特許第6983387号(P6983387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983387
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池外装材
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20211206BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 15/088 20060101ALI20211206BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20211206BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20211206BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01M50/105
   B32B15/08 F
   B32B15/088
   H01M50/121
   H01M50/119
   H01M50/129
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-210684(P2016-210684)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-60765(P2018-60765A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-191468(P2016-191468)
(32)【優先日】2016年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】御前 公美
(72)【発明者】
【氏名】矢野 拓磨
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−060013(JP,A)
【文献】 特開2016−113178(JP,A)
【文献】 特開2014−024876(JP,A)
【文献】 特開2011−175841(JP,A)
【文献】 特開2001−068074(JP,A)
【文献】 特開2016−015250(JP,A)
【文献】 特開2017−021971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10−50/198
B32B 15/08
B32B 15/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、保護層/ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層がこの順に積層され、前記保護層が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、ポリビニルアルコール30〜1000質量部と、架橋剤0.1〜50質量部とを含むリチウムイオン二次電池外装材であって、
前記酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸成分を0.1〜10質量%含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池外装材。
【請求項2】
酸変性ポリオレフィン樹脂が、さらに、(メタ)アクリル酸エステル成分を0.1〜40質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池外装材。
【請求項3】
ポリビニルアルコールが、変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池外装材。
【請求項4】
変性ポリビニルアルコールが、ジアセトンアクリルアミド変性又はアセトアセチル変性であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のリチウムイオン二次電池外装材。
【請求項5】
ポリビニルアルコールが、無変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池外装材。
【請求項6】
架橋剤が、多価ヒドラジド化合物、多価アミン化合物、多価オキサゾリン化合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のリチウムイオン二次電池外装材。
【請求項7】
酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、ポリビニルアルコール30〜1000質量部と、架橋剤0.1〜50質量部とを含有する水性コーティング液を、ポリアミド樹脂層の少なくとも片面に塗布する工程と、水性コーティング液が塗布されたポリアミド樹脂層を延伸する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池外装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池外装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、リチウムイオン二次電池外装材として、ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層をこの順に積層した積層体が用いられている。前記外装材は、積層体のポリアミド樹脂層側が電池の外側、シーラント層側が内側(電池内部)となるように深絞り加工で容器状に加工され、電池内部には電池電解液(以下、電解液と記す)が注入される。
【0003】
リチウムイオン二次電池製造の際には、電解液を電池内部に注入する工程や、注入後に外装材をヒートシールして容器状に加工する工程において、電解液が外装材の外側に付着することがある。
【0004】
ポリアミド樹脂は、電解液に触れると表面の白化や物性劣化を起こすため、ポリアミド樹脂層のさらに外側に、電解液に対する保護層を設けたリチウムイオン二次電池外装材が提案されている。例えば、特許文献1では、保護層としてポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた外装材、特許文献2では、電解液に対して耐久性のあるコーティング層を保護層とする電池外装材が提案され、具体的な保護層として、ポリ塩化ビニリデンやエポキシ樹脂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−56824号公報
【特許文献2】特開2000−123799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の外装材を得るには、ポリアミド樹脂層を有する従来の外装材の製造方法に対して、さらに接着層を設ける工程、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムをラミネートする工程が必要であった。また、近年では電池の軽量化が求められているのに対し、重量増加の問題もあった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に対して、製造や使用に際して過酷な条件下におかれても製品として使用が可能な外装材を提供することを目的とする。
すなわち、電解液が外装材外側に長時間付着した場合や、高温の電解液が付着した場合においても白化や劣化が生じず、また、高温・高湿度雰囲気下で使用しても白化や劣化がなく、さらに、外装材加工時に生じるエッジ部分に電解液が付着しても白化や劣化のないリチウムイオン二次電池外装材を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂層の外側に酸変性ポリオレフィン樹脂とポリビニルアルコールと架橋剤を含む保護層を設けることで、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0010】
(1)少なくとも、保護層/ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層がこの順に積層され、前記保護層が酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、ポリビニルアルコール30〜1000質量部と、架橋剤0.1〜50質量部とを含むリチウムイオン二次電池外装材であって、
前記酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸成分を0.1〜10質量%含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池外装材。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂が、さらに、(メタ)アクリル酸エステル成分を0.1〜40質量%含有することを特徴とする(1)に記載のリチウムイオン二次電池外装材。
(3)ポリビニルアルコールが、変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池外装材。
(4)変性ポリビニルアルコールが、ジアセトンアクリルアミド変性又はアセトアセチル変性であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のリチウムイオン二次電池外装材。
(5)ポリビニルアルコールが、無変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池外装材。
(6)架橋剤が、多価ヒドラジド化合物、多価アミン化合物、多価オキサゾリン化合物であることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のリチウムイオン二次電池外装材。
(7)酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部と、ポリビニルアルコール30〜1000質量部と、架橋剤0.1〜50質量部とを含有する水性コーティング液を、ポリアミド樹脂層の少なくとも片面に塗布する工程と、水性コーティング液が塗布されたポリアミド樹脂層を延伸する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池外装材の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリチウムイオン二次電池外装材は、電解液の長時間付着や、高温での付着に対しても耐性を有しており、また、容器の特にエッジ部分に付着しても外装材の白化や劣化が抑えられ、さらに、高温・高湿度雰囲気下で使用しても外装材の白化や劣化がない。

また、本発明の製造方法によれば、反りが少ない外装材を得ることができ、保護層の厚みが1μm以下という薄膜であっても上記効果が得られる。これにより、リチウムイオン二次電池外装材の薄型化や低コスト化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明のリチウムイオン二次電池外装材は、少なくとも、保護層/ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層がこの順に積層された積層体である。ここで本発明では、該積層体の保護層側の面を外側、シーラント層側の面を内側と表記することがある。
【0014】
はじめに、保護層について説明する。本発明における保護層は、酸変性ポリオレフィン樹脂と、ポリビニルアルコールと、架橋剤とを含むものである。
【0015】
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸変性成分を0.1〜10質量%含有する。1〜8質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。酸変性成分の含有量が0.1質量%未満の場合は、基材との十分な密着性が得られないことがある。また、酸変性ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に分散するなどの水性化が困難になる傾向がある。一方、10質量%を超える場合は、塗膜の耐電解液性、耐薬品性が低下する傾向にある。
【0016】
酸変性成分としては、不飽和カルボン酸が好ましい。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でも、樹脂の分散安定性の面から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0017】
酸変性ポリオレフィン樹脂の主成分であるオレフィン成分は、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましい。これらの混合物であってもよい。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましく、エチレンが最も好ましい。これらは共重合されていてもよい。
【0018】
酸変性ポリオレフィン樹脂は、ポリアミド樹脂層との密着性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、ポリアミド樹脂層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがさらに好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
【0019】
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成する各成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されない。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられる。
【0020】
酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、20000〜100000であることが好ましく、25000〜70000であることがより好ましく、30000〜50000であることがさらに好ましく、35000〜50000であることが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が20000未満であると、ポリアミド樹脂層との密着性が低下する傾向にある。一方、重量平均分子量が100000を超えると、分散性に優れるコーティング組成物が得難くなる傾向にある。
【0021】
ただし、一般にポリオレフィン樹脂は、溶剤に対して難溶であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法などでは分子量測定が困難となる場合がある。そのような場合には、溶融樹脂の流動性を示すメルトフローレート値を分子量の目安とするのがよい。
【0022】
酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(JIS K7210:1999に準ずる190℃、2.16kg荷重)は、0.1〜1000g/10分であることが好ましく、0.1〜200g/10分であることがより好ましく、0.2〜100g/10分であることがさらに好ましく、0.2〜50g/10分であることが特に好ましい。0.1g/10分未満のものは、樹脂の製造が困難なうえ、コーティング組成物とするのが困難である。一方、1000g/10分を超えるものは、塗膜が硬くてもろくなるため基材との密着性が低下する傾向がある。
【0023】
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は一般に市販されているものを用いることができ、たとえばアルケマ社製ボンダインシリーズ、日本ポリエチレン社製レクスパールシリーズ、三洋化成社製ユーメックスシリーズなどが挙げられる。
【0024】
本発明における保護層は、ポリビニルアルコールを含有しており、ビニルアルキルエステルの重合体を完全又は部分ケン化したポリビニルアルコールが使用できる。ケン化方法としては、公知のアルカリケン化法や酸ケン化法を採用することができる。中でも、メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アルコール分解する方法が好ましい。
【0025】
ビニルアルキルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどがあげられる。中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
【0026】
ポリビニルアルコールのケン化度としては、保護層の耐電解液性の観点から、80〜99.9モル%が好ましく、90〜99.9モル%がより好ましく、95〜99.9モル%がさらに好ましい。
【0027】
ポリビニルアルコールの平均重合度としては、100〜3000が好ましく、300〜3500がより好ましく、500〜2000がさらに好ましい。100未満であると耐電解液性が悪化する場合があり、3000を超えると、後述する水溶液として使用した場合に水溶液の濃度が低くなり、結果十分な厚みの保護層を形成しにくくなる傾向がある。
【0028】
ポリビニルアルコールとしては、リチウムイオン二次電池外装材のエッジ部分の耐電解液性の観点から、無変性ポリビニルアルコールが好ましく、他方後述する架橋剤と反応し、外装材の反りを抑制させる観点で、変性ポリビニルアルコールが好ましい。変性ポリビニルアルコールは、ビニルアルキルエステルおよびビニルアルコール以外の成分を、ポリビニルアルコール骨格中に含有するものであって、その様な成分としては、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和モノカルボン酸及びそのエステル、塩、無水物、アミド、ニトリル類や;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩;アルキルビニルエーテル類;ビニルピロリドン類、ジアセトンアクリルアミド、アセト酢酸エステルなどが挙げられる。
【0029】
変性ポリビニルアルコールの中でも、耐電解液性向上の観点で、ジアセトンアクリルアミドを含有したジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール、アセト酢酸エステルを含有したアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0030】
ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体を鹸化する等の公知の方法によって製造することができる。ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールにおけるジアセトンアクリルアミド単位の含有量としては、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、さらに0.5〜20質量%の範囲がより好ましい。
【0031】
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル変性ポリビニルアルコールにおけるアセト酢酸エステル単位の含有量は0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
【0032】
保護層におけるポリビニルアルコールの含有量は、耐電解液性の観点で、酸変性ポリオ
レフィン樹脂100質量部に対して30〜1000質量部であることが必要であり、下限としては、50質量部以上が好ましく、100質量部以上がより好ましく、00質量部以上がさらに好ましく、上限としては、800質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましく、400質量部以下がさらに好ましく、300質量部以下が特に好ましい。5質量部未満の場合は、耐電解液性能が低下する場合があり、1000質量部を超える場合は、深絞り加工や折りたたんで加工した場合にできるエッジ部分の耐電解液性能が低下する傾向がある。
【0033】
架橋剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂および/またはポリビニルアルコールの有する官能基と反応しうる官能基を分子内に2個以上有する化合物が好ましい。具体的には、多価ヒドラジド化合物、多価アミン化合物、多価オキサゾリン化合物、多価イソシアネート化合物、多価メラミン化合物、尿素化合物、多価エポキシ化合物、多価カルボジイミド化合物、多価ジルコニウム塩化合物などがあげられる。これらは単独であっても複数で含有されていても構わない。これらの中でも、耐電解液性、反り抑制の効果に優れる多価ヒドラジド化合物、多価アミン化合物、多価オキサゾリン化合物が好ましく、多価ヒドラジド化合物がより好ましい。
【0034】
多価ヒドラジド化合物としては、分子中に2個以上のヒドラジド基を有するものであり、低分子化合物であっても重合体であってもかまわないが、耐電解液性に優れる点から低分子化合物の方が好ましい。
【0035】
多価ヒドラジド化合物のうちの低分子多価ヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどの2〜10個、特に4〜6個の炭素原子を含有するジカルボン酸ジヒドラジド;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジンなどの2〜4個の炭素原子を有する脂肪族の水溶性ジヒドラジンなどが挙げられ、これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもかまわない。これらのなかでも、アジピン酸ジヒドラジドが水に対する溶解性と耐電解液性や反りの抑制性能のバランスに優れ好ましい。
【0036】
多価ヒドラジド化合物のうちの多価ヒドラジド重合体(分子中に2個以上のヒドラジド基を有する重合体)としては、その構造や特性は特に限定されないが、例えば、アクリルアミドとアクリル酸ヒドラジドを共重合して得られたものなどが挙げられる。多価アミン化合物としては、分子中に2個以上のアミン基を有するものである。1級アミンまたは2級アミンを有していることが好ましく、1級アミンであることがより好ましい。多価アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミンが例示できる。
【0037】
多価オキサゾリン化合物としては、分子中に2個以上のオキサゾリン基を有するものであり低分子化合物や重合体が挙げられ、重合体の方が耐電解液性、反りの抑制効果が良好であるため好ましい。
【0038】
多価オキサゾリン化合物のうちの低分子多価オキサゾリン化合物としては、例えば、2,2´−ビス−(2−オキサゾリン )、2,2´−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−エチレン−ビス−(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2´−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2´−m−フェニレン−ビス−(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2´−(1,3−フェニレン)−ビス−(2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドおよびビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等の低分子化合物が挙げられる。これら多価オキサゾリン化合物は、1種のみを用いても2種以上を併用してもかまわない。
【0039】
多価オキサゾリン化合物のうちの多価オキサゾリン重合体(分子中に2個以上のオキサゾリン基を有する重合体)は、その構成成分として付加重合性オキサゾリンが好ましく、付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体をも含むモノマー成分を重合させることにより得ることができる。
【0040】
保護層における架橋剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部であることが必要であり、下限としては、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましく、1質量部以上が特に好ましく、上限としては、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。0.1質量部未満の場合は、耐電解液性能が低下したり耐水性が悪化する場合があり、50質量部を超えても性能向上効果はなく、コスト的に不利である。
【0041】
また、本発明では、後述のように酸変性ポリオレフィン樹脂は水性分散体として、ポリビニルアルコールは水溶液として用いることが好ましいため、混合しやすさの観点から、架橋剤としては水溶性および/または水分散性であることが、好ましく、水溶性が最も好ましい。
【0042】
保護層は本発明の効果を損ねない限りにおいて、酸変性ポリオレフィン樹脂やポリビニルアルコール以外の樹脂、その他の添加剤が含有されていてもよい。
【0043】
酸変性ポリオレフィン樹脂やポリビニルアルコール以外の樹脂は特に限定されないが例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン−ポリ塩化ビニル共重合体、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン−マレイン酸樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化型樹脂などがあげられる。これらは単独でも、複数を含有しても構わない。酸変性ポリオレフィンやポリビニルアルコール以外の樹脂の含有量は、効果を損ねない限りにおいては特に限定されないが、通常、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜500質量部の範囲で含有されていることが好ましい。
【0044】
その他の添加剤としては、必要な性能によって適宜選択すればよく特に限定されないが、例えば、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライトなどからなる無機微粒子;レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、触媒、光触媒、UV硬化剤、濡れ剤、浸透剤、柔軟剤、増粘剤、分散剤、撥水剤、滑剤、帯電防止剤、老化防止剤、加硫促進剤などの各種薬剤、顔料あるいは染料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ガラス繊維などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
酸変性ポリオレフィンやポリビニルアルコール以外の樹脂、その他の添加剤においても、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体やポリビニルアルコール水溶液に混合して利用することが容易であることから、水溶性および/または水分散性であることが好ましく、水溶性がより好ましい。
【0046】
本発明における保護層の厚みは0.05〜20μmの範囲であることが好ましく、その下限としては0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましく、0.5μm以上が特に好ましい、また上限としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。厚みが0.05μm未満の場合は本発明の効果が不十分となる場合があり、20μmを超えてもそれ以上の効果を得ることができないうえコスト的にも不利である。
【0047】
次に、本発明におけるポリアミド樹脂層について説明する。
【0048】
本発明に用いるポリアミド樹脂層は、ポリアミド樹脂フィルムを用いることが好ましい。ポリアミド樹脂フィルムは、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムの場合、その延伸方法としては一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでもよく、後述するように、少なくとも片面に水性コーティング液を塗布した後に延伸することで得られるインラインコーティング法で保護層が積層されたポリアミド樹脂フィルムを用いることが、高温・高湿度雰囲気下で白化抑制の観点で好ましい。ポリアミド樹脂の種類としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン1010などのポリアミド樹脂およびそれらの混合物、共重合体、複合体などが挙げられる。
【0049】
ポリアミド樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、5〜100μmの範囲が一般的であり、10〜50μmが好ましい。
【0050】
また、ポリアミド樹脂フィルムの片方または両方の面にはコロナ処理やプラズマ処理、オゾン処理などの公知の表面処理がされていることが好ましく。特に保護層に接する面に
は、コロナ処理がされていることが好ましい。
【0051】
本発明に用いる、アルミニウム箔層は、特に限定されず、リチウムイオン二次電池外装材に適した公知のものを用いることができる。アルミニウム箔の厚みは、20〜200μmの範囲が好ましく、30〜150μmがより好ましい。
【0052】
また、アルミニウム箔の片方または両方の面には、リチウムイオン二次電池外装材用アルミニウムに適した表面処理がされていることが好ましく、化成処理やクロメート処理などの公知の表面処理方法が挙げられる。特にこれら表面処理は、シーラント層に接する側の面にされていることが好ましい。
【0053】
本発明に用いる、シーラント層は、ヒートシール可能であり、耐電解液性を有していれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池外装材に適した公知のものを用いることができる。具体的には、ポリオレフィン樹脂フィルムを用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらを主成分とした共重合体、これらの酸変性物が挙げられる。ポリオレフィン樹脂フィルムは延伸フィルム、無延伸フィルムのいずれも使用できるが、無延伸フィルムを用いることが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂フィルムを2層以上設けてあってもよい。
【0054】
シーラント層の厚みは、20〜200μmの範囲が好ましく、30〜100μmがより好ましい。また、シーラント層の片方または両方の面には、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理などの公知の表面処理が挙げられる。
【0055】
次にリチウムイオン二次電池外装材の製造方法について説明する。
【0056】
本発明のリチウムイオン二次電池外装材は、少なくとも、保護層/ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層がこの順に積層された積層体である。
【0057】
保護層以外の層、すなわちポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層を積層する方法は、リチウムイオン二次電池外装材製造に適した公知の方法を採用することができる。それぞれの層間には、公知の接着剤を介して積層することが可能である。ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層の層間接着には、例えば、2液タイプのウレタン系接着剤やポリエステル系接着剤、酸変性ポリオレフィン系接着剤を用いることが可能である。アルミニウム箔層にポリアミド樹脂層を積層する方法としては、前記のような接着剤を介してドライラミネートや熱ラミネートなどの方法を採用することが可能である。
【0058】
また、アルミニウム箔層/シーラント層の層間接着には、例えば、2液タイプのウレタン系接着剤や酸変性ポリオレフィン系接着剤などを用いることが可能である。アルミニウム箔層にシーラント層を積層する方法としては、前記のような接着剤を介してドライラミネートや熱ラミネート、押出しラミネート、サンドイッチラミネートなどの方法を採用することが可能である。
【0059】
ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層のそれぞれの層間には本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じてアンカーコート層やプライマー層などのその他の層が設けてあってもよい。
【0060】
次に、保護層を積層する方法について説明する。
【0061】
本発明における保護層は、上記のような酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール、架橋剤をそれぞれ所定量含有するものであり、これらを混合した液状物として塗布して設けることが好ましい。なかでも、水性媒体に溶解または分散した液状物(水性コーティング液と記す。)をポリアミド樹脂層に塗布することによって設けることが、加工性や上述したその他の樹脂、その他の添加剤を含有させ易くする観点から好ましい。なお、水性媒体とは、水を主成分とする液体のことであり、後述のように塩基性化合物や有機溶剤などを含有しても構わない。
【0062】
前記した水性コーティング液を得るために、酸変性ポリオレフィン樹脂は水性分散体を用いることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を製造する方法は特に限定されないが、例えば、攪拌機を備えた密閉できる容器中に、酸変性ポリオレフィン樹脂と水を所定量入れ、塩基性化合物及び、必要に応じて有機溶剤の存在下で、加熱・攪拌することで酸変性ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に数平均粒子径1μm以下に安定に分散することができる。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度としては、塗布のし易さや保護層の厚みなどを考慮して、50質量%以下であることが好ましく30質量%以下がより好ましい。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体は、塗膜の耐水性、耐薬品性を高性能で維持するために乳化剤の含有量は、全固形分に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%であることがより好ましく、ゼロであることが最も好ましい。乳化剤が塗膜中に存在すると、それらが塗膜性能を低下させる原因となる。
【0063】
本発明において、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体を製造する際、塩基性化合物と有機溶剤を含有させることが好ましい。塩基性化合物としては、カルボキシル基を中和できるものであればよい。塩基性化合物はLiOH、KOH、NaOH等の金属水酸化物でもよいが、塗膜の耐水性の点から揮発性の化合物が好ましく、アンモニアやトリエチルアミンやアルカノールアミン等の有機アミン化合物が好ましい。
【0064】
有機溶剤としては、20℃における水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0065】
水性コーティング液を得るために、ポリビニルアルコールは水溶液を用いることが好ましい。ポリビニルアルコールの水溶液を製造する方法は一般的な方法、例えば、ポリビニルアルコールと水を混合し加熱、攪拌する方法などを採用すればよい。またポリビニルアルコール水溶液の固形分濃度としては、塗布のし易さや保護層の厚みなどを考慮して決定すればよいが、水への溶解性の観点から20質量%以下であることが好ましい。
【0066】
水性コーティング液を得るために、架橋剤は水溶性および/または水分散性のものを用いることが好ましく、水溶液および/または水性分散体がより好ましい。
【0067】
上記のような酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体、ポリビニルアルコールの水溶液、架橋剤の水溶液および/または水性分散体を、それぞれ本発明で規定する所定量を含有するように混合し水性コーティング液を得ることができる。
【0068】
水性コーティング液を塗布して保護層を積層する場合、予め、ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層の積層体を得てから、ポリアミド樹脂層の外側に保護層を設ける方法を採用してもよいし、ポリアミド樹脂フィルム単体に保護層を積層してから、このポリアミド樹脂フィルムにアルミニウム箔層とシーラント層を、任意の順で積層する方法であってもよい。中でも、保護層の薄膜化や、高温・高湿度雰囲気下で白化抑制の観点から、予めポリアミド樹脂フィルム単体に、水性コーティング液をポリアミド樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布した後に、該ポリアミド樹脂フィルムを延伸して保護層が積層されたポリアミド樹脂フィルムを用い、このポリアミド樹脂フィルムに、アルミニウム箔層とシーラント層を、任意の順で積層する方法が好ましい。
【0069】
水性コーティング液を、ポリアミド樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布する工程と、水性コーティング液が塗布されたポリアミド樹脂層を延伸する工程を含む、ポリアミド樹脂層に保護層を積層する工程について、詳しく説明する。
【0070】
ポリアミド樹脂フィルムは、未延伸フィルムまたは、一軸延伸フィルムを用いることが好ましく、高温・高湿度雰囲気下で白化抑制の観点から一軸延伸フィルムがより好ましい。一軸延伸ポリアミドフィルムを用いる場合は、50〜120℃の温度範囲でMD方向に延伸した後、180〜240℃の温度範囲で熱セットしたものが好ましく、延伸倍率は1.5〜4.0倍の範囲が好ましい。
【0071】
未延伸または、一軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの少なくとも片面に水性コーティング液を塗布する方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などを採用することができ、これらの方法でポリアミド樹脂フィルム表面に均一な厚みに塗布することができる。なお、塗布はポリアミド樹脂フィルムの片面のみに塗布することが、塗布しない面の接着性の観点から好ましい。
【0072】
塗布した後のポリアミドフィルムは、加熱乾燥してから一旦巻き取った後に巻出して延伸工程を設けても構わないし、塗布工程と同一のライン上で延伸工程を設けても(インラインコート法)構わない。高温・高湿度雰囲気下で白化抑制やコストの観点から、塗布工程と同一のライン上で延伸工程を設けるインラインコート法が好ましい。
【0073】
ポリアミド樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布した後に、該ポリアミド樹脂フィルムを延伸する方法としては、公知の方法が採用できる。未延伸フィルムにコートした場合は、加熱しながら二軸または一軸延伸すればよく、二軸延伸の場合は、同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でも構わない。一軸延伸の場合はMD方向、TD方向のいずれであってもよい。一軸延伸フィルムにコートした場合は、使用したフィルムの延伸方向に対して、直角方向に延伸することが好ましい(即ち、MD方向に延伸したフィルムを用いた場合はTD方向に延伸することが好ましく、TD方向に延伸したフィルムを用いた場合はMD方向に延伸することが好ましい)。
【0074】
延伸の際の条件としては、同時二軸延伸の場合は180〜220℃の温度範囲でTD、MD方向とも延伸倍率が1.5〜4.5倍の範囲で延伸することが好ましく、延伸の後には180〜240℃の温度範囲で熱セットすることが好ましい。逐次二軸延伸の場合は、MD方向に延伸する場合は50〜120℃の温度範囲で延伸倍率が1.5〜4.0倍の範囲で延伸されたものが好ましく、TD方向に延伸する場合は70〜150℃の温度範囲で延伸倍率が2.0〜6.0倍の範囲で延伸されたものが好ましく、延伸の後には180〜240℃の温度範囲で熱セットすることが好ましい。一軸延伸の場合は、MD方向に延伸する場合は50〜120℃の温度範囲で延伸倍率が1.5〜4.0倍の範囲で延伸されたものが好ましく、TD方向に延伸する場合は70〜150℃の温度範囲で延伸倍率が2.0〜6.0倍の範囲で延伸されたものが好ましく、延伸の後には180〜240℃の温度範囲で熱セットすることが好ましい。それぞれの延伸は、多段階で延伸したものでも構わない。
【0075】
塗布後の延伸の後には、密着性を良好とするためや架橋密度をより高めるためにエージング処理を設けてもよい。エージング条件は特に限定されず、例えば室温〜60℃の温度で、1〜7日間程度の処理条件が一般的である。
【0076】
上記の様な方法で水性コーティング液を、ポリアミド樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布した後に、該ポリアミド樹脂フィルムを延伸してポリアミド樹脂層に保護層を積層することができる。
【0077】
本発明のリチウムイオン二次電池外装材は、保護層のさらに外側の面にはその他の機能層を積層してもよい。その他の機能層は特に限定されず、必要な性能に適した層を本発明の効果を損なわない範囲で、適宜選択して設ければよい。
【0078】
このようにして得られた積層体は、リチウムイオン二次電池外装材として用いることができ、エンボスタイプや深絞り成型のリチウムイオン二次電池にも適応可能である。さらに、電解液が外装側に付着しても、リチウムイオン二次電池外装材として性能を良好に保持することが可能である。
【実施例】
【0079】
以下の実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0080】
1.酸変性ポリオレフィン樹脂の特性
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
H−NMR分析装置(バリアン社製 GEMINI2000/300、300MHz)により求めた。オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。
【0081】
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS K6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
【0082】
2.ポリビニルアルコールの特性
(1)ポリビニルアルコールのケン化度および平均重合度
JIS K6726:1994記載の方法に準じて測定した。
【0083】
(2)変性ポリビニルアルコールの変性量(ジアセトンアクリルアミド単位含有量またはアセト酢酸エステル単位の含有量)測定
変性ポリビニルアルコールをメタノール、ヘキサンで十分に洗浄したサンプルに対して、DMSO−dを溶媒としたH−NMR測定を行い、帰属したピークの積分値から算出した。
【0084】
3.リチウムイオン二次電池外装材の特性
(1)保護の厚み
得られたリチウムイオン二次電池外装材の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
【0085】
(2)耐電解液性1
得られたリチウムイオン二次電池外装材の保護層面に、水を5質量%添加した電解液(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1/1(v/v)混合液に1M六フッ化リン酸リチウムを溶解させた液)を3g滴下し、38℃または50℃で24時間保持した後の電解液付着部の状態を目視で下記の5段階で評価した。なお、電解液に添加した5質量%の水は、電解液中にフッ酸を生じさせることを目的として添加した。
5:変化なし
4:微かに保護層の膨潤または溶解があるがポリアミド樹脂層の白化はない
3:やや保護層の膨潤または溶解があり微かにポリアミド樹脂層の白化がある
2:保護層の膨潤または溶解があり、ポリアミド樹脂層の白化がある
1:ポリアミド樹脂層の白化および溶解がある
【0086】
(3)耐電解液性2
得られたリチウムイオン二次電池外装材の保護層面が凸となる様に直角に折り込み、直角部分(エッジ部分)を、水を5質量%添加した電解液(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1/1(v/v)混合液に1M六フッ化リン酸リチウムを溶解させた液)に浸漬し、38℃で24時間保持した後のエッジ部分の状態を目視で下記の5段階で評価した。
5:変化なし
4:微かに保護層の膨潤または溶解があるがポリアミド樹脂層の白化はない
3:やや保護層の膨潤または溶解があり微かにポリアミド樹脂層の白化がある
2:保護層の膨潤または溶解があり、ポリアミド樹脂層の白化がある
1:ポリアミド樹脂層の白化および溶解がある
【0087】
(4)リチウムイオン二次電池外装材の反り
作製直後のリチウムイオン二次電池外装材を150mm角の正方形に切り出し、反りの状態を目視で以下の指標で評価した。
○:反りがない
△:微かに反りがある
×:明らかに反りがある
【0088】
(5)高温・高湿度雰囲気下での白化抑制
得られたリチウムイオン二次電池外装材を、温度85℃、湿度85%RHの環境下で7日間保持した後に、保護層面の白化の状態を目視で下記の5段階で評価した。
○:白化がない
△:微かに白化が確認される
×:明らかに白化が確認される
【0089】
<酸変性ポリオレフィン樹脂>
酸変性ポリオレフィン樹脂としては、市販品であるボンダインHX8290(アルケマ社製、以下、HX8290とする)、ボンダインLX4110(アルケマ社製、以下、LX4110とする)、プリマコール5980I(ダウケミカル社製、以下、5980Iとする)を用いた。酸変性ポリオレフィン樹脂の特性を表1にまとめた。なお、以上の酸変性ポリオレフィン樹脂は、以下に示す方法で分散体として利用した。
【0090】
【表1】
【0091】
<HX8290、LX4110の分散体の製造>
撹拌翼を備えた内容積が1000Lの耐圧オートクレーブに、100kgのHX8290または、100kgのLX4110、150kgのN−プロパノール、4.5kgのトリエチルアミン(TEA)及び245.5kgの蒸留水を仕込み、密閉後、撹拌翼の回転速度を40rpmとして撹拌した。次いで、オートクレーブの系内温度を120℃になるまで加熱し、さらに120℃を保ちつつ120分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度40rpmのまま攪拌しつつ約40℃まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、ポリオレフィン樹脂HX8290の水性分散体および、ポリオレフィン樹脂LX4110の水性分散体を得た。なお、ろ過後に300メッシュフィルター上にはHX8290の水性分散体、LX4110の水性分散体とも未分散物は確認されなかった。(得られたHX8290の水性分散体を以下、HX8290Emと記し、LX4110の水性分散体を以下、LX4110Emと記す。)
【0092】
<5980Iの分散体の製造>
撹拌翼を備えた内容積が1000Lの耐圧オートクレーブに、60.0kgの5980I、16.8kgのTEA、及び223.2kgの蒸留水を仕込み、密閉した。そして、撹拌翼の回転速度を200rpmとし、系内温度を140℃に保って、120分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度40rpmのまま攪拌しつつ約40℃まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、ポリオレフィン樹脂の分散体を得た。なお、ろ過後に300メッシュフィルター上には未分散物は確認されなかった。(得られた分散体を以下、5980IEmと記す。)
【0093】
<ポリビニルアルコールの水溶液>
ポリビニルアルコールとして、ケン化度98.5モル%、平均重合度1700のポリビニルアルコール(以下、無変性PVAと記す。)を用いて、固形分濃度が10質量%となるように水に溶解し、ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
【0094】
<変性ポリビニルアルコールの水溶液>
ポリビニルアルコールとして、ジアセトンアクリルアミド単位含有量12質量%、ケン化度98.5モル%、平均重合度1700のジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール(以下、ジアセトンアクリルアミド変性PVAと記す。)を用いて、固形分濃度が10質量%となるように水に溶解し、ポリビニルアルコール水溶液を作製した。
【0095】
<架橋剤を含有する水溶液>
架橋剤として、ヒドラジド化合物の水溶液(大塚化学社製、アジピン酸ジヒドラジド)(以下、ADHと記す。)を用いて、固形分濃度が5質量%となるように水と混合し、架橋剤を含有する水溶液を作製した。得られた水溶液をADH水溶液とした。
【0096】
<ポリウレタン樹脂の水性分散体製造>
攪拌機、温度計、窒素シール管、冷却器のついた反応器に、数平均分子量1970のポリテトラメチレングリコールを345kg、イソホロンジイソシアネートを77.8kg、ジブチルチンジラウレートを30g仕込み、80℃で2時間反応させた。次いでこの反応液を50℃まで冷却した後、3−ジメチルアミノプロパノールを11.7kg、トリエチルアミンを8.85kg、アセトンを177kg質量部添加し、3時間反応させた。さらに、この反応液にアセトンを175kg加えて30℃まで冷却し、イソホロンジイソシアネート13.4kg、モノエタノ−ルアミン1.07kg、イソプロパノール87.9kg、水1039kgからなる混合液を加えて高速攪拌し、この液からアセトン、水及びイソプロパノールを留去して、ポリエーテル型のポリウレタン樹脂の水性分散体(固形分濃度50質量%)を得た。
【0097】
(実施例1)
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体LX4110Em、無変性PVA水溶液、及び架橋剤として多価オキサゾリン重合体の水溶液(日本触媒社製エポクロスWS700、固形分濃度25質量%、以下、WS700と示す)を用い、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、ポリビニルアルコール固形分が100質量部、架橋剤固形分が5質量部となるように混合した後、室温で撹拌し、水性コーティング液を得た。
【0098】
次に、ポリアミド6樹脂(相対粘度3.1)及びシリカ6質量%含有ポリアミド6樹脂(相対粘度2.7)を原料として用い、ポリアミド6樹脂/シリカ含有ポリアミド6樹脂=97.5/2.5(質量比)の組成比率にて押出機内で溶融混練し、延伸後に得られるポリアミド系フィルムの厚みが15μmとなる様に調整しつつ、Tダイへ供給してシート状に吐出した。シートを20℃に温度調節した金属ドラムに巻き付け、冷却して未延伸シートを製造し、次いで、逐次二軸延伸機により延伸工程を実施した。より具体的には、前記シートのMD方向についてはロールを用いて延伸した後、TD方向についてはテンターを用いて延伸する方法により延伸を行った。
まず、MD方向の延伸は、前記シートを56℃で複数個の延伸用ロールに通過させることにより、MD方向へ2.85倍の延伸を行った。
MD方向の延伸後、水性コーティング液を、延伸および熱セット後の保護層厚みが0.8μmになるように、グラビアコーターを用い片面に塗布した。その後、水性コーティング液の塗布と同一ライン上で、テンターを用いて90℃でTD方向へ3.2倍の延伸を行った。
TD方向の延伸後、温度202℃及び弛緩率3%の条件で弛緩熱処理(熱セット)し、片面に保護層が形成された二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム(厚み15μm)を得た。
【0099】
次に、得られた保護層が形成された二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムのポリアミド樹脂面(保護層を有さない面)と、両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚み40μm)とを、接着剤a(ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合した2液ポリウレタン系接着剤、厚み4μm)を用いてドライラミネート手法により貼り合わせた。次いで、保護層と反対側の面(アルミニウム箔面)に、接着剤b(ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合した2液ポリウレタン系接着剤、厚み4μm)を用いてドライラミネートにより、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)を貼り合わせてシーラント層を設け、リチウムイオン二次電池外装材を作製した。(本方法は、水性コーティング液をポリアミド樹脂フィルムに塗布した後に、ポリアミド樹脂フィルムを延伸する工程を有している。)
【0100】
(実施例2、参考例2
水性コーティング液中のポリビニルアルコールの含有量を、300質量部(実施例2)
または、5質量部(参考例2)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、リチ
ウムイオン二次電池外装材を作製した。
【0101】
(実施例3、4、参考例3
水性コーティング液製造に、ポリビニルアルコール水溶液としてジアセトンアクリルア
ミド変性PVA水溶液を用い、架橋剤としてADH水溶液を用い、酸変性ポリオレフィン
樹脂固形分100質量部に対してポリビニルアルコール固形分が100質量部(実施例3
)または、300質量部(実施例4)、5質量部(参考例3)に変更した水性コーティン
グ液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、リチウムイオン二次電池外装材を
作製した。
【0102】
(実施例5、参考例1
水性コーティング液製造に、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体としてHX829
0Em(実施例5)または、5980IEm(参考例1)を用いた以外は、実施例4と同
様の操作を行って、リチウムイオン二次電池外装材を作製した。
【0103】
(実施例
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体LX4110Em、無変性PVA水溶液、及び
WS700を、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、ポリビニルアル
コール固形分が300質量部、架橋剤固形分が5質量部となるように混合した後、室温で
撹拌し、水性コーティング液を得た。
【0104】
次に、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレムON−15、厚み15μm)に、乾燥後のコーティング層の厚みが2μmとなるように、水性コーティング液を塗布し、110℃で3分間熱風乾燥した。これを40℃で5日間エージング処理した。
【0105】
次に、得られた保護層が形成された二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムのポリアミド樹脂面(保護層を有さない面)と、両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚み40μm)とを、接着剤a(ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合した2液ポリウレタン系接着剤、厚み4μm)を用いてドライラミネート手法により貼り合わせた。次いで、保護層と反対側の面(アルミニウム箔面)に、接着剤b(ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合した2液ポリウレタン系接着剤、厚み4μm)を用いてドライラミネートにより、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)を貼り合わせてシーラント層を設け、リチウムイオン二次電池外装材を作製した。(本方法は、水性コーティング液をポリアミド樹脂フィルムに塗布した後に、ポリアミド樹脂フィルムを延伸する工程を有していない。)
【0106】
(実施例
水性コーティング液製造に、ポリビニルアルコール水溶液としてジアセトンアクリルア
ミド変性PVA水溶液を用い、架橋剤としてADH水溶液を用いた以外は、実施例同様
の操作を行って、リチウムイオン二次電池外装材を作製した。
【0107】
(実施例
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体HX8290Em、ジアセトンアクリルアミド
変性PVA水溶液、及びADH水溶液を用い、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質
量部に対して、ポリビニルアルコール固形分が100質量部、架橋剤固形分が5質量部と
なるように混合した後、室温で撹拌し、水性コーティング液を得た。
【0108】
次に、両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚み40μm)と、両面にコロナ処理を施した二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム(厚み25μm)を、接着剤a(ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合した2液ポリウレタン系接着剤、厚み4μm)を用いてドライラミネート手法により貼り合わせた。次いで、得られた積層体のポリアミド樹脂層と反対側の面(アルミニウム箔面)に、接着剤b(ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合した2液ポリウレタン系接着剤、厚み4μm)を用いてドライラミネートにより、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)を貼り合わせてシーラント層を設け、積層体(ポリアミド樹脂層の外側がコロナ処理された、ポリアミド樹脂層/アルミニウム箔層/シーラント層)を得た。
【0109】
次に、積層体のポリアミド樹脂層面に、乾燥後のコーティング層の厚みが2μmとな
るように、水性コーティング液を塗布し、110℃で3分間熱風乾燥することで保護層を積層した。乾燥後の積層体を40℃で5日間エージング処理して、リチウムイオン二次電池外装材を作製した。
【0110】
(比較例1〜5)
水性コーティング液の種類として、比較例1では、無変性PVA水溶液および、WS700を、無変性PVAの固形分100質量部に対して、WS700の固形分が5質量部となるように混合した後、室温で撹拌して得た水性コーティング液に、比較例2では、ジアセトンアクリルアミド変性PVA水溶液および、ADH水溶液を、ジアセトンアクリルアミド変性PVAの固形分100質量部に対して、ADHが5質量部となるように混合した後、室温で撹拌して得た水性コーティング液に、比較例3では、LX4110Emおよび、ADH水溶液を、LX4110Emの固形分100質量部に対して、ADHが5質量部となるように混合した後、室温で撹拌して得た水性コーティング液に、比較例4では、ポリ塩化ビニリデン水性分散体(旭化成ケミカルズ社製、サランレテックスL549B、固形分濃度48質量%)に、比較例5では、前記したポリエーテル型のポリウレタン樹脂の水性分散体に、変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、リチウムイオン二次電池外装材を作製した。
【0111】
実施例1〜、比較例1〜5、参考例1〜3で作成したリチウムイオン二次電池外装材の評価結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
実施例1〜で得られたリチウムイオン二次電池外装材は、電解液の長時間付着や高温での付着、さらにエッジ部分に付着しても白化や劣化が抑えられ、前記過酷な条件下においても良好な耐電解液性を示した。また、高温・高湿度雰囲気下においても白化が見られず、反りも抑制されていた。
特に、実施例2、4は、ポリビニルアルコール含有量が本願の好ましい範囲であり、他
の実施例と比較してわかるように、耐電解液性が優れていた。また、実施例1〜はイン
ラインコーティング法で積層しているため、ポストコートで積層した実施例と比
較して、耐電解液性や高温・高湿度雰囲気下での白化抑制で良好な結果が得られた。さら
に、実施例1〜8は、酸変性ポリオレフィンの酸変性量が好ましい範囲であったため、耐電解液性が良好であった。
一方、比較例1、2においては、酸変性ポリオレフィン樹脂を含有していない保護層で
あったため、耐電解液性、高温・高湿度雰囲気下での評価において劣っていた。比較例3
は、ポリビニルアルコールを含有していない保護層であったため、耐電解液性に劣り、反
りが発生していた。比較例4、5においては、他の樹脂であったため、耐電解液性、反り
、高温・高湿度雰囲気下での評価いずれにおいても劣っていた。