(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動体が前記第1位置にあるとき、前記脚体は、前記第2端部が前記ベース体に押し付けられていることにより、前記可動体の進退方向にたわんで復元力を生じている請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
前記可動体が前記第1位置にあるとき、前記弾性体は、前記可動体と前記ベース体との間に挟まれていることにより、前記可動体の進退方向に縮んで復元力を生じている請求項3に記載の押しボタンスイッチ。
前記可動体の進退方向に平行であり、前記一対の脚体の前記第2端部と前記ベース体とのそれぞれの接点を通る平面は、前記ボタン部の外側に位置している請求項8に記載の押しボタンスイッチ。
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の押しボタンスイッチと、前記押しボタンスイッチの表側に設けられ、前記ボタン部と対応する位置に開口部が形成された表板と、を備えた操作ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1に係る押しボタンスイッチについて説明する。本実施の形態に係る押しボタンスイッチは、エレベータかご操作盤、乗り場操作盤などの操作ユニットに使用される。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100の構成を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100の構成を示す概略正面図である。
図3は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100から可動体30を取り外した構成を示す斜視図である。
図4は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100の可動体30の表面30a側の構成を示す斜視図である。
図5は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100の可動体30の裏面30b側の構成を示す斜視図である。
図6は、
図2のVI−VI断面を示す断面斜視図である。
図7は、
図2のVII−VII断面を示す断面斜視図である。
図8は、
図2のVIII−VIII断面を示す断面斜視図である。
図9は、
図8のIX部を拡大して示す図である。
図10は、
図2のX−X断面を示す断面斜視図である。
図11は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100の内部構成を示す概略側面図である。
【0011】
図1〜
図11に示すように、押しボタンスイッチ100は、ハウジング10と、スイッチ本体20と、可動体30と、異形ばね40と、を有している。
【0012】
ハウジング10は、上方が開口された箱型の形状を有している。ハウジング10は、長方形平板状のベース体11と、ベース体11の外周部に形成された側壁12a、12b、12c、12dと、を有している。側壁12a、12b、12c、12dのそれぞれは、ベース体11と垂直に設けられている。側壁12a及び側壁12cは、互いに対向している。側壁12b及び側壁12dは、互いに対向している。ベース体11と平行な平面内において側壁12b及び側壁12dに沿う方向は、ベース体11の長手方向であり、かつ押しボタンスイッチ100の長手方向である。
【0013】
側壁12bの内壁面には、ベース体11と垂直な方向に沿って延伸した2つのガイド溝13aが形成されている。2つのガイド溝13aには、可動体30の2つの突起33aがそれぞれ嵌め込まれている。側壁12dの内壁面には、ガイド溝13aの延伸方向と平行に延伸した2つのガイド溝13bが形成されている。2つのガイド溝13bには、可動体30の2つの突起33bがそれぞれ嵌め込まれている。
【0014】
側壁12aの内壁面には、爪状の形状を有する2つのストッパ14aが形成されている。側壁12cの内壁面には、爪状の形状を有する2つのストッパ14bが形成されている。2つのストッパ14a及び2つのストッパ14bは、押込み力が加えられていないときの可動体30の位置を規定するために設けられている。
【0015】
ハウジング10の内部空間には、基板22が配置されている。基板22は、ベース体11によって支持されている。基板22の表面には、光源体25及びスイッチ本体20が実装されている。光源体25は、スイッチ本体20の作動状態と連動して発光するように構成されている。光源体25は、可動体30のボタン部32の直下に配置されている。
図3では、光源体25を配置可能な範囲を破線で示している。光源体25としては、LEDが用いられている。
【0016】
スイッチ本体20は、可動体30のボタン部32の直下から外れた位置に配置されている。スイッチ本体20としては、タクタイルスイッチが用いられている。スイッチ本体20は、プランジャ21と、プランジャ21を押し上げるとともに可動接点として機能する反転ばねと、を有している。反転ばねは、スイッチ本体20の内部に設けられている。
【0017】
可動体30は、スイッチ本体20及び光源体25を挟んで、ベース体11と対向して設けられている。可動体30は、側壁12a、12b、12c、12dに沿ってハウジング10に嵌め込まれた長方形平板状のつば部31と、つば部31の表面30aから突出した円筒状のボタン部32と、を有している。ボタン部32には、後述するボタンカバー301が取り付けられる。
【0018】
可動体30は、第1位置と、第1位置よりもベース体11側に位置する第2位置と、の間を進退可能に構成されている。可動体30には、異形ばね40の弾性復元力により、第2位置から第1位置に向かう方向の力が加えられている。第1位置から第2位置に向かう方向の押込み力が異形ばね40の弾性復元力に抗してボタン部32に加えられると、可動体30は、第1位置から第2位置に移動する。押込み力が取り除かれると、可動体30は、異形ばね40の弾性復元力により第2位置から第1位置に戻る。
【0019】
つば部31の外周部には、2つのガイド溝13aにそれぞれ嵌め込まれる2つの突起33aと、2つのガイド溝13bにそれぞれ嵌め込まれる2つの突起33bと、が形成されている。各突起33aは、各ガイド溝13aに沿って摺動可能である。各突起33bは、各ガイド溝13bに沿って摺動可能である。これにより、可動体30は、ガイド溝13a及びガイド溝13bに沿って進退可能となる。
【0020】
つば部31の外周部には、2つの当接部34a及び2つの当接部34bが形成されている。可動体30が第1位置にあるとき、2つの当接部34aは2つのストッパ14aにそれぞれ当接しており、2つの当接部34bは2つのストッパ14bにそれぞれ当接している。
【0021】
可動体30の裏面30bには、円柱形状の作動部35が形成されている。作動部35は、裏面30bから可動体30の進退方向に沿って突出している。作動部35は、可動体30の進退方向にスイッチ本体20と対向している。可動体30が第1位置にあるとき、作動部35の先端部35aとスイッチ本体20のプランジャ21との間には隙間が形成される。一方、可動体30が第2位置にあるとき、スイッチ本体20のプランジャ21は、作動部35の先端部35aによって押し込まれる。
【0022】
可動体30の裏面30bには、異形ばね40を支持する部材として、2つの回転支持部36と2つの接触支持部37とが形成されている。各回転支持部36及び各接触支持部37の構成については後述する。
【0023】
可動体30は、光源体25からの光を透過させる透明の樹脂材料、又は光源体25からの光を透過させるとともに拡散させる乳白色の樹脂材料によって形成されている。あるいは、可動体30のボタン部32は、透明又は乳白色の樹脂材料によって形成され、可動体30のつば部31は、光を透過させない不透明の材料によって形成されていてもよい。ボタン部32は、透明又は乳白色の樹脂材料によって形成され光を透過させる透過部を少なくとも一部に有している。
【0024】
異形ばね40は、可動体30とベース体11との間におけるハウジング10の内部空間に設けられた弾性部材である。異形ばね40は、円形の断面を有する線材がU字状に曲げ加工された線細工ばねである。異形ばね40は、一対の脚体41、42と、脚体41の一端と脚体42の一端とを連結する連結体43と、を有している。脚体41は、ハウジング10の側壁12bに沿って配置されている。脚体42は、ハウジング10の側壁12dに沿って配置されている。連結体43は、ハウジング10の側壁12aに沿って配置されている。可動体30の進退方向に沿って見たとき、異形ばね40は、光源体25及びスイッチ本体20のいずれとも重ならないように配置されている。また、異形ばね40は、光源体25から発せられてボタン部32の透過部を透過する光の光路を遮らない位置に配置されている。
【0025】
可動体30の進退方向に沿って見たとき、脚体41、脚体42及び連結体43のそれぞれは、直線状に延伸している。同方向に沿って見たとき、脚体41及び脚体42のそれぞれは、連結体43の延伸方向と垂直な方向に延伸している。脚体41及び脚体42は、連結体43を挟んで互いに対称となる構成を有している。以下、脚体41及び脚体42の構成については、脚体41を例に挙げて説明する。
【0026】
連結体43は、可動体30の裏面30bに沿って配置されている。連結体43は、可動体30に形成された2つの回転支持部36によって回転可能に支持されている。各回転支持部36は、可動体30の裏面30bからそれぞれ突出した一対の突出部36aと、一対の突出部36aの互いに向き合う面に形成された一対の爪部36bと、を有している。回転支持部36は、連結体43を回転可能に支持するように構成されている。連結体43が2つの回転支持部36によって支持されることにより、連結体43の軸心を中心とした連結体43、脚体41及び脚体42の回転は許容されるが、連結体43の延伸方向と垂直な方向への連結体43、脚体41及び脚体42の移動は規制される。
【0027】
脚体41は、延伸方向の一端側に位置する第1端部41aと、延伸方向の他端側に位置する第2端部41bと、を有している。第1端部41aには、連結体43と脚体41との間の曲げ部44と、曲げ部44と第2端部41bとの間に曲げ部44と隣接して設けられた曲げ部41cと、曲げ部44と曲げ部41cとの間に設けられた被支持部41dと、が設けられている。
【0028】
被支持部41dは、連結体43の延伸方向及び可動体30の進退方向の双方と垂直な方向に延伸している。被支持部41dは、可動体30に形成された接触支持部37に接触しており、接触支持部37によって支持されている。接触支持部37は、可動体30の裏面30bに形成された凸部の表面によって構成されており、可動体30の進退方向と垂直に形成されている。被支持部41dが接触支持部37によって支持されることにより、可動体30の進退方向と垂直な方向への被支持部41dの移動は許容されるが、可動体30の進退方向と平行な方向への被支持部41dの移動は規制される。接触支持部37は、脚体41が連結体43を中心として可動体30に近づく方向に回転することを阻止している。接触支持部37は、脚体41にたわみ変形が生じるときの支点となる。また、被支持部41dは、可動体30の傾きを抑える機能も有している。
【0029】
曲げ部41cは、被支持部41dと隣接して設けられている。脚体41は、曲げ部41cにおいて鈍角をなすように曲げられている。脚体41は、曲げ部41cと第2端部41bとの間において、可動体30の進退方向に対して斜めに直線状に延伸している。
【0030】
第2端部41bは、脚体42に向かう方向に鉤状に曲げられている。第2端部41bは、ベース体11に設けられた接触部15に摺動可能に接触している。接触部15は、ベース体11と平行な平面状に形成されている。
【0031】
図11に示すように、異形ばね40は、脚体41が接触支持部37を支点として反時計回り方向にたわみ変形している状態で、可動体30とハウジング10との間に組み込まれている。
図11では、たわみ変形の生じていない自然な状態の脚体41の形状を破線で示している。脚体41にたわみ変形が生じた状態では、脚体41には、接触支持部37を支点とした時計回り方向の復元力が生じている。
図11では、脚体41に生じている復元力の向きを太矢印で示している。
【0032】
可動体30とハウジング10との間に異形ばね40が組み込まれる際には、まず、脚体41の被支持部41dが可動体30の接触支持部37に接触し、脚体41の第2端部41bがハウジング10の接触部15に接触する。その後、接触支持部37を支点として、脚体41が弾性的にたわみ変形する。
【0033】
本実施の形態では、可動体30が第1位置にある場合においても、脚体41にはたわみ変形が生じている。このため、脚体41の第2端部41bは、たわみ変形の復元力により、ベース体11に押し付けられている。つまり、外部から押込み力が加えられていないときの可動体30には、スイッチ本体20から離れる方向のプリテンション荷重が加えられている。プリテンション荷重によって可動体30が2つのストッパ14a及び2つのストッパ14bに押し付けられるため、ハウジング10に対する可動体30のがたつきが抑えられる。ただし、可動体30が第1位置にある場合には、脚体41にたわみ変形が生じていなくてもよい。この場合、可動体30に作用するプリテンション荷重がゼロとなる。
【0034】
図11に示すように、可動体30の進退方向と平行であり、かつボタン部32の中心及び第1端部41aと第2端部41bとの間を通る平面を、第1平面50とする。このとき、脚体41の第1端部41aは、第1平面50の一方側に位置している。脚体41の第2端部41b、スイッチ本体20、及び可動体30の作動部35は、第1平面50の他方側に位置している。すなわち、第2端部41bは、第1平面50に対し、スイッチ本体20及び作動部35と同じ側に位置している。第1端部41a、第2端部41b、スイッチ本体20及び作動部35はいずれも、第1平面50から離れて配置されている。
【0035】
可動体30の進退方向と平行であり、かつ連結体43の回転の中心線を通る平面を、第2平面51とする。このとき、第2平面51は、ボタン部32の外側に位置している。また、可動体30の進退方向と平行であり、かつ、脚体41の第2端部41bとベース体11との接点と、脚体42の第2端部(図示せず)とベース体11との接点と、を通る平面を第3平面52とする。このとき、第3平面52は、ボタン部32の外側に位置している。
【0036】
可動体30の進退方向と、連結体43の回転中心の軸方向と、の双方に垂直な方向への可動体30の移動は、ハウジング10の側壁12a及び側壁12cによって制限されている。連結体43の回転中心の軸方向への可動体30の移動は、ハウジング10の側壁12b及び側壁12dによって制限されている。
【0037】
可動体30は、脚体41及び脚体42を互いに対向する方向にたわませることなく進退し得る。これにより、押しボタンスイッチ100のサイズが大きくなるのを抑制できる。
【0038】
次に、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100の動作について説明する。
図12は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100のボタン部32に押込み力が加えられるときの状態を示す概略側面図である。
図12では、可動体30が第1位置にあるときの可動体30及び脚体41を実線で示しており、可動体30が第2位置にあるときの可動体30及び脚体41を二点鎖線で示している。
【0039】
図12に示すように、可動体30に作用するプリテンション荷重に抗してボタン部32に押込み力が加えられると、可動体30が第1位置から第2位置に向かって移動する。可動体30が第1位置から第2位置に向かって移動すると、脚体41のたわみ変形が徐々に大きくなり、脚体41に生じる復元力も徐々に大きくなる。可動体30が第1位置にあるときに脚体41にたわみ変形が生じていない場合であっても、可動体30が第2位置にあるときには、脚体41にたわみ変形が生じる。
【0040】
脚体41は、被支持部41dにおいて可動体30の接触支持部37に接触支持されており、第2端部41bにおいてベース体11の接触部15に接触している。これにより、可動体30の進退方向における被支持部41dの移動は接触支持部37によって規制され、同方向における第2端部41bの移動は接触部15によって規制される。しかしながら、少なくとも接触部15では、可動体30の進退方向と垂直な方向における第2端部41bの移動は規制されていない。したがって、接触部15上では、可動体30の進退方向と垂直な方向における第2端部41bの移動は許容される。
【0041】
ボタン部32に加えられた押込み力によって可動体30が第2位置に移動すると、スイッチ本体20のプランジャ21が可動体30の作動部35によって押し込まれる。これにより、スイッチ本体20が作動する。スイッチ本体20が作動することにより、光源体25が発光する。
【0042】
ボタン部32に加えられている押込み力が取り除かれると、脚体41に生じている復元力により、可動体30が第2位置から第1位置に戻る。スイッチ本体20のプランジャ21は、スイッチ本体20に内蔵されている反転ばねの作用により、元の位置に復帰する。
【0043】
スイッチ本体20を作動させるために必要なボタン部32への押込み力のことを操作荷重といい、スイッチ本体20を作動させるために必要なボタン部32の移動距離のことを操作ストロークという。ボタン部32を押し込んでスイッチ本体20を作動させるためには、作動部35がプランジャ21に接触するまでのストロークに加えて、作動部35によってプランジャ21が押し込まれ、スイッチ本体20がオンになるまでのストロークが必要になる。
【0044】
操作荷重及び操作ストロークのそれぞれは、ボタン部32のどの部分に押込み力が加えられても一定であることが望ましい。
図12において、部位(2)はボタン部32の中心に位置する部位であり、部位(1)は第1平面50の一方側に位置するボタン部32の部位であり、部位(3)は第1平面50の他方側に位置するボタン部32の部位である。部位(1)に押込み力が加えられる場合の操作荷重をF1とし、部位(2)に押込み力が加えられる場合の操作荷重をF2とし、部位(3)に押込み力が加えられる場合の操作荷重をF3とする。このとき、操作荷重F1、F2、F3は等しいことが望ましい(F1=F2=F3)。
【0045】
また、部位(1)に押込み力が加えられる場合の操作ストロークをS1とし、部位(2)に押込み力が加えられる場合の操作ストロークをS2とし、部位(3)に押込み力が加えられる場合の操作ストロークをS3とする。このとき、操作ストロークS1、S2、S3は等しいことが望ましい(S1=S2=S3)。
【0046】
ボタン部32に押込み力が加えられた場合、可動体30にはベース体11に対して傾きが生じ得る。これは、脚体41が可動体30に支持されている位置、突起33aとガイド溝13aとの間の隙間、突起33bとガイド溝13bとの間の隙間などの影響によるものである。
【0047】
図13は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100における操作荷重と操作ストロークとの関係の一例を示すグラフである。横軸は操作ストロークを表しており、縦軸は操作荷重を表している。操作ストロークが0のときの操作荷重の値は、プリテンション荷重を表している。接触支持部37と部位(1)との距離は接触支持部37と部位(2)との距離よりも短いため、部位(1)のプリテンション荷重は、部位(2)のプリテンション荷重よりも大きくなっている。同様の理由により、部位(2)のプリテンション荷重は、部位(3)のプリテンション荷重よりも大きくなっている。
【0048】
図13に示すように、部位(1)〜(3)のいずれにおいても、操作ストロークが0から増加すると、脚体41及び脚体42による弾性復元力の増加により操作荷重は増加する。作動部35がプランジャ21に接触すると、脚体41及び脚体42による弾性復元力に加えて、スイッチ本体20の反転ばねによる弾性復元力が作動部35に作用する。このため、
図13中のA部に示されているように、作動部35がプランジャ21に接触した後の操作ストロークに対する操作荷重の増加率は、作動部35がプランジャ21に接触する前よりも大きくなる。
図13中のB部に示されているように、スイッチ本体20が作動するときには、反転ばねの反転により操作荷重が減少する。
【0049】
部位(1)の操作ストロークS1、部位(2)の操作ストロークS2、及び部位(3)の操作ストロークS3は、S1<S2<S3となっている。また、部位(1)の操作荷重F1、部位(2)の操作荷重F2、及び部位(3)の操作荷重F3は、F1>F2>F3となっている。
【0050】
図14は、本実施の形態の比較例に係る押しボタンスイッチ200の内部構成を示す概略側面図である。本比較例の押しボタンスイッチ200は、本実施の形態の押しボタンスイッチ100と同様に、脚体41を有している。脚体41の第1端部41aは可動体30に支持されており、脚体41の第2端部41bはベース体11に接触している。本比較例の押しボタンスイッチ200は、第2端部41bが第1平面50の一方側に位置しており、第1端部41a、スイッチ本体20及び作動部35が第1平面50の他方側に位置している点で、本実施の形態の押しボタンスイッチ100と異なっている。すなわち、本比較例のスイッチ本体20及び作動部35は、第1平面50に対して、第1端部41aと同じ側に位置している。
【0051】
図15は、本比較例に係る押しボタンスイッチ200における操作荷重と操作ストロークとの関係の一例を示すグラフである。横軸は操作ストロークを表しており、縦軸は操作荷重を表している。
図15に示すように、部位(4)の操作ストロークS4、部位(5)の操作ストロークS5、及び部位(6)の操作ストロークS6は、S4>S5>S6となっている。また、部位(4)の操作荷重F4、部位(5)の操作荷重F5、及び部位(6)の操作荷重F6は、F4<F5<F6となっている。
【0052】
図14に示した比較例の押しボタンスイッチ200では、第1平面50に対して、第1端部41aと作動部35とが同じ側に配置されている。これにより、可動体30に作用する脚体41の弾性復元力は、第1平面50に対して作動部35と同じ側に作用する。このため、ボタン部32が押し込まれたとき、作動部35はスイッチ本体20側に前進しにくくなっている。
【0053】
一方、
図12に示した本実施の形態の押しボタンスイッチ100では、第1平面50に対して、作動部35が第1端部41aとは反対側に配置されている。これにより、可動体30に作用する脚体41の弾性復元力は、第1平面50に対して作動部35とは反対側に作用する。このため、ボタン部32が押し込まれたとき、作動部35はスイッチ本体20側に前進しやすくなっている。
【0054】
よって、押しボタンスイッチ100の部位(1)の操作ストロークS1は、比較例の押しボタンスイッチ200の部位(6)の操作ストロークS6よりも大きくなる(S1>S6)。押しボタンスイッチ100の部位(3)の操作ストロークS3は、比較例の押しボタンスイッチ200の部位(4)の操作ストロークS4よりも小さくなる(S3<S4)。押しボタンスイッチ100の部位(2)の操作ストロークS2は、比較例の押しボタンスイッチ200の部位(5)の操作ストロークS5と同等である(S2≒S5)。したがって、比較例の押しボタンスイッチ200と比較すると、本実施の形態の押しボタンスイッチ100では、可動体30に生じる傾きが小さくなる。このため、本実施の形態の押しボタンスイッチ100によれば、押込み力が加えられる位置によらず可動体30を安定して動作させることができる。
【0055】
また、
図12に示した本実施の形態の押しボタンスイッチ100では、ボタン部32が押された場合、第1平面50の第2端部41b側に位置する可動体30の部分の方が、第1平面50の第1端部41a側に位置する可動体30の部分よりも大きく前進する。本実施の形態では、作動部35及びスイッチ本体20が、第1平面50の第2端部41b側に配置されているため、スイッチ本体20をより確実に作動させることができる。
【0056】
さらに、本実施の形態の押しボタンスイッチ100では、可動体30を平行動作させるための平行動作リンク機構を必要としないため、部品点数の増加を抑えることができる。
【0057】
図16は、本実施の形態の変形例に係る押しボタンスイッチ100の内部構成を示す概略側面図である。
図16に示すように、本変形例の押しボタンスイッチ100は、スイッチ本体20上に形成されたカバー23を有している。カバー23は、ゴムなどの弾性材料により形成された弾性体である。カバー23は、可動体30の作動部35とスイッチ本体20との間に設けられている。カバー23は、第1平面50に対して、作動部35及びスイッチ本体20と同じ側に位置している。
【0058】
可動体30が少なくとも第2位置にあるとき、カバー23は、作動部35とスイッチ本体20との間で弾性圧縮されている。この場合、第2位置にある可動体30には、カバー23の弾性復元力が作用する。カバー23は、可動体30が第1位置にあるときにも、作動部35とスイッチ本体20との間で弾性圧縮されるようにしてもよい。この場合、可動体30には、カバー23の弾性復元力が常に作用する。
【0059】
本変形例の構成では、第1平面50の他方側に位置する可動体30の部分には、カバー23の弾性復元力が作用する。これにより、第1平面50の他方側に位置する可動体30の部分に押込み力が加えられるときの操作荷重を大きくすることができる。したがって、本変形例によれば、ボタン部32に押込み力が加えられる位置によらず、操作荷重をより均一にすることができる。また、第1平面50の他方側に位置する可動体30の部分にカバー23の弾性復元力を作用させることができるため、ボタン部32が押されたときに可動体30に生じる傾きを抑えることができる。
【0060】
図17は、本変形例に係る押しボタンスイッチ100における操作荷重と操作ストロークとの関係の一例を示すグラフである。
図17によれば、
図13と比較して、部位(1)の操作荷重F1、部位(2)の操作荷重F2、及び部位(3)の操作荷重F3がより均一化されていることが分かる。
【0061】
本変形例では、第1平面50の他方側に配置され可動体30とベース体11との間で弾性圧縮される弾性体として、スイッチ本体20のカバー23を例に挙げているが、弾性体はカバー23のみに限られない。
【0062】
スイッチ本体20の内部には、反転ばね等の復帰用の弾性部材が設けられている。このようなスイッチ本体20内部の弾性部材を上記の弾性体として用いるようにしてもよい。例えば、可動体30が第1位置にあるときに作動部35とプランジャ21とが直接接触するようにすれば、スイッチ本体20内部の弾性部材を上記の弾性体として用いることができる。特に、スイッチ本体20がロングストロークタイプである場合には、スイッチ本体20内部の弾性部材が圧縮された状態で作動部35とプランジャ21とを接触させることが容易である。この場合、スイッチ本体20内部の弾性部材の復元力を作動部35に常に作用させることができる。
【0063】
あるいは、スイッチ本体20とは別の位置に、可動体30とベース体11との間で弾性圧縮される弾性体が設けられていてもよい。このように、第1平面50の他方側において可動体30とベース体11との間に設けられ、可動体30が少なくとも第2位置にあるときに可動体30とベース体11との間で弾性圧縮される部材であれば、他の部材を弾性体として用いることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100は、ベース体11と、可動体30と、脚体41と、スイッチ本体20と、を備えている。可動体30は、第1位置と、第1位置よりもベース体11側に位置する第2位置と、の間をベース体11に対して進退可能に構成されている。可動体30は、外部から前進方向に押込み力が加えられるボタン部32を有している。脚体41は、可動体30とベース体11との間に設けられた弾性部材である。脚体41は、可動体30に支持された第1端部41aと、ベース体11に接触する第2端部41bと、を有している。第1端部41aと第2端部41bとは、可動体30の進退方向に対して互いに斜めの方向に配置されている。可動体30が第1位置よりも第2位置側にあるとき、脚体41は、第2端部41b側がベース体11に押し付けられていることにより、可動体30の進退方向にたわんで復元力を生じている。可動体30の進退方向と平行であり、かつボタン部32の中心及び第1端部41aと第2端部41bとの間を通る平面を第1平面50とする。このとき、スイッチ本体20は、第1平面50に対して第2端部41bと同じ側に位置している。スイッチ本体20は、ベース体11の可動体30側に設けられている。可動体30は、作動部35を有している。作動部35は、可動体30のベース体11側に設けられており、可動体30の進退方向にスイッチ本体20と対向している。可動体30は、押込み力が加えられることにより、第1位置よりも第2位置側に前進する。可動体30は、押込み力が除かれることにより、復元力によって第1位置まで後退する。可動体30が第1位置にあるとき、作動部35がスイッチ本体20から離されていることにより、スイッチ本体20が作動していない。可動体30が第2位置まで前進すると、作動部35がスイッチ本体20に当てられることにより、スイッチ本体20が作動する。
【0065】
この構成によると、ボタン部32に押込み力が加えられた場合、第1平面50の第2端部41b側に位置する可動体30の部分の方が、第1平面50の第1端部41a側に位置する可動体30の部分よりも大きく前進する。上記構成によれば、スイッチ本体20が第1平面50に対して第2端部41bと同じ側に配置されているため、スイッチ本体20をより確実に作動させることができる。また、上記構成によれば、可動体30を平行動作させるための平行動作リンク機構を必要としないため、部品点数の増加を抑えることができる。
【0066】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100において、可動体30が第1位置にあるとき、脚体41は、第2端部41bがベース体11に押し付けられていることにより、可動体30の進退方向にたわんで復元力を生じている。この構成によれば、可動体30のがたつきを抑制することができる。
【0067】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100は、可動体30とベース体11との間に設けられた弾性体をさらに備えている。カバー23は、弾性体の一例である。弾性体は、第1平面50に対して第2端部41bと同じ側に位置している。可動体30が第1位置よりも第2位置側にあるとき、弾性体は、可動体30とベース体11との間に挟まれていることにより、可動体30の進退方向に縮んで復元力を生じている。この構成によれば、第1平面50の他方側におけるボタン部32の操作荷重を増大させることができるため、押込み力が加えられる位置の違いによるボタン部32の操作荷重のばらつきを抑えることができる。
【0068】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100において、可動体30が第1位置にあるとき、弾性体は、可動体30とベース体11との間に挟まれていることにより、可動体30の進退方向に縮んで復元力を生じている。この構成によれば、可動体30のがたつきを抑制することができる。
【0069】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100において、弾性体は、可動体30とスイッチ本体20との間に設けられたスイッチ本体20のカバー23である。この構成によれば、スイッチ本体20のカバー23が弾性体を兼ねるため、部品点数の増加を抑えることができる。
【0070】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100において、弾性体は、スイッチ本体20の内部に設けられている。この構成によれば、スイッチ本体20の内部に設けられている復帰用の弾性部材が上記弾性体を兼ねるため、部品点数の増加を抑えることができる。
【0071】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100は、光源体25を備えている。光源体25は、ベース体11の可動体30側に設けられ、可動体30の進退方向にボタン部32と対向している。ボタン部32は、光源体25から発せられた光を透過させる透過部を有している。脚体41は、光源体25から発せられて透過部を透過する光の光路を遮らない位置に配置されている。この構成によれば、押しボタンスイッチ100の厚さの増大を抑えつつ、ボタン部32を均一に発光させることができる。
【0072】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100において、脚体は、一対の脚体41、42である。押しボタンスイッチ100は、連結体43と、回転支持部36と、接触支持部37と、をさらに備えている。連結体43は、一対の脚体41、42のそれぞれの第1端部を連結している。回転支持部36は、可動体30に設けられている。回転支持部36は、連結体43を可動体30に回転可能に支持している。接触支持部37は、可動体30に設けられている。接触支持部37は、一対の脚体41、42のそれぞれの第2端部よりも第1端部側が当てられていることにより、一対の脚体41、42のそれぞれが可動体30に近づく方向に回転することを阻止している。可動体30の進退方向に平行であり、かつ連結体43の回転の中心線を通る第2平面51は、ボタン部32の外側に位置している。この構成によれば、ボタン部32に押込み力が加えられたときに、ボタン部32が回転支持部36を中心として回転することを規制することができる。このため、ボタン部32に押込み力が加えられたときに、ボタン部32が確実に前進し、スイッチ本体20が作動しやすくなる。
【0073】
本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100において、可動体30の進退方向に平行であり、一対の脚体41、42の第2端部とベース体11とのそれぞれの接点を通る第3平面52は、ボタン部32の外側に位置している。この構成によれば、ボタン部32に押込み力が加えられたときに、一対の脚体41、42の第2端部とベース体11とのそれぞれの接点を中心として一対の脚体41、42が回転することを規制することができる。これにより、一対の脚体41、42の第2端部側が確実にベース体11に押し付けられるため、一対の脚体41、42が確実に復元力を生じる。したがって、ボタン部32から押込み力が除かれたときに、ボタン部32が第1位置に戻りやすくなる。
【0074】
実施の形態2.
実施の形態2に係る操作ユニットについて説明する。
図18は、本実施の形態に係る操作ユニット300の構成を示す図である。本実施の形態では、操作ユニット300として、エレベータのかご室に設けられる操作盤を例示している。
【0075】
図18に示すように、操作ユニット300は、複数の押しボタンスイッチ100と、複数の押しボタンスイッチ100の表側に設けられた表板320と、を有している。複数の押しボタンスイッチ100のそれぞれには、実施の形態1の押しボタンスイッチ100が用いられている。
【0076】
各押しボタンスイッチ100のボタン部32には、ボタンカバー301が取り付けられている。ボタンカバー301は、透明又は乳白色の樹脂材料により形成されている。ボタンカバー301の表面は、メッキ又は2色成形などにより形成された不透明層によって被覆されている。不透明層の一部には、階層を表す数字の形状を有する抜き部が形成されている。光源体25が発光すると、光源体25からの光は、ボタンカバー301の不透明層に形成された抜き部を透過する。これにより、ボタンカバー301は、数字の形状に発光する。ボタンカバー301は、ボタン部32と共に、ベース体11に対して進退するように構成されている。
【0077】
表板320には、複数の円形の開口部321が形成されている。各開口部321は、各押しボタンスイッチ100のボタン部32と対応する表板320の位置に設けられている。各開口部321には、ボタン部32及びボタンカバー301が嵌め込まれている。開口部321から露出したボタンカバー301が操作者によって押されると、ボタン部32には押込み力が加えられる。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態に係る操作ユニット300は、実施の形態1に係る押しボタンスイッチ100と、押しボタンスイッチ100の表側に設けられ、ボタン部32と対応する位置に開口部321が形成された表板320と、を備えている。本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【解決手段】押しボタンスイッチは、ベース体と、ベース体に対して進退可能に構成され、ボタン部を有する可動体と、可動体とベース体との間に設けられた弾性部材であり、可動体に支持された第1端部とベース体に接触する第2端部とを有し、第1端部と第2端部とが可動体の進退方向に対して互いに斜めの方向に配置され、可動体が第1位置よりも第2位置側にあるとき、第2端部側がベース体に押し付けられていることにより、可動体の進退方向にたわんで復元力を生じている脚体と、可動体の進退方向と平行であり、ボタン部の中心及び第1端部と第2端部との間を通る平面を第1平面としたとき、第1平面に対して第2端部と同じ側に位置するスイッチ本体と、を備える。