特許第6983239号(P6983239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983239プラスチック構成要素の製造方法、プラスチック構成要素、ミッドソールおよびシューズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983239
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】プラスチック構成要素の製造方法、プラスチック構成要素、ミッドソールおよびシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/18 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   A43B13/18
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-529554(P2019-529554)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(65)【公表番号】特表2020-500603(P2020-500603A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2017080420
(87)【国際公開番号】WO2018099833
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年7月25日
(31)【優先権主張番号】102016223980.5
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】レ,トゥル フー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ファティ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ホルムス,クリストファー,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ゼーフリート,アンドレア,ヨハネ
(72)【発明者】
【氏名】ロイアー,ノーバート
(72)【発明者】
【氏名】ケンマー,コンスタンティン,ヨアヒム,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ロマノブ,ヴィクター
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−153533(JP,A)
【文献】 特開2016−141153(JP,A)
【文献】 特開2013−220354(JP,A)
【文献】 特開2018−089971(JP,A)
【文献】 特開2000−279205(JP,A)
【文献】 特開2000−037208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック構成要素製造方法であって、
a.型を所定の量だけ開いて装填ポジションにすること
を含み、前記が少なくとも2つの型部を含み、前記を開く前記量が、前記の使用可能な装填容積に影響し、
b.発泡粒を含む材料を前記装填容積に装墳すること、
c.前記を閉じて閉ポジションにすること
を含み、前記を閉じる間、前記型部を互いに、前記の異なるエリアにおいて異なる距にわたって移動させ、前記距離は前記プラスチック構成要素の少なくとも一方向において連続的に変化し、
d.前記を閉じることによって前記発泡粒を圧縮すること、
e.前記発泡粒の少なくとも表面を融合させて、前記プラスチック構成要を成形すること
を含む方法。
【請求項2】
前記異なる距が、前記発泡粒の圧縮度に局所的に影響する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも前記型の1つのセクションに関して、前記異なる距が、成形された前記プラスチック構成要の厚さ分布に関する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発泡粒を、加熱された水蒸気および/または電磁放射によって互いに部分的に融合させる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記を閉じる間、前記型部品のうちの少なくとも1つの型部を、偏心配置された旋回周りでピボット回転させる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記型部のうちの少なくとも1つの型部品が、いくつかの個別のサブ部品を含み、前記型部を一緒に移動させる前記異なる距が、サブ部品ごとに個別に制御されてもよい、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ステップeの後の残りのステップが、前記に装填する前記ステップとは異なる場所で実行されてもよいように前記ステップの後に前記が密封される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック構成要素、特にスポーツアパレル(sports apparel)用の緩衝要素(cushioning element)の製造方法、該方法を使用して製造されたプラスチック構成要素、ならびにミッドソール(midsole)およびシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
現今、プラスチック構成要素は、多くの技術分野および日常生活において極めて重要な役割を果たしている。例としては航空宇宙産業および自動車産業が挙げられる。これらの分野では、プラスチック構成要素が、例えば衝撃保護要素、例えばバンパとして役立っており、またはパネル要素、シートの外殻(seat shell)、アームレストなどの製造に使用されている。プラスチック構成要素は梱包産業においても使用されており、例えば繊細な商品や損傷しやすい商品を配送のため梱包するのに使用されている。
【0003】
これらの例示的な全ての適用分野で、プラスチック構成要素ができるだけ小さな重量を有し、同時に十分なレジリエンスを有する場合には有利である。特に、衝撃から保護するため、または商品を安全に包装するために使用されているプラスチック構成要素に関しては、プラスチック構成要素がさらに、強打または衝突に対する良好な緩衝特性および衝撃吸収特性を備えているべきである。この文脈においては、先行技術により、例えば発泡ポリスチレン(expanded polystyrene)のような発泡プラスチック材料が知られている。発泡ポリスチレンは例えばBASFからStyropor(登録商標)またはStyrodur(登録商標)の商品名で販売されている。
【0004】
発泡プラスチック材料の使用はさらに、スポーツアパレル用の緩衝要素の製造、例えばスポーツシューズ用のシューソール(shoe sole)の製造にも及んでいる。
【0005】
シューズ製造技術、特に高性能の運動競技用シューズ(athletic shoe)の設計においては、シューズの個々の構成要素の材料特性、例えばその構成要素のたわみ性(flexibility)、耐摩耗性(abrasion resistance)、剛性(stiffness)、圧縮強さ(compressive strength)および/またはレジリエンス(resilience)、ならびにその他の物理的および化学的材料特性を改良することが強く求められている。
【0006】
例えば、使用中のシューズのより高い性能、改良された履き心地、および/またはミッドソールの増強された耐用寿命を提供し、同時に製造の容易さを向上させるために、運動競技用シューズのミッドソールの材料特性を強化することが望ましいことがある。
【0007】
具体的には、水蒸気の形態の熱を供給することによって互いに融合させた発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)の粒子の使用、または独国特許出願公開第102012206094号明細書および独国特許出願公告第102011108744号明細書に記載された結合材(binder material)の使用によって連結されたeTPU粒子の使用が検討された。
【0008】
さらに、先行技術の欧州特許第2649896号明細書は、シューズ用、特にスポーツシューズ用の改良されたソールおよびインソール、ならびにそれらの製造方法を提供している。一態様として、シューズ用、特にスポーツシューズ用のソールであって、少なくとも第1および第2の表面領域を有し、第1の表面領域がeTPUを含む、ソールが提供されている。
【0009】
さらに、欧州特許出願公開第3114954号明細書は、シューズ用、特にスポーツシューズ用のソールの製造方法に関し、この方法は、型(mold)の可動部品を所定の大きさ(extent)に開くこと、eTPUの粒子を型に装填すること、製造するソールの形状に従って型の容積を低減させること、およびeTPUに水蒸気を供給することを含み、この方法では、ソールの機械的特性が、少なくとも部分的に、装填中に型が開かれる程度によって決定される。
【0010】
しかしながら、先行技術によって記載された製造方法のさまざまな態様はさらに改良することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明によって解決される課題は、eTPUまたは発泡ポリエーテルブロックアミド(ePEBA)などの発泡粒子(expanded particle)を含むプラスチック構成要素の製造方法を、プラスチック構成要素の材料特性および/または製造の容易さが向上するようにさらに改良することである。
【0012】
さらに、発泡粒子を含むこのような強化されたプラスチック構成要素を、シューズのミッドソールおよび/またはシューズに組み込むことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的は、少なくとも部分的に、本出願の特許請求の範囲の主題によって達成される。
【0014】
第1の実施形態では、本発明が、プラスチック構成要素、特にスポーツアパレル用の緩衝要素の製造方法を提供する。この方法は、型を所定の量だけ開いて装填ポジション(loading position)にするステップを含み、この型は少なくとも2つの型部品(mold part)を含み、型を開く量は、型の使用可能な装填容積に影響し、この方法はさらに、発泡粒子を含む材料を装填容積に装墳するステップと、型を閉じて閉ポジション(closed position)にするステップとを含み、型を閉じる間、型部品を互いに、型の異なるエリアにおいて異なる距離にわたって移動させ、この方法はさらに、型を閉じることによって発泡粒子を圧縮するステップと、発泡粒子の少なくとも表面を融合させて、プラスチック構成要素を成形するステップとを含む。
【0015】
発泡粒子は時に、「フォーム粒子(foam particle)」とも呼ばれ、その結果として、成形されたプラスチック構成要素は時に「粒子フォーム構成要素(particle foam component)」と呼ばれる。このような発泡粒子を指すことがある他の用語には例えば「ビーズ(bead)」または「ペレット(pellet)」などがある。
【0016】
この方法は例えば、プラスチック構成要素の製造中の発泡粒子の局所圧縮の制御を、プラスチック構成要素が優れた材料特性を示すように改良することを可能にする。プラスチック構成要素の密度および/または圧縮剛性などの材料特性を、特定の用途または使用法に合わせて調整することができる。例えば、運動競技用シューズに使用されるプラスチック構成要素の局所密度/圧縮剛性を、異なるタイプの運動競技活動、例えばテニス、ランニング、フットボール、バスケットボールなどに対して最適化し、適合させることができ、かつ/または異なる表面、例えば森林コース、アスファルト、コンクリート、砂地、芝生、硬木材などに対して最適化することができ、かつ/または個々の装用者の解剖学的特徴および/もしくは歩き方に対して最適化することができる。
【0017】
さらに、このような強化されたプラスチック構成要素は、他のタイプのスポーツアパレル、例えば緩衝要素が組み込まれた衣類、および/またはサンダル、スキーブーツ、スノーボードブーツ、ゴルフシューズに容易に組み込むことができ、保護目的のあらゆる種類のスポーツ用具、例えばグローブ、特に野球グローブ、ゴールキーパーグローブおよび/またはボクシンググローブ、すね当て、ひざおよび/またはひじプロテクタ、ヘルメット、背面プロテクタならびにその他の多くのスポーツ用具に容易に組み込むことができる。
【0018】
さらに、このような強化されたプラスチック構成要素は、スキー板、スノーボード、スケートボード、サーフボード、パンチングターゲット、フィットネスギヤおよびその他の多くのスポーツ用具など、幅広いさまざまなスポーツ用具に組み込むこともできる。
【0019】
本発明の別の実施形態では、型部品を互いに移動させる異なる距離が、発泡粒子の圧縮の度合い(degree of compression)(以後、圧縮度)に局所的に影響する。
【0020】
別の実施形態では、少なくとも型の1つのセクションに関して、型部品を互いに移動させる異なる距離が、成形されたプラスチック構成要素の厚さ分布に関係し、好ましくはこの厚さ分布に本質的に比例する。
【0021】
例えば、成形されたプラスチック構成要素の本質的に一定の圧縮度、したがって本質的に一定の密度を保証することが可能であることがある。この点に関して、本出願の残りの部分について、用語「本質的に」は、「典型的な製作公差(typical manufacturing tolerance)の範囲内で」と定義される。
【0022】
例えば、例えばシューズソールとしてのくさび形の構成要素などの厚さが不均一なプラスチック構成要素であって、さらに、密度に依存するある物理的材料特性が本質的に均質である必要があるプラスチック構成要素に対して、密度を一定にしたいことがある。
【0023】
本発明の別の実施形態では、発泡粒子を、加熱された水蒸気および/または電磁放射によって互いに少なくとも部分的に融合させる。
【0024】
例えば、この実施形態は、接着剤(adhesive)または粘着剤(gluing agent)に頼ることなくプラスチック構成要素を成形すること、さらに、発泡粒子の表面を融合させるのに必要な熱を型の容積全体にわたって均質に分布させることを可能にする。
【0025】
電磁放射が使用される場合には、発泡粒子が、加熱された水蒸気中に存在する水分にさらされない。ある種の実施形態ではこのことが望まれることがある。さらに、電磁放射で発泡粒子を加熱した方が、エネルギー効率がよくなり、融合過程の動態(dynamics)をより精密に制御することができる。
【0026】
当業者には明白になることだが、本発明はさらに、圧縮成形および他の多くの成形などの他の従来の成形技法と両立する。
【0027】
本発明の別の実施形態では、型を閉じる間、型部品のうちの少なくとも1つの型部品を、偏心配置された旋回軸(eccentrically arranged swivel axis)周りでピボット回転させ、旋回軸は、好ましくは取付け板(mounting plate)に接続されており、好ましくは、取付け板と少なくとも1つの型部品との間に長さの異なる変形可能なスペーサ要素が配置される。
【0028】
この点に関して、用語「偏心」は、型の横断中心線(transversal center line)に対して定義される。
【0029】
例えば、この実施形態は、型を閉じる間、これらの少なくとも2つの型部品を互いに、型の異なるエリアにおいて所望の異なる距離にわたって移動させることを実現する単純な手法を提供する。
【0030】
本発明の別の実施形態では、これらの型部品のうちの少なくとも1つの型部品が、いくつかの個別のサブ部品(sub−part)を含み、型部品を互いに移動させる異なる距離が、サブ部品ごとに個別に制御される。
【0031】
この実施形態は、型の異なる部分に存在する発泡粒子に異なる圧縮計画(compression scheme)を適用することを可能にする。例えば、型の1つの部分では均一な圧縮を所望し、第2の部分では不均一な圧縮を所望することができる。このことは、足中央セクション(midfoot section)および足後部(rearfoot)セクションに本質的にくさび形の部分を含み、足前部(forefoot)セクションに本質的に均一な部分を含むシューズのミッドソールを製作するのに適切でありうる。
【0032】
本発明の別の実施形態では、この方法の残りのステップが、型に装填するステップとは異なる場所で実行されてもよいように、発泡粒子を型容積に装填するステップの後に型が密封される。
【0033】
例えば、この実施形態は、プラスチック構成要素のマルチステーション製造ラインの専用装填ステーションで型に装填することを可能にする。前記装填ステーションを、発泡粒子を型に装填するように個別に最適化することができる。装填後、密封された型を、製造ラインの別の加工ステーション、例えば電磁融合ステーションに輸送することができる。この電磁融合ステーションを、発泡粒子を効率的に電磁溶融するように個別に最適化することができる。後続の製造ステップを場所的に分離し、型を1つの加工ステーションから次の加工ステーションに輸送することにより、本発明によって提供される方法を実施する製造ラインをさらに最適化することができる。
【0034】
別の実施形態では、本発明が、プラスチック構成要素、特にスポーツアパレル用の緩衝要素を提供する。このプラスチック構成要素は、発泡粒子を含み、プラスチック構成要素の局所密度および/または局所圧縮剛性が、プラスチック構成要素を成形する間の発泡粒子の局所圧縮度によって決まる。
【0035】
例えば、発泡粒子を含むこのようなプラスチック構成要素の密度に依存する機械的特性が、異なる種類の運動競技用シューズ用のミッドソール、例えばバスケットボールシューズ、テニスシューズおよび/または屋外ランニングシューズ用のミッドソールなど、特定の用途に対する適切な仕様に従って設計されることがある。
【0036】
本発明のより具体的な実施形態は、プラスチック構成要素の局所密度および/または局所圧縮剛性が、プラスチック構成要素の少なくとも一部分で、好ましくはプラスチック構成要素の全体で本質的に一定である、強化されたプラスチック構成要素に関する。
【0037】
追加の実施形態は、プラスチック構成要素の局所密度および/または局所圧縮剛性が、プラスチック構成要素の少なくとも一部分の厚さ分布に関係し、好ましくはこの厚さ分布に本質的に比例する、強化されたプラスチック構成要素に関する。
【0038】
例えば、このようにすると、均質な機械的特性、例えば均質な圧縮剛性および密度を示すプラスチック構成要素を製造することができる。さらに、スポーツシューズの改良されたミッドソールを製作する望ましい手法でプラスチック構成要素を製造することができる。
【0039】
別の実施形態では、本発明が、以下の材料のうちの1つまたは複数の材料を含むプラスチック構成要素を提供する:発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU);発泡ポリアミド(ePA);発泡ポリエーテルブロックアミド(ePEBA);発泡ポリ乳酸(ePLA);発泡ポリエチレンテレフタレート(ePET);発泡ポリブチレンテレフタレート(ePBT);発泡熱可塑性ポリエステルエーテルエラストマー(eTPEE)。
【0040】
発泡ポリマーペレットなどの発泡粒子に関する追加の詳細が、本出願の出願人の独国特許出願公開第102014216992号明細書、国際公開第2016/030026号パンフレットおよび国際公開第2016/030333号パンフレットに出ている。
【0041】
例えば、eTPU(または同様の発泡粒子)の優れた材料特性は、スポーツアパレル用の強化された緩衝要素を設計することを可能にする。例えば、eTPUを含むスポーツシューズ用のミッドソールは、強化された履き心地および優れたランニング特性を提供する。特に、このようなミッドソールは、eTPU材料のレジリエンスによって決まるその大きな反発性(rebound)により、衝撃後に直ちに緩和して、その元の形態に戻る。その結果として、ミッドソールの弾性変形に蓄積された衝撃エネルギーは装用者の脚に再び投じられ、それによってランニング性能を強化する。
【0042】
別の実施形態では、本発明が、シューズ用、特にスポーツシューズ用のミッドソールを提供する。このミッドソールは、本発明に基づくプラスチック構成要素を含み、本発明によって提供されたいずれかの方法に従って製作される。
【0043】
別の実施形態では、本発明が、シューズ用、特にスポーツシューズ用のミッドソールを提供する。このミッドソールは、発泡粒子を含み、ミッドソールの大きさの本質的に全体にわたって、ミッドソールの局所密度の変動が20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、よりいっそう好ましくは5%未満である。
【0044】
このミッドソールの異なるセクションの局所密度は例えば、発泡TPUなどの発泡粒子を含むプラスチック構成要素の密度を再現可能に決定することも可能にする当技術分野で知られているいずれかの関連方法によって決定することができる。
【0045】
それに加えてまたはその代わりに、このミッドソールは、ミッドソールの大きさの本質的に全体にわたって、20%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、よりいっそう好ましくは5%未満だけ変動する圧縮剛性を示すことができる。
【0046】
それに加えてまたはその代わりに、このミッドソールは、本発明によって提供されたいずれかの方法に従って製造されたプラスチック構成要素を含むことができる。
【0047】
このミッドソールの異なるセクションの圧縮剛性は、発泡TPUなどの発泡粒子を含むプラスチック構成要素の圧縮剛性を再現可能に決定することも可能にする当技術分野で知られているいずれかの関連方法によって決定することができる。そのような1つの例が、ISO 844:2014「Rigid cellular plastics--Determination of compression properties」に基づく試験方法である。
【0048】
別の実施形態では、本発明が、上述の本発明の実施形態に基づくミッドソールを含むシューズ、特にスポーツシューズを提供する。
【0049】
このようなスポーツシューズは例えば、優れた反発性、履き心地および緩衝性を提供し、その結果として、装用者が経験する疲労の軽減、ならびに使用中のランニング性能および/または跳躍性能の向上を保証する。
【0050】
以下では、添付図を参照することによって本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1a:装填ポジションにある、本発明の一実施形態に基づく型の略縦断面図である。 図1b:閉ポジションにある、本発明の一実施形態に基づく型の略縦断面図である。 図1c:閉ポジションにある、発泡粒子の融合中の、本発明の一実施形態に基づく型の略縦断面図である。 図1d:プラスチック構成要素を型から外している最中の、本発明の一実施形態に基づく型の略縦断面図である。
図2図2:本発明に基づく方法で使用するように適合された型設計の略図である。
図3図3a:本発明の一実施形態に基づく運動競技用シューズのミッドソールの下面図である。 図3b:本発明の一実施形態に基づく運動競技用シューズのミッドソールの側面図である。 図3c:本発明の別の実施形態に基づく運動競技用シューズのミッドソールの下面図である。
図4図4:本発明に従って製作されたミッドソールの密度の変動と、従来の発泡粒子成形技法によって製作されたミッドソールの密度の変動との比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、くさび形のプラスチック構成要素の製造、特にスポーツシューズのミッドソールの製造に関して、本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。しかしながら、本発明はそのような特定の実施形態だけに限定されないこと、ならびに、本発明を、一般的なスポーツアパレルおよびスポーツ用具向けの緩衝要素として使用されることが特に意図された他のタイプのプラスチック構成要素に対して適用することができることが理解される。さらに、以下では、本発明のある種の実施形態に関して、特徴の特定の組合せが記載されるが、本開示はそのような実施形態だけに限定されないことが理解される。言い換えると、本発明を実現するのに全ての特徴が存在する必要があるわけではなく、また、1つの実施形態のある特徴を別の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせることによって実施形態を修正することができる。
【0053】
図1aは、装填ポジションに配置された概略的な型設計の縦断面図を示し、本発明の第1の実施形態により、eTPU粒子などの発泡粒子130を型100aに装填する。装填ポジションはクラックギャップ(crack gap)ポジションとも呼ばれることがあり、それに従って、型は、クラックギャップ型と呼ばれることがある。
【0054】
いくつかの実施形態では、全ての発泡粒子が本質的に同じサイズおよび幾何形状を示し、別の実施形態では、発泡粒子のサイズおよび幾何形状が異なり、別の実施形態では、発泡粒子のサイズおよび幾何形状がかなり異なる。別の実施形態では、プラスチック構成要素の材料特性を微調整するために、発泡粒子が、異なる材料の粒子、特に異なるポリマーの混合物の粒子を含むことができる。
【0055】
発泡粒子はさらに、型の内側でのプラスチック構成要素の形成を容易にする接着剤および/または粘着剤を含むことができる。発泡粒子はさらに、例えば外部から印加された電磁場から型の内側の発泡粒子へのエネルギー移動を容易にするエネルギー吸収材料を含むことができる。
【0056】
この実施形態では、発泡粒子130が少なくとも部分的に重力によって導かれて型容積に装填されるように、型100aが、発泡粒子130の貯蔵容器(reservoir)(図示せず)の下方に配置される。
【0057】
例えば、装填ステーションにおいて発泡粒子130の貯蔵容器から型100aに装填することができ、その装填ステーションでは、型の位置の上方に貯蔵容器を配置することができる。貯蔵容器は型100aの位置の上方に配置されるため、主に重力に頼ることによって発泡粒子130の流れを型100aの中へ導くことができ、加圧された空気または同様の手段を使用して発泡粒子130を輸送する必要はない。同様に、専用の取出し手段を必要とすることなく、成形されたプラスチック構成要素を型から脱型することができる。これらの効果はともに、製造の技術的複雑さを低下させ、効率を高める。
【0058】
その代わりにまたはそれに加えて、例えば加圧されたガスおよび/または加圧された空気によって操作された輸送/装填機構によって、発泡粒子130を型100aまで輸送し、型容積に装填することもできる。加圧されたガスおよび/または加圧された空気に基づく装填機構を使用すると、型容積に装填するのに必要な時間を短縮し、製作処理能力(production throuput)を増大させることができる。
【0059】
型100aは、少なくとも2つの型部品110、112を含むことができ、型100aの装填ポジションでは、型部品110、112を、閉ポジション(図1b参照)にあるときよりも互いから離すことができる。その結果、装填ポジションにおける型容積は閉ポジションにおける型容積よりも大きい。
【0060】
通常、発泡粒子は、装填ポジションにおいて型容積に本質的に完全に装填され、装填ポジションでは、発泡粒子が本質的に、圧縮されていない状態に維持される。装填ポジションにおける型容積が、型100aの閉ポジションにおいて形成される成形されたプラスチック構成要素135の体積よりも大きいことは、プラスチック構成要素135内における望ましくない空隙の形成を防ぐことを容易にし、特に、プラスチック構成要素135の表面上および縁に沿った望ましくない空隙の数を減らす。
【0061】
さらに、より大きな型容積を有する装填ポジションにおいて型100aに装填すると、その結果として、そこを通して発泡粒子が装填される開口部150の近くの圧縮が小さくなる。
【0062】
装填容積を変更することも可能であり、したがって、型100aを閉じる前の型の内側の発泡粒子の総量を増やしたりまたは減らしたりすることを可能にすることも可能である。
【0063】
図1bは、発泡粒子130が型容積に装填され、型半体110、112を装填ポジションから閉ポジションに移動させることにより型100bの内側の発泡粒子130が圧縮された後の、閉ポジションにあるように構成された図1aの型100bを示す。
【0064】
型100bを閉じる間に発泡粒子130が受けた圧縮のため、型容積には発泡粒子が本質的に均質に装填されており、閉ポジションでは発泡粒子が圧縮された状態にある。
【0065】
図1bに示された実施形態では、閉ポジションにおける発泡粒子の圧縮度がプラスチック構成要素の大きさを横切って本質的に一定になるような態様で、型半体を互いに向かって移動させる局所距離がプラスチック構成要素の厚さに依存する。
【0066】
これは、型部品110、112を互いに移動させる局所距離Δzを、Δzがプラスチック構成要素の厚さzに本質的に比例する(すなわちΔz=αz。αは比例定数である)ように制御することによって達成することができる。圧縮度λが、局所距離Δzとプラスチック構成要素の局所厚さzとの比と定義された場合(すなわちλ=Δz/z)、圧縮度λは一定であり、比例定数αに等しいことは明らかである。
【0067】
圧縮度のこのような制御は、少なくとも2つの型部品が互いに対してピボット回転可能に配置されるように構成されたクラックギャップ型によって実施することができる。具体的には、一方の型部品が偏心ピボット軸周りで旋回運動し、それによってその型部品が発泡粒子を均一に圧縮することにより本質的に一定の圧縮度が達成されるように、一方または両方の型部品を前記偏心ピボット軸のところに取り付けることができる。
【0068】
本発明の他の用途では、プラスチック構成要素135の局所厚さzに比例した圧縮度λ(すなわちλ=βz)を示すプラスチック構成要素を製作することが望ましいことがある。これは、型部品110、112を互いに移動させる局所距離Δzを、Δzが本質的にプラスチック構成要素135の局所厚さzの2次関数(すなわちΔz=βz)となるように制御することによって達成することができる。
【0069】
他の実施形態では、プラスチック構成要素135の局所厚さzに反比例した圧縮度λ(すなわちλ=γ/z)を示す構成要素を製作することが望ましいことがある。これは、型部品110、112を互いに移動させる局所距離Δzを、Δzが一定(すなわちΔz=γ)となるように制御することによって達成することができる。
【0070】
一般に、プラスチック構成要素135の局所厚さzは、x−y平面におけるプラスチック構成要素の正確な位置に依存する。すなわち、局所厚さzは、x−y平面における位置の区分的連続関数(piecewise continuous funciton)z=z(x,y)である。
【0071】
型を閉じる間に型部品110、112を互いに移動させる局所距離Δzも一般に、局所厚さの連続関数、すなわちΔz=Δz(z)である。このようにすると、局所圧縮度λ=Δz/zも、x−y平面における位置の区分的連続関数になる。
【0072】
例えばΔzが、厚さzの次数nの多項式である場合、圧縮度は、局所厚さzの次数n−1の多項式である。上記の引数は、三角関数または指数関数などの他のタイプの関数に容易に一般化することができる。
【0073】
ある種の型構成は、圧縮度λを、x−y平面における位置の準連続関数として直接に制御することを可能にする。これは、型部品110、112のうちの少なくとも1つの型部品を、その型部品が、プラスチック構成要素135の大きさに比べて小さい個別に制御可能な複数の型要素を含むように適合させることによって達成することができる。この技法は例えば、スポーツシューズのミッドソールの圧縮度を個々の装用者の足の解剖学的形状に個別に適合させることを可能にしうる。
【0074】
型100bはさらに、装填ポジションにある型容積内にそこを通して発泡粒子130が装填される開口部150を閉じるための手段160を含むことができる。いくつかの実施形態では、開口部150を閉じるための手段160が、型100bに組み込まれている。別の実施形態では、開口部150を閉じるための手段160がさらに型100bから分離しており、手段160は、装填のために取り外され、装填が完了した後に取り付けられる。別の実施形態では、型部品110、112のうちの1つの型部品の外側表面部分によって、開口部150が、型容積の内側から閉じられる。
【0075】
図1cは、発泡粒子の融合中の図1aおよび図1bの型を示す。
【0076】
いくつかの実施形態では、発泡粒子の表面部分が互いに融着し、本質的に完全に連結したプラスチック構成要素135を形成するような対応するそれぞれの温度よりも高い温度に発泡粒子を加熱することにより、発泡粒子130を互いに融合させる。
【0077】
一実施形態では、この熱が、型容積内へ送られた加熱された水蒸気によって供給される。
【0078】
いくつかの実施形態ではさらに、例えば2つの型部品110、112としての型のいくつかの部分における加熱によって熱が供給される。
【0079】
別の実施形態では、RF、MW、レーザ、UVまたはX線放射などの電磁放射によって熱が供給される。型部品110、112は、高出力RFまたはMW増幅器に接続されたコンデンサ極板の役目を果たすことができる。
【0080】
電磁放射から発泡粒子130へのエネルギー移動を強化するため、発泡粒子130は、発泡粒子130を加熱し、融合させるためのエネルギーを供給している電磁放射が占有する電磁スペクトルの対応部分において大きな吸収断面積(absorption cross−section)を示す、少なくとも1種類のエネルギー吸収材料を含むことができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、閉ポジションにおいて型100cが密封される。密封された後に、型100cを、発泡粒子130を型容積に装填するために使用された装填ステーションから、例えばRFもしくはMW加熱および/または水蒸気加熱による発泡粒子130の融合が実行される専用の融合ステーションに輸送することができる。
【0082】
このような方法は、モジュール式加工ステーション、例えば装填、圧縮、融合、冷却、脱型ステーションを使用する柔軟で高度に自動化された製造ラインを設計することを可能にすることができる。この製作工程のモジュール設計は、製作工程のそれぞれのステーションの設計および動作を独立して最適化することを可能にする。
【0083】
図1dは、プラスチック構成要素135の成形が終了し、プラスチック構成要素135が型100dから脱型されているときの図1a〜1cの型100dの構成を示す。いくつかの実施形態では、専用の取出し手段の存在が不要となるように、重力を受けることによってプラスチック構成要素が型100dから抜け落ちることができるような向きに型100dが配置される。しかしながら、別の実施形態では、専用の取出し手段が使用される。
【0084】
発泡粒子を型に装填した後に型が密封されたいくつかの実施形態では、型の装填および/または発泡粒子の融合が実行された場所とは異なる場所で、プラスチック構成要素の脱型が実行される。
【0085】
いくつかの実施形態では、プラスチック構成要素135が成形され、直ぐに脱型できる程度に十分に冷却された後に2つの型部品110、112を容易に開くことができるよう、2つの型部品110、112が型アセンブリ(mold assembly)に取り付けられるように型100dが構成される。
【0086】
成形された部品135を(図1dに示されているように)型100dから脱型した後に、製作工程を再び始めることができるように、型100dを例えば加圧された空気によって洗浄し、再び装填ステーション(図1a参照)に輸送することができるような構成に、図1a〜1dに概略的に示された製作工程を構成することができる。
【0087】
全ての工程ステップが同じ場所(すなわち組合せ装填、圧縮、融合、脱型ステーション)で実行される別の実施形態では、製作工程を新たに開始するのに必要な操作が、図1aに示された装填構成に型100dを戻すことだけである。
【0088】
図2は、本発明によって提供される製造方法のうちの少なくともいくつかの方法を実施することを可能にする特定の型設計を示す。詳細には、型200は、2つの型部品210および212を含み、偏心配置された旋回軸280周りで第1の型部品212をピボット回転させることができる。この旋回軸は、取付け板280がもう一方の型部品210の方へ押されたときに、型容積に装填された発泡粒子230を圧縮した結果として生じた圧力によって第1の型部品212が旋回軸280周りでピボット回転するような態様で、取付け板270に接続されている。
【0089】
この偏心配置された旋回軸は、型の横断中心線に対して偏心配置されており、その結果、偏心配置された旋回軸280周りで第1の型部品212をピボット回転させたときに、2つの型部品210および212が互いに移動する位置依存の距離が異なる。
【0090】
くさび形のプラスチック構成要素を製作するために、取付け板270と第1の型部品212との間に変形可能なスペーサ290、例えばばね要素を配置することができる。
【0091】
変形可能なスペーサ290は、型200が装填ポジションに配置されている間に発泡粒子230を型200に装填する間、2つの型部品210および212がくさび形の装填容積を形成することを保証する。
【0092】
偏心配置された旋回軸280と取付け板270に沿った位置によって異なる寸法を示す変形可能なスペーサ290との組合せは、装填ポジションにおいて2つの型部品210と212の間の角度を調整することを可能にする。
【0093】
その結果として、型を閉じる間、2つの型部品は互いに、型200の異なるエリアにおいて異なる距離にわたって移動し、その結果、圧縮度は、型200の縦の延長に沿った位置に依存する。
【0094】
図3aは、本発明に従って製作された例示的なミッドソール300の下面図を示す。このミッドソールは、足前部セクション310、足中央セクション320および足後部セクション330を含むものとすることができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、全てのセクションが、ミッドソール300を横切って連続的に変化する異なる厚さ、または不連続に変化する異なる厚さを示す。これらの組合せも可能である。例えば、足前部セクション310から足中央セクション320にかけては厚さが連続的に変化し、足中央セクション320から足後部セクション330にかけては厚さが不連続に変化するように、ミッドソール300を構成することができる。
【0096】
本発明に基づくミッドソール300はさらに、対応するそれぞれのセクションにおいて一定の密度または変化する密度を示すことができる。厚さ分布と同様に、密度も、1つのセクションから隣接するセクションにかけて連続的に変化すること、または不連続に変化することができる。
【0097】
図3bは、図3aのミッドソール300の側面図を示す。図示された実施形態は、連続的に変化する厚さ分布および一定でない圧縮度を示す。具体的には、足前部セクション310の発泡粒子は、足中央セクション320および足後部セクション330よりも圧縮された状態にある。その結果、例えば、足後部セクション330および足中央セクション320の反発性が、足前部セクション310の反発性よりも大きくなることがあり、あるタイプの運動競技用シューズについてはそれが望まれる。
【0098】
しかしながら、他のタイプの運動競技用シューズでは、足前部セクション310の発泡粒子が、足中央セクション320および/または足後部セクション330の発泡粒子と同じ程度に圧縮されていることが望まれることもある。これは例えば、ミッドソール300の厚さ分布に本質的に比例する圧縮距離を提供する本発明の実施形態の1つによって達成することができる。
【0099】
図3cは、ミッドソール300の大きさの本質的に全体にわたって本質的に一定の圧縮度および/または本質的に一定の密度を示すミッドソール300の図3aの下面図を示す。図3cに示された実施形態は、本質的に円筒形の3つの試料片FF、MF、RFをミッドソール300から切り取ることによって変更されている。それぞれの試料片は、ミッドソール300の足前部セクション310、足中央セクション320および足後部セクション330からそれぞれ切り取られたものである。
【0100】
ミッドソール300の大きさを横切る局所密度の変動を決定するために、発泡粒子を含むプラスチック構成要素の密度を測定するのに適した密度測定法によって、それぞれの試料片FF、MF、RFの密度を決定することができる。
【0101】
ミッドソール300のより詳細な密度プロファイルが必要な場合には、試料片のサイズを小さくし、かつ/またはミッドソールから切り取ることができる試料片の数を増やすことができる。
【0102】
図4は、本発明に従って製作された図3cに示されたものと同様のミッドソールに対して、図3cに示されたものと同様の形状の試料片を使用することによって実行された密度測定の結果を示す。
【0103】
図4は、本発明によって提供される方法に従って製作されたミッドソール300の足前部セクションFF、足中央セクション中波および足後部セクションRFからそれぞれ切り取られた試料片の密度を示す。具体的には、図4に示された密度測定に使用された試験試料ミッドソールの製作には、図2に示されたものと同様の型設計が使用された。
【0104】
その結果として、試験試料ミッドソールを成形する間、発泡粒子は本質的に均一に圧縮された。
【0105】
その結果、ミッドソールの局所密度は、足後部セクションと足中央セクションの間および足後部セクションと足前部セクションの間で4%未満、変動する。特に、足中央セクションと足前部セクションの間の密度の変動は、測定の統計的不確かさの範囲内にあり、本質的に決定することはできなかった。
【0106】
示された結果は、同じ製造方法、同じ型および同じ公称工程パラメータを使用して製作されたミッドソール300の5つの試験試料について測定値を平均することによって得られたものである。
【0107】
例えば、このミッドソールの平均密度は、250kg/mから400kg/mの間、好ましくは275kg/mから375kg/mの間、より好ましくは300kg/mから350kg/mの間、よりいっそう好ましくは315kg/mから335kg/mの間である。
【0108】
しかしながら、当業者には明白になることだが、上述の絶対値および図4に示された絶対値は単なる例である。ミッドソール300の絶対密度は、発泡粒子の密度、発泡粒子を製作する際に使用されたポリマーのタイプ、製造中に発泡粒子が受けた膨張の度合い、ミッドソール300の成形中に発泡粒子が受けた圧縮度、およびミッドソール300に必要な圧縮剛性など、さまざまなパラメータに依存しうる。
【0109】
本発明とは対照的に、先行技術によって知られている(例えばその先行技術の基礎をなす優先権出願に記載されている)成形技法は、その結果として、ミッドソール300の大きさの本質的に全体を横切る局所密度のより大きな変動を与える。
【符号の説明】
【0110】
100a 型
100b 型
100c 型
100d 型
110 型部品
112 型部品
130 発泡粒子
135 プラスチック構成要素
140 距離
150 開口部
160 開口部を閉じるための手段
200 型
210 型部品
212 型部品
230 発泡粒子
270 取付け板
280 旋回軸
290 変形可能なスペーサ
300 ミッドソール
310 足前部セクション
320 足中央セクション
330 足後部セクション
FF 試料片
MF 試料片
RF 試料片
図1
図2
図3
図4