(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983373
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20211206BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20211206BHJP
【FI】
G02B5/02 C
B32B7/023
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-172942(P2020-172942)
(22)【出願日】2020年10月14日
(62)【分割の表示】特願2019-529509(P2019-529509)の分割
【原出願日】2017年11月23日
(65)【公開番号】特開2021-36321(P2021-36321A)
(43)【公開日】2021年3月4日
【審査請求日】2020年11月4日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0162726
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0047702
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519191400
【氏名又は名称】キム,ヨン ス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ス
【審査官】
酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−114852(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0042072(KR,A)
【文献】
特開2015−189164(JP,A)
【文献】
特開2014−224920(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/057850(WO,A1)
【文献】
特開2014−059524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
B32B 7/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛散防止フィルム及び前記飛散防止フィルムと貼り合わせられる貼り合わせシートを備え、
前記貼り合わせシートは、透明基板及び貼着層を備え、
前記飛散防止フィルムの端縁及び中心部の表面には、うねりにより前記表面に粗度を与えて乱反射を誘導して、前記飛散防止フィルムを半透明にする微細凹凸が位置し、
前記透明基板の端縁の表面または前記端縁と中心部の表面には、うねりにより前記表面に粗度を与えて乱反射を誘導して、前記透明基板を半透明にする微細凹凸が位置し、
前記貼着層が前記飛散防止フィルムの中心部の前記微細凹凸の間の空間に食い込んで前記乱反射を除去して、前記半透明の飛散防止フィルムが透明な飛散防止フィルムに切り換えられ、画面の明示性が維持され、
前記端縁に位置する微細凹凸の上には、前記微細凹凸の間の空間に食い込んで形成される印刷層が配備され、
前記印刷層は、前記飛散防止フィルムの端縁の凹凸境界面に配置される背景印刷層と前記透明基板の端縁の凹凸境界面に配置される色付き印刷層を含むことを特徴とする、携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材。
【請求項2】
前記微細凹凸は、前記飛散防止フィルムに直接的に実現されるか、あるいは、前記飛散防止フィルムの上に位置する別途の層により実現されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材。
【請求項3】
前記微細凹凸は、ライン状、格子状、島状またはそれらの組み合わせのうちから選ばれたいずれか一つに配列されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材。
【請求項4】
前記微細凹凸は、円筒、半球、多角錐、多角錐台またはそれらの組み合わせのうちから選ばれたいずれか一つの形状を呈することを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材。
【請求項5】
前記微細凹凸は、ビードまたはビードとバインダーのうちのどちらか一方を有してなることを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細凹凸を有する透明部材に係り、さらに詳しくは、微細凹凸を用いて、携帯機器の保護シート及びウィンドウに適用する透明部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置は、液晶表示素子(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、電気泳動ディスプレイ(EPD)などのディスプレイが画面を形成する。かかるディスプレイ装置は、各種の映像画面装置に適用される。一方、前記装置は、操作のしやすさを提供するために、タッチスクリーンを採用する。タッチスクリーンの前面にはウィンドウが配置され、外部の衝撃や接触によるダメージからディスプレイ装置を保護する。なお、保護シートは、携帯機器のウィンドウに貼着され、ウィンドウを保護する役割を果たす。最近では、フレキシブルディスプレイの登場に伴い、それに見合うウィンドウ及び保護シートが求められている。このようなウィンドウ及び保護シートを形成する印刷層の他には、透明な透明部材である。
【0003】
図1は、従来の印刷層付き透明部材を示す図である。
図1によれば、前記透明部材は、粘着層100、飛散防止フィルム102、接着層104、印刷層106付き領域、透明基板108及び機能層110がこの順に積層されてなる。場合によって、接着層104は、透明基板108及び印刷層106の間に配置されるなど、様々な層構造を有する。印刷層106は、ベゼル領域に存在し、同図に示すように、透明基板108の下面(a)に存在してもよく、または接着層104及び飛散防止フィルム102の間に位置してもよい(b)。図示はしないが、印刷層106は、透明基板108の下面及び飛散防止フィルム102の上面に同時に配置されてもよい。このような印刷層106に関して、特許文献1などに詳しく説明されている。
【0004】
印刷層106は、通常、数μmの厚さを有し、その厚さは、粘着層100に段差gを引き起こす。段差gが存在すれば、前記透明部材をウィンドウまたはタッチスクリーンなどの被貼着体に貼着する際、段差g付き部分は完全に貼着されず、気泡などが生じる。粘着層100の接着力を高めて強制的に被貼着体に貼着する方法も考えられるが、前記透明部材の脱着を容易にするために、粘着層100の接着力を必要以上に大きくすることはできない。なお、印刷層106の厚さを薄くし過ぎると、特に、選択的に適用される白色印刷層の隠ぺい度が低下するため、印刷層106は適度な厚さを保たなければならない。
【0005】
段差gを克服するために、多種多様な層構造が試みられている。段差gを減らすためには、粘着層100と印刷層106との間の距離を遠ざけてもよく、あるいは、印刷層106の厚さを薄くしてもよい。しかしながら、粘着層100と印刷層106との間の距離が遠ければ、透明部材の厚さが厚くなる。また、印刷層106の厚さを薄くすれば、印刷層106の隠ぺい度が低くなって、目視で内部構造物が透けて見えてしまうという現象が生じる。一方、印刷層106の厚さは、隠ぺい度を満たす範囲内において薄ければよい。というのは、印刷層106が厚ければ、印刷層106の終端における屈折率の差によりヘイズ(haze)が生じるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2015−0038709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、携帯機器に適用され、厚さが薄くなり、隠ぺい度を向上させるだけではなく、印刷層により引き起こされる段差を減らし、ヘイズを減らす微細凹凸を有する透明部材を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための、携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材の一つの例は、透明基板及び前記透明基板と貼り合わせられる貼り合わせシートを備え、前記透明基板の端縁及び中心部の表面には、うねりにより前記表面に粗度を与えて前記透明基板を半透明にする微細凹凸が位置する。このとき、前記貼り合わせシートは、飛散防止フィルム及び貼着層を備え、前記半透明の透明基板は、前記貼着層が前記微細凹凸の間の空間に食い込んで、前記半透明の透明基板が透明な透明基板に切り換えられる。
【0009】
本発明の一つの例において、前記透明基板は、ガラス基板またはプラスチック基板またはそれらが積層された基板のうちから選ばれたいずれか一種からなってもよい。前記貼着層は、前記貼り合わせシートを前記透明基板に脱着または接合する。前記微細凹凸は、前記透明基板に直接的に実現されてもよく、あるいは、前記ウィンドウの上に位置する別途の層により実現されてもよい。前記微細凹凸は、ライン状、格子状、島状またはそれらの組み合わせのうちから選ばれたいずれか一つに配列されてもよい。前記微細凹凸は、円筒、半球、多角錐、多角錐台またはそれらの組み合わせのうちから選ばれたいずれか一つの形状を呈してもよい。前記微細凹凸は、ビードまたはビードとバインダーのうちのどちらか一方を有してなってもよい。前記端縁の凹凸境界面には、透明印刷層が配備されてもよい。
【0010】
本発明の課題を解決するための、携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材の他の例は、飛散防止フィルム及び前記飛散防止フィルムと貼り合わせられる貼り合わせシートを備え、前記飛散防止フィルムの端縁及び中心部の表面には、うねりにより前記表面に粗度を与えて前記飛散防止フィルムを半透明にする微細凹凸が位置する。このとき、前記貼り合わせシートは、透明基板及び貼着層を備え、前記貼着層が前記微細凹凸の間の空間に食い込んで、前記半透明の飛散防止フィルムが透明な飛散防止フィルムに切り換えられ、前記端縁に位置する微細凹凸の上には、印刷層が配備される。
【0011】
本発明の他の例において、前記微細凹凸は、前記飛散防止フィルムに直接的に実現されてもよく、あるいは、前記飛散防止フィルムの上に位置する別途の層により実現されてもよい。前記印刷層は、前記飛散防止フィルムの端縁の凹凸境界面に配置される背景印刷層であってもよい。前記印刷層は、前記透明基板の端縁の凹凸境界面に配置される色付き印刷層であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯機器に適用される微細凹凸を有する透明部材によれば、微細凹凸を活用することにより、厚さが薄くなり、隠ぺい度を向上させることができる。なお、印刷層により引き起こされる段差を減らし、ヘイズを減らすことができ、印刷適性及び貼着力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明による第1の透明部材を説明するための分解断面図である。
【
図3】
図2の微細凹凸のケースを提示した断面図である。
【
図4】
図2の微細凹凸の配列に対するケースを提示した部分斜視図である。
【
図5】本発明による第2の透明部材を説明するための分解断面図である。
【
図6】本発明による第3の透明部材及び従来の透明部材を比較するための断面図である。
【
図7】本発明による第4の透明部材を示す断面図である。
【
図8】本発明による第5の透明部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。後述する実施形態は、色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下において詳述する実施形態に限定されることはない。本発明の実施形態は、当分野において通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。また、図中、膜(層、パターン)及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されていてもよい。なお、膜(層、パターン)が他の膜(層、パターン)の「上」、「上部」、「下部」、「一方の面」にあると言及される場合、それは、他の膜(層、パターン)に直接的に形成されてもよく、または、それらの間に他の膜(層、パターン)が介在されてもよい。
【0015】
本発明の実施形態は、微細凹凸を活用することにより、厚さが薄くなり、隠ぺい度を向上させるだけではなく、印刷層により引き起こされる段差を減らし、ヘイズを減らす透明部材を提示する。このために、微細凹凸により透明部材及び印刷層の厚さが薄くなる過程についてそれぞれ区別して説明する。本発明の実施形態に適用される携帯機器とは、モバイル機器、情報処理端末及びテレビなどを網羅するあらゆる映像処理機器のことをいう。前記モバイル機器としては、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどが挙げられ、前記情報処理端末としては、現金自動預け払い機(ATM)、キオスクなどが挙げられる。
【0016】
本発明の実施形態において提示する透明部材は、携帯機器においてそれぞれウィンドウまたはタッチスクリーンを保護する保護シートまたはウィンドウを指し示す。前記携帯機器は、平らであってもよく、曲面を有していてもよく、または柔軟(flexible)であってもよい。特に、曲面を有する携帯機器であって、端縁、中心部及びそれらの両方が曲面を有する機器のことをいう。端縁及び中心部が両方とも曲面を有する携帯機器としては、フレキシブル・ディスプレイが挙げられる。また、本発明の実施形態の携帯機器は、端縁と中心部とに仕切られ、一般的に、端縁には、印刷層付きベゼル領域がある。場合によって、画面は、前記中心部から前記端縁に向かって拡張する。以下では、携帯機器の端縁に対応する透明部材の領域を端縁aとし、中心部に対応する領域を中心部bとする。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による第1の透明部材100を説明するための分解断面図である。但し、厳密な意味の断面図を表わしたわけではなく、説明のしやすさのために、断面図の上に示されていない構成要素もあり得る。
【0018】
図2によれば、第1の透明部材100は、端縁a及び中心部bに仕切られる。携帯機器の画面は、中心部bから端縁aに向かって拡張されているかのように見られることもある。一般に、端縁aに印刷層が形成される。第1の透明部材100は、微細凹凸20を有する透明基板30及びそれに貼り合わせられる第1の貼り合わせシート10を備える。第1の貼り合わせシート10は、貼着層11、飛散防止フィルム12及び機能層13を備えてなる。貼着層11には、透明な粘着剤または接着剤が塗布されており、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂またはそれらの複合樹脂層のうちのいずれか一種であってもよい。貼着層11は、粘着剤を用いて第1の貼り合わせシート10を透明基板30から脱着してもよく、あるいは、接着剤を用いて永久的に接合してもよい。
【0019】
飛散防止フィルム12は、透明なプラスチック材質であれば、制限なしに利用可能である。例えば、前記プラスチック材質は、熱可塑性樹脂からなり、好ましくは、ポリエチレンテレフタラート(PET:PolyEthylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタラート(PEN:PolyEthylene Naphthalate)、ポリエーテルサルフォン(PES:PolyEther Sulfone)、ポリイミド(PI:PolyImide)、ポリアリラート(PAR:PolyARylate)、ポリカーボナート(PC:PolyCarbonate)、ポリメチルメタクリラート(PMMA:PolyMethyl MethAcrylate)、ポリウレタン(PU:PolyUrethane)、トリアセチルセルロース(TAC:Tri−Acrtyl−Cellulose)またはシクロオレフィンコポリマー(COC:CycloOlefin Copolymer)のうちから選ばれた少なくともいずれか一種であってもよい。
【0020】
機能層13には、指紋防止、反射防止、青色光(blue light)遮断、電磁波遮断、プライバシー(privacy)、抗菌性などの特性を与えてもよい。例えば、フッ素系コーティング液をウェットコーティングするか、あるいは、真空蒸着によりドライコーティングするなどして指紋防止機能を与える指紋防止コーティング層が形成されてもよい。機能層13は、指紋防止処理または指紋防止処理と抗菌処理の施されたガラスであってもよく、または、高硬度を有するとともに、指紋防止処理または指紋防止処理と抗菌処理の施されたプラスチック基板であってもよい。このように、前記コーティングは、第1の貼り合わせシート10が様々な機能を発揮できるようにする。
【0021】
透明基板30は、透明な材質であれば、制限なしに利用可能である。例えば、ガラス基板またはプラスチック基板が利用可能である。具体的に、ガラス基板は、強化ガラスであってもよく、プラスチック基板は、熱可塑性樹脂からなり、好ましくは、ポリエチレンテレフタラート(PET:PolyEthylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタラート(PEN:PolyEthylene Naphthalate)、ポリエーテルサルフォン(PES:PolyEther Sulfone)、ポリイミド(PI:PolyImide)、ポリアリラート(PAR:PolyARylate)、ポリカーボナート(PC:PolyCarbonate)、ポリメチルメタクリラート(PMMA:PolyMethyl MethAcrylate)、ポリウレタン(PU:PolyUrethane)、トリアセチルセルロース(TAC:Tri−Acrtyl−Cellulose)またはシクロオレフィンコポリマー(COC:CycloOlefin Copolymer)のうちから選ばれた少なくともいずれか一種であってもよい。透明基板30は、強化ガラスとプラスチック基板とが多層に形成された積層構造であってもよい。
【0022】
選択的に、透明シート30には、厚さが約10μm〜150μmであるスリム(slim)強化ガラスを採用してもよい。前記スリム強化ガラスは、破片を伴わないひび割れが起こる破損メカニズムを有する。飛散する破片がなく、尖ったエッジが生じないので、ユーザーに刺傷と傷をつけたり、人体の内部に吸入される破片がない。前記スリム強化ガラスは、撓みが自由に行われるので、曲面携帯機器に適用すればさらに効率的である。
【0023】
微細凹凸20は、透明基板30の表面に形成され、平らではなく、うねりを有して、前記表面に粗度を与えるものを総称する。前記うねりは、角があるか、曲げ率を有するか、またはこれらが組み合わせられてなる。例えば、微細凹凸20は、一定の幅を有する帯状であるか、円筒、半球、三角錐などの多角錐、三角錐台などの多角錐台及び前記形状が組み合わせられたものであってもよい。換言すれば、微細凹凸20は、本発明の範囲内において種々の形状が採用可能である。微細凹凸20は、
図3及び
図4においてケースを挙げて詳しく説明する。微細凹凸20は、その形状に見合う凹凸境界面21を有する。
【0024】
微細凹凸20は、様々な方法により形成される。例えば、シリカなど半透明のビードを紫外線(UV)または熱硬化樹脂などと混合して被脱着層にコーティングし、かつ、硬化させて形成してもよい。また、紫外線(UV)または熱硬化樹脂などをコーティングした後、微細凹凸20を形成するための形状に刻まれたシートまたはロール金型で押着し、かつ、硬化させて形成してもよい。紫外線(UV)または熱硬化樹脂などをコーティングしたフィルムまたはシートを被脱着層に転写して形成してもよい。微細凹凸20に見合う形状を有する金型で成形して形成してもよい。
【0025】
また、微細凹凸20は、マスキングを行った後に樹脂などをコーティングするか、あるいは、露光またはエッチングなどで微細凹凸20を形成し、マスクを除去するなどして形成してもよい。レーザービームを用いて被脱着層の表面に直接的に形成してもよい。UVまたは熱硬化インキを用いて直接的に被脱着層の表面に印刷して形成してもよい。被脱着層の表面に直接的に物理的な衝撃を加えて、表面に微細凹凸20を形成してもよい。上述した方法により形成された微細凹凸20は、透明基板30に直接的に実現されてもよく、別途の層により実現されてもよい。これが点線にて示されている。
【0026】
本発明の実施形態による微細凹凸20付き透明基板30に第1の貼り合わせシート10を貼着すれば、第1の貼り合わせシート10の貼着層11が微細凹凸20の間の空間に食い込んで、半透明の画面が透明になる。図中、第1の貼り合わせシート10の貼着層11が凹凸境界面21aの間の空間に食い込んで形成された透明な凹凸境界面21aが点線にて示されている。これにより、たとえ微細凹凸20付き透明基板30を用いるとしても、透明な状態における画面の明示性が保たれ続けられる。
【0027】
微細凹凸20は、指紋防止、汚染防止、反射防止などの多種多様な効果を奏する。微細凹凸20があれば、指紋や汚染物質が付く部分を不連続にして、指紋の形成、汚染物質の付着を防止する。具体的に、微細凹凸20の突き出た部分には指紋や汚染物質が付くことがあるが、凹んでいる部分には付着しない。このことから、微細凹凸20は、指紋防止、汚染防止の効果がある。これにより、微細凹凸20を有する透明基板30には、別途の指紋防止機能を設けなくてもよい。
【0028】
一方、凹凸境界面21aは、微細凹凸20なしの場合に比べて、微細な乱反射が誘導される。前記乱反射は、外部光の第1の透明部材100に対応する画面における反射が起こらないように遮断する。画面における反射は、眩しさ現象を引き起こす要因である。本発明の微細凹凸20は、前記眩しさ現象を低減することができる。また、このような乱反射は、ディスプレイから直進する光を微細に乱反射させて、特に、端縁aにおける隠ぺい度を高める。さらに、微細凹凸20には、凹んでいる部分が存在するため、気泡が排出し易い。すなわち、微細凹凸20は、第1の貼り合わせシート10が安定して透明基板30に貼着されるようにする。
【0029】
本発明の実施形態による第1の透明部材100における微細凹凸20は、端縁aにおける第1凹凸20a及び中心部bにおける第2の凹凸20bに仕切られる。携帯機器の画面は、中心部b、または中心部bと端縁aとに跨って存在するため、第2の凹凸20bは、携帯機器の画面に対応するといえる。第2の凹凸20bは、前述したように、眩しさ現象を低減させるなどの効果が得られる。
【0030】
図3は、
図2の透明基板30に存在する微細凹凸20のケースを提示した断面図である。
【0031】
図3によれば、透明基板30には、様々な形状の微細凹凸20が形成される。ここでは、そのいくつかのケースを提示する。ここで、微細凹凸20としては、凹凸境界面が三角形21aと矩形21b、半球状21cのうちから選ばれたいずれか一つの形状に成形されたもの、または、ビード(bead)またはビードとバインダー21dとにより製作されたものを例にとっている。すなわち、微細凹凸20の境界面は、角があるか、曲げ率を有するか、またはこれらが組み合わせられたものであってもよい。透明基板30に微細凹凸20を形成すれば、透明基板30は半透明であるため光の透過率が低くなる。透過率の低くなった微細凹凸20を有する透明基板30は、透過率が低くなって、微細凹凸20無しの透明なウィンドウとは目視で区別がつく。
【0032】
図4は、
図2の透明基板30に存在する微細凹凸20の配列に対するケースを提示した部分斜視図である。
【0033】
図4によれば、微細凹凸20は、ライン状a、21e、格子状b、21f、島状c、21gなどに配列可能である。このとき、微細凹凸20の配列は、境界面が三角形21aである場合を例にとったが、矩形21b、円形21cのうちから選ばれたいずれか一つの形状に成形されたもの、あるいは、ビード(bead)またはビードとバインダー21dとにより製作されたものも採用可能である。すなわち、微細凹凸20の境界面は、角があるか、曲げ率を有するか、またはこれらが組み合わせられたものである。なお、微細凹凸20は、一定の間隔をもって規則的に配列されてもよいが、一定の間隔なしに不規則的に配列されてもよい。
【0034】
図5は、本発明の実施形態による第2の透明部材200を説明するための分解断面図である。このとき、第2の透明部材200は、透明印刷層40が追加されたものを除いては、第1の透明部材100と同様である。これにより、同じ参照符号についての詳細な説明は省略する。ここで、凹凸境界面21としては、
図3の凹凸境界面21aをケースとして挙げている。
【0035】
図5によれば、透明印刷層40は、端縁aの凹凸境界面21aに位置する。透明印刷層40は、透明な印刷層である。透明印刷層40は、金属酸化物であるスズ酸化インジウム(ITO)、アンチモン酸化スズ(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)などまたは銅(Cu)、伝導性高分子またはシルバーナノワイヤーなど導電性を与える物質からなってもよい。透明印刷層40は、凹凸境界面21aの微細凹凸20aの間に食い込む。これにより、透明印刷層40は、同じ物性を基準として、微細凹凸20a無しの場合よりも薄くできる。例えば、微細凹凸無しの従来の印刷層の厚さが数μmであるとしたとき、微細凹凸20a付きの第2の透明部材200の透明印刷層40の厚さは、前記数μmよりも小さくなる。これは、微細凹凸20aと透明印刷層40との接触面積が広くなって、同じ物性を実現することができるからである。
【0036】
透明印刷層40の厚さが小さくなれば、微細凹凸20aの乱反射は、透明印刷層40の端部との打ち消し干渉が起きて、ヘイズ(haze)が消える。なお、前述したアンカー効果により透明印刷層40の貼着力は従来に比べて増加する。さらに、微細凹凸20aの表面積が増加するので、透明印刷層40の印刷適性が向上して、印刷が容易に行われる。
【0037】
図6は、本発明の実施形態による第3の透明部材300及び従来の透明部材を比較するための断面図である。このとき、第3の透明部材300は、飛散防止フィルム12及び透明基板30の位置が互いに変わったことを除いて、第2の透明部材200と同様である。これにより、同じ参照符号についての詳細な説明は省略する。
【0038】
図6によれば、第3の透明部材300における微細凹凸20は、飛散防止フィルム12の一方の側に位置する。端縁aの微細凹凸20aに背景印刷層41があり、貼着層11に対して背景印刷層41の反対側の透明基板30の下面には色付き印刷層42が存在する。背景印刷層41には主として白色が使用され、色付き印刷層42は、単色または色の付いた印刷層であってもよい。透明基板30を有する貼り合わせシートは、第1及び第2の透明部材100、200の第1の貼り合わせシート10と区別するために、第2の貼り合わせシート50と称する。飛散防止フィルム12に塗布された粘着層60は、被貼着体ウィンドウまたはタッチスクリーンに対する脱着を容易にする。微細凹凸20は、
図2に示すように、飛散防止フィルム12に直接的に実現されてもよく、別途の層により実現されてもよい。これは、点線にて示されている。
【0039】
粘着層60は、0.1gf/25mm〜500gf/25mmの接着力を有する。粘着層60は、本発明の範囲内において様々な物質からなってもよく、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂またはそれらの複合樹脂のうちのいずれか一種であってもよい。粘着層60は、流体入りポケット状の脱着流動層であってもよく、一部が硬化してパターンをなす脱着パターンであってもよい。前記脱着流動層は、ポケット状に透明シートに接着される接着面、ディスプレイ部品に貼着される粘着面及び接着面と粘着面との間に位置してサイドウォールを形成する側面を備え、前記ポケットは、流動性の流体が詰め込まれる空間を提供する。前記脱着パターンは、接着力が約0.1gf/25mm〜500gf/25mmである粘着層及び前記粘着層が硬化した硬化層がパターンをなす。粘着層60は、自己接着力を有する。前記自己接着力は、粘着層60を被貼着体に載せるだけで、粘着層60が気泡なしに自らくっつく性質である。
【0040】
以下では、本発明の第3の透明部材300を従来の透明部材と比較する。第3の透明部材300の飛散防止フィルム12は従来の飛散防止フィルム220と対応し、粘着層60は従来の粘着層221と対応し、背景印刷層41は従来の背景印刷層210と対応し、色付き印刷層42は従来の色付き印刷層211と対応し、そして、第2の貼り合わせシート50は従来の第2の貼り合わせシート200と対応する。これにより、第2の貼り合わせシート50の貼着層11は従来の貼着層201と同様であり、透明基板30は、従来の透明基板202及び機能層13は従来の機能層203と同様である。このとき、貼着層11、201は、第1及び第2の透明部材100、200とは異なり、第2の貼り合わせシート50、200を飛散防止フィルム12に接合することが好ましい。
【0041】
第3の透明部材300を従来の透明部材と比較すれば、従来の背景印刷層210の厚さはD0であり、第3の透明部材300の背景印刷層41の厚さはD1である。すなわち、本発明の背景印刷層41は、微細凹凸20aの間に流入して形成されるため、厚さD1は厚さD0よりも小さい。これにより、本発明の背景印刷層41の厚さが薄くなる。また、従来の背景印刷層210による隠ぺい度に比べて、本発明の背景印刷層41の隠ぺい度の方がはるかに大きい。というのは、本発明の微細凹凸20aは乱反射が起こるため、背景印刷層41の隠ぺい度を高めるからである。これにより、本発明の第3の透明部材300は、背景印刷層41の厚さが薄いにも拘わらず、高い隠ぺい度を実現することができる。
【0042】
隠ぺい度が高ければ、背景印刷層41の透明度を高めて背景としての役割を有効に行うことができる。すなわち、第3の透明部材300の背景印刷層41を薄くしたにも拘わらず、高い隠ぺい度にて印刷して色付き印刷層42の背景の役割を有効に行うことができる。一方、従来の背景印刷層210は、通常、数μmの厚さを有し、その厚さは、粘着層221に段差gを引き起こす。段差gが存在すれば、従来の透明部材をウィンドウまたはタッチスクリーンなどの被貼着体に貼着すれば、段差g付き部分には完全に貼着されず、気泡などが生じる。ところが、本発明の第3の透明部材300では、背景印刷層41は段差gが相対的に格段に減る。図中、やや誇張されているとはいえ、段差gがないことが示されている。
【0043】
いうまでもなく、第3の透明部材300の背景印刷層41に対して、微細凹凸20aが寄与する特性は、上述したことがいずれも適用されることは明らかである。例えば、前記特性としては、ヘイズ、貼着力、印刷適性などが挙げられる。これにより、前記物性については具体的に説明しない。なお、第3の透明部材300の背景印刷層41の技術的な思想は、第2の透明部材200の透明印刷層40にもそのまま適用される。
【0044】
図7は、本発明の実施形態による第4の透明部材400を示す断面図である。このとき、第4の透明部材400は、色付き印刷層43の第3の凹凸20cが追加されることを除いては、第3の透明部材300と同様である。これにより、重複する言い回しについての詳しい説明は省略する。
【0045】
図7によれば、第4の透明部材400の色付き印刷層43は、端縁aの第3の凹凸20cに位置する。第3の凹凸20cは、透明基板30に存在する。色付き印刷層43の厚さはD2であり、前記D2は、第3の透明部材300の色付き印刷層42に比べて小さい。前記厚さが小さい理由については、第3の透明部材300を参照されたい。色付き印刷層43の厚さが減ると、第4の透明部材400は、第3の透明部材300に比べて段差gをさらに減らすことができる。
【0046】
図8は、本発明の実施形態による第5の透明部材500を示す断面図である。このとき、第5の透明部材500は、透明基板30の中心部bに第4の凹凸20dが追加されることを除いては、第4の透明部材400と同様である。これにより、重複する言い回しについての詳しい説明は省略する。
【0047】
図8によれば、第5の透明部材500は、透明基板30の中心部bに第4の凹凸20dが追加される。第4の凹凸20dは、微細凹凸20は、上述した指紋防止、汚染防止、反射防止などの様々な効果を奏する。また、凹凸境界面21aは、微細凹凸20無しの場合に比べて、微細な乱反射が誘導される。前記乱反射は、外部光の第5の透明部材500に対応する画面における反射が起こらないように遮断する。画面における反射は、眩しさ現象を引き起こす要因である。本発明の第4の凹凸20dは、前記眩しさ現象を低減させることができる。なお、第4の凹凸20dには、凹んでいる部分が存在するので、気泡を排出し易い。
【0048】
以上、本発明については、好適な実施形態を挙げて詳しく説明したが、本発明は、前記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において当分野において通常の知識を有する者によって種々に変形可能である。例えば、本発明の実施形態においては、貼り合わせシートに重点をおいて説明したが、本発明の概念は、タッチスクリーン、タッチスクリーンカバー層及びディスプレイにも適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10、50 第1及び第2の貼り合わせシート
11 貼着層
12 飛散防止フィルム
13 機能層
20 微細凹凸
20a、20b、20c、20d 第1乃至第4の凹凸
21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g 凹凸境界面
30 透明基板
40 透明印刷層
41 背景印刷層
42、43 色付き印刷層
60 粘着層