(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
三相交流により電力供給を行い、前記検出器も各相に構成され、いずれかの相の検出器の前記論理回路から信号が出力された場合に前記受電側回路の全ての相の接地スイッチを導通状態とすることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のスイッチギヤ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態の説明及び各図において、同一の符号を付した部分は、同一又は相当する部分を示すものである。
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態について、
図1及び
図2を用いて説明する。
<スイッチギヤの概略構成>
図1は、本実施の形態のスイッチギヤ10の構成を単線結線図で示したものである。
スイッチギヤ10は、上部の破線で囲んだ受電盤1と、下部の破線で囲んだフィーダ盤9a〜9cとで構成される。
【0011】
受電盤1は、スイッチギヤ10の電力供給側に位置し、受電側回路14として、受電側遮断器2と、受電側遮断器2のフィーダ側に隣接する受電側電流センサ4と接地スイッチ3とを備えている。受電側電流センサ4は、後述するフィーダ側電流センサ6a〜6cと同様に、検出器8に接続されており、電流値を測定して測定結果を検出器8へ入力する。
【0012】
フィーダ盤9a〜9cは、受電盤1から接続された配線を分岐し、負荷7へ給電する複数の負荷回路15が接続されている。各々の負荷回路15は、フィーダ側遮断器5a〜5c、フィーダ側電流センサ6a〜6cとを経て、負荷7へ接続する構造となっており、上述のように、フィーダ側電流センサ6a〜6cで測定した電流値は、検出器8へ入力される。なお、
図1においてフィーダ側遮断器5a〜5cはスイッチとして記載されているが、これに限定するものではなく、ヒューズも用いることができる。
【0013】
また、本実施の形態においては、受電盤1に負荷回路15が各々形成されたフィーダ盤9a〜9cが3つ接続された構成を示した。これは一例であり、接続されるフィーダ盤9a〜9cの数は、
図1で1点鎖線で示した方向に増やしてもよく、それに伴い遮断器の数および電流センサの数も変えることができる。なお、以下の説明では、3つのフィーダ盤9a〜9cの場合で説明する。
【0014】
また、本実施の形態の図においては、受電盤1およびフィーダ盤9a〜9cは三相の内の一相(例えばU相)しか示していないが、V相、及びW相にも同じように受電盤、フィーダ盤が存在し、受電盤およびフィーダ盤の電流センサは同じ検出器8内に接続されている。これにより、一相の短絡による内部アークの発生だけでなく、2相以上の短絡による内部アークの発生を検出することが可能である。実施の形態2も同様である。
【0015】
本実施の形態において、検出器8は、各電流センサの測定結果に基づいて演算を実施して内部アークの発生の有無を検知し、後述のように接地スイッチ3に対する信号を出力する機能を有する。ただし、一体としてこれらの機能を有する必要はなく、複数の機器に分散した形態として、これらの機能を有してもよい。
【0016】
図2に示すように、受電盤1に配置された受電側回路14の受電側遮断器2が「閉」状態の場合、スイッチギヤ10の上部から、3つのフィーダ盤9a、9b、9cに電力供給され、フィーダ盤9a〜9cに配置された負荷回路15のうち、フィーダ側遮断器5a〜5cが「閉」状態の負荷回路15に接続された負荷7に電力が供給され、稼働状態となる。
【0017】
<内部アークの抑制フロー>
図3に本実施の形態での内部アークの抑制フローを示す。
本実施の形態においては、一例として、
図2に示すように、3つの負荷回路15のフィーダ側遮断器5a〜5cがすべて「閉」状態の場合について述べる。なお、受電側電流センサ4の電流値はIu、フィーダ側電流センサ6a〜6cのそれぞれの電流値はIdとする。また、電流センサの最大電流値をImaxとし、電流センサの電流値がこの最大電流値Imaxに至っていない場合に、電流が飽和することなく正しく動作していると判断する。
【0018】
まず、
図3中、ステップS101において、最大電流値Imaxより、フィーダ側電流センサ6a〜6cのそれぞれの電流値Idが小さいことを確認し、電流センサが飽和していないとみなす。
次に、ステップS102において、受電側電流センサ4の電流値Iuと、フィーダ側電流センサ6a〜6cの電流値の和ΣIdとの差を検出器8により演算する。地絡及び相間短絡が生じていない場合は、受電側電流センサ4の電流値Iuとフィーダ側電流センサ6a〜6cの電流値の和ΣIdは等しくなる。しかし、地絡及び相間短絡が生じ、内部アークが発生すると、アークを介して電流が負荷回路15以外に流れるため、フィーダ側電流センサ6a〜6cの電流値の和ΣIdは低下する。
【0019】
そこで、受電側電流センサ4の電流値Iuから、フィーダ側電流センサ6a〜6cの電流値の和ΣIdを減じた差が検出される場合、内部アークが生じていると判断することができる。さらに、検出の信頼性を高めるために、電流値の差が一定のしきい値Ithを超えた場合に、内部アークが発生したとみなすこともできる。
内部アークが生じていると判断した場合、ステップS103において、受電側回路14の接地スイッチ3へ信号を出力し、接地スイッチ3を「閉」状態とする。
【0020】
本実施の形態においては、受電側電流センサ4とフィーダ側電流センサ6a〜6cとの間の電流値の差を検出器8で求め、一定のしきい値を超えた場合に、接地スイッチ3に信号を出力し「閉」状態とする。そのため、従来の光学的評価により内部アークを検知する場合のように外乱の影響により誤動作を生じることがなく、確実に内部アークを抑制することができる。
【0021】
また、遮断器の動作時間は下位のフィーダ側遮断器5a〜5cとの保護協調のために上位の受電側遮断器2ほど遅れて動作させる必要がある。そのため、内部アークが発生した場合、電流が遮断されるまでに、スイッチギヤ10が大きく損傷してしまう。しかし、受電側遮断器2が動作する前に高速に接地することで電流が遮断されるまで内部アークを抑制する。
【0022】
実施の形態2.
本実施の形態について、
図4、
図5A及、
図5B及び
図6を用いて説明する。
<スイッチギヤ群の概略構成>
図4は、本実施の形態のスイッチギヤ10、30を用いたスイッチギヤ群60の構成を単線結線図で示したものであり、左側に位置する第一のスイッチギヤ10と右側に位置する第二のスイッチギヤ30が、接続部50を介して配置された構造を示している。
【0023】
本実施の形態では、第一のスイッチギヤ10と第二のスイッチギヤ30の各々の構成は同じであり、第一のスイッチギヤ10が、受電側遮断器2、接地スイッチ3及び受電側電流センサ4からなる受電側回路14と、フィーダ側遮断器5a〜5c、フィーダ側電流センサ6a〜6cからなり、負荷7と接続した負荷回路15と、さらに各電流センサが接続される検出器8を備えている。
一方、第二のスイッチギヤ30も、受電側遮断器22、接地スイッチ23及び受電側電流センサ24からなる受電側回路34と、フィーダ側遮断器25a〜25c、フィーダ側電流センサ26a〜26cからなり負荷27に接続した負荷回路35と、各電流センサが接続される検出器28とを備えている。
【0024】
第一のスイッチギヤ10は受電盤1とフィーダ盤9a、9b、9cで構成されているのと同様に、第二のスイッチギヤ30も受電盤21とフィーダ盤29a、29b、29cで構成されている。
なお、
図4においてフィーダ側遮断器5a〜5c、25a〜25cはスイッチとして記載されているが、これに限定するものではなく、ヒューズも用いることができる。
【0025】
2つのスイッチギヤ10、30の間に配置する接続部50は、接続用遮断器41と接続用電流センサ42とからなる接続回路43を備え、接続用電流センサ42は、第一のスイッチギヤ10の検出器8と第二のスイッチギヤ30の検出器28の両者と接続されており、接続用電流センサ42で得られた電流値はいずれの検出器8、28へも入力することができる。
本実施の形態において、検出器8、28は、実施の形態1と同様に、内部アークの発生の有無の判断に用いる。
【0026】
本実施の形態では、複数のスイッチギヤ10、30と、各々の間に接続部50を有し、スイッチギヤ群60を構成する点で実施の形態1と異なっている。
図4では、スイッチギヤ10、30の、配置数が2つのスイッチギヤ群を例に示したがこれに限定されるものではなく、3つ以上のスイッチギヤ10、30を配置し、それぞれの間に接続部50を配置したスイッチギヤ群60も用いることもできる。また、各スイッチギヤ10、30のフィーダ盤9a〜9c、29a〜29cの数は、増やしてもよく、それに伴い遮断器の数および電流センサの数も変えることができる。
本実施の形態においては、説明を容易とするために、上述のように2つのスイッチギヤ10、30を用いた構成のスイッチギヤ群60を例に説明する。
【0027】
図4に示した第一のスイッチギヤ10と第二のスイッチギヤ30を備えたスイッチギヤ群60は、通常の駆動時においては、接続部50に配置した接続用遮断器41を「開」状態としており、第一のスイッチギヤ10と第二のスイッチギヤ30とは切り離して、個別のスイッチギヤとして用いていることができる。
【0028】
つまり、第一のスイッチギヤ10においては、受電側回路14を経て電力が供給される。本実施の形態の場合、供給された電力は3つに分岐し、それぞれをモータ等の負荷7に接続して駆動している。また、第二のスイッチギヤ30も同様に、受電側回路34を経て電力が供給され、分岐後、モータ等の負荷27に接続して駆動している。
【0029】
しかし、電力供給源が故障した場合、又は電力供給源の点検等を行う場合、上記の通常の駆動方法では、電力の供給を休止しているスイッチギヤに接続されている負荷は駆動することができない。そこで、接続部50の接続用遮断器41を「閉」状態とする。ここでは第一のスイッチギヤ10の電力供給源が停止し、接続用遮断器41を「閉」状態として駆動する場合を例に用いて、
図5A及び
図5Bに示す内部アークの抑制フローを説明する。逆に第二のスイッチギヤ30が停止した場合も基本的に同様に取り扱うことができる。
【0030】
<内部アークの抑制フロー>
図5A及び
図5Bに本実施の形態でのスイッチギヤ群60の内部アークの抑制フローを示す。
図5Aは第一のスイッチギヤ10の検出器8、
図5Bは第二のスイッチギヤ30の検出器28でのフローを示している。
本実施の形態においては、
図6に示すように、第一のスイッチギヤ10の受電側回路14には電力供給はなく、第一のスイッチギヤ10の負荷回路15には、第二のスイッチギヤ30から接続部50を介して電力が供給されている構成を例として説明する。
【0031】
図5A及び
図5Bの説明において、第二のスイッチギヤ30の受電側回路34に配置する受電側電流センサ24の電流値をIu2、第一及び第二のスイッチギヤ10、30の複数のフィーダ側電流センサ6a〜6c、26a〜26cの各々の電流値の和をΣId1、ΣId2で表している。また、各フィーダ側電流センサの最大電流値をImaxとし、接続部50に配置された接続用電流センサ42の電流値をImで表している。
【0032】
図5A及び
図5BのステップS201において、各々のフィーダ側電流センサ6a〜6c、26a〜26cの電流値Id1、Id2は、最大電流値Imaxより小さく、飽和せずに正しく動作しているとみなして、次のステップS202又はステップS203へ進む。
【0033】
次に、ステップS202では、接続部50を経て第一のスイッチギヤ10のフィーダ盤へ流れた接続用電流センサ42の電流値Imから、第一のスイッチギヤ10に配置されたフィーダ側電流センサ6a〜6cの電流値の和ΣId1を減じた差を求める。ここでは差の検出の信頼性を高めるため、一定のしきい値Ith1を超えたか否かを検出器8で演算し、差の有無を判断している。
【0034】
しきい値Ith1を超えた場合、フィーダ盤9a〜9c内で測定される電流値の和が低下しており、内部アークが生じているとみなす。そこで、ステップS204において、第一のスイッチギヤ10に含まれる接地スイッチ3へ、信号を検出器8から出力する。これにより接地スイッチ3を「閉」状態とし、内部アークへの電流を遮断する。この操作により内部アークは抑制され、
図5Aのフローを終了する。
この時、接続部50の接続用遮断器41と受電側回路34の受電側遮断器22の両方又はいずれか一方を「開」とし、フィーダ盤9a〜9cの負荷回路15への電力供給を遮断することも、内部アークの抑制には有効である。
【0035】
一般に、スイッチギヤの遮断器では、電力供給を遮断する開極指令から実際に遮断するまでの遮断時間を商用周波数の3周期以内とすることが求められる。しかし、実際には短絡等の事故発生時から開極指令を発生させるまでに数秒を要する場合もある。
これは保護協調を図るもので、事故発生箇所を特定しない場合、電力供給を制限する範囲を最小にするため、システムの下位から順に開極する必要があり、システムの上位の遮断器では開極指令を発するまでに長時間を要する。
【0036】
一方、本実施の形態においては、事故発生箇所を特定することができるため、保護協調のための時間を要しない。また、接続部50の接続用遮断器41と受電側回路34の受電側遮断器22の両方又はいずれか一方を「開」として電力供給を遮断する方法は、接地により内部アークの消弧を行う方法と比較し、消弧までに長時間を要するが、既存の接続用遮断器41及び受電側遮断器22をそのまま用いることができ、コスト削減の効果が高い。
【0037】
ステップS202において、しきい値Ith1を超える電流値の低下が検出されない場合、
図5Bに示したステップS203において次の判断を実施することができる。
ステップS203においては、第二のスイッチギヤ30の負荷回路35と接続回路43へ流れた電流が、地絡及び相間短絡により内部アークを生じていないかを確認する。
【0038】
図5BのステップS203では、第二のスイッチギヤ30の受電側電流センサ24の電流値Iu2から、接続部50の接続回路43を経て第一のスイッチギヤ10に流れた電流値Im及び第二のスイッチギヤ30に配置されたフィーダ側電流センサ26a〜26cの電流値の和ΣId2を減じた差を検出器28で求める。しきい値Ith2を超えたか否かを検出器28で演算し、差の有無を判断している。
【0039】
しきい値Ith2を超えた場合、ステップS205において、第二のスイッチギヤ30に含まれる接地スイッチ23へ、接地スイッチ23を「閉」としてする信号を検出器28から出力し、電流を遮断する。これにより内部アークを抑制され、フローを終了する。
しきい値Ith2を超えない場合、内部アークは発生していないと判断され、そのままフローを終了する。
【0040】
本実施の形態においては、受電側電流センサ24と接続用電流センサ42及びフィーダ側電流センサ6a〜6c、26a〜26cとの間の電流値を検出器8、28によって演算することで、接地スイッチ3、23を「閉」状態とする。そのため、従来の光学的評価によりアークを検知する場合のように誤動作を生じることがない。また、高速に「閉」状態とすることができ、内部アークによる装置の破損を少なくすることができる。
【0041】
なお、本実施の形態において、2つの検出器8、28でのフローをそれぞれ
図5A及び
図5Bに記載した。これらは異なったフローではなく、同じフローということができる。
つまり、
図5Bのフローを第一のスイッチギヤ10の検出器8に適用する場合、添え字は第一のスイッチギヤを表す「1」となり、
図5BのステップS201はId1<Imaxとなるため
図5Aの記載と同一となる。
また、ステップS203は、Iu1−Im−ΣId1>Ith1となる。第一のスイッチギヤ10の受電側回路14には電力は供給されないので、受電側電流センサ4の電流値Iu1は零となり、Imは逆符号となるので、Im−ΣId1>Ith1となり、
図5AのステップS202と同じになる。
以上より、
図5Bのフローは、2つの検出器8、28で共通して用いることができる。
【0042】
本実施の形態2では、以上のように、まず
図5Aに示したステップS202において、しきい値Ith1を超える電流値の低下の有無を判断し、続いて
図5Bに示したステップS203において、しきい値Ith2を超える電流値の低下の有無を判断した。
【0043】
これに対し、
図5Aに示したステップS202と
図5Bに示したステップS203とは、独立した処理として取り扱うこともできる。
つまり、
図5Aに示したステップS202での判断を省略し、
図5BのステップS203の判断のみを行うことでも内部アークの発生を検知することができる。
【0044】
ステップS202を省略し、ステップS203の判断のみを実施する、内部アークの検知方法では、第一のスイッチギヤ10と第二のスイッチギヤ30に配置された2つの検出器8、28を協調させる必要はなく、2つの検出器8、28は並列に判断し、接地スイッチ3、23を制御する。そのため、内部アークの発生を高速に検知し、接地スイッチ3、23を短時間で動作させて内部アークを抑制することができる。
【0045】
なお、
図5BのステップS203はIu2−Im−ΣId2>Ith2と示したが、これはIu2は第二のスイッチギヤ30の上位から下位に流れる電流を正、Imは第二のスイッチギヤ30から第一のスイッチギヤ10に流れる電流を正、Id2は第二のスイッチギヤ30の上位から下位に流れる電流を正、とした極性で処理する場合である。
一方、Iu2は第二のスイッチギヤ30の上位から下位に流れる電流を正、Imは第二のスイッチギヤ30から第一のスイッチギヤ10に流れる電流を負、Id2は第二のスイッチギヤ30の上位から下位に流れる電流を負、となるよう極性を変更すると、ステップS203はIu2+Im+ΣId2とすることもできる。すなわち、センサの極性を変更することで、加算のみで同じ処理を行う事ができ、アナログ回路で実施した場合、回路構成を簡素化することができる。
また、センサの極性を事前に設定しておけばよいので、第一、第二のスイッチギヤ10、30でも同じ処理で判定することが可能である。
【0046】
また、本願の実施の形態1及び2において、
図3に示したステップS101とステップS102、
図5Aに示したステップS201とステップS202、及び
図5Bに示したステップS201とステップS203は、それぞれ順序を入れ替えて実施しても同様の結果を得ることができる。
【0047】
<検出器の構成>
次に、上記
図3、
図5A、
図5Bのフローを実行する検出器8、28の構成の一例を説明する。
図7に示すように、検出器8、28を構成するハードウェア51は、プロセッサ52と記憶装置53から構成されていてもよい。記憶装置は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ52は、記憶装置53から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ52にプログラムが入力される。また、プロセッサ52は、演算結果等のデータを記憶装置53の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0048】
しかし、検出器8、28を、プロセッサ52および記憶装置に基づいて構成すると、プロセッサ52のクロック周波数およびその分周以上の動作をさせることができず、電流センサの数の増加などによる演算数の増加により、処理時間がかかり、接地スイッチ3、23を「閉」状態とするための信号の出力が遅れ、スイッチギヤが損傷してしまう可能性もある。このような問題を解決する回路構成を以下に詳述する。
【0049】
図8は検出器8の機能ブロック図である。本実施の形態では、検出器8内に、U相、V相、W相のそれぞれの検出器が構成されている。ここでは、U相の検出器を例に説明するが、V相、W相の検出器も同様な構成である。さらに、検出器28も同じ構成としてもよい。
【0050】
入力回路81は、スイッチギヤ10の各電流センサ4、6a〜6cからの入力信号に対し、電流電圧変換、校正、飽和検出を行う。
【0051】
CT入力回路82は、各電流センサ4、6a〜6cが変流器(CT)の場合に、電流センサの2次側電流を電圧信号に変換する回路である。
校正回路83は、複数の電流センサの校正値(例えばCTの場合、1次と2次の巻数比)が揃っていない場合に、CT入力回路82から出力された電圧信号を増幅あるいは減衰し、スイッチギヤ10内を流れる電流と電圧信号の関係を揃える回路である。
【0052】
加算回路85は、複数の校正回路83から出力された複数の電圧信号を合計する。複数の電圧信号は、スイッチギヤ10内の受電側電流センサ4、フィーダ側電流センサ6a〜6c、または、接続用電流センサ42からの信号に分類される。
図5Bのフローチャートの説明時に言及した通り、受電側電流センサ4に対し、フィーダ側電流センサ6a〜6cの極性が逆になるように接続すれば、加算回路85は差動回路としても動作できる。すなわち、入力極性を適切に設定することで、加算回路85は、受電側電流センサ4、接続用電流センサ42、およびフィーダ側電流センサ6a〜6cの差分電流に対応した電圧信号を出力することができる。これにより、
図3のステップS102、
図5AのステップS202、
図5BのステップS203の計算を加算回路85のみで行うことが可能となり、回路構成を簡素化することができる。極性設定は、各電流センサのCT入力回路82への入力極性を変更してもよいし、入力回路81内で反転回路を設け、極性を反転してもよい。
【0053】
判定回路86は、加算回路85からの出力値が予め定められた基準値(
図3のIth、
図5A、
図5BのIth1、Ith2)を超えた場合に、内部アーク発生と判定し、信号を出力する。なお、スイッチギヤ10の外部での短絡によって、各電流センサの出力が飽和すると、加算回路85に差分電流が発生し、判定回路86が内部アーク発生と誤検知する恐れがある。これを防止するために、入力回路81内に飽和検出回路84を配置している。飽和検出回路84は、各電流センサ4、6a〜6cの出力が飽和レベル(Imax)以上であることを検知した場合に、それぞれ信号を出力する。
【0054】
飽和検出集約回路87は、飽和検出回路84の全ての出力が、飽和レベルでない場合に信号を出力する。
【0055】
AND回路88は、判定回路86の出力と飽和検出集約回路87の出力との論理積を出力する。すなわち、電流センサの出力に飽和が検出されず、判定回路86に信号出力がある場合にのみ、信号を出力する。
【0056】
出力回路89は、各相の検出器の信号出力を集約し、いずれかの相で内部アークが発生した場合に信号を出力する。この信号出力に応じて、すべての相の接地スイッチ3を投入することで内部アークを消滅させ、その後、各相の受電側遮断器を動作させ、電流を遮断する。
【0057】
なお、電流センサがデジタル式のものであっても、入力回路にD/Aコンバータを追加することで同様の回路構成で使用可能である。
【0058】
図9は、
図8で説明した各回路の構成概略図である。
CT入力回路82は、計測用電流センサ90の2次側電流を負荷抵抗Rに接続し、負荷抵抗R両端の電位差Viを校正回路に入力する。負荷抵抗Rの一端は接地する。
【0059】
校正回路83は、トランジスタなどで構成されるアナログ増幅回路であり、増幅比を決定する校正値調整用抵抗91を可変にし、使用前に受電側電流センサ4の校正値に応じて調整する。可変抵抗のような連続的に抵抗値を変更可能な抵抗素子、または、
図9に示すような複数の校正値調整用抵抗91を切替えることで離散的に抵抗値を設定可能な回路を備えても良い。後者の場合に抵抗値の切替えが瞬時に行うことができ、連続的な可変抵抗に比べて振動などによって校正値が変化しにくい。
ただし、離散的に設定を行うので正常時でも差分電流が発生しやすいが、内部アーク発生時の差分電流値に対して十分に小さくすることで適用可能である。さらに、判定回路86の基準値を適宜選ぶことにより、正常時の差分電流では、判定回路86が作動しないようにすることも可能である。なお、
図9に示した複数の抵抗を切替える場合、単純に1つの抵抗を選択して接続する方法でもよいが、複数の抵抗を並列または直列に接続することで、離散的な抵抗値を作ってもよい。
【0060】
飽和検出回路84は、トランジスタなどで構成されるアナログ比較回路であり、予め設定したCTの出力が飽和する電流に対応した参照電圧値Vref1を参照し、±Vref1の範囲外の信号が入力された場合に信号を出力する。CTの仕様に合わせて、Vref1は複数種類設けても良い。
校正回路83の前で回路を分岐させて飽和検出回路84と接続させている。この理由としては、CTの2次側電流は1次側電流によらずスイッチギヤ10内で統一されていることが多い。そのため、校正回路83の前の信号で判断する方が参照電圧値の種類を減らすことができる。CTの2次側電流は基本的に統一されることが多いが、まれに複数の2次側電流が混在する場合があるため、この場合は、参照電圧値Vref1を複数用意してもよい。
【0061】
電流センサの増設を考慮して、入力回路81は、CT入力回路82、校正回路83および飽和検出回路84を、例えば一つのパッケージにモジュール化して構成してもよい。このような構成より、電流センサの数の増減に伴い、CT入力回路82および校正回路83などの個々の回路を接続する代わりに入力回路81の数を変更すれば足り、回路構成が複雑とならず、拡張性に優れた検出器を構成することができる。
【0062】
加算回路85は、トランジスタなどで構成されるアナログの加算増幅回路で構成しているが、前述した通り、母線92の受電側電流センサ4からの入力極性を逆にすると、逆極性で加算されるので、差動増幅としての動作も可能である。増幅率は増幅率調整用抵抗93で調整を行う。また、
図10に示すように、増幅率調整用抵抗93を、入力回路81内に構成することで、加算回路85の入力端子を1つに集約し、加算回路85が電流センサの数に依存しないように構成してもよい。
【0063】
また、
図11のように、加算回路85に校正回路の機能を持たせることもできる。この場合、抵抗94は、校正値調整用抵抗91と増幅率調整用抵抗93の両方に応じて決定することとなるが、加算回路85の増幅率の調整よりも電流センサの校正値を重視することにより、差動電流が生じてしまうことがある。この場合は、判定回路86の基準値を適宜選ぶことにより、正常時の差分電流では、判定回路86が作動しないようにすることも可能である。このように、増幅率調整用抵抗93と校正値調整用抵抗91をまとめた抵抗94を備えることにより、調整数と回路数を減らすことができるため、安価な検出器を提供することができる。また、抵抗94を、
図9で示した校正値調整用抵抗91のように、離散的に複数配置してもよく、さらにそれぞれの抵抗を可変にすることで、より精度よく調整を行うことが可能となる。
【0064】
判定回路86は、トランジスタなどで構成されるアナログの比較回路であり、内部アーク検出と判断する差分電流に応じた参照電圧値Vref2を予め設定しておく。参照電圧値Vref2を参照することで、±Vref2の範囲外の信号を入力した場合に、信号を出力する。
【0065】
飽和検出集約回路87は、例えば否定論理和回路(NOR回路)で構成する。また、出力回路89は、論理和回路(OR回路)で構成する。出力回路89の出力は、内部アーク発生を受けて動作する外部装置の入力インターフェースに合わせて、増幅回路に接続してもよい。
【0066】
以上説明したように、入力回路81、加算回路85、判定回路86はアナログ回路で構成する。また、飽和検出集約回路87、AND回路88、出力回路89の論理回路もトランジスタで構成された簡単な回路構成である。これらアナログ回路と論理回路を接続することで受電側電流センサ4で検出した電流変動を高速に判定し、出力回路89の出力に変換することが可能となる。さらに、A/D変換器、プロセッサ、記憶装置などが必要なデジタル回路と比較し、コストの低減が可能である。また、複数の機能を持つアナログ回路を1つにパッケージしてモジュール化することにより、回路構成が複雑とならず、拡張性に優れた構成とすることができる。
【0067】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ又は複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、又は様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
受電側遮断器及び受電側電流センサ(4)及び接地スイッチ(2)からなる受電側回路(14)を有し、外部から電力供給を受ける受電盤(1)、フィーダ側遮断器(5a)及びフィーダ側電流センサ(6a)からなり負荷を接続する負荷回路(15)を有し、受電盤(1)から電力供給を受けるフィーダ盤(9a)、複数のフィーダ側電流センサ(6a〜6c)の検出値の和を受電側電流センサ(4)の検出値から減じた差が、事前に定めたしきい値を超えた場合、内部アークの発生と判断する検出器(8)、を備えたスイッチギヤにおいて、検出器(8)は、検出電流値を電圧信号に変換するアナログ入力回路(81)、変換された電圧信号から差を算出するアナログ算出回路(85)、差がしきい値を超えた場合、論理回路(88)に第1の信号を出力するアナログ判定回路(86)で構成されている。