(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
以下の実施の形態1、2では移動体の例として、電動車両600を説明する。
以下に説明する電動車両600は、日本の道路交通法では歩行者として扱われる。
電動車両600の例としては、一人乗り電動車両または電動車椅子のような車両を想定する。
【0010】
実施の形態1.
図1から
図9を参照して、実施の形態1の管理システム1000を説明する。
【0011】
図1は、管理システム1000のシステム構成図である。
図1に示すように、管理システム1000は、車両誘導装置100と、管理装置200とを備えている。ネットワーク300には、管理装置200とWiFiスポット400が接続している。WiFiスポット400はアンテナ401を有する。車両誘導装置100は誘導装置である。
【0012】
電動車両600は、通信装置50、測位装置60、自動運転装置70及び、車両誘導装置100を搭載している。通信装置50は、WiFiスポット400及びネットワーク300を介して、管理装置200と通信する。通信装置50は、管理装置200から制限エリア情報202を受信し、管理装置200へ位置情報61を送信する。あるいは通信装置50は、混雑度のような交通情報を、交通情報を提供する提供装置から、ネットワーク300及びWiFiスポット400を介して受信する。測位装置60は、測位衛星500から受信する測位信号から、測位信号の受信位置を計算する。受信位置は電動車両600の位置である。自動運転装置70は、電動車両600を自動運転させる。自動運転装置70には、車両誘導装置100及びカメラ650が接続している。車両誘導装置100には、通信装置50、測位装置60、自動運転装置70及び端末装置660が接続している。
【0013】
図2は、ユーザの使用する電動車両600の外観図である。電動車両600は、ハンドル610、4本のタイヤ620、バックミラー630、かご640、カメラ650及び端末装置660を備えている。カメラ650の撮影する画像は、自動運転装置70の行う電動車両600の自動走行に使用される。端末装置660は、携帯電話、表示装置、入力装置、ユーザ700を撮影するユーザ撮影装置の機能を有する。端末装置660は、例えばタブレット端末である。ユーザ700は、端末装置660を携帯電話として用いて、管理装置200の管理者と通話できる。ユーザ700は、端末装置660を表示装置として用いて、車両誘導装置100の出力を確認できる。ユーザ700は、端末装置660を入力装置として用いて、車両誘導装置100にデータを入力できる。ユーザ700は、端末装置660をユーザ撮影装置として用いて、ユーザ700を撮影させることができる。
【0014】
図3は、車両誘導装置100のハードウェア構成を示す。車両誘導装置100は、コンピュータである。車両誘導装置100は、プロセッサ110を備える。車両誘導装置100は、プロセッサ110の他に、主記憶装置120、補助記憶装置130、及び通信IF140といった、他のハードウェアを備える。プロセッサ110は、信号線150を介して、他のハードウェアと接続され、他のハードウェアを制御する。
【0015】
車両誘導装置100は、機能要素として、取得部111、判断部112及び誘導部113を備える。取得部111、判断部112及び誘導部113の機能は、車両誘導プログラム109により実現される。
【0016】
プロセッサ110は、車両誘導プログラム109を実行する装置である。車両誘導プログラム109は、取得部111、判断部112及び誘導部113の機能を実現するプログラムである。プロセッサ110は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ110の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0017】
主記憶装置120は、データを揮発的に保管する。主記憶装置120の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。主記憶装置120は、プロセッサ110の演算結果を保持する。
【0018】
補助記憶装置130は、データを不揮発的に保管する。補助記憶装置130の具体例は、HDD(Hard Disk Drive)である。また、補助記憶装置130は、SD(登録商標)(Secure Digital)メモリカード、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。補助記憶装置130は、車両誘導プログラム109を記憶している。
【0019】
通信IF140は、プロセッサ110が他の装置と通信するための通信ポートである。通信IF140には、通信装置50、測位装置60、自動運転装置70及び端末装置660が接続している。
【0020】
プロセッサ110は補助記憶装置130から車両誘導プログラム109を主記憶装置120にロードし、主記憶装置120から車両誘導プログラム109を読み込み実行する。主記憶装置120には、車両誘導プログラム109だけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ110は、OSを実行しながら、車両誘導プログラム109を実行する。車両誘導装置100は、プロセッサ110を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、車両誘導プログラム109の実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ110と同じように、車両誘導プログラム109を実行する装置である。車両誘導プログラム109により利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値及び変数値は、主記憶装置120、補助記憶装置130、または、プロセッサ110内の、レジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0021】
車両誘導プログラム109は、取得部111、判断部112及び誘導部113の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させるプログラムである。
【0022】
また、車両誘導法違法は、コンピュータである車両誘導装置100が、車両誘導プログラム109を実行することにより行われる方法である。車両誘導プログラム109は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0023】
図4は、管理装置200のハードウェア構成を示す。管理装置200も車両誘導装置100と同じハードウェア構成を有するコンピュータである。管理装置200については、車両誘導装置100と異なる部分を説明する。
【0024】
管理装置200は、プロセッサ210を備える。管理装置200は、プロセッサ210の他に、主記憶装置220、補助記憶装置230、及び通信IF240といった、他のハードウェアを備える。プロセッサ210は、信号線250を介して、他のハードウェアと接続され、他のハードウェアを制御する。
【0025】
管理装置200は、−機能要素として、生成部211及び送信部212を備える。生成部211及び送信部212の機能は、管理プログラム209より実現される。管理プログラム209は、生成部211及び送信部212の機能を実現するプログラムである。管理プログラム209は補助記憶装置230に格納されている。また制限エリア情報202も補助記憶装置230に格納される。
【0026】
通信IF240は、プロセッサ210が他の装置と通信するための通信ポートである。通信IF240は、ネットワーク300に接続している。通信IF240は、ネットワーク300を介して通信装置50と通信する。
【0027】
プロセッサ210は、補助記憶装置230から管理プログラム209を主記憶装置220にロードし、主記憶装置220から管理プログラム209を読み込み実行する。
【0028】
管理プログラム209は、生成部211及び送信部212の「部」を、「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させるプログラムである。
【0029】
また、管理方法は、コンピュータである管理装置200が、管理プログラム209を実行することにより行われる方法である。管理プログラム209は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよいし、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0030】
***動作の説明***
図5は、車両誘導装置100の動作を説明するシーケンス図である。
図5を参照して、車両誘導装置100の動作を説明する。車両誘導装置100の動作手順は、車両誘導方法に相当する。車両誘導装置100の動作を実現するプログラムは、車両誘導プログラム109に相当する。
図5では、車両誘導装置100によって、電動車両600が、制限エリア情報202の示す制限エリア201の外へ誘導される場合を示す。
【0031】
<ステップS11>
ステップS11において、管理装置200の生成部211が、制限エリア情報202を生成し、補助記憶装置230に格納する。
図4に示すように、送信部212は、制限エリア情報202を車両誘導装置100に送信する。具体的には以下のようである。送信部212は、生成部211の生成した制限エリア情報202を、通信IF240、ネットワーク300及びWiFiスポット400介して送信する。
図6は、生成部211が生成する制限エリア情報202を示す。制限エリア情報202では、地図上に、制限エリア201が指定されている。なお、制限エリア情報202の示す制限エリア201は、各種の条件に基づいて変更される。生成部211は、制限エリア201を変更した場合、制限エリア201が変更された制限エリア情報202を送信する。制限エリア201の変更については後述する。
【0032】
<ステップS12>
ステップS12において、電動車両600に搭載されている通信装置50は、制限エリア情報202を受信する。
【0033】
<ステップS13>
ステップS13において、車両誘導装置100の取得部111は、電動車両600の進入を制限する制限エリア201を示す制限エリア情報202と、電動車両600の位置を示す位置情報61とを取得する。「電動車両600の進入を制限する」とは、電動車両600の進入を禁止すること、電動車両600の進入を条件付きで認めることの両方を含む。具体的には以下のようである。取得部111は、通信装置50から制限エリア情報202を取得する。また、取得部111は、測位装置60から、電動車両600のリアルタイムの測位位置を示す位置情報61を取得している。取得部111は、制限エリア情報202及び位置情報61を、判断部112に送信する。
図5では、制限エリア情報202が判断部112に送信された後に、位置情報61が判断部112に送信されるように示しているが、これは便宜的な記載である。実際には、位置情報61は、測位装置60から、取得部111介して、誘導部113に常時送信されている。
【0034】
<ステップS14>
ステップS14において、判断部112は、制限エリア情報202と位置情報61とに基づいて、制限エリア情報202の示す制限エリア201に、電動車両600が存在するか否かを判断する。具体的には以下のようである。判断部112は、制限エリア情報202の示す制限エリア201に、電動車両600が存在するかどうかを、位置情報61の示す電動車両600の位置を用いて、監視している。判断部112は、監視の結果、電動車両600が制限エリア201に存在すると判断すると、電動車両600が制限エリア201に存在することを示す、存在情報118を誘導部113へ送信する。
図7は、ステップS14において、判断部112が判断する際の、電動車両600の位置と制限エリア201との関係を示す。
図7では、電動車両600は、位置P1、位置P2を経由して、制限エリア201に進入している。位置P0は電動車両600の位置である。よって、判断部112は、電動車両600が制限エリア201に存在すると判断し、存在情報118を誘導部113へ送信する。
【0035】
<ステップS15>
ステップS15において、誘導部113は、判断部112から存在情報118を受信する。誘導部113は、電動車両600が制限エリア201に存在すると判断部112によって判断された場合に、電動車両600を制限エリア201の外に誘導する。具体的には以下のようである。誘導部113は、取得部111が取得した、制限エリア情報202及び位置情報61を参照する。参照により、誘導部113は、電動車両600が位置P0に存在することを知る。誘導部113は、位置情報61を用いて、電動車両600が、制限エリア201の外へ出るための経路を誘導経路として計算し、その誘導経路の進行のみ許可する。
誘導部113は、電動車両600が制限エリア201の外へ出るための誘導経路として、最短経路を計算する。
図7を例にとると、電動車両600が位置P0に存在する場合、誘導部113は、最短経路として、電動車両600がUターンするべき誘導経路601を計算する。誘導部113は、電動車両600を誘導経路601へ誘導する。誘導部113による誘導は、手動運転に対する誘導と、自動運転に対する誘導がある。
なお、計算で求めた最短経路が複数のPMV(パーソナル・モビリティ・ビークル)及び歩行者で混雑している場合は、電動車両600は、計算で求めた最短経路を通って制限エリア201を短時間で出られない。その場合、誘導部113は、制限エリア201の外へ出る時間が最短時間となる誘導経路を計算してもよい。あるいは、誘導部113は、路幅の広い道路を誘導経路として採用するように、誘導経路を計算してもよい。あるいは、誘導部113は、混雑度の少ない経路を誘導経路として採用するように、誘導経路を計算してもよい。最短経路、最短時間、路幅及び混雑度のいずれか一つ、あるいは最短経路、最短時間、路幅及び混雑度のうち2以上を組み合わせて、誘導部113は、誘導経路を計算してもよい。
電動車両600の走行速さは、電動車両600の仕様として補助記憶装置130に格納されている。誘導部113は、走行速さを用いて、誘導経路を計算する。また、誘導部113は、混雑度を通信装置50によって取得し、路幅のような道路仕様情報を制限エリア情報202に含まれる地図情報から取得し、誘導経路を計算する。
【0036】
<手動運転>
誘導部113は、ユーザ700に誘導経路601を示す。具体的には、誘導部113は、電動車両600が進行するべき方向を地図に重畳した画面を、通信IF140を介して、端末装置660の有するディスプレイに表示する。ユーザ700は、表示される画面に従って、手動運転で誘導経路601を走行できる。
図7の場合は、誘導部113は、位置P0から位置P2方向に戻る誘導経路601を、ディスプレイに表示する。なお、手動運転の場合、誘導部113は、電動車両600が制限エリア201の外へ向かう移動を許可し、電動車両600が制限エリア201の外へ向かう移動以外を許可しない。
【0037】
<自動運転>
誘導部113は、電動車両600に、誘導経路601を自動運転させる。具体的には、誘導部113は、電動車両600が進行するべき方向を示す進行方向情報を、通信IF140を介して、自動運転装置70に送信する。自動運転装置70は、進行方向情報に従って、電動車両600を自動運転する。
図7の場合は、誘導部113は、位置P0から位置P2の方向へ戻るべき進行方向情報を、自動運転装置70に送信する。
【0038】
<管理装置200>
生成部211は、変更条件に基づいて制限エリア201を変更し、制限エリア201が変更された制限エリア情報202を生成する。送信部212は、制限エリア201が変更された制限エリア情報202を車両誘導装置100に送信する。以下に、管理装置200による制限エリア情報202の生成、及び、管理装置200による制限エリア201の変更を説明する。
生成部211は、制限エリア201の変更が必要な場合、制限エリア201を変更した、新たな制限エリア情報202を生成する。
(1)制限エリア情報202の示す制限エリア201は、時間帯の条件、事故の発生状況の条件、または、災害の発生状況の条件によって変更される。
(2)制限エリア情報202の示す制限エリア201は、電動車両600に与えられた通行の優先度の条件によって変更されてもよい。
(3)制限エリア情報202の示す制限エリア201は、制限エリア201は、制限エリア201としての任意のエリア設定のような、エリア設定条件によって設定されてもよい。
(1)から(3)のように、制限エリア201は、制限エリア201を変更する各種の条件に基づいて変更される。制限エリア201の変更条件は、上記の(1)から(3)に限定されない。このように、制限エリア201は、変更条件に基づいて、変更される。上記の(1)では、変更条件は、時間である。
【0039】
以下では、制限エリア201の変更条件が、時間帯の条件、優先度の条件及びエリア設定条件の場合を説明する。
【0040】
<時間帯の条件>
図8は、10:00から15:00の時間に進入が制限される制限エリア201を示す制限エリア情報202である。
図9は、15:00から20:00まで、進入が制限される制限エリア201を示す制限エリア情報202である。
図9は、15:01の状態であり、
図8の制限エリア201が拡大した状態である。
図9で示すように、制限エリア201が変更された場合、変更された制限エリア201を含む制限エリア情報202が、管理装置200から送信され、取得部111はこの制限エリア情報202を取得する。判断部112及び誘導部113は、変更された制限エリア201を含む制限エリア情報202を使用する。つまり、判断部112及び誘導部113は、最新の制限エリア情報202を使用する。
図8では、電動車両600は、10:00から15:00の時間帯に、位置P1、位置P2と進み、14:59に位置P0に存在する。
図9は、15:01の状態である。電動車両600の位置は、
図8と同一の位置P0である。
図9の15:01では制限エリア201は拡大している。よって、ステップ14において、判断部112は、電動車両600が制限エリア201に存在すると判断し、存在情報118を誘導部113へ送信する。
【0041】
誘導部113は、位置情報61を用いて、電動車両600が、
図9の制限エリア201の外へ出るための経路を計算し、その経路の進行のみ許可する。誘導部113は、電動車両600が位置P0に存在することを認識している。誘導部113は、電動車両600が制限エリア201の外へ出るための誘導経路602として、最短経路を計算する。
図9では、電動車両600が位置P0に存在する場合、誘導部113は、計算により、位置P3,位置P4,位置P5を通過する誘導経路602を得る。
【0042】
誘導部113は、電動車両600を誘導経路602へ誘導する。誘導は、上記のように、手動運転に対する誘導と、自動運転に対する誘導がある。
【0043】
誘導は、上記のように、手動運転に対する誘導と、自動運転に対する誘導がある。
図8、
図9については、時間帯によって、制限エリア201が拡大または縮小する場合を説明した。縮小として制限エリア201が解消してもよい。また拡大として、解消していた制限エリア201が出現してもよい。あるいは、時間帯によって、ある領域に制限エリア201が出現してもよい。なお、事故の発生状況の条件及び災害の発生状況の条件も、時間帯における制限エリア201の変更と同様である。すなわち、事故または災害の発生状況に応じて、制限エリア201が拡大または縮小してもよいし、ある領域に制限エリア201が出現してもよい。
【0044】
<優先度の条件>
次に、優先度の条件によって、制限エリア201への進入可否が変更になる場合を説明する。生成部211は、制限エリア情報202を生成する際に、制限エリア201に優先度を付加する。例えば、
図6の制限エリア情報202を生成する際、生成部211は、制限エリア201に優先度PRXを付加する。複数の電動車両600に搭載される車両誘導装置100の判断部112は、電動車両600に与えられている車両優先度を保有している。これを優先度PRYとする。PRX<PRYの場合、電動車両600は、制限エリア201への進入が認められる。PRX≧PRYの場合、電動車両600は、制限エリア201への進入が認められない。判断部112は、ステップS14の判断において、優先度PRX及び優先度PRYの大小関係を判断に加える。つまり、電動車両600が制限エリア201に存在しても、PRX<PRYの場合には、判断部112は存在情報118を生成しない。電動車両600が制限エリア201に存在し、かつ、PRX≧PRYの場合に、判断部112は存在情報118を生成する。
【0045】
生成部211は、制限エリア201の優先度PRXを変更する場合がある。生成部211は、制限エリア201の優先度PRXを変更した場合、優先度PRXを変更した制限エリア201を含む制限エリア情報202を生成し、送信部212が制限エリア情報202を送信する。例えば、PRX=3、PRY=4の場合、電動車両600は制限エリア201に進入できる。しかし、PRXが5に変更された場合、電動車両600は制限エリア201への進入が認められない。
【0046】
<エリア設定条件>
最後に、制限エリア201を設定するエリア設定条件によって、制限エリア201が変更になる場合を説明する。この場合の制限エリア201の変更とは、制限エリア201が新たに設定される場合である。これは、<時間帯の条件>で説明した、時間帯によって、ある領域に制限エリア201が出現する場合が該当する。
【0047】
***実施の形態1の効果***
管理システム1000によれば、進入の制限される制限エリアに存在する移動体を、制限エリアの外に誘導するシステムを提供できる。車両誘導装置100は、手動運転または自動運転で電動車両600を制限エリア201の外へ誘導する。よって、ユーザ700に応じて、電動車両600を安全に制限エリア201の外へ誘導できる。管理システム1000によれば、管理装置200は制限エリア201を各種の条件に従って変更する。よって、制限エリア201を柔軟に設定できる。
【0048】
実施の形態2.
図10から
図14を参照して、実施の形態2の管理システム1000を説明する。実施の形態2は制限エリア情報202に特徴がある。実施の形態2の管理システム1000のシステム構成及び動作は実施の形態1と同じである。
図1から
図5は実施の形態2にも当てはまる。
【0049】
実施の形態2の管理システム1000は、病院内の屋内地図情報に基づいて、病院の部屋ごとに入室可否の情報を有する制限エリア情報202を使用する。実施の形態2の制限エリア情報202は、実施の形態1で述べた優先度の具体例である。よって、実施の形態1の説明は、実施の形態2に当てはまる。
【0050】
実施の形態2の制限エリア情報202では、制限エリア201は、病院800のそれぞれの部屋、廊下、フロア、庭、病院800の外である。従って、制限エリア情報202は、それぞれの部屋、廊下、フロア、庭、及び病院800の外のような、複数の制限エリア201を含む。複数の制限エリア201のそれぞれには、実施の形態1で述べた優先度PRXが付加されている。また、電動車両600に搭載されている判断部112は、優先度PRYを持っている。
【0051】
制限エリア情報202に含まれる制限エリア201の優先度PRXは、時間、災害による非常事態、及び病院勤務者あるいは面会者のためのエリアとして使用されるという使用情報、のような条件に基づいて、変更される。
【0052】
図10は、病院800に関して、日中において、面会時間帯の制限エリア情報202である。
図11は、病院800に関して、日中において、面会時間外の制限エリア情報202である。
図12は、病院800に関して、夜間における制限エリア情報202である。
図13は、病院800に関して、災害発生のような非常時における制限エリア情報202である。
【0053】
図10を例として、実施の形態2の制限エリア情報202を説明する。実施の形態2では、電動車両600に搭載されている車両誘導装置100の判断部112は、優先度PRY=1である。優先度PRXは、0、1、2の3種類がある。優先度をそれぞれ、PRY(1)、PRX(0)、PRX(1)、PRX(2)と表記する。
図10では、病院800に関して、それぞれの部屋、廊下、フロア、庭及び病院800の外に、PRX(0)、PRX(1)、PRX(2)のいずれかが、付加されている。
病院800の1階には、床11があり、部屋はない。2階には、部屋21から部屋24の4つの部屋と、廊下25がある。3階には、部屋31から部屋33の3つの部屋と、廊下34がある。4階には、部屋41から部屋44の4つの部屋と、廊下45がある。制限エリア情報202では、病院800に、庭及び外が設定されている。
図10において、例えば11(0)とは、床11がPRX(0)であることを示している。他の符号も意味は同様である。
【0054】
具体的には、以下のようである。床11の優先度はPRX(0)である。部屋21から部屋24の優先度はPRX(1)、廊下25の優先度はPRX(0)である。部屋31の優先度はPRX(2)、部屋32及び部屋33の優先度はPRX(1)、廊下34の優先度はPRX(0)である。部屋41の優先度はPRX(2)、部屋42及び部屋43の優先度はPRX(1)、部屋44の優先度はPRX(2)、廊下45の優先度はPRX(0)である。
【0055】
判断部112は、ステップS14において、電動車両600が制限エリア201に存在すると判断した場合、制限エリア201に付加されている優先度PRXと、判断部112の有する優先度であるPRY(1)とを比較する。実施の形態2では、判断部112は以下のように判断する。PRX(0)では、電動車両600は常時進入可能である。PRX(1)では、電動車両600は許可を条件に進入可能である。PRX(2)では、電動車両600は進入禁止である。
図10から
図13では、PRX(0)の制限エリア201は、ハッチングなしで示し、PRX(1)の制限エリア201は、細線のハッチングで示し、PRX(2)の制限エリア201は、太線のハッチングで示している。判断部112の有する優先度はPRY(1)であるから、PRY(1)とPRXとの大小関係では以下のようである。PRX<PRYのとき、電動車両600は常時進入可能である。PRX=PRYのとき、電動車両600は許可を条件に進入可能である。PRX>PRYのとき、電動車両600は進入禁止である。
【0056】
図11では、
図10に対して、3階と4階の制限エリア201が変更されている。つまり、部屋31から部屋33の全部がPRX(2)、及び、部屋41から部屋43の全部がPRX(2)になっている。これは、生成部211が、
図10から
図11の状態へ、制限エリア201の優先度PRXを変更した結果である。
【0057】
図12では、
図11に対して、2階と庭の制限エリア201が変更されている。つまり、部屋21、部屋22、及び庭がPRX(2)になっている。これは、生成部211が、
図11から
図12の状態へ、制限エリア201の優先度PRXを変更した結果である。
【0058】
図13では、以下のようである。床11の優先度はPRX(0)である。部屋21から部屋24の優先度はPRX(2)、廊下25の優先度はPRX(0)である。部屋31から部屋33の優先度はPRX(2)、廊下34の優先度はPRX(0)である。部屋41から部屋44及び廊下45の優先度はPRX(2)、庭及び外の優先度はPRX(1)である。
図13は非常時の制限エリア情報202である。元の制限エリア情報202が
図10の制限エリア情報202とすれば、生成部211が、
図10から
図13の状態へ、制限エリア201の優先度PRXを変更した結果である。
【0059】
実施の形態2では優先度を説明した。生成部211は、優先度を電動車両600に搭載されている車両誘導装置100ごとに設定してもよい。つまり管理装置200は、複数の車両誘導装置100のそれぞれを管理している。例えば管理装置200は、車両誘導装置100の装置識別子を管理しており、装置識別子に応じて、管理装置200の生成部211は、優先度PRXを決定することができる。
【0060】
実施の形態2では、測位装置60は病院800の屋内で電動車両600の位置を測位する。この場合、測位装置60は衛星の測位信号に限らず、ステレオカメラ、ライダーあるいはスラム技術によって、電動車両600の位置を計算することができる。
【0061】
***実施の形態2の効果***
実施の形態2の管理システム1000では、管理装置200の生成部211が、制限エリア情報202の制限エリア201を、優先度を用いて動的に変更する。車両誘導装置100の判断部112は、優先度を考慮して、電動車両600の制限エリア201への進入可否を判断する。よって、ユーザ700の進入制限を希望する管理者と、制限エリア201への進入が制限されるユーザ700との両者にとって、利用し易いシステムを提供できる。
実施の形態2の管理システム1000によれば、病院800において、薬物保管庫及び施術室のような危険区域と、セーフティエリアとを、弾力的かつ動的に分けることができる。また、電動車両600を利用するユーザ700である患者に対して、制限エリア201を容易に設けることができる。また、管理システム1000によれば、面会時間内の行動範囲の拡大及び夜間の外出禁止のように、制限エリア201を柔軟に変更できる。
【0062】
<ハードウェア構成の補足>
図3の車両誘導装置100では車両誘導装置100の機能がソフトウェアで実現されるが、車両誘導装置100の機能がハードウェアで実現されてもよい。
図14は、車両誘導装置100の機能がハードウェアで実現される構成を示す。
図14の電子回路90は、車両誘導装置100の、取得部111、判断部112及び誘導部113の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路90は、信号線91に接続している。
電子回路90は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。
FPGAは、Field−Programmable Gate Arrayの略語である。
車両誘導装置100の構成要素の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
また、車両誘導装置100の構成要素の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0063】
プロセッサ110と電子回路90の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。車両誘導装置100において、取得部111、判断部112及び誘導部113の機能がプロセッシングサーキットリにより実現されてもよい。
車両誘導装置(100)は、取得部(111)、判断部(112)及び誘導部(113)を備えている。取得部(111)は、電動車両(600)の進入を制限する制限エリア(201)を示す制限エリア情報(202)と、電動車両(600)の位置を示す位置情報(61)とを取得する。判断部(112)は、制限エリア情報(202)と位置情報(61)とに基づいて、制限エリア(201)に電動車両(600)が存在するか否かを判断する。判断部(112)は、存在すると判断すると、存在情報(118)を誘導部(113)へ送信する。誘導部(113)は、存在情報(118)を受信すると、電動車両(600)を制限エリア(201)の外に誘導する。