特許第6983413号(P6983413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983413
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】添え木兼用シート押え具
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20211206BHJP
   A01G 9/12 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   A01G13/02 J
   A01G9/12 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-193276(P2018-193276)
(22)【出願日】2018年10月12日
(65)【公開番号】特開2020-58313(P2020-58313A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2020年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】518363358
【氏名又は名称】吉村 富士夫
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】吉村 富士夫
【審査官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−150582(JP,A)
【文献】 特開2011−234696(JP,A)
【文献】 特開2007−82522(JP,A)
【文献】 特開2002−348831(JP,A)
【文献】 実開平2−9052(JP,U)
【文献】 実開昭58−78059(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3063014(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/02
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が円形の細長な金属丸棒の一端側から所定長さを有する直線状の第1差込部と、
該第1差込部の端部を直角方向に折り曲げた金属丸棒を前記第1差込部の端部との間に所定間隔の開口部を形成する角度まで円形に折り曲げて形成した円弧押え部と、
該円弧押え部の端部を前記円弧押え部の略中心位置方向に略直角方向へ折り曲げて形成した連結押え部と、該連結押え部の前記円弧押え部の略中心位置にある端部を前記第1差込部と反対方向へ略直角に折り曲げて形成した所定長さの支柱部と、
前記第1差込部と間隔を開けて該第1差込部と同方向へ延びるように前記円弧押え部に固定した第2差込部と、を有することを特徴とする添え木兼用シート押え具。
【請求項2】
前記支柱部の先端部を逆U字型に折り曲げた把持部を有することを特徴とする請求項1に記載の添え木兼用シート押え具。
【請求項3】
前記円弧押え部は円周の略3/4周の長さを有しており、前記所定間隔の開口部は円周の略1/4周開口していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の添え木兼用シート押え具。
【請求項4】
前記断面が円形の細長な金属丸棒が、ステンレス鋼材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の添え木兼用シート押え具。
【請求項5】
前記支柱部に添え棒固定部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の添え木兼用シート押え具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物等の苗や苗木を倒れないように支持する添え木とマルチシートを押えて地面に固定する添え木兼用シート押え具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、農作物用の畝を黒色のビニル製の所謂マルチシートで覆い、畝の保温性を高めて農作物の苗や苗木(以下、苗木という。)の根付きを良くするマルチ栽培が知られてる。このマルチ栽培では通常はロール状に巻かれたマルチシートを細長い畝に沿って順次広げてゆくが、畝を覆ってから、苗木を植える箇所に孔を開け、その孔に苗木を順次植え付けてゆく。そして、苗木が根付いて茎が成長するまで風雨で倒れないようにするために棒状の添え木を苗木に隣接して畝の地面に突き刺して紐などの係止具で結びつけている。又、ロール状に巻かれたマルチシートを回転させながら畝等に敷設する際に畝の表面に解いたマルチシートが風に煽られてよれたり捲れたりしないよう、補助者の助けを得ることが多いが、補助者がいない時には石などの重しを上に置いて順次作業を行わなければならないので、手間と時間を要している。そして、予め畝等の表面上にマルチシートが張られた後は、マルチシートの両側端部に杭の形状をした止め具を地面に打ち込むことによってマルチシートの両側端縁から風が入り込まないように固定する固定具が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−236829
【特許文献2】特開2018−068157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、苗木を支持する添え木は細く短い棒状のもので、これを使用する際には、植えたばかりの苗木の根元に差し込んで使用する時、植えたばかりの苗木の根元の土は掘り返されて軟弱であるため地中深くまで刺し込まなければ安定しないので、少し長目の棒材が必要であると共に押し込み力も強くしなければならないという問題点がある。
又、特許文献1及び特許文献2に記載の固定具は、マルチシートを畝に固定する機能のみしか有していないため、それ以外のマルチ栽培の作業、例えば、農作物の苗木を支持する添え木の設置作業などに使用することができないという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであって、マルチ栽培の苗木の添え木としての利用の他にマルチシートを畝等の地面に固定する際にも利用できる添え木兼用シート押え具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の添え木兼用シート押え具は、断面が円形の細長な金属丸棒の一端側から所定長さを有する直線状の第1差込部と、該第1差込部の端部を直角方向に折り曲げた金属丸棒を前記第1差込部の端部との間に所定間隔の開口部を形成する角度まで円形に折り曲げて形成した円弧押え部と、該円弧押え部の端部を前記円弧押え部の略中心位置方向に略直角方向へ折り曲げて形成した連結押え部と、該連結押え部の前記円弧押え部の略中心位置にある端部を前記第1差込部と反対方向へ略直角に折り曲げて形成した所定長さの支柱部と、前記第1差込部と間隔を開けて該第1差込部と同方向へ延びるように前記円弧押え部に固定した第2差込部と、を有することを特徴としている。
【0007】
本発明の添え木兼用シート押え具は、前記支柱部の先端部を逆U字型に折り曲げた把持部を有することを特徴としている。
【0008】
本発明の添え木兼用シート押え具は、前記円弧押え部は円周の略3/4周の長さを有しており、前記所定間隔の開口部は円周の略1/4周開口していることを特徴としている。
【0009】
本発明の添え木兼用シート押え具は、前記断面が円形の細長な金属丸棒が、ステンレス鋼材であることを特徴としている。
【0010】
本発明の添え木兼用シート押え具は、支柱部に添え棒固定部を具備していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の添え木兼用シート押え具によると、支柱部は、円弧押え部の略中心位置から第1差込部と反対方向へ略直角に折り曲げられており、第2差込部は、第1差込部と同方向へ延びているので、畝を覆うマルチシートの上方から第1差込部及び第2差込部を円弧押え部や連結押え部がマルチシートに当接するまで地中に差し込むと、安定的にマルチシートを畝に固定することができる。また、農作物の苗木が円弧押え部の中心位置に入るようにしてから畝に第1差込部及び第2差込部を差し込み、所定長さを有する支柱部に苗木の茎を紐等の締付具で結んで支持させれば、苗木の添え木設置作業とマルチシートの畝への固定を兼ねることができ、農作業を効率よく行うことができる。そして、円弧押え部、連結押え部がマルチシートを畝の表面に押さえつけることにより苗木のために開けた孔から風が入り難くなってマルチシートが地面から剥れにくくなる。さらに、円弧押え部の円弧状の端部と第1差込部の端部との間に金属丸棒がない開口部が設けられているので、苗木の側方向から開口部を通じて容易に苗木を円弧押え部の中心位置へ入れることができる。この後に、把持部を持って地面へ押し込むだけでよいので、作業効率を向上させることができる。
【0012】
本発明の添え木兼用シート押え具によると、支柱部の先端部を逆U字型に折り曲げて把持部を形成しているので、作業中に手指が先端部に当たって怪我をしたり衣服が引掛かることを防止できる。また、手指を把持部に引掛けて上方に持ち上げれば畝から容易に引き抜くことができる。
【0013】
本発明の添え木兼用シート押え具によると、円弧押え部は円周の略3/4周の長さを有しており、開口部は円周の略1/4周開口しているので、苗木の側方向から開口部を通って円弧押え部の中心位置に苗木を入れることができ、作業効率を向上させることができる。
【0014】
本発明の添え木兼用シート押え具によると、金属丸棒はステンレス鋼材であるので、表面に当たる光を乱反射して支柱部に支えられる苗木の光合成を促進したり、害虫が苗木に寄り付いたりすることを防止でき、苗木の成長を助けることができる。
【0015】
本発明の添え木兼用シート押え具によると、支柱部に添え棒固定部を具備しているので、地面に差し込んだ下端部を有する添え棒の上方部分をこの添え棒固定部で支持でき、添え棒が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】添え木兼用シート押え具を示す全体斜視図。
図2】複数の添え木兼用シート押え具を積み重ねた状態を示す斜視図。
図3】回転させながら巻き解いて広げたマルチシートの端部を添え木兼用シート押え具で仮固定する様子を示す斜視図。
図4】マルチシートに孔を開け、苗木を畝に植えた状態を示す斜視図。
図5】畝から浮かした状態で開口部から苗木を円弧押え部の円弧の中心位置に入れる正面図。
図6】支柱部で苗木を支持した植付状態を示す斜視図。
図7】添え木兼用シート押え具の使用状態を示す断面図。
図8】他の実施形態の添え木兼用シート押え具を示す全体斜視図。
図9図8の添え木兼用シート押え具の使用状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添え木兼用シート押え具1の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本願の添え木兼用シート押え具1は、図1及び図7によく表われているように、主に畝2をビニル製のマルチシート3で覆い、畝2の保温性を高めて農作物の苗木Aの根付きを良くするマルチ栽培に用いられる用具で、マルチシート3に孔を開けて植えられた苗木Aの添え木として使用されると共にマルチシート3を地面に固定するためにも使用できるものである。
【0018】
図1に示すように、添え木兼用シート押え具1は、断面が円形の細長な金属丸棒の一端側から所定長さの直線状の第1差込部11と、該第1差込部11の端部11aを略直角方向に折り曲げた金属丸棒を第1差込部11の端部11aとの間に所定間隔の開口部Sを形成する角度まで円形に折り曲げて形成された円弧押え部12と、該円弧押え部12の端部12aを略直角方向に折り曲げて円弧押え部12の円弧の略中心位置までの長さの押え連結部12bを形成し、該押え連結部12bの端部12cを第1差込部11と反対方向である上方へ略直角方向に折り曲げて形成された支柱部13と、前記第1差込部11と間隔を開けて該第1差込部11と同方向へ延び、前記円弧押え部12に固定される前記第1差込部11と略同長さの第2差込部14と、を具備している。
【0019】
図7に示すように、第1差込部11は、第2差込部14と共に地中に差し込まれる部分で、通常100〜150mm程度の長さで形成され、特に130mm程度とすることが好ましい。苗木Aの種類によって適宜変更するのが好ましい。また、図1及び図7に示すように、円弧押え部12は、農作物を栽培する畝2にマルチシート3を上方から押えて固定するための部分で、第1差込部11の端部11aを直角方向に折り曲げてから円形に形成されている。これによってマルチシート3に開けた孔5の外側を押えられるので、マルチシート3と地面の間からの風が入り込むのを阻止できマルチシート3の地表面からの浮き上がりを防止し、マルチシート3を畝2に安定的に固定することができる。又、連結押え部12bもマルチシート3を上方から押えているので、マルチシート3の浮き上がりを防止できる。
【0020】
円弧押え部12の円弧部分は、円周の略3/4周の長さを有しており、円弧の直径は130〜180mm程度で形成され、特に好ましくは直径150mm程度であるが、苗木Aの種類によって、適宜変更して使用する。また、円弧押え部12の端部12aから直角方向で、円弧の中心へ向けて延びている連結押え部12bの長さは前記実施例に合わせれば略60mm程度であって、その先端12cが円弧の略中心に位置するように形成されている。前記開口部Sは苗木Aを円弧押え部12の略中心に位置している支柱部13に隣接する位置にまで入れるためのものであて、円周の略1/4周の約90°開口するように形成されているが、苗木Aを通過させることができる範囲であればこの角度は限定されるものではない。
【0021】
図1及び図2等に示すように、支柱部13は、苗木Aを支持して添え木となる部分で、円弧の中心位置にある連結押え部12bの端部12cを第1差込部11と反対方向へ略直角に上方へ折り曲げられており、その長さは、220mm〜300mm程度で形成され、さらに好ましくは250mm程度である。このような長さであれば、添え木兼用シート押え具1を畝2に設置した場合に、苗木Aの根元部分を支柱部13に紐で結び付けることにより支柱部13を苗木Aの添え木とすることができる。また先述したように、連結押え部12bの端部は円弧部分の略中心に位置しているため、支柱部13は連結押え部12bの円弧部分の略中心から上方へ突出することになり、畝2の表面から添え木兼用シート押え具1の第1差込部11及び第2差込部14を地中に差し込んで設置した場合に、支柱部13が傾斜したり転倒することなく安定的に畝2に立てることができる。
【0022】
さらに、支柱部13は、先端部を逆U字型に折り曲げて把持部13aが形成されており、把持部13aの曲線部分の幅は10〜20mm程度で形成されている。このような把持部13aを設けることにより、つかみ把み易くなることに加えて、作業者の手指が先端部に当たって怪我をしたりすることを防止でき、衣服が引掛かることも防止できる。把み易いので地面への押し込み引き抜きが容易であり、安全性及び利便性を向上させることができる。
【0023】
図1図7に示すように、第2差込部14は、支柱部13に対して第1差込部11と相対向する位置の円弧押え部12の円弧部分の下方に溶接固定されている。このように第1差込部11と第2差込部14とを支柱部13を挟んで相対向させることにより、円弧押え部12の半分の位置で地中に固定できることになって添え木兼用シート押え具1をより安定的に畝2に固定することができる。しかし、第2差込部14の円弧押え部12への固定位置はとくに限定されるものではなく、第1差込部11とある程度離れていればよい。又、その数も第1、第2差込部11、14の2本に限らず、3本以上であってもよい。
【0024】
添え木兼用シート押え具1は、本実施形態では太さφ4〜5mm程度の金属丸棒で形成されており、図2に示すように、複数の添え木兼用シート押え具1同士を積み重ねることができるため、把持部13a同士を紐で結んでおけば、壁に設置されるフックなどにまとめて吊り掛け保管をすることができ、また、同時に複数持ち運びできるので利便性のよい押え具とすることができる。そして、添え木兼用シート押え具1の金属の材質は特に限定されないが、ステンレス鋼材とすることにより、表面に当たる光を乱反射して支柱部13に支えられる苗木Aの光合成を促進したり、害虫が苗木Aに寄り付いたりすることを防止できることから、又、錆が発生せず耐久性に富み使用年数が向上することから最も望ましい。尚、金属丸棒に代えて、硬質合成樹脂製の棒状材も使用できる。この合成樹脂製の棒状材の中心に金属線を入れたものであれば耐久性も向上し尚好ましい。
【0025】
次に、添え木兼用シート押え具1の設置手順について説明する。マルチシート3を敷設する場合にはまず図3に示すように、ロール状に巻かれた長尺なマルチシート3を細長い畝2に沿って転がしながら解いて広げてゆくが、最初にマルチシート3の長手方向側の一端部上方から添え木兼用シート押え具1の第1差込部11及び第2差込部14を地中に差し込んで、円弧押え部12及び連結押え部12bをマルチシート3の上面に当接させて下方へと押し込むと、第1差込部11及び第2差込部14が地中に係止するとともに各押え部12、12bがマルチシート3を畝2に押さえつけるので、マルチシート3の一端部を畝2に仮固定することができる。これによって、風が吹いている場合でも、マルチシート3の端が飛ばされることもなくなり、一端側が地中に固定されることから一人でも巻き解し作業が可能になる。
【0026】
続いて、畝2に沿って順次マルチシート3を巻き解して広げてゆき、マルチシート3の幅方向側の両端部上方から棒状の押え具6などを地中に打ち込んでマルチシート3を畝2に固定する。あるいは添え木兼用シート押え具1を要所要所に差し込んで仮固定してゆき、最後に押え具6を打ち込んで両側を畝に沿って固定してもよい。次に、マルチシート3の苗木Aを植える位置に所定間隔を開けて所定の直径の孔5を開け、苗木Aを孔5の開口部分の地中にに植えてゆく。そして添え木兼用シート押え具1を苗木Aの側方から開口部Sを通じて円弧押え部12の円弧の中心部まで入れ支柱部13に隣接させる。この時、図5に示すように、把持部13を指でつかんで浮かせた状態で開口部Sを苗木Aの中心の茎の方向に向けて押し込んでから矢符X方向へ支柱部13を回転させて円弧押え部12の中心位置となるように移動させる。
【0027】
そして、図6に示すように、添え木兼用シート押え具1の支柱部13を上方から押えてマルチシート3の面を突き破って畝2の地中の中へ第1差込部11及び第2差込部14を突き刺して固定する。その後、図7に示されているように、苗木Aの茎aなどの固い部分を支柱部13に紐などの締付具Kで括り付けて支柱部13に支持させる。このように苗木Aを支柱部13に支持させることにより、苗木Aが風雨で倒されたり傷ついたりすることを効果的に防止する添え木とすることができる。また、支柱部13は、地中に差し込まれる第1差込部11及び第2差込部14を固定した円弧押え部12と一体となっているので、従来の単なる木や棒状の添え木と比較して風雨による浮き上がりや転倒を起こしにくく、苗木Aをより安定的に支持することができる。
【0028】
図8はこの発明の他の実施形態を示し、前記実施形態と異なるところは、支柱部13に添え棒Tを挿通し係止する円弧状の添え棒固定部13bを設けたことである。この添え棒固定部3bは支柱部13を円弧状に曲げて前記円弧押え部12の円弧より小径の円弧を形成したものである。閉じた円弧とするのではなく、直線方向に延びる支柱部13との間に開口部13cを形成しておくことによって、この開口部13cから成長した苗木Aの茎aを入れて安定させることもできるようにしたのものである。
【0029】
使用時においては、図9に示すように、添え棒固定部13bに斜め方向から添え棒Tを必要本数を挿通して畝2の地中に差し込み安定した状態としてから、成長した苗木Aの茎aを締付具Kなどによって結び固定すればよい。これによって苗木Aの茎aになすなどの重量のある野菜であっても茎aが倒れることなく収穫時期まで支持することができる。
【0030】
この実施形態においては、支持部13を円弧状に曲げて添え棒固定部13bを形成した例を述べたが、別途作製した金属円形環を支柱部13に固定するなど他の手段によるものであってもよい。あるいは、支持部13に棒状部材等を横方向に突出させるように固定したものであってもよい。このような添え棒固定部13bがない場合には、支柱部13に添え棒Tを直接に紐などの締付具Kで結んで固定してもよい。
【0031】
このように、本願の添え木兼用シート押え具1は、支柱部13を苗木Aの添え木とすることができ、同時にマルチシート3の畝3への固定とを行うことができる。又、マルチシート3を使用しない場合であっても苗木Aの添え木としても有効に利用できる。更に、マルチシート3の設置作業の補助具としても利用できる。
【0032】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る添え木兼用シート押え具によると、マルチシート栽培農業の苗木の添え木として有効利用できるのに加えて、畝にマルチシートを固定する際にも好適に使用することが出来、農作業の作業能率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 添え木兼用シート押え具
11 第1差込部
12 円弧押え部
12a 把持部
12b 連結押え部
13 支柱部
14 第2差込部
2 畝
3 マルチシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9