特許第6983393号(P6983393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983393被覆ユニット及び被覆構造体並びに被覆ユニットの被覆部の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983393
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】被覆ユニット及び被覆構造体並びに被覆ユニットの被覆部の形成方法
(51)【国際特許分類】
   E03B 11/00 20060101AFI20211206BHJP
   B65D 88/34 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   E03B11/00 Z
   B65D88/34 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-88373(P2017-88373)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-48540(P2018-48540A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2020年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-179271(P2016-179271)
(32)【優先日】2016年9月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】西本 安志
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−187065(JP,A)
【文献】 特開2001−164514(JP,A)
【文献】 実開昭58−100897(JP,U)
【文献】 実開昭60−066713(JP,U)
【文献】 実開昭55−009757(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 11/00
B65D 88/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮力を有する浮力体と、
前記浮力体の上方を覆うように設けられる被覆部材と、
前記被覆部材の上面から、前記浮力体の下面にかけて貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を介して、前記浮力体と前記被覆部材とを固定すると共に、前記被覆部材の上面から、前記浮力体の下面に連通する連通経路を有する固定具とを備え、
前記浮力体は、少なくとも前記被覆部材の上面を水上に浮上させる浮力を有し
前記被覆部材の上面は、前記被覆部材の周囲から前記貫通孔にかけて傾斜している、被覆ユニット。
【請求項2】
前記被覆部材は、ゴムシート体を含む、請求項1記載の被覆ユニット。
【請求項3】
前記被覆部材のゴムシート体には、繊維シート体が埋設されている、請求項2記載の被覆ユニット。
【請求項4】
浮力を有する浮力体と、
前記浮力体の上方を覆うように設けられる第1被覆部材と、
前記浮力体の下方に設けられる第2被覆部材と、
前記第1被覆部材の上面、前記浮力体及び前記第2被覆部材の下面にかけて貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を介して、前記第1被覆部材、前記浮力体及び前記第2被覆部材を固定する共に、前記第1被覆部材の上面から、前記浮力体及び前記第2被覆部材の下面に連通する連通経路を有する固定具とを備え、
前記浮力体は、少なくとも前記第1被覆部材の上面を水上に浮上させる浮力を有しており、
前記第1被覆部材及び前記第2被覆部材は、ゴムシート体を含み、端部において互いに固定されている、被覆ユニット。
【請求項5】
前記第1被覆部材及び前記第2被覆部材のゴムシート体には、繊維シート体が埋設されている、請求項記載の被覆ユニット。
【請求項6】
前記浮力体は、板状の形状に形成されている、請求項1から請求項のいずれかに記載の被覆ユニット。
【請求項7】
貯水施設の水面を覆う被覆構造体であって、
請求項1から請求項のいずれかに記載の複数の被覆ユニットと、
前記複数の被覆ユニット同士を連結するための連結具とを備える、被覆構造体。
【請求項8】
浮力を有する浮力体と、
前記浮力体の上方を覆うように設けられる被覆部と、
前記被覆部の上面から、前記浮力体の下面にかけて貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を介して、前記被覆部の上面から、前記浮力体の下面に連通する連通経路を有する固定具とを備え、
前記浮力体は、少なくとも前記被覆部の上面を水上に浮上させる浮力を有し、
前記被覆部の上面は、前記被覆部の周囲から前記貫通孔にかけて傾斜している、被覆ユニットの被覆部の形成方法であって、
前記浮力体の上方を覆うようにポリウレタンを塗布した後、硬化させることで前記被覆部を形成する工程を含む、被覆ユニットの被覆部の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は被覆ユニット及び被覆構造体並びに被覆ユニットの被覆部の形成方法に関し、特に、農業用水や工業用水等の貯水施設の水面を被覆する被覆ユニット及びこれから構成される貯水施設の被覆構造体並びに被覆ユニットの被覆部の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貯水施設においては、落ち葉や粉塵等による水質汚染、更にはアオコ等の藻の発生を抑制し、又、用水の蒸発を防ぐと共に取水、散水設備の目詰まり等を防ぐ等の目的から上面を覆うことが行われている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
このような被覆構造の従来の技術として、水面に扁平な浮力体を浮かべ、浮力体各々を連結する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−19087号公報
【特許文献2】特開2007−77669号公報
【特許文献3】特開2007−77670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、浮力体上面に雨水が貯まることがあるため、雨水の重量を見込んで浮力体を大きくし得られる浮力を大きくする必要があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、上面に貯まる雨量の量を少なくし、大きさを抑えられる被覆ユニット及び被覆構造体並びに被覆ユニットの被覆部の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、浮力を有する浮力体と、浮力体の上方を覆うように設けられる被覆部材と、被覆部材の上面から、浮力体の下面にかけて貫通する貫通孔と、貫通孔を介して、浮力体と被覆部材とを固定すると共に、被覆部材の上面から、浮力体の下面に連通する連通経路を有する固定具とを備え、浮力体は、少なくとも被覆部材の上面を水上に浮上させる浮力を有し、被覆部材の上面は、被覆部材の周囲から貫通孔にかけて傾斜しているものである。
【0008】
このように構成すると、被覆ユニットの上面に貯まった雨水を、被覆ユニットの下面に通過させることができる。又、被覆ユニット全体の断面が下方に凹んだ凹形状となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、被覆部材は、ゴムシート体を含むものである。
【0010】
このように構成すると、弾力を有する被覆部材が得られる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、被覆部材のゴムシート体には、繊維シート体が埋設されているものである。
【0012】
このように構成すると、被覆部材の強度が増す。
【0013】
請求項4記載の発明は、浮力を有する浮力体と、浮力体の上方を覆うように設けられる第1被覆部材と、浮力体の下方に設けられる第2被覆部材と、第1被覆部材の上面、浮力体及び第2被覆部材の下面にかけて貫通する貫通孔と、貫通孔を介して、第1被覆部材、浮力体及び第2被覆部材を固定する共に、第1被覆部材の上面から、浮力体及び第2被覆部材の下面に連通する連通経路を有する固定具とを備え、浮力体は、少なくとも第1被覆部材の上面を水上に浮上させる浮力を有しており、第1被覆部材及び第2被覆部材は、ゴムシート体を含み、端部において互いに固定されているものである。
【0014】
このように構成すると、被覆ユニットの上面に貯まった雨水を、被覆ユニットの下面に通過させることができる。又、弾力を有する被覆部材が得られる。更に、浮力体への第1被覆部材及び第2被覆部材の取り付けが安定する。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の構成において、第1被覆部材及び第2被覆部材のゴムシート体には、繊維シート体が埋設されているものである。
【0018】
このように構成すると、被覆部材の強度が増す。
【0021】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、浮力体は、板状の形状に形成されているものである。
【0022】
このように構成すると、被覆ユニットがパネル状に形成される。
【0023】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、貯水施設の水面を覆う被覆構造体であって、請求項1から請求項8のいずれかに記載の複数の被覆ユニットと、複数の被覆ユニット同士を連結するための連結具とを備えるものである。
【0024】
このように構成すると、被覆ユニット同士が互いに連結された被覆構造体が得られる。
【0025】
請求項記載の発明は、浮力を有する浮力体と、浮力体の上方を覆うように設けられる被覆部と、被覆部の上面から、浮力体の下面にかけて貫通する貫通孔と、貫通孔を介して、被覆部の上面から、浮力体の下面に連通する連通経路を有する固定具とを備え、浮力体は、少なくとも被覆部の上面を水上に浮上させる浮力を有し、被覆部の上面は、被覆部の周囲から貫通孔にかけて傾斜している、被覆ユニットの被覆部の形成方法であって、浮力体の上方を覆うようにポリウレタンを塗布した後、硬化させることで被覆部を形成する工程を含むものである。
【0026】
このように構成すると、浮力体の形状に応じて、被覆部材を形成することが容易となる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、被覆ユニットの上面に貯まった雨水を、被覆ユニットの下面に通過させることができるため、浮力体のサイズを小さく抑えることができる。又、被覆ユニット全体の断面が下方に凹んだ凹形状となるので、雨水が斜面を伝って貫通孔に流れ込みやすくなり、雨水が被覆ユニットの上面に貯まることを防ぐことができる。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、弾力を有する被覆部材が得られるため、被覆ユニットを並べて設置する場合における緩衝効果が得られる。
【0031】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、被覆部材の強度が増すので、被覆ユニットの耐久性が向上する。
【0032】
請求項4記載の発明は、被覆ユニットの上面に貯まった雨水を、被覆ユニットの下面に通過させることができるため、浮力体のサイズを小さく抑えることができる。又、弾力を有する被覆部材が得られるため、被覆ユニットを並べて設置する場合における緩衝効果が得られる。更に、浮力体への第1被覆部材及び第2被覆部材の取り付けが安定するので、被覆ユニットの形状が安定する。
【0034】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加えて、被覆部材の強度が増すので、被覆ユニットの耐久性が向上する。
【0036】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、被覆ユニットがパネル状に形成されるため、水面の被覆に適した形状となる。
【0037】
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、被覆ユニット同士が互いに連結された被覆構造体が得られるため、被覆ユニットがバラバラになることを防ぎ、効率よく水面を被覆することができる。
【0038】
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、浮力体の形状に応じて、被覆部材を形成することが容易となるので、製造の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】この発明の第1の実施の形態による被覆ユニットの外観を示す平面図である。
図2図1に示したII−IIラインにおける概略拡大端面図である。
図3】この発明の第2の実施の形態による被覆構造体の概略断面図である。
図4図3に示したX部分の拡大図である。
図5】この発明の第3の実施の形態による被覆ユニットの平面図であり図1に対応するものである。
図6】この発明の第4の実施の形態による被覆ユニットの平面図であり図1に対応するものである。
図7図6に示したVII−VIIラインにおける概略拡大端面図である。
図8】この発明の第5の実施の形態による被覆ユニットの端面図であり図2に対応するものである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、この発明の第1の実施の形態による被覆ユニットの外観を示す平面図であり、図2は、図1に示したII−IIラインにおける概略拡大端面図である。
【0042】
被覆ユニット1は、浮力を有する浮力体11と、浮力体11の上方を覆うように設けられる被覆部材12と、被覆部材12の上面12aから、浮力体11の下面11aにかけて貫通する貫通孔13と、貫通孔13を介して、浮力体11と被覆部材12とを固定する固定具14とを備える。
【0043】
浮力体11は、矩形の板状に形成された発泡ウレタンからなり、少なくとも被覆部材12の上面12aを水上(すなわち、水面Lよりも上方)に浮上させる浮力を有している。
【0044】
被覆部材12は、矩形形状に形成され、繊維シート体22が埋設されているゴムシート体を含む構成である。又、被覆部材12のサイズは、平面視において浮力体11のサイズよりも一回り大きく設定されている。
【0045】
固定具14は、被覆部材12の上面12a側に配置される上面フランジ部41と、上面フランジ部41に接続され、貫通孔13に挿入される円筒形状の筒状部42と、筒状部42に接続され、浮力体11の下面11a側に配置される下面フランジ部43とを備える構成である。筒状部42は、被覆部材12の上面12aから浮力体11の下面11aにかけて連通しているため、被覆部材12の上面12aから、浮力体11の下面11aにかけて連通する連通経路Tが形成される。
【0046】
浮力体11及び被覆部材12は、固定具14の上面フランジ部41及び下面フランジ部43の間に、挟み込まれており、これにより浮力体11及び被覆部材12は固定されている。
【0047】
このように構成すると、被覆ユニットの上面に貯まった雨水を、連通経路Tを通じて、被覆ユニットの下面に通過させることができるため、被覆ユニットの上方に雨水が貯まるのを抑制することができ、これにより浮力体のサイズを小さく抑えることができる。
【0048】
図3は、この発明の第2の実施の形態による被覆構造体の概略断面図であり、図4は、図3に示したX部分の拡大図である。
【0049】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0050】
これらの図を参照して、この実施の形態による被覆構造体50は、複数の被覆ユニットが連結されてなる。尚、以下では説明のため、それぞれの被覆ユニットを区別するために符号において“A”及び“B”の符号を付すこととするが、被覆ユニット1A及び被覆ユニット1Bは、それぞれ、以下に説明する以外は、基本的には第1の実施の形態による被覆ユニット1と同様の構成を備えるものである。
【0051】
具体的には、被覆構造体50は、貯水施設の周囲の岸壁5に対し、係留索8を介して係留される被覆ユニット1Aと、被覆ユニット1Aに隣接し、被覆ユニット1Aに対して、連結具60によって連結される被覆ユニット1Bとを含む構成である。
【0052】
連結具60は、縄や金属ワイヤー等の紐状の部材である。
【0053】
被覆ユニット1Aの被覆部材12Aには、被覆ユニット1Bが配置されている側において、連結孔25Aが設けられている。一方、被覆ユニット1Bの被覆部材12Bには、被覆ユニット1Aが配置されている側において、連結孔25Bが設けられている。
【0054】
被覆ユニット1Aの連結孔25Aと被覆ユニット1Bの連結孔25Bとに、連結具60が、挿入され繋ぎ合わされており、これにより、被覆ユニット1Aと被覆ユニット1Bとが互いに連結されている。
【0055】
このように構成すると、被覆ユニット同士が互いに連結された被覆構造体50が得られるため、被覆ユニットがバラバラになることを防ぎ、効率よく水面を被覆することができる。
【0056】
又、それぞれの被覆ユニットは、浮力体が板状の形状に形成されているので、パネル状に形成され、これにより、水面の被覆に適した形状となる。
【0057】
又、それぞれの被覆ユニットにおいて、被覆部材は、ゴムシート体を含むため、弾力を有する。これにより弾力を有する被覆部材が得られるため、被覆ユニットを並べて設置する場合、被覆ユニット同士が衝突しても緩衝効果が得られる。
【0058】
図5は、この発明の第3の実施の形態による被覆ユニットの平面図であり図1に対応するものである。
【0059】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0060】
同図を参照して、この実施の形態による被覆ユニット1は、固定具45及び固定具46により、それぞれ連通経路T11及び連通経路T12が形成されている。
【0061】
このように構成すると、被覆ユニット1の上面に貯まった雨水を、2つの連通経路Tを通じて、より効率的に被覆ユニット1の下面に通過させることができる。
【0062】
図6は、この発明の第4の実施の形態による被覆ユニットの平面図であり図1に対応するものであり、図7は、図6に示したVII−VIIラインにおける概略拡大端面図である。
【0063】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0064】
これらの図を参照して、この実施の形態による被覆ユニット1は、第1の実施の形態の浮力体11の下方を覆うように第2被覆部材62が設けられている。
【0065】
具体的には、被覆ユニット1は、浮力を有する浮力体11と、浮力体11の上方を覆うように設けられる第1被覆部材61と、浮力体11の下方に設けられる第2被覆部材62と、第1被覆部材61の上面61c、浮力体11及び第2被覆部材62の下面62cにかけて貫通する貫通孔13と、貫通孔13を介して、第1被覆部材61、浮力体11及び第2被覆部材62を固定する共に、第1被覆部材61の上面61c、浮力体11及び第2被覆部材62の下面62cにかけて連通する連通経路Tを有する固定具14とを備え、浮力体11は、少なくとも第1被覆部材61の上面61cを水上に浮上させる浮力を有している。
【0066】
ここで、第1被覆部材61及び第2被覆部材62は、第1の実施の形態における被覆部材12と同等の構成を有する。すなわち、第1被覆部材61及び第2被覆部材62は、それぞれ、ゴムシート体を含み、ゴムシート体には、繊維シート体61d、62dが埋設されている。
【0067】
以上より、第1の実施の形態で説明した被覆ユニットと同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
又、第1被覆部材61の一方端部61a及び第2被覆部材62の一方端部62aは、接着剤により互いに固定されている。又、同様に、第1被覆部材61の他方端部61b及び第2被覆部材62の他方端部62bについても、接着剤により互いに固定されている。
【0069】
このように構成すると、浮力体11への第1被覆部材61及び第2被覆部材62の取り付けが安定するので、被覆ユニット1の形状が安定する。
【0070】
尚、上記の各実施の形態では、特定の形状・寸法関係を有する被覆ユニットについて説明したが、これに限られない。例えば、浮力体は、板状形状でなくてもよく、ブロック形状を有していてもよい。又、被覆部材のサイズは、平面視において浮力体のサイズよりも一回り大きく設定されていることを説明したが、これに限られない。被覆部材のサイズは、浮力体と同サイズに設定されていてもよい。又、被覆部材のサイズは、矩形形状の短辺及び長辺のいずれか一方において、浮力体と同サイズに設定されていてもよい。又、浮力体及び被覆部材は、平面視において、正方形形状を有していてもよい。
【0071】
又、上記の各実施の形態では、浮力体は発泡ウレタンからなることを説明したが、これに限られない。浮力体は、発泡スチロール等の発泡樹脂体や気体を封入したゴム製や合成樹脂製の扁平風船体等により構成することができる。浮力体としては、少なくとも被覆部材の上面を水上に浮上させる浮力を有していれば、任意の物を採用することができる。又、浮力体は、複合的な部材であってもよく、例えば、独立気泡による発泡体の下部に連続気泡による発泡体を一体に取り付けた構造を有していてもよい。
【0072】
更に、上記の各実施の形態では、被覆部材に含まれるゴムシート体に繊維シート体が埋設されている構成について説明したが、これに限られず、繊維シート体を省略することも可能である。尚、被覆部材に含まれるゴムシート体に、繊維シート体が埋設されている場合、被覆部材の強度が増すので、被覆ユニットの耐久性が向上する。又、被覆部材は、ゴムシート体の一方面に繊維シート体が貼り合わされた二層構造を有していてもよいし、繊維シート体の両面にゴムシート体を貼り合わせた三層構造を有していてもよい。
【0073】
更に、上記の第1の実施の形態では、固定具が、特定の構造を有することについて説明したがこれに限られない。固定具は、浮力体及び被覆部材同士を固定できるものであり、連通経路を有するものであれば、任意の構造を採用することができる。上記第4の実施の形態における固定具についても同様に、第1被覆部材、浮力体及び第2被覆部材同士を固定でき連通経路を有するものであればよい。又、浮力体及び被覆部材は、更に、接着剤等により接合されていてもよい。
【0074】
更に、上記の各実施の形態では、特に説明しなかったが、固定具は、一つの部材から構成されていてもよいし、2つ以上の部材から構成されていてもよい。例えば、上面フランジ部、筒状部、下面フランジ部が、それぞれ別部材に構成されており、被覆ユニットへの取り付け時に、それぞれが組み合わされて一体となる構成であってもよい。又、筒状部により、平面視円形の管状の連通経路Tが形成されていたが、これに限られない。流通経路Tは、一つ以上の貫通孔により形成されていてもよく、又、その断面形状も任意の形状を採用することができる。
【0075】
更に、上記の第2の実施の形態では、連結具として紐状の部材を、一方の被覆ユニットの連結孔と、隣接する他方の被覆ユニットの連結孔とに挿入し結び合わせることで、被覆ユニット同士を連結していたが、これに限られない。被覆ユニット同士を、金具等を用いて連結してもかまわない。又、連結具を、連結孔ではなく、一方の被覆ユニットの連通経路と、隣接する他方の被覆ユニットの連通口とに挿入し結び合わせることで、被覆ユニット同士を連結してもよい。このように、連通口が、上述した連結孔の機能を兼ねてもよい。
【0076】
更に、上記の第3の実施の形態では、2つの連通経路を備える被覆ユニットについて説明したが、これに限られない。被覆ユニットは、3つ以上の連通経路を備えていてもよい。又、その連通経路を設ける位置についても特に限定はない。又、第4の実施の形態による被覆ユニットにおいて、複数の連通経路を形成してもよい。
【0077】
更に、上記の第4の実施の形態では、第1被覆部材及び第2被覆部材は、端部において接着剤により互いに固定されていることを説明したが、これに限られない。端部同士の固定は接着剤によらなくてもよく、金具によって固定してもよい。又、第1被覆部材及び第2被覆部材の端部は固定されていなくても構わない。
【0078】
更に、上記の第1実施の形態から第3の実施の形態では、被覆部材が、ゴムシートを含む構成であることを説明したが、これに限られない。被覆部材は、ポリ塩化ビニル(PVC)シートや、ポリウレタンシートなど、遮水性や対候性を有するものを含む構成であってもよい。上記の第4の実施の形態においても、第1被覆部材及び第2被覆部材の少なくとも一方が、PVCシートや、ポリウレタンシートを含む構成であってもよい。
【0079】
更に、上記の各実施の形態では特に説明しなかったが、被覆ユニットの被覆部材(被覆部)の取付方法及び形成方法に特に制限はない。例えば、浮力体の上面にポリウレタンを塗布した後、硬化させることで被覆部を形成してもよい。又、このように被覆部を形成する場合、貫通孔及び固定具の取り付けは、被覆部の形成前であっても形成後であってもよい。このようなポリウレタン被膜による被覆部の形成方法によれば、浮力体の形状に応じて、被覆部を形成することが容易となる。よって、製造の効率化を図ることができる。又、上記の第4の実施の形態において、第1被覆部材(第1被覆部)及び第2被覆部材(第2被覆部)の少なくとも一方を、上述の通り、ポリウレタンを塗布した後、硬化させて形成しても構わない。即ち、上記浮力体の上方を覆うようにポリウレタンを塗布した後、硬化させることで上記第1被覆部を形成する工程を含んでいてもよい。又、浮力体の下方を覆うようにポリウレタンを塗布した後、硬化させることで第2被覆部を形成する工程を含んでいてもよい。このように構成すると、浮力体の形状に応じて、被覆部を形成することが容易となる。よって、製造の効率化を図ることができる。
【0080】
図8は、この発明の第5の実施の形態による被覆ユニットの端面図であり図2に対応するものである。
【0081】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0082】
同図を参照して、この実施の形態による被覆ユニット1では、被覆ユニットの上面(すなわち、被覆部材12の上面12a)が、被覆ユニット1の周囲から、貫通孔13が設けられている中央部にかけて傾斜している。より具体的には、被覆ユニット1は、その断面が下方に凹んだ凹形状に形成される浮力体11と、浮力体11の上面において略同様の厚みに形成される被覆部材12とを備える。
【0083】
このように構成すると、被覆ユニット1全体の断面が下方に凹んだ凹形状となり、これによって貫通孔13付近が、被覆ユニットの上面において最も低くなるので、同図において実線矢印が示す方向に、雨水が斜面を伝って貫通孔13に流れ込みやすくなる。よって、雨水が被覆ユニットの上面に貯まることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0084】
1…被覆ユニット
11…浮力体
12…被覆部材
13…貫通孔
14…固定具
22…繊維シート体
25A、25B…連結孔
61…第1被覆部材
62…第2被覆部材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8