをマルチキャストすることができ、制御工程を簡単化する。それらのアップリンクデータは低速なので、コントローラ30はそれら全てを聴取(listen)することができ、各々のVFD20へ適切なパケットをブロードキャストするか個々のパケットを送信することができる。
【0087】
・全てのデータがVFD10の場所よりももっと便利な場所で利用可能になるので、制御をパワーセクション12から分離することは工業サイト管理に革命を起こす。エンジニアや技術者は、パラメータを読み、速度を設定し、ラップトップを接続するために、高さ、温度、ほこり、移動物の危険などのために骨が折れる、VFD20の場所へ行く必要はない。全てのデータはリモートコントロール室で利用可能である。
【0088】
・協調動作(例えば、ストレージシステムの軸(axes))を必要とするアプリケーションでは、単一のコントローラ30が、高価なケーブル配線やメインテナンスを必要としないで、個々のVFD20とセンサをモニタすることができる。
【0089】
・VFD20がそのコントローラが変更されたことを気付くことすらせずに、コントローラハンドオーバシナリオをシームレスに可能にすることができる。コントローラハンドオーバによって意味されることは、移動性やオフロードなどのため1つのコントローラ30が別のコントローラ30へ制御をハンドオーバできることである。
【0090】
・コンベアアプリケーションのようなVFD20ハンドオーバシナリオは、同じコントローラ30が、コントローラが速度と、それゆえにコンベア部によりすすむ距離を記憶するので、1つのVFD20がいつその目標に近づくか、いつ停止する必要があるか、そしていつ次のVFDが近接センサなしであっても引き継がなければならないかを知っているので、本発明の実施形態にとって非常に良い使用例である。
【0091】
・処理は、今、単純なPLCやマイクロコントローラよりもよりパワフルなコンピュータに存在するので、より高度なアルゴリズムが利用され得る。例えば、速度及びトルクコントローラについて、PIコントローラは多くのケースで利用できない負荷パラメータの情報が必要なので、ロバスト性のより低いPIコントローラの代わりにカルマンフィルタが使用できる。
【0092】
・バイポーラPWMと対照的なマルチレベルPWMのようなより高度なスイッチング技術を使用することができる。マルチレベルスイッチングは、高調波歪を減少させるので、バイポーラPWMよりもいくつかの利点をもつ公知の技術であるが、高い複雑性のために通常は実装されない。全ての計算を行い、VFD20へ低レベルな命令のみを送る処理をよりパワフルなコントローラへ移すことにより、マルチレベルスイッチングのようなより複雑な技術を簡単に実現することができる。
【0093】
・よりパワフルなコンピュータに有るコントローラは、VFDに内蔵されたマイクロコントローラで実行できるよりも、より高度なアルゴリズムを実行することができる。
【0094】
・コントローラをVFDのネットワークへ接続し、VFDにそれぞれお互いのピア接続(peer to)を可能にするために使用されるパケットネットワークは有線でも有線でなくても構わない。
【0095】
・交換される制御メッセージはL2/L3/L4パケットであり、それらはVFDを制御しモニタするために使用される。
【0096】
・VFDのネットワークはコントローラにより集中制御され得、制御メッセージを中継すること又は他のVFDを制御/モニタすることをVFDに可能にするための分散制御も同様に可能にする。
【0097】
・決定論的パケットネットワークは、VFDのリアルタイムアプリケーションの配信と待ち時間(latency)を保証できる。
【0098】
・全てのVFD制御はコントローラへオフロードでき、又はVFDはその動作又は他のVFDの動作を制御するためのローカル制御を維持することもできる。
【0099】
・コントローラとVFDのネットワークとの間又はVFD間の通信は、通信の機密と完全性を保証するために暗号化と認証のようなセキュリティ技術を使って攻撃に対して保護され得る。
【0100】
・VFDは、L2MACアドレスとL3アドレスを使ってパケットネットワークにおいてアドレスされる。
【0101】
当然のことながら、本発明は、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載されたもの以外の方法で実施することができる。本実施形態は、あらゆる点で例示的であり限定的ではないと考えられるべきである。