(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983379
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】冷水製造システム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20211206BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25D11/00 102G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-3061(P2018-3061)
(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公開番号】特開2019-124369(P2019-124369A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】松永 勝利
(72)【発明者】
【氏名】松矢 久美
(72)【発明者】
【氏名】堀川 伸二
【審査官】
飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−010723(JP,A)
【文献】
特開2014−153003(JP,A)
【文献】
米国特許第04237969(US,A)
【文献】
特開2001−091087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25D 11/00
F24F 5/00
F28F 11/00,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍機の一次冷媒との熱交換により二次冷媒が冷却可能とされ、その二次冷媒を熱交換器に循環させる冷媒循環路と、
冷水タンクと前記熱交換器との間で水を循環させ、前記熱交換器において二次冷媒により循環水を冷却可能な冷水循環路とを備え、
前記冷水タンクから前記熱交換器への冷水送り路には、循環ポンプが設けられており、前記冷媒循環路の二次冷媒の循環停止中でも、前記循環ポンプにより前記冷水循環路に冷水を循環させ、
前記冷媒循環路の循環停止中における前記冷水循環路の循環流量は、前記冷媒循環路の循環中における前記冷水循環路の循環流量よりも小流量とされる
ことを特徴とする冷水製造システム。
【請求項2】
前記冷水タンクから前記熱交換器への冷水送り路には、第一循環ポンプとこれよりも容量の小さい第二循環ポンプとが並列に設けられており、
前記第一循環ポンプが作動中か、前記第一循環ポンプと前記第二循環ポンプとが作動中に、前記冷媒循環路の循環を行い、前記冷媒循環路の循環停止中に、前記第二循環ポンプを作動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の冷水製造システム。
【請求項3】
前記熱交換器から前記冷水タンクへの冷水戻し路には、流路断面積の調整機構が設けられており、
前記冷媒循環路の循環停止中、前記調整機構により、前記冷水戻し路の流路断面積を小さくする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷水製造システム。
【請求項4】
前記二次冷媒は、ブラインとされ、
前記冷媒循環路は、ブラインを貯留するブラインタンクを備え、このブラインタンクと前記熱交換器との間でブラインを循環させる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機の一次冷媒によりブラインのような二次冷媒を冷却し、その二次冷媒により冷水を製造する冷水製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、冷凍機を用いて水を冷却する冷水製造システムが知られている。当該文献の
図3に基づき説明すると、冷水製造システムは、二重管構造の熱交換器(32)を備え、この熱交換器(32)は、冷媒循環路(33)を介して冷凍機(31)と接続される一方、冷水循環路(36,37)を介して冷水タンク(34)と接続されている。熱交換器(32)において、冷凍機(31)の冷媒と冷水タンク(34)の循環水とを熱交換して、冷水タンク(34)内の貯留水を冷却することができる。
【0003】
この種の冷水製造システムでは、熱交換器において冷媒と水とを熱交換するので、熱交換器が万一破損すると、冷水中に冷凍機の冷媒や油が混入するおそれがある。そのため、冷水の用途によっては(たとえば冷水を食品冷却に用いる場合には)、安全性向上のために、冷媒循環路(一次冷媒循環路)と冷水循環路との間に、ブライン循環路(二次冷媒循環路)を介在させることも考えられる。すなわち、冷凍機によりブラインを冷却し、そのブラインにより水を冷却するのである。
【0004】
しかしながら、ブラインを用いる場合でも、ブラインと水との熱交換器が万一破損した場合に備えて、一層の安全対策が望まれる。すなわち、ブラインと水との熱交換器が万一破損しても、冷水中へのブラインの混入を防止できれば好適である。特に、冷却運転の停止中(冷凍機の運転停止中)、ブラインの循環も冷水の循環も双方停止させるのでは、ブライン側も水側も同等圧力となり、熱交換器が万一破損していると、ブラインが水側へ流入するおそれがあるので、その対策が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−166339号公報(段落0002、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、冷凍機の一次冷媒によりブラインのような二次冷媒を冷却し、その二次冷媒により冷水を製造するシステムにおいて、冷水への二次冷媒の混入を確実に防止して、安全性を高めることができる冷水製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、冷凍機の一次冷媒との熱交換により二次冷媒が冷却可能とされ、その二次冷媒を熱交換器に循環させる冷媒循環路と、冷水タンクと前記熱交換器との間で水を循環させ、前記熱交換器において二次冷媒により循環水を冷却可能な冷水循環路とを備え、前記冷水タンクから前記熱交換器への冷水送り路には、循環ポンプが設けられており、前記冷媒循環路の二次冷媒の循環停止中でも、前記循環ポンプにより前記冷水循環路に冷水を循環させ
、前記冷媒循環路の循環停止中における前記冷水循環路の循環流量は、前記冷媒循環路の循環中における前記冷水循環路の循環流量よりも小流量とされることを特徴とする冷水製造システムである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、冷凍機の一次冷媒により二次冷媒を冷却し、その二次冷媒により循環水を冷却して、冷水タンク内の貯留水を冷却することができる。そして、冷媒循環路の二次冷媒の循環停止中でも、循環ポンプにより冷水循環路に冷水を循環させる。循環ポンプは、冷水タンクから熱交換器への冷水送り路に設けられているので、循環ポンプの吐出圧により、熱交換器における水側の圧力を二次冷媒側の圧力よりも高めることができる。これにより、万一熱交換器が破損しても、冷水への二次冷媒の混入を防止して、安全性を高めることができる。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、二次冷媒の循環停止中における冷水の循環流量は、二次冷媒の循環中における冷水の循環流量よりも小流量とされる。そのため、冷却運転の停止中(冷凍機の運転停止中)に冷水の循環ポンプを作動させても、省エネルギを図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記冷水タンクから前記熱交換器への冷水送り路には、第一循環ポンプとこれよりも容量の小さい第二循環ポンプとが並列に設けられており、前記第一循環ポンプが作動中か、前記第一循環ポンプと前記第二循環ポンプとが作動中に、前記冷媒循環路の循環を行い、前記冷媒循環路の循環停止中に、前記第二循環ポンプを作動させることを特徴とする
請求項1に記載の冷水製造システムである。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、比較的小容量の第二循環ポンプを用いることで、簡易な構成で容易に、冷水への二次冷媒の混入を防止して安全性を高めることができると共に、省エネルギを図ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記熱交換器から前記冷水タンクへの冷水戻し路には、流路断面積の調整機構が設けられており、前記冷媒循環路の循環停止中、前記調整機構により、前記冷水戻し路の流路断面積を小さくすることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の冷水製造システムである。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、冷媒循環路の循環停止中、熱交換器から冷水タンクへの冷水戻し路の流路断面積を小さくすることで、熱交換器における水側の圧力を高めることができる。これにより、万一熱交換器が破損しても、冷水への二次冷媒の混入を一層確実に防止して、安全性をさらに高めることができる。
【0015】
さらに、
請求項4に記載の発明は、前記二次冷媒は、ブラインとされ、前記冷媒循環路は、ブラインを貯留するブラインタンクを備え、このブラインタンクと前記熱交換器との間でブラインを循環させることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷水製造システムである。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、二次冷媒としてブラインを用い、ブラインタンクと熱交換器との間でブラインを循環させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、冷凍機の一次冷媒によりブラインのような二次冷媒を冷却し、その二次冷媒により冷水を製造するシステムにおいて、冷水への二次冷媒の混入を確実に防止して、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例の冷水製造システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の冷水製造システム1を示す概略図である。
【0020】
本実施例の冷水製造システム1は、冷凍機2の一次冷媒により二次冷媒を冷却し、その二次冷媒により冷水を製造するシステムである。二次冷媒は、特に問わないが、典型的にはブラインである。以下、二次冷媒はブラインであるとして説明するが、その他の液体の場合も同様である。
【0021】
図1に示すように、本実施例の冷水製造システム1は、一次冷媒を循環させる冷凍機2と、二次冷媒としてのブラインを循環させるブライン循環路3と、水を循環させる冷水循環路4とを備える。
【0022】
ブライン循環路3は、ブラインタンク5と熱交換器6との間でブラインを循環させる。ブラインタンク5は、設定液位までブラインを貯留したタンクであり、本実施例では内部は大気圧下に開放されている。熱交換器6は、ブラインと水とを混ぜることなく熱交換可能に、ブライン側の流路と水側の流路とを備える。熱交換器6は、その構成を特に問わないが、たとえばプレート式熱交換器とされる。
【0023】
詳細は後述するが、熱交換器6において、ブラインにより水を冷却して冷水とする。この冷水を食品冷却に用いる場合(特に食品と直接に接触させる場合)、万一の熱交換器6の破損によるブラインの漏れにも安全なように、食品添加物としても許容されるブライン(たとえばプロピレングリコール)を用いるのが好ましい。
【0024】
ブラインタンク5と熱交換器6とは、ブライン送り路7とブライン戻し路8とにより接続される。ブライン送り路7(またはブライン戻し路8)には、ブラインポンプ9が設けられている。ブラインポンプ9を作動させると、ブラインタンク5内のブラインは、ブライン送り路7を介して熱交換器6へ送られ、ブライン戻し路8を介してブラインタンク5へ戻される。なお、ブラインタンク5は前述したとおり開放型タンクであるため、ブラインポンプ9の停止中には、熱交換器6のブライン側の流路は、略大気圧に開放される。
【0025】
ブライン循環路3のブラインは、冷凍機2により冷却可能とされる。本実施例では、ブラインタンク5内のブラインが、冷凍機2との間を循環して冷却可能とされる。具体的には、ブラインタンク5は、ブライン冷却往路10とブライン冷却復路11とにより、冷凍機2に接続されている。ブライン冷却往路10(またはブライン冷却復路11)には、ブライン冷却ポンプ12が設けられている。ブライン冷却ポンプ12を作動させると、ブラインタンク5内のブラインは、ブライン冷却往路10を介して冷凍機2へ送られ、ブライン冷却復路11を介してブラインタンク5へ戻される。
【0026】
冷凍機2は、本実施例では蒸気圧縮式の冷凍機である。この場合、冷凍機2は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が、順次環状に接続されて構成される。圧縮機は、冷媒を圧縮して高温高圧の気体にする。凝縮器は、圧縮機からの冷媒を凝縮液化する。膨張弁は、凝縮器からの冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器は、膨張弁からの冷媒を蒸発させる。この蒸発時の気化熱により、ブラインの冷却を図ることができる。つまり、蒸発器は、ブラインタンク5からのブラインと冷凍機2の冷媒との熱交換器とされる。
【0027】
冷水循環路4は、冷水タンク13と熱交換器6との間で水を循環させる。冷水タンク13は、設定水位まで水を貯留したタンクであり、本実施例では内部は大気圧下に開放されている。熱交換器6は、前述したとおり、ブラインと水とを混ぜることなく熱交換可能に構成されている。
【0028】
冷水タンク13と熱交換器6とは、冷水送り路14と冷水戻し路15とにより接続される。冷水タンク13から熱交換器6への冷水送り路14には、第一循環ポンプ16と第二循環ポンプ17とが並列に設けられている。具体的には、冷水タンク13からの冷水送り路14は、第一冷水送り路14aと第二冷水送り路14bとに分岐した後、再び合流して熱交換器6に接続されている。そして、第一冷水送り路14aに第一循環ポンプ16が設けられる一方、第二冷水送り路14bに第二循環ポンプ17が設けられている。
【0029】
第二循環ポンプ17は、第一循環ポンプ16よりも容量が小さいポンプである。つまり、第一循環ポンプ16を作動させると、第二循環ポンプ17よりも大流量で冷水を流すことができる一方、第二循環ポンプ17を作動させると、第一循環ポンプ16よりも小流量で冷水を流すことができる。
【0030】
冷水タンク13内の冷水は、所望により、冷水取出し路18を介して、冷水需要箇所(たとえば食品機械)へ供給可能とされる。図示例の場合、冷水取出し路18には、手動式の仕切弁19の他、送水ポンプ20が設けられている。仕切弁19は、通常、開いた状態に維持される。従って、冷水需要箇所の要求に応じて、送水ポンプ20を作動させることで、冷水タンク13内の冷水を冷水需要箇所へ送ることができる。なお、冷水タンク13は、ボールタップ21などを介して適宜給水可能とされ、冷水タンク13内の水位は所望に維持される。ところで、冷水タンク13内の冷水は、たとえば食品冷却に利用できる他、冷水そのものを飲料あるいは食品として利用することもできる。
【0031】
冷水製造システム1は、ブラインの温度を検出するためのブライン温度センサ22と、冷水の温度を検出するための冷水温度センサ23とを備える。ブライン温度センサ22は、図示例では、ブラインタンク5に設けられているが、場合により、ブライン送り路7、ブライン戻し路8、ブライン冷却往路10またはブライン冷却復路11に設けられてもよい。また、冷水温度センサ23は、図示例では、冷水タンク13に設けられているが、場合により、冷水送り路14または冷水戻し路15に設けられてもよい。
【0032】
次に、本実施例の冷水製造システム1の運転例について説明する。以下に説明する運転は、図示しない制御器により自動でなされる。つまり、制御器は、冷凍機2、ブラインポンプ9、ブライン冷却ポンプ12、第一循環ポンプ16、第二循環ポンプ17の他、ブライン温度センサ22および冷水温度センサ23などに接続されており、これらセンサ22,23の検出信号などに基づき、冷凍機2や各ポンプ9,12,16,17などを制御する。
【0033】
スタートボタンが押されるなど、運転開始が指示されると、制御器は、冷水製造システム1の運転を開始する。一方、ストップボタンが押されるなど、運転停止が指示されると、制御器は、冷水製造システム1の運転を停止する。
【0034】
冷水製造システム1の運転中、ブライン温度センサ22の検出温度を設定温度(たとえば−3℃)に維持するように、ブラインの冷却が図られる。具体的には、冷凍機2を作動させた状態で、ブライン冷却ポンプ12を作動させることで、ブラインタンク5内のブラインを冷凍機2に循環させて、ブラインを設定温度に冷却して維持する。この際、ブライン温度センサ22の検出温度が設定上限値以上になれば、冷凍機2およびブライン冷却ポンプ12を作動させる一方、設定下限値以下になれば、冷凍機2およびブライン冷却ポンプ12を停止させてもよい。
【0035】
冷水製造システム1の運転中、冷水温度センサ23の検出温度を目標温度(たとえば1.5℃〜3℃)に維持するように、冷水の冷却が図られる。具体的には、冷水温度センサ23の検出温度が上限温度(たとえば3℃)以上なら、第一循環ポンプ16(あるいは第一循環ポンプ16と第二循環ポンプ17)を作動させた状態で、ブラインポンプ9を作動させる。これにより、冷水タンク13内の水が熱交換器6との間で循環すると共に、ブラインタンク5内のブラインが熱交換器6との間で循環する。そのため、熱交換器6において、ブラインにより循環水(ひいては冷水タンク13内の水)の冷却が図られる。
【0036】
熱交換器6に水とブラインとの双方が循環中、水側の循環圧をブライン側の循環圧よりも高い圧力に保持するのがよい。つまり、第一循環ポンプ16(あるいは第一循環ポンプ16と第二循環ポンプ17)とブラインポンプ9との作動中、熱交換器6における水側の圧力がブライン側の圧力よりも高くなるように、各ポンプ9,16(17)と配管の設置および流量の設定が行われている。これにより、万一熱交換器6が破損しても、冷水循環路4(ひいては冷水タンク13や冷水需要箇所)へのブラインの混入を防止して、安全性を高めることができる。
【0037】
一方、冷水温度センサ23の検出温度が下限温度(前記上限温度よりも低い温度であり、たとえば1.5℃)以下になると、ブラインポンプ9を停止させた状態で、第二循環ポンプ17を作動させる。この際、第一循環ポンプ16は停止させておくのがよい。
【0038】
このように、本実施例の冷水製造システム1では、ブライン循環路3のブラインの循環停止中でも、第二循環ポンプ17により冷水循環路4に冷水を循環させる。第二循環ポンプ17は、冷水タンク13から熱交換器6への冷水送り路14に設けられているので、第二循環ポンプ17の吐出圧により、熱交換器6における水側の圧力をブライン側の圧力よりも高めることができる。これにより、万一熱交換器6が破損しても、冷水循環路4(ひいては冷水タンク13や冷水需要箇所)へのブラインの混入を防止して、安全性を高めることができる。しかも、ブライン循環路3の循環停止中に作動させる第二循環ポンプ17は、ブライン循環路3の循環中に作動させる第一循環ポンプ16よりも小容量とされるので、省エネルギを図ることができる。第二循環ポンプ17は、冷水循環路4に冷水を循環させることができれば足り、容量が小さいほど省エネルギを図ることができる。
【0039】
冷水製造システム1の運転を停止させると、冷凍機2、ブラインポンプ9、ブライン冷却ポンプ12、第一循環ポンプ16は停止するが、第二循環ポンプ17の作動を継続する。これにより、熱交換器6における水側の圧力をブライン側の圧力よりも高めることができる。従って、万一熱交換器6が破損しても、冷水循環路4(ひいては冷水タンク13や冷水需要箇所)へのブラインの混入を防止して、安全性を高めることができる。しかも、第二循環ポンプ17は第一循環ポンプ16よりも小容量とされるので、省エネルギを図ることができる。
【0040】
以上のとおり、本実施例の冷水製造システム1によれば、ブライン循環路3の循環中には、ブラインポンプ9と第一循環ポンプ16とを作動させるが、熱交換器6における水側の圧力をブライン側の圧力よりも高めることで、熱交換器6が万一破損しても、冷水循環路4へのブラインの混入を防止することができる。また、ブライン循環路3の循環停止中(言い換えれば冷水製造システム1の運転停止中、あるいは運転中であってもブラインによる冷水の冷却動作の一時停止中)には、第一循環ポンプ16を停止した状態で第二循環ポンプ17を作動させて、熱交換器6における水側の圧力をブライン側の圧力よりも高めることで、熱交換器6が万一破損しても、冷水循環路4へのブラインの混入を防止することができる。このように、運転状態に関わらず、常に、水側の圧力をブライン側の圧力よりも高めて、熱交換器6が万一破損しても、冷水へのブラインの混入を確実に防止することができる。従って、たとえば夜間の運転停止中でも、常に水側の圧力を高くして、熱交換器6の破損による悪影響を防止することができる。しかも、比較的小容量の第二循環ポンプ17を用いることで、省エネルギを図ることもできる。
【0041】
ところで、熱交換器6から冷水タンク13への冷水戻し路15には、流路断面積の調整機構(図示省略)を設けておくのがよい。流路断面積の調整機構としては、開度調整可能な弁(たとえばモータバルブ)を用いることができる。あるいは、冷水戻し路15の主流路の一部に、小径の副流路を並列に設けておき、これら各流路に設けた弁の開閉を切り替えてもよい。いずれにしても、ブラインポンプ9の停止によるブライン循環路3の循環停止中、前記調整機構により、冷水戻し路15の流路断面積を小さくする。これにより、熱交換器6における水側の圧力を高めることができ、万一熱交換器6が破損しても、冷水へのブラインの混入を一層確実に防止して、安全性をさらに高めることができる。
【0042】
本発明の冷水製造システム1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)冷凍機2の一次冷媒との熱交換により二次冷媒が冷却可能とされ、その二次冷媒を熱交換器6に循環させる冷媒循環路3と、(b)冷水タンク13と熱交換器6との間で水を循環させ、熱交換器6において二次冷媒により循環水を冷却可能な冷水循環路4とを備え、(c)冷水タンク13から熱交換器6への冷水送り路14には、循環ポンプ17が設けられており、冷媒循環路3の二次冷媒の循環停止中でも、循環ポンプ17により冷水循環路4に冷水を循環させるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。また、冷媒循環路3の循環停止中における冷水循環路4の循環流量は、冷媒循環路3の循環中における冷水循環路4の循環流量よりも小流量とされるのがよいが、そのための具体的手段も適宜に変更可能である。
【0043】
たとえば、前記実施例では、冷水タンク13内は大気圧下に開放され、冷水の循環ポンプ16,17を停止させると、冷水循環路4および熱交換器6(水側)は大気圧下に開放される例を示したが、冷水循環路4および熱交換器6は、大気圧を超える圧力に保持されてもよい。その場合、冷水タンク13の出入口(冷水送り路14(第一冷水送り路14aと第二冷水送り路14bとの合流部より下流側)、冷水戻し路15)には開閉弁が設けられており、ブライン循環路3のブラインの循環停止中、熱交換器6の水側流路を加圧した状態に維持する。具体的には、ブライン循環路3のブラインの循環を停止させる際、まずは、冷水戻し路15の開閉弁を閉じた後、熱交換器6の水側流路を第一循環ポンプ16(および/または第二循環ポンプ17)で加圧した状態で、冷水送り路14の開閉弁を閉じると共に循環ポンプ16(17)を停止させればよい。これにより、各循環ポンプ16,17を停止させた状態でも、熱交換器6における水側の圧力をブライン側の圧力よりも高く保持することができる。そして、万一、冷水循環路4の圧力が所定よりも低下した場合に、前記開閉弁を開けて、第二循環ポンプ17を運転するようにしてもよい。
【0044】
また、前記実施例では、冷水循環路4に第一循環ポンプ16と第二循環ポンプ17とを並列に設けて、ブラインポンプ9の発停に応じて、前記各循環ポンプ16,17の内、第一循環ポンプ16のみ(または第一循環ポンプ16と第二循環ポンプ17の双方)を運転するか、第二循環ポンプ17のみを運転するかを切り替えたが、次のように構成してもよい。すなわち、冷水タンク13から熱交換器6への冷水送り路14には、一つの循環ポンプ16のみを設けておき(第二冷水送り路14bと第二循環ポンプ17の設置は省略)、この循環ポンプ16の回転数を制御(インバータ制御)してもよい。この場合、ブラインポンプ9の停止中には、冷水の循環ポンプ16の回転数を所定まで下げておけばよい。
【0045】
また、前記実施例では、ブラインを冷却するために、ブラインタンク5と冷凍機2との間でブラインを循環させたが、次のように構成してもよい。すなわち、冷凍機2の蒸発器をブラインタンク5に設けるか、ブライン送り路7などに設けてもよい。この場合、冷凍機2を作動させると、冷凍機2の冷媒(一次冷媒)は蒸発器に供給され、ブラインタンク5またはブライン送り路7のブラインと熱交換して、ブラインを冷却する。
【0046】
その他、冷水製造システム1は、文字通り、水を冷却して冷水を製造する以外に、たとえば飲料を冷却して低温にするのに利用することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 冷水製造システム
2 冷凍機
3 ブライン循環路
4 冷水循環路
5 ブラインタンク
6 熱交換器
7 ブライン送り路
8 ブライン戻し路
9 ブラインポンプ
10 ブライン冷却往路
11 ブライン冷却復路
12 ブライン冷却ポンプ
13 冷水タンク
14 冷水送り路(14a:第一冷水送り路、14b:第二冷水送り路)
15 冷水戻し路
16 第一循環ポンプ
17 第二循環ポンプ
18 冷水取出し路
19 仕切弁
20 送水ポンプ
21 ボールタップ
22 ブライン温度センサ
23 冷水温度センサ