(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の作業機の実施形態について説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
また、説明の便宜上、上方(上部)又は下方(下部)という語句を用いて説明するが、上方(上部)は水平面から遠ざかる方向を示し、下方(下部)は水平面に向かって近づく方向を示す。同様に、前方(前側)又は後方(後側)という語句を用いて説明するが、前方(前側)は作業機を基準として走行機体が位置する方向を示し、後方(後側)は前方とは180°反対の方向を示す。
【0014】
本発明は、耕耘機や代掻き機のように、例えばトラクタなどの走行機体の後部に連結され、耕耘爪を回転させることで土壌を耕すまたは撹拌する作業機全般に適用することができる。第1実施形態では、作業機の一例として代掻き機を用いて本発明の特徴を説明するが、これに限定されるものではない。
【0015】
〈第1実施形態〉
[作業機10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る作業機の全体構成を示す平面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る作業機の全体構成を示す側面図である。
図1および
図2に示すように、第1実施形態に係る作業機10は、作業部100、延長作業部200、切り替え部300、連結部400、レベラ制御部500、および耕耘ロータ部600(
図2参照)を有する。
【0016】
本実施形態の作業機10は、トラクタ等の走行機体20の後部に装着され、圃場において牽引される。
図1に示す平面視において、作業機10は、走行機体20の進行方向に対して垂直な方向に長手方向を有する。本実施形態では、この長手方向を、作業機10の左右方向又は作業機10の幅方向と呼ぶ場合がある。
【0017】
作業部100は、シールドカバー110、エプロン120およびレベラ130を有する。なお、「作業部100」、「エプロン120」及び「レベラ130」は、それぞれ「第1作業部」、「第1カバー部材」及び「第1整地部材」と呼ぶ場合がある。
【0018】
シールドカバー110およびエプロン120は、回転移動の軸(回動軸)としての接続部122を介して接続されている。エプロン120およびレベラ130は、接続部132を回動軸として接続されている。接続部122および接続部132は、蝶番状のヒンジを有している。つまり、接続部122および接続部132は、一方の部材に固定された円筒状部材と、この円筒状部材を貫通して他方の部材に固定された柱状部材とを有している。
【0019】
エプロン120は、複数の耕耘爪610を回転させる耕耘ロータ部600の後方に設けられている(
図2参照)。エプロン120は、耕耘ロータ部600の作業によって飛散された飛散物(泥など)が外部に放出されることを抑制する。レベラ130は耕耘ロータ部600の作業によって起伏が生じた圃場を均平化する。なお、「耕耘ロータ部600」は、「耕耘ロータ部」と呼ぶ場合がある。
【0020】
延長作業部200は、作業部100に接続されている。本実施形態の作業機10は、延長作業部200の配置によって収納状態と作業状態とを切り替えることができる。ここで、「収納状態」とは、作業機10の幅が走行機体20の進行方向に対して直交する方向に縮小された状態である。具体的には、延長作業部200が作業部100に対して回動することで折り畳まれた状態を収納状態という。「作業状態」とは、作業機10の幅が走行機体20の進行方向に対して直交する方向に延長された状態である。具体的には、収納状態から延長作業部200が作業部100に対して回動し、展開された状態を作業状態という。なお、「延長作業部200」は、「第2作業部」と呼ぶ場合がある。
【0021】
延長作業部200は、作業部100と同様に延長シールドカバー210、延長エプロン220および延長レベラ230を有する。延長シールドカバー210は、耕耘ロータ部600のうち延長作業部200に対応して設けられた耕耘ロータの上方に設けられている。なお、「延長エプロン220」及び「延長レベラ230」は、それぞれ「第2カバー部材」及び「第2整地部材」と呼ぶ場合がある。
【0022】
延長エプロン220は、延長作業部200の耕耘ロータの後方に設けられており、延長シールドカバー210に接続部222を軸として回動可能に接続されている。延長レベラ230は、延長作業部200の耕耘ロータの後方に設けられており、延長エプロン220に接続部232を軸として回動可能に接続されている。延長エプロン220はエプロン120と連動し、耕耘ロータ部600の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。延長レベラ230はレベラ130と連動し、耕耘ロータ部600の作業によって起伏を生じた圃場を均平化する。なお、レベラ130および延長レベラ230は連結部400によって連結されている。
【0023】
切り替え部300は、制御シリンダ310および接続部320を有し、延長作業部200を作業部100に対して回動させることで、前述の作業機10の収納状態と作業状態とを切り替える。制御シリンダ310は、一端が作業部100に固定された接続部311に回動可能に接続され、他端が延長作業部200に固定された接続部312に回動可能に接続されている。延長作業部200は、制御シリンダ310が収縮することで折り畳まれて収納状態に切り替えられ、制御シリンダ310が伸長することで展開されて作業状態に切り替えられる。
【0024】
連結部400は、作業部100のレベラ130および延長作業部200の延長レベラ230に取り付けられている。
図1に示す作業状態において、連結部400はレベラ130および延長レベラ230を連結する。連結部400は第1係止部材410および第1受け部材420を有し、第1係止部材410が第1受け部材420に入り込むことでレベラ130および延長レベラ230が連結される。連結部400は、作業状態においてレベラ130および延長レベラ230の相対的な動作範囲を規制する。また、第1係止部材410が第1受け部材420から脱離した状態において、連結部400は延長エプロン220に対する延長レベラ230の回動を規制する。つまり、作業状態以外の状態においても、連結部400によって延長レベラ230の延長エプロン220に対する回動が規制される。
【0025】
レベラ制御部500は、シールドカバー110およびレベラ130に接続され、シールドカバー110に対するレベラ130の位置および角度を調整する。レベラ制御部500によって、レベラ130の地面(水平面)に対する高さおよび角度が制御される。
【0026】
延長レベラ230の外側の端部にはレベラ拡張部510が設けられている。レベラ拡張部510によって、整地可能な幅がさらに広がる。レベラ拡張部510は延長レベラ230に回動可能に接続されている。レベラ拡張部510の延長方向(長手方向)は、レベラ130および延長レベラ230の延長方向に対して走行機体20側に傾斜している。
【0027】
シールドカバー110の走行機体側には土寄せ板520が設けられている。土寄せ板520は、走行機体20の進行方向に対して直交する方向にスライド移動可能に取り付けられている。土寄せ板520は、作業機10の使用時において、走行機体20の車輪20aの位置に合わせて設置され、車輪跡(轍)による段差(車輪20aによって押し出された土によって生じた起伏)を緩和する。
【0028】
なお、本実施形態では、走行機体20としてトラクタ等の車体を想定し、走行手段としてタイヤを想定しているが、これに限られるものではない。例えば、走行機体20は、走行手段としてクローラを備えたものであってもよい。
【0029】
図2に示すように、耕耘ロータ部600は、複数の耕耘爪610および動力部620を有する。複数の耕耘爪610が取り付けられた回転軸630(
図3参照)は動力部620から供給される動力によって回転する。これにより、複数の耕耘爪610が回転し、圃場に作用することで圃場を耕すまたは撹拌する。
図2において、耕耘爪610が回動する範囲を回動範囲612として点線で示している。
【0030】
[耕耘ロータ部の構成]
次に、本実施形態に係る作業機10が有する耕耘ロータ部600の具体的な構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る作業機の耕耘ロータ部600の構成を示す図である。具体的には、耕耘ロータ部600のうち作業部100に対応する部分の構成を背面側から見た場合の一例を示している。なお、説明の便宜上、耕耘爪610を回転軸630に取り付けるためのホルダ又はフランジ等の固定部材は、図示を省略する。
【0031】
図3において、回転軸630は、作業部100において回転自在に軸支されており、作業機10の左右方向(幅方向)に延在する。複数の耕耘爪610は、図示しないホルダ又はフランジ等の固定部材を用いて回転軸630の所定の装着部に取り付けられている。なお、
図3では、1つの装着部に対して2つの耕耘爪しか図示していないが、実際には、4つの耕耘爪が取り付けられている。ただし、耕耘爪を取り付ける数は、4つに限定されるものではない。
【0032】
本実施形態の耕耘ロータ部600に配置される複数の耕耘爪610は、大別して、2種類の耕耘爪を含む。2種類の耕耘爪の一方は、土寄せ用の耕耘爪であり、他方は、代掻き用の耕耘爪である。土寄せ用の耕耘爪とは、圃場の土を所定の方向に寄せる作用に適した形状を有する耕耘爪である。土寄せ用の耕耘爪としては、例えば、特開2012−200179号公報や特開2016−208869号公報に記載された土寄せ用の耕耘爪を用いることができる。また、代掻き用の耕耘爪とは、砕土及び藁の土中へのすき込みなどの作用に適した形状を有する耕耘爪である。代掻き用の耕耘爪としては、例えば、特開2015−142520号公報に記載された代掻き用の耕耘爪を用いることができる。
【0033】
なお、説明の便宜上、以下の説明において、土寄せ用の耕耘爪の形状を「第1形状」と呼び、代掻き用の耕耘爪の形状を「第2形状」と呼ぶ場合がある。また、一般的に、耕耘爪は、取付け基部、縦刃部及び横刃部で構成されるが、このような構成の耕耘爪は公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
ここで、本実施形態では、回転軸630の中央632を境として方向D1及び方向D2を定義する。方向D1とは、回転軸630に沿って回転軸630の軸方向中央632から回転軸630の軸方向端部634に向かう方向である。方向D2とは、方向D1とは逆向きの方向である。ただし、ここでいう「中央」とは、厳密な意味で回転軸630の中央を指すものではなく、ほぼ中央とみなせる範囲を含む。すなわち、方向D1及び方向D2は、相対的に、回転軸630の端部634に向かう方向であるか中央付近に向かう方向であるかを示しているにすぎない。
【0035】
上述の定義に従うと、
図3において、第1耕耘爪610aは、横刃部が方向D1に湾曲する第1形状の耕耘爪である。第2耕耘爪610bは、横刃部が方向D2に湾曲する第1形状の耕耘爪である。つまり、第1耕耘爪610aと第2耕耘爪610bは、横刃部の湾曲方向が互いに逆向きである土寄せ用の耕耘爪である。
【0036】
また、第3耕耘爪610cは、横刃部が方向D1に湾曲する第2形状の耕耘爪である。第4耕耘爪610dは、横刃部が方向D2に湾曲する第2形状の耕耘爪である。つまり、第3耕耘爪610cと第4耕耘爪610dは、横刃部の湾曲方向が互いに逆向きである代掻き用の耕耘爪である。
【0037】
これらの第1耕耘爪610a、第2耕耘爪610b、第3耕耘爪610c及び第4耕耘爪610dは、回転軸630の所定の位置に対してホルダ又はフランジ等により固定される。
【0038】
具体的には、
図3に示されるように、第1装着部3aに対しては、少なくとも第1耕耘爪610a及び第2耕耘爪610bが装着される。第1方向(方向D1)において第1装着部3aに隣接する第2装着部3bに対しては、少なくとも第1耕耘爪610a及び第3耕耘爪610cが装着される。第2方向(方向D2)において第1装着部3aに隣接する第3装着部3cに対しては、第3耕耘爪610c及び第4耕耘爪610dが装着される。第1方向において第2装着部3bに隣接する第4装着部3dに対しては、第3耕耘爪610c及び第4耕耘爪610dが装着される。
【0039】
なお、
図3では、複数の耕耘爪610が一列に並んだ様子が図示されているが、これに限らず、回転軸630の軸方向の一方側から他方側へと螺旋状に配置することも可能である。
【0040】
ここで、各装着部における耕耘爪の配置例について、
図4を用いて説明する。
図4(A)に示されるように、第1装着部3aには、第1耕耘爪610aと第2耕耘爪610bとが互いに対向する位置に配置されている。また、第1装着部3aには、さらに第3耕耘爪610cと第4耕耘爪610dとが互いに対向する位置に配置されている。なお、「互いに対向する位置」とは、回転軸630の周方向に位相を160度以上200度以下の範囲(代表的には180度)でずらした位置をいう。ただし、各耕耘爪を配置する際の位置関係は、互いに対向する位置に限定されるものではない。例えば、1つの装着部に3つの耕耘爪を配置する場合、隣接する耕耘爪が、回転軸630の周方向に位相を100度以上140度以下の範囲(代表的には120度)でずらした位置にあってもよい。
【0041】
また、
図4(B)に示されるように、第2装着部3bには、第1耕耘爪610aと第3耕耘爪610cとが互いに対向する位置に配置されている。加えて、第2装着部3bには、第3耕耘爪610cと第4耕耘爪610dとが互いに対向する位置に配置されている。
【0042】
また、
図4(C)に示されるように、第3装着部3c及び第4装着部3dには、第3耕耘爪610cと第4耕耘爪610dとが互いに対向する位置に配置されている。実際には、第3装着部3c及び第4装着部3dには、互いに対向するように配置された第3耕耘爪610cと第4耕耘爪610dの組み合わせが、二組取り付けられている。このような耕耘爪の取付け方は、一般的な代掻き爪の取付け方として知られている。
図3に示されるように、本実施形態の作業機10における回転軸630の大部分の装着部は、第3装着部3c及び第4装着部3dと同様の構成となっている。
【0043】
本実施形態に係る作業機10は、走行機体20の車輪20aが通過することによって生じた土量が増加した部分に合わせて、第1耕耘爪610a及び第2耕耘爪610bの組み合わせが配置される第1装着部3aと、第1耕耘爪610a及び第3耕耘爪610cの組み合わせが配置される第2装着部3bとが配置される。この点について
図5を用いて詳細に説明する。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態に係る作業機10における耕耘爪610と走行機体20の車輪20aの通過跡30a(以下「車輪通過跡30a」という)との位置関係を示す図である。具体的には、耕耘爪610と、走行機体20の進行方向に向かって左側の車輪20aの内側(方向D2側)に形成された車輪通過跡30aとの位置関係に着目して説明する。なお、
図3と同じ符号を用いている要素の詳細については、前述したとおりである。
【0045】
図5において、走行機体20(
図1参照)が圃場を走行すると、圃場の泥土30が車輪通過跡30aから押し出され、土量の増加した部分(以下、「土量増加部32」という)が生じる。本実施形態では、土量増加部32が生じた位置に前述の第1装着部3aが配置されるように、耕耘ロータ部600が設計されている。つまり、土量増加部32の位置に合わせて、第1耕耘爪610a及び第2耕耘爪610bの組み合わせが配置される。また、第1装着部3aに隣接する第2装着部3bも、土量増加部32の位置に合わせて配置される。
【0046】
これにより、土量増加部32の方向D2側の一部が、第1装着部3aに配置された第1耕耘爪610a、第2耕耘爪610b、第3耕耘爪610c及び第4耕耘爪610dで切り崩される。このとき、切り崩された土の一部は、第1耕耘爪610aの作用により車輪通過跡30aに向かって放擲される。また、他の土の一部は、第2耕耘爪610bの作用により耕耘ロータ部600の中央付近(方向D2側)に向かって放擲される。つまり、土量増加部32のうち、
図5に示した領域32aに位置する土は、第2耕耘爪610bにより耕耘ロータ部600の中央付近に向かって放擲されることとなる。
【0047】
また、土量増加部32の方向D1側の一部が、第2装着部3bに配置された第1耕耘爪610a、第3耕耘爪610c及び第4耕耘爪610dで切り崩される。このとき、切り崩された土の一部は、第1耕耘爪610aの作用により車輪通過跡30aに向かって放擲される。
【0048】
以上のとおり、本実施形態では、第1装着部3a及び第2装着部3bを土量増加部32の位置に合わせて配置することにより、土量増加部32の大部分の土を車輪通過跡30aに向かって戻すと共に、土量増加部32の一部の土を耕耘ロータ部600の中央付近に放擲することができる。
【0049】
本発明者らの知見によれば、車輪20aによって押し出された土をすべて車輪通過跡30aに戻そうとすると、耕耘ロータ部600の左右方向(幅方向)において圃場の土量が不均一になりやすい。特に、耕耘ロータ部600の中央付近(すなわち、走行機体20の左右の車輪20aの間)においては、土量が減りやすい傾向にある。
【0050】
しかしながら、本実施形態の作業機10は、車輪20aの通過によって生じた起伏、すなわち土量増加部32の一部を、敢えて耕耘ロータ部600の中央付近に放擲する構成となっている。また、土量増加部32の切り崩しにより、圃場の水の流入撹拌が起こって耕耘ロータ部600の中央付近の土量が均一化される。さらに、土量の均一化により水と土の比率も向上するため、砕土性も均一化するという利点がある。
【0051】
以上のとおり、作業機10は、走行機体20の通過に伴う車輪通過跡30aを消しつつ耕耘ロータ部600の中央付近の土量の減りを抑制し、圃場の均一な仕上がりを実現することができる。
【0052】
なお、
図5では図示されないが、走行機体20の進行方向に向かって右側の車輪20aの内側(方向D1側)においても、同様に土量増加部32が形成される。したがって、本実施形態の作業機10は、
図3に示されるように、回転軸630の軸方向中央を挟んで二か所に第1装着部3a及び第2装着部3bが設けられている。具体的には、第1装着部3a及び第2装着部3bは、走行機体20における車輪通過跡30aよりも回転軸630の軸方向中央に近い側(より具体的には、車輪通過跡30aにおける回転軸630の軸方向中央に近い側の縁)に位置する。
【0053】
一般的に、走行機体20における左右の車輪20aの間の距離(車輪20aの内側面の間の距離)は、およそ700〜1400mmの範囲に収まる。つまり、走行機体20の中央付近から車輪20aの内側面までの距離は、およそ350〜700mmの範囲である。このとき、走行機体20の中央付近の位置と作業機10の中央付近(すなわち、耕耘ロータ部600の中央付近)の位置がほぼ一致することを踏まえると、第1装着部3a及び第2装着部3bの位置は、使用する走行機体20の車輪20aの間隔に合わせて、回転軸630の軸方向中央632から300mm以上750mm以下(好ましくは、350mm以上700mm以下)の範囲とすることが好ましいと言える。このように、回転軸630の軸方向における第1装着部3a及び第2装着部3bの位置は、車輪20aの間の距離に応じて適宜変更することが好ましい。
【0054】
また、
図3に示されるように、本実施形態の作業機10は、回転軸630の軸方向端部634にも土寄せ用の耕耘爪を配置している。具体的には、作業機10の進行方向に向かって右側の端部634付近には第1耕耘爪610aを配置し、作業機10の進行方向に向かって左側の端部634付近には第2耕耘爪610bを配置している。このように、車輪通過跡30aの外側(方向D1側)に形成された土量増加部にも対応して土寄せ用の耕耘爪を設けておくと、より効率よく車輪通過跡30aを消すことができるとともに圃場の均一な仕上がりを実現することができる。ただし、車輪通過跡30aの外側に配置する土寄せ用の耕耘爪は必須ではなく、通常の代掻き用の耕耘爪で代用することも可能である。
【0055】
〈第2実施形態〉
第1実施形態では、回転軸630の第1装着部3aに対して第1耕耘爪610aと第2耕耘爪610bとが互いに対向する位置に配置されるとともに、第3耕耘爪610cと第4耕耘爪610dとが互いに対向する位置に配置されている例を示した。本実施形態では、第1実施形態とは異なる態様で第1装着部3aに対して複数の耕耘爪を取り付けた例を示す。
【0056】
図6は、第2実施形態の作業機10における第1装着部3aの耕耘爪の配置例を示している。
図6では、2つの第1耕耘爪610aと2つの第2耕耘爪610bとを組み合わせている。具体的には、第1装着部3aに対して第1耕耘爪610aと第2耕耘爪610bとが互いに対向する位置に配置され、そのような耕耘爪の組が2つ配置された構成となっている。
【0057】
本実施形態では、第1装着部3aに配置されたすべての耕耘爪が土寄せ用の耕耘爪であるため、第1実施形態に比べて、土を寄せる作用が強くなる。つまり、
図5に示した車輪通過跡30aに戻せる土量が増すとともに、土量増加部32の一部を耕耘ロータ部600の中央付近に放擲する土量も増す。これにより、圃場が緩い場合など、土量増加部32が大きくなるような場合に、効率よく車輪通過跡30aを消すことができるとともに圃場の均一な仕上がりを実現することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、2つの第1耕耘爪610aと2つの第2耕耘爪610bとを組み合わせているが、これに限らず、必要に応じて耕耘爪の組み合わせを適宜変更することが可能である。例えば、車輪通過跡30aに戻す土量が多い場合は、3つの第1耕耘爪610aと1つの第2耕耘爪610bとの組み合わせとしてもよい。逆に、耕耘ロータ部600の中央付近に放擲する土量を増やしたい場合は、3つの第2耕耘爪610bと1つの第1耕耘爪610aとの組み合わせとすることも可能である。
【0059】
〈第3実施形態〉
第1実施形態では、
図5に示したように、土量増加部32に対応して回転軸630の第1装着部3a、第2装着部3bを配置する例を示した。これら第1装着部3a及び第2装着部3bの配置は、
図5の例に限らず、土量増加部32の大きさ、形状等に合わせて適宜変更することができる。
【0060】
図7は、第3実施形態に係る作業機10における耕耘爪の配置例を示す図である。本実施形態では、
図7に示されるように、第1装着部3aを2つ並べて配置している。つまり、第1実施形態において、第1装着部3aと第3装着部3cとの間に新たに第1装着部3aを追加した構成となっている。
【0061】
本実施形態では、第1装着部3aにおける耕耘爪の配置を
図4(A)と同様の構成としている。したがって、本実施形態の耕耘ロータ部600には、第1耕耘爪610aが3つ並ぶ部分と、第2耕耘爪610bが2つ並ぶ部分とが存在する。これにより、第1実施形態に比べて、車輪通過跡30aに戻せる土量が増すとともに、土量増加部32の一部を耕耘ロータ部600の中央付近に放擲する土量も増すこととなる。
【0062】
さらに、第1装着部3aが2つ並ぶため、第1実施形態より広範囲に広がった土量増加部32に対して作用させることが可能である。つまり、本実施形態の耕耘爪の配置は、土量増加部32がD2方向に向かって広がって存在するような場合に有効な構成であると言える。
【0063】
なお、前述のように、本実施形態では、2つの第1装着部3aに対して第1実施形態(
図4(A))に示した配置構成の耕耘爪を設けた例を示しているが、これに限られるものではない。例えば、第1装着部3aに対して第2実施形態(
図6)に示した配置構成の耕耘爪を設けてもよいし、第1実施形態の配置構成と第2実施形態の配置構成とを組み合わせて適用してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、第1装着部3aを2つ並べた例を示したが、これに限らず、3つ以上並べることも可能である。さらに、必要に応じて、第2装着部3bの数を増やすことも可能である。
【0065】
以上のように、本実施形態では、土量増加部32の大きさや形状に応じて装着部の配置構成を変更することにより、効率よく車輪通過跡30aを消すことができるとともに圃場の均一な仕上がりを実現することができる。
【0066】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。