(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸線に対して垂直な方向で視て、前記高圧側スライド弁体における前記低圧側スライド弁体側の受圧面の外形が前記環状シール面の外形より大きく設定されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の流路切換弁。
前記高圧側スライド弁体と前記低圧側スライド弁体との間に、環状のシール部材が配在され、前記シール部材の外形が前記環状シール面の外形より大きく設定されていることを特徴とする請求項8に記載の流路切換弁。
前記高圧側スライド弁体は、筒状を有し、前記低圧側スライド弁体の一側面に、前記高圧側スライド弁体に摺動自在に内嵌される嵌合凸部が設けられ、前記高圧側スライド弁体に前記嵌合凸部が内嵌されることにより、前記高圧側スライド弁体の内周面と前記嵌合凸部の端面とによって前記高圧側Uターン通路が画成され、前記高圧側スライド弁体と前記低圧側スライド弁体とが、前記軸線方向に一体的に移動自在、かつ、前記軸線に対して垂直な方向に相互に摺動自在とされるとともに、前記低圧側スライド弁体の他側面に、前記低圧側Uターン通路が開設されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の流路切換弁。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1及び
図2は、本発明に係る流路切換弁(六方切換弁)の第1実施形態を示す縦断面図であり、
図1は、第1連通状態(冷房運転時)、
図2は、第2連通状態(暖房運転時)を示す図である。
【0033】
なお、本明細書において、上下、左右、前後等の位置、方向を表わす記述は、説明が煩瑣になるのを避けるために図面に従って便宜上付けたものであり、実際にヒートポンプ式冷暖房システム等に組み込まれた状態での位置、方向を指すとは限らない。
【0034】
また、各図において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、各構成部材の寸法に比べて大きくあるいは小さく描かれている場合がある。
【0035】
図示実施形態の流路切換弁1は、例えばヒートポンプ式冷暖房システムにおける六方切換弁として用いられるスライド式のもので、基本的に、シリンダ型の六方弁本体10と、パイロット弁としての単一の電磁式四方パイロット弁90とを備える。なお、本実施形態の流路切換弁1に備えられている6個のポートは、上記特許文献1、2に所載の六方切換弁の各ポートpA〜pFに対応させて同一の符号が付されている。当該流路切換弁1を含むヒートポンプ式冷暖房システムの基本構成については、上記特許文献1、2等を参照されたい。
【0036】
[六方弁本体10の構成]
六方弁本体10は、真鍮あるいはステンレス等の金属製とされた筒状の主弁ハウジング11を有し、この主弁ハウジング11に、一端側(上端側)から順次、第1作動室31、第1ピストン21、主弁室12、第2ピストン22、及び第2作動室32が配在されている。前記第1及び第2ピストン21、22にはいずれにも、主弁ハウジング11を気密的に仕切るべく、主弁ハウジング11の内周面にその外周部が圧接するばね付きパッキンが取り付けられている。
【0037】
詳しくは、主弁ハウジング11は、比較的大径の胴体部11cを有し、この胴体部11cの上端開口部に気密的に取り付けられた厚肉円板状の上側連結蓋11dに設けられた中央穴に、(比較的小径の)パイプ部材からなる第1ピストン部11aがろう付け等により気密的に固着され、この第1ピストン部11aに前記第1ピストン21が配在されている。同様に、胴体部11cの下端開口部に気密的に取り付けられた厚肉円板状の下側連結蓋11eに設けられた中央穴に、(比較的小径の)パイプ部材からなる第2ピストン部11bがろう付け等により気密的に固着され、この第2ピストン部11bに前記第2ピストン22が配在されている。
【0038】
主弁ハウジング11(の第1ピストン部11a)の上端には、容量可変の第1作動室31を画成する薄肉円板状の上端側蓋部材11Aがろう付け等により気密的に固着され、主弁ハウジング11(の第2ピストン部11b)の下端には、容量可変の第2作動室32を画成する薄肉円板状の下端側蓋部材11Bがろう付け等により気密的に固着されている。上端側蓋部材11A及び下端側蓋部材11B(の中央)には、第1作動室31及び第2作動室32に高圧流体(冷媒)を導入・排出するためのポートp11、p12がそれぞれ取り付けられている。
【0039】
前記主弁ハウジング11(の主弁室12)には、合計で6個のポートが設けられている。
【0040】
詳しくは、前記主弁室12の左部中央には、その表面(右面)が平坦な弁シート面とされた例えば金属製の第1主弁座(弁シート)13がろう付け等により主弁ハウジング11の胴体部11c(の内周)に気密的に固着され、その第1主弁座13の弁シート面に、左方に向けて延びる管継手からなる3個のポート(上端側から順次、ポートpB、ポートpA、ポートpF)が縦並びで(軸線O方向に並んで)略等間隔に開口せしめられている。
【0041】
また、前記主弁室12の右部中央(第1主弁座13に対向する位置、言い換えれば、軸線Oに対して第1主弁座13の反対側の位置)には、その表面(左面)が平坦な弁シート面とされた例えば金属製の第2主弁座(弁シート)14がろう付け等により主弁ハウジング11の胴体部11c(の内周)に気密的に固着され、その第2主弁座14の弁シート面に、右方に向けて延びる管継手からなる3個のポート(上端側から順次、ポートpC、ポートpD、ポートpE)が縦並びで(軸線O方向に並んで)略等間隔に開口せしめられている。
【0042】
第1主弁座13に設けられた各ポート(ポートpB、ポートpA、ポートpF)と第2主弁座14に設けられた各ポート(ポートpC、ポートpD、ポートpE)とは、対向する位置(軸線Oに対して反対側)に設定されるとともに、本例では、第1主弁座13及び第2主弁座14に設けられた各ポートpA〜pFの口径は略同径に設定されている。
【0043】
前記主弁室12内、具体的には、主弁ハウジング11の胴体部11c内には、両側面(左面及び右面)が前記第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面にそれぞれ摺動自在に対接せしめられる、レーストラック形の環状シール面(後で詳述)を持つ断面矩形状のスライド式の主弁体15が軸線O方向(上下方向)に移動可能に配在されている。本例では、主弁体15の左右方向及び前後方向の寸法は、前記主弁ハウジング11の第1ピストン部11a及び第2ピストン部11bの外径と同等もしくはそれより若干大きくされている。
【0044】
前記主弁体15は、例えば合成樹脂製とされ、基本的に、第1主弁座13側(左側)の第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aと、第2主弁座14側(右側)の第2スライド弁体(低圧側スライド弁体)15Bとの2部品構成とされている。
【0045】
第1スライド弁体15Aは概略筒状を有し、その左端部(第2スライド弁体15B側とは反対側の端部)内周に、第1主弁座13の弁シート面に開口する3個のポートのうちの隣り合う2個のポート(ポートpBとポートpA、あるいは、ポートpAとポートpF)を選択的に連通させ得るような大きさの開口を画成する内鍔状部15aが(内側に向けて)突設されている。この内鍔状部15aの左端面(第1主弁座13側の端面)は、前記第1主弁座13の弁シート面に摺動自在に対接せしめられる前記環状シール面15sとされている。
【0046】
より詳しくは、本実施形態では、前記第1スライド弁体15A(の内鍔状部15a)の左面側(第1主弁座13側)に設けられた前記環状シール面15sは、後述する第1Uターン通路(高圧側Uターン通路)16Aの開口周りの所定幅(全周で略同一の幅)のみに形成されている(特に、
図5〜
図7参照)。
【0047】
また、この環状シール面15sの上端部及び下端部(換言すれば、軸線O方向ないし移動方向の両端部)における幅方向(図示例では前後方向であって、軸線Oに対して垂直、かつ、第1及び第2主弁座13、14の弁シート面に対して平行な方向)中央部には、上下方向に向けて(軸線O方向に沿って)、該環状シール面15sと同じ高さかつ該環状シール面15s(の外形)より幅狭の略棒状の凸面部15tが連設(連続的に延設)されている(特に、
図5〜
図7参照)。図示例では、略棒状の凸面部15tの幅は、第1Uターン通路16Aの開口周りに形成されたレーストラック形の環状シール面15sの幅(前記所定幅)と略同じとされている。
【0048】
これにより、第1スライド弁体15A(の環状シール面15s)と第1主弁座13(の弁シート面)との接触面積が小さくなり、第1主弁座13の弁シート面に対する第1スライド弁体15Aの左面の環状シール面15sの押し付け力(面圧)が高くなるとともに、流路切換えに当たって第1スライド弁体15Aが第1主弁座13の弁シート面上を摺動するとき、第1スライド弁体15Aの環状シール面15sが第1主弁座13の弁シート面に開口せしめられたポートに引っ掛かりにくくなっている。
【0049】
一方、第2スライド弁体15Bの右面側(第1スライド弁体15A側とは反対側)には、第2主弁座14の弁シート面に開口する3個のポートのうちの隣り合う2個のポート(ポートpCとポートpD、あるいは、ポートpDとポートpE)を選択的に連通させ得るような大きさの椀状窪みからなる第2Uターン通路(低圧側Uターン通路)16Bが開設されるとともに、第2スライド弁体15Bの左面(第1スライド弁体15A側の側面)には、前記筒状の第1スライド弁体15Aの内形とほぼ同じもしくはそれより若干小さい外形を持つ嵌合凸部15bが(左向きに)延設されている。
【0050】
前記第2スライド弁体15Bの嵌合凸部15bが前記筒状の第1スライド弁体15A(の右側部分)に(間に設けられた段差部分にOリング18を挟んで)摺動自在に内嵌されることにより、第1スライド弁体15Aの内周面と嵌合凸部15bの左端面とによって、第1主弁座13の弁シート面に開口する3個のポートのうちの隣り合う2個のポート(ポートpBとポートpA、あるいは、ポートpAとポートpF)を選択的に連通させ得る第1Uターン通路(高圧側Uターン通路)16Aが画成されるとともに、第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとは、左右方向(軸線Oに対して垂直な方向であって第1主弁座13に設けられた各ポート(ポートpB、ポートpA、ポートpF)と第2主弁座14に設けられた各ポート(ポートpC、ポートpD、ポートpE)とが対向する方向、つまり、第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面に対して直交する方向)に相互に若干の移動自在、かつ、上下方向(軸線O方向)に一体的に移動自在とされている。
【0051】
すなわち、本実施形態において、前記主弁体15は、第1主弁座13の弁シート面に開口する3個のポートのうちの隣り合う2個のポートを選択的に連通させ得る第1Uターン通路16Aを有する第1スライド弁体15Aと第2主弁座14の弁シート面に開口する3個のポートのうちの隣り合う2個のポートを選択的に連通させ得る第2Uターン通路16Bを有する第2スライド弁体15Bとの一対で構成されるとともに、それら一対の第1及び第2スライド弁体15A、15Bが、それぞれの第1及び第2Uターン通路16A、16Bが反対向きに開口するように(換言すれば、第1及び第2主弁座13、14の弁シート面に対して直交する方向で)背中合わせの状態で配在されて構成されている。
【0052】
図示例では、第1スライド弁体15Aの右端側内周に形成された段差部(内周段差部)と第2スライド弁体15Bの嵌合凸部15bの外周に形成された段差部(外周段差部)との間に、環状のシール部材としてのOリング18が介装されている。なお、Oリング18に替えて、リップシール等のシール部材を用いてもよいことは勿論である。
【0053】
そのため、第1スライド弁体15Aの前記Oリング18より内側且つ第1主弁座13側の部分は、ポート(吐出側高圧ポート)pAから第1Uターン通路16Aを介して高圧流体(冷媒)が導入され、第1Uターン通路16Aと主弁室12とは、その間に配在された前記Oリング18によりシール(封止)されている。
【0054】
ここで、
図1及び
図2とともに
図3〜
図5を参照すればよく分かるように、左右方向(軸線Oに対して垂直な方向)で視て、第1スライド弁体15Aにおける右面側(第2スライド弁体15B側であって背圧側)の受圧面積Scは左面側(第1主弁座13側)の受圧面積Saより大きくされる。
【0055】
より詳しくは、左右方向に対して垂直な平面に対する前記Oリング18より内側の投影面積であって、前記第1Uターン通路16A内に導入された高圧冷媒によって第1スライド弁体15A(の右面)が左方向の圧力を受ける面の投影面積(受圧面積Sc)が、左右方向に対して垂直な平面に対する前記第1主弁座13側の環状シール面15sの内縁の投影面積(つまり、ここでは内鍔状部15aの投影面積とほぼ同じ面積)であって、ポート(環状シール面15sの内側)を流れる高圧冷媒によって第1スライド弁体15A(の左面)が右方向の圧力を受ける面の投影面積(受圧面積Sa)より大きくされている。
【0056】
これにより、ポート(吐出側高圧ポート)pAを介して第1Uターン通路16Aに高圧冷媒が導入されたときに、第1Uターン通路16A(の高圧冷媒)から受ける圧力(より詳細には、第1Uターン通路16Aを流れる冷媒(高圧冷媒)から受ける圧力と第2Uターン通路16Bを流れる冷媒(低圧冷媒)から受ける圧力との差圧)によって、第2スライド弁体15Bの右面(の環状シール面)が第2主弁座14の弁シート面に押し付けられるとともに、第1スライド弁体15Aの右面側と左面側との受圧面積の差(Sc−Sa)に起因して当該第1スライド弁体15Aに作用する差圧によって、第1スライド弁体15Aの左面(の環状シール面15s)が第1主弁座13の弁シート面に押し付けられるようになっている。
【0057】
また、本実施形態では、上記構成に加えて、左右方向(軸線Oに対して垂直な方向)で視て、第1スライド弁体15Aにおける右面側(第2スライド弁体15B側であって背圧側)の受圧面積Scの外形(つまり、Oリング18の外形)が左面側(第1主弁座13側)の環状シール面15s及び凸面部15tの対接面積Sbの外形より(全周で)大きくされる。言い換えれば、第1スライド弁体15Aにおける右面側の受圧面積Scの外形(つまり、Oリング18の外形)が環状シール面15s及び凸面部15tより外側に設定されている。
【0058】
これにより、前述した第1主弁座13の弁シート面に対する第1スライド弁体15Aの左面(の環状シール面15s)の押し付け力(面圧)が、略均一となっている。
【0059】
なお、第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとの間、例えば、第1スライド弁体15Aの右面と第2スライド弁体15Bの嵌合凸部15bを形成する段差面(左向きの段丘面)との間に、第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとを相互に逆方向(引き離す方向)に付勢する付勢部材(リング状の板ばね、圧縮コイルばね等)を配置し、これによって、第1スライド弁体15Aの左面(の環状シール面)を第1主弁座13の弁シート面に圧接せしめる(押し付ける)とともに、第2スライド弁体15Bの右面(の環状シール面)を第2主弁座14の弁シート面に圧接せしめる(押し付ける)ようにしてもよい。
【0060】
前記主弁体15は、前述のように、第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとが一体となって軸線O方向に移動せしめられ、
図1に示される如くの、ポートpFを開きかつポートpBとポートpAとを第1スライド弁体15Aの第1Uターン通路16Aを介して連通させるとともに、ポートpEを開きかつポートpCとポートpDとを第2スライド弁体15Bの第2Uターン通路16Bを介して連通させる冷房位置(上端位置)と、
図2に示される如くの、ポートpBを開きかつポートpAとポートpFとを第1スライド弁体15Aの第1Uターン通路16Aを介して連通させるとともに、ポートpCを開きかつポートpDとポートpEとを第2スライド弁体15Bの第2Uターン通路16Bを介して連通させる暖房位置(下端位置)とを選択的にとり得るようにされている。
【0061】
主弁体15の第1スライド弁体15Aは、移動時以外は3個のポートのうちの2個のポート(ポートpBとポートpA、あるいは、ポートpAとポートpF)の真上に位置し、主弁体15の第2スライド弁体15Bは、移動時以外は3個のポートのうちの2個のポート(ポートpCとポートpD、あるいは、ポートpDとポートpE)の真上に位置し、このときは、主弁体15内(の第1Uターン通路16A)に導入された高圧冷媒からの圧力によりそれぞれ左右に押圧されて第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面に圧接せしめられている。
【0062】
第1ピストン21と第2ピストン22とは、連結体25により一体移動可能に連結されており、この連結体25に、前記主弁体15の第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとが左右方向に若干の摺動自在かつ前後方向での移動はほぼ阻止された状態で嵌合せしめられて支持されている。
【0063】
前記連結体25は、本例では、例えばプレス成形等で作製された、同一寸法及び同一形状の一対の板材で構成されており、各板材が、左右方向(第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面に対して直交する方向)に沿って(言い換えれば、弁シート面に対して直交する平面に平行となるように)配置されるとともに、それら一対の板材が、前後方向で対向配置されており、前記一対の板材の間に前記主弁体15が(前後方向で)挟持されている。なお、以下、主弁体15の前側に配置される板材を連結板25A、主弁体15の後側に配置される板材を連結板25Bと称する。
【0064】
より詳しくは、
図1及び
図2とともに
図6、
図7を参照すればよく分かるように、各連結板25A、25Bは、その中心から前後方向に延びる中心線(対称線)に対して対称な縦長矩形状(ここでは、上下全長に亘って同幅)の板材で構成されている。各連結板25A、25Bの(上下方向の)略中央には、前記主弁体15(の前側部分又は後側部分)を軸線O方向に一体的に移動自在に係合支持すべく、前記主弁体15の外周(前面及び上下面、又は、後面及び上下面)に沿う形状(つまり、断面略凹状)の支持板部25cが形成されている。
【0065】
各連結板25A、25Bにおける前記支持板部25cの上下には、第1ピストン21又は第2ピストン22まで延在する接続板部25aが連接されている。前記接続板部25aは、ここでは、折り曲げ等によってステップ状ないしクランク状に形成されており、支持板部25c側から、オフセット板部25aaと、対接板部25abとを有する。前側の連結板25Aにおける接続板部25aのオフセット板部25aaは、軸線Oより前側、特に、左右方向に視て第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面に開口せしめられた6個のポートpA〜pFを前側に避けた位置(言い換えれば、6個のポートpA〜pFから前方にオフセットした位置)に配在され、後側の連結板25Bにおける接続板部25aのオフセット板部25aaは、軸線Oより後側、特に、左右方向に視て第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面に開口せしめられた6個のポートpA〜pFを後側に避けた位置(言い換えれば、6個のポートpA〜pFから後方にオフセットした位置)に配在される。すなわち、本例では、左右方向に視て、一対の連結板25A、25Bにおける接続板部25aのオフセット板部25aa同士が第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面に開口せしめられた各ポートpA〜pFの口径より(前後方向で)離間して配置され、その一対の連結板25A、25Bにおける接続板部25aのオフセット板部25aa同士の間に各ポートpA〜pF(より詳しくは、
図1に示される冷房位置(上端位置)では下側に位置するポートpFとポートpE、
図2に示される暖房位置(下端位置)では上側に位置するポートpBとポートpC)が位置せしめられることになる(特に、
図6参照)。
【0066】
また、連結板25A、25Bにおける接続板部25aの対接板部25ab(第1ピストン21又は第2ピストン22に近接する部分であって、第1主弁座13及び第2主弁座14の弁シート面に開口せしめられた各ポートpA〜pFとラップしない部分)は、反対側の(対向配置される)連結板25B、25Aにおける接続板部25aの対接板部25abに対接せしめられている。なお、後述する組立性等を考慮して、例えば、この対接板部25abに、対向配置される連結板25A、25Bを相互に位置合わせするため凹凸等(位置合わせ部)を設けてもよい。
【0067】
各連結板25A、25B(の接続板部25a)の上下の端部には、対向配置される連結板25B、25A側とは反対側(断面略凹状の支持板部25cが形成される方向)に向けて略90°折り曲げられて形成された取付脚部25bが設けられ、その取付脚部25bに、当該連結板25A、25Bを第1ピストン21又は第2ピストン22に連結するボルト30を挿通するためのねじ穴29が貫設されている。
【0068】
また、本例では、前記各連結板25A、25Bの接続板部25a(オフセット板部25aa+対接板部25ab)の上下方向(軸線O方向)の長さが、主弁ハウジング11の第1及び第2ピストン部11a、11bの長さより短くされている。これにより、主弁ハウジング11の上側連結蓋11d(における第1ピストン部11aの外周部分)が、連結体25(の各連結板25A、25B)における支持板部25c(の上端側角部)に当接して当該連結体25(つまり、連結体25に嵌合せしめられた主弁体15)の上方向への移動を阻止するストッパとされ、主弁ハウジング11の下側連結蓋11e(における第2ピストン部11bの外周部分)が、連結体25(の各連結板25A、25B)における支持板部25c(の下端側角部)に当接して当該連結体25(つまり、連結体25に嵌合せしめられた主弁体15)の下方向への移動を阻止するストッパとされる。
【0069】
言い換えれば、本例では、連結体25(の各連結板25A、25Bにおける支持板部25c)に、主弁ハウジング11の上側連結蓋11d又は下側連結蓋11eに当接して主弁体15の上下方向への移動規制を行うストッパ部25sが設けられている。
【0070】
前記のように、主弁体15の移動規制を行うストッパ部25sが連結体25に設けられることで、例えば、上端側蓋部材11A及び下端側蓋部材11Bが、第1ピストン21の上方向への移動及び第2ピストン22の下方向への移動を阻止するストッパを兼ねるものと比べて、第1及び第2ピストン21、22に加わる負荷を軽減できるとともに、主弁体15の位置規制のための第1及び第2ピストン21、22の構成部品並びに上端側及び下端側蓋部材11A、11B等の寸法精度を緩和できる。なお、前述のように、上端側蓋部材11A及び下端側蓋部材11Bが、第1ピストン21の上方向への移動及び第2ピストン22の下方向への移動(つまり、主弁体15の上下動)を阻止するストッパを兼ねてもよいことは勿論である。
【0071】
本例では、前記したように、各連結板25A、25Bは、同一寸法及び同一形状の板材で構成されているので、2枚の連結板25A、25Bを前後方向で対向して配置するとともに、双方の連結板25A、25Bの接続板部25aの対接板部25ab同士を当接させるようにして逆向きで(詳しくは、上下逆さまにして)組み合わせて配置し、ボルト30を介して各取付脚部25bを前記第1ピストン21又は第2ピストン22に固定する。そして、各連結板25A、25Bにおける支持板部25c同士の間(側面視略矩形状の空間)に前記主弁体15の第1スライド弁体15A及び第2スライド弁体15Bを(それぞれ左右方向から)配置することで、前記主弁体15の第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとが、左右方向に若干の摺動自在かつ前後方向での移動はほぼ阻止された状態で当該連結体25に嵌合せしめられる(特に、
図7参照)。
【0072】
連結体25(の一対の連結板25A、25B)に嵌合されて支持された主弁体15は、第1及び第2ピストン21、22の往復移動に伴って前記連結体25の連結板25A、25Bにおける断面凹状の支持板部25cの上側部分又は下側部分(左右方向で幅広の矩形状平面)に押動されて(ここでは、主弁体15の第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bの上下面が押圧されて)冷房位置(上端位置)と暖房位置(下端位置)との間を行き来するようにされている。
【0073】
なお、本例では、前記連結体25が、同一寸法及び同一形状の一対の板材(連結板25A、25B)で構成される場合を例示しているが、例えば一枚の板材で前記連結体25を構成してもよいことは当然である。
【0074】
[六方弁本体10の動作]
次に、上記した如くの構成を有する六方弁本体10の動作を説明する。
【0075】
主弁ハウジング11内に配在された主弁体15が暖房位置(下端位置)(
図2に示される如くの第2連通状態)にあるときにおいて、後述する四方パイロット弁90を介して、第2作動室32を吐出側高圧ポートであるポートpAに連通させるとともに、第1作動室31を吸入側低圧ポートであるポートpDに連通させると、第2作動室32に高圧の冷媒が導入されるとともに、第1作動室31から高圧の冷媒が排出される。そのため、主弁室12の他端側(下端側)の第2作動室32の圧力が主弁室12の一端側(上端側)の第1作動室31の圧力より高くなり、
図1に示される如くに、第1、第2ピストン21、22及び主弁体15が上方に移動して連結体25(の各連結板25A、25Bにおける支持板部25c)のストッパ部25sが上側連結蓋11dに接当係止され、主弁体15が冷房位置(上端位置)(
図1に示される如くの第1連通状態)をとる。
【0076】
これにより、ポートpAとポートpBとが(第1Uターン通路16Aを介して)連通せしめられ、ポートpCとポートpDとが(第2Uターン通路16Bを介して)連通せしめられ、ポートpEとポートpFとが(主弁室12を介して)連通せしめられるので、ヒートポンプ式冷暖房システムにおいて、冷房運転が行われる。
【0077】
主弁体15が冷房位置(上端位置)(
図1に示される如くの第1連通状態)にあるときにおいて、後述する四方パイロット弁90を介して、第1作動室31を吐出側高圧ポートであるポートpAに連通させるとともに、第2作動室32を吸入側低圧ポートであるポートpDに連通させると、第1作動室31に高圧の冷媒が導入されるとともに、第2作動室32から高圧の冷媒が排出される。そのため、主弁室12の一端側(上端側)の第1作動室31の圧力が主弁室12の他端側(下端側)の第2作動室32の圧力より高くなり、
図2に示される如くに、第1、第2ピストン21、22及び主弁体15が下方に移動して連結体25(の各連結板25A、25Bにおける支持板部25c)のストッパ部25sが下側連結蓋11eに接当係止され、主弁体15が暖房位置(下端位置)(
図2に示される如くの第2連通状態)をとる。
【0078】
これにより、ポートpAとポートpFとが(第1Uターン通路16Aを介して)連通せしめられ、ポートpEとポートpDとが(第2Uターン通路16Bを介して)連通せしめられ、ポートpCとポートpBとが(主弁室12を介して)連通せしめられるので、ヒートポンプ式冷暖房システムにおいて、暖房運転が行われる。
【0079】
[四方パイロット弁90の構成]
パイロット弁としての四方パイロット弁90は、その構造自体はよく知られているもので、
図8(A)、(B)に拡大図示されている如くに、基端側(左端側)外周に電磁コイル91が外嵌固定された円筒状のストレートパイプからなる弁ケース92を有し、該弁ケース92に、基端側から順次、吸引子95、圧縮コイルばね96、プランジャ97が直列的に配在されている。
【0080】
弁ケース92の左端部は、吸引子95の鍔状部(外周段丘部)に溶接等により密封接合されており、吸引子95は、通電励磁用の電磁コイル91の外周を覆うカバーケース91Aにボルト92Bにより締結固定されている。
【0081】
一方、弁ケース92の右端開口部には、高圧冷媒を導入するための細管挿着口(高圧導入ポートa)を有するフィルタ付き蓋部材98が溶接、ろう付け、かしめ等により気密的に取着されており、蓋部材98とプランジャ97と弁ケース92とで囲まれる領域が弁室99となっている。弁室99には、蓋部材98の細管挿着口(高圧導入ポートa)に気密的に挿着された高圧細管#aを介して前記ポート(吐出側高圧ポート)pAから高圧の冷媒が導入されるようになっている。
【0082】
また、弁ケース92におけるプランジャ97と蓋部材98との間には、その内端面が平坦な弁シート面とされた弁座93がろう付け等により気密的に接合されており、この弁座93の弁シート面(内端面)には、先端側(右端側)から順次、前記した六方弁本体10の第1作動室31に細管#bを介して接続されるポートb、ポート(吸入側低圧ポート)pDに細管#cを介して接続されるポートc、第2作動室32に細管#dを介して接続されるポートdが弁ケース92の長手方向(左右方向)に沿って所定間隔をあけて横並びに開口せしめられている。
【0083】
吸引子95に対向配置されたプランジャ97は、基本的には円柱状とされ、弁ケース92内を軸方向(弁ケース92の中心線Lに沿う方向)に摺動自在に配在されている。そのプランジャ97の吸引子95側とは反対側の端部には、弁体94をその自由端側で厚み方向に摺動可能に保持する弁体ホルダ94Aがその基端部を取付具94Bと共に圧入、かしめ等により取付固定されている。この弁体ホルダ94Aには、弁体94を弁座93に押し付ける方向(厚み方向)に付勢する板ばね94Cが取り付けられている。弁体94は、弁座93の弁シート面に開口するポートb、c、d間の連通状態を切り換えるべく、当該弁座93の弁シート面に対接せしめられた状態で、弁座93の弁シート面をプランジャ97の左右方向の移動に伴って摺動するようになっている。
【0084】
また、弁体94には、弁座93の弁シート面に開口する3個のポートb〜dのうちの隣り合うポートb−c間、c−d間を選択的に連通させ得るような大きさの凹部94aが設けられている。
【0085】
また、圧縮コイルばね96は、吸引子95とプランジャ97との間に縮装されてプランジャ97を吸引子95から引き離す方向(図では、右方)に付勢するようになっているが、本例では、弁座93(の左端部)が、プランジャ97の右方への移動を阻止するストッパとされている。なお、このストッパの構成としては、その他の構成を採用し得ることは言うまでも無い。
【0086】
なお、上記四方パイロット弁90は、取付具92Aを介して六方弁本体10の背面側等の適宜の箇所に取付けられる。また、上記四方パイロット弁90では、吸入側低圧ポートであるポートpDに細管#cを接続しているが、中圧冷媒が流されるポートpCに細管#cを接続してもよい。
【0087】
[四方パイロット弁90の動作]
上記した如くの構成とされた四方パイロット弁90においては、電磁コイル91への通電OFF時には、
図1及び
図8(A)に示される如くに、プランジャ97は圧縮コイルばね96の付勢力により、その右端が弁座93に接当する位置まで押し動かされている。この状態では、弁体94がポートbとポートc上に位置し、その凹部94aによりポートbとポートcが連通するとともに、ポートdと弁室99とが連通するので、ポート(吐出側高圧ポート)pAに流入する高圧流体が高圧細管#a→弁室99→ポートd→細管#d→ポートp12を介して第2作動室32に導入されるとともに、第1作動室31の高圧流体がポートp11→細管#b→ポートb→凹部94a→ポートc→細管#c→ポート(吸入側低圧ポート)pDへと流れて排出される。
【0088】
それに対し、電磁コイル91への通電をONにすると、
図2及び
図8(B)に示される如くに、プランジャ97は吸引子95の吸引力により、その左端が吸引子95に接当する位置まで(圧縮コイルばね96の付勢力に抗して)引き寄せられる。このときには、弁体94がポートcとポートd上に位置し、その凹部94aによりポートcとポートdが連通するとともに、ポートbと弁室99とが連通するので、ポート(吐出側高圧ポート)pAに流入する高圧流体が高圧細管#a→弁室99→ポートb→細管#b→ポートp11を介して第1作動室31に導入されるとともに、第2作動室32の高圧流体がポートp12→細管#d→ポートd→凹部94a→ポートc→細管#c→ポート(吸入側低圧ポート)pDへと流れて排出される。
【0089】
したがって、電磁コイル91への通電をOFFにすると、六方弁本体10の主弁体15が暖房位置(第2連通状態)から冷房位置(第1連通状態)に移行し、前記した如くの流路切換が行われる一方、電磁コイル91への通電をONにすると、六方弁本体10の主弁体15が冷房位置(第1連通状態)から暖房位置(第2連通状態)に移行し、前記した如くの流路切換が行われる。
【0090】
このように、本実施形態の六方切換弁1では、電磁式四方パイロット弁90への通電をON/OFFで切り換えることで、六方切換弁1内を流通する高圧流体(高圧部分であるポートpAを流れる流体)と低圧流体(低圧部分であるポートpDを流れる流体)との差圧を利用して六方弁本体10を構成する主弁体15を主弁室12内で移動させることにより、主弁ハウジング11に合計で6個設けられたポート間の連通状態が切り換えられ、ヒートポンプ式冷暖房システムにおいて、暖房運転から冷房運転への切り換え、及び、冷房運転から暖房運転への切り換えを行うことができる。
【0091】
[流路切換弁1の作用効果]
以上の説明から理解されるように、本実施形態の流路切換弁(六方切換弁)1においては、第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aにおける環状シール面15sの軸線O方向外側に、該環状シール面15sと同じ高さの凸面部15tが設けられるので、この凸面部15tによって、第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aの環状シール面15sが第1主弁座13の弁シート面に開口せしめられたポートを乗り越えやすくなり、ポートに対する第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aの環状シール面15sの引っ掛かりを効果的に防止できるとともに、第1主弁座13の弁シート面上での第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aのがたつきを低減できるため、シール性、動作性、耐久性、安定性等を効果的に向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態においては、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた環状シール面15sは、第1Uターン通路16Aの開口周りの所定幅のみに形成されるので、第1スライド弁体15A(の環状シール面15s)と第1主弁座13(の弁シート面)との接触面積が小さくなり、第1主弁座13(の弁シート面)に対する第1スライド弁体15A(の環状シール面15s)の押し付け力(面圧)が高くなり、シール性を更に向上させることができる。また、第1スライド弁体15Aにおける右面側の受圧面積Scも減らすことができるため、小型化を図ることができるとともに、他の組立部品の配置自由度を高めることもできる。
【0093】
また、本実施形態においては、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた前記凸面部15tは、環状シール面15sの軸線O方向端部に連続して設けられるので、ポートに対する第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aの環状シール面15sの引っ掛かりをより確実に防止できるとともに、第1主弁座13の弁シート面上での第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aのがたつきをより確実に低減することができる。
【0094】
さらに、本実施形態においては、左右方向(軸線Oに対して垂直な方向)で視て、第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aにおける第2スライド弁体(低圧側スライド弁体)15B側(背圧側)の受圧面(受圧面積Sc)の外形(つまり、Oリング18の外形)が第1スライド弁体15Aにおける環状シール面15s(の対接面積Sb)の外形より大きく設定される(詳細には、環状シール面15sに連接された凸面部15tの全体が、右面側の受圧面積Scの内側に位置するように設けられる)ので、第1主弁座13の弁シート面との第1スライド弁体15Aの接触面(環状シール面15s)の圧力分布が略均一となるため、良好なシール性、動作性、安定性を確保でき、弁漏れを効果的に抑えることができる。
【0095】
(第2実施形態)
図9は、本発明に係る流路切換弁(六方切換弁)の第2実施形態を示している。
【0096】
図示第2実施形態の流路切換弁2は、上記した第1実施形態の流路切換弁1と、主弁体以外の構成はほぼ同じである。そのため、第1実施形態の流路切換弁1の各部に対応する部分並びに同様の機能を有する部分には共通の符号を付して重複説明を省略し、以下においては、主弁体周りの相違点を中心に説明する。
【0097】
図示実施形態の流路切換弁2において、左右方向(軸線Oに対して垂直な方向)で視て、第1スライド弁体15Aにおける右面側の受圧面積Scの外形(つまり、Oリング18の外形)がレーストラック形とされ、その受圧面積Scの外形の一部が左面側の凸面部15tの先端部分より小さくされる。言い換えれば、環状シール面15sに連接された凸面部15tの根元部分(環状シール面15sに隣接する部分)が、右面側の受圧面積Scの内側に位置するとともに、凸面部15tの先端部分(環状シール面15sから離間する部分)が、右面側の受圧面積Scの外側に位置するように設けられている。
【0098】
例えば、上記した第1実施形態の流路切換弁1においては、第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとの間(摺動面隙間)に配在されるシール部材としてのOリング18が異形となり、金型設計や組立作業の難易度が高くなる。また、上下方向に延びる棒状の凸面部15tの先端部分は、圧力分布が小さいもしくはほとんど発生しない領域となる。
【0099】
本第2実施形態の流路切換弁(六方切換弁)2においては、上記構成を採用することにより、上記第1実施形態の流路切換弁1と同様の作用効果が得られることに加えて、第1スライド弁体15Aと第2スライド弁体15Bとの間(摺動面隙間)に配在されるOリング18の形状を簡素化できるとともに、圧力分布がある環状シール面15s及び凸面部15tの根元部分を効果的に第1主弁座13の弁シート面に押し付けられるため、シール性等を更に向上させることができる。
【0100】
(第3実施形態)
図10、
図11は、本発明に係る流路切換弁(六方切換弁)の第3実施形態を示している。
【0101】
図示第3実施形態の流路切換弁3は、上記した第2実施形態の流路切換弁2と、主弁体以外の構成はほぼ同じである。そのため、第2実施形態の流路切換弁2の各部に対応する部分並びに同様の機能を有する部分には共通の符号を付して重複説明を省略し、以下においては、主弁体周りの相違点を中心に説明する。
【0102】
図示実施形態の流路切換弁3において、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた環状シール面15sの上側及び下側には、当該環状シール面15s(の軸線O方向端部)から離れて(つまり、所定の間隙をあけて)、該環状シール面15sと同じ高さかつ該環状シール面15s(の外形)と略同幅の比較的面積の広い凸面部15tが設けられている。
【0103】
本第3実施形態の流路切換弁(六方切換弁)3においては、上記構成を採用することにより、上記第2実施形態の流路切換弁2と同様の作用効果が得られることに加えて、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた前記凸面部15tは、環状シール面15sの軸線O方向端部から離れて設けられるので、圧力分布はなく、第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aの環状シール面15sの圧力(面圧)分布を制御しやすくなり、シール性、動作性、耐久性、安定性等を効果的に向上できるとともに、環状シール面15sと凸面部15tとの間に形成される溝は、異物排出通路として機能するため、環状シール面15sと弁シート面との間の異物溜まりを効果的に防止することもできる。
【0104】
また、本第3実施形態においては、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた前記凸面部15tは、環状シール面15s(の外形)の幅方向全体にわたって設けられるので、この凸面部15tによって、第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aの環状シール面15sが第1主弁座13の弁シート面に開口せしめられたポートをより確実に乗り越えやすくなり、ポートに対する第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aの環状シール面15sの引っ掛かりをより効果的に防止できるとともに、第1主弁座13の弁シート面上での第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aのがたつきを更に低減することができる。
【0105】
(第4実施形態)
図12、
図13は、本発明に係る流路切換弁(六方切換弁)の第4実施形態を示している。
【0106】
図示第4実施形態の流路切換弁4は、上記した第3実施形態の流路切換弁3と、主弁体以外の構成はほぼ同じである。そのため、第3実施形態の流路切換弁3の各部に対応する部分並びに同様の機能を有する部分には共通の符号を付して重複説明を省略し、以下においては、主弁体周りの相違点を中心に説明する。
【0107】
図示実施形態の流路切換弁4において、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた環状シール面15sの上側及び下側における幅方向両側部には、当該環状シール面15s(の軸線O方向端部)から離れて(つまり、所定の間隙をあけて)、かつ、上下方向に向けて(軸線O方向に沿って)、該環状シール面15sと同じ高さかつ該環状シール面15s(の外形)より幅狭の(合計で4本の)略棒状の凸面部15tが設けられている。図示例では、各凸面部15tの幅は、第1Uターン通路16Aの開口周りに形成されたレーストラック形の環状シール面15sの幅(前記所定幅)と略同じとされている。
【0108】
本第4実施形態の流路切換弁(六方切換弁)4においては、上記構成を採用することにより、上記第3実施形態の流路切換弁3と同様の作用効果が得られることに加えて、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた前記凸面部15tは、少なくとも環状シール面15sの幅方向両側部に設けられるので、例えば第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aが傾いた状態で第1主弁座13の弁シート面上を摺動する場合でも、第1スライド弁体(高圧側スライド弁体)15Aの環状シール面15s(の一方の側部)が第1主弁座13の弁シート面に接触する前に、当該凸面部15tが第1主弁座13の弁シート面に接触するため、耐久性を確実に向上させることができる。
【0109】
また、本第4実施形態においては、例えば上記第3実施形態と比べて、第1スライド弁体15Aの凸面部15tと第1主弁座13の弁シート面との接触面積が小さくなり、第1主弁座13の弁シート面に対する第1スライド弁体15Aの押し付け力(面圧)が高くなり、シール性を更に向上させることができる。
【0110】
(第5実施形態)
図14、
図15は、本発明に係る流路切換弁(六方切換弁)の第5実施形態を示している。
【0111】
図示第5実施形態の流路切換弁5は、例えば上記した第4実施形態の流路切換弁4と、主弁体以外の構成はほぼ同じである。そのため、第4実施形態の流路切換弁4の各部に対応する部分並びに同様の機能を有する部分には共通の符号を付して重複説明を省略し、以下においては、主弁体周りの相違点を中心に説明する。
【0112】
図示実施形態の流路切換弁5において、第1スライド弁体15Aの左面側(第1主弁座13側)に設けられた環状シール面15sの上端部及び下端部における幅方向中央部には、上下方向に向けて(軸線O方向に沿って)、該環状シール面15sと同じ高さかつ該環状シール面15s(の外形)より幅狭の(合計で2本の)略棒状の凸面部15tが連設されるとともに、その環状シール面15sの上側及び下側における幅方向両側部には、当該環状シール面15s(の軸線O方向端部)から離れて(つまり、所定の間隙をあけて)、かつ、上下方向に向けて(軸線O方向に沿って)、該環状シール面15sと同じ高さかつ該環状シール面15s(の外形)より幅狭の(合計で4本の)略棒状の凸面部15tが設けられている。
【0113】
すなわち、本実施形態の流路切換弁5(における凸面部15t)は、上記第1実施形態の流路切換弁1もしくは第2実施形態の流路切換弁2(における凸面部15t)と上記第4実施形態の流路切換弁4(における凸面部15t)とを組み合わせた構成を有している。
【0114】
本第5実施形態の流路切換弁(六方切換弁)5においては、上記構成を採用することにより、上記第1実施形態の流路切換弁1もしくは第2実施形態の流路切換弁2と上記第4実施形態の流路切換弁4との両方の作用効果が得られることは当然である。
【0115】
なお、上記実施形態の流路切換弁1〜5では、四方パイロット弁90を用いて主弁室12内で主弁体15を駆動する構成について説明したが、例えば四方パイロット弁90に代えてモータを用いて主弁室12内で主弁体15を駆動する構成でも良い。
【0116】
また、上記実施形態の流路切換弁1〜5では、ヒートポンプ式冷暖房システムにおける六方切換弁を例示して説明したが、主弁ハウジング11(の主弁室12)に設けられるポートの数や位置、主弁ハウジング11の構成や形状、主弁ハウジング11(の主弁室12)内に配在される主弁体15や連結体25の構成や形状等は、図示例に限られないことは勿論であり、六方切換弁以外の多方切換弁にも適用できることは詳述するまでも無い。
【0117】
また、本実施形態の流路切換弁1〜5は、ヒートポンプ式冷暖房システムのみならず、他のシステム、装置、機器類にも組み込めることは勿論である。