(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
典型的な電流パルス発生器回路は、蓄積キャパシタと、負荷と、例えばトランジスタなどの半導体デバイスで実装され得るものである放電デバイスとを含む。蓄積キャパシタが電気エネルギーを蓄え、そして、放電デバイスが、キャパシタによって負荷に供給される電流を制御する。キャパシタに蓄積されるエネルギーは、キャパシタ、放電デバイス、及び負荷によって形成される電流ループ内のインピーダンスによって制御又は制限され得る。キャパシタから負荷へと高エネルギーのパルスを生成するために、キャパシタは、しばしば、パルス発生器に接続される電源から利用可能なものよりも高い電圧まで充電される。そのような高電圧にキャパシタを充電するために、ブーストコンバータと呼ばれる回路は、より低電圧の電源からのエネルギーを蓄積するインダクタを含み、このエネルギーをキャパシタに伝達する。インダクタにおけるエネルギーの蓄積及びキャパシタへのエネルギーの伝達は、スイッチによって制御され、典型的に、トランジスタがスイッチとして作用することによって制御される。
【0003】
図1A−
図1Bは、従来のブーストコンバータ及び電流パルス発生器の概略図を示している。
図1Aにおいて、従来のブーストコンバータ100は、電圧源105、第1のインダクタ110、ダイオード120、キャパシタ130、第2のインダクタ140、負荷135、及び充電スイッチ115と駆動スイッチ125である2つのスイッチを含んでいる。
【0004】
充電スイッチ115が閉じられ、駆動スイッチ125が開いているとき、電流がインダクタ110を通じて増加する。充電スイッチ115が開かれると、インダクタ110からのエネルギーが、ダイオード120を介してキャパシタ130を充電する。インダクタ110内の蓄積エネルギーは、キャパシタ130が電源電圧を超えて充電されることを可能にする。充電スイッチ115が開いていて、駆動スイッチ125が閉じられると、キャパシタ130が、インダクタ140及び負荷135を通じて放電する。充電スイッチ115とキャパシタ130との間のダイオード120は、充電スイッチ115が閉じている間にキャパシタ130が放電するのを防止する。これは、キャパシタ130が完全に放電することを防止し、それが代わって、ブーストコンバータ100が、キャパシタ130をより速く再充電し、より高周波にパルス生成することを可能にする。これは、キャパシタ130が高いキャパシタンスを有し、充電するのに長い時間を要する場合に有用な特徴である。
【0005】
図1Bにおいて、従来のブーストコンバータ150は、電圧源155、インダクタ160、ダイオード170、トランジスタ175、キャパシタ180、及び負荷190を含んでおり、負荷190は、この例では、この負荷は、抵抗194及びダイオード198として示されるレーザダイオードである。トランジスタ175は、ブーストコンバータ100における充電スイッチ115のようなスイッチとして作用する。一部の実装では、非常に特定の量のエネルギー及び電流がキャパシタ180から負荷190に供給されなければならず、これは、キャパシタ180に蓄積されるエネルギーの注意深い制御を必要とする。インダクタ160とトランジスタ175との間のダイオード170が、キャパシタ180に、トランジスタ175を通じて放電させて、キャパシタ180上の電圧を標準初期状態にリセットするとともに、キャパシタ180から負荷190を通じて出力される電流のいっそう細かい制御を可能にする。
【0006】
トランジスタ175が閉スイッチとして作用するとき、インダクタ160内で電流が増加する。トランジスタ175が開スイッチとして作用するとき、インダクタ160からのエネルギーが、ダイオード170を介してキャパシタ180を充電する。インダクタ160内の蓄積エネルギーは、キャパシタ180が電源電圧を超えて充電されることを可能にする。次いで、充電されたキャパシタが、負荷190を通じて放電する。
【0007】
ブーストコンバータ100及び150の一部の実装は、特定のサイズ制約及びパルス周波数制約を満たさなければならない。例えば、光検出・測距(ライダー)システムにおいては、より小さいレーザドライバが、より小さい領域内に、より多くのレーザを実装することを可能にし、それが、例えばレンズなどの光学コンポーネントのアライメントを単純化する。しかしながら、ブーストコンバータを通るいっそう高い電圧及び電流にスイッチングトランジスタが耐えることができなければならず、このことは、より大面積のパワートランジスタを必要とし得る。従来の縦型パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、結合されるゲートドライバと同じ半導体ダイ上に集積されることができず、従って、その回路のために2つの異なる半導体ダイを必要とする。これは、従来のMOSFETパワートランジスタを用いたパルス発生器をどれだけ小さくすることができるかを厳しく制限する。同様に、より高周波の、より小さい、正確なパルスは、ライダーシステムに関して、より高いフレームレート及びより良好な距離分解能を可能にするが、シリコンベースのトランジスタのスイッチング速度は制限されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下に記載される詳細な説明が、似通った参照符号は全体を通して対応し合うものである図面と併せて使用されることで、本開示の特徴、目的、及び利点がよりいっそう明らかになる。
【
図1A】
図1A−
図1Bは、従来のブーストコンバータ及び電流パルス発生器回路の概略図を示している。
【
図1B】
図1A−
図1Bは、従来のブーストコンバータ及び電流パルス発生器回路の概略図を示している。
【
図2】一方がキャパシタの充電を制御し、他方が負荷を通じたキャパシタの放電を制御する、2つのGaN FETを組み込んだ、本発明の例示的な一実施形態に従った電圧ブースト回路を有する電流パルス発生器を示している。
【
図3】本発明の第1の実施形態に従った電圧ブースト回路を有する電流パルス発生器を示している。
【
図4】電力消費を低減するために同期整流を備えた電圧ブースト回路を有する電流パルス発生器を示している。
【
図5】
図3及び
図4に示した電流パルス発生器回路について、GaN FETドライバ電圧、キャパシタ電圧、並びにインダクタ及び負荷を通る電流の、一組のグラフを示している。
【
図6】充電トランジスタが閉じられたときに充電トランジスタを通じてキャパシタを放電させるようにダイオードが位置付けられている電圧ブースト回路を有する電流パルス発生器を示している。
【
図7】
図6の電圧ブースト回路及び
図4の同期整流回路を有する電流パルス発生器を示している。
【
図8】
図6及び
図7に示したブースト回路及び電流パルス発生器について、GaN FETドライバ電圧、キャパシタ電圧、並びにインダクタ及び負荷を通る電流の、一組のグラフを示している。
【
図9】充電スイッチ及び駆動スイッチの双方として作用するGaN FETトランジスタを有する電流パルス発生器を含んだ本発明の一実施形態を示している。
【
図10】
図9に示した電流パルス発生器について、ゲートドライバ制御信号、キャパシタ電圧、並びにインダクタ及び負荷を通る電流の、一組のグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明においては、特定の実施形態を参照する。これらの実施形態は、当業者がそれらを実施することができるように十分に詳細に記載されている。理解されるべきことには、他の実施形態も使用されることができ、また、様々な構造的、論理的、及び電気的な変更が為され得る。以下の詳細な説明に開示される特徴の組み合わせは、最も広い意味で本教示を実施することには必要でないことがあり、代わりに、単に、本教示の特に代表的な例を説明するために教示されるものである。
【0014】
図2は、単一のモノリシックチップ220へと集積されたGaN FETトランジスタを有した、本発明の例示的な一実施形態に従った電流パルス発生器200を示している。ブースト回路230及び負荷ドライバ回路250を単一の半導体ダイ220上へのモノリシック集積は、電流パルス発生器200の面積を大幅に減少させる。パルス発生器200は、
図1A−
図1Bに示したブーストコンバータ及び電流パルス発生器と類似しており、電圧源205、インダクタ210、単一の半導体ダイ220に集積された電流パルス発生器回路、負荷285、及びキャパシタ290を含んでいる。この例では、負荷285はレーザダイオードD
Lを含んでいるが、任意の適切な負荷が使用され得る。
【0015】
パルス発生器チップ220は、ブースト回路230及び負荷ドライバ回路250を含む。ブースト回路230は、充電トランジスタ240及び対応するゲートドライバ235を含み、これらは、
図1Aに示した充電スイッチ115と同様にキャパシタ290の充電を制御する。ブースト回路230は、ノード245で充電制御信号を受信し、入力ノード225でインダクタ210に結合され、出力ノード275で負荷285及びキャパシタ290に結合される。一部の実施形態において、ブースト回路230は、ダイオードとして作用する他の制御されないスイッチ、又は他のオプションのレギュレーション回路を含む。負荷ドライバ回路250は、電流パルス発生器200のパルス動作を制御し、駆動トランジスタ260及び対応するゲートドライバ255を含む。負荷ドライバトランジスタ260及び対応するゲートドライバ回路255は、
図1Aに示した駆動スイッチ125と同様に、キャパシタ290内のエネルギーの負荷285への放電を制御する。負荷ドライバ回路250は、ノード265で負荷ドライバ制御信号を受信し、負荷駆動ノード280で負荷285に結合される。
【0016】
トランジスタ240及び260は、好ましくはエンハンスメントモードGaN FET半導体デバイスであり、これらが、それぞれ、それらのゲートドライバ235及び255と共に、単一の半導体ダイ220上にモノリシックに集積される。GaN FETは、大きい電流を担持し、高い電圧をサポートし、且つ従来のトランジスタよりも迅速にスイッチングすることができるので、トランジスタ240及び260は、パルス発生器200が、例えばパワーMOSFETなどの他のパワートランジスタを実装する同様のパルス発生器よりも高いパルス周波数を提供することを可能にする。
【0017】
電圧源205がインダクタ210に結合され、インダクタ210は更に、入力ノード225で電流パルス発生器回路220及びブースト回路230に結合される。インダクタ210は、ブーストインダクタとして作用し、電圧源205単独で提供することができるものよりも高い電圧までキャパシタ290を充電するためにエネルギーを蓄積する。負荷285は、出力ノード275でキャパシタ290及び電流パルス発生器回路220内のブースト回路230に結合されるとともに、負荷駆動ノード280でパルス発生器回路220及びその中の負荷ドライバ回路250に結合される。キャパシタ290は、キャパシタンス値C
Lを持ち、キャパシタ290上の電圧は、V
CAPとして表される。キャパシタ290は、グランド215に結合され、負荷285に提供されるパルスエネルギーを蓄積する。
【0018】
本発明の回路にGaN FETトランジスタ240、260を採用することは、対応するゲートドライバ回路235、255がトランジスタ240、260とモノリシックに集積され得るので、電力レベル及び信号レベルのコンポーネントが単一のダイ上で組み合わされることを可能にする。
【0019】
充電トランジスタ240が閉スイッチとして作用し、且つ駆動トランジスタ260が開スイッチとして作用するとき、電圧源205からインダクタ210にエネルギーが蓄積される。充電トランジスタ240が開スイッチとして作用するとき、電圧源205からインダクタ210に蓄積されたエネルギーがキャパシタ290を充電する。インダクタ210に蓄積されたエネルギーは、キャパシタ290が、電源電圧単独で提供し得るものよりも高い電圧に充電されることを可能にする。充電トランジスタ240が開スイッチとして作用し、且つ駆動トランジスタ260が閉スイッチとして作用するとき、キャパシタ290が、負荷285及び駆動トランジスタ260を通じて放電する。
【0020】
電流パルス発生器200においてはキャパシタ290がグランドに接続されているが、キャパシタ290は代わりに、インダクタ210が結合されるのと同じ電圧源である電圧源205を含め、任意の固定電圧源に結合されてもよい。キャパシタ290が電圧源205に結合される実装では、駆動トランジスタ260が開スイッチとして作用することに応答して負荷285にかかる電圧はV
BUS+V
CAPである。これは、キャパシタ290がグランドに結合される実装と比較して、最初のターンオン中に負荷285にかかる電圧を上昇させる。電圧源205は交流成分を持たないので、キャパシタ290をそれに結合することは、電流パルス発生器200の共振挙動に影響を及ぼさない。これは、キャパシタ290の充放電サイクルに対するクランプとして作用し得る。
【0021】
パルス発生器200は、ブースト制御入力ノード245にてゲートドライバ235に適用されるブースト制御信号に基づいて多様な動作モードで動作されることができる。例えば、1つの動作モードにおいて、制御された平均電力をキャパシタ290に供給して略一定の電圧V
CAPを維持するために、ブースト制御信号は、固定幅又は可変幅の連続した一連のパルスを有し得る。別の動作モードでは、ブースト制御信号は、キャパシタ290を所望の電圧に充電するために、固定幅又は可変幅の有限数のパルスを有してもよく、その後、駆動トランジスタ260が、閉スイッチとして作用し、充電されたキャパシタ290に蓄積されたエネルギーを用いて負荷285を駆動する。
【0022】
図3は、本発明の例示的な実施形態に従ったブースト回路330の概略図を示している。ブースト回路330は、
図2の電流パルス発生器200に示したブースト回路230の一実施形態であり、充電トランジスタ240が閉じられている間にキャパシタ290が放電することを防止するためのダイオード370を含んでいる。
図1Aを参照して前述したように、これは、キャパシタ290が完全に放電することを防止し、キャパシタ290の再充電を高速化する。充電トランジスタ240のドレイン端子が、入力ノード225及びダイオード370に接続され、ダイオード370は、更に出力ノード275に接続され、また、ブースト回路330及び負荷駆動回路250の残りの部分と一緒に、パルス発生器回路320の半導体ダイにモノリシックに集積され得る。
【0023】
トランジスタ240及び260、それらそれぞれに対応するゲートドライバ235及び255、並びにダイオード370は、単一の半導体ダイ320上に集積されることができ、論理レベルの制御信号がパワー充電トランジスタ240を制御することを可能にする。パルス発生器200は、特定の実装及び負荷285に従って蓄積エネルギー及び所望のV
CAPを制御するために、特定のインダクタ充電時間、インダクタ値、及びキャパシタンス値に対してカスタマイズされることができる。ダイオード370は、充電トランジスタ240が閉じている間にキャパシタ290が放電することを防止し、それが、充電トランジスタ240が閉スイッチとして作用している間にキャパシタ290が完全に放電することを防止する。これは、パルス発生器200が、より速くキャパシタ290を再充電し、よりすぐに再びパルスを発することを可能にし、パルス周波数を高める。
【0024】
図4は、
図3に示したブースト回路330のバリエーションであるブースト回路430の概略図を示している。ブースト回路430は、ブースト回路330と同様であるが、ダイオード370の代わりにエンハンスメントモードGaN FETトランジスタ470を含んでいる。トランジスタ470は、同期整流を実装し、トランジスタ470での電圧降下をダイオード370と比較して低減させて、ブースト回路430の効率を高め、熱として消散される電力を低減させる。電力消費の低減は、電圧源としてバッテリを使用する実装及び温度制約を有する実装において特に有益である。
【0025】
トランジスタ470のソース端子が、入力ノード225及び充電トランジスタ240のドレイン端子に結合される。トランジスタ470のドレイン端子が、出力ノード275に結合される。トランジスタ470のゲート端子が、図示していないゲートドライバ回路に結合され、ブースト制御電圧V
BOOST 472を受信する。トランジスタ470及びその対応するゲートドライバ回路は、好ましくは、トランジスタ240及び260並びにそれらの対応するゲートドライバ回路と共に、単一の半導体ダイ420にモノリシックに集積される。
【0026】
図5は、
図3に示したブースト回路実施形態330又は
図4に示したその変形実施形態430を含む電流パルス発生器200について、GaN FETドライバ電圧、キャパシタ電圧、並びにインダクタ及び負荷を通る電流を示す一組のグラフである。グラフ510は、充電トランジスタ240用の駆動電圧V
CHARGEを示している。グラフ520は、駆動トランジスタ260用の駆動電圧V
DRIVEを示している。グラフ530は、インダクタ210を通る電流を示している。グラフ540は、キャパシタ290上の電圧V
CAPを示している。グラフ550は、負荷285を通る電流を示している。時間t
0にて、V
CHARGEが上昇して充電トランジスタ240を閉スイッチとして作用させ、V
DRIVEは駆動トランジスタ260を開スイッチとして作用させる。キャパシタ290上の電圧V
CAPは初期電圧V
INITIALにあり、負荷285に電流は流れない。
【0027】
インダクタ210を通る電流が時間t
1まで増加し、時間t
1にて、V
CHARGEが減少して充電トランジスタ240を開スイッチとして作用させる。これは、インダクタ210を通る電流を減少させるとともにキャパシタ290を充電し、キャパシタ290上の電圧V
CAPを時間t
2まで増加させる。時間t
2にて、インダクタ210を電流が流れなくなり、キャパシタ290上の電圧V
CAPが頭打ちとなる。時間t
3にて、V
DRIVEが上昇して駆動トランジスタ260を閉スイッチとして作用させ、キャパシタ290上の電圧V
CAPを放電させるとともに、負荷285及びインダクタ210に電流を流れさせる。時間t
4にて、キャパシタ290上の電圧V
CAPはゼロまで低下しており、インダクタ210及び負荷285を通る電流が減少し始める。これは、インダクタをして、キャパシタ290上の電圧V
CAPを初期状態電圧V
INITIALに充電させる。
【0028】
図6は、本発明の更なる実施形態に従ったブースト回路630の概略図を示している。ブースト回路630は、
図2に示した電流パルス発生器200に示されるブースト回路230の更なる一実施形態であり、充電トランジスタ240が閉スイッチとして作用するときに充電トランジスタ240を通じてキャパシタ290を放電させるためのダイオード670を含んでいる。
図1Bを参照して前述したように、これは、キャパシタ290上の電圧V
CAPを標準初期状態にリセットし、キャパシタ290から負荷285に出力される電流のいっそう細かい制御を可能にする。ダイオード670は、入力ノード225と、出力ノード275及び充電トランジスタ240のドレイン端子とに結合される。
【0029】
トランジスタ240及び260、それらそれぞれの対応するゲートドライバ回路235及び255、並びにダイオード670は、好ましくは、単一の半導体ダイ620上に集積され、電力レベル及び信号レベルのコンポーネントを単一のダイ上で組み合わせる。得られるパルス発生器200は、特定の実装及び負荷285に従って蓄積エネルギー及び所望のV
CAPを制御するために、特定のインダクタ充電時間、インダクタ値、及びキャパシタンス値に対してカスタマイズされることができる。ダイオード670は、インダクタ210と充電トランジスタ240との間に位置付けられ、充電トランジスタ240が閉スイッチとして作用するときに、充電トランジスタ240を通じてキャパシタ290を放電させる。これは、キャパシタ290上の電圧V
CAPを標準初期状態にリセットし、負荷285を通じてキャパシタ290からの出力される電流のいっそう細かい制御を可能にする。
【0030】
図7は、
図6に示したブースト回路630のバリエーションであるブースト回路730を有する本発明の更なる一実施形態の概略図である。ブースト回路730は、ブースト回路630と同様であるが、ダイオード670の代わりに更なるエンハンスメントモードGaN FETトランジスタ770を含んでいる。トランジスタ770は、
図4の実施形態においてのように同期整流を実装し、トランジスタ770での電圧降下をダイオード670と比較して低減させて、ブースト回路730の効率を高め、熱として消散される電力を低減させる。トランジスタ770のソース端子が入力ノード225に結合され、トランジスタ770のドレイン端子が、充電トランジスタ240のドレイン電極及び出力ノード275に結合される。トランジスタ770のゲート端子が、図示していないゲートドライバ回路に結合され、ブースト制御電圧V
BOOST 772を受信する。トランジスタ770及びその対応するゲートドライバ回路は、好ましくは、トランジスタ240及び260並びにそれらの対応するゲートドライバ回路235及び255と共に、単一の半導体ダイ720にモノリシックに集積される。
【0031】
図8は、
図6に示したブースト回路実施形態630又は
図7に示したその変形実施形態730を含む電流パルス発生器200について、GaN FETドライバ電圧、キャパシタ電圧、並びにインダクタ及び負荷を通る電流の一組のグラフを示している。グラフ810は、充電トランジスタ240用の駆動電圧V
CHARGEを示している。グラフ820は、駆動トランジスタ260用の駆動電圧V
DRIVEを示している。グラフ830は、インダクタ210を通る電流を示している。グラフ840は、キャパシタ290上の電圧V
CAPを示している。グラフ850は、負荷285を通る電流を示している。時間t
0にて、V
CHARGEが上昇して充電トランジスタ240を閉スイッチとして作用させ、V
DRIVEは駆動トランジスタ260を開スイッチとして作用させる。キャパシタ290上の電圧V
CAPは初期電圧V
INITIALにあり、負荷285に電流は流れない。充電トランジスタ240が閉スイッチとして作用することに応答して、キャパシタ290上の電圧V
CAPが初期電圧からゼロまで低下する。
【0032】
インダクタ210を通る電流が時間t
1まで増加し、時間t
1にて、V
CHARGEが減少して充電トランジスタ240を開スイッチとして作用させる。これは、インダクタ210を通る電流を減少させるとともにキャパシタ290を充電し、キャパシタ290上の電圧V
CAPを時間t
2まで増加させる。時間t
2にて、インダクタ210を電流が流れなくなり、キャパシタ290上の電圧V
CAPが頭打ちとなる。時間t
3にて、V
DRIVEが上昇して駆動トランジスタ260を閉スイッチとして作用させ、キャパシタ290上の電圧V
CAPを放電させるとともに、負荷285及びインダクタ210に電流を流れさせる。時間t
4にて、キャパシタ290上の電圧V
CAPはゼロまで低下しており、インダクタ210及び負荷285を通る電流が減少し始める。これは、インダクタをして、キャパシタ290上の電圧V
CAPを初期状態電圧V
INITIALに充電させる。
【0033】
図9は、本発明の更なる実施形態に従ったブーストコンバータ900の概略図を示している。ブーストコンバータ900は、電圧源905、インダクタ910、ダイオード970、キャパシタ990、負荷985、及びパワー電流パルス発生器回路920を含んでおり、パワー電流パルス発生器回路920は、トランジスタ940及びその対応するゲートドライバ回路935を含んでいる。トランジスタ940は、エンハンスメントモードGaN FETである。電圧源905がインダクタ910に結合され、インダクタ910は更に、入力ノード925でパルス発生器回路920及びトランジスタ940のドレイン端子に結合されるとともに、キャパシタ990に結合される。トランジスタ940のソース端子はグランド915に結合され、トランジスタ940のゲート端子は、制御信号CTL945を受信するものであるゲートドライバ回路935に結合される。キャパシタ990は、この例では、フローティングのキャパシタであり、さらに、ダイオード970及び負荷985に結合され、これらが更にグランド915に結合される。
【0034】
ダイオード970は、ダイオードとして示されているが、同期整流を実装するために更なるエンハンスメントモードGaN FETに置き換えられてもよい。ダイオード970、トランジスタ940、及びゲートドライバ回路945は、好ましくは、単一の半導体ダイ920へとモノリシックに集積される。ブーストコンバータ900では、トランジスタ940が、充電トランジスタ及び駆動トランジスタの双方として作用する。
【0035】
図10は、
図9のブーストコンバータ900における、制御信号CTL945、キャパシタ990上の電圧VCAP1090、インダクタ910を通る電流1010、及び負荷985を通る電流1085を示す一組のグラフを示している。CTL945がトランジスタ940を閉スイッチとして作用させるとき、電圧VCAP1090が減少し、負荷985に電流1085を流れさせるとともに、インダクタ910を通る電流1010が増加し、インダクタ910に電圧源905からのエネルギーを蓄積させる。CTL945がトランジスタ940を開スイッチとして作用させるとき、電圧源905及びインダクタ910がキャパシタ990を充電するにつれて、インダクタ910を通る電流1010が減少し、キャパシタ990上の電圧VCAP1090を上昇させる。CTL945がトランジスタ940を再び閉スイッチとして作用させるとき、キャパシタ990が負荷985を通じて放電し、キャパシタ990上の電圧VCAP1090を低下させ、負荷985を通る電流1085にパルスを発生させる。インダクタ910を通る電流1010が増加し、インダクタ910に電圧源905からのエネルギーを蓄積させる。
【0036】
以上の説明及び図面は単に、ここに記載された特徴及び利点を達成する特定の実施形態の例示と見なされるべきものである。具体的なプロセス条件には変更及び代用が為され得る。例えば、ブーストコンバータは、キャパシタに蓄積されたエネルギーが負荷に放電される前に、単一の充電パルスで動作されてもよいし複数の充電パルスで動作されてもよい。従って、本発明の実施形態は、以上の説明及び図面によって限定されるものとして見なされるものではない。