【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1の態様では、本開示は、沈積面と、沈積面の反対側にあるドラム面と、を含む電解銅箔を提供し、この沈積面及びドラム面は各々残留応力(RS)を有し、電解銅箔は下記の特徴を有する。
(a)沈積面とドラム面との間の残留応力の差の絶対値(差分値とも略され、下記のΔRSで表される)が、最大約95メガパスカル(MPa)である。
(b)沈積面は、約0.15立方マイクロメートル毎平方マイクロメートル(μm
3/μm
2)〜約1.35μm
3/μm
2の範囲の空隙容積(Vv)を示す。
【0009】
本開示によると、第1の態様の電解銅箔の沈積面及びドラム面は、電解銅箔の相対する2つの最外面を指す。すなわち、沈積面及びドラム面は、電解銅箔の最外面に位置する。ΔRS及び沈積面のVvが適切である場合、本開示の電解銅箔は卓越した品質を示し、集電体として好適となる。その結果、電解銅箔は性能を改善でき、リチウムイオン二次電池として使用したときに充放電サイクル寿命を延長できる。
【0010】
上記目的を達成するため、第2の態様では、本開示は、沈積面と、沈積面の反対側にあるドラム面と、を含む電解銅箔を提供し、この電解銅箔は下記の特徴を有する。
(a)沈積面は、約1.5〜約6.5の範囲の尖度(Sku)を有する。
(b)沈積面は、約0.15μm
3/μm
2〜約1.35μm
3/μm
2の範囲の空隙容積(Vv)を示す。
【0011】
上記のように、第2の態様の電解銅箔の沈積面及びドラム面は、電解銅箔の相対する2つの最外面を指す。沈積面のSku及びVvが適切である場合、本開示の電解銅箔はまた、卓越した品質を示し、集電体として好適となる。その結果、電解銅箔は性能を改善でき、リチウムイオン二次電池として使用したときに充放電サイクル寿命を延長できる。
【0012】
本発明で用いるとき、「残留応力」とは、すべての印加外力が取り除かれた後に、物体、構成要素又は構造内に存在する応力である。残留応力が圧縮応力である場合、残留応力はマイナスであり、その値は、値の前にマイナス記号「−」をつけて表される。残留応力が引張応力である場合、残留応力はプラスであり、必要に応じてその数値の前にプラス記号「+」を使用してもよい。
【0013】
必要に応じて、電解銅箔のΔRSは、約5MPa〜約95MPaの範囲であってもよい。上記の範囲は連続的であり、下記の値(その単位はMPaである)のいずれかとして表され得るが、これらに限定されないことを理解されたい。
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95。
上記の値の各々は、別の数値範囲の端点を示し得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、電解銅箔のΔRSを低下させることは、かかる電解銅箔を組み込んだリチウムイオン二次電池の充放電サイクル寿命の延長に有益である。すなわち、ΔRSがより大きい電解銅箔を含むリチウムイオン二次電池は、ΔRSがより小さい電解銅箔を含むリチウムイオン二次電池と比べて、使用寿命が短くなる。ΔRSが大きすぎる(例えば、95MPaを超える)場合、この電解銅箔の沈積面とドラム面との間の残留応力の差が過剰な電解銅箔は、ΔRSが95MPa未満の場合よりも容易に破断し得る。つまり、電解銅箔のΔRSが高すぎると、充放電サイクル中に過度の膨張収縮によって引き起こされる電解銅箔の破損により、電池性能が悪影響を受けることになる。したがって、電解銅箔のΔRSが大きすぎると、充放電サイクル試験中の過度の膨張収縮により電解銅箔が容易に破断することから、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命が短くなる。
【0015】
いくつかの実施形態において、電解銅箔のΔRSは出来るだけ最小化される。必要に応じて、電解銅箔のΔRSは、最大約85MPaである。必要に応じて、電解銅箔のΔRSは、最大約81MPaである。好ましくは、電解銅箔のΔRSは、5MPa〜約60MPaの範囲であってもよい。この電解銅箔は、リチウムイオン二次電池に適用したときに、充放電サイクル寿命を950回以上に改善し得る。より好ましくは、電解銅箔のΔRSは約5MPa〜約50MPaの範囲であってもよく、その結果、電解銅箔は、リチウムイオン二次電池に適用したときに、充放電サイクル寿命を1000回以上に改善し得る。更により好ましくは、電解銅箔のΔRSは約5MPa〜約20MPaの範囲であってもよく、その結果、電解銅箔を含むリチウムイオン二次電池は、1200回以上の充放電サイクル寿命を有し得る。
【0016】
必要に応じて、沈積面の残留応力は、その電解銅箔のドラム面の残留応力よりも基本的に大きい。必要に応じて、電解銅箔の沈積面の残留応力は、約−40MPa〜約100MPaであってもよい。必要に応じて、電解銅箔のドラム面の残留応力は、約−47MPa〜約42MPaであってもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、「空隙容積」は、負荷面積率曲線で囲まれた面積を特定の負荷率(material ratio:mr)の高さにおいて積分することで計算され、この負荷面積率曲線は、標準方法ISO25178−2:2012に基づいて得られる。Vvは、電解銅箔の特定の面における単位面積当たりの空隙の総容積を表す。
図1の左側には、電解銅箔の沈積面又はドラム面の三次元画像が示されている。対応する負荷面積率曲線を引くことが可能であり、それは
図1の右側に示すようなものである。最も高いピークの頂部をmr0%に設定し、最も低い谷をmr100%に設定する。Vvは、特定の水平切断面(その高さは、0%〜100%の特定の負荷率に対応する)の下、かつ谷の底部のすべてよりも上の囲まれた空隙の容積を積分することによって計算される。例えば、mrが100%のとき、対応するVvはゼロであり、mrが0%のとき、対応するVvは最大である。特記のない限り、本明細書に記載されるVvは、mrが10%の空隙容積を指し、これは
図1でVvとして表示された領域である。
【0018】
図2には、異なる種類の容積空隙パラメータの関係が図示されている。コア空隙容積(Vvc)は、第1の負荷率(mr1)と第2の負荷率(mr2)との間の空隙容積の差である。特記のない限り、本明細書に記載のVvcは、第1の負荷率10%と第2の負荷率80%との間の空隙容積の差、すなわち、
図2にVvcとして表示されている領域である。更に、谷部空隙容積(谷の空隙容積(Vvv)とも呼ばれる)は、第2の負荷率における空隙容積である。特記のない限り、本明細書に記載されるVvvは、mr80%における空隙容積であり、すなわち、この領域は
図2でVvvとして表示されている。換言すると、VvはVvcとVvvの合計である。
【0019】
本開示によると、電解銅箔の沈積面は、約0.15μm
3/μm
2〜1.35μm
3/μm
2の範囲のVvを示し得、電解銅箔のドラム面は約0.15μm
3/μm
2〜約1.35μm
3/μm
2の範囲のVvを示し得る。換言すると、約0.15μm
3/μm
2〜約1.35μm
3/μm
2の範囲に入るVvは、電解銅箔の沈積面のVv又は電解銅箔のドラム面のVvである。沈積面及びドラム面のVvは、独立して値をとり得る。上記の範囲は連続的であり、下記の値(その単位はμm
3/μm
2である)のいずれかとして表せるが、これらに限定されないことを理解されたい。
0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.20、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.30、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35。
上記の値の各々は、別の数値範囲の端点を示し得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、電解銅箔は、特定の上限及び下限内(例えば、下限0.15μm
3/μm
2及び上限1.35μm
3/μm
2内)の制御された範囲にVvを有し得る。Vvが小さすぎる、例えば0.15μm
3/μm
2未満である場合、アンカー効果が弱いため、活物質への電解銅箔の密着力が弱い。すなわち、活物質が電解銅箔の表面に上手く固定できず、そのため密着強度が不十分となる。逆に、Vvが高すぎる、例えば1.35mm
3/μm
2である場合、Vvが高いことは電解銅箔のその面の空隙容積が大きいことを示し、活物質は電解銅箔のその面を均一にコーティングできず、かつこれらの空隙の全てを充填できないため、電解銅箔と活物質との間にいくつかの未被覆の空隙と被覆された空隙とが残る。結果として、Vvが高すぎる又は低すぎる場合、電解銅箔と活物質との密着力が弱い。つまり、上記の電解銅箔を用いて製造したリチウムイオン二次電池は、適切な範囲にVvを有さず、より短い充放電サイクル寿命と低い電池性能を示すこととなる。
【0021】
必要に応じて、電解銅箔の沈積面及びドラム面は、それぞれ独立して約0.15μm
3/μm
2〜1.30μm
3/μm
2の範囲のVvを示し得る。必要に応じて、電解銅箔の沈積面及びドラム面は、それぞれ独立して約0.16μm
3/μm
2〜1.18μm
3/μm
2の範囲のVvを示し得る。一実施形態では、電解銅箔の沈積面及びドラム面は、それぞれ独立して約0.17μm
3/μm
2〜1.11μm
3/μm
2の範囲のVvを示し得る。別の実施形態において、電解銅箔の沈積面及びドラム面は、それぞれ独立して約0.25μm
3/μm
2〜1.00μm
3/μm
2の範囲のVvを示し得る。
【0022】
電解銅箔の沈積面に関して、Vvcは0.14μm
3/μm
2〜1.15μm
3/μm
2の範囲であってもよい。必要に応じて、電解銅箔の沈積面は、0.15μm
3/μm
2〜1.10μm
3/μm
2の範囲のVvcを示し得る。必要に応じて、電解銅箔の沈積面は、最大約0.15μm
3/μm
2のVvvを示し得る。具体的には、電解銅箔の沈積面は、約0.01μm
3/μm
2〜約0.15μm
3/μm
2の範囲、又は約0.01μm
3/μm
2〜約0.10μm
3/μm
2の範囲のVvvを示し得る。
【0023】
電解銅箔のドラム面に関して、Vvcは0.14μm
3/μm
2〜1.15μm
3/μm
2の範囲であってもよい。必要に応じて、電解銅箔のドラム面は、0.15μm
3/μm
2〜1.10μm
3/μm
2の範囲のVvcを示し得る。必要に応じて、電解銅箔のドラム面は、0.15μm
3/μm
2〜0.75μm
3/μm
2の範囲のVvcを示し得る。必要に応じて、電解銅箔のドラム面は、最大約0.15μm
3/μm
2のVvvを示し得る。具体的には、電解銅箔のドラム面は、約0.01μm
3/μm
2〜約0.15μm
3/μm
2の範囲、約0.01μm
3/μm
2〜約0.10μm
3/μm
2の範囲、又は約0.01μm
3/μm
2〜約0.05μm
3/μm
2の範囲のVvvを示し得る。
【0024】
本明細書で使用するとき、「尖度」は、標準方法ISO25178−2:2012に従って表面の高さ分布の鋭さを決定するための尺度である。低いSkuは、表面の高さ分布がより平坦であることを表すのに対し、高いSkuは、表面のピーク又は谷の鋭さがより大きいことを表し、これはより急峻なピーク及び谷が存在することを意味する。
【0025】
約1.5〜約6.5の範囲に入るSkuは、電解銅箔の沈積面のSku又は電解銅箔のドラム面のSkuであり得る。換言すると、電解銅箔の沈積面のSkuを制御することに加え、電解銅箔の沈積面のSku及びドラム面のSkuの両方を制御できる。沈積面のSku及びドラム面のSkuは、独立した値であってもよい。上記の範囲は連続的であり、下記の値のいずれかとして表され得るが、これらに限定されないことを理解されたい。
1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5。
上記の値の各々は、別の数値範囲の端点を示し得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、電解銅箔の沈積面及び/又はドラム面のSkuを制御することも、かかる電解銅箔を組み込んだリチウムイオン二次電池の充放電サイクル寿命の延長に有益である。電解銅箔の沈積面及び/又はドラム面のSkuが低すぎる(例えば1.5未満)、又は高すぎる(例えば6.5超)場合、活物質と電解銅箔の沈積面及び/又はドラム面との密着が弱い。Skuを適切な範囲内に制御できない電解銅箔で製造した電池は、充放電サイクル寿命が短くなり、電池性能が低くなる。
【0027】
必要に応じて、電解銅箔の沈積面のSku及び/又はドラム面のSkuは、独立して1.5〜6.5の範囲であってもよい。必要に応じて、電解銅箔の沈積面のSku及び/又はドラム面のSkuは、独立して1.6〜6.2の範囲であってもよい。必要に応じて、電解銅箔の沈積面のSku及び/又はドラム面のSkuは、独立して1.7〜5.8の範囲であってもよい。実施形態の1つでは、電解銅箔の沈積面のSku及び/又はドラム面のSkuは、独立して1.5〜3.7の範囲であってもよい。別の実施形態において、電解銅箔の沈積面のSku及び/又はドラム面のSkuは、独立して4.0〜6.5の範囲であってもよい。
【0028】
必要に応じて、電解銅箔は約3μm〜約20μmの厚さを有し得るが、これに限定されない。当業者は、電解銅箔の厚さを個別の必要性に従って正しく調節できることを理解できる。
【0029】
本明細書で使用するとき、電解銅箔の沈積面及びドラム面の定義は、電解銅箔の製造プロセス中のその相対的位置に関係する。一実施形態では、電解銅箔は、電着工程の後に製造された裸銅箔(bare copper foil)であってもよく、これはいかなる表面処理も行われていない、むきだしの銅箔である。電着工程の間、裸銅箔は、硫酸銅及び硫酸を主成分として含む銅電解質溶液と、寸法安定性アノード(DSA)としてイリジウム含有成分又は酸化イリジウムでコーティングされたチタンプレートと、カソードドラムとしてチタンドラムを使用し、この2つの電極間に直流電流を流して銅電解質溶液内の銅イオンをチタンカソードドラム上に電着させ、次いで、裸銅箔をチタンカソードドラムから剥がして巻き取ることによって、調製されてもよい。
本明細書において、銅電解質溶液に近い裸銅箔の面を「沈積面」と呼び、チタンカソードドラムの表面に近い裸銅箔の面を「ドラム面」と呼ぶ。沈積面及びドラム面はいずれも電解銅箔の最外面である。別の実施形態において、電解銅箔は、電着工程の後に表面処理加工された銅箔であってもよい。つまり、電解銅箔は、裸銅箔と、該裸銅箔の上に配置された表面処理層とを含み、沈積面及びドラム面は、電解銅箔の最外面である。換言すれば、表面処理で更に加工された裸銅箔を有する電解銅箔の場合、沈積面及びドラム面はいずれも、電解銅箔の相対する最外面である。
【0030】
必要に応じて、表面処理層は、防錆層であってもよいが、これに限定されない。防錆層は、裸銅箔を、例えば腐食によって生じる変色から保護できる。必要に応じて、電着工程後に、調製された裸銅箔を、防錆材を含有する溶液に浸漬又は通過させ、電気めっきを実施して、その上に防錆層を形成できる。例えば、防錆材は、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)又はこれらの任意の組み合わせを含み、あるいは、防錆材はアゾール化合物のような有機化合物を含んでもよい。表面処理は、連続的で、電解銅箔を製造するプロセス全体の一部であってもよい。
【0031】
上記の目的を達成するため、第3の態様において、本開示は上記電解銅箔を含む集電体を提供する。第1又は第2の態様に述べたように、電解銅箔が上記の2つの特徴を有する場合、例えば、適切に制御されたΔRS及び沈積面のVvを有する、又は適切に制御された沈積面のSku及びVvを有する場合、第1及び第2の態様の電解銅箔は、集電体に好適である。
【0032】
必要に応じて、集電体を負極集電体又は正極集電体として使用できる。
【0033】
上記の目的を達成するため、第4の態様において、本開示は電極を提供し、該電極は上記集電体と活物質とを含み、該活物質は集電体上にコーティングされていてもよい。
【0034】
必要に応じて、活物質は、正極活物質でも負極活物質でもよい。一実施形態では、正極活物質は、電解銅箔の面上にコーティングされて、正極を調製し得る。別の実施形態において、負極活物質は、電解銅箔の面上にコーティングされて、負極を調製し得る。
【0035】
負極活物質は、炭素含有物質、ケイ素含有物質、炭化ケイ素複合材、金属、金属酸化物、金属合金、又はポリマーであってもよい。炭素含有物質又はケイ素含有物質が好ましいが、これらに限定されない。具体的には、炭素含有物質は、非黒鉛化炭素、コークス、黒鉛、ガラス状カーボン、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック、又は高分子焼成物質であってもよいがこれらに限定されない。
コークスは、ピッチコークス、ニードルコークス、又は石油コークスを含み得る。高分子焼成物質は、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂又はフラン樹脂を炭酸化に適した温度で焼成することで得られ得る。ケイ素含有物質は、リチウムイオンとの合金を形成する卓越した能力、及びリチウム合金からリチウムイオンを抽出する卓越した能力を有する。ケイ素含有物質がリチウムイオン二次電池に適用された場合、高エネルギー密度の二次電池が得られる。ケイ素含有物質は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、ルテニウム(Ru)、又はこれらの組合せと組み合わせて合金を形成し得る。金属又は金属合金の元素は、Co、Fe、Sn、Ni、Cu、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、Sb、Cr、Ru、及びMoからなる群から選択され得るが、これらに限定されない。上記の金属酸化物は、酸化第二鉄、四酸化三鉄、二酸化ルテニウム、二酸化モリブデン、及び三酸化モリブデンであり得るが、これらに限定されない。上記のポリマーの例としては、ポリアセチレン及びポリピロールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0036】
必要に応じて、正極活物質は、複数の選択肢を有し得る。正極活物質の違いに応じて、リチウムイオン二次電池は、LiCoO
2二次電池、LiNiO
2二次電池、LiMn
2O
4二次電池、及びLiFePO
4二次電池などであり得るが、これらに限定されない。
【0037】
上記の目的を達成するため、第5の態様において、本開示は、上記の電極を含むリチウムイオン二次電池を提供する。具体的には、リチウムイオン二次電池は、正極、負極、及び電解質溶液を含む。
【0038】
必要に応じて、第1又は第2の態様の電解銅箔は、リチウムイオン二次電池の負極の調製に特に好適である。少なくとも2つの上記特徴、例えば、適切に制御されたΔRS及び沈積面のVv、又は適切に制御されたSku及び沈積面のVvを有する場合、第1又は第2の態様の電解銅箔は、卓越した加工性、耐久性、低いシワ発生性及び低い亀裂性を有することが可能であり、これは、活物質と接触している電解銅箔の密着性の改善、及び活物質が電解銅箔から脱離する分離から生じる破損、又はリチウムイオン二次電池が高サイクルの充放電を行った後の電解銅箔の破壊の防止に寄与する。簡潔に述べると、第1又は第2の態様の電解銅箔は、リチウムイオン二次電池の性能を大幅に改善し、かかる電解銅箔を含むリチウムイオン二次電池が900回〜1200回又はそれ以上の充放電サイクル寿命を少なくとも示すことを可能にする。したがって、リチウムイオン二次電池は、卓越した使用寿命性能を有する。
【0039】
本開示によると、電解質溶液は、溶媒、電解質、又は個別の条件に応じて添加された添加剤を含み得る。電解質溶液の溶媒は、非水性溶媒、例えば、エチレンカーボネート(EC)又はプロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)又はエチルメチルカーボネート(EMC)などの直鎖カーボネート、又はスルトンが挙げられるがこれらに限定されない。上記の溶媒は、単独で使用されてもよく、又は2種類以上の溶媒の組み合わせで使用されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、リチウムイオン二次電池の正極及び負極は、セパレータフィルムで分離できる。いくつかの実施形態において、電解銅箔を使用してリチウムイオン二次電池を製造でき、その例としては、積層型リチウムイオン二次電池又はコイン型リチウムイオン二次電池などがあるがこれらに限定されない。
【0041】
他の態様において、本開示は、リチウムイオン二次電池を含むデバイスを提供できる。本明細書において、デバイスは、その動作に電力を必要とする任意の部品又は構成要素を含む。例えば、軽量、携帯型、独立型、及び移動可能な構成要素及びデバイスは、すべて小型で軽量の電池を必要とする。デバイスは、輸送手段(例えば、自動車、路面電車、バス、トラック、船、潜水艦、飛行機)、コンピューター(例えば、マイクロコントローラ、ラップトップ、タブレット用)、電話(例えば、スマートフォン、無線固定電話)、個人用の健康モニタリング装置(例えば、グルコースモニター、ペースメーカー)、電動工具(例えば、電気ドリル、チェーンソー)、照明器具(例えば、懐中電灯、非常灯、サイン)、ハンドヘルド測定デバイス(例えば、pHメーター、空気モニタリングデバイス)及び住居単位(例えば、宇宙船、トレーラー、家屋、飛行機、潜水艦)を含み得るが、これらに限定されない。また、本開示の電解銅箔は、軽量リチウムイオン二次電池に適用できることから、電気自動車、携帯型電子機器、及び宇宙製品などへの使用に好適である。