(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
[甑]
本実施形態の蒸し器は、日本酒の原料となる米を蒸すために使用する甑1である。甑1を
図1〜11を参照して説明する。
【0021】
甑1は、水を貯留する水槽2と、開端部31および閉端部32を有し、少なくとも一部が水槽2内に位置する金属製の管材3と、管材3の内部の空気の中に配置され、水槽2内に貯留する水を加熱し、蒸気を発生させる加熱部4と、上下方向に貫通する開口部51を有し、水槽2の上部に装着する蓋部5と、蓋部5の上部に載置し、蒸気が通過する底部61および上部62を有する容器6(
図4参照)と、を備える。
【0022】
甑1は、さらに水槽2内で発生する蒸気の流れに伴って水滴が容器6内に浸入することを防止する水滴浸入防止部材7(
図9参照)と、容器6の上部62に載置され、水槽2内で発生する蒸気により容器6内の圧力を増加させる蓋部材8(
図11参照)と、操作盤9(
図1参照)と、水槽2を装着する台車10(
図1参照)と、を備えている。
【0023】
水槽2は、
図2に示す通り、上部が開口した略直方体の形状であり、上部の周縁部から全周に渡り、底部と水平に外部へ向かって延出する鍔部21を有している。鍔部21は、詳細を後述する蓋部5を水槽2の上部に装着する際に使用される。
【0024】
水槽2の形状は、内部に水を貯留できるものであれば特に限定されず、例えば、円柱、多角柱等も採用できる。水槽2の材質は、加熱によって破損せず、かつ、貯留した水と長時間接触していても腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼等が挙げられ、製造コストの観点からSUS304が好ましい。
【0025】
水槽2は、さらに水槽2の内部と外部を連通させる貫通孔22を底部に有している。貫通孔22の外部側にはバルブ23が接続されており、バルブ23を開くことにより水槽2内に貯留する水を排出することができる。バルブ23としては、特に限定されず、公知のバルブを採用でき、例えばボールバルブ、ニードルバルブ等が挙げられる。
【0026】
管材3は、開端部31が水槽2の側面から外側に突出し、閉端部32が水槽2内に位置するように水槽2に挿設されている(
図1、2参照)ため、水槽2内の水が管材3の内部に流入しない構造である。さらに、開端部31が水槽2の外部に位置するため、加熱部4を、水槽2内の水と接触することなく開端部31から管材3内に挿入することができる。
【0027】
甑1には、断面が矩形の角筒状の管材3が水槽2に所定方向に6本挿設されている。各管材3は、水槽2の1つの側面において、一列に並んだ状態で平行に所定間隔で挿入されており、当該側面と各管材3とがなす角は直角であり、水槽2の底面と各管材3とは平行である。各管材3と、各管材3を挿入した水槽2の側面と、は溶接されており、各管材3を挿入した部分から水槽2内の水が流出することはない。水槽2内に位置する各管材3の長さは、水槽2の側面の長さの少なくとも50%、ここでは、70〜80%の長さの割合である。
【0028】
各管材3は、それぞれの閉端部32近傍で棒状の補強部材33と繋がれている。補強部材33の両端は、管材3と平行である水槽2の一対の側面に固定されている。したがって、各管材3は、水槽2の側面と補強部材33とにより固定された状態で、水槽2に挿設されている。
【0029】
管材3の形状としては、筒状のものであれば特に限定されず、例えば、円筒等も採用できる。管材3および補強部材33の材質は、加熱によって破損せず、かつ、水中に長時間浸漬されていても腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼等が挙げられ、製造コストの観点からSUS304が好ましい。
【0030】
加熱部4は、水槽2内に位置する管材3の内部の空気中に配置され、水槽2内に貯留する水を加熱する部材である。上述の通り、水槽2内の水は管材3の内部に流入しないため、管材3の内部に配置される加熱部4は水と直接接触しない。甑1は、加熱部4が管材3の内部に配置されるため、加熱部4の取り付けおよび取外しが容易であり、整備性に優れている。
【0031】
加熱部4は、外管である石英ガラス管の内部に、通電により発熱するカーボン製のフィラメントを封入した、最大エネルギー波長が1.7〜2.5μm(中波長赤外線)の電気ヒータであり、発熱時のフィラメントの温度が1450℃、最大エネルギー密度が150kW/m
2である。この電気ヒータは、フィラメントと石英ガラス管とが接触していないため、対流損失が小さく、かつ、石英ガラス管の内部に、中波長赤外線を反射する金製の反射膜を有するため、特定の方向に対する赤外線の照射率が95%である。アルミニウム製の反射板を有する一般的な電気ヒータの特定の方向に対する赤外線の照射率は70〜80%程度であり、これと比較すると金製の反射膜を用いたものは、高い照射率となる。この電気ヒータが、6本全ての管材3の内部に1つずつ挿入されているため、甑1は、6つの加熱部4を有している。1つの加熱部4の定格消費電力は3kWであり、合計で18kWである。加熱部4を作動することにより、加熱部4のフィラメントからの熱放射により管材3が加熱され、加熱された管材3により水槽2内の水を加熱し、蒸気を発生させることができる。したがって、加熱部4は、直接接触せずに水槽2内の水を加熱し、蒸気を発生させることができる。甑1は、加熱部4として最大エネルギー波長が中波長赤外線の電気ヒータを採用しており、従来の電気ヒータよりもフィラメントの温度が高く、水に与える熱量が大きいため、きめ細やかな乾燥蒸気を発生させることができる。この電気ヒータは、対流損失が小さく、特定の方向に対する照射率が高いため、上方向の水を効率的に加熱することができる。
【0032】
加熱部4は、詳細を後述する操作盤9に接続されており、操作盤9により、加熱部4の電源のON/OFFを操作することができる。
【0033】
蓋部5は、上下方向に貫通する円形の貫通孔を有する開口部51を有し、水槽2の上部に装着し、上側に容器6を載置可能な部材であり、平面視で矩形の形状である。開口部51は、蓋部5の上面から若干突出している。蓋部5は、さらに、
図3に示す通り、蓋部5の上面に同一の高さで立設された内ガイドレール52および外ガイドレール53と、Oリング54と、補強材55と、
図1に示す通りの、蓋部5の上側に取り付けられた温度計56および液面計57と、持ち手58と、を有している。
【0034】
蓋部5と水槽2の鍔部21との間に全周に渡ってパッキン(図示しない)を挟んだ状態で蓋部5を水槽2に被せ、蓋部5と水槽2とをネジ止めすることにより、蓋部5が水槽2の上部に装着される。パッキンを挟むことにより、水槽2と蓋部5との間からの蒸気漏れを防止することができる。パッキンの材質としては、特に限定されず公知のものを採用できる。例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、衛生の観点からシリコーンゴムが好ましい。蓋部5は、持ち手58を有するため、水槽2に装着する際の作業性に優れる。
【0035】
開口部51と、内ガイドレール52と、外ガイドレール53と、はそれぞれの中心を同一とする相似形状の円形体である(
図3参照)。開口部51、内ガイドレール52および外ガイドレール53の半径の大きさは、大きいものから順に外ガイドレール53、内ガイドレール52、開口部51である。そのため、内ガイドレール52と外ガイドレール53との間には隙間がある。隙間の幅が、内ガイドレール52および外ガイドレール53の高さよりも大きくなるように、内ガイドレール52および外ガイドレール53が立設されている。
【0036】
図3の円Aに示す通り、Oリング54は、内ガイドレール52と外ガイドレール53との隙間に嵌入する環状の部材である。Oリング54の厚みは、隙間の幅よりもわずかに小さく、内ガイドレール52および外ガイドレール53の高さよりも大きいため、Oリング54を隙間に嵌入すると、Oリング54の一部が隙間から突出した状態となる。そのため、底部61とOリング54とが、Oリング54の全周に渡って当接するように、容器6を蓋部5の上に載置することにより、Oリング54が、容器6の重さにより潰れて変形して底部61と密着し、底部61と蓋部5との間からの蒸気漏れを防止することができる。Oリング54の材質は、特に限定されず公知のものを採用できる。例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、衛生の観点からシリコーンゴムが好ましい。
【0037】
補強材55は、蓋部5の耐荷重性を向上させるために、蓋部5の下面に取り付けられる部材である。この補強材55は矩形の枠状体であり、開口部51が枠内に収まるように取り付けられている。
【0038】
温度計56および液面計57は、容器6を蓋部5の上部に載置した際に、容器6と接触しない位置に取り付けられており、それぞれ水槽2の温度および液面の高さを計測することができる。温度計56および液面計57としては、水に対して耐食性を有するものであれば特に限定されず、公知のものを採用できる。
【0039】
蓋部5、内ガイドレール52、外ガイドレール53および補強材55の材質は、加熱によって破損せず、かつ、蒸気や水滴との接触によって腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼等が挙げられ、製造コストの観点からSUS304が好ましい。
【0040】
容器6は、
図4に示す通り、円筒状の本体部60を有し、底部61に平面視で底部61と中心を同一とする円形の開口部611を含み、上部62が開口している。開口部611の半径は底部61よりも小さいため、底部61の形状は円環状である。底部61に開口部611を含み、上部62が開口しているため、開口部611から流入した蒸気は、上部62から流出することが可能である。容器6は、さらに、本体部60とは別部材である底板部材63と、本体部60の鍔部64と、上部62に被せた蓋部材8を固定するためのスナップ錠65を有する。
【0041】
底板部材63は、
図5に示す通り、表面に複数の底板開孔631が均等に分布して設けられた円形板632と、円形板632を支持する略十字状の脚部633とからなり、底部61の上に載置する部材である(
図5参照)。円形板632と脚部633とは、ネジ止めおよび溶接により一体化されている。円形板632に底板開孔631が設けられているため、蒸気は底板部材63を通過することができる。それぞれ底板開孔631は、隣り合う底板開孔631との距離が等しくなるように規則的に配置されており、これより、各底板開孔631を通過する蒸気量の偏りを抑制することができる。
【0042】
鍔部64は上部62の周縁部から全周に渡って外部へ向かって底部61と水平に延出しており、詳細を後述する蓋部材8を容器6に装着する際に使用される。スナップ錠65は上部62近傍の側面に配置されている。
【0043】
容器6が蓋部5の上に載置されることにより、容器6の開口部611と蓋部5の開口部51とが連通し、水槽2内で発生する蒸気が開口部51を通じて底部61から容器6に流入し、底板部材63を通過して、上部62から流出し、底板部材63の上に載置した米を蒸すことができる。
【0044】
容器6の形状は、特に限定されず、例えば直方体状であってもよいが、円筒状であることが好ましい。この形状であることにより、容器6内において蒸気を満遍なく行き渡らせることができる。本実施形態の容器6は内径850mm、高さ850mmの円筒体である。容器6および底板部材63の材質は、加熱によって破損せず、かつ、蒸気や水滴との接触によって腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金等が挙げられるが、蓋部5に係る荷重の軽減の観点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。
【0045】
甑1は、容器6に代えて2段式容器11を使用してもよい。2段式容器11は、円筒状の下容器12および上容器13を有しており、下容器12の上側に上容器13を重ねることができる(
図6〜8参照)。2段式容器11を使用することにより、容積が増加するため、より多くの量の米を一度に蒸すことができる。さらに、下容器12内に米を載置した後に上容器13を重ねることにより、上容器13を重ねていない状態で下容器12内に米を載置することができるため、下容器12内への米の載置作業が行い易く作業台が不要であり、2段式容器11内への米の載置の作業性が向上する。
【0046】
下容器12は、底部121に平面視で底部121と中心を同一とする円形の開口部121aを含み、上部122が開口している。容器6と同様に、開口部121aの半径は底部121よりも小さいため、底部121の形状は円環状であり、底板部材63が、底部121の上に載置される。下容器12は、上部122の下側近傍の側面123に、鍔部124を有している。鍔部124は、切り欠き部125を含み、全周に渡って外部へ向かって底部121と水平に延出している。切り欠き部125の半径方向の幅は、鍔部124の半径方向の幅の半分程度である。鍔部124が上部122よりも下方に配置されているため、側面123は、鍔部124の上方に延出しており、この部分は詳細を後述する上容器13の底部131に嵌入することができる。
【0047】
下容器12は、切り欠き部125近傍の側面123にキャッチクリップ126aを取り付けるための台座126が取り付けられている。加えて、鍔部124の上部には、上方に向かって延出する位置決め用のピン127が設けられている。ピン127は先端部が面取りされた、平面視において円形の突起である。
【0048】
上容器13は、底部131および上部132が開口しており、第1の鍔部133および第2の鍔部134を有している。さらに、上容器13には、容器6と同様に、上部132に被せた蓋部材8を固定するためのスナップ錠65が、上部132近傍の側面136に設けられている。
【0049】
第1の鍔部133は、上部132の周縁部から全周に渡って外部へ向かって上部132と水平に延出しており、詳細を後述する蓋部材8を2段式容器11に装着する際に使用される。第2の鍔部134は、切り欠き部135を含み、底部131の周縁部から全周に渡って外部へ向かって底部131と水平に延出している。切り欠き部135の半径方向の幅は、第2の鍔部134の半径方向の幅の半分程度である。切り欠き部135近傍の側面136にアジャスタフック137aを取り付けるための台座137が取り付けられている。
【0050】
第2の鍔部134には、上下方向に貫通した円形の位置決め用の孔138が設けられている。孔138の孔径は、ピン127の直径よりもわずかに大きいため、ピン127を孔138に挿入することができる。
【0051】
上容器13の内径は、下容器12の外径よりもわずかに大きいため、上部122を上容器13に嵌入することができる。平面視においてピン127と孔138とが同一の位置となるように上部122を底部131から上容器13に嵌入した場合には、下容器12の切り欠き部125と上容器13の切り欠き部135との平面視における位置も同一となるように、各切り欠き部が配置されている。
【0052】
各切り欠き部125よりも内側の鍔部124の上側の全周に渡ってパッキン(図示しない)を配置し、平面視においてピン127と孔138とが同一の位置となるように上部122を上容器13内に嵌入し、第2の鍔部134とパッキンとが当接した状態において、下容器12に取り付けられた各キャッチクリップ126aの先端を、上容器13に取り付けられた各アジャスタフック137aに引っ掛け、各キャッチクリップ126aのレバーを下げることで下容器12と上容器13とを固定して重ねることができる。
【0053】
2段式容器11は、
図6に示す通り、下容器12の開口部121aと蓋部5の開口部51が連通し、水槽2内で発生する蒸気が開口部51を通じて開口部121aから流入し、上部132から流出するように、蓋部5の上に載置される。このように2段式容器11が蓋部5の上に載置されるため、底板部材63の上に載置したものを蒸すことができる。このとき、鍔部124と第2の鍔部134の間にパッキンが配置されているため、下容器12と上容器13との間からの蒸気漏れを防止することができる。
【0054】
2段式容器11の形状は、特に限定されず、例えば直方体を重ねたものであってもよいが、円筒を重ねたものであることが好ましい。この形状であることにより、2段式容器11内において蒸気を満遍なく行き渡らせることができる。本実施形態の2段式容器11は、内径850mm、高さ950mmの円筒体である。2段式容器11の材質は、容器6と同様に、加熱によって破損せず、かつ、蒸気や水滴との接触によって腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金等が挙げられるが、蓋部5に係る荷重の軽減の観点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。
【0055】
水滴浸入防止部材7は、
図9に示す通り、上面7aと、下面7bと、側部7cと、を有し、内部が空洞な三次元体であり、上面7aに上部空間と空洞を上下方向に連通し規則的に、例えば均等に分布する複数の第1の通孔71を有し、下面7bに下部空間と空洞を上下方向に連通する、規則的に、例えば均等に分布する複数の第2の通孔72を有し、第1の通孔71と第2の通孔72とが、平面視でずれた位置に配置されている。開口部51に嵌入され、水槽2内で発生する蒸気の流れに伴って水滴が容器6内に浸入すること(飛沫同伴)を防止する部材である。水滴浸入防止部材7の形状は、上面7aおよび下面7bの縁部が側面から突出した略円柱状である。
【0056】
水滴浸入防止部材7は、開口部51の上部で、容器6の下部に配置される。このとき、下面7bの半径が、開口部51の半径よりもわずかに小さく、上面7aの半径が、開口部51の半径よりも大きいため、下面7bおよび側部7cが開口部51に挿入され、上面7aが開口部51の上側に載った状態である。水滴浸入防止部材7が第1の通孔71および第2の通孔72を有するため、水槽2内で発生する蒸気は、水滴浸入防止部材7を通過して容器6内に流入することができる。このとき、水滴浸入防止部材7によって、蒸気が水槽2内から容器6へと通過する流路が狭められるため、内部の圧力は、大きい順に、水槽2内、水滴浸入防止部材7内、容器6内となる。蒸気が、水槽2内から水滴浸入防止部材7内を通過して容器6内へ移動する際に、圧力が低下するため、蒸気の乾き度が大きくなる。
【0057】
第1の通孔71と第2の通孔72とが、平面視でずれた位置に配置されているため、蒸気が容器6へ流入する際の飛沫同伴を防止する性能に優れている。第1の通孔71および第2の通孔72が規則的に配置されているため、水滴浸入防止部材7は、各第1の通孔71を通過する蒸気量の偏りを抑制することができる。第1の通孔71と第2の通孔72とは、その一部が平面視において重畳していてもよく、重畳していなくてもよいが、重畳していないことが好ましい。これにより、飛沫同伴を防止する性能および各第1の通孔71を通過する蒸気量の偏りを抑制する効果が向上する。
【0058】
水滴浸入防止部材7により飛沫同伴を防止することができるため、これによっても水滴浸入防止部材7を通過する前の蒸気と比較して、通過した後の蒸気の乾き度は大きくなる。
【0059】
水滴浸入防止部材7の材質は、熱によって破損せず、かつ、蒸気や水滴との接触によって腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金等が挙げられる。
【0060】
蓋部材8は、開孔81を有し、容器6の上部62に装着する部材である。蓋部材8を上部62に装着することにより、容器6内に流入した蒸気は、開孔81(
図1参照)から外部へと流出するため、蓋部材8が装着されていない状態の容器6と比較して蒸気が流出する開口面積が小さくなるため、容器6内の圧力が増加する。したがって、加圧下で米を蒸すことができ、大気圧下と比較して品質の良い蒸し米を得ることができる。加圧下とは、圧力が大気圧よりも高い状態を意味し、容器6内の圧力(ゲージ圧力)が3〜7kPaGであることが好ましい。容器6内の圧力が3kPaGよりも低い場合には、外硬内軟な品質の良い蒸し米を得ることが難しく、7kPaGよりも低いことにより、本実施形態の形状の容器6が小型圧力容器に区分されないためである。
【0061】
蓋部材8は、
図11に示す通り、平面視で円形であり、上部周縁に、他の部分よりも上方に延出した縁部82を有している。蓋部材8と鍔部64との間に全周に渡ってパッキン(図示しない)を挟んだ状態で蓋部材8を容器6に被せ、容器6が有するスナップ錠65の先端を縁部82に引っ掛け、レバーを下げることで、蓋部材8が容器6に装着される。パッキンを挟むことにより、蓋部材8と容器6の間からの蒸気漏れを防止することができる。
【0062】
開孔81は、孔径が25mmの円であり、継手を介して耐熱ホース(図示しない)を取り付けることができる。これにより、蒸気を耐熱ホースの先端から流出させることができる。
【0063】
蓋部材8の材質としては、加熱によって破損せず、かつ、蒸気や水滴との接触によって腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金等が採用できるが、蓋部5に係る荷重の軽減の観点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。
【0064】
操作盤9を介して加熱部4の操作を行う。操作盤9による操作により、加熱部4の電源のON/OFFを制御することができる。複数の加熱部4を有する場合には、一部の加熱部4の電源をONにし、残りの加熱部4の電源をOFFにすることにより、水槽2内の水に与える熱量を調整することもできる。
【0065】
操作盤9は、さらに時間を測定するタイマ91と報知部92とを有している。タイマ91は、加熱部4の電源をONにして水槽2内の水の加熱を開始してからの経過時間を計測することができる。報知部92は、甑1を使用する作業者に対して、報知を行うことができ、タイマ91が計測する経過時間が所定の時間を超えた場合、および液面計57が示す液面の高さが所定の値を下回った場合に報知を行う。これらの報知が行われた際には自動的に加熱部4の電源がOFFとなる。
【0066】
報知部92は、スピーカであり、音により聴覚的に報知を行う。報知部92による報知の方法としては、特に限定されず、音または音声等によるであってもよく、ランプや画面等を使用した光、画像または映像等による視覚的なものであってもよい。さらに、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0067】
台車10は、水槽台101、回転防止ストッパ付きのキャスタ102およびハンドル103を有する。水槽台101は、上部が開口した箱状体であり、底部から内部に向かって立設された複数の挟持板104を含むため、挟持板104によって水槽2が挟持された状態で水槽台101内に設置することができる。挟持板104は、中央近傍で水槽台101の外側に向かって曲がっているため、水槽2の水槽台101内への設置が容易である。
【0068】
続いて、甑1の動作について説明する。まず、管材3が挿設された水槽2を台車10に装着し、加熱部4を管材3内に配置し、温度計56および液面計57が取り付けられた蓋部5を水槽2の上部に装着する。その後、水槽2の内部に、液面の高さが所定の値となるように水を供給する。液面の高さは、蓋部5に取り付けられた液面計57により確認することができる。
【0069】
次に、水滴浸入防止部材7を開口部51に嵌入し、開口部611と第1の通孔71が連通し、底部61とOリング54とが、Oリング54の全周に渡って当接するように、容器6を蓋部5の上に載置する。その後、容器6内に配置された底板部材63の上に蒸し布を介して米を載置し、容器6の上部62に蓋部材8を装着する。
【0070】
次に、操作盤9により、管材3の内部に挿入された加熱部4の電源をONにして、水槽2内の水を加熱し、水槽2内で蒸気を発生させる。発生した蒸気は、蓋部5の開口部51、水滴浸入防止部材7および開口部611の順に通過して容器6内に流入し、蓋部材8の開孔81を通過して、耐熱ホースから流出する。
【0071】
内部に流入した蒸気によって容器6内に載置した米を蒸すことができる。このとき、水滴浸入防止部材7が開口部51に嵌入しているため、容器6内への水滴の侵入を防止すること、および各第1の通孔71を通過する蒸気量の偏りを抑制することができる。これにより、容器6内に水の侵入がなく、かつ、蒸気が満遍なく行き渡るため、蒸し米の品質が向上する。
【0072】
所定の蒸し時間が経過した後は、操作盤9により、管材3の内部に挿入された加熱部4の電源をOFFにして、さらなる蒸気の発生を停止し、蓋部材8を容器6から取外し、容器6内の蒸し米を取り出し、甑1の動作が終了する。
【0073】
上記において説明した通り、本実施形態の甑1は、以下の効果を奏する。加熱部4が管材3内に配置されており、加熱部4から管材3内の空気、管材3を経て伝熱することにより、蒸気を発生させることができるため、加熱部4の劣化を防止すること、蒸気の質を高めることができる。加熱部4が管材3内に配置されるため、整備性に優れている。2段式容器11を採用することにより、容積が増加するため、より多くの量の米を一度に蒸すことが可能となり、作業性も向上する。Oリング54を有するため、底部61と蓋部5との隙間からの蒸気漏れを防止することができる。水滴浸入防止部材7を備えるため、蒸気の乾き度を増加させること、容器6内への水滴の侵入を防止すること、および各第1の通孔71を通過する蒸気量の偏りを抑制することができる。これにより、容器6内に水の侵入がなく、かつ、乾き度の高い蒸気が満遍なく行き渡るため、蒸し米の品質が向上する。容器6に装着する蓋部材8を備えるため、加圧下で米を蒸すことができ、大気圧下と比較して品質の良い蒸し米を得ることができる。カーボン製のフィラメントを封入した中波長赤外線の電気ヒータを用いているため、きめ細やかな乾燥蒸気により外硬内軟の蒸し米を実現できる。
【0074】
[瓶火入れ器]
本実施形態の湯煎器は、日本酒の瓶火入れのために使用する瓶火入れ器200である。瓶火入れ器200について、
図12、13を参照して説明する。甑1と共通する部材については、同一の符号を付して、その図示及び説明を援用し、主に相違点を説明する。
【0075】
瓶火入れ器200は、酒にかんをする等の用途に用いられるもので、水を貯留する水槽2と、開端部31および閉端部32を有し、少なくとも一部が水槽2内に位置する管材3と、水槽2内に貯留する水を加熱し、蒸気を発生させる加熱部4と、上下方向に貫通する開口部51を有し、水槽2の上部に装着する蓋部5と、内部が中空の底部141および側部142と、ノズル部143と、を有し、槽内に水を貯留する湯煎槽14と、備える。瓶火入れ器200は、さらに操作盤9と、水槽2を装着する台車10と、を備えている。瓶火入れ器200は、加熱された水を貯留した湯煎槽14内に日本酒の入った瓶を浸漬することにより、瓶火入れに使用することができる。
【0076】
湯煎槽14は、上部が開口しており、底部141に、内部と下部空間とを連通する第1の連通孔144を含み、側部142に、内部と湯煎槽14内とを連通する第2の連通孔145を含む。底部141は、正面視において、下方に突出した略凸字状の形状をしており、この突出部分の底面に第1の連通孔144が設けられている。第1の連通孔144の孔径は、開口部51の外径よりも大きいため、開口部51を第1の連通孔144に挿入することができる。ノズル部143は、先端部143aが底部141に向かうように湯煎槽14内で第2の連通孔145に接続されている。
【0077】
湯煎槽14がこのような構成であるため、第1の連通孔144と開口部51とが連通するように、開口部51を第1の連通孔144に挿入した状態で湯煎槽14を蓋部5の上に載置することにより、水槽2内で発生する蒸気が、第1の連通孔144から流入し、底部141の内部、側部142の内部および第2の連通孔145の順に通過し、ノズル部143の先端部143aから流出させることができる。通過する蒸気によって温められた底部141および側部142からの熱の移動と、ノズル部143から流出する蒸気と、により湯煎槽14内に貯留する水が加熱されるため、加熱された水を利用して日本酒の瓶火入れをすることができる。
【0078】
側部142が、さらに内部と湯煎槽14内とを連通する第3の連通孔146を有している。第3の連通孔146は、第2の連通孔145よりも下方かつノズル部143の先端部143aよりも上方に配置されている。したがって、湯煎槽14内の液面が第3の連通孔146よりも上方に位置した場合には、湯煎槽14内の水が第3の連通孔146ならびに側部142および底部141の内部を通過して、第1の連通孔144から下部空間に流出するため、湯煎槽14内の液面を第3の連通孔146よりも下方に位置させることができる。これにより、瓶火入れ時の瓶内への水の侵入を防止することができる。側部142に第3の連通孔146が設けられているため、第1の連通孔144から流入した蒸気は、ノズル部143の先端部143aから液中に供給されることに加えて、第3の連通孔146からも流出し、湯煎槽14内に貯留する水は、この蒸気によっても液面から加熱される。
【0079】
湯煎槽14は、さらに底上げ部材147と、液抜きバルブ148と、を有している。底上げ部材147は、底部141と瓶火入れを行う瓶との直接接触を防止するために、湯煎槽14内の底部141の上側に配置される部材である。底上げ部材147は木製のスノコであり、瓶火入れを行う際には、日本酒の瓶はスノコの上に載置された状態であるため、瓶と底部141とが直接接触しない。これにより、底部141から瓶への熱伝導が防止され、瓶内の日本酒が瓶火入れに適した温度以上となることを防止することができる。瓶火入れの温度としては62℃〜68℃が好ましい。
【0080】
液抜きバルブ148は、底部141に設けられており、液抜きバルブ148を開くことにより、湯煎槽14内に貯留する水を排出することができる。液抜きバルブ148としては、特に限定されず、公知のバルブを採用でき、例えばボールバルブ、ニードルバルブ等が挙げられる。
【0081】
瓶火入れ器200は、側部142の周囲に断熱材を設けてもよい。断熱材を設けることにより、側部142から外部へ移動する熱量を軽減され、装置の効率を向上させることができる。
【0082】
湯煎槽14の形状は、略直方体であるが、特に限定されず、例えば、円柱や多角柱等の形状も採用することができる。湯煎槽14の材質は、加熱によって破損せず、かつ、貯留した水と長時間接触していても腐食されないものであれば特に限定されず、例えば、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼等が挙げられる。
【0083】
続いて、瓶火入れ器200の動作について説明する。まず、甑1の場合と同様に、管材3が挿設された水槽2を台車10に装着し、加熱部4を管材3内に配置し、温度計56および液面計57が取り付けられた蓋部5を水槽2の上部に装着する。その後、水槽2の内部に、液面の高さが所定の値となるように水を供給する。
【0084】
次に、第1の連通孔144と開口部51とが連通し、開口部51を第1の連通孔144に挿入した状態で湯煎槽14を蓋部5の上に載置し、底上げ部材147を湯煎槽14内の底部141の上に載置し、湯煎槽14内に所定の水位で水を貯留する。
【0085】
次に、操作盤9により、管材3の内部に挿入された加熱部4の電源をONにして、水槽2内の水を加熱し、水槽2内で蒸気を発生させる。発生した蒸気は、開口部51および第1の連通孔144を通って底部141の内部および側部142の内部の順に移動し、ノズル部143の先端部143aまたは第3の連通孔146から流出する。これらの流出する蒸気および通過する蒸気によって温められた底部141および側部142からの熱の移動によって湯煎槽14内に貯留した水が加熱される。このとき、湯煎槽14内の水の温度は、電源をONとした加熱部4の数によって調整することができる。
【0086】
湯煎槽14内の水が瓶火入れに適した温度で安定した後に、日本酒が入った瓶を底上げ部材147の上に載置した状態で湯煎槽14内の水に漬けて瓶火入れを行う。所定の時間が経過した後に瓶を湯煎槽14から取り出し、瓶火入れが完了する。
【0087】
その後、操作盤9により、管材3の内部に挿入された加熱部4の電源をOFFにして、さらなる蒸気の発生を停止して、瓶火入れ器200の動作が終了する。
【0088】
瓶火入れ器200は、甑1の場合と同様の効果を奏することができる。例えば、加熱部4が管材3内に配置されており、直接接触せずに水を加熱し、蒸気を発生させることができるため、加熱部4の劣化を防止することができる。
【0089】
瓶火入れ器200は、第3の連通孔146を有しているおり、湯煎槽14内の液面を第3の連通孔146よりも下方に位置させることができるため、瓶火入れ時の瓶内への水の侵入を防止することができる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【解決手段】 本発明の蒸し器は、水を貯留する水槽2と、開端部31および閉端部32を有し、少なくとも一部が水槽2内に位置する金属製の管材3と、水槽2内に貯留する水を加熱し、蒸気を発生させる加熱部4と、上下方向に貫通する開口部51を有し、水槽2の上部に装着する蓋部と、蒸気が通過する底部および上部を有する容器6と、を備え、管材3は、開端部31が水槽2の側面から外側に突出し、閉端部32が水槽2内に位置するように水槽2に挿設され、加熱部4は、水槽2内に位置する管材3の内部の空気の中に配置され、容器2が、底部と開口部51が連通し、水槽2内で発生する蒸気が開口部51を通じて底部から容器6に流入し、上部から流出するように、蓋部の上に載置されることを特徴とする。