【実施例】
【0026】
以下、参考例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明はもとより下記実施例等により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0027】
(実施例1) ヒト血漿由来ヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)の精製
本実施例では、ヒト血漿由来HRGの精製を行った。ヒト血漿(240 mL)を出発原料とし、Ni-NTAアフィニティクロマトグラフィ及び高性能液体クロマトグラフィ(陰イオン交換カラム(単分散系親水性ポリマービーズ:Mono Q))を用いて、HRGタンパク質を精製した。分子量約80kDa画分にHRG精製試料を得た。
【0028】
(実施例2)遺伝子組換えヒトHRGの産生
遺伝子組換えヒトHRGは、10% FCS含有GIBCO
(R) Dulbecco's Modified Eagle Medium / Nutrient Mixture F-12 (DMEM/F-12) で培養を行ったCHO細胞(Chinese Hamster Ovary cells)にFuGENE(商標)-HD(遺伝子導入試薬)を用いて、HRG発現ベクター、トランスポゼース発現ベクター、薬剤耐性遺伝子発現ベクターをDNA量 5 : 4:1でコトランスフェクトした。 遺伝子導入し、48時間培養後から、Puromycin(抗生物質)10μg/mLを添加して、3日に1回培地交換を行いながら3週間薬剤選択培養を行った。
【0029】
組換えヒトHRGを含む培養上清を回収した。PBS(-) 30 mLで予め洗浄したQIAGEN
(R) Ni-NTAアガロースゲル(Sepharose CL-6B支持体にNi-NTAを結合したゲル)を前記培養上清に加え、4℃で2時間回転インキュベートし、組換えヒトHRGをQIAGEN
(R) Ni-NTAアガロースゲルに結合させた。QIAGEN
(R) Ni-NTAアガロースゲルを精製用カラムに移した後、洗浄液1(30 mM Imidazoleを含むPBS(-)(pH7.4))、洗浄液2(1M NaCl +10 mM PB (pH7.4))、洗浄液3(PBS(-) (pH7.4))で順次カラムを洗浄した。組換えヒトHRG は、500 mM Imidazoleを含むPBS(-) (pH7.4)で、4℃で溶出を行なった。精製品は、ウエスタンブロットとSDS-PAGE 後のタンパク染色でHRGを確認した。本実施例で作製するHRGは、国際出願番号PCT/JP2016/79219の実施例12に示す方法で作製した。
【0030】
(実施例3)赤血球濃厚液の保護剤
50 mLあたりD−マンニトール(728.5mg)、アデニン(7.0mg)、リン酸二水素ナトリウム(47.0mg)、クエン酸ナトリウム水和物(75.0mg)、クエン酸水和物(10.0mg)、ブドウ糖(360.5mg)及び塩化ナトリウム(248.5mg)を含む市販の赤血球保存液MAP液(MAP液バッグ)に、ヒト血漿から作製したHRG及びヒト血清アルブミン(HSA)を各々最終濃度が100μg/mLとなるように加えたものを赤血球含有溶液の保護剤とした。
【0031】
(参考例1)Zn
2+による赤血球膜表面のホスファチジルセリン(PS)発現誘導
本参考例では、赤血球濃厚液に対するZn
2+の影響を確認した。
【0032】
10%のACD液を抗凝固剤として含む試験管に10 mLずつ採血し、3000 rpmで10分間遠心処理を行い、血漿及びバフィーコートを除去して赤血球濃厚液を調製し、赤血球溶液試料とした。
【0033】
上記作製した赤血球溶液試料についてZn
2+を加えたときの赤血球表面のPSの発現率を測定した。Zn
2+が0、5、10、15及び20μMとなるように加えて37℃で1時間インキュベートした後、赤血球表面のPS発現量を測定した。PS発現量は、赤血球溶液試料400μLにFITC標識アネキシンV反応液(Funakoshi製)4μLを加え、室温で15分間静置したのち4%パラホルムアルデヒド(PFA)を400μL加え、固定後、FACS解析した。これらの操作は、FITC標識アネキシンVアッセイキット(Funakoshi製)の使用説明書に従った。
【0034】
上記の結果、添加した亜鉛濃度依存的に、赤血球表面のPS発現割合が上昇することが確認された(
図1)。
【0035】
(実施例4)金属イオンにより発現誘導された赤血球上PSに対するHRGの作用
参考例1と同手法で調製した赤血球溶液試料に、HBSS(Hank's Balanced Salt Solutions)のみ、あるいはHBSSにZnCl
2(20μM)、MgCl
2(20μM)、CaCl
2(20μM)、ZnCl
2(20μM)+HRG(100μg/mL)、ZnCl
2(20μM)+HSA(100μg/mL)、HRG単独(100μg/mL)又はHSA単独(100μg/mL)を含む系で37℃で1時間インキュベートした後、赤血球表面のPS発現量を測定した。PS発現量は、参考例1と同手法により測定した。
【0036】
上記の結果、Zn
2+の添加により、赤血球表面にPSが発現したが、HRGの添加又はHSAを含む系によりPSの発現抑制が観察された(
図2)。
【0037】
(実施例5)Zn
2+により発現誘導された赤血球表面のPSに対する作用
本実施例では、HSA又はHRGについて、Zn
2+により赤血球表面に発現誘導されるPSに対する作用を確認した。参考例1と同手法で調製した赤血球溶液試料に、PBS+ZnCl
2(20μM)、HSA(1、10、100μg/mL)+ZnCl
2(20μM)、HSA(100μg/mL)+生理食塩液、HRG(1、10、100μg/mL)+ZnCl
2(20μM)、HRG(100μg/mL)+生理食塩液を加えた系で37℃で1時間インキュベートした後、赤血球表面のPS発現量を測定した。PS発現量は、参考例1と同手法により測定した。
【0038】
上記の結果、ZnCl
2(20μM)を含むグループで、HRGは1μg/mLでPSの発現抑制が観察されたのに対し、HSAでは1μg/mLでPSの発現抑制認められなかった(
図3)。これにより、HRGはHSAと比べて、より強力にPS発現を抑制することが観察された。
【0039】
(実施例6)Zn
2+によりあらかじめ発現誘導された赤血球上PSに対する作用
本実施例では、HSA又はHRGについて、Zn
2+によりあらかじめ赤血球表面に発現誘導されたPSに対する作用を比較検討した。参考例1と同手法で調製した赤血球溶液試料に、ZnCl
2(20μM)を加えて37℃で1時間インキュベートした。ZnCl
2(20μM)で処理した赤血球をRBC(Z)とした。コントロールとして、ZnCl
2(20μM)の代わりにPBSを加えて37℃で1時間インキュベートした(RBC(s))。
【0040】
RBC(Z)について、各濃度のHRG又はHSAを添加し、37℃で15分間インキュベートした。赤血球表面のPS発現量を参考例1と同手法により測定した。
【0041】
上記の結果、RBC(Z)について、HRGは100μg/mLでPSの発現抑制が観察されたのに対し、HSAでは100μg/mLでも十分なPSの発現抑制認められなかった(
図4)。これにより、HRGはHSAと比べて、より強力にPS発現を抑制することが観察された。
【0042】
(実施例7)HRGによる赤血球のコラーゲンIへの接着抑制
本実施例では、赤血球のコラーゲンIへの接着に及ぼすHRGの作用を確認した。本実施例では、参考例1と同手法で調製した赤血球溶液試料を用いて検討した。
【0043】
コラーゲンIをコートした市販の細胞培養用プレート(Corning Biocoat Collagen I Cellware)に、上記HRG(1、10、100μg/mL)を含むPBSで保存した赤血球溶液試料(赤血球数:4×10
6/mL)を播種し、37℃で30分間培養した。HRGを含まないPBSのみで保存した赤血球を播種したものをコントロールとした(PBS)。その結果、HRG濃度依存的に赤血球がコラーゲンIに接着するのが抑制されることが観察された(
図5)。
【0044】
(実施例8)HRGによる赤血球のコラーゲンIへの接着抑制
本実施例でも、コラーゲンIをコートした市販の細胞培養用プレート(Corning Biocoat Collagen I Cellware)に、実施例6又は7と同手法にてあらかじめ亜鉛刺激した赤血球溶液試料(赤血球数:4×10
6/mL)をHRG(1、10、100μg/mL)依存下に播種し、37℃で30分間培養した。その後実施例7と同手法にてプレートに接着した赤血球数を計測した。本実施例では、実施例6と同手法によりPBSで処理した赤血球をRBC(s)とし、各濃度のZnCl
2を含むPBSで処理した赤血球をRBC(Z)とした。その結果、ZnCl
2を含むグループでもHRG濃度依存的に赤血球がコラーゲンに接着するのが抑制された(
図6)。その結果、HRGを含むグループで赤血球を保存した場合に、Zn
2+の存在、非存在に関わらず、コラーゲンへの接着を抑制することが確認された(
図6)。
【0045】
(実施例9)赤血球保存用液の赤血球保護作用の確認
本実施例では、赤血球溶液試料に対するHRGの赤血球保護作用を確認した。MAP赤血球保存液に最終濃度が100μg/mLとなるようにHRG又はHSAを加え、以下に示す方法で調製した赤血球溶液試料(赤血球数:8×10
9/mL)を加え、4℃で21日間保存した。保存7日目、14日目及び21日目に赤血球溶液試料を採取し、PS陽性の赤血球の割合をFACSで算出した。その結果、保存日数に応じてPS陽性の赤血球の割合が漸増しているが、HRG添加のグループでPS陽性率が抑制されていることが確認された(
図7)。
【0046】
本実施例で使用する赤血球溶液試料は以下の方法で調製した。ここで、赤血球溶液試料調製のために、採血バッグとMAP液入りバッグ及びこれらを連結してなるチューブを備えた赤血球濃厚液保存用バッグ(テルモ株式会社)を用いた。
(1)赤血球濃厚液保存用バッグ(50 mL)に、MAP液バッグより取り出したMAP液を2.7 mL加えた。上記赤血球濃厚液保存用バッグにフィルター滅菌後のHRGを500μL添加し、HRGとHSAの最終濃度が各々100μ/mLとなるように混和し、赤血球保存用液を調製した。
(2)8.8 mLのACD液を含む試験管に1人あたり80 mLずつ採血し、3000 rpmで10分間遠心処理を行い、血漿及びバフィーコートを除去し、赤血球濃厚液を調製した。
(3)(2)で調製した濃厚赤血球液6.8 mLを(1)で調製した赤血球保存用液を含むバッグに加え、先端のチューブをクリップでとめて密閉した。バッグを4℃の条件でゆっくり転倒混和し、赤血球濃厚液を含むバッグのチューブのあるほうを上にして保存した。
(4)一定時間後に赤血球保存用液バッグから赤血球サンプルを取り出す時には、バッグを転倒混和し、チューブ部分を一部切り取り、サンプルを採取した。経時的なサンプル採取のため、チューブの先端はその都度密閉した。
【0047】
(実施例10)敗血症モデルマウスの赤血球表面のPS発現確認
本実施例では、盲腸結紮腹膜炎(cecal ligation and puncture; CLP)敗血症モデルマウス(以下、「CLPマウス」ともいう。)から採取した赤血球に及ぼすHRGの影響を確認した。
【0048】
CLP術後10分目にHRG(10mg/kg)、HSA(10mg/kg)及びコントロールとしてのPBS(100μL)を静注投与した。術後24時間目にマウスを麻酔し、10%のACD液を抗凝固剤として心臓から200μL採血した。採血した血液を400gで遠心し、血漿及びバフィーコートを吸引除去した。得られた赤血球液をHBSSで400g、5分間三回洗浄した。洗浄した赤血球1μLを1 mLのHBSSに加えた。400μLの懸濁液に4μLのFITC-conjugated Annexin V を加えて室温で15分間インキュベートした。その後、4%のPFA樹脂液を400μL加えて、15間固定した。固定後はFACSでPS陽性細胞数を測定した。別途洗浄した赤血球1μLを1 mLのHBSSに加えたものを37℃で4時間インキュベートした後、同様にFITC染色し、PS陽性細胞数を測定した。
【0049】
その結果、採血直後のPS陽性率は、何れのグループでも2%程度であったのに対し、4時間インキュベートした後では、HRG投与群でPS陽性率が抑制されていることが確認できた(
図8)。
【0050】
(実施例11)Zn
2+誘発性ホスファチジルセリン(PS)発現とHRGによる抑制
本実施例では、Zn
2+刺激した赤血球溶液試料にHRGを添加したときの、赤血球表面のPS発現量を確認した。参考例1で調製した赤血球溶液試料にZn
2+を20μMとなるように加えたものについてHRG濃度が1、10、及び100μg/mLとなるように加えて37℃で1時間インキュベートした後、赤血球表面のPS発現量を参考例1と同手法により測定した。
【0051】
上記の結果、HRGを添加しないグループでは赤血球表面のPS発現細胞率が40%であったのに対し、HRGを添加したグループ(1μg/mL)で、PS発現細胞率が10%以下に抑制されることが確認された(
図9)。
【0052】
(実施例12)Zn
2+による細胞内カルシウムの上昇とHRGによる抑制
本実施例では、Zn
2+刺激した赤血球溶液試料にHRGを添加したときの、赤血球細胞内のカルシウム量について確認した。参考例1で調製した赤血球溶液試料にZn
2+を20μMとなるように加えたものについてHRG濃度が1μg/mLとなるように加えて37℃で1時間インキュベートした後、赤血球細胞内のカルシウム量を測定した。
【0053】
上記の結果、HRGを添加しないグループでは赤血球細胞内のカルシウム量は上昇したが、HRGを添加したグループ(1μg/mL)で、カルシウム量が抑制されることが確認された(
図10A)。また、HRGを添加しないグループでは赤血球が凝集し、血管内皮細胞に赤血球が接着するのに対し、HRGを添加したグループでは赤血球は凝集せず、血管内皮細胞への接着も認められなかった(
図10B)。
【0054】
(参考例2)赤血球ペルオキシレドキシン2遊離
本参考例では、Zn
2+刺激又はカルシウムイオノフォアで刺激した赤血球溶液試料について、ペルオキシレドキシン2(Peroxiredoxin 2; Prx2)遊離量を確認した。Prxは、強い抗酸化作用を持つペルオキシダーゼの1種であり、細胞内において多量に存在することから、細胞の生理機能を維持する上で重要な抗酸化酵素である。赤血球からのPrx2遊離量を測定することで、赤血球の細胞傷害性を測定する指標となる。
【0055】
まずはじめに参考例1で調製した赤血球溶液試料に、Zn
2+を1、5、10、20及び50μMとなるように加え、37℃で1時間インキュベートした後の赤血球溶液試料上清中のPrx2を非還元条件及び還元条件にて電気泳動により確認した。その結果、Zn
2+濃度依存的に上清中のPrx2が増加することが確認された(
図11A)。同様に参考例1で調製した赤血球溶液試料に、カルシウムイオノフォア(A23187)を1、5、10及び20μMとなるように加え、37℃で1時間インキュベートした後の赤血球溶液試料上清中のPrx2を非還元条件及び還元条件にて電気泳動により確認した。その結果、カルシウムイオノフォア濃度依存的に上清中のPrx2が増加することが確認された(
図11B)。
【0056】
(実施例13)Zn
2+によるPrx2遊離とHRGによる抑制
本実施例では、Zn
2+刺激した赤血球溶液試料にHRGを添加したときの、赤血球からのPrx2遊離の特性を確認した。Zn
2+を50μMとなるように赤血球溶液試料に加え、さらに100μg/mLのHSA又はHRGを添加した系で37℃で1時間インキュベートした後の赤血球溶液試料上清中のPrx2を非還元条件にて電気泳動により確認した。その結果、HRG添加のグループでPrx2の低下が認められ、その効果はHSA添加のグループよりも顕著であった(
図12)。
【0057】
(参考例3)CLPマウス血漿中Prx2確認
本参考例では、実施例10に示す方法で作製したCLPマウスから採血し、得られた血漿中のPrx2を確認した。
【0058】
CLP術後24時間目にマウスを麻酔し、10%のACD液を抗凝固剤として心臓から200μL採血した。採血した血液を400gで遠心して血漿を得、血漿に含まれるPrx2を非還元条件での電気泳動により確認した。その結果、CLPマウスの血漿中にPrx2が認められたが、SHAMではほとんど認められなかった(
図13)。
【0059】
(実施例14)CLPマウスでの確認
本実施例では、実施例10に示す方法で作製したCLPマウスから採取した血液での遊離ヘモグロビン、赤血球表面のPS、赤血球内遊離カルシウム濃度、各種臓器に含まれる亜鉛含量を確認した。
【0060】
A.CLPマウスに対しCLP誘導10分後にHRG(20mg/kg,i.v.)、HSA(20mg/kg,i.v.)、PBS(200μl,i.v.)を投与し、術後24時間目にマウスを麻酔し、10%のACD液を抗凝固剤として心臓から200μL採血した。血漿分離後、各グループにおける血漿遊離ヘモグロビンレベルをウエスタンブロットで検出した。ウエスタンブロットの結果をデンシトメトリーで定量化し、下の棒グラフを作成した。CLPマウスにおけるPBS投与マウス(コントロール)では、明らかに血漿遊離ヘモグロビンの上昇が見られるが、HRG投与マウスでは、遊離ヘモグロビン上昇は強く抑制され、偽手術群のレベルまで低下した(
図14A)。
【0061】
B.CLPマウスに対しCLP誘導10分後にHRG(20mg/kg,i.v.)、HSA(20mg/kg)及びコントロールとしてのPBSPBS(200μl,i.v.)を投与した。術後24時間目にマウスを麻酔し、10%のACD液を抗凝固剤として心臓から200μL採血した。採血した血液を400gで遠心し、血漿及びバフィーコートを吸引除去した。得られた赤血球液をHBSSで400g、5分間三回洗浄した。洗浄した赤血球1μLを1 mLのHBSSに加えた。400μLの懸濁液に4μLのFITC-conjugated Annexin Vを加えて室温で15分間インキュベートした。その後、4%のPFA樹脂液を400μL加えて、15分間固定した。固定後はFACSでPS陽性細胞数を測定した。別途洗浄した赤血球1μLを1 mLのHBSSに加えたものを37℃で4時間インキュベートした後、同様にFITC染色し、PS陽性細胞数を測定した。
【0062】
その結果、採血直後のPS陽性率は、何れのグループでも2%程度であったのに対し、4時間インキュベートした後では、HRG投与群でPS陽性率が抑制されていることが確認できた(
図14B)。
【0063】
C.Bの実験で得た赤血球懸濁液(0 h)を用いて、細胞内カルシウムレベルを測定した。細胞内フリーカルシウム測定用の蛍光プロ―ブFlou4-AMで30分間インキュベートし、FACSにより各グループの細胞内Ca
2+レベルを定量した。図が示すように、CLPマウスのPBS投与マウスでは正常(intact)マウスと比較し、細胞内カルシウムの上昇がみられたが、HRG投与マウスでは、上昇が有意に抑制された(
図14C)。
【0064】
D.CLPマウスの脾臓、腎臓、肺を24時間後に採取し、RIPA緩衝液でホモジナイズした。ホモジネートの遠心上清をMetallo Assay Zn
2+ LS kit(Metallogenice,千葉,日本)を用いて測定した。CLPマウスでは正常(intact)マウスと比較し、腎臓と肺のZn
2+含量が増加していたが、脾臓では両者に差はなかった。