特許第6983383号(P6983383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983383
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法及び等値化装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/03 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   G05B9/03
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2021-4714(P2021-4714)
(22)【出願日】2021年1月15日
(62)【分割の表示】特願2017-195891(P2017-195891)の分割
【原出願日】2017年10月6日
(65)【公開番号】特開2021-64409(P2021-64409A)
(43)【公開日】2021年4月22日
【審査請求日】2021年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 俊介
【審査官】 影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−011101(JP,A)
【文献】 特開平07−117671(JP,A)
【文献】 特開平07−282020(JP,A)
【文献】 特開平07−078004(JP,A)
【文献】 特開2010−287127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスの状態を測定するセンサから送信されるデータを入力データとして受信する複数の等値化装置と、前記等値化装置のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記等値化装置からの出力データを用いて前記プロセスを制御するアクチュエータの操作量を算出する演算装置と、を備える制御システムであって、
前記等値化装置のそれぞれは、
前記入力データをネットワークに送出する受信データ出力部と、
前記受信データ出力部から前記入力データを取得し、他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを前記ネットワークから受信する他装置データ受信部と、
前記他装置データ受信部が取得した入力データの代表値を前記出力データとして採択するデータ採択部と、を備え、
前記データ採択部は、
前記代表値を前記受信データ出力部に出力し、
前記受信データ出力部は、
前記入力データとして前記代表値を前記ネットワークに送出し、
前記演算装置のそれぞれは、
対応する前記等値化装置からの前記出力データに基づいて前記アクチュエータの操作量を算出する
制御システム。
【請求項2】
前記等値化装置のそれぞれは、
制御周期毎に繰り返される受信期間内に前記入力データを受信できない場合に、最後に受信した入力データ又は予め定められた入力データを前記受信データ出力部に出力する入力データ受信部を備える
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記入力データ受信部は、
前記入力データが最新ではないことを示す付加情報を前記受信データ出力部に出力する
入力データに付加する
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記データ採択部は、
前記複数の等値化装置のそれぞれから取得した前記入力データが相互に一致する度合いである一致度を算出し、
前記一致度が所定の一致度の閾値以上となるまで、前記出力データを前記演算装置に出力せず、前記代表値を前記受信データ出力部に出力する処理を繰り返す
請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記等値化装置のそれぞれは、
入力データのチャネル毎に前記他装置データ受信部及び前記データ採択部を備え、
前記演算装置のそれぞれは、
チャネル毎の前記出力データに基づいて前記操作量を算出する
請求項1から請求項4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
等値化装置毎に複数の前記演算装置が対応付けられ、
前記複数の演算装置のそれぞれは、
前記出力データの一部もしくは全部の要素とそれぞれ異なるアクチュエータに対応付けられ、
前記要素に基づいて対応する前記アクチュエータの操作量を算出する
請求項1から請求項5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
プロセスの状態を測定するセンサから送信されるデータを入力データとして受信する複数の等値化装置と、前記等値化装置のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記等値化装置からの出力データを用いて前記プロセスを制御するアクチュエータの操作量を算出する演算装置と、を備える制御システムにおける制御方法であって、
前記等値化装置のそれぞれは、
前記入力データをネットワークに送信する第1受信データ出力過程と、
他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを受信する第1他装置データ受信過程と、
自装置で取得された前記入力データと前記第1他装置データ受信過程において取得された入力データとの代表値を採択する第1データ採択過程と、
前記入力データとして前記代表値を前記ネットワークに送出する第2受信データ出力過程と、
前記他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを受信する第2他装置データ受信過程と、
自装置で取得された前記入力データと前記第2他装置データ受信過程において取得された入力データとの代表値を出力データとして採択する第2データ採択過程と、
を有し、
前記演算装置のそれぞれは、
対応する等値化装置からの前記出力データに基づいて前記アクチュエータの操作量を算出する操作量算出過程、を有する
制御方法。
【請求項8】
プロセスの状態を測定するセンサから送信されるデータを入力データとして受信する等値化装置であって、
前記入力データをネットワークに送出する受信データ出力部と、
前記受信データ出力部から前記入力データを取得し、他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを前記ネットワークから受信する他装置データ受信部と、
前記他装置データ受信部が取得した入力データの代表値を出力データとして採択するデータ採択部と、を備え、
前記データ採択部は、
前記代表値を前記受信データ出力部に出力し、
前記受信データ出力部は、
前記入力データとして前記代表値を前記ネットワークに送出する
等値化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法及び等値化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス制御システムや安全計装システム(以下、これらをDCSという)は、化学製品、石油、ガスなどの生産プラントの制御に用いられることがある。万一、動作に異常をきたした場合、大量の原材料が無駄になることや、場合によっては事故につながる可能性がある。よって、DCSでは非常に高度な信頼性が要求されることがある。
他方、DCSユーザからは、将来における拡張容易性、各装置の柔軟な入手性、コスト削減などを目的として特定ベンダに依存しないオープンなアーキテクチャが要求されることがある。拡張容易性とは、新技術を容易に導入可能とする特性を意味する(特許文献1参照)。このような構成をとる目的は、例えば、マルチベンダに対応すること、機能や仕様の動的変更に対応することなどである。また、コントローラを、専用ハードウェアではなく、汎用のPC(Personal Computer)で実現することや、特定プロセッサに依存しないこと、オンラインで制御を停止せずに機能強化することも求められている。
【0003】
信頼性の観点から、図7に示すようにDCS9においてコントローラ40(演算装置)を複数設け(図7に示す例では、40−1,40−2,40−3)、それらの演算結果のうち、採択装置50に最初に届いた演算結果で、アクチュエータ60を駆動する方式が提案されている(特許文献2参照)。コントローラ40の多重化の利点として、コントローラ40の一部が動作を停止した場合や、ネットワーク経路の一部が断絶された場合でも、他の正常なコントローラ40やネットワーク経路からの演算結果を利用し、制御を継続できる点にある。
【0004】
しかしながら、この構成においては、コントローラ40が誤った演算結果を出力しても、このことを検出することができない。コントローラ40に自己診断機能を設けておき、誤った演算結果の出力を抑止することも考えられる。検出が間に合わない場合には、誤った計算結果に基づく制御が行われてしまう。
【0005】
そこで、採択装置50は、例えば、各コントローラ40の演算結果に対する多数決や中央値平均を行って得られた採択結果をアクチュエータ60に出力することで信頼性を確保することが考えられる(特許文献3参照)。このようにすることで、一部の多重化されたコントローラ40からの出力である演算結果が誤っている場合や、コントローラ40から採択装置50間の通信状況によりコントローラ40から過去の演算結果が送信されてきた場合であっても、誤った演算結果が排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016 −0065656号公報
【特許文献2】特開2014−063414号公報
【特許文献3】特開2003−140707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、分配装置20とコントローラ40のそれぞれとの間の通信、コントローラ40のそれぞれと採択装置50との間の通信が、多種多様の機器が接続されているネットワークを介して行われる場合には、上記の通信は、様々なネットワーク経路を介して行われることとなる。そのため、コントローラ40の動作や、ネットワーク経路がたとえ正常であっても、次の事象が生じてコントローラ40間で入力値が異なってしまうことがある。
・落雷などによって生じた外部からのノイズにより、一部経路のデータが欠損もしくは変化する。
・データの伝搬経路における再配送、迂回遅延により、一部データが遅延する。
これらの事象を原因としてコントローラ40間で入力値が異なってしまうと、各コントローラ40が内部で保持したパラメータ(例えば、PID制御における積分値)もコントローラ40間で異なることとなる。結果として、長期にわたって各コントローラ40からの演算結果(出力)が異なる状態が持続し、プロセス制御の信頼性を損ねてしまう。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、プロセス制御の信頼性を向上させることができる制御システム、制御方法及び等値化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、プロセスの状態を測定するセンサから送信されるデータを入力データとして受信する複数の等値化装置と、前記等値化装置のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記等値化装置からの出力データを用いて前記プロセスを制御するアクチュエータの操作量を算出する演算装置と、を備える制御システムであって、前記等値化装置のそれぞれは、前記入力データをネットワークに送出する受信データ出力部と、前記受信データ出力部から前記入力データを取得し、他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを前記ネットワークから受信する他装置データ受信部と、前記他装置データ受信部が取得した入力データの代表値を前記出力データとして採択するデータ採択部と、を備え、前記データ採択部は、前記代表値を前記受信データ出力部に出力し、前記受信データ出力部は、前記入力データとして前記代表値を前記ネットワークに送出し、前記演算装置のそれぞれは、対応する前記等値化装置からの前記出力データに基づいて前記アクチュエータの操作量を算出する制御システムである。
【0010】
(2)本発明の他の態様は、上述した制御システムであって、前記等値化装置のそれぞれは、制御周期毎に繰り返される受信期間内に前記入力データを受信できない場合に、最後に受信した入力データ又は予め定められた入力データを前記受信データ出力部に出力する入力データ受信部を備える。
【0011】
(3)本発明の他の態様は、上述した制御システムであって、前記入力データ受信部は、前記入力データが最新ではないことを示す付加情報を前記受信データ出力部に出力する入力データに付加する。
【0012】
(4)本発明の他の態様は、上述した制御システムであって、前記データ採択部は、前記複数の等値化装置のそれぞれから取得した前記入力データが相互に一致する度合いである一致度を算出し、前記一致度が所定の一致度の閾値以上となるまで、前記出力データを前記演算装置に出力せず、前記代表値を前記受信データ出力部に出力する処理を繰り返す。
【0013】
(5)本発明の他の態様は、上述した制御システムであって、前記複数の演算装置のそれぞれは、前記出力データの一部もしくは全部の要素とそれぞれ異なるアクチュエータに対応付けられ、前記要素に基づいて対応する前記アクチュエータの操作量を算出する。
【0014】
(6)本発明の他の態様は、上述した制御システムであって、等値化装置毎に複数の前記演算装置が対応付けられ、前記複数の演算装置のそれぞれは、前記出力データの一部もしくは全部の要素とそれぞれ異なるアクチュエータに対応付けられ、前記要素に基づいて対応する前記アクチュエータの操作量を算出する。
【0015】
(7)本発明の他の態様は、プロセスの状態を測定するセンサから送信されるデータを入力データとして受信する複数の等値化装置と、前記等値化装置のそれぞれに対応して設けられ、対応する前記等値化装置からの出力データを用いて前記プロセスを制御するアクチュエータの操作量を算出する演算装置と、を備える制御システムにおける制御方法であって、前記等値化装置のそれぞれは、前記入力データをネットワークに送信する第1受信データ出力過程と、他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを受信する第1他装置データ受信過程と、自装置で取得された前記入力データと前記第1他装置データ受信過程において取得された入力データとの代表値を採択する第1データ採択過程と、前記入力データとして前記代表値を前記ネットワークに送出する第2受信データ出力過程と、前記他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを受信する第2他装置データ受信過程と、自装置で取得された前記入力データと前記第2他装置データ受信過程において取得された入力データとの代表値を出力データとして採択する第2データ採択過程と、を有し、前記演算装置のそれぞれは、対応する等値化装置からの前記出力データに基づいて前記アクチュエータの操作量を算出する操作量算出過程、を有する制御方法である。
【0016】
(8)本発明の他の態様は、プロセスの状態を測定するセンサから送信されるデータを入力データとして受信する等値化装置であって、前記入力データをネットワークに送出する受信データ出力部と、前記受信データ出力部から前記入力データを取得し、他の等値化装置のそれぞれから送出された入力データを前記ネットワークから受信する他装置データ受信部と、前記他装置データ受信部が取得した入力データの代表値を出力データとして採択するデータ採択部と、を備え、前記データ採択部は、前記代表値を前記受信データ出力部に出力し、前記受信データ出力部は、前記入力データとして前記代表値を前記ネットワークに送出する等値化装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プロセス制御の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る制御システムの一構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る制御システムの制御周期毎の動作を示す動作タイムチャートである。
図3】第2実施形態に係る制御システムの一構成例を示すブロック図である。
図4】第2実施形態に係る制御システムの制御周期毎の動作を示す動作タイムチャートである。
図5】第3実施形態に係る制御システムの一構成例を示すブロック図である。
図6】第3実施形態に係る制御システムの他の構成例を示すブロック図である。
図7】従来の制御システムの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明に係る制御システム、制御方法及び等値化装置の実施形態について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る制御システムの一構成例について説明する。
図1は、本実施形態に係る制御システム1の一構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る制御システム1は、分配装置20と、N(Nは、2以上の整数)個の等値化装置30と、N個のコントローラ40と、採択装置50と、を含んで構成される。以下の説明では、Nが4である場合を例とする。また、個々の等値化装置30、コントローラ40及びそれらの構成部(例えば、入力データ受信部32)を、子番号1〜4等を付して区別することがある。また、複数の装置もしくは構成部を総称する場合や区別する必要がない場合には、単に、等値化装置30等と子番号を付さずに呼ぶことがある。
【0021】
分配装置20と4個の等値化装置30、4個の等値化装置30の相互間、4個のコントローラ40と採択装置50は、それぞれネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、無線又は有線で各種の信号を伝送可能とする伝送媒体である。ネットワークNWは、例えば、IEEE802.3、IEEE802.11などの通信規格で規定された汎用の構内通信網(LAN:Local Area Network)であってもよい。
等値化装置30−1〜30−4とコントローラ40−1〜40−4は、それぞれ対応付けられ、等値化装置30ならびにコントローラ40の組が4セット形成される。Nセットの等値化装置30ならびにコントローラ40の組は、互いに異なる位置に分散して配置されてもよい。
【0022】
制御システム1が制御対象とするプラントには、センサ10とアクチュエータ60が複数設置されうるが、図1では、それぞれ1つである場合を例として説明する。
センサ10は、プラントの状態を示す物理量を測定値として検出する。センサは、例えば、温度を検出する温度センサ、圧力を検出する圧力センサ、流量を検出する流量計など、である。センサ10は、検出した測定値S1のデータを分配装置20に出力する。以下の説明では、測定値S1を示すデータもしくは信号を、単に測定値S1と呼ぶことがある。その他の値や量についても同様とする。逆に、入力データS’11が示す値や量を単に入力データS’11と呼ぶことがある。その他のデータについても同様とする。
なお、センサ10が測定値S1を出力するサンプリング周期は、制御周期と等しいかより短くてもよい。制御周期よりも短い周期で測定値S1をサンプリングすることを、オーバサンプリングと呼ぶ。
【0023】
分配装置20は、センサ10から入力される測定値S1をネットワークNWに送信し、等値化装置30−1〜30−4のそれぞれに測定値S11〜S14として分配する。分配装置20は、例えば、ネットワークスイッチ、ブリッジ、ルータ等のネットワーク機器として構成されてもよい。分配装置20は、測定値S11〜S14を分配する際、等値化装置30−1〜30−4の個々のアドレスを指定してもよいし、それらのアドレスを指定せずに一斉に同報(ブロードキャスト)してもよい。
【0024】
等値化装置30−1〜30−4は、分配装置20から送信された測定値S11〜S14を、それぞれ入力データS’11〜S’14として受信する。等値化装置30−1〜30−4は、出力データS”11〜S”14をそれぞれ対応するコントローラ40−1〜40−4に出力する。等値化装置30−1〜30−4の機能構成については、後述する。
【0025】
コントローラ40−1〜40−4は、それぞれ出力データS”11〜S”14に基づいてプラントの状態を制御するための操作量A1〜A4を演算結果として算出する。
コントローラ40−1〜40−4は、それぞれ生成した操作量A1〜A4を採択装置50に送信する。コントローラ40−1〜40−4の機能構成については、後述する。
採択装置50は、コントローラ40−1〜40−4からそれぞれ操作量A1〜A4を受信する。採択装置50は、操作量A1〜A4の代表値を操作量Azとして採択する。採択すべき代表値の種別は、例えば、最頻値、平均値、最早値、中央値、中央平均値、等のいずれであってもよい。代表値の詳細については、データ採択部38−1の説明において後述する。採択装置50は、採択した操作量Azをアクチュエータ60に出力する。採択装置50は、例えば、ネットワークスイッチ、ブリッジ、ルータ等のネットワーク機器として構成されてもよい。
【0026】
アクチュエータ60は、採択装置50から入力される操作量Azに応じて、その動作の動作量(プロセス値)を調整する。アクチュエータ60は、例えば、バルブ、コンプレッサ、ポンプ、モータ等である。動作量は、例えば、バルブの開度、コンプレッサやポンプの回転量などである。一般に、操作量Azが大きいほどアクチュエータ60のプロセス値が大きくなる。例えば、アクチュエータ60の動作量は、出力値に比例する。図1に示す例では、センサ10、分配装置20、N個の等値化装置30、N個のコントローラ40、採択装置50及びアクチュエータ60により1個の制御ループが形成される。
【0027】
次に、等値化装置30−1の機能構成について説明する。等値化装置30−1〜30−4の機能構成は互いに共通であるため、以下では、等値化装置30−1の説明を主とする。他の等値化装置30−2〜30−4については、特に断らない限り等値化装置30−1の説明を援用する。
等値化装置30−1は、入力データ受信部32−1と、受信データ出力部34−1と、他装置データ受信部36−1と、データ採択部38−1と、を含んで構成される。
【0028】
入力データ受信部32−1は、分配装置20からネットワークNWを介して入力データとして測定値S11を受信する。入力データ受信部32−1は、例えば、通信インタフェースを含んで構成される。入力データ受信部32−1は、受信した測定値S11を入力データS11’として受信データ出力部34−1に出力する。
受信データ出力部34−1は、入力データ受信部32−1から入力された入力データS’11をネットワークNWに送出する。他の等値化装置30−2〜30−4それぞれの受信データ出力部34−2〜34−4からもネットワークNWに入力データS’12〜S’14が送出される。また、受信データ出力部34−1は、その入力データS’11を他装置データ受信部36−1にネットワークNWを介さずに直接出力する。
【0029】
他装置データ受信部36−1は、ネットワークNWを介して他の等値化装置30−2〜30−4から送出された入力データS’12〜S’14を受信する。他装置データ受信部36−1には、受信データ出力部34−1から入力データS’11が入力される。なお、受信データ出力部34−1は、必ずしも入力データS’11を他装置データ受信部36−1に直接出力しなくてもよい。その場合には、他装置データ受信部36−1は、ネットワークNWを介して自装置の受信データ出力部34−1から送出された入力データS’11を受信する。
他装置データ受信部36−1は、取得した入力データS’11〜S’14をデータ採択部38−1に出力する。
【0030】
データ採択部38−1は、他装置データ受信部36−1から入力された入力データS’11〜S’14の代表値をコントローラ40−1に出力すべき出力データS”11として採択する。データ採択部38−1は、採択した出力データS”11をコントローラ40−1に出力する。
データ採択部38−1は、出力データS”11を採択する際、次のいずれかの種別の代表値を採択してもよい。
最頻値(多数決)、平均値、最早値、中央値、中央平均値、等
最頻値もしくは中央値を採択する場合には、Nは、3以上である必要がある。最早値とは、各制御周期に設けられた所定の期間T2(後述)において最も早期に取得できた値である。中央平均値とは、取得した入力値のうち、予め定めた上位n個の入力値、下位m個の入力値を除いた入力値の中央部分の平均値に相当する。従って、中央平均値を採択する場合には、Nは、4以上である必要がある。但し、採択する代表値の種別は、等値化装置30−1〜30−4で同一である必要がある。これは、等値化装置30−1〜30−4は、出力データS”11〜S”14を相互に等しくすること(等値化:Equalization)を目的とするためである。
なお、入力データ受信部32−1、受信データ出力部34−1、他装置データ受信部36−1は、例えば、通信インタフェースを含んで構成される。
【0031】
次に、コントローラ40−1〜40−4の機能構成について説明する。コントローラ40−1〜40−4の機能構成は互いに共通であるため、以下ではコントローラ40−1の説明を主とする。他のコントローラ40−2〜40−4については、特に断らない限りコントローラ40−1の説明を援用する。
コントローラ40−1は、制御演算部42−1と、演算結果出力部44−1と、を含んで構成される。
【0032】
制御演算部42−1は、等値化装置30−1から入力された出力データS”11から、その出力データS”11が示す測定量の目標値との偏差が小さくなるように予め定めた方式を用いて制御演算を行って得られる演算値を操作量A1として算出する。出力データS”11は、センサ10が検出した測定値S1に対応する値である。制御演算の方式は、例えば、PI制御、PID制御などである。PI制御は、測定値に所定の比例ゲインを乗じて得られる比例項と、測定値の時間積分値に所定の積分ゲインを乗じて得られる積分項との総和を演算値として算出する方式である。PID制御は、比例項、積分項及び微分項の総和を演算値として算出する方式である。微分項は、測定値の時間微分値に所定の微分ゲインを乗じて得られる値である。制御演算部42−1は、算出した操作量A1を演算結果出力部44−1に出力する。制御演算部42−1は、例えば、CPU(Central Processiong Unit)等の演算処理回路を含んで構成され、演算処理回路が予め定めた制御プログラムに記述された命令で指示される処理を行って、その機能を実現してもよい。
【0033】
演算結果出力部44−1は、制御演算部42−1から入力された操作量A1をネットワークNWを介して採択装置50に送信する。演算結果出力部44−1は、例えば、通信インタフェースを含んで構成される。
【0034】
なお、本実施形態において、センサ10からの測定値の入力(センサ入力)、等値化、制御演算(出力)及びアクチュエータ60の動作が同期していることが好ましい。特に、制御演算と操作量A1〜A4の出力は、制御周期に同期していることを要する。また、複数の等値化装置30−1〜30−4からの出力データS”11〜S”14に基づく制御演算は同時に行われなければならない。
【0035】
そこで、制御システム1は、ノード間で同期をとるために次のいずれかの同期方式を採用してもよい。
外部の標準時刻をタイミングマスタとし、全ノードをこれに同期させる。
より具体的には、等値化装置30−1〜30−4の各部及びコントローラ40−1〜40−4の各部は、ネットワークNWを介して所定のタイマ装置(図示せず)から同報され標準時刻を示す同期信号を受信する。等値化装置30−1〜30−4の各部及びコントローラ40−1〜40−4の各部は、受信した同期信号が示す標準時刻をタイミングの基準として動作する。ここで、制御システム1は、標準時刻を計時するためのタイマ装置を備え、計時した標準時刻を示す同期信号を等値化装置30−1〜30−4に送信してもよい。
(2)コントローラ40−1〜40−4のいずれかがタイミングマスタとして、基準時刻を示す同期信号を生成し、生成した同期信号を等値化装置30−1〜30−4の各部及びコントローラ40−1〜40−4の各部にネットワークNWを介して送信する。等値化装置30−1〜30−4の各部及びコントローラ40−1〜40−4の各部は、受信した同期信号が示す基準時刻をタイミングの基準として動作する。
【0036】
なお、(1)、(2)のいずれの方式においても所定のネットワークプロトコル(例えば、NTP(Network Time Protocol))が用いられてもよい。上述のタイマ装置は、例えば、NTPサーバ装置である。同期信号は、制御周期毎に所定のパターンの波形(例えば、パルス)を有する信号であってもよいし、少なくとも制御周期毎の時刻を示すデータであってもよい。等値化装置30−1〜30−4並びにコントローラ40−1〜40−4の各部は、同期信号の波形もしくは時刻に基づいて制御周期それぞれの基準時(例えば、起点)を検出することができる。
(1)、(2)ともにネットワークNWを介した時刻同期となるが、アプリケーションとして絶対時刻が要求されることがある。その場合には、(1)のように標準時刻に合わせて同期する方式が好都合である。
【0037】
(動作フロー)
次に、本実施形態に係る制御システム1の動作フローについて説明する。
図2は、本実施形態に係る制御システム1の制御周期毎の動作を示す動作タイムチャートである。図2では、等値化装置30−2〜30−4の図示が省略されているが、以下では等値化装置30−1についての説明を援用する。同様に、コントローラ40−2〜40−4の図示が省略されているが、コントローラ40−1についての説明を援用する。
【0038】
センサ10は、プラントの状態を示す測定値S1を分配装置20に出力する。
分配装置20は、センサ10から入力される測定値S1を等値化装置30−1〜30−4にネットワークNWを介して測定値S11〜S14として分配する。
【0039】
等値化装置30−1の入力データ受信部32−1は、分配装置20から測定値S11を受信し、受信した測定値S11を入力データS’11として受信データ出力部34−1に出力する。入力データ受信部32−1には、各制御周期内で測定値S11を受信する受信期間W01が設定される。受信期間W01は、制御周期よりも短い期間であればよい。ネットワークNWにおけるトラフィックの状態によっては、入力データ受信部32−1は、受信期間W01内に測定値S11を受信できない場合、つまり、測定値S11が更新されない場合がある。その場合には、入力データ受信部32−1は、代替データを入力データS’11として受信データ出力部34−1に出力してもよい。入力データ受信部32−1は、代替データとして、その時点までに受信した最新の入力データS’11(例えば、直前の制御周期の受信期間W01内に受信した測定値S11)を採用してもよいし、予め定めた測定値を採用してもよい。入力データ受信部32−1は、受信データ出力部34−1に出力する代替データに最新の測定値ではないことを示す付加情報として代替フラグを付加してもよい。
【0040】
なお、センサ10がオーバサンプリングを行っている場合には、入力データ受信部32−1〜32−4間において、センサ10が入力データS’11〜S’14に係る測定値S11を測定(検出)されたタイミングが厳密に一致していなくてもよい。また、入力データ受信部32−1は、受信期間W01内に複数の測定値S11を受信する場合もある。その場合には、入力データ受信部32−1は、複数の測定値S11のうち、最新の測定値S11を入力データS’11として受信データ出力部34−1に出力してもよい。
【0041】
受信データ出力部34−1は、入力データ受信部32−1から入力された入力データS’11をネットワークNWに送出する。図2において、期間T1は、入力データの入力から送出までの処理時間を示す。なお、図1は、受信データ出力部34−1が、入力データS’11を他装置データ受信部36−1に直接出力する場合を例にするが、受信データ出力部34−1は、必ずしも、入力データS’11を他装置データ受信部36−1に直接出力しなくてもよい。
【0042】
他装置データ受信部36−1は、受信データ出力部34−2〜34−4からネットワークNWを介して入力データS’12〜S’14を受信する。他装置データ受信部36−1には、自装置の受信データ出力部34−1から入力データS’11が入力される。受信データ出力部34−1が入力データS’11を他装置データ受信部36−1に直接出力しない場合には、他装置データ受信部36−1は、ネットワークを介して入力データS’11を受信する。
【0043】
他装置データ受信部36−1には、各制御周期内で入力データS’11〜S’14を受信する受信期間T2が設定される。受信期間T2は、制御周期よりも短い期間であって、その起点が受信期間W01の終期よりも処理時間T1の経過後の時刻であればよい。他装置データ受信部36−1は、受信期間T2内に取得した入力データS’11〜S’14をデータ採択部38−1に出力する。ネットワークNWのトラフィックの状態や、等値化装置30−1〜30−4それぞれの動作状態によっては、他装置データ受信部36−1は、受信期間T2内に入力データS’11〜S’14の一部を取得できないことがある。その場合、他装置データ受信部36−1は、例えば、取得できた入力データのみをデータ採択部38−1に出力する。また、第2の実施形態で説明するように、データ採択部38−1が他装置データ受信部36−1から入力された入力データから採択した代表値Spdを受信データ出力部34−1に出力(フィードバック)する場合には、他装置データ受信部36−1が入力データS’11〜S’14の全てを受信できるまでフィードバックが繰り返されてもよい。代表値Spdをフィードバックする場合も、データ採択部38−1は、他装置データ受信部36−1から入力される入力データを、他装置データ受信部36−1が取得できた入力データとして処理する。
【0044】
データ採択部38−1は、他装置データ受信部36−1から入力された入力データS’11〜S’14の代表値を、上述した手法によりコントローラ40−1に出力すべき出力データS”11を採択する。データ採択部38−1は、採択した出力データS”11をコントローラ40−1に出力する。図2において、期間T3は、入力データS’11〜S’14の入力から出力データS”11の出力までの処理時間を示す。
なお、入力データS’11〜S’14のいずれかに代替フラグが付加されている場合には、データ採択部38−1は、例えば、上述の代替フラグが付加された入力データを破棄することで出力データS”11の候補から除外してもよい。また、データ採択部38−1は、代替フラグが付加された入力データよりも、代替フラグが付加されていない入力データが優先して採択してもよい。一例として、データ採択部38−1が入力データの重み付き平均値を採択する場合には、データ採択部38−1は、代替フラグが付加されていない入力データに乗算される重み係数として、代替フラグが付加された入力データに乗算する重み係数より大きい重み係数を用いる。
【0045】
制御演算部42−1は、等値化装置30−1から入力された出力データS”11について予め定めた制御方式を用いて制御演算を行い、演算結果として操作量A1を算出する。制御演算部42−1は、算出した操作量A1を演算結果出力部44−1に出力する。
演算結果出力部44−1は、制御演算部42−1から入力された操作量A1を採択装置50にネットワークNWを介して送信する。図2において、期間T4は、操作量A1の制御演算部42−1からの入力から採択装置50への送信までの処理時間を示す。期間T4の起点は、期間T3の終期から制御演算部42−1における処理時間の経過後となる。
【0046】
採択装置50は、コントローラ40−1〜40−4からそれぞれ受信した操作量A1〜A4の代表値を操作量Azとして採択する。代表値を採択する手法は、上述した手法のいずれであってもよい。採択装置50には、各制御周期内で操作量A1〜A4を受信する受信期間T5が設定される。受信期間T5は、制御周期よりも短い期間であって、その起点が期間T4の終期よりも後であればよい。採択装置50は、採択した操作量Azを示す操作データをアクチュエータ60に出力する。
アクチュエータ60は、操作量Azに応じて、その動作の動作量を調整する。
【0047】
以上に説明したように、本実施形態に係る制御システム1は、図1に示すようにオープンアーキテクチャ構成をとってコントローラ40−1〜40−4が多重化されている。そのような構成においても、コントローラ40−1〜40−4への入力値と出力データS”11〜S”14をそれぞれ極力等しくすることができる。そのため、コントローラ40−1〜40−4からの演算結果として操作量A1〜A4に差異が生じるリスクを低減することができる。そのため、制御システム1において高い信頼性を確保しつつ、次のメリットを享受することができる。
【0048】
・汎用機器の利用による高信頼性の実現
制御システム1の構成要素として、汎用機器を利用しても、その動作原理、内部構成を特段考慮しなくても一定の信頼性を確保することができる。例えば、コントローラ40−1〜40−4として、汎用のPCを採用しても、分配装置20もしくは採択装置50として汎用のネットワーク機器を採用することができる。そのような場合でも、制御演算やその入力値もしくは演算結果などの伝達系の健全性が、データ採択部38−1〜38−4と採択装置50で確保されるためである。演算性能が比較的高く、低価格の汎用PCを複数台用いてコントローラ40群を構成することで、個々のPCの自己診断機能が比較的脆弱であっても制御システム1全体として信頼性が向上する。
【0049】
・システム維持の容易化
入力データS’11〜S’14や操作量A1〜A4の採択の可否判断は、それらの情報を受けるデータ採択部38−1〜38−4や採択装置50が行う。例えば、採択装置50やアクチュエータ60へ操作量Azを出力する出力I/O(Input/Outputモジュール)は、指示値の受信の有無や、受信した指示値を判断すれば足り、その送信元を特定することを要しない。そのため、多重化されているコントローラ40−1〜40−4の一部の変更を、容易に実施することが可能となる。例えば、実際に稼働させる(アクティブ)コントローラ40−1〜40−4の一部を、ネットワークNWに接続された他の機器からオンラインで変更可能となり、その変更に係る作業が従来よりも格段に軽減される。例えば、コントローラ40−1〜40−4のOS(Operating System)のアップグレードを行う際、1台ずつコントローラ40として機能させるPCの制御プログラムを停止させ、OSを更新した後で、その制御プログラムを再起動すれば足りる。これに伴う、等値化装置30やコントローラ40の動作モードの変更や接続先の機器設定(コンフィグレーション)などの変更を要しない。それらの作業は、プラントの制御を完全に停止させずに制御の継続中に実施可能となるため、操業に対する影響を抑制もしくは回避することができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明は、第1実施形態との差異点を主とする。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を援用する。
図3は、本実施形態に係る制御システム1の一構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る制御システム1は、データ採択部38−1〜38−4のそれぞれから受信データ出力部34−1〜34−4のそれぞれにフィードバックループを備える。すなわち、データ採択部38−1〜38−4は、それぞれ入力データS’11〜S’14から採択した代表値Spdを受信データ出力部34−1〜34−4に出力する。その後、受信データ出力部34−1〜34−4は、データ採択部38−1〜38−4からそれぞれ入力された代表値Spdを入力データS’11〜S’14としてネットワークNWに送出する。また、受信データ出力部34−1〜34−4は、それぞれ代表値Spdを入力データS’11〜S’14として他装置データ受信部36−1〜36−1にそれぞれ出力してもよい。従って、受信データ出力部34−1〜34−4からの入力データS’11〜S’14の送出と、データ採択部38−1〜38−4における入力データS’11〜S’14から代表値Spdの採択までの一連の処理が繰り返される。
【0051】
一連の処理は、図4において網掛けで表される部分の処理である。データ採択部38−1は、一連の処理の繰り返し回数を計数し、計数した繰り返し回数が所定の繰り返し回数以上になったとき、繰り返しを停止し、代表値Spdを出力データS”11としてコントローラ40−1に出力する。従って、一連の処理が繰り返されない場合よりも、データ採択部38−1が受信する入力データS’11〜S’14から採択される代表値が一致する度合い(一致度)が向上する。従って、コントローラ40−1〜40−4に入力される出力データS”11〜S”14が所定の許容範囲内に収束もしくは相互に同一値とする可能性が高くなる。
【0052】
なお、一連の処理の繰り返し回数を予め設定しておくことに代え、データ採択部38−1は、入力データS’11〜S’14から代表値Spdを採択する過程で入力データS’11〜S’14の一致度を算出してもよい。一致度は、入力データS’11〜S’14が相互に一致する度合いを示す指標である。一致度は、例えば、入力データS’11〜S’14の最頻値を与える入力データの個数の入力データの全個数に対する割合である。より具体的には、入力データS’11、S’12、S’13、S’14がそれぞれ、2、2、2、3である場合には、2が最頻値である。このとき、2を与える入力データの個数、入力データの全個数は、それぞれ3、4であるから、一致度は0.75となる。全個数の計数対象とする入力データには、他装置データ受信部36−1において受信期間T2内に受信されなかった入力データが含まれてもよい。この場合には、算出される値が大きいほど一致度が高いことを示す。また、一致度は、入力データS’11〜S’14の最大値と最小値の差分であってもよい。この場合には、算出される値が小さいほど一致度が高いことを示す。
【0053】
データ採択部38−1〜38−4は、それぞれ算出した一致度が所定の一致度の閾値以上であるとき、仮決めした代表値Spdを出力データS”11〜S”14として定め、定めた出力データS”11〜S”14をそれぞれコントローラ40−1〜40−4に出力する。他方、データ採択部38−1〜38−4は、算出した一致度が所定の一致度の閾値未満であるとき、代表値Spdを受信データ出力部34−1〜34−4に出力する。
【0054】
従って、一致度が所定の一致度以上になるまで、受信データ出力部34−1からの入力データ’11の送出と、データ採択部38−1における入力データS’11〜S’14から代表値Spdの採択までの一連の処理が繰り返される。従って、コントローラ40−1〜40−4に入力される出力データS”11〜S”14間の一致度を少なくとも所定の一致度の閾値以上とすることができる。また、一回の演算で一致度が所定の一致度の閾値以上である場合には、一連の処理の繰り返しを行わない。
【0055】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明は、第1実施形態との差異点を主とする。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を援用する。
図5は、本実施形態に係る制御システム1の一構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る制御システム1は、2台の分配装置20−1、20−2を備える。分配装置20−1、20−2には、それぞれプラントに備えられたセンサ10−1、10−2から各チャネルの測定値S1、S2が入力される。分配装置20−1、20−2は、入力された測定値S1、S2を等値化装置30−1〜30−4にネットワークNWを介して測定値S11〜S14、S21〜S24として分配する。
【0056】
等値化装置30−1〜30−4は、それぞれチャネル毎の入力データS’11〜S’14、S’21〜S’24について、入力データ受信部32−11〜32−14、32−21〜32−24、受信データ出力部34−11〜34−14、34−21〜34−24、他装置データ受信部36−11〜36−14、36−21〜36−24及びデータ採択部38−11〜38−14、38−21〜38−24を備える。
入力データ受信部32−11〜32−14、32−21〜32−24の機能構成は、それぞれ入力データ受信部32−1と同様である。受信データ出力部34−11〜34−14、34−21〜34−24の機能構成は、それぞれ受信データ出力部34−1〜34−4と同様である。他装置データ受信部36−11〜36−14、36−21〜36−24の機能構成は、それぞれ他装置データ受信部36−1〜36−4と同様である。また、データ採択部38−11〜38−14、38−21〜38−24の機能構成は、それぞれデータ採択部38−1〜38−4の機能構成とそれぞれ同様である。
【0057】
即ち、入力データ受信部32−21〜32−24は、それぞれ受信した測定値S21〜S24を入力データS’21〜S’24として受信データ出力部34−21〜34−24に出力する。
受信データ出力部34−21〜34−24は、入力データ受信部32−21〜32−24からそれぞれ入力された入力データS’21〜S’24をネットワークNWに送出する。
また、受信データ出力部34−21〜34−24は、入力データS’21〜S’24をそれぞれ他装置データ受信部36−21〜36−24に直接出力する。
【0058】
他装置データ受信部36−21〜36−24は、ネットワークNWを介して受信データ出力部34−21〜34−24から送出された入力データS’21〜S’24を取得する。但し、図5に示す例では、他装置データ受信部36−21〜36−24において、受信データ出力部34−21〜34−24から入力データS’21〜S’24がそれぞれ直接入力され、ネットワークNWを介して受信されない。
なお、受信データ出力部34−21〜34−24は、入力データS’21〜S’24をそれぞれ他装置データ受信部36−21〜36−24に直接出力しなくてもよい。その場合には、他装置データ受信部36−21〜36−24は、ネットワークNWを介して入力データS’21〜S’24をそれぞれ受信する。
他装置データ受信部36−21〜36−24は、取得した入力データS’21〜S’24をデータ採択部38−21〜38−24に出力する。
【0059】
データ採択部38−21〜38−24は、それぞれ他装置データ受信部36−21〜36−24から入力された入力データS’21〜S’24の代表値を、上述した手法を用いてコントローラ40−1〜40−4に出力すべき出力データS”21〜S”24として採択する。また、データ採択部38−21〜38−24が代表値を採択する手法は、互いに同じ手法であるものとする。データ採択部38−21〜38−24は、それぞれ採択した出力データS”21〜S”24をコントローラ40−1〜40−4に出力する。従って、コントローラ40−1〜40−4には、それぞれ2チャネルの出力データS”11〜S”14、S”21〜S”24がチャネル毎に等値化されたうえで入力される。
【0060】
コントローラ40−1〜40−4は、それぞれ2チャネルの出力データ(S”11,S”21)〜(S”14,S”24)から1チャネルの操作量A1〜A4を算出する制御演算部42−1〜42−4を備える。即ち、制御演算部42−1〜42−4は、それぞれ2入力1出力の制御演算を行う。制御演算部42−1〜42−4は、算出した操作量A1〜A4をそれぞれ演算結果出力部44−1〜44−4を介して採択装置50に送信する。
採択装置50は、コントローラ40−1〜40−4からそれぞれ受信した操作量A1〜A4から上述の手法を用いて代表値Azを採択する。採択装置50は、採択した代表値Azを示す採択データをアクチュエータ60に出力する。
【0061】
図5に示す実施形態は、2入力1出力の制御演算に適用する場合を例にしたが、入力チャネル数は、2チャネルに限られず、3チャネル以上の多入力系に適用されてもよい。その場合、センサ10、分配装置20の個数は、それぞれ3個以上となりうる。また、各等値化装置30−1〜30−4において、入力データ受信部32−1〜32−4、受信データ出力部34−1〜34−4、他装置データ受信部36−1〜36−4及びデータ採択部38−1〜38−4の組をチャネル毎に備え、それらの処理が独立に実行されればよい。
なお、図5に示す例でも、図3に示す例と同様にデータ採択部38−11〜38−14、38−21〜38−24から受信データ出力部34−11〜34−14、34−21〜34−24にそれぞれフィードバックループが設けられてもよい。
【0062】
また、図1、3、5に示す実施形態では、センサ10から分配装置20を介して等値化装置30−1〜30−4にそれぞれ入力される測定値S11〜S14が主にスカラー値である場合を例にしたが、これには限られない。入力される測定値S11〜S14は、それぞれベクトル値であってもよい。1つのベクトル値は、複数の要素値を含む。
【0063】
ここで、図1に示す入力データ受信部32−1〜32−4に、ベクトル値である測定値S11〜S14がそれぞれ入力される場合を例にして説明する。この例では、データ採択部38−1〜38−4は、他装置データ受信部36−1〜36−4からベクトル値である入力データS’11〜S’14の代表値を採択する際、その過程においてもベクトル値のままで扱ってもよい。データ採択部38−1〜38−4が、代表値の採択のために一致度を算出する際、ベクトルのままで一致度を算出してもよい。データ採択部38−1〜38−4は、採択した代表値をそれぞれ対応するコントローラ40−1〜40−4に送信する。
ベクトルのままの扱いを、図3に示すフィードバックループに適用してもよい。より具体的には、データ採択部38−1〜38−4は、ベクトルの一致度が所定の一致度以上となる場合、採択した代表値のフィードバックを行わない。即ち、データ採択部38−1〜38−4は、採択した代表値をコントローラ40−1〜40−4に送信する。データ採択部38−1〜38−4は、ベクトルの一致度が所定の一致度未満となる場合、採択した代表値のフィードバックを実行する。即ち、データ採択部38−1〜38−4は、採択した代表値をコントローラ40−1〜40−4に送信せずに、受信データ出力部34−1〜34−4に出力する。ベクトルのばらつきとして、そのベクトルを構成する要素値の意味を利用してもよい。例えば、ベクトルが取得時刻とその時点の単数もしくは複数の変数値を要素値として構成されている場合などでは、データ採択部38−1〜38−4は、ベクトルを構成する要素値のうち、取得時刻もしくはその期間を利用して採択を行ってもよい。また時刻情報としてベクトルに含まれる取得時刻に限定せず、入力データ受信部32−1〜32−4や他装置データ受信部36−1〜36−4がデータを取得した時刻が採択の手がかりとして用いられてもよい。従って、入力データの構成要素である要素値からなるベクトル値として取得されるまでフィードバックが繰り返される。よって、入力データのベクトル値としての信頼性がさらに向上する。
なお、コントローラ40−1〜40−2の制御演算部42−1〜42−4は、それぞれデータ採択部38−1〜38−4から入力される代表値(出力データS”11〜S”14)について所定の制御演算を行って操作量A1〜A4を算出する。この例では、以降のデータの流れは、図5に示す例と同様である。
【0064】
なお、図6に示すように、各1台の等値化装置30が複数のデータ採択部38を備える場合には、制御システム1は、データ採択部38と同じ個数のコントローラ40を備えてもよい。より具体的には、データ採択部38−11〜38−14、38−21〜38〜24は、それぞれコントローラ40−11〜40−14、40−21〜40−24に対応付けられる。但し、図6に示す例では、等値化装置30−1〜30−4の機能構成は、図5に示す等値化装置30−1〜30−4と同様であるため、図5の説明を援用する。
コントローラ40−11〜40−14、40−21〜40−24は、それぞれ制御演算部42−11〜42−14、42−21〜42−24と、演算結果出力部44−11〜44−14、44−21〜44−24とを含んで構成される。
制御演算部42−11〜42−14、42−21〜42−24には、それぞれ等値化装置30のデータ採択部38−11〜38−14、38−21〜38−24から出力データS”11〜S”14、S”21〜S”24が入力される。制御演算部42−11〜42−14、42−21〜42−24は、それぞれ出力データの要素値S”11〜S”14、S”21〜S”24について予め定めた制御方式で制御演算を行って操作量A11〜A14、A21〜A24を算出する。制御演算部42−11〜42−14、42−21〜42−24は、それぞれ算出した操作量A11〜A14、A21〜24を演算結果出力部44−11〜44−14、44−21〜44−24に出力する。
演算結果出力部44−11〜44−14、44−21〜44−24は、それぞれ操作量A11〜A14、A21〜A24を採択装置50−1、50−2にネットワークNWを介して送信する。
【0065】
また、図6に示す例では、コントローラ40−11〜40−14、40−21〜40−24は、それぞれ採択装置50−1、50−2に対応付けられ、採択装置50−1、50−2は、それぞれアクチュエータ60−1、60−2に対応付けられる。
採択装置50−1、50−2は、それぞれ、演算結果出力部44−11〜44−14、44−21〜44−24からネットワークNWを介して受信した操作量A11〜A14の代表値Az1、A21〜24の代表値Az2を上述の手法を用いて定める。採択装置50−1、50−2は、定めた代表値Az1、Az2を示す採択データをそれぞれアクチュエータ60−1、60−2に出力する。
【0066】
なお、図5、6に示す例でも、図3に示す例と同様にデータ採択部38−1〜38−4から受信データ出力部34−1〜34−4にそれぞれフィードバックループが設けられてもよい。また、図5、6に例示される入力データ受信部32−11〜32−14、32−21〜32−24にも、それぞれ複数の要素値からなるベクトル値を示す入力データが入力されてもよい。その場合には、データ採択部38−11〜38−14、38−21〜38−24は、コントローラ40−11〜40−14、40−21〜40−24に出力する出力データとして、上述の手法を用いてベクトル値を示す代表値をそれぞれ選択してもよい。
【0067】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0068】
例えば、個々の等値化装置30ならびに対応する1個もしくは複数個のコントローラ40の組は、一体化された単一の機器として実装されてもよい。例えば、1台のPCが、1台の等値化装置30の機能と1台のコントローラ40の機能を有してもよい。
また、図5に示す例は、多入力1出力の制御演算、図6に示す例は、1入力多出力の制御演算の適用例を示すが、これらを組み合わせた多入力多出力の制御演算に適用されてもよい。
また、上述の実施形態では、制御システム1において各1個の等値化装置30と1個もしくは複数個のコントローラ40とを対応付ける場合を例にしたが、これには限られない。個々の等値化装置30は、他の機器と対応付けられてもよい。例えば、等値化装置30と、等値化装置30から出力される出力データを記憶する記憶装置(図示せず)とが対応付けられてもよい。その場合には、複数の記憶装置にそれぞれ記憶される出力データが等値化される。
【0069】
なお、上述した実施形態における分配装置20、等値化装置30、コントローラ40および採択装置50の一部、をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、それぞれ機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPU等の演算処理回路により実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、分配装置20、等値化装置30、コントローラ40または採択装置50に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上述したコンピュータシステムは、ネットワークを介して相互に各種のデータを送受信可能とするクラウドコンピューティングシステムの構成要素であるコンピューティングリソースとして構成されていてもよい。
また、上述した実施形態における分配装置20、等値化装置30、コントローラ40および採択装置50の一部、又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。分配装置20、等値化装置30、コントローラ40および採択装置50の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…制御システム、10(10−1、10−2)…センサ、20(20−1、20−2)…分配装置、30(30−1〜30−N)…等値化装置、32(32−1〜32−N、32−11〜32−1N、32−21〜32−2N)…入力データ受信部、34(34−1〜34−N、34−11〜34−1N、34−21〜34−2N)…受信データ出力部、36(36−1〜36−N、36−11〜36−1N、36−21〜36−2N)…他装置データ受信部、38(38−1〜38−N、38−11〜38−1N、38−21〜38−2N)…データ採択部、40(40−1〜40−N、40−11〜40−1N、40−21〜40−2N)…コントローラ、42(42−1〜42−N、42−11〜42−1N、42−21〜42−2N)…制御演算部、44(44−1〜44−N、44−11〜44−1N、44−21〜44−2N)…演算結果出力部、50(50−1、50−2)…採択装置、60…アクチュエータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7