(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記治療用タンパク質が、ホルモンおよびプロホルモン、凝固および抗凝固因子、サイトカイン、ケモカイン、炎症性メディエーター、インターフェロン、コロニー刺激因子、インターロイキン、成長因子、アルブミン、コラーゲンおよびエラスチン、造血因子、骨誘導因子、受容体、表面膜タンパク質、輸送タンパク質、調節タンパク質、抗原性タンパク質からなる群より選択される、請求項1に記載の液体配合物。
前記配合物が、少なくとも約200mg/mLの前記治療用タンパク質を含む、場合により少なくとも約300mg/mLの前記治療用タンパク質を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体配合物。
前記第2の賦形剤化合物が、テオフィリン、チラミン、プロカイン、リドカイン、イミダゾール、アスパルテーム、サッカリン、およびアセスルファムカリウム、ナイアシンアミド、イソニコチンアミドからなる群から選択される、請求項8に記載の液体配合物。
防腐剤、界面活性剤、糖類、多糖類、アルギニン、プロリン、ヒアルロニダーゼ、安定剤、および緩衝剤からなる群より選択される追加の薬剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体配合物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で開示されるのは、配合物および濃縮タンパク質溶液の送達を可能とするそれらの作製方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の手法は、従来のタンパク質溶液に比べて、より低い粘度の液体配合物または液体配合物中のより高濃度の治療用または非治療用タンパク質をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の手法は、従来のタンパク質溶液に比べると、向上した安定性を有する液体配合物をもたらすことができる。安定した配合物は、冷蔵条件、温度条件、または高温貯蔵条件に関わらず、その中に含まれるタンパク質が貯蔵条件下で、その物理的および化学的安定性ならびに治療または非治療効力を保持する配合物である。好都合にも、安定配合物はまた、その中に溶解したタンパク質の凝集または沈殿に対する保護を提供することも可能である。例えば、冷蔵状態は、冷蔵庫または冷凍庫中での貯蔵を必要とする場合がある。いくつかの事例では、冷蔵状態は、10℃またはそれ未満の温度での、従来の冷蔵庫または冷凍庫貯蔵を必要とする場合がある。さらなる例では、冷蔵状態は、約2℃〜約10℃の温度での貯蔵を必要とする。他の例では、冷蔵状態は、約4℃の温度での貯蔵を必要とする。さらなる例では、冷蔵状態は、約0℃またはそれ未満などの凍結温度での貯蔵を必要とする。別の例では、冷蔵状態は、約−30℃〜約0℃の温度での貯蔵を必要とする。室温貯蔵状態は、周囲温度、例えば、約10℃〜約30℃の周囲温度での貯蔵を必要とする場合がある。例えば、約30℃〜約50℃の温度での高温安定性は、典型的周囲(10〜30℃)条件下での長期貯蔵を予測するための加速劣化調査の一部として使用可能である。
【0018】
溶液中のタンパク質は絡み合いを形成する傾向があり、これにより、絡み合った鎖の並進運動が制限され、タンパク質の治療または非治療効力が妨害されることは、ポリマー科学およびエンジニアリングの当業者にはよく知られている。いくつかの実施形態では、本明細書で開示の賦形剤化合物は、溶液中の賦形剤化合物と標的タンパク質との間の特異的相互作用によりタンパク質クラスタリングを抑えることができる。本明細書で開示の賦形剤化合物は、天然または合成とすることができ、FDAが一般に安全と認めている(「GRAS」)物質であるのが望ましい。
【0019】
1.定義
本開示において、用語の「タンパク質」は、別々の三次構造を形成するのに十分な鎖長を有し、通常は、1〜3000kDの分子量を有するアミノ酸配列を意味する。いくつかの実施形態では、タンパク質の分子量は約50〜200kDであり、他の実施形態では、タンパク質の分子量は約20〜1000kDまたは約20〜2000kDである。用語の「タンパク質」とは対照的に、用語の「ペプチド」は、離散型の三次構造を持たないアミノ酸配列を意味する。「タンパク質」の範囲には、多種多様な生体高分子が含まれる。例えば、用語の「タンパク質」は、抗体、アプタマー、融合タンパク質、ペグ化タンパク質、合成ポリペプチド、タンパク質断片、リポタンパク質、酵素、構造的ペプチド、などを含む治療用または非治療用タンパク質を意味することができる。
【0020】
非限定的例として、治療用タンパク質には、ホルモンおよびプロホルモン(例えば、インスリンおよびプロインシュリン、グルカゴン、カルシトニン、甲状腺ホルモン(T3またはT4または甲状腺刺激ホルモン)、副甲状腺ホルモン、濾胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、など);凝固および抗凝固因子(例えば、組織因子、von Willebrand’s因子、因子VIIIC、因子IX、タンパク質C、プラスミノーゲン活性化因子(ウロキナーゼ、組織型プラスミノーゲン活性化因子)、トロンビン);サイトカイン、ケモカイン、および炎症性メディエーター;インターフェロン;コロニー刺激因子;インターロイキン(例えば、IL−1〜IL−10);成長因子(例えば、血管内皮細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子、神経栄養成長因子、インスリン様増殖因子、など);アルブミン;コラーゲンおよびエラスチン;造血因子(例えば、エリスロポエチン、トロンボポエチン、など);骨誘導因子(例えば、骨形成タンパク質);受容体(例えば、インテグリン、カドヘリン、など);表面膜タンパク質;輸送タンパク質;調節タンパク質;抗原性タンパク質(例えば、抗原として作用するウイルス成分);および抗体などの哺乳動物タンパク質を挙げることができる。用語の「抗体」は、本明細書ではその最も広い意味で使用され、非限定的例して、モノクローナル抗体(例えば、免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、単鎖分子、二重特異的および多重特異的抗体、ディアボディ、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、および抗体断片(例えば、Fab、Fv、およびF(ab’)2を含む)を含む。抗体は「免疫グロブリン」とも称することができる。抗体は、特異的タンパク質または非タンパク質「抗原」に対するものであると理解され、抗原は、生物学的に重要な物質である。治療有効量の抗体の患者への投与は、抗原との複合体を形成し、それにより、患者が治療効果を感じるように、その生物学的性質を変えることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、タンパク質はペグ化されており、これは、それらがポリ(エチレングリコール)(「PEG」)および/またはポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)単位を含むことを意味する。ペグ化タンパク質、またはPEG−タンパク質コンジュゲートは、溶解度、薬物動態学、薬力学、免疫原性、腎クリアランス、および安定性などのそれらの有益な性質のために、治療用途において有用であることが明らかになった。ペグ化タンパク質の非限定的例は、ペグ化インターフェロン(PEG−IFN)、ペグ化抗VEGF、PEGタンパク質コンジュゲート薬剤、アダジェン、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグロチカーゼ、ペグビソマント、ペグ化エポエチンβ、およびセルトリズマブペゴルである。
【0022】
ペグ化タンパク質は、タンパク質と、1種またはそれを超える反応性官能基を有するPEG試薬との反応などの種々の方法で合成可能である。PEG試薬の反応性官能基は、リシン、ヒスチジン、システインなどの標的タンパク質部位にあるタンパク質、およびN−末端と結合を形成することができる。典型的ペグ化試薬は、タンパク質上の標的アミノ酸残基と特異的な反応性を有するアルデヒド、マレイミド、またはスクシンイミド基などの反応性官能基を有する。ペグ化試薬は、約1〜約1000PEGおよび/またはPPG反復単位のPEG鎖長を有することができる。ペグ化の他の方法にはグリコペグ化が含まれ、この方法では、タンパク質が最初にグリコシル化され、その後、第2ステップでグリコシル化残基がペグ化される。特定のペグ化プロセスは、シアル酸転移酵素およびトランスグルタミナーゼなどの酵素により支援される。
【0023】
ペグ化タンパク質は、元の非ペグ化タンパク質に優る治療上の利点を提供することができるが、これらの物質は、それらの物質を精製、溶解、濾過、濃縮、および投与するのを困難にする物理的または化学的性質を有する場合がある。タンパク質のペグ化は、元々のタンパク質に比べて、より高い溶液粘度をもたらす場合があり、このために、通常、より低い濃度のペグ化タンパク質溶液の配合物が必要となる。
【0024】
安定で低粘度の溶液のタンパク質治療薬を処方することにより、それらの治療薬を最小限の注入量で患者に投与することができるようにすることが望ましい。例えば、薬剤の皮下(SC)または筋肉内(IM)注射は通常、少注入量、好ましくは2mL未満の注入量とする必要がある。SCおよびIM注射経路は、自己投与治療によく適合し、直接的医学管理下でのみ行える静脈内(IV)注射に比べて、安価で、アクセス性により優れた形態の処置である。SCまたはIM注射用の配合物は、低溶液粘度、狭いゲージニードルを通る治療溶液が容易に流れることを可能とするためには、通常は、30cP未満、このましくは20cP未満の粘度が必要である。この小さい注入量と低粘度要件の組み合わせは、SCまたはIM注射経路でのペグ化タンパク質治療薬の使用に対する課題となる。
【0025】
これらの治療効果を有するタンパク質は、「治療用タンパク質」と称し、治療有効量の治療用タンパク質を含む配合物は、「治療用配合物」と称してよい。治療用配合物中に含まれる治療用タンパク質は、その「タンパク質有効成分」と称してもよい。通常、治療用配合物は、治療有効量のタンパク質有効成分および賦形剤を含み、その他の任意構成成分を含有するかまたは非含有である。本明細書で使用される場合、「治療的」という用語は、既存の障害の処置および障害の予防の両方を含む。
【0026】
「処置」は、発症を防ぐまたは遅らせるおよび/または障害の症状を軽減するまたは改善することを含む、治す、治癒する、軽減する、改善する、治療する、または別の方法で障害に有益に影響を及ぼすことを意図した任意の手段を含む。これらの処置を必要としている患者には、特定の障害を既に有している患者および障害の予防が望ましい患者の両方が含まれる。障害は、急性または慢性疾患、または哺乳動物を急性または慢性疾患にする病理学的状態を含む哺乳動物の恒常的健康を変える任意の状態である。障害の非限定的例には、癌、代謝障害(例えば、糖尿病)、アレルギー性疾患(例えば、喘息)、皮膚病、心血管障害、呼吸器疾患、血液疾患、筋骨格障害、炎症性またはリウマチ性疾患、自己免疫障害、胃腸障害、泌尿器系障害、性障害および繁殖障害、神経疾患、などが挙げられる。処置を目的とした「哺乳動物」という用語は、哺乳動物に分類される任意の動物を意味することができ、ヒト、飼育動物、ペット動物、家畜、スポーツ動物、使役動物、などを含む。したがって、「処置」は、獣医学およびヒトの処置の両方を含む。便宜上、このような「処置」を受けている哺乳動物は、「患者」と称することができる。特定の実施形態では、患者は、子宮内の胎生期動物を含む任意の年齢であることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、処置は、治療有効量の治療用配合物を、それを必要としている哺乳動物に与えることを含む。「治療有効量」は、既存の障害の処置または予測される障害の予防を行うために(このような処置またはこのような予防は「治療的介入」である)、治療用タンパク質を必要としている哺乳動物に投与される少なくとも最小濃度の治療用タンパク質である。治療用配合物中に有効成分として含まれてよい治療有効量の種々の治療用タンパク質は、当該技術分野においてよく知られていてもよく、または発見され、その後に、治療的介入に適用される治療用タンパク質に対しては、治療有効量は、当該技術分野において通常の技量を有する人により行われる標準的な技術によって決定することができる。
【0028】
家庭での利用、栄養摂取での利用、商業上の利用、および産業上の利用などの非治療目的(すなわち、処置を伴わない目的)に使用されるタンパク質は、「非治療用タンパク質」と称してよい。非治療用タンパク質を含む配合物は、「非治療用配合物」と称してよい。非治療用タンパク質は、植物原料、動物原料から誘導することができ、または細胞培養から作製することができる。それらはまた、酵素または構造タンパク質とすることができる。非治療用タンパク質は、触媒、ヒトおよび動物栄養摂取、加工助剤、清浄剤、および廃棄物処理などの家庭での利用、栄養摂取での利用、商業上の利用、および産業上の利用に使用することができる。
【0029】
非治療用生体高分子の重要なカテゴリーは、酵素である。酵素には多くの非治療用途があり、例えば、触媒、ヒトおよび動物栄養成分、加工助剤、洗浄剤、および廃棄物処理剤としての用途がある。酵素触媒は、種々の化学反応を加速するために使用される。非治療上の使用での酵素触媒の例には、カタラーゼ、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、リアーゼ、異性化酵素、およびリガーゼが含まれる。ヒトおよび動物栄養用途の酵素には、栄養補助食品、タンパク質栄養源、微量栄養素のキレート化または制御送達、消化助剤、および栄養補助剤が含まれ、これらは、アミラーゼ、プロテアーゼ、トリプシン、ラクターゼ、などから誘導することができる。酵素加工助剤は、食品および飲料製品の生産を向上させるために、ベーキング、醸造、発酵、ジュース加工、およびワイン醸造などのプラントで使用される。これらの食品および飲料加工助剤の例には、アミラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、グルカナーゼ、リパーゼ、およびラクターゼが含まれる。酵素は、バイオ燃料の生産にも使用することができる。例えば、バイオ燃料用のエタノールは、セルロース系およびリグノセルロース系材料などのバイオマス供給原料の酵素分解により促進され得る。このような供給原料のセルラーゼおよびリグニナーゼを使った処理により、バイオマスが基質に変換され、この基質を発酵させて燃料にすることができる。その他の商業的用途では、酵素は、洗濯物、食器洗い、表面洗浄、設備洗浄用の合成洗剤、洗剤、およびステインリフティング助剤として使用される。この目的のための典型的な酵素には、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、およびリパーゼが挙げられる。さらに、非治療用酵素は、セルラーゼによる繊維軟化、皮革加工、廃棄物処理、汚染沈殿物処理、水処理、パルプ漂白、およびパルプ柔軟化と剥離などの種々の商業的および工業的プロセスで使用される。これらの目的用の典型的な酵素は、アミラーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、およびリグニナーゼである。
【0030】
非治療用生体高分子のその他の例には、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、フィブロイン、アクチン、チューブリン、またはこれらの加水分解、分解、もしくは誘導体化型などの繊維状または構造タンパク質が挙げられる。これら材料は、ゼラチン、アイスクリーム、ヨーグルト、および菓子などの食品成分の調製物および配合物に使用される。それらはまた、増粘剤、レオロジー調整剤、口当たり向上剤として、および栄養タンパク質の原料として食品に添加される。化粧品およびパーソナルケア産業では、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、および加水分解ケラチンが、スキンケアおよびヘアケア配合物中の成分として広く使用されている。非治療用生体高分子のさらに他の例は、ベータラクトグロブリン、アルファラクトアルブミン、および血清アルブミンなどの乳清タンパクである。これらの乳清タンパクは、酪農場からの副産物として大量に製造され、種々の非治療用途に使われてきた。
【0031】
2.治療用配合物
一態様では、本明細書で開示の配合物および方法は、改良されたまたは低減された粘度の安定な液体配合物を提供し、該配合物は、治療有効量の治療用タンパク質および賦形剤化合物を含む。いくつかの実施形態では、配合物は安定性を向上させると同時に、許容可能な濃度の有効成分および許容可能な粘度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、配合物は、対照配合物に比べて、安定性の向上を可能にする。この開示においては、対照配合物は、賦形剤化合物を欠いていること以外は、全ての点で治療用配合物に対し、乾燥重量基準で同じタンパク質有効成分を含む配合物である。いくつかの実施形態では、タンパク質含有配合物の向上した安定性は、対照配合物と比較して、可溶性凝集体、粒子、肉眼不可視の粒子、またはゲル形成の形態の比率がより少ないことによる。
【0032】
液体タンパク質配合物の粘度は、限定されるものではないが、タンパク質それ自体の性質(例えば、酵素、抗体、受容体、融合タンパク質、など);そのサイズ、三次元構造、化学的組成、および分子量;配合物中のその濃度;タンパク質以外の配合物の構成成分;所望のpH範囲;配合物の貯蔵条件;および配合物の患者への投与方法などの種々の要因により影響を受ける可能性があると理解されている。本明細書で記載の賦形剤化合物と共に使用するのに最も好適な治療用タンパク質は、実質的に純粋であること、すなわち、夾雑タンパク質がないことが好ましい。いくつかの実施形態では、「実質的に純粋な」治療用タンパク質は、組成物中の治療用タンパク質および夾雑タンパク質の総重量を基準にして、少なくとも90重量%の治療用タンパク質、または好ましくは少なくとも95重量%、またはより好ましくは少なくとも99重量%の治療用タンパク質を含むタンパク質組成物である。わかりやすくするために、賦形剤として添加されたタンパク質は、この定義に含まれることを意図していない。本明細書で記載の治療用配合物は、医薬品グレード配合物として使用されることを意図しており、すなわち、タンパク質有効成分の所望の治療効果を得ることができ、配合物が投与される予定の哺乳動物に対し有毒である成分を含まない形態で哺乳動物の処置に使用することを意図した配合物である。
【0033】
いくつかの実施形態では、治療用配合物は、少なくとも25mg/mLのタンパク質有効成分を含む。他の実施形態では、治療用配合物は、少なくとも100mg/mLのタンパク質有効成分を含む。他の実施形態では、治療用配合物は、少なくとも200mg/mLのタンパク質有効成分を含む。さらに他の実施形態では、治療用配合物溶液は、少なくとも300mg/mLのタンパク質有効成分を含む。一般に、本明細書で開示の賦形剤化合物は、治療用配合物に約5〜約300mg/mLの量で添加される。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は約10〜約200mg/mLの量で添加することができる。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は約20〜約100mg/mLの量で添加することができる。いくつかの実施形態では、賦形剤は約25〜約75mg/mLの量で添加することができる。
【0034】
種々の分子量の賦形剤化合物は、配合物中でタンパク質有効成分と共に混合される場合に、特定の有利な性質により選択される。賦形剤化合物を含む治療用配合物の例を以下に示す。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は、5000Da未満の分子量を有する。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は、1000Da未満の分子量を有する。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は、500Da未満の分子量を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の賦形剤化合物は、治療用配合物に粘度低減量で添加される。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも10%低減させる賦形剤化合物の量である。この開示においては、対照配合物は、賦形剤化合物を欠いていること以外は、全ての点で治療用配合物に対し、乾燥重量基準で同じタンパク質有効成分を含む配合物である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも30%低減させる賦形剤化合物の量である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも50%低減させる賦形剤化合物の量である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも70%低減させる賦形剤化合物の量である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも90%低減させる賦形剤化合物の量である。
【0036】
いくつかの実施形態では、粘度低減量は、100cP未満の粘度を有する治療用配合物を生じる。他の実施形態では、治療用配合物は、50cP未満の粘度を有する。他の実施形態では、治療用配合物は、20cP未満の粘度を有する。さらに他の実施形態では、治療用配合物は、10cP未満の粘度を有する。本明細書で使用される場合、「粘度」という用語は、本明細書で開示の方法により測定した場合の動的粘度値を意味する。
【0037】
本開示による治療用配合物は、特定の有利な性質を有する。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、剪断劣化、相分離、混濁化、沈殿、および変性に対し耐性がある。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、対照配合物に比べて、より効率的に、処理、精製、貯蔵、注射、投与、濾過、および遠心分離される。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、高濃度の治療用タンパク質で患者に投与される。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、治療用賦形剤を欠いている類似の配合物で感じられるはずである不快感より少ない不快感で患者に対し投与される。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、蓄積注射として投与される。いくつかの実施形態では、治療用配合物は身体中での治療用タンパク質の半減期を延長する。本明細書で開示のこれらの治療用配合物の特徴は、臨床的状況下、すなわち、患者の筋肉内注射の受け入れには、IM/SC用の典型的な小口径ニードルの使用および許容範囲内(例えば、2〜3cc)の注入体積の使用が含まれ、また、これらの条件によって有効量の配合物の1箇所の注射部位への単回の注射の投与がもたらされる状況下での筋肉内または皮下注射によるこのような配合物の投与を可能とするはずである。対照的に、従来の配合物技術を使った、匹敵する投与量の治療用タンパク質の注射は、従来の配合物の高粘度により制限を受けるはずであり、そのために、従来の配合物のSC/IM注射は臨床的状況に好適ではないであろう。
【0038】
いくつかの実施形態では、治療用賦形剤は、酸化的損傷に対し治療用タンパク質を安定化する抗酸化特性を有する。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、周囲温度で、または冷蔵庫条件で長時間、治療用タンパク質の効力の顕著な損失なしに、貯蔵される。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、必要になるまで、貯蔵のために乾燥され、その後、適切な溶媒、例えば、水で再構成される。好都合にも、本明細書に記載のように調製された配合物は、数ヶ月から数年の長期間にわたり安定化することができる。極めて優れた長期間の貯蔵が望ましい場合には、配合物はタンパク質変性の恐れなしに、冷凍庫中で保持することができる(さらに、後で再活性化できる)。いくつかの実施形態では、配合物は冷蔵の必要がない長期貯蔵用に調製することができる。
【0039】
治療用配合物を調製する方法は、当業者によく知られているであろう。本発明の治療用配合物は、例えば、治療用タンパク質が溶液に加えられる前または後で、賦形剤化合物を配合物に添加することにより調製可能である。例えば、治療用配合物は、治療用タンパク質と賦形剤を最初に(より低い)濃度で混合し、その後に、濾過または遠心分離により処理して、第2の(より高い)濃度の治療用タンパク質を生成することにより、作製することができる。治療用配合物は、カオトロープ、コスモトロープ、ヒドロトロープ、および塩と共に、1種またはそれを超える賦形剤化合物を使って作成することができる。治療用配合物は、1種またはそれを超える賦形剤化合物と、カプセル化、分散、リポソーム、小胞形成、などの技術を使って作成することができる。本明細書で開示の賦形剤化合物を含む治療用配合物の調製方法には、賦形剤化合物の組み合わせを含めることができる。いくつかの実施形態では、賦形剤の組み合わせにより、より低い粘度、向上した安定性、または注射部位疼痛低減の利益を得ることができる。治療用配合物の製造中に、防腐剤、界面活性剤、糖類、ショ糖、トレハロース、多糖類、アルギニン、プロリン、ヒアルロニダーゼ、安定剤、緩衝剤、などを含むその他の添加物を治療用配合物中に導入してもよい。本明細書で使用される場合、薬学的に許容可能な賦形剤化合物は、非毒性で、動物および/またはヒトへの投与に好適する化合物である。
【0040】
3.非治療用配合物
一態様では、本明細書で開示の配合物および方法は、改良されたまたは低減された粘度の安定な液体配合物を提供し、該配合物は、有効量の非治療用タンパク質および賦形剤化合物を含む。いくつかの実施形態では、配合物は安定性を向上させると同時に、許容可能な濃度の有効成分および許容可能な粘度をもたらす。いくつかの実施形態では、配合物は、対照配合物に比べて、安定性の向上を可能にする。この開示においては、対照配合物は、賦形剤化合物を欠いていること以外は、全ての点で非治療用配合物に対し、乾燥重量基準で同じタンパク質有効成分を含む配合物である。
【0041】
液体タンパク質配合物の粘度は、限定されるものではないが、タンパク質それ自体の性質(例えば、酵素、構造タンパク質、加水分解度、など);そのサイズ、三次元構造、化学的組成、および分子量;配合物中のその濃度;タンパク質以外の配合物の構成成分;所望のpH範囲;配合物の貯蔵条件などの種々の要因により影響を受ける可能性があると理解されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、非治療用配合物は、少なくとも25mg/mLのタンパク質有効成分を含む。他の実施形態では、非治療用配合物は、少なくとも100mg/mLのタンパク質有効成分を含む。他の実施形態では、非治療用配合物は、少なくとも200mg/mLのタンパク質有効成分を含む。さらに他の実施形態では、非治療用配合物溶液は、少なくとも300mg/mLのタンパク質有効成分を含む。一般に、本明細書で開示の賦形剤化合物は、非治療用配合物に約5〜約300mg/mLの量で添加される。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は約10〜約200mg/mLの量で添加される。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は約20〜約100mg/mLの量で添加される。いくつかの実施形態では、賦形剤は約25〜約75mg/mLの量で添加される。
【0043】
種々の分子量の賦形剤化合物は、配合物中でタンパク質有効成分と共に混合される場合に、特定の有利な性質により選択される。賦形剤化合物を含む非治療用配合物の例を以下に提供する。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は、5000Da未満の分子量を有する。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は、1000Da未満の分子量を有する。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は、500Da未満の分子量を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示の賦形剤化合物は、非治療用配合物に粘度低減量で添加される。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも10%低減させる賦形剤化合物の量である。この開示においては、対照配合物は、賦形剤化合物を欠いていること以外は、全ての点で治療用配合物に対し、乾燥重量基準で同じタンパク質有効成分を含む配合物である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも30%低減させる賦形剤化合物の量である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも50%低減させる賦形剤化合物の量である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも70%低減させる賦形剤化合物の量である。いくつかの実施形態では、粘度低減量は、対照配合物に比べて、配合物の粘度を、少なくとも90%低減させる賦形剤化合物の量である。
【0045】
いくつかの実施形態では、粘度低減量は、100cP未満の粘度を有する非治療用配合物を生じる。他の実施形態では、非治療用配合物は、50cP未満の粘度を有する。他の実施形態では、非治療用配合物は、20cP未満の粘度を有する。さらに他の実施形態では、非治療用配合物は、10cP未満の粘度を有する。本明細書で使用される場合、「粘度」という用語は、動的粘度値を意味する。
【0046】
本開示による非治療用配合物は、特定の有利な性質を有することができる。いくつかの実施形態では、非治療用配合物は、剪断劣化、相分離、混濁化、沈殿、および変性に対し耐性がある。いくつかの実施形態では、治療用配合物は、対照配合物に比べて、より効率的に、処理、精製、貯蔵、圧送、濾過、および遠心分離され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、非治療用賦形剤は、酸化的損傷に対し非治療用タンパク質を安定化する抗酸化特性を有する。いくつかの実施形態では、非治療用配合物は、周囲温度で、または冷蔵庫条件で長時間、非治療用タンパク質の効力の顕著な損失なしに、貯蔵される。いくつかの実施形態では、非治療用配合物は、必要になるまで、貯蔵のために乾燥され、その後、適切な溶媒、例えば、水で再構成され得る。好都合にも、本明細書に記載のように調製された配合物は、数ヶ月から数年の長期間にわたり安定である。極めて優れた長期間の貯蔵が望ましい場合には、配合物はタンパク質変性の恐れなしに、冷凍庫中で保持される(さらに、後で再活性化される)。いくつかの実施形態では、配合物は冷蔵の必要がない長期貯蔵用に調製される。
【0048】
本明細書で開示の賦形剤化合物を含む非治療用配合物を調製する方法は、当業者によく知られているであろう。例えば、非治療用タンパク質が溶液に加えられる前または後で、賦形剤化合物を配合物に添加することが可能である。非治療用配合物を、最初に(より低い)濃度で作製し、その後に、濾過または遠心分離により処理して、第2の(より高い)濃度を作製することができる。非治療用配合物は、カオトロープ、コスモトロープ、ヒドロトロープ、および塩と共に、1種またはそれを超える賦形剤化合物を使って作成することができる。非治療用配合物は、1種またはそれを超える賦形剤化合物と、カプセル化、分散、リポソーム、小胞形成、などの技術を使って作成することができる。非治療用配合物の製造中に、防腐剤、界面活性剤、安定剤、などを含むその他の添加物を非治療用配合物中に導入することができる。
【0049】
4.賦形剤化合物
いくつかの賦形剤化合物が本明細書で記載されており、それぞれの賦形剤化合物は1種またはそれを超える治療用または非治療用タンパク質と共に使用するのに好適し、それぞれの賦形剤化合物により、配合物が高濃度のタンパク質(単一または複数)を含むように構成することが可能となる。下記に記載のいくつかのカテゴリーの賦形剤化合物は:(1)ヒンダードアミン、(2)アニオン性芳香族化合物、(3)官能化アミノ酸、および(4)オリゴペプチドである。理論に束縛されるものではないが、本明細書で記載の賦形剤化合物は、それがなければ、粒子間(すなわち、タンパク質−タンパク質)相互作用に関与するはずの、治療用タンパク質の特定の断片、配列、構造、または部分と結合すると考えられている。これらの賦形剤化合物の治療用または非治療用タンパク質との結合により、タンパク質が過大な溶液粘度を生ずることなく高濃度で配合できるように、タンパク質間相互作用をマスクすることが可能となる。好都合にも、賦形剤化合物は水溶性とすることができ、したがって、水性の担体と共に使用するのに好適となり得る。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は10mg/mLを超える水溶性を有する。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は100mg/mLを超える水溶性を有する。いくつかの実施形態では、賦形剤化合物は500mg/mLを超える水溶性を有する。治療用タンパク質として好都合なことに、賦形剤化合物は、生物学的に受容可能で、非免疫原性であり、したがって、医薬品としての使用に好適する材料から誘導することができる。治療実施形態では、賦形剤化合物は、身体中で代謝されて生物学的に適合性があり、非免疫原性の副産物を生成し得る。
【0050】
a.賦形剤化合物カテゴリー1:ヒンダードアミン
治療用または非治療用タンパク質の高濃度溶液を、賦形剤化合物としてのヒンダードアミン小分子を使って配合することができる。本明細書で使用される場合、「ヒンダードアミン」という用語は、下記の例に適合する、少なくとも1種の嵩高いまたは立体障害基を含む小分子を意味する。ヒンダードアミンは、遊離塩基型、プロトン化型、またはこれら2種の組み合わせとして使用することができる。プロトン化型では、ヒンダードアミンは、塩化物、水酸化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、アセテート、ホルメート、ホスフェート、サルフェート、またはカルボキシレートなどのアニオン性対イオンと結合することができる。賦形剤化合物として有用なヒンダードアミン化合物は、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム、ピリジニウム、ピロリドン、ピロリジン、モルホリン、またはグアニジウム基を含むことができ、それにより、賦形剤化合物は中性のpHの水溶液中でカチオン電荷を有する。ヒンダードアミン化合物はまた、少なくとも1つの嵩高いまたは立体障害の基、例えば、環式芳香族、脂環式、シクロヘキシル、またはアルキル基を含む。いくつかの実施形態では、立体障害の基は、それ自体、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、グアニジニウム、ピリジニウム、または四級アンモニウム基などのアミン基とすることができる。理論に束縛されるものではないが、ヒンダードアミン化合物は、陽イオンπ相互作用により、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンなどのタンパク質の芳香族部分と結合すると考えられている。いくつかの実施形態では、ヒンダードアミンのカチオン基は、タンパク質中の芳香族のアミノ酸残基の電子が豊富なπ構造に対し親和性を有し、その結果、ヒンダードアミンはタンパク質のこれらの部分を遮蔽することにより、このような遮蔽されたタンパク質が会合して凝集する傾向を減らすことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、ヒスタミン、4−メチルヒスタミン、アルファメチルヒスタミン、ベタヒスチン、ベータアラニン、2−メチル−2−イミダゾリン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、尿酸、尿酸カリウム、ベタゾール、カルノシン、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムカリウム、キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン、およびアンセリンなどのイミダゾール、イミダゾリン、またはイミダゾリジン基、またはその塩を含む化学構造を有する。いくつかの実施形態では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ヘキサメチレンビグアニド、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、イミダゾール、ジメチルグリシン、アグマチン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、エタノールアミンホスフェート、グルコサミン、塩化コリン、ホスホコリン、ナイアシンアミド、イソニコチンアミド、N,N−ジエチルニコチンアミド、ニコチン酸ナトリウム塩、チラミン、3−アミノピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−ピリジンメタノール、ニコチンアミドアデノシンジヌクレオチド、ビオチン、モルホリン、N−メチルピロリドン、2−ピロリジノン、プロカイン、リドカイン、ジシアンジアミド−タウリン付加物、2−ピリジルエチルアミン、ジシアンジアミド−ベンジルアミン付加物、ジシアンジアミド−アルキルアミン付加物、ジシアンジアミド−シクロアルキルアミン付加物、およびジシアンジアミド−アミノメタンホスホン酸付加物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本開示に適合するヒンダードアミン化合物は、プロトン化アンモニウム塩として配合される。いくつかの実施形態では、本開示に適合するヒンダードアミン化合物は、対イオンとしての無機アニオンまたは有機アニオンとの塩として配合される。いくつかの実施形態では、治療用または非治療用タンパク質の高濃度溶液は、賦形剤化合物としての安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、またはベンゼンスルホン酸と、カフェインとの組み合わせで配合される。いくつかの実施形態では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、身体中で代謝されて生物学的に適合性がある副産物を生成する。いくつかの実施形態では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、約250mg/mlまたはそれ未満の濃度で配合物中に存在する。さらなる実施形態では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、約10mg/ml〜約200mg/mlの濃度で配合物中に存在する。さらに追加の実施形態では、ヒンダードアミン賦形剤化合物は、約20mg/ml〜約120mg/mlの濃度で配合物中に存在する。
【0052】
いくつかの実施形態では、特定のヒンダードアミン賦形剤化合物は、その他の薬理学的性質を有することができる。例として、キサンチンは、全身に吸収された場合、刺激特性および気管支拡張特性を含む独立した薬理学的性質を有するカテゴリーのヒンダードアミンである。代表的キサンチンには、カフェイン、アミノフィリン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、パラキサンチン、ペントキシフィリン、テオブロミン、テオフィリン、などが挙げられる。メチル化キサンチンは、心収縮、心拍数、および気管支拡張に対する影響力を有すると理解されている。いくつかの実施形態では、キサンチン賦形剤化合物は、約30mg/mlまたはそれ未満の濃度で配合物中に存在する。
【0053】
独立した薬理学的性質を有する別のカテゴリーのヒンダードアミンは、局所注射可能な麻酔化合物である。局所注射可能な麻酔化合物は、(a)親油性の芳香環、(b)中間体エステルまたはアミド結合、および(c)二級または三級アミンの3成分分子構造を有するヒンダードアミンである。このカテゴリーのヒンダードアミンは、ナトリウムイオンの流入を抑制することにより神経伝導を阻止し、それにより、局所麻酔を誘導すると理解されている。局所麻酔化合物のための親油性芳香環は、炭素原子から構成されてよく(例えば、ベンゼン環)、またはヘテロ原子を含んでもよい(例えば、チオフェン環)。代表的局所注射可能な麻酔化合物としては、アミロカイン、アルチカイン、ブピビカイン、ブタカイン、ブタニリカイン、クロルプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、エディトカイン、ヘキシルカイン、イソブカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メタブテタミン、メタブトキシカイン、メピバカイン、メプリルカイン、プロポキシカイン、プリロカイン、プロカイン、ピペロカイン、テトラカイン、トリメカインなどが挙げられるが、これらに限定されない。局所注射可能な麻酔化合物は、タンパク質治療用配合物において、低減された粘度、向上した安定性、および注射時の疼痛低減などの複数の利益を有することが可能である。いくつかの実施形態では、局所麻酔化合物は、約50mg/mlまたはそれ未満の濃度で配合物中に存在する。
【0054】
いくつかの実施形態では、独立した薬理学的性質を有するヒンダードアミンは、本明細書で記載の配合物および方法による賦形剤化合物として使用される。いくつかの実施形態では、独立した薬理学的性質を有する賦形剤化合物は、薬理効果がないおよび/または治療的に効果的ではない量で存在する。他の実施形態では、独立した薬理学的性質を有する賦形剤化合物は、薬理効果があるおよび/または治療的に効果的である量で存在する。特定の実施形態では、独立した薬理学的性質を有するヒンダードアミンは、配合物粘度を低減するように選択された別の賦形剤化合物と組み合わせて使用され、この場合、独立した薬理学的性質を有するヒンダードアミンは、その薬理活性の利益を付与するように使用される。例えば、局所注射可能な麻酔化合物は、配合物粘度を低減させ、さらに、配合物の注射時に疼痛を低減するように使用することができる。注射疼痛の低減は、麻酔特性により引き起こすことができ、また、賦形剤により粘度が低減されると、より低い注入力でよい可能性がある。あるいは、局所注射可能な麻酔化合物を使って、配合物注射中の局所感覚の低下という所望の薬理学的利点を付与し、同時に、配合物の粘度を低減させる別の賦形剤化合物と組み合わせることが可能となる。
【0055】
b.賦形剤化合物カテゴリー2:アニオン性芳香族化合物
治療用または非治療用タンパク質の高濃度溶液を、賦形剤化合物としてのアニオン性芳香族小分子化合物を使って配合することができる。アニオン性芳香族賦形剤化合物は、フェニル、ベンジル、アリール、アルキルベンジル、ヒドロキシベンジル、フェノール、ヒドロキシアリール、複素環式芳香族基、または縮合芳香族基などの芳香族官能基を含むことができる。アニオン性芳香族賦形剤化合物はまた、カルボン酸エステル、酸化物、フェノキシド、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、ホスフェート、または硫化物などのアニオン性官能基を含むことができる。アニオン性芳香族賦形剤は酸、ナトリウム塩、などとして記載される場合があるが、賦形剤は種々の塩形で使用することができることを理解されたい。理論に束縛されるものではないが、アニオン性芳香族賦形剤化合物は、タンパク質のカチオンセグメントと結合し、それにより、それらがタンパク質のこれらの部分を遮蔽して、タンパク質含有配合物を粘稠にするタンパク質分子間の相互作用を減らすことができる嵩高い立体障害の分子であると考えられている。
【0056】
いくつかの実施形態では、アニオン性芳香族賦形剤化合物の例には、サリチル酸、アミノサリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキノンスルホン酸、スルファニル酸、バニリン酸、バニリン、バニリン−タウリン付加物、アミノフェノール、アントラニル酸、ケイ皮酸、クマル酸、アデノシンモノホスフェート、インドール酢酸、尿酸カリウム、フランジカルボン酸、フラン−2−アクリル酸、2−フランプロピオン酸、フェニルピルビン酸ナトリウム、ヒドロキシフェニルピルビン酸ナトリウム、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、ピロガロール、安息香酸、および前述の酸の塩などの化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、アニオン性芳香族賦形剤化合物は、イオン化塩型として配合される。いくつかの実施形態では、アニオン性は、ヒドロキシ安息香酸ジメチルシクロヘキシルアンモニウムなどのヒンダードアミンの塩として配合される。いくつかの実施形態では、アニオン性芳香族賦形剤化合物は、有機カチオンなどの種々の対イオンと共に配合される。いくつかの実施形態では、治療用または非治療用タンパク質の高濃度溶液は、アニオン性芳香族賦形剤化合物およびカフェインと共に配合される。いくつかの実施形態では、アニオン性芳香族賦形剤化合物が身体中で代謝されて、生物学的に適合性がある副産物が生成される。
【0057】
c.賦形剤化合物カテゴリー3:官能化アミノ酸
治療用または非治療用タンパク質の高濃度溶液は、1種またはそれを超える官能化アミノ酸と共に配合することができ、単一官能化アミノ酸または1種またはそれを超える官能化アミノ酸を含むオリゴペプチドを賦形剤化合物として使用してよい。いくつかの実施形態では、官能化アミノ酸化合物は、加水分解または代謝されてアミノ酸を生成することができる分子(「アミノ酸前駆体」)を含む。いくつかの実施形態では、官能化アミノ酸は、フェニル、ベンジル、アリール、アルキルベンジル、ヒドロキシベンジル、ヒドロキシアリール、複素環式芳香族基、または縮合芳香族基などの芳香族官能基を含むことができる。いくつかの実施形態では、官能化アミノ酸化合物は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、シクロアルキル、グリセリル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、PEG、およびPPGエステルなどのエステル化アミノ酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、官能化アミノ酸化合物は、アルギニンエチルエステル、アルギニンメチルエステル、アルギニンヒドロキシエチルエステル、およびアルギニンヒドロキシプロピルエステルからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、官能化アミノ酸化合物は、中性のpHの水溶液中の荷電イオン性化合物である。例えば、単一アミノ酸は、アセテートまたはベンゾエートなどのエステルを形成することにより誘導体化することができ、加水分解生成物は、酢酸または安息香酸(両方とも天然材料)と、アミノ酸になるはずである。いくつかの実施形態では、官能化アミノ酸賦形剤化合物が体内で代謝されて、生物学的に適合性がある副産物が生成される。
【0058】
d.賦形剤化合物カテゴリー4:オリゴペプチド
治療用または非治療用タンパク質の高濃度溶液を、賦形剤化合物としてのオリゴペプチドを使って配合することができる。いくつかの実施形態では、オリゴペプチドは、構造が電荷を持つ部分と嵩高い部分を有するように設計される。いくつかの実施形態では、オリゴペプチドは、2〜10個のペプチドサブユニットからなる。オリゴペプチドは、二官能性、例えば、非極性アミノ酸に結合したカチオン性アミノ酸、または非極性アミノ酸に結合したアニオン性アミノ酸とすることができる。いくつかの実施形態では、オリゴペプチドは、2〜5個のペプチドサブユニットからなる。いくつかの実施形態では、オリゴペプチドは、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリシン、ポリアルギニン、およびポリヒスチジンなどのホモペプチドである。いくつかの実施形態では、オリゴペプチドは正味のカチオン電荷を有する。他の実施形態では、オリゴペプチドは、Trp2Lys3などのヘテロペプチドである。いくつかの実施形態では、オリゴペプチドは、ABA反復パターンなどの交互構造を有することができる。いくつかの実施形態では、オリゴペプチドは、アニオン性およびカチオン性アミノ酸の両方、例えば、Arg−Gluを含むことができる。理論に束縛されるものではないが、オリゴペプチドは、高粘度溶液をもたらす分子間相互作用を減らすような方法でタンパク質と結合することができる構造を含む。例えば、オリゴペプチド−タンパク質結合は、電荷−電荷相互作用で、幾分非極性アミノ酸を残して、タンパク質周辺の水和層の水素結合を破壊し、それにより、粘度を低下させることができる。いくつかの実施形態では、オリゴペプチド賦形剤は、約50mg/mlまたはそれ未満の濃度で組成物中に存在する。
【0059】
e.賦形剤化合物カテゴリー5:短鎖有機酸
本明細書で使用される場合、「短鎖有機酸」という用語は、C2−C6有機酸化合物およびその塩、エステル、またはラクトンを意味する。このカテゴリーには、飽和および不飽和カルボン酸、ヒドロキシ官能化カルボン酸、および直鎖、分枝、または環式カルボン酸が含まれる。いくつかの実施形態では、短鎖有機酸の酸性基は、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、またはその塩である。
【0060】
上記4つの賦形剤カテゴリーに加えて、治療用または非治療用タンパク質の高濃度溶液を、短鎖有機酸、例えば、ソルビン酸、吉草酸、プロピオン酸、カプロン酸、およびアスコルビン酸の酸型または塩型を賦形剤化合物として使って配合することができる。このカテゴリーの賦形剤化合物の例には、ソルビン酸カリウム、タウリン、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびアスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
【0061】
f.賦形剤化合物カテゴリー6:低分子量脂肪族ポリ酸
治療用または非治療用ペグ化タンパク質タンパク質の高濃度溶液を、より低い溶液粘度を可能とする特定の賦形剤化合物を使って配合することができ、この場合、このような賦形剤化合物は、低分子量脂肪族ポリ酸である。本明細書で使用される場合、「低分子量脂肪族ポリ酸」という用語は、約1500未満の分子量を有し、少なくとも2つの酸性基を有する有機脂肪族ポリ酸を意味し、この場合の酸性基は、水素イオン供与部分であると理解される。酸性基の非限定的例には、カルボキシレート、ホスホネート、ホスフェート、スルホネート、サルフェート、ニトレート、およびニトリト基が挙げられる。低分子量脂肪族ポリ酸上の酸性基は、カルボキシレート、ホスホネート、ホスフェート、スルホネート、サルフェート、ニトレート、およびニトリトなどのアニオン性塩型とすることができる。それらの対イオンは、ナトリウム、カリウム、リチウム、およびアンモニウムとすることができる。本明細書に記載のペグ化タンパク質との相互作用に有用な低分子量脂肪族ポリ酸の具体例には、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、マロン酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アスパラギン酸、グルタミン酸、アレンドロン酸、エチドロン酸、およびこれらの塩が挙げられる。低分子量脂肪族ポリ酸のアニオン性塩型のさらなる例としては、ホスフェート(PO
43−)、水素ホスフェート(HPO
43−)、ニ水素ホスフェート(H
2PO
4−)、サルフェート(SO
42−)、ビスルフェート(HSO
4−)、ピロホスフェート(P
2O
74−)、カーボネート(CO
32−)、およびバイカーボネート(HCO
3−)が挙げられる。アニオン性塩に対する対イオンは、Na、Li、K、またはアンモニウムイオンとすることができる。これらの賦形剤も種々の賦形剤と組み合わせて使用することができる。本明細書で使用される場合、低分子量脂肪族ポリ酸はまた、第1の酸性基に隣接してヒドロキシル基が存在する、アルファヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、乳酸、ならびにグルコン酸およびこれらの塩とすることができる。いくつかの実施形態では、低分子量脂肪族ポリ酸は、3つ以上の酸性基を有するオリゴマー型、例えば、ポリアクリル酸、ポリホスフェート、ポリペプチドおよびこれらの塩である。いくつかの実施形態では、低分子量脂肪族ポリ酸賦形剤は、約50mg/mlまたはそれ未満の濃度で組成物中に存在する。
【0062】
5.タンパク質/賦形剤溶液:性質およびプロセス
特定の実施形態では、治療用または非治療用タンパク質の溶液は、上記で特定したヒンダードアミン、アニオン性芳香族化合物、官能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸などの賦形剤化合物と共に配合され、タンパク質拡散相互作用パラメータkD、または第二ビリアル係数B22で測定して、改善されたタンパク質−タンパク質相互作用特性を生じる。本明細書で使用される場合、上記で特定された賦形剤化合物を使った配合物により達成されるタンパク質−タンパク質相互作用特性の「改善」は、タンパク質−タンパク質相互作用の低下を意味する。kDおよびB22のこれらの測定は、この産業における標準的な技術を使って行うことができ、その測定値は、向上した溶液の性質または溶液中のタンパク質の安定性の指標とすることができる。例えば、大きな負のkD値は、タンパク質が強力な引力相互作用を有し、これにより、凝集、不安定性およびレオロジー特性問題を生ずる可能性があることを示すことができる。上記特定されたいずれかの賦形剤化合物の存在下で配合された場合には、同じタンパク質が、小さい負のkD値、またはゼロに近い、もしくはゼロを超えるkD値を有することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、ヒンダードアミン、アニオン性芳香族化合物、官能化アミノ酸、オリゴペプチド、短鎖有機酸、および/または低分子量脂肪族ポリ酸などの特定の上述した賦形剤化合物は、製造、処理、無菌充填、精製、およびタンパク質含有溶液の分析などのタンパク質関連プロセスを、濾過、注射、移送、圧送、混合、熱伝達による加熱または冷却、気体輸送、遠心分離、クロマトグラフィー、膜分離、遠心濃縮、タンジェント流濾過、ラジアル流濾過、軸流濾過、凍結乾燥、およびゲル電気泳動法などの処理方法を使って改善するために使用される。これらのプロセスおよび処理方法は、製造、処理、精製、および分析ステップ中に、溶液中のタンパク質のより低い粘度、向上した溶解度、または向上した安定性に起因して、向上した効率を有することができる。さらに、上記で特定の賦形剤の使用により、タンパク質の低減された堆積物、低減された変性、より低い粘度、および向上した溶解度に起因して、洗浄、滅菌、およびタンパク質処理設備の維持などの設備関連プロセスを、円滑化することができる。
【0064】
上記の賦形剤化合物を使って配合した治療用タンパク質の高濃度溶液を、薬剤充填済み注射器を使って患者に投与することができる。
【0065】
実施例
材料:
・ウシガンマグロブリン(BGG)、純度99%超、Sigma Aldrich
・ヒスチジン、Sigma Aldrich
・別段の指定がない限り、以下の実施例に記載されたその他の物質は、Sigma Aldrichから入手した。
【0066】
実施例1:賦形剤化合物および試験タンパク質を含む配合物の調製
賦形剤化合物および試験タンパク質を使って配合物を調製した。試験タンパク質は、治療用配合物中で使用されるはずの治療用タンパク質、または非治療用配合物中で使用されるはずの非治療用タンパク質をシミュレートすることを意図した。下記のようにして粘度測定を行うために、このような配合物を、種々の賦形剤化合物と共に、50mMヒスチジン塩酸塩中で調製した。蒸留水中に、1.94gのヒスチジン(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)を溶解し、1Mの塩酸(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)でpHを6.0に調節した後、メスフラスコ中の蒸留水で最終体積の250mLに希釈することにより、ヒスチジン塩酸塩を最初に調製した。その後、賦形剤化合物を50mMのヒスチジンHCl中に溶解した。賦形剤のリストを下記実施例4、5、6、および7中に示す。いくつかの事例では、50mMのヒスチジンHCl中に溶解する前に、賦形剤化合物をpH6に調節した。この場合、賦形剤化合物を最初に脱イオン水中に約5重量%で溶解し、塩酸または水酸化ナトリウムを使ってpHを約6.0に調節した。次に、調製した食塩水を約150°F(約65℃)の対流式研究室オーブン中に置き、水を蒸発させて、固形賦形剤を単離した。50mMヒスチジンHCl中の賦形剤溶液が調製されると、試験タンパク質(ウシガンマグロブリン(BGG)(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO))を、1mLの賦形剤溶液当たり、約0.336gのBGGの比率で溶解した。これにより、約280mg/mLの最終タンパク質濃度が得られた。賦形剤を含む、50mMヒスチジンHCl中のBGGの溶液を20mLのバイアル中で配合し、オービタルシェーカーテーブル上で、100rpmで一晩震盪させた。その後、BGG溶液を2mLの微量遠心機チューブに移し、IEC MicroMax微量遠心機で、2300rpmで10分間遠心分離を行って混入空気を除去した後、粘度測定を行った。
【0067】
実施例2:粘度測定
実施例1で記載のように調製された配合物の粘度測定を、DV−IIT LV円錐平板粘度計(Brookfield Engineering,Middleboro,MA)を使って行った。粘度計はCP−40円錐を備え、3rpmおよび25℃で稼動させた。0.5mLの配合物を粘度計に加え、所定の剪断速度および温度で3分間保温し、続けて20秒間、測定収集した。次に、1分の加熱せん断およびその後の20秒の測定収集からなる2つの追加ステップを行った。その後、収集した3つのデータポイントを平均し、試料の粘度として記録した。
【0068】
実施例3:タンパク質濃度測定
UV/VIS分光装置(Perkin Elmer Lambda35)を用い、280nmの波長でタンパク質溶液の吸光度を測定することにより、実験溶液中のタンパク質の濃度を決定した。最初に、50mMヒスチジン緩衝液を使ってpH6で装置をゼロ吸光度に較正した。次に、タンパク質溶液を同じヒスチジン緩衝液で300倍に希釈し、280nmでの吸光度を記録した。1.264mL/(mg・cm)の吸光係数値を使うことにより、溶液中のタンパク質の最終濃度を計算した。
【0069】
実施例4:ヒンダードアミン賦形剤化合物を使った配合物
280mg/mLのBGGを含む配合物を、実施例1に記載のように調製したが、いくつかの試料には追加の賦形剤化合物を含めた。これらの試験では、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ジシクロヘキシルメチルアミン(DCHMA)、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、およびナイアシンアミドの塩酸塩を、ヒンダードアミン賦形剤化合物の試料として試験した。また、DMCHAのヒドロキシ安息香酸塩およびタウリン−ジシアンジアミド付加物をヒンダードアミン賦形剤化合物の試料として試験した。それぞれのタンパク質溶液の粘度を実施例2に記載のようにして測定し、結果を下表1に示す。この結果は、添加した賦形剤化合物の、粘度低減における利点を示している。
【表1】
【0070】
実施例5:アニオン性芳香族賦形剤化合物を使った配合物
280mg/mLのBGGの配合物を、実施例1に記載のように調製したが、いくつかの試料には追加の賦形剤化合物を含めた。それぞれのタンパク質溶液の粘度を実施例2に記載のようにして測定し、結果を下表2に示す。この結果は、添加した賦形剤化合物の、粘度低減における利点を示している。
【表2】
【0071】
実施例6:オリゴペプチド賦形剤化合物を使った配合物
オリゴペプチド(n=5)をNeoBioLab Inc.で合成した。コノペプチドは、純度95%超で、遊離アミンとしてのN末端および遊離酸としてのC末端を有する。95%純度のジペプチド(n=2)をLifeTein LLCで合成した。280mg/mLのBGGの配合物を、実施例1に記載のように調製したが、いくつかの試料には追加の合成オリゴペプチドを追加の賦形剤化合物として含めた。それぞれのタンパク質溶液の粘度を実施例2に記載のようにして測定し、結果を下表3に示す。この結果は、添加した賦形剤化合物の、粘度低減における利点を示している。
【表3】
【0072】
実施例8:グアニルタウリン賦形剤の合成
米国特許第2,230,965号に記載の方法に従って、グアニルタウリンを調製した。タウリン(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)3.53部を、1.42部のジシアンジアミド(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)と混合し、乳鉢と乳棒で均一混合物が得られるまで粉砕した。次に、混合物をフラスコに入れ、200℃で4時間加熱した。生成物をさらに精製することなく用いた。
【0073】
実施例9:賦形剤化合物を含むタンパク質配合物
賦形剤化合物および試験タンパク質を使って配合物を調製した。試験タンパク質は、治療用配合物中で使用されるはずの治療用タンパク質、または非治療用配合物中で使用されるはずの非治療用タンパク質をシミュレートすることを意図した。下記のようにして粘度測定を行うために、このような配合物を、種々の賦形剤化合物と共に、50mMの水性ヒスチジン塩酸塩緩衝液中で調製した。蒸留水中に、1.94gのヒスチジン(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)を溶解し、1Mの塩酸(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)でpHを6.0に調節した後、メスフラスコ中の蒸留水で最終体積の250mLに希釈することにより、ヒスチジン塩酸塩緩衝液を最初に調製した。その後、賦形剤化合物を50mMのヒスチジンHCl緩衝液中に溶解した。賦形剤化合物のリストを表4に示す。いくつかの事例では、賦形剤化合物を50mMのヒスチジンHCl中に溶解し、得られた溶液のpHを少量の濃水酸化ナトリウムまたは濃塩酸を用いてpH6になるように調節した後、モデルタンパク質を溶解した。いくつかの事例では、50mMのヒスチジンHCl中に溶解する前に、賦形剤化合物をpH6に調節した。この場合、賦形剤化合物を最初に脱イオン水中に約5重量%で溶解し、塩酸または水酸化ナトリウムを使ってpHを約6.0に調節した。次に、調製した食塩水を約150°F(65℃)の対流式研究室オーブン中に置き、水を蒸発させて、固形賦形剤を単離した。50mMヒスチジンHCl中の賦形剤溶液が調製されると、試験タンパク質のウシガンマグロブリン(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)を、約280mg/mLの最終のタンパク質濃度になる比率で溶解した。賦形剤を含む、50mMヒスチジンHCl中のBGGの溶液を20mLのバイアル中で配合し、オービタルシェーカーテーブル上で、100rpmで一晩震盪させた。その後、BGG溶液を2mLの微量遠心機チューブに移し、IEC MicroMax微量遠心機で、2300rpmで10分間遠心分離を行って混入空気を除去した後、粘度測定を行った。
【0074】
上記のように調製された配合物の粘度測定を、DV−IIT LV円錐平板粘度計(Brookfield Engineering,Middleboro,MA)を使って行った。粘度計はCP−40円錐を備え、3rpmおよび25℃で稼動させた。0.5mLの配合物を粘度計に加え、所定の剪断速度および温度で3分間保温し、続けて20秒間、測定収集した。次に、1分の加熱せん断およびその後の20秒の測定収集からなる2つの追加ステップを行った。その後、収集した3つのデータポイントを平均し、試料の粘度として記録した。賦形剤を含む溶液の粘度を、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に正規化した。正規化粘度は、賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する比である。
【表4】
【0075】
実施例10:賦形剤の組み合わせおよび試験タンパク質を含む配合物の調製
第1賦形剤化合物、第2賦形剤化合物および試験タンパク質を使って配合物を調製した。試験タンパク質は、治療用配合物中で使用されるはずの治療用タンパク質、または非治療用配合物中で使用されるはずの非治療用タンパク質をシミュレートすることを意図した。第1賦形剤化合物は、下表5に記載したように、アニオン性および芳香族官能基の両方を有する化合物から選択した。第2賦形剤化合物は、下表5に記載したように、pH6で非イオン性またはカチオン電荷を有し、さらにイミダゾリンまたはベンゼン環を有する化合物から選択した。下記のようにして粘度測定をするために、50mMのヒスチジン塩酸塩緩衝液中でこれらの賦形剤の配合物を調製した。蒸留水中に、1.94gのヒスチジン(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)を溶解し、1Mの塩酸(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)でpHを6.0に調節した後、メスフラスコ中の蒸留水で最終体積の250mLに希釈することにより、ヒスチジン塩酸塩を最初に調製した。その後、個別の第1または第2賦形剤化合物を50mMのヒスチジンHCl中に溶解した。第1および第2賦形剤の組み合わせを、50mMのヒスチジンHCl中に溶解し、得られた溶液のpHを少量の濃水酸化ナトリウムまたは濃塩酸を用いてpH6になるように調節した後、モデルタンパク質を溶解した。賦形剤溶液が上述のように調製されると、試験タンパク質(ウシガンマグロブリン(BGG)(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO))を、約280mg/mLの最終のタンパク質濃度になる比率でそれぞれの試験液に溶解した。賦形剤を含む、50mMヒスチジンHCl中のBGGの溶液を20mLのバイアル中で配合し、オービタルシェーカーテーブル上で、100rpmで一晩震盪させた。その後、BGG溶液を2mLの微量遠心機チューブに移し、IEC MicroMax微量遠心機で、2300rpmで10分間遠心分離を行って混入空気を除去した後、粘度測定を行った。
【0076】
上記のように調製された配合物の粘度測定を、DV−IIT LV円錐平板粘度計(Brookfield Engineering,Middleboro,MA)を使って行った。粘度計はCP−40円錐を備え、3rpmおよび25℃で稼動させた。0.5mLの配合物を粘度計に加え、所定の剪断速度および温度で3分間保温し、続けて20秒間、測定収集した。次に、1分の加熱せん断およびその後の20秒の測定収集からなる2つの追加ステップを行った。その後、収集した3つのデータポイントを平均し、試料の粘度として記録した。賦形剤を含む溶液の粘度を、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に正規化し、下表5にまとめた。正規化粘度は、賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する比である。実施例は、第1および第2賦形剤の組み合わせが、単一賦形剤より良好な結果を与えることができることを示している。
【表5】
【0077】
実施例11:賦形剤の組み合わせおよび試験タンパク質を含む配合物の調製
第1賦形剤化合物、第2賦形剤化合物および試験タンパク質を使って配合物を調製した。試験タンパク質は、治療用配合物中で使用されるはずの治療用タンパク質、または非治療用配合物中で使用されるはずの非治療用タンパク質をシミュレートすることを意図した。第1賦形剤化合物は、下表6に記載したように、アニオン性および芳香族官能基の両方を有する化合物から選択した。第2賦形剤化合物は、下表6に記載したように、pH6で非イオン性またはカチオン電荷を有し、さらにイミダゾリンまたはベンゼン環を有する化合物から選択した。下記のようにして粘度測定をするために、蒸留水中でこれらの賦形剤の配合物を調製した。第1および第2賦形剤の組み合わせを、蒸留水中に溶解し、得られた溶液のpHを少量の濃水酸化ナトリウムまたは濃塩酸を用いてpH6になるように調節した後、モデルタンパク質を溶解した。蒸留水中の賦形剤溶液が調製されると、試験タンパク質(ウシガンマグロブリン(BGG)(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO))を、約280mg/mLの最終のタンパク質濃度になる比率で溶解した。賦形剤を含む、蒸留水中のBGGの溶液を20mLのバイアル中で配合し、オービタルシェーカーテーブル上で、100rpmで一晩震盪させた。その後、BGG溶液を2mLの微量遠心機チューブに移し、IEC MicroMax微量遠心機で、2300rpmで10分間遠心分離を行って混入空気を除去した後、粘度測定を行った。
【0078】
上記のように調製された配合物の粘度測定を、DV−IIT LV円錐平板粘度計(Brookfield Engineering,Middleboro,MA)を使って行った。粘度計はCP−40円錐を備え、3rpmおよび25℃で稼動させた。0.5mLの配合物を粘度計に加え、所定の剪断速度および温度で3分間保温し、続けて20秒間、測定収集した。次に、1分の加熱せん断およびその後の20秒の測定収集からなる2つの追加ステップを行った。その後、収集した3つのデータポイントを平均し、試料の粘度として記録した。賦形剤を含む溶液の粘度を、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に正規化し、下表6にまとめた。正規化粘度は、賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する比である。実施例は、第1および第2賦形剤の組み合わせが、単一賦形剤より良好な結果を与えることができることを示している。
【表6】
【0079】
実施例12:賦形剤化合物およびPEGを含む配合物の調製
材料:全ての材料をSigma−Aldrich、St.Louis,MOから購入した。賦形剤化合物およびPEGを使って配合物を調製した。PEGは、治療用配合物中で使用されるはずの治療用ペグ化タンパク質をシミュレートすることを意図した。等容積のPEG溶液と賦形剤の溶液とを混合することにより、このような配合物を調製した。両溶液を、10mMのトリス、135mMのNaCl、1mMのトランスケイ皮酸からなるpH7.3のトリス緩衝液中で調製した。
【0080】
3gのポリ(エチレンオキシド):平均Mw約1,000,000(Aldrichカタログ#372781)と、97gのトリス緩衝液とを混合することにより、PEG溶液を調製した。完全に溶解させるために、この混合物を一晩撹拌した。
【0081】
賦形剤溶液調製の一例は、以下の通り:5mLのトリス緩衝液中に、0.4gのクエン酸(Aldrichカタログ#251275)を溶解し、最小量の10M NaOH溶液を使ってpHを7.3に調節することにより、トリス緩衝液中の約80mg/mLのクエン酸溶液を調製した。
【0082】
0.5mLのPEG溶液と0.5mLの賦形剤溶液とを、ボルテックスを使って数秒間混合することにより、PEG賦形剤溶液を調製した。0.5mLのPEG溶液と0.5mLのトリス緩衝液とを混合することにより、対照試料を調製した。
【0083】
実施例13:賦形剤化合物およびPEGを含む配合物の粘度測定
調製された配合物の粘度測定を、DV−IIT LV円錐平板粘度計(Brookfield Engineering,Middleboro,MA)を使って行った。粘度計はCP−40円錐を備え、3rpmおよび25℃で稼動させた。0.5mLの配合物を粘度計に加え、所定の剪断速度および温度で3分間保温し、続けて20秒間、測定収集した。次に、1分の加熱せん断およびその後の20秒の測定収集からなる2つの追加ステップを行った。その後、収集した3つのデータポイントを平均し、試料の粘度として記録した。
【0084】
結果を表7に示す。この結果は、添加した賦形剤化合物の粘度低減における効果を示している。
【表7】
【0085】
実施例14:BSA1分子当たり1PEGを有するペグ化BSAの調製
ビーカーに200mLの燐酸塩緩衝食塩水(Aldrichカタログ#P4417)および4gのBSA(Aldrichカタログ#A7906)を加え、磁気撹拌子を使って混合した。次に、400mgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド:MW=5,000(Aldrichカタログ#63187)を添加した。反応混合物を室温で一晩反応させた。翌日、20滴の0.1M HClを添加して反応を停止させた。反応生成物をSDS−PAGEおよびSECにより同定した。この結果は、明確にペグ化BSAを示した。反応混合物を、30,000の分画分子量(MWCO)のAmicon遠心管に入れ、数ミリリットルに濃縮した。次に、試料を50mMのヒスチジン緩衝液を使って、pH約6で20倍に希釈し、続けて、高粘度流体が得られるまで濃縮した。280nmでの吸光度を測定し、0.6678のBSAの吸光係数を使うことにより、タンパク質溶液の最終濃度を得た。溶液中のBSAの最終濃度は、342mg/mLという結果であった。
【0086】
実施例15:BSA1分子当たり複数のPEG鎖を有するペグ化BSAの調製
0.5gのBSA(Aldrich A7906)と100mLの緩衝液を混合することにより、pH7.2で、25mMリン酸緩衝液中の5mg/mLのBSA溶液を調製した。次に、1gのメトキシPEGプロピオンアルデヒド:Mw=20,000(JenKem Technology,Plano,TX 75024)を加え、続けて、0.12gのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Aldrich 156159)を加えた。室温で一晩、反応進行させた。翌日、反応混合物を、トリス緩衝液(10mMのトリス、135mMのNaCl、pH=7.3)で13倍に希釈し、30,000のMWCOのAmicon遠心管を使って、約150mg/mLになるまで濃縮した。
【0087】
実施例16:リゾチーム1分子当たり複数のPEGを有するペグ化リゾチームの調製
0.5gのリゾチーム(Aldrich L6876)と100mLの緩衝液を混合することにより、pH7.2で、25mMのリン酸緩衝液中のリゾチームの5mg/mL溶液を調製した。次に、1gのメトキシPEGプロピオンアルデヒド:Mw=5,000(JenKem Technology,Plano,TX 75024)を加え、続けて、0.12gのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(Aldrich 156159)を加えた。室温で一晩、反応を進行させた。翌日、反応混合物を、pH7.2の25mMのリン酸緩衝液で49倍に希釈し、30,000のMWCOのAmicon遠心管を使って、濃縮した。280nmでの吸光度を測定し、2.63のリゾチームの吸光係数を使うことにより、タンパク質溶液の最終濃度を得た。溶液中のリゾチームの最終濃度は、140mg/mLであった。
【0088】
実施例17:BSA1分子当たり1PEG鎖を有するペグ化BSAの粘度に与える賦形剤の影響
0.3mLのペグ化BSA(上記実施例14由来の)溶液に、6または12mgの賦形剤塩を加えることにより、賦形剤を含むペグ化BSAの配合物を調製した。この溶液を静かに振盪することにより混合し、A10チャネル(100ミクロン深さ)を備えたRheoSense microViscにより500秒−1の剪断速度で粘度を測定した。粘度計測定値は周囲温度で行った。
【0089】
結果を表8に示す。この結果は、添加した賦形剤化合物の粘度低減における効果を示している。
【表8】
【0090】
実施例18:BSA1分子当たり複数のPEG鎖を有するペグ化BSAの粘度に与える賦形剤の効果
0.2mLのペグ化BSA(上記実施例15由来の)溶液に、8mgの賦形剤塩を加えることにより、賦形剤としてクエン酸ナトリウム塩を含むペグ化BSAの配合物を調製した。この溶液を静かに振盪することにより混合し、A10チャネル(100ミクロン深さ)を備えたRheoSense microViscにより500秒−1の剪断速度で粘度を測定した。粘度計測定値は周囲温度で行った。結果を表9に示す。この結果は、添加した賦形剤化合物の粘度低減における効果を示している。
【表9】
【0091】
実施例19:リゾチーム1分子当たり複数のPEG鎖を有するペグ化リゾチームの粘度に与える賦形剤の効果
0.3mLのペグ化リゾチーム(上記実施例16由来の)溶液に、6mgの賦形剤塩を加えることにより、賦形剤として酢酸カリウムを含むペグ化リゾチームの配合物を調製した。この溶液を静かに振盪することにより混合し、A10チャネル(100ミクロン深さ)を備えたRheoSense microViscにより500秒−1の剪断速度で粘度を測定した。粘度計測定値は周囲温度で行った。結果を次表に示す。この結果は、添加した賦形剤化合物の粘度低減における利点を示している。
【表10】
【0092】
実施例20:賦形剤の組み合わせを含むタンパク質配合物
賦形剤化合物または2種の賦形剤化合物の組み合わせ、および試験タンパク質を使って配合物を調製した。試験タンパク質は、治療用配合物中で使用されるはずの治療用タンパク質をシミュレートすることを意図した。下記のようにして粘度測定を行うために、これらの配合物を、種々の賦形剤化合物と共に、20mMヒスチジン緩衝液中で調製した。賦形剤の組み合わせを、20mMのヒスチジン(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)に溶解し、得られた溶液のpHを少量の濃水酸化ナトリウムまたは濃塩酸を用いてpH6になるように調節した後、モデルタンパク質を溶解した。この実施例の賦形剤化合物を下表11に記載する。賦形剤溶液が調製されると、試験タンパク質(ウシガンマグロブリン、すなわち「BGG」(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO))を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度になる比率で溶解した。賦形剤溶液中のBGGの溶液を5mLの無菌ポリプロピレンチューブ中で配合し、オービタルシェーカーテーブル上で80〜100rpmで一晩震盪した。その後、BGG溶液を2mLの微量遠心機チューブに移し、IEC MicroMax微量遠心機で、2300rpmで約10分間遠心分離を行って混入空気を除去した後、粘度測定を行った。
【0093】
上記のように調製された配合物の粘度測定を、DV−IIT LV円錐平板粘度計(Brookfield Engineering,Middleboro,MA)を使って行った。粘度計はCP−40円錐を備え、3rpmおよび25℃で稼動させた。0.5mLの配合物を粘度計に加え、所定の剪断速度および温度で3分間保温し、続けて20秒間、測定収集した。次に、1分の加熱せん断およびその後の20秒の測定収集からなる2つの追加ステップを行った。その後、収集した3つのデータポイントを平均し、試料の粘度として記録した。賦形剤を含む溶液の粘度を、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に正規化した。結果を下表11に示す。正規化粘度は、賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する比である。
【表11】
【0094】
実施例21:粘度および注射疼痛を低減する賦形剤を含むタンパク質配合物
賦形剤化合物、第2の賦形剤化合物、および試験タンパク質を使って配合物を調製した。試験タンパク質は、治療用配合物中で使用されるはずの治療用タンパク質をシミュレートすることを意図した。第1の賦形剤化合物の賦形剤Aは、局所麻酔剤特性を有する化合物群から選択した。第1の賦形剤の賦形剤Aおよび第2の賦形剤の賦形剤Bを表12に記載する。下記のようにして賦形剤Aおよび賦形剤Bを使って、これらの配合物を20mMヒスチジン緩衝液中で調製し、それらの粘度を測定可能とした。表12に開示の量の賦形剤を、20mMのヒスチジン(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)に溶解し、得られた溶液のpHを少量の濃水酸化ナトリウムまたは濃塩酸を用いてpH6になるように調節した後、モデルタンパク質を溶解した。賦形剤溶液が調製されると、試験タンパク質(ウシガンマグロブリン(「BGG」)(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO))を、約280mg/mLの最終タンパク質濃度になる比率で、賦形剤溶液中に溶解した。賦形剤溶液中のBGGの溶液を5mLの無菌ポリプロピレンチューブ中で配合し、オービタルシェーカーテーブル上で80〜100rpmで一晩震盪した。その後、BGG−賦形剤溶液を2mLの微量遠心機チューブに移し、IEC MicroMax微量遠心機で、2300rpmで約10分間遠心分離を行って混入空気を除去した後、粘度測定を行った。
【0095】
上記のように調製された配合物の粘度測定を、DV−IIT LV円錐平板粘度計(Brookfield Engineering,Middleboro,MA)を使って行った。粘度計はCP−40円錐を備え、3rpmおよび25℃で稼動させた。0.5mLの配合物を粘度計に加え、所定の剪断速度および温度で3分間保温し、続けて20秒間、測定収集した。次に、1分の加熱せん断およびその後の20秒の測定収集からなる2つの追加ステップを行った。その後、収集した3つのデータポイントを平均し、試料の粘度として記録した。賦形剤を含む溶液の粘度を、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に正規化した。結果を下表12に示す。正規化粘度は、賦形剤を含むモデルタンパク質溶液の粘度の、賦形剤を含まないモデルタンパク質溶液の粘度に対する比である。
【表12】
【0096】
実施例22:賦形剤化合物およびPEGを含む配合物
賦形剤化合物およびPEGを使って配合物を調製した。PEGは、治療用配合物中で使用されるはずの治療用ペグ化タンパク質をシミュレートすることを意図した。また、賦形剤化合物は表13に記載の量で加えた。等容積のPEG溶液と賦形剤の溶液とを混合することにより、これらの配合物を調製した。両溶液は脱イオン水で調製した。
【0097】
16.5gのポリ(エチレンオキシド):平均Mw約100,000(Aldrichカタログ#181986)と、83.5gの脱イオン水とを混合することにより、PEG溶液を調製した。完全に溶解させるために、この混合物を一晩撹拌した。
【0098】
この一般法により賦形剤溶液を調製した。詳細は下表13に示す。5mLの脱イオン水中に0.05gのリン酸カリウムを溶解することにより、脱イオン水中の約20mg/mLの三塩基性リン酸カリウム(Aldrichカタログ#P5629)の溶液を調製した。0.5mLのPEG溶液と0.5mLの賦形剤溶液とを、ボルテックスを使って数秒間混合することにより、PEG賦形剤溶液を調製した。0.5mLのPEG溶液と0.5mLの脱イオン水とを混合することにより、対照試料を調製した。粘度を測定し、結果を下表13に記載する。
【表13】
【0099】
実施例23:賦形剤により改良されたタンパク質溶液の処理
0.25gの固形BGG(Aldrichカタログ番号G5009)と4mlの緩衝液を混合することにより、2種のBGG溶液を調製した。試料Aでは、緩衝液を20mMヒスチジン緩衝液(pH=6.0)とした。試料Bでは、緩衝液を15mg/mlのカフェインを含む20mMヒスチジン緩衝液(pH=6)とした。100rpmに設定したオービタルシェーカー中に試料を置くことにより、固形BGGの溶解を行った。カフェイン賦形剤を含む緩衝液試料がタンパク質をより速く溶解することが観察された。カフェイン賦形剤を含む試料(試料B)では、BGGの完全な溶解は15分で達成された。カフェインを含まない試料(試料A)では、溶解するのに35分を要した。
【0100】
次に、試料を2台の別々の、30,000の分画分子量のAmicon Ultra4 Centrifugal Filter Unitに入れ、試料を2,500rpmで10分間隔の遠心分離を行った。それぞれの10分間の遠心分離機後に、回収された濾液体積を記録した。表14の結果は、試料Bの濾液のより速い回収を示す。さらに、試料Bは、それぞれの追加の遠心分離で、濃縮が持続されたが、試料Aは、最大濃度点に達し、それ以降の遠心分離では、さらなる試料濃縮が生じなかった。
【表14】
【0101】
実施例24:複数の賦形剤を含むタンパク質配合物
この実施例は、賦形剤としてのカフェインおよびアルギニンの組み合わせが、BGG溶液の粘度低減に対し、どれほど有益な効果を有するかを示す。0.18gの固形BGG(Aldrichカタログ番号G5009)と0.5mlの20mMヒスチジン緩衝液をpH6で混合することにより、4種のBGG溶液を調製した。それぞれの緩衝液には、下表に記載のように、異なる賦形剤または賦形剤の組み合わせを含めた。前に行った実施例に記載のように溶液の粘度を測定した。結果は、ヒンダードアミン賦形剤、カフェインを、アルギニンなどの既知の賦形剤と組み合わせることができ、組み合わせたものは、それら個別の賦形剤より良好な粘度低減特性を有することを示している
【表15】
【0102】
pH6で、ヒスチジン緩衝液中の280mg/mLのBGG溶液にアルギニンを添加した。50mg/mLを超えるレベルでは、さらに多くのアルギニンの添加は、表16に示すように、粘度をそれ以上低減しなかった。
【表16】
【0103】
pH6で、ヒスチジン緩衝液中の280mg/mLのBGG溶液にカフェインを添加した。10mg/mLを超えるレベルでは、さらに多くのカフェインの添加は、表17に示すように、粘度をそれ以上低減しなかった。
【表17】
【0104】
等価物
本発明の特定の実施形態が本明細書で開示されてきたが、上記明細書は例示的なものであり、限定するものではない。本発明はその好適な実施形態に言及しながら具体的に示され記載されてきたが、請求項に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、その形態や詳細を様々に変更してよいことを当業者なら理解するであろう。本明細書を再検討することにより、当業者なら本発明の多くの変形例が明らかになるであろう。特に指示がない限り、本明細書および請求項において使用される反応条件、成分量、などを表す全ての数値は、全ての場合において、「約」という語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、特に指示がない限り、本明細書に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化する可能性のある近似値である。