【文献】
BRENNAN, Sean M.,VIROLOGY,1984年,Vol. 135,pp. 555-560
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物がセンス配向の一本鎖部分RNA転写物の集団を含み、かつ前記センス配向の一本鎖部分RNA転写物の集団の80%超が100ヌクレオチド以下のヌクレオチド長を有する、請求項1に記載の方法。
前記逆相補体転写産物が、前記メッセンジャーRNAの少なくとも一部の逆相補体である配列を含む鎖を含むdsRNAであるか、またはポリU含有配列を含む鎖を含むdsRNAである、請求項12に記載の方法。
前記メッセンジャーRNAの逆相補体である配列を含む前記鎖、または前記ポリU配列を含む前記鎖が、5’三リン酸(5’−PPP)で開始する、請求項13に記載の方法。
前記逆相補体転写産物が、目的のポリペプチドをコードする、前記メッセンジャーRNAの5’末端の逆相補体及び/または前記メッセンジャーRNAの3’末端の逆相補体を含む、請求項12に記載の方法。
前記メッセンジャーRNAが目的のポリペプチドをコードするRNAであり、前記目的のポリペプチドをコードするメッセンジャーRNAの逆相補体が、前記目的のポリペプチドをコードするメッセンジャーRNAのオープンリーディングフレームの全部または一部に相補的な配列を含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0051】
タンパク質をコードするポリマーを製造する方法を強化するために、RNAを生成する新しい方法が開発された。伝統的なインビトロ転写(IVT)プロセスを使用して生成されたRNAとは大きく異なる特性を有するRNA調製物を産生するために、インビトロ転写プロセスに変更を加えてもよいことが発見された。本発明の方法に従って製造されたRNA調製物(本明細書ではIVT RNA組成物とも呼ばれる)は、上記RNA転写物を含む定性的及び定量的に優れた組成物の生成を可能にする特性を有する。広範囲の精製プロセスと組み合わせた場合でさえも、伝統的なIVT法を使用して製造されたRNAは、本発明のRNA調製物と定性的及び定量的に異なる。例えば、本発明のRNA調製物(及びそれを含む組成物)は、伝統的なIVTを用いて製造されたRNA調製物(及びそれを含む組成物)と比較して免疫原性が低い。本発明の方法に従って生成されたRNA調製物(本明細書ではIVT RNA組成物とも呼ばれる)は、例えば翻訳時に、定性的及び定量的に優れたタンパク質産生の産生を可能にする特性をさらに有する。例えば、本発明のRNA調製物から生成されたタンパク質は、伝統的なIVTを用いて製造されたRNA調製物と比較して免疫原性が低い。
【0052】
さらに、より高い純度でのタンパク質発現レベルの増大が、本明細書に記載のRNA調製物から生じる。ある機構に拘束されるものではないが、実質的なタンパク質発現レベルは、精製試料中のmRNAの高い完全性の結果であると考えられている。いくつかの精製手順は、それらの混入物の分解によってあるレベルの混入物を効果的に除去し得るが、医薬品の完全性は悪影響を受ける。例えば、mRNA試料のRNAse消化は、RNA混入物を除去するのに有用であることが先行技術において主張されている。しかしながら、RNAse消化はまた、IVT反応によって生成された全長転写物の一部を分解することによってmRNAの完全性を低下させる。先行技術のIVT/精製プロセスとは対照的に、本発明の方法を用いたmRNAの完全性は、RNAse消化などの手順を用いた除去を必要とするであろう二本鎖転写物を、この方法がほとんどまたは全く生じないので、非常に高い。
【0053】
本明細書中に記載されるプロセスによって産生されるRNAは、治療目的または診断目的のために使用され得る、30ヌクレオチド長を超える任意のRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、40、50、60、75、100、200、300、400、500、または1,000ヌクレオチド長を超えるRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、または12,000ヌクレオチド長を超えるRNAである。RNAは、いくつかの実施形態では、mRNAである。いくつかの実施形態では、RNAは、約500〜約4000ヌクレオチド長、1000〜約2000ヌクレオチド長、750〜約1800ヌクレオチド長、約1500〜約3000ヌクレオチド長、約4000〜約7000ヌクレオチド長、または約6000〜約12000ヌクレオチド長のRNAである。mRNAは修飾されていてもよいし、修飾されていなくてもよい。他の実施形態では、RNAは、以下:mRNA、修飾mRNA、非修飾RNA、lncRNA、自己複製RNA、環状RNA、CRISPRガイドRNAのうちの1つ以上である。
【0054】
伝統的なIVT反応は、転写緩衝液中でDNA鋳型をRNAポリメラーゼならびにGTP、ATP、CTP、及びUTPを含む等モル量のヌクレオチド三リン酸と共にインキュベートすることによって行われる。この反応から、5’末端グアノシン三リン酸を有するRNA転写産物が生成される。これらの反応はまた、免疫刺激性であり、かつ付加的な影響を及ぼし得る、二本鎖及び一本鎖RNAのような多数の不純物の生成をもたらす。逆相補体の形成を妨げる本発明の方法は、両方の種の自然免疫認識を妨げる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、等モルのNTPを用いた先行技術の方法を用いて生成されたRNA調製物よりも有意に低いT細胞活性を有するRNAの産生をもたらす。この先行技術は、一連のその後の精製ステップを用いてこれらの望ましくない成分を除去しようと試みている。そのような精製方法は、それらが追加の時間及び資源を含み、そして最終生成物中に残留有機溶媒の混入(医薬製品にとって望ましくない)をもたらすので望ましくない。逆相クロマトグラフィー(RP)のようなプロセスを大規模化することは、例えば、耐圧防爆設備、HPLCカラム及び高圧、高温、可燃性溶媒等に定格された精製システムなどを利用するため、労力集約的及び資本集約的である。このスケール及び大規模製造の処理能力は、これらの要因によって制限される。RPプロセスにおいて利用されるアルキルアンモニウムイオン対を除去するために、その後の精製もまた必要とされる。対照的に、本明細書に記載の方法は、現在利用されている方法(例えばRP)をさらに向上させる。不純物負荷が低いほど、サイトカイン誘導性混入物を含まない全長RNAの精製回収率が高くなり、例えば、最初は材料の品質が高い。分取精製としてRNase IIIを使用する場合、本発明の修飾IVTプロセスのさらなる利点は、RNase III基質が少ないので、RNase III処理によって生成される不活性/無関係な切断生成物(分解するが翻訳しないもの)がより少ないということである。ごく微量のdsRNA/RNase III基質しかない場合は、たとえサイトカインがサイレントであっても、タンパク質を翻訳することができる、より最終的なインタクトなRNA産物(インタクトなキャップ/ORF/ポリA)が存在する。これにより、その後の精製に対する負担が軽減される。
【0055】
驚くべきことに、本発明の態様によれば、IVT反応における1つ以上の反応パラメーターの操作により、先行技術のプロセスを用いて生成される1つ以上の望ましくない混入物なしで高機能RNAのRNA調製物が生成されることが発見された。操作され得るIVT反応における1つのパラメーターは、反応混合物中の1つ以上の他のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と比較した、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の相対量(例えば、異なるヌクレオチド量または濃度)である。例えば、IVT反応は、過剰のヌクレオチド、例えば、一リン酸ヌクレオチド、二リン酸ヌクレオチドもしくは三リン酸ヌクレオチド、及び/または過剰のヌクレオチド類似体及び/またはヌクレオシド類似体を含んでもよい。本発明の方法は、伝統的なIVT法によって製造された生成物よりも著しく純粋な高収率の生成物を生成する。
【0056】
ヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドの一般構造を有するか、またはヌクレオチドもしくはその一部と構造的に類似している化合物である。特に、ヌクレオチド類似体は、例えば、ヌクレオチドの核酸部分、糖部分及び/またはリン酸基の類似体を含むヌクレオチドである。ヌクレオチドとしては、例えば、ヌクレオチド一リン酸、ヌクレオチド二リン酸、及びヌクレオチド三リン酸が挙げられる。本明細書で使用されるヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドまたはその一部と構造的に類似しているが、典型的なヌクレオチド構造(核酸塩基−リボース−リン酸)を有さない。ヌクレオシド類似体は、ヌクレオシドの一般構造を有するか、またはヌクレオシドもしくはその一部と構造的に類似している化合物である。特に、ヌクレオシド類似体は、例えば、ヌクレオシドの核酸及び/または糖部分の類似体を含むヌクレオシドである。
【0057】
本明細書で使用されるヌクレオシド三リン酸は、リボースに結合した核酸塩基(すなわちヌクレオシド)及び3つのリン酸(すなわちヌクレオチド)を含む分子を指す。ヌクレオチド二リン酸は、同じ分子であるが、2つのリン酸部分を有するものを指す。ヌクレオチド一リン酸は、同じ分子であるが、1つのリン酸部分を有するものを指す。ヌクレオチド一リン酸、ヌクレオチド二リン酸及び三リン酸は、本明細書においてそれぞれNMP、NDP及びNTPと呼ばれる場合がある。NMP、NDP及びNTP中のNは、天然に存在するヌクレオチド、合成ヌクレオチド、及び修飾ヌクレオチドを含む任意のヌクレオチドを指す。したがって、NDP及びNTPという用語は、天然に存在するか、合成であるか、または修飾された任意のヌクレオチドをその中に有する、それぞれヌクレオチド二リン酸及びヌクレオチド三リン酸を指す。
【0058】
天然ヌクレオチド二リン酸としては、少なくともアデノシン二リン酸(ADP)、グアノシン二リン酸(GDP)、シチジン二リン酸(CDP)、及びウリジン二リン酸(UDP)が挙げられる。天然ヌクレオチド三リン酸としては、少なくともアデノシン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、シチジン三リン酸(CTP)、5−メチルウリジン三リン酸(m5UTP)、及びウリジン三リン酸(UTP)が挙げられる。いくつかの実施形態では、NDP及び/またはNTPは修飾されている。例えば、修飾NDPまたはNTPは、容易な精製及び単離を可能にするためのハンドルを有し得る。
【0059】
ヌクレオチド三リン酸は、T7ポリメラーゼなどのポリメラーゼによってRNA鎖に付加される。対照的に、ヌクレオチド二リン酸及び一リン酸は反応を開始し得る(例えば、最初に転写されるモノマーとして働く)が、T7ポリメラーゼによって鎖内に組み込まれることはない(例えば、鎖の他の場所に組み込まれることはない)。場合によっては、GDPなどのヌクレオチド二リン酸を第1のモノマーとして組み込んでもよい。例えば、T7がGDPで始まり5’GDPを産生する場合、機能的RNAが生成され得る。5’GDP開始RNAは、依然としてワクシニアキャッピング酵素の基質である。GMPのような過剰のNMPが反応物中で使用される場合、5’PO4を有する転写産物はリガーゼ(複数可)の基質であるので(例えば、DNA/RNAリガーゼ(複数可))、キャップをライゲーションすることによって純度を高めてもよい。
【0060】
本発明において有用なヌクレオチド類似体は、構造的にヌクレオチドまたはその一部と類似しているが、例えば、T7によって重合可能ではない。本明細書で使用されるヌクレオチド/ヌクレオシド類似体(C、T、A、U、G、dC、dT、dA、dU、またはdG類似体を含む)としては、例えば、抗ウイルスヌクレオチド類似体、リン酸類似体(可溶性または固定化、加水分解性または非加水分解性)、ジヌクレオチド、トリヌクレオチド、テトラヌクレオチド、例えばキャップ類似体、または酵素キャッピング用の前駆体/基質(ワクシニア、またはリガーゼ)、キャップまたは5’部分のライゲーション/コンジュゲーションを容易にするための官能基で標識されたヌクレオチド(IRES)、キャップもしくは5’部分の連結を容易にするために5’PO4で標識されたヌクレオチド、または化学的もしくは酵素的に切断可能であり得る官能基/保護基で標識されたヌクレオチドが挙げられる。抗ウイルスヌクレオチド/ヌクレオシド類似体としては、限定するものではないが、ガンシクロビル、エンテカビル、テルビブジン、ビダラビン及びシドフォビルが挙げられる。
【0061】
IVT反応条件
例示的な態様では、本発明の方法は、IVT反応によるRNAの産生を含む。IVTは、インビトロで合成ポリヌクレオチドを生成するために使用される当該分野で認識されている方法である。インビトロ転写(IVT)RNAは、天然のRNAに構造的に類似することによってタンパク質を一時的に発現するように操作され得る。しかしながら、この薬物クラスには固有の課題があり、特にIVT RNAの翻訳効率及び免疫原性の制御に関連している。特に、IVT RNAは、望ましくない自然免疫効果を生み出し、HPLCによる極めてストリンジェントな精製手順は、典型的には追加の最終RNA生成ステップとして適用される。少量の短い二本鎖RNA断片の除去は、このさらなる免疫応答の低下を達成するために極めて重要である。
【0062】
先行技術で使用されている典型的な反応は、高忠実度で適度に高収率の産物を提供する。しかし、この産物にはベースラインレベルの混入物が含まれており、そのうちのいくつかだけが日常的な精製方法を使用して除去され得る。IVT反応は、典型的には以下を含む:RNAポリメラーゼ、例えば1000〜12000U/mL、例えば7000U/mLという最終濃度の例えば、T7 RNAポリメラーゼ;例えば10〜70nM、例えば40nMの最終濃度のDNA鋳型;例えば、0.5〜10mM、例えば、それぞれ7.5mMの最終濃度のヌクレオチド(NTP);最終濃度が例えば12〜60mMのマグネシウム、例えば40mMの酢酸マグネシウム;例えば、7〜8.5のpHの、例えば、HEPESまたはTrisなどの緩衝剤、例えば、40mM Tris HCl、pH8。いくつかの実施形態では、5mMジチオトレイトール(DTT)及び/または1mMスペルミジンが含まれ得る。いくつかの実施形態では、転写反応中にRNase誘導分解を確実に防止するために、RNase阻害剤がIVT反応に含まれる。例えば、マウスRNase阻害剤は、1000U/mLの最終濃度で利用してもよい。いくつかの実施形態では、ピロホスファターゼがIVT反応に含まれて、各ヌクレオチドが2単位の無機リン酸に組み込まれた後に生成された無機ピロリン酸を切断する。これによって、マグネシウムが溶液中に留まりそしてピロリン酸マグネシウムとして沈殿しないことが確実になる。例えば、E.coli無機ピロホスファターゼは、1U/mLの最終濃度で利用され得る。
【0063】
典型的なインビトロ転写反応は以下のものを含む:
1 鋳型cDNA 1.0μg
2 10×転写緩衝液(400mM Tris−HCl pH8.0、190mMのMgCl2、50mMのDTTまたはTCEP、10mMスペルミジン)2.0μl
3 カスタムNTP(各25mM)7.2μl
4 RNase阻害剤 20U
5 T7 RNAポリメラーゼ3000 U
6 dH
2O 最大20.0μl、及び
7 37℃で1時間〜5時間のインキュベーション
【0064】
粗IVT混合物は、4℃で4〜12時間貯蔵され得る。次いで、1単位のRNaseフリーDNaseを用いて元の鋳型を消化する。37℃で15分間インキュベートした後、dTレジン、逆相HPLC、またはAmbionのMEGACLEAR(商標)Kit(Austin、TX)などの精製技術を使用して、製造元の指示に従ってRNAを精製する。例示的なIVT反応は、使用される成分または成分の量に関して限定的ではない。
【0065】
伝統的な方法と同様に、本発明のRNAは、DNA鋳型、ならびにATP、CTP、UTP、GTP(または対応する前述の成分の類似体)などの1つ以上のNTP、及び緩衝液を含む反応混合物を形成することによっても生成してもよい。次いで、RNAが転写されるような条件下で反応物をインキュベートする。しかしながら、本発明の方法は、過剰量の1つ以上のヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体の存在が最終生成物に有意な影響を及ぼし得るという驚くべき知見を含む。本発明の方法は、意図しないまたは望ましくない不純物を欠き、かつ反応の有効性に影響を与えることなく、高品質の製品を製造するために使用され得る。
【0066】
本発明のIVT方法は、反応混合物中のヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体の量(例えば、モル量または分量)の変更を含む。いくつかの態様では、1つ以上のヌクレオチド及び/または1つ以上のヌクレオチド類似体を過剰に反応混合物に添加してもよい。過剰のヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体は、反応混合物中のNTPのような1つ以上の他のヌクレオチドの量よりも大きい任意の量である。例えば、過剰のヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体は、反応混合物中の他の個々のNTPのそれぞれまたは少なくとも1つの量よりも多い量であってもよいし、または等モル量よりも多い量の他のNTPを指してもよい。
【0067】
反応混合物に含まれるヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体がNTPである実施形態では、NTPは、反応混合物に含まれる他の3つ全てのNTPよりも高濃度で存在してもよい。他の3つのNTPは、互いに等モル濃度であってもよい。あるいは、他の3つのNTPのうちの1つ以上が、他の1つ以上のNTPとは異なる濃度であってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、選択されたNTPの過剰とは、反応混合物中の他の個々のNTPのうちのいずれか1つ以上の量よりも2倍または倍(×)、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×、またはさらにはそれより多い。他の実施形態では、選択されたNTPの過剰とは、反応混合物中の他の個々のNTPの合計の量よりも2倍または倍(×)、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×、さらにはそれ以上である。例示的な実施形態では、NTPは、反応混合物中の他のNTPに対してモル過剰である。例えば、過剰のNTPは、反応混合物中の1以上の他のNTPの、例えば2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1またはそれを超えるモル比で添加されてもよい。他の実施形態では、過剰の選択されたNTPは、0.5mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.54.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、100mM、120mM、150mMの濃度、または反応混合物中の他の個々のNTPのいずれか1つ以上の量をさらに超える量、または60〜100mMもしくは4.5〜100mMの範囲である。他の実施形態では、過剰の選択されたNTPは、0.5mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.54.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、100mM、120mM、150mMの濃度、または反応混合物中の他のNTPの合計のいずれか1つ以上の量よりもさらに多い。
【0069】
いくつかの例において、反応混合物中の過剰のNTPはNTP−1であり、反応混合物中の他のNTPは、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4である。いくつかの実施形態では、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4よりも高濃度でNTP−1が反応混合物中に存在し、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4はそれぞれ等モル量である。いくつかの実施形態では、NTP−1:NTP−2:NTP−3:NTP−4の比は、少なくとも2:1:1:1、少なくとも3:1:1:1、少なくとも4:1:1:1、少なくとも5:1:1:1、少なくとも6:1:1:1、少なくとも7:1:1:1、少なくとも8:1:1:1、少なくとも9:1:1:1、少なくとも10:1:1:1、少なくとも11:1:1:1、少なくとも12:1:1:1、少なくとも13:1:1:1、少なくとも14:1:1:1、少なくとも15:1:1:1、少なくとも16:1:1:1、少なくとも17:1:1:1、少なくとも18:1:1:1、少なくとも19:1:1:1であり、それぞれNTP−1の潜在的なキャップ上限は20である。いくつかの実施形態では、NTP−1:NTP−2+NTP−3+NTP−4の比は、少なくとも3:3、少なくとも5:3、少なくとも6:3、少なくとも7:3、少なくとも8:3、少なくとも9:3、少なくとも10:3、または少なくとも15:3であり、それぞれ潜在的な上限は20:3である。
【0070】
他の実施形態では、NTP−1は、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4よりも高い濃度で反応混合物中に存在し、NTP−2及びNTP−3はそれぞれ等モル量であり、NTP−4は、反応混合物中に、NTP−2及びNTP−3より高濃度でかつNTP−1より低い濃度で存在する。例えば、いくつかの実施形態では、NTP−1:NTP−4:NTP−2:NTP−3の比は、少なくとも3:2:1:1、少なくとも4:3:1:1、少なくとも4:2:1:1、少なくとも5:3:1:1、少なくとも5:3:2:2、少なくとも6:4:2:2、少なくとも8:4:2:2、少なくとも9:2:1:1、少なくとも10:2:1:1、少なくとも11:2:1:1、少なくとも12:2:1:1、少なくとも13:2:1:1、少なくとも14:2:1:1、少なくとも15:2:1:1、少なくとも16:2:1:1、少なくとも17:2:1:1、少なくとも18:2:1:1、少なくとも19:2:1:1であり、それぞれNTP−1の潜在的な上限は20である。
【0071】
他の実施形態では、NTP−1は、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4よりも高い濃度で反応混合物中に存在し、NTP−2及びNTP−3はそれぞれ等モル量であり、NTP−4は、反応混合物中に、NTP−1、NTP−2及びNTP−3未満の濃度で存在する。例えば、いくつかの実施形態では、NTP−1:NTP−3:NTP−2:NTP−4の比は、少なくとも3:2:2:1、少なくとも4:3:3:1、少なくとも4:2:2:1、少なくとも5:3:3:1、少なくとも5:3:3:2、少なくとも6:4:4:2、少なくとも8:4:4:2、少なくとも9:2:2:1、少なくとも10:2:2:1、少なくとも11:2:2:1、少なくとも12:2:2:1、少なくとも13:2:2:1、少なくとも14:2:2:1、少なくとも15:2:2:1、少なくとも16:2:2:1、少なくとも17:2:2:1、少なくとも18:2:2:1、少なくとも19:2:2:1であり、それぞれNTP−1の潜在的な上限のキャップは20である。
【0072】
いくつかの実施形態におけるNTP−1は、GTP、ATP、UTP、またはCTPである。いくつかの実施形態におけるNTP−2は、GTP、ATP、UTP、またはCTPである。いくつかの実施形態におけるNTP−3は、GTP、ATP、UTP、またはCTPである。いくつかの実施形態におけるNTP−4は、GTP、ATP、UTP、またはCTPである。
【0073】
いくつかの実施形態では、NTPはGTPであり、混合物中に、ATP、CTP、またはUTPのいずれか1つの濃度に対して少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも11:1、少なくとも12:1、少なくとも13:1、少なくとも14:1、または少なくとも15:1の比で存在する。GTPと他のNTPとの比は、約2:1〜約3:1、約2.5:1〜約3.5:1、約3:1〜約4:1、約3.5:1〜約4.5:1、約4:1〜約5:1、約4.5:1〜約5.5:1、約5:1〜約6:1、約5.5:1〜約6.5:1、約6:1〜7:1、約6.5:1〜約7.5:1、約7:1〜約8:1、約7.5:1〜約8.5:1、約8:1〜約9:1、約8.5:1〜約9.5:1、及び約9:1〜約10:1であってもよい。一実施形態では、ATP、CTP、及びUTPの濃度に対するGTPの濃度の比は、それぞれ2:1、4:1、及び4:1であってもよい。別の実施形態では、ATP、CTP、及びUTPの濃度に対するGTPの濃度の比は、それぞれ3:1、6:1、及び6:1であってもよい。
【0074】
反応混合物に含まれるヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体がNDPまたはヌクレオチド類似体である実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体は、反応混合物に含まれる4つ全てのNTPよりも高濃度で存在してもよい。4つのNTPは互いに等モル濃度であってもよい。あるいは、4つのNTPのうちの1つ以上が、他のNTPのうちの1つ以上とは異なる濃度であってもよい。
【0075】
他の実施形態では、過剰の選択されたNDPまたはヌクレオチド類似体は、反応混合物中の個々のNTPのうちのいずれか1つ以上の量よりも2倍または倍(×)、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×、さらにはそれ以上である。他の実施形態では、過剰の選択されたNDPまたはヌクレオチド類似体は、反応混合物中の個々のNTPの合計の量よりも2倍または倍(×)、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×またはさらにそれ以上である。例示的な実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体は、反応混合物中の他のNTPに対してモル過剰である。例えば、過剰のNDPまたはヌクレオチド類似体は、反応混合物中の1以上のNTPの、例えば2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、またはそれを超えるモル比で添加されてもよい。他の実施形態では、過剰の選択されたNDPまたはヌクレオチド類似体は、0.5mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.54.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、100mM、120mM、150mMの濃度、またはさらには反応混合物中の個々のNTPのうちのいずれか1つ以上のNTPの量より高いか、または60〜100mMもしくは4.5〜100mMの範囲である。他の実施形態では、過剰の選択されたNDPまたはヌクレオチド類似体は、0.5mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.54.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、7mM、8mM、9mM、10mM、15mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、100mM、120mM、150mMの濃度であるか、またはさらには反応混合物中のNTPの合計のうちのいずれか1つ以上の量を超える。
【0076】
いくつかの例において、反応混合物中のNTPは、NTP−1、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4である。いくつかの実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体は、NTP−1、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4よりも高い濃度で反応混合物中に存在し、ここでNTP−1、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4はそれぞれ等モル量である。いくつかの実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体:NTP−1+NTP+2:NTP−3+NTP−4の比は少なくとも4:4、少なくとも5:4、少なくとも6:4、少なくとも7:4、少なくとも8:4、少なくとも9:4、少なくとも10:4、または少なくとも15:4であり、それぞれ潜在的な上限キャップは20:4である。
【0077】
いくつかの実施形態では、過剰のNDPまたはヌクレオチド類似体は、同等またはそれ以上の濃度の4つのNTPのうちの1つと組み合わされる。
【0078】
他の実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体は、NTP−1、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4よりも高い濃度で反応混合物中に存在し、NTP−1、NTP−2及びNTP−3はそれぞれ、等モル量であり、NTP−4は、反応混合物中にNTP−1、NTP−2及びNTP−3より低いかまたは大きい濃度で存在する。例えば、いくつかの実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体:NTP−1:NTP−3:NTP−2:NTP−4の比は少なくとも3:2:2:2:1、少なくとも4:3:3:3:1、少なくとも4:2:2:2:1、少なくとも5:3:3:3:1、少なくとも5:3:3:3:2、少なくとも6:4:4:4:2、少なくとも8:4:4:4:2、少なくとも9:2:2:2:1、少なくとも10:2:2:2:1、少なくとも11:2:2:2:1、少なくとも12:2:2:2:1、少なくとも13:2:2:2:1、少なくとも14:2:2:2:1、少なくとも15:2:2:2:1、少なくとも16:2:2:2:1、少なくとも17:2:2:2:1、少なくとも18:2:2:2:1、少なくとも19:2:2:2:1であり、それぞれNDPまたはヌクレオチド類似体の潜在的な上限キャップは20である。
【0079】
他の実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体は、NTP−1、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4よりも高い濃度で反応混合物中に存在し、NTP−2及びNTP−3はそれぞれ等モル量であり、NTP−1及び/またはNTP−4は、反応混合物中にNTP−2及びNTP−3未満の濃度またはそれより高い濃度で存在する。他の実施形態では、NDPまたはヌクレオチド類似体は、NTP−1、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4よりも高い濃度で反応混合物中に存在し、NTP−1、NTP−2、NTP−3、及びNTP−4はそれぞれ互いに異なる量で存在する。
【0080】
いくつかの実施形態では、反応混合物中の過剰のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の上限は、溶解度の限界によって支配される。
【0081】
いくつかの実施形態では、NTPは、塩NTPである。例えば、NTPは、アンモニウムNTP、トリスNTP、リチウムNTP、カリウムNTP、またはナトリウムNTPであってもよい。
【0082】
本発明の一実施形態では、IVT法は、反応混合物へのNTPとNDPの組み合わせの添加を含み得る。NTPとNDPを組み合わせて反応混合物に過剰に添加してもよい。NTPとNDPの組み合わせの過剰とは、反応混合物中の他のNTPのうちの少なくとも1つまたは他の全てのNTPのうちの1つ以上の量よりも大きい量である。例えば、過剰のNTP及びNDPは、反応混合物中の他のNTPの少なくとも1つの量よりも多い量である合計量であってもよい。
【0083】
したがって、いくつかの実施形態では、IVT反応は、そのヌクレオチドの総量がその反応中に過剰に存在する限り、対応するヌクレオチド二リン酸と組み合わせて使用される場合、他のヌクレオチド三リン酸の少なくとも1つに対して等モル量のヌクレオチド三リン酸を含んでも、または過剰に満たないヌクレオチド三リン酸を含んでもよい。対応するヌクレオチド二リン酸は、ヌクレオチド三リン酸と同じ塩基を有するヌクレオチド二リン酸を指す。例えば、ヌクレオチド三リン酸はGTPであってもよく、そしてヌクレオチド二リン酸はGDPであってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、NTPとNDPは組み合わせて等モルである。別の実施形態では、NTPの量は、反応混合物に添加された組み合わせ中のNDPの量よりも多い。NDPの量は、反応混合物に添加される組み合わせ中のNTPの量よりも多くてもよい。いくつかの実施形態では、過剰のNTPとNDPの組み合わせ混合物は、反応混合物中の他の個々のNTPの量よりも2倍または倍(×)、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×、またはそれよりもさらに大きい。各実施形態では、他の個々のNTPは、反応混合物中に同じ(等モル)で存在しても、または異なる量で存在してもよい。本明細書に記載の倍数差は、反応混合物中の他のNTPの少なくとも1つ、少なくとも2つまたは3つ全てとの比較を指す。
【0085】
他の実施形態では、NTPは、反応混合物中のNDPの量よりも2倍または倍(×)、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×またはさらにそれ以上である。さらに他の実施形態では、NDPは、反応混合物中のNTPの量よりも2倍または倍(×)、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×、またはさらにそれより大きい。
【0086】
本明細書に記載の各実施形態では、NTP及びNDPは、例えば、それぞれGTP及びGDPであり得、混合物中に少なくとも6倍または倍(×)、7×、8×、9×、10×、11×、12×、13×、14×、15×、15×〜100×、10×〜90×、10×〜80×、10×〜70×の濃度で、または反応混合物中のATP、CTP、またはUTPのいずれか1つの量よりさらに多い量で存在し得る。例示的な実施形態では、NTPとNDPとの組み合わせは、反応混合物中の他の個々のNTPに対してモル過剰である。例えば、NTPとNDPの組合せ混合物は、反応混合物中に、例えば2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、またはそれを超えるモル比で添加されてもよい。GTP及びGDP対他のNTPの比は、約2:1〜約3:1、約2.5:1〜約3.5:1、約3:1〜約4:1、約3.5:1〜約4.5:1、約4:1〜約5:1、約4.5:1〜約5.5:1、及び約5:1〜約6:1であってもよい。一実施形態では、GTPの濃度対ATP、CTP、及びUTPの濃度の比は、それぞれ3:1、6:1、及び6:1であってもよい。
【0087】
他の実施形態では、NTP対NDPの比、及びいくつかの実施形態では、GTP対GDPは、反応混合物中のプリンヌクレオチド対ピリミジンヌクレオチドの比(Pu:Py)と比較して考慮される。いくつかの実施形態では、GTP:GDP対Pu:Pyの比は、反応混合物中で2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1以上である。
【0088】
いくつかの実施形態では、緩衝液はリン酸塩を含む。リン酸塩の有効濃度は、少なくとも150mM、少なくとも160mM、少なくとも170mM、少なくとも180mM、少なくとも190mM、少なくとも200mM、少なくとも210mM、少なくとも220mM、または少なくとも230mMのリン酸塩である。一実施形態では、リン酸塩の有効濃度は180mMである。別の実施形態では、リン酸塩の有効濃度は195mMである。
【0089】
別の実施形態では、緩衝剤はマグネシウムを含む。この緩衝液は、少なくとも1.0、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.25、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.75、少なくとも1.8、及び少なくとも1.85または3というMg
2+のモル濃度に対するATP+CTP+UTP+GTP及び任意選択的にGDPの濃度の比を有してもよい。他の実施形態では、この比は1.0、1.1、1.2、1.25、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.85、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9もしくは3またはこれらの変数の任意の範囲である。一実施形態では、この比は1.5である。別の実施形態では、上記モル比は、1.88である。一実施形態では、この比は3である。
【0090】
本発明の例示的な態様では、IVT反応(反応混合物)は、RNAポリメラーゼ、例えばT7、SP6、T3などを含む。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ、例えばT7ポリメラーゼは、5U/μl超、10U/μl超、20U/μl超、50U/μl超、または100U/μl超の濃度で含まれる。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ、例えば、T7ポリメラーゼの濃度は、反応混合物1μlあたり約1〜約250U、例えば、約1〜約100U/μl、または約100〜約250U/μlの範囲である。いくつかの実施形態では、T7ポリメラーゼ濃度は、約30〜約60U/μl、約60〜約80U/μl、約80〜約100U/μl、約100〜約150U/μl、または約150〜約200U/μlの範囲である。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼ、例えばT7ポリメラーゼは、7、14、25、50、75、または140の濃度で含まれる。
【0091】
本明細書中で使用される場合、DNA鋳型とは、RNAポリメラーゼのためのポリヌクレオチド鋳型を指す。本明細書に記載の方法に従って有用なDNA鋳型は、いくつかの実施形態では、例えば目的のポリペプチドをコードする目的の遺伝子を含む。いくつかの実施形態におけるDNA鋳型は、RNAポリメラーゼプロモーター、例えば、目的の遺伝子の5’側に位置し、かつ作動可能に連結されたT7プロモーター、及び任意選択的に、目的の遺伝子の3’に位置するポリAテールをコードする配列を含む。
【0092】
当該分野で公知のRNAポリメラーゼは、本発明の方法において使用され得る。RNAポリメラーゼとしては、限定するものではないが、ファージRNAポリメラーゼ、例えばT7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、及び/または突然変異型ポリメラーゼ、例えば、限定するものではないが、修飾型核酸を取り込むことができるポリメラーゼが挙げられる。非限定的な例として、RNAポリメラーゼは、未修飾のRNAポリメラーゼと比較して、2’修飾ヌクレオチド三リン酸を取り込む能力の増大を示すように修飾されてもよい。
【0093】
本明細書中で使用される場合、「目的の遺伝子」とは、目的のポリペプチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオチドをいう。文脈次第で、目的の遺伝子とは、デオキシリボ核酸、例えば、RNA転写物に転写され得るDNA鋳型中の目的の遺伝子、またはリボ核酸、例えば、RNA転写物中の目的の遺伝子(インビトロ、インビボ、インサイチュまたはエキソビボで、コードされた目的のポリペプチドを生成するために翻訳され得る)を指す。目的のポリペプチドとしては、限定するものではないが、生物製剤、抗体、ワクチン、治療用タンパク質またはペプチドなどが挙げられる。
【0094】
「RNA転写物」とは、DNA鋳型及びRNAポリメラーゼを用いたIVT反応によって産生されたリボ核酸を指す。いくつかの実施形態では、RNA転写物は、mRNAであり、典型的には目的の遺伝子のコード配列及びポリAテールを含む。RNA転写物は、mRNAを含む。RNA転写物は修飾、例えば修飾ヌクレオチドを含んでもよい。本明細書中で使用される場合、RNA転写物という用語は、mRNA、修飾mRNA「mmRNA」または修飾mRNA、及び一次構築物を含み、それらと交換可能である。
【0095】
純度
本発明の方法に従って製造されたRNAは、驚くほど純粋でありそして完全性が高い。それは伝統的なIVT法に従って製造されたRNA調製物よりも混入物が少ない。いくつかの実施形態では、それは伝統的なIVT方法に従って製造されたRNA調製物よりも免疫刺激混入物が少ない。この混入物は、所望のRNA以外の反応によって生成されたRNA断片である。いくつかの実施形態では、RNA断片混入物は、逆相補体転写産物及び/またはサイトカイン誘導性RNA混入物である。他の実施形態では、RNA断片混入物は、二本鎖RNAまたは免疫原性混入物である。
【0096】
いくつかの実施形態における本発明のRNA調製物は、伝統的なIVT法に従って製造されたRNA調製物よりも混入物が少ない。いくつかの実施形態では、本発明のRNA調製物は、伝統的なIVT方法に従って生成されたRNA調製物よりも少なくとも10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%混入物が少ない。他の実施形態では、本発明のRNA調製物は、混入物を実質的に含まない。他の実施形態では、本発明のRNA調製物は混入物を100%含まない。
【0097】
したがって、いくつかの態様における本発明は、さらなる精製ステップを必要とせずに、逆相補体転写産物を実質的に含まないIVT RNAの調製を含む。本明細書中で使用される場合、「逆相補体転写産物」という用語は、RNA鋳型転写から生じるRNA分子をいう。逆相補体転写産物は、いくつかの実施形態では、RNA鋳型転写産物であってもよい。理論に拘束されるものではないが、逆相補体産物は、主にまたは全てRNA鋳型転写産物であると考えられる。逆相補体産物がDNA鋳型転写産物から構成される場合、その産物は、例えばDNA鋳型由来のT7プロモーター領域に相補的なヌクレオチド配列を含むであろう。今日までに特徴付けられている逆相補体産物は、例えばT7プロモーター領域に相補的な配列を主には含まない。いくつかの実施形態では、逆相補体転写産物は、二本鎖RNA(dsRNA)であり、これはIVT RNAの少なくとも一部の逆相補体である配列をコードする一本鎖を含み得る。他の実施形態では、逆転写相補体産物は、ポリU配列を含む一本鎖を有するdsRNAであってもよい。目的のポリペプチドをコードする逆相補鎖またはポリU配列をコードする鎖のいずれもが、5’三リン酸(5’ppp)で開始し得る。RNA鋳型転写産物は、IVT RNAの5’末端の逆相補体か、及び/またはIVT RNAの3’末端の逆相補体を含んでもよい。さらに、IVT RNAの5’末端の逆相補体は、IVT RNAの5’UTRの全部または一部に相補的である場合がある。逆相補体は、5’UTRの最初の10〜15個、最初の5〜15個、最初の5〜20個、最初の10〜20個、最初の15〜25個のヌクレオチドに相補的な配列を含んでもよい。同様に、IVT RNAの3’末端の逆相補体は、IVT RNAのポリAテールの全部または一部に相補的であってもよい。逆相補体転写産物は、RNA上のどこからでも鋳型化され得、したがって鋳型上で任意のサイズであっても、または任意の位置に相補的であってもよい。例えば、逆相補体生成物は、5mer、10mer、15mer、20mer、25mer、40mer、50mer、60mer、70mer、100mer、200merなど、最大で意図される生成物の全長か、または所望の生成物の全長までであり得る。
【0098】
本発明は、IVT RNA及び実質的に逆相補体転写産物を含まない薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、IVTにおいて、逆相補体転写産物を実質的に含まないRNAは、総RNAの質量の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、または0.55%、0.5%、0.45%、0.4%、0.35%、0.3%、0.025%、0.2%、0.15%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%、または0.001%未満を構成する逆相補体転写産物を含む。RNA組成物の質量は、当該分野で公知の任意の手段によって決定され得る。RNAの質量を決定するための方法の例としては、液体クロマトグラフィー及び質量分析が挙げられる。
【0099】
理論に拘束されるものではないが、本発明のいくつかの実施形態では、混入物は、より長いRNAの状況において二本鎖構造を形成するIVT RNAの集団に結合した一本鎖逆相補体であると考えられる。T7は、アボーティブ(センス鎖)新生RNAならびに全長産物新生RNAを鋳型にしてもよい。RNA鋳型転写物(アンチセンス)は、一度転写されると(主にpppC、pppU、及びpppAで開始される)、おそらく新生センスRNAと会合したままである。あるいは、そのような構築物が形成するならば、それらは本質的にサイレントであってもよい。2本鎖の結合は、効果的には5’pppを有するdsRNAである。1本以上のハイブリダイズした鎖に5’pppが存在することによって、構造は免疫刺激性になる。アンチセンスRNA鋳型転写物がRNAから解離されるときでさえ、pppC、pppU、及びpppAを有するssRNAの存在は、依然としてサイトカイン誘導性である。本発明の方法は、J2 ELISA及びRNase III処理において見られるようにdsRNAを欠くRNAを生成するので、この産物は大きな全長RNAの構造をとらないであろう。等モルまたは本発明のIVTプロセスで転写された場合、RNAは同様に折り畳まれていると思われる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明のRNA調製物は、サイトカイン誘導性のRNA混入物を実質的に含まない。本明細書中で使用される場合、「サイトカイン誘導性混入物」という用語は、例えば、細胞ベースのサイトカイン誘導アッセイにおいて決定されるように、例えば、本明細書の実施例に記載されるような、BJ線維芽細胞/IFNβアッセイ及び/またはLuminexアッセイにおいて決定されるように、サイトカイン生成を誘導するRNA分子、例えばI型インターフェロン(IFNα/β誘導)を指す。本発明の例示的な態様では、「サイトカイン誘導」混入物という用語は、サイトカイン誘導を誘導し、そして本質的に実質的に二本鎖であるRNA分子を指す。
【0101】
理論に縛られることなく、異常なポリメラーゼ転写、例えばIVT反応で生成される所望のRNAから鋳型が取られた転写から生じる二本鎖RNA分子は、天然の抗ウイルス免疫応答と似た自然免疫応答の活性化を介してサイトカインを誘導すると考えられ、これには、2種類の病原体認識受容体(PRR):トール様受容体(TLR)及びRIG−I様受容体(RLR)、例えばトール様受容体3(TLR3)、ならびにRNAヘリカーゼ、例えばRIG−I及びMDA5が挙げられる。他のサイトカイン誘導分子の例としては、RNaseIII基質が挙げられる。本明細書で使用されるRNase III基質とは、RNase III酵素による切断を受けやすい二本鎖RNA分子を指す。
【0102】
いくつかの実施形態では、サイトカイン誘導性RNA混入物は、IVT RNAに相補的な逆配列またはポリU配列を有する二本鎖RNAであってもよい。IVT RNAの逆相補体またはポリU配列は5’pppで始まる場合がある。
【0103】
サイトカイン誘導性RNA混入物は、IVT RNAの5’末端の逆相補体を含んでもよいし、及び/またはIVT RNAの3’末端の逆相補体を含んでもよい。さらに、IVT RNAの5’末端の逆相補体は、IVT RNAの5’UTRの全部または一部に相補的であり得る。逆相補体は、5’UTRの最初の10〜15個、最初の5〜15個、最初の5〜20個、最初の10〜20個、最初の15〜25個のヌクレオチドに相補的な配列を含み得る。いくつかの実施形態では、逆相補体は、5’UTR以内で1〜20、1〜30、1〜40、1〜50、1〜60、1〜70、1〜80、1〜90、1〜100、1〜200、1〜300、1〜400、1〜500、1〜600、1〜700、1〜800、1〜900、1〜1000、1〜2000、1〜2500、または1〜3000ヌクレオチド長の範囲に相補的な配列を含んでもよい。他の実施形態では、逆相補体は、5’UTR内で、10〜20、10〜30、10〜40、10〜50、1〜60、10〜70、10〜80、10〜90、10〜100、10〜200、10〜300、10〜400、10〜500、10〜600、10〜700、10〜800、10〜900、10〜1000、10〜2000、10〜2500、または10〜3000ヌクレオチド長の範囲に相補的な配列を含んでもよい。他の実施形態では、逆相補体は、5’UTR内で20〜25、20〜30、20〜40、20〜50、20〜60、20〜70、20〜80、20〜90、20〜100、20〜200、20〜300、20〜400、20〜500、20〜600、20〜700、20〜800、20〜900、20〜1000、20〜2000、20〜2500、または20〜3000ヌクレオチド長の範囲に相補的な配列を含んでもよい。同様に、IVT RNAの3’末端の逆相補体は、IVT RNAのポリAテールの全部または一部に相補的である場合がある。逆相補体は、3’UTRの最初の10〜15個、最初の5〜15個、最初の5〜20個、最初の10〜20個、最初の15〜25個のヌクレオチドに相補的な配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、逆相補体は、3’UTR内の1〜20、1〜30、1〜40、1〜50、1〜60、1〜70、1〜80、1〜90、1〜100、1〜200、1〜300、1〜400、1〜500、1〜600、1〜700、1〜800、1〜900、1〜1000、1〜2000、1〜2500、1〜3000、または1から全長または最大サイズのRNAヌクレオチド長という範囲に相補的な配列を含んでもよい。他の実施形態では、逆相補体は、3’UTR内の10〜20、10〜30、10〜40、10〜50、1〜60、10〜70、10〜80、10〜90、10〜100、10〜200、10〜300、10〜400、10〜500、10〜600、10〜700、10〜800、10〜900、10〜1000、10〜2000、10〜2500、または10〜3000ヌクレオチド長の範囲に相補的な配列を含んでもよい。他の実施形態では、逆相補体は、3’UTR内の20〜25、20〜30、20〜40、20〜50、20〜60、20〜70、20〜80、20〜90、20〜100、20〜200、20〜300、20〜400、20〜500、20〜600、20〜700、20〜800、20〜900、20〜1000、20〜2000、20〜2500、または20〜3000ヌクレオチド長の範囲に相補的な配列を含んでもよい。
【0104】
本開示は、IVT RNAと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、サイトカイン誘導性RNA混入物を実質的に含まない組成物を包含する。いくつかの実施形態では、サイトカイン誘導性RNA混入物は、RNAの量の0.5%、0.45%、0.4%、0.35%、0.3%、0.25%、0.2%、0.15%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%または0.001%未満を構成する。RNA組成物の質量は、当該分野で公知の任意の手段によって決定され得る。例としては、液体クロマトグラフィー及び質量分析法が挙げられる。
【0105】
サイトカイン誘導性RNA混入物及び/または逆相補体転写産物などの混入物のdsRNAは、20〜50ヌクレオチド長であってもよい。他の実施形態では、dsRNAは、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45、45〜50、50〜55、55〜60、60〜65、65〜70、70〜75、75〜80、80〜85、85〜90、90〜95、95〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、150〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜225、225〜250、250〜275、275〜300、300〜325、325〜350、350〜375、375〜400、400〜425、425〜450、450〜475、475〜500、500〜550、550〜600、600〜650、650〜700、700〜750、750〜800、800〜850、850〜900、900〜950、及び950〜1000ヌクレオチド長であってもよい。いくつかの実施形態では、dsRNAの質量は、40塩基対より大きく、RNA組成物の約0.5%未満を構成する。
【0106】
混入物鎖は5’ppp端部を有する場合がある。いくつかの実施形態では、混入物鎖は、等モルのプロセス産生RNAと比較して、より低量のpppA、pppC、及びpppUを有し得る。別の実施形態では、混入物鎖は、等モルプロセスと比較して、より低い比のpppA:pppG、pppC:pppG、及び/またはpppU:pppGを有し得る。pppNTPは、全ヌクレアーゼ消化、例えば、ヌクレアーゼP1処理後にLC−MSによって検出してもよい。ヌクレアーゼP1は、RNA及びDNAを単一のヌクレオチドに消化する。存在すべき唯一の三リン酸種は、開始ヌクレオチドに対するものである。RNA鋳型転写産物が形成されない場合は、5’PPPGが開始の唯一の標的部位であるため、存在するはずの唯一の三リン酸である。Nuclease P1消化後にLC/MSで検出された5’pppA、5’pppC、及び/または5’pppUの存在及び量は、RNA鋳型RNA転写産物を示す。
【0107】
不純物、特に二本鎖不純物が少ないことに加えて、IVT RNA組成物は、特に精製ステップ、例えば、逆相クロマトグラフィーまたはRNAse III処理と組み合わせたIVT法を用いて生成された従来の精製RNA組成物と比較した場合、組成物中の他のRNA種に対して高い割合の全長機能的RNA転写物を有する。いくつかの実施形態では、RNAの質量の約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.8%超が、一本鎖全長転写物を含む。一本鎖全長転写物に加えて、IVT RNA組成物は、アボーティブ転写物を含む、センス配向の一本鎖部分RNA転写物のような他の一本鎖RNA種を含んでもよい。しかしながら、IVT RNA組成物は、RNAse III非感受性断片を実質的に含まない。
【0108】
本明細書に記載のRNA組成物は、全長RNA転写物以外の他の成分、例えば短縮型転写物及び/またはランオン(run−on)転写物を含んでもよい。例えば、RNAは、異なる長さの転写物、例えば、全長の転写物よりも短いかまたは長い転写物を含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のRNA調製物は、切断型及び/またはアボーティブ型転写物を含む。RNAポリメラーゼは、DNAプロモーターに結合し、そして短いmRNA転写物を合成する。本明細書中で使用される場合、「短縮された転写物」という用語は、IVT RNAに対して同一性を有するが、不十分な長さであり、かつ目的のポリペプチドをコードするために必要な全ての要素(例えば、ポリA)を欠く転写物を指す。特定の場合には、切断型転写物は、アボーティブ転写物と呼ばれる、転写複合体がプロモーターを離れる前に放出される。本明細書中で使用される場合、「アボーティブ転写物」という用語は、IVT RNAに対して同一性を有するが、不十分な長さであり、目的のポリペプチドをコードするのに必要な全ての要素(例えば、ポリA)を欠く、一般には、15ヌクレオチド以下の長さを有する転写物を指す。本発明の例示的な態様では、短縮型及び/またはアボーティブ型の転写物が存在し、サイトカイン誘導性ではない。ある実施形態では、短縮型及び/またはアボーティブ転写物は試料から除去される。いくつかの実施形態では、短縮された転写物は、100ヌクレオチド以下の長さを有する。
【0109】
本発明の方法はまた、本明細書において3’均一性または3’末端均一性の増大とも呼ばれる、3’不均一性または3’末端不均一性が低減された組成物を生成すると判断された。本発明者らは、伝統的な等モルのIVT反応条件が、異なる3’残基で終結する転写物(例えば、転写が一様に終結していない)を生じ得ると判断した。実施例に記載されたアッセイは、伝統的なIVT反応(特定の試験転写物の3’末端で生じる非A核酸塩基間を識別するアッセイ)から生じる3’末端の不均一性を検出するために開発された。特に、本発明の方法は、より低い程度の3’末端不均一性(またはより均一な3’末端)を有する転写物を生成する。例えば、伝統的なIVT反応(例えば、等モル反応)に従って製造された転写物は、50%を超える(任意選択的に60%を超える、70%を超える、75%を超える、80%を超える)転写産物が異なる末端を有する組成物を生成し得るが、本発明のIVT反応(例えば、アルファ反応)に従って生成された転写物は、50%未満の転写物、すなわち50%を超える転写物が、(例えば、DNA鋳型に対して)同じ核酸塩基で同じ末端を有する、すなわち、終止する(任意選択的に、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満またはそれ以下)が異なる末端を有する)組成物を生成することができる。
【0110】
一本鎖部分RNA転写物の集団内の短縮転写物は、ある範囲のサイズを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、短縮転写産物の集団の少なくとも80%が、100ヌクレオチド以下の長さを有する。他の実施形態では、短縮転写産物の集団の少なくとも50%、60%、70%、85%、90%、95%、98%または100%が100ヌクレオチド以下の長さを有する。
【0111】
本明細書に記載のIVT RNA組成物内の一本鎖RNA集団は、典型的にはRNAse III非感受性断片を含まないか、または実質的に含まない。本明細書で使用される「RNAse III非感受性断片」とは、IVT RNAに対する同一性(センス配向)を有するが、不十分な長さであり、目的のポリペプチドをコードするのに必要な全ての要素を欠く(全長転写産物未満のヌクレオチドを有する)一本鎖転写産物であって、ここで、この断片が、酵素的、特にRNAse III切断によって生成されるものを指す。RNAse III非感受性断片の生成は、例えば、RNAse III消化と組み合わせた(
図40に示されるような)伝統的なIVTプロセスを生じ得る。
【0112】
図40に示すように、従来のIVT/RNAse III精製プロセスの最初のステップは、Mg
2+存在下での直鎖dsDNA鋳型、等モル濃度のNTP及びRNAポリメラーゼを利用した転写反応に関与する。この反応は、一本鎖切断型/アボーティブ転写物、全長RNA転写物、ランオン転写物、及び逆相補体不純物の混合集団を生成する。逆相補体不純物は、一本鎖RNAのいくつかまたは他の不純物、例えば、短縮転写物に結合して、二本鎖RNA及び/または二本鎖領域と一本鎖領域との両方を有するRNAを生成し得る。当該技術分野では、RNAse IIIを使用してIVT組成物から二本鎖RNAを分解し、それによってそれを組成物から効果的に除去することができると想定されてきた。しかし、RNAse IIIはまた、全長RNA転写物及び/またはランオン転写物の二本鎖領域(例えば、ポリAテール領域内の逆相補体の結合から生じる二本鎖領域)を分解し、全長RNA転写物より短い長さの一本鎖断片を残し得る。これらの一本鎖断片は、本明細書に記載のRNAse III非感受性断片である。このRNAse分解の結果として、IVTプロセスの間に生成されたかなりの量の全長転写物が失われ、それにより生成物の完全性が著しく失われる。これらの組成物は、細胞または対象に送達されたときにタンパク質を発現する能力が有意に低い。
【0113】
図40に示す方法などの方法に従って生成された生成物のRNAse III処理後に生成されたRNAse III非感受性断片は、ある範囲のサイズを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、アボーティブ転写産物の集団の少なくとも80%は、100ヌクレオチドを超える長さを有する。他の実施形態では、RNAse III非感受性断片の集団の少なくとも50%、60%、70%、85%、90%、95%、98%または100%が100ヌクレオチド超の長さを有する。
【0114】
理論に拘束されるものではないが、特定の種または混入物、例えばdsRNA種または混入物の除去は、治療用途のためのIVT RNA組成物の調製において重要であると考えられる。対照的に、IVT RNA組成物中の残留短縮型転写物及び/またはアボーティブ転写物の存在は、必要であるとは考えられない;そのような種は、望ましくないサイトカイン及び/またはIVT RNAに対する自然免疫応答を誘発するとは考えられていない。他の実施形態では、本発明のRNA調製物は、短縮転写物またはアボーティブ転写物を実質的に含まない。
【0115】
短縮型/アボーティブ転写物は、IVT RNA組成物または本発明に存在し得るが、組成物はRNAse IIIで処理されないので、RNAse III非感受性断片は、IVT RNA組成物には存在しない。短縮型転写物及びRNAse III非感受性断片は両方とも様々なサイズまたは長さを有するが、短縮型転写物の平均長は、RNAse III非感受性断片の平均長より短い。したがって、組成物がセンス配向の一本鎖部分RNA転写物の集団を含む場合、センス配向の一本鎖部分RNA転写物の集団の80%超が100ヌクレオチド以下のヌクレオチド長を有する場合。いくつかの実施形態では、センス配向における一本鎖部分RNA転写物の集団の90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%超が、100ヌクレオチド以下のヌクレオチド長を有する。他の実施形態では、センス配向の一本鎖部分RNA転写物の集団の50%、55%、60%、65%、70%、75%、85%、または88%超が100ヌクレオチド以下のヌクレオチド長を有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、RNA調製物は、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物である。他の実施形態では、RNA調製物は、さらなる精製技術にまだ供されていない反応生成物(例えば、IVT反応生成物)である。RNA調製物は、RNAに加えて多数の他の成分を含み得る。しかしながら、この反応生成物は、逆相補体転写産物及び/またはサイトカイン誘導性RNA混入物を実質的に含まない。
【0117】
アッセイ
逆相補体転写産物及び/またはサイトカイン誘導性RNA混入物を含む混入物の量は、当該分野で公知の方法によって決定され得る。核酸試料の純度を決定するための多くの方法が当技術分野において公知である。例示的な方法としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:高速液体クロマトグラフィー(逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなど)、ゲル電気泳動、ならびに核酸産生の品質及び純度を評価するための翻訳アッセイ。RNA調製物の品質はまた、Bioanalyzerチップベースの電気泳動システムを使用して決定されてもよい。インビトロの有効性は、例えば、RNA転写物をヒト細胞株(例えば、HeLA、PBMC、BJ線維芽細胞、Hek 293)にトランスフェクトすることによって分析してもよい。目的のポリペプチドのタンパク質発現は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット、またはフローサイトメトリーなどの方法を用いて定量してもよい。
【0118】
dsRNA特異的抗体を用いてdsRNAを検出及び/または定量するために様々な方法が用いられてきた。これらとしては、ELISA、例えばサンドイッチELISA(Schonborn et al.(1991)Nucleic Acids Res 19:2993−3000)、ドットブロット(定量化、特異性試験用)(Kariko et al.(2011)Nucleic Acids Res 39:e142)、及び免疫沈降/イムノブロッティングが挙げられる。本発明の例示的な態様では、混入物は、ELISAを使用して認識され得る。K1/J2またはK2/J2アッセイは、試料中のdsRNA混入物の存在量を決定するために使用され得る。例示的なELISAは、以下のようにサンドイッチELISAである。ブロッキング:マイクロタイタープレートを、4℃で一晩、タンパク質、例えば、0.4μg/ウェルのプロテインAで予めコーティングする。遊離結合部位を、緩衝液(例えばPBS)中のウシ血清アルブミン(BSA)(例えば2%)で飽和させ、次いでプレートを緩衝液(例えばPBS)で洗浄し、そして4℃で保存する。dsRNA特異的J2モノクローナル抗体(IgG2a)を、ハイブリドーマ上清(例えば、1ウェルあたり100μl、4℃で一晩)をインキュベートすることにより、プロテインA層に固定する。そのプレートを、緩衝液、例えば、PBSに加えてTween20(例えば、0.5%(v/v)Tween20)で複数回洗浄し、及び核酸試料を緩衝液(例えば、TE緩衝液、37℃、2時間)に添加する。上記のような洗浄後、結合した核酸(すなわち、J2抗原)を、dsRNA特異的K2 IgMモノクローナル抗体、続いてアルカリホスファターゼコンジュゲート二次抗体(例えば、1:5000希釈ヤギ抗マウスIgM)の希釈ハイブリドーマ上清(例えば1:2)との連続インキュベーションによって特定する。両方のインキュベーションステップとも、37℃で約1〜2時間行う。洗浄、基質のインキュベーション及び吸収の読み取りは、当技術分野で認められている方法に従って行う。
【0119】
ドットブロットを使用する同様のアッセイは、Kariko et al.,Nuc.Acids Res.2011;39(21):e142に記載される。このアッセイは、RNA(200ng)を、超荷電Nytran膜上にブロットし、そこでそれを乾燥させ、TBS−T緩衝液(50mMのトリス−HCl、150mMのNaCl、0.05%Tween−20、pH7.4)中の5%脱脂粉乳でブロックすることによって行う。次いで、試料を、dsRNA特異的K1またはJ2モノクローナル抗体(IgG)と共に1時間インキュベートする。この膜は、TBS−Tで洗浄し、例えば、HRP結合抗ヤギポリクローナル抗体と共にインキュベートしてもよい。この膜を再び洗浄し、そしてシグナルを、TMBを用いて検出する。そのシグナルは、TMBを添加して発生させる。このアッセイは、長さが40塩基対を超えるdsRNA二本鎖を検出するのに有用である。
【0120】
サイトカインアッセイもまた、RNA混入物を検出するために使用してもよい。多数のサイトカインアッセイが当該分野において公知である。このアッセイは、不純なIVT生成物に関連する任意のサイトカインの誘導について試験し得る。これらのサイトカインとしては、例えば、インターロイキン(IL)、干渉(IFN)アルファ、ベータ、及びガンマ、ならびにTNFが挙げられる。一実施形態では、IFN−β細胞ベースのアッセイを使用してもよい。その結果は、LC−MSによって検出されたRNaseIII基質の存在と相関することが示されている。例えば、ILまたは多重サイトカインアッセイなどの他の細胞ベースのサイトカインアッセイを使用してもよい。
【0121】
例示的なBJF IFNβ及びhEPO発現アッセイでは、BJ線維芽細胞(ATCC)を細胞培養プレートに播種する。播種の約24時間後に、リポフェクタミンまたは他の送達剤を用いて細胞にmRNAをトランスフェクトする。トランスフェクション後、上清を回収し、IFNβ発現は、製造業者の指示(PBL Assay Science)に従ってヒトIFNβ ELISAキット、High Sensitivityを用いて測定する。要するに、ヒトIFN−βを、細胞上清中で間接的酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定する。予めコーティングしたプレートを、細胞上清と共にインキュベートし、次いで洗浄して非特異的に結合した物質を除去する。ウェルを抗IFN−β抗体、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートした二次抗体と共にインキュベートすることによって、IFN−β発現を分析する。テトラメチルベンジジン(TMB)は、検出に使用されるHRP基質である。ヒトEpoレベルは、Epo Human ELISA Kit(Thermo Fisher)を使用して測定される。
【0122】
例示的なLuminexアッセイでは、Luminexスクリーニングアッセイ技術(R&D Systems)を使用して、マウス由来の血清を収集してサイトカインレベルを評価する。要するに、分析物特異的抗体を、色分けされたビーズ上に予めコーティングする。ビーズ、標準物質、及び試料をウェル中にピペッティングして、固定した抗体を目的の分析物に結合させる。未結合物質を洗い流した後、目的の分析物に特異的なビオチン化抗体カクテルを、各ウェルに加える。未結合ビオチン化抗体を除去するための洗浄の後、ビオチン化検出抗体に結合するストレプトアビジン−フィコエリトリンコンジュゲート(ストレプトアビジン−PE)を、各ウェルに添加する。最後の洗浄により未結合ストレプトアビジン−PEを除去し、ビーズを緩衝液に再懸濁し、Luminexアナライザー(R&D Systems)を用いて読み取る。第1のレーザーはビーズ特異的であり、どの分析物が検出されているかを決定する。第2のレーザーはPE由来のシグナルの大きさを決定し、それは結合した分析物の量に正比例する。
【0123】
純度のサロゲートアッセイ
本発明の例示的な態様では、生成物及び/または不純物の高度に定性的及び/または定量的な検出に適している代替アッセイの使用によって純度を決定することが望ましい場合がある。したがって、本発明は、同一の条件によって産生されたサロゲートRNA(例えば、モデルRNA)の純度を決定することによる、特定のIVT方法によって産生されたRNA組成物、例えばIVT RNAの純度の決定を企図している。このようにして、代替システムにおける高度に定性的及び/または定量的な検出方法を介して、間接的に純度を決定してもよく、この純度決定は、生成システムにおいて生成されるIVT RNAの純度に相関する。さらに、再構成または代替型アッセイを使用して、所与のRNA調製物中の混入物の量及び同一性を間接的に決定してもよい。ある場合には、低レベルの混入物またはRNA転写物と類似の構造特性を有する混入物を検出することは困難である場合がある。再構成系を用いて、伝統的なIVT法によって生成されたRNA組成物による生物学的活性と比較して、本発明のRNA調製物から欠けている推定混入物を加えることによって、免疫刺激活性、例えば、混入物に関連するサイトカイン活性などの生物学的活性を試験してもよい。本発明の純粋なRNA調製物と推定上の混入物との再構成は、純粋なRNA調製物中に混入物がないことを実証し得る。
【0124】
さらに、モデルRNA(サロゲートmRNA)を使用してもよい。IVT RNAを生成するために使用されたのと同じIVT条件下で、モデルRNAをコードするDNA鋳型からモデルRNAが生成される。本明細書で使用されるモデルRNAまたはサロゲートmRNAは、5’UTR、3’UTR、及びポリAテールのみからなる非コードRNA転写物を指す。ショートモデルRNAもまた使用されてもよい。ショートモデルRNAは、モデルRNAのより短いバージョンである(5’UTRと、より短いポリAテール(A20)のみで構成されている)。モデルRNAの量は組成物中の逆相補体転写産物またはサイトカイン誘導種の量を示すので、組成物中の逆相補体転写産物またはサイトカイン誘導種の量は、LC−MSまたは他の分析方法によって決定される。アッセイで検出された混入物の量及び性質は、全長mRNAを生成するために同一のIVT反応条件を用いて得られるであろう混入物の量及び性質と相関しており、これを予測する。
【0125】
本発明のRNA調製物は高品質の調製物である。いくつかの実施形態では、IVTプロセスから直接得られるRNA調製物は、さらなる精製なしに研究用試薬または診断用もしくは治療用試薬として直接使用され得る。いくつかの実施形態では、RNA調製物は、1つ以上の精製ステップに供され得る。例えば、RNA調製物は、オリゴdTクロマトグラフィーを用いて短縮型RNA、DNA鋳型、及び残留酵素から精製してもよい。例示的なオリゴdTクロマトグラフィーアッセイは、固相抽出真空マニホールド上の5mLのSPEカラムに20merのポリチミジンセファロース(3ml)を充填することを包含する。RNA転写物をカラムに加え、続いて洗浄及び溶出する。オリゴdT精製RNA転写物を、水中に透析濾過し、100kDa MWCO Amiconスピンフィルター(EMD Millipore)を使用して1.22mg/mLに濃縮する。このRNAを回収し、その濃度をBioanalyzerゲル電気泳動を用いて決定してもよい。
【0126】
試料の純度及び品質を決定するためのRNA調製物の分析は、キャッピングの前または後に実施してもよい。あるいは、分析は、ポリA捕捉に基づくアフィニティー精製の前に行っても、または後に行ってもよい。別の実施形態では、分析は、任意選択の追加の精製ステップ、例えば、陰イオン交換クロマトグラフィーなどの前または後に行ってもよい。
【0127】
質量分析は、混合物中の化合物を同定し、特徴付けるための広範囲の技術を包含する。試料を分析してその組成を決定するために、異なる種類の質量分析に基づくアプローチを使用してもよい。質量分析法は、イオン化プロセスによって、分析されている試料を複数のイオンに変換することを包含する。得られた各イオンは、力場に置かれると、その加速がその質量電荷比に反比例するように軌道に沿ってその力場内を移動する。このようにして分子の質量スペクトルが生成され、これは前駆イオンの相対量対それらの質量電荷比のプロットを表示する。タンデム質量分析などの質量分析の次の段階が、前駆イオンをより高いエネルギーにさらすことによって試料をさらに分析するために使用されるとき、各前駆イオンは、生成物イオンと呼ばれる断片への解離を受ける場合がある。得られた断片は、それらの前駆体分子の性質及び構造に関する情報を提供するために使用され得る。
【0128】
MALDI−TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間)質量分析法は、光吸収材料のマトリックスにそれらを埋め込んでその分子の重量を、それがイオン化され、揮発によって飛行するようになるにつれて測定することによって、低揮発性の低イオン化分析物または容易に断片化される分析物の質量の分光測定を提供する。電場と磁場の組み合わせを試料に印加して、分子の個々の質量及び電荷に応じてイオン化材料を移動させる。Kosterらに発行された米国特許第6,043,031号は、MALDI−TOF及び他の質量分析法を用いて、DNA内の一塩基変異を同定するための例示的な方法を記載している。
【0129】
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、バイオポリマーの特性に基づいて、バイオポリマーの分析的分離に使用される。HPLCを使用して、サイズ電荷及び塩基組成に基づいて核酸配列を分離してもよい。別の核酸と1塩基対の差がある核酸配列が、HPLCを用いて分離され得る。したがって、単一のヌクレオチドを除いて同一である核酸試料は、特定の核酸断片の存在または非存在を同定するために、HPLCを用いて示差的に分離され得る。好ましくは、HPLCは、HPLC−UVである。
【0130】
いくつかの実施形態では、RNAは、dsRNaseステップを使用せずに精製され得る。例えば、RNaseIIIが使用されないことがある。組成物は、逆相クロマトグラフィー精製ステップを使用しないプロセスによって生成してもよい。一実施形態では、RNA組成物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製を使用することなく生成され得る。従って、この組成物は、伝統的な精製プロセスと関連する残留有機試薬または混入物を含まない。
【0131】
場合によっては、本発明の方法は、RNA試料の純度を決定するために使用される。本明細書で使用される「純粋な」という用語は、無関係の核酸の存在が低減または排除される、すなわち、RNA断片を含む不純物または混入物が低減または排除されるような標的核酸活性剤のみを有する材料を指す。例えば、精製されたRNA試料は、1つ以上の標的または試験核酸を含むが、記載された方法によって検出可能な他の核酸を実質的に含まないことが好ましい。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、材料の分析試験の文脈において操作上使用される。好ましくは、精製された材料は、本明細書に記載の逆相補体転写産物及び/またはサイトカイン誘導性RNA混入物を含む1つ以上の不純物または混入物を実質的に含まず、例えば、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、または97%の純度である;より好ましくは少なくとも98%純粋、そしてさらにより好ましくは少なくとも99%純粋である。いくつかの実施形態では、純粋なRNA試料は、100%の標的または試験RNAからなり、他のRNAを含まない。
【0132】
いくつかの実施形態では、キャピラリー電気泳動(CE)を用いてRNAを分離する。試料が水性緩衝液などの電解質溶液を通って毛細管を介して目的のバイアルに流れるように、試料に電場を印加する。この分析物は、電気泳動移動度に基づいて示差的に移動し、そしてキャピラリーの出口端で検出される。出力データが記録され、その後エレクトロフェログラムとして表示される。試料成分の同一性を決定するために、これを質量分析と組み合わせて使用してもよい。キャピラリー電気泳動システムは、3つ程度の小さい塩基対の差を検出し得る、FRAGMENT ANALYZER(商標)で完全に自動化されている。
【0133】
いくつかの実施形態では、フラグメントアナライザー(FA)を用いてRNAを定量及び精製してもよい。フラグメントアナライザーはキャピラリー電気泳動及びHPLCを自動化する。
【0134】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、mRNA分子である。本明細書中で使用される場合、「メッセンジャーRNA」(mRNA)という用語は、少なくとも1つの目的のペプチドまたはポリペプチドをコードし、インビトロ、インビボ、インサイチュまたはエキソビボで、コードされた目的のペプチドポリペプチドを生成するために翻訳され得る任意のポリヌクレオチドを指す。mRNAは、RNAポリメラーゼ酵素によってDNA配列から転写され、そしてリボソームと相互作用して、DNAによってコードされる遺伝情報を合成する。一般に、mRNAは、2つのサブクラスに分類される:プレmRNA及び成熟mRNA。前駆体mRNA(プレmRNA)は、RNAポリメラーゼによって転写されたが、いかなる転写後プロセシング(例えば、5’キャッピング、スプライシング、編集、及びポリアデニル化)も受けていないmRNAである。成熟mRNAは、転写後プロセシング(例えば、イントロンを除去するためにスプライスされそしてポリアデニル化される)を介して修飾されており、そしてリボソームと相互作用してタンパク質合成を行い得る。mRNAは、様々な方法によって組織または細胞から単離してもよい。例えば、全RNA抽出を、細胞または細胞溶解物に対して実施してもよく、得られた抽出全RNAを(例えば、オリゴdTビーズを含むカラム上で)精製して抽出mRNAを得てもよい。
【0135】
あるいは、mRNAは、例えばインビトロ転写(IVT)によって、無細胞環境で合成してもよい。本明細書で使用される場合「インビトロ転写鋳型」とは、メッセンジャーRNA(mRNA)の生成のためのIVT反応での使用に適したデオキシリボ核酸(DNA)を指す。いくつかの実施形態では、IVT鋳型は、5’非翻訳領域をコードし、オープンリーディングフレームを含み、そして3’非翻訳領域及びポリAテールをコードする。IVT鋳型の特定のヌクレオチド配列組成及び長さは、その鋳型によってコードされる目的のmRNAに依存するであろう。
【0136】
「5’非翻訳領域(UTR)」とは、タンパク質もペプチドもコードしない開始コドン(すなわち、リボソームによって翻訳されるmRNA転写物の最初のコドン)からすぐ上流(すなわち、5’)にあるmRNAの領域を指す。
【0137】
「3’非翻訳領域(UTR)」とは、タンパク質もペプチドもコードしない、終止コドン(すなわち、翻訳の終結をシグナル伝達するmRNA転写物のコドン)のすぐ下流(すなわち、3’)であるmRNAの領域を指す。
【0138】
「オープンリーディングフレーム」とは、開始コドン(例えば、メチオニン(ATG))で始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAGまたはTGA)で終わり、タンパク質またはペプチドをコードする、一続きの連続的なDNAである。
【0139】
「ポリAテール」とは、複数の連続したアデノシン一リン酸を含有する3’UTRから下流、例えばすぐ下流(すなわち3’)であるmRNAの領域である。ポリAテールは、10〜300個のアデノシン一リン酸を含んでもよい。例えば、ポリAテールは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、550、または600のアデノシン一リン酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリAテールは、50〜250個のアデノシン一リン酸を含む。関連する生物学的設定(例えば、細胞内、インビボなど)では、ポリ(A)テールは、例えば、細胞質内で、酵素分解からmRNAを保護するように機能し、ならびに転写終結、核からのmRNAの輸送、及び翻訳を補助する。
【0140】
したがって、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(a)目的のポリペプチドをコードする連結ヌクレオチドの第1の領域;(b)5’非翻訳領域(UTR)を含む、上記第1の領域に対して5’に位置する第1の末端領域;(c)上記第1の領域に対して3’に位置する第2の末端領域;及び(d)テーリング領域を含む。ポリヌクレオチド及び核酸という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0141】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、約1〜約3,000、10〜約3,000、20〜約3,000、30〜約3,000、40〜約3,000、50〜約3,000、100〜約3,000、200〜約3,000ヌクレオチド(例えば、200〜500、200〜1,000、200〜1,500、200〜3,000、500〜1,000、500〜1,500、500〜2,000、500〜3,000、1000〜1,500、1,000〜2,000、1,000〜3,000、1,500〜3,000、及び2,000〜3,000)を含む。
【0142】
IVT RNAはRNAとして機能し得るが、それらの機能的及び/または構造的設計の特徴において野生型RNAとは区別され、これは核酸ベースの治療剤を用いた効果的なポリペプチド生成の既存の問題を克服するのに役立つ。例えば、IVT RNAは、構造的に修飾されていても化学的に修飾されていてもよい。本明細書中で使用される場合、「構造的」修飾とは、ヌクレオチド自体に対する有意な化学修飾なしに、2つ以上の連結ヌクレオチドが、ポリヌクレオチド中に挿入、欠失、重複、反転または無作為化される修飾である。化学結合は必然的に破壊され、構造的修飾をもたらすように再形成されるので、構造的修飾は、化学的性質のものであり、したがって化学的修飾である。しかしながら、構造修飾は、異なるヌクレオチド配列をもたらすであろう。例えば、ポリヌクレオチド「ATCG」は、「AT−5meC−G」に化学修飾されていてもよい。同じポリヌクレオチドを「ATCG」から「ATCCCG」に構造的に修飾してもよい。ここでは、ジヌクレオチド「CC」が挿入されており、その結果、ポリヌクレオチドに対する構造的修飾がもたらされる。
【0143】
本明細書に記載のポリヌクレオチドをコードするcDNAは、インビトロ転写(IVT)系を用いて転写してもよい。この系は典型的には転写緩衝液、ヌクレオチド三リン酸(NTP)、RNase阻害剤及びポリメラーゼを含む。NTPは、自家製であってもよく、供給者から選択されてもよく、または本明細書に記載のように合成されてもよい。NTPは、限定するものではないが、天然及び非天然(修飾)NTPを含む本明細書に記載のNTPから選択され得る。ポリメラーゼは、限定するものではないが、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ、及び突然変異ポリメラーゼ(限定するものではないが、ポリヌクレオチド(例えば、修飾核酸)を取り込み得るポリメラーゼなど)から選択されてもよい。
【0144】
化学修飾RNA
したがって、例示的な態様では、本発明のポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾を含んでもよい。このポリヌクレオチドは、天然のまたは天然に存在するポリヌクレオチドからの種々の置換及び/または挿入を含み得る。本明細書中でポリヌクレオチドにおいて使用される場合、「化学修飾」または必要に応じて「化学修飾された」という用語は、位置、パターン、百分率または母集団のうちの1つ以上における、アデノシン(A)、グアノシン(G)、ウリジン(U)、チミジン(T)またはシチジン(C)リボ−またはデオキシリボヌクレオシドに関する修飾を指す。一般に、本明細書において、これらの用語は、天然に存在する5’末端RNAキャップ部分におけるリボヌクレオチド修飾を指すことを意図していない。
【0145】
この修飾は、様々な異なる修飾であり得る。いくつかの実施形態では、この領域は、1つ、2つ、またはそれ以上(任意選択的に異なる)のヌクレオシドまたはヌクレオチド修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞に導入された修飾ポリヌクレオチドは、未修飾ポリヌクレオチドと比較して、細胞内で分解の低下を示し得る。
【0146】
ポリヌクレオチドの修飾としては、限定するものではないが、以下に詳細に列挙される修飾が挙げられる。ポリヌクレオチドは、天然に存在するか、天然に存在しない修飾を含んでもよく、またはポリヌクレオチドは、天然に存在する修飾及び天然に存在しない修飾の両方を含んでもよい。
【0147】
本発明のポリヌクレオチドは、糖、核酸塩基、またはヌクレオチド間結合に対するもの(例えば、結合ホスフェートに対するもの/ホスホジエステル結合に対するもの/ホスホジエステル骨格に対するもの)などの任意の有用な修飾を含んでもよい。ピリミジン核酸塩基の1つ以上の原子は、任意選択的に置換されたアミノ、任意選択的に置換されたチオール、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、メチルまたはエチル)、またはハロ(例えば、クロロまたはフルオロ)で置き換えられても、または置換されてもよい。特定の実施形態では、修飾(例えば、1つ以上の修飾)が、糖及びヌクレオチド間結合のそれぞれに存在する。本発明による修飾は、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)またはそれらのハイブリッドへのリボ核酸(RNA)の修飾であってもよい。追加の修飾が本明細書に記載される。
【0148】
非天然修飾ヌクレオチドを、鎖の合成中または合成後にポリヌクレオチドに導入して、所望の機能または特性を達成してもよい。修飾は、ヌクレオチド間系統、プリンもしくはピリミジン塩基、または糖に対するものであってもよい。修飾は鎖の末端または鎖の他の場所に導入されてもよい(化学合成またはポリメラーゼ酵素によって)。ポリヌクレオチドのいずれの領域も化学的に修飾されてもよい。
【0149】
本開示は、未修飾または修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドならびにそれらの組み合わせからなるポリヌクレオチドを提供する。本明細書に記載の場合、「ヌクレオシド」とは、有機塩基(例えばプリンまたはピリミジン)またはその誘導体(本明細書において「核酸塩基」とも呼ばれる)と組み合わせて糖分子(例えば、ペントースまたはリボース)またはその誘導体を含む化合物として定義される。本明細書中に記載される場合、「ヌクレオチド」とは、リン酸基を含むヌクレオシドとして定義される。修飾ヌクレオチドは、本明細書中に記載されるように、任意の有用な方法によって(例えば、化学的、酵素的、または組換え的に、1つ以上の修飾ヌクレオチドまたは非天然ヌクレオチドを含むように)合成され得る。このポリヌクレオチドは、連結ヌクレオチドの領域(複数可)を含んでもよい。そのような領域は、可変主鎖結合を有してもよい。この結合は、標準的なホスホジエステル結合であってもよく、その場合、ポリヌクレオチドはヌクレオチドの領域を含むであろう。塩基/糖またはリンカーの任意の組み合わせを本発明のポリヌクレオチドに組み込んでもよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明のRNAは、1つ以上の前述の修飾核酸塩基の組み合わせ(例えば、2つ、3つまたは4つの前述の修飾核酸塩基の組み合わせ)を含む。
【0151】
本発明において有用である核酸の修飾としては、限定するものではないが、以下の表中の修飾が挙げられる。
【0152】
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【表A-4】
【表A-5】
【表A-6】
【表A-7】
【表A-8】
【表A-9】
【表A-10】
【表A-11】
【表A-12】
【表A-13】
【表A-14】
【表A-15】
【表A-16】
【表A-17】
【表A-18】
【表A-19】
【表A-20】
【表A-21】
【表A-22】
【表A-23】
【表A-24】
【表A-25】
【表A-26】
【表A-27】
【0153】
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、シュードウリジン(Ψ)、N1−メチルシュードウリジン(m
1Ψ)、2−チオウリジン、4’−チオウリジン、5−メチルシトシン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、2−チオ−5−アザ−ウリジン、2−チオ−ジヒドロシュードウリジン、2−チオ−ジヒドロウリジン、2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、4−メトキシ−シュードウリジン、4−チオ−1−メチル−シュードウリジン、4−チオ−シュードウリジン、5−アザ−ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5−メトキシウリジン、または2’−O−メチルウリジンである。いくつかの実施形態では、本発明のRNAは、1つ以上の前述の修飾核酸塩基の組み合わせ(例えば、2つ、3つまたは4つの前述の修飾核酸塩基の組み合わせ)を含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、1−メチル−シュードウリジン(m
1Ψ)、5−メトキシ−ウリジン(mo
5U)、5−メチル−シチジン(m
5C)、シュードウリジン(Ψ)、α−チオ−グアノシン、またはα−チオ−アデノシンである。いくつかの実施形態では、本発明のmRNAは、1つ以上の前述の修飾核酸塩基の組み合わせ(例えば、2つ、3つまたは4つの前述の修飾核酸塩基の組み合わせ)を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、RNAは、シュードウリジン(Ψ)及び5−メチル−シチジン(m
5C)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは1−メチル−シュードウリジン(m
1Ψ)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、1−メチル−シュードウリジン(m
1Ψ)及び5−メチル−シチジン(m
5C)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、2−チオウリジン(s
2U)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、2−チオウリジン及び5−メチル−シチジン(m
5C)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、5−メトキシ−ウリジン(mo
5U)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、5−メトキシ−ウリジン(mo
5U)及び5−メチル−シチジン(m
5C)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、2’−O−メチルウリジンを含む。いくつかの実施形態では、RNAは、2’−O−メチルウリジン及び5−メチル−シチジン(m
5C)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、N6−メチル−アデノシン(m
6A)を含む。いくつかの実施形態では、RNAはN6−メチル−アデノシン(m
6A)及び5−メチル−シチジン(m
5C)を含む。
【0156】
特定の実施形態では、本発明のRNAは、特定の修飾のために均一に修飾されている(すなわち、完全に修飾されている、全配列にわたって修飾されている)。例えば、RNAは、5−メチル−シチジン(m
5C)で均一に修飾されてもよく、これは、RNA配列中の全てのシトシン残基が、5−メチル−シチジン(m
5C)で置換されることを意味する。同様に、本発明のRNAは、配列中に存在する任意の種類のヌクレオチド残基について、上記のような修飾残基と交換することによって均一に修飾されてもよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は修飾シトシンである。修飾シトシンを有する例示的な核酸塩基、ヌクレオシド、及びヌクレオチドとしては、N4−アセチル−シチジン(ac4C)、5−メチル−シチジン(m5C)、5−ハロ−シチジン(例えば、5−ヨード−シチジン)、5−ヒドロキシメチル−シチジン(hm5C)、1−メチル−シュードイソシチジン、2−チオ−シチジン(s2C)、2−チオ−5−メチル−シチジンが挙げられる。
【0158】
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾ウリジンである。修飾ウリジンを有する例示的な核酸塩基、ヌクレオシド、及びヌクレオチドとしては、5−シアノウリジンまたは4’−チオウリジンが挙げられる。
【0159】
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾アデニンである。修飾アデニンを有する例示的な核酸塩基、ヌクレオシド、及びヌクレオチドとしては、7−デアザ−アデニン、1−メチル−アデノシン(m1A)、2−メチル−アデニン(m2A)、N6−メチル−アデノシン(m6A)、及び2,6−ジアミノプリンが含まれる。
【0160】
いくつかの実施形態では、修飾核酸塩基は、修飾グアニンである。修飾グアニンを有する例示的な核酸塩基、ヌクレオシド、及びヌクレオチドとしては、イノシン(I)、1−メチル−イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7−デアザ−グアノシン、7−シアノ−7−デアザ−グアノシン(プレQ0)、7−アミノメチル−7−デアザ−グアノシン(プレQ1)、7−メチル−グアノシン(m7G)、1−メチル−グアノシン(m1G)、8−オキソ−グアノシン、7−メチル−8−オキソ−グアノシンが挙げられる。
【0161】
一実施形態では、IVTポリヌクレオチドなどの本発明のポリヌクレオチドは、全てまたは任意の同じヌクレオチド型の均一の化学修飾または全てまたは任意の同じヌクレオチド型において同じ出発修飾の単なる下向き滴定によって生じる修飾の集団、または全てのウリジンがウリジン類似体、例えばシュードウリジンで置換されている場合のように、任意の同じヌクレオチド型であるが、ランダムに組み込まれた化学修飾の測定パーセントを有してもよい。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド全体にわたって同じヌクレオチド型の2つ、3つ、または4つの均一な化学修飾を有していてもよい(全てのウリジン及び全てのシトシンなどが同様に修飾される)。本発明のポリヌクレオチドが化学的及び/または構造的に修飾されている場合、そのポリヌクレオチドは「修飾ポリヌクレオチド」と呼ばれてもよい。
【0162】
一般に、目的のポリペプチドをコードするIVTポリヌクレオチド(例えば、IVT RNA)の長さは、約30ヌクレオチドより長い(例えば、少なくとも約35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000またはそれを超え、最大100,000ヌクレオチド以下)。
【0163】
いくつかの実施形態では、IVTポリヌクレオチド(例えば、IVT RNA)は、約30〜約100,000ヌクレオチド(例えば、30〜50、30〜100、30〜250、30〜500、30〜1,000、30〜1,500、30〜3,000、30〜5,000、30〜7,000、30〜10,000、30〜25,000、30〜50,000、30〜70,000、100〜250、100〜500、100〜1,000、100〜1,500、100〜3,000、100〜5,000、100〜7,000、100〜10,000、100〜25,000、100〜50,000、100〜70,000、100〜100,000、500〜1,000、500〜1,500、500〜2,000、500〜3,000、500〜5,000、500〜7,000、500〜10,000、500〜25,000、500〜50,000、500〜70,000、500〜100,000、1,000〜1,500、1,000〜2,000、1,000〜3,000、1,000〜5,000、1,000〜7,000、1,000〜10,000、1,000〜25,000、1,000〜50,000、1,000〜70,000、1,000〜100,000、1,500〜3,000、1,500〜5,000、1,500〜7,000、1,500〜10,000、1,500〜25,000、1,500〜50,000、1,500〜70,000、1,500〜100,000、2,000〜3,000、2,000〜5,000、2,000〜7,000、2,000〜10,000、2,000〜25,000、2,000〜50,000、2,000〜70,000、及び2,000〜100,000)を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸は、キメラポリヌクレオチドである。キメラポリヌクレオチドまたはRNA構築物は、IVTポリヌクレオチドと同様のモジュール構造を維持するが、キメラポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドに有用な特性を付与する1つ以上の構造的及び/または化学的修飾または改変を含む。したがって、本発明の修飾RNA分子であるキメラポリヌクレオチドは、「キメラ修飾RNA」または「キメラRNA」と呼ばれる。キメラポリヌクレオチドは、サイズ及び/または化学修飾パターン、化学修飾位置、化学修飾パーセントまたは化学修飾集団及びこれらの組み合わせが異なる部分または領域を有する。
【0165】
目的のポリペプチド
本発明のいくつかの実施形態では、本発明は、以下のうちの1つ以上である:mRNA、修飾mRNA、非修飾RNA、lncRNA、自己複製RNA、環状RNA、CRISPRガイドRNAなど。この実施形態では、RNAは、mRNAまたは自己複製RNAなどのポリペプチドをコードするRNAである。
【0166】
本発明の例示的な態様では、高純度のRNA組成物を使用して目的のポリペプチド、例えば、治療用タンパク質、ワクチン抗原などを生成する。いくつかの実施形態では、この核酸は治療用RNAである。本明細書中で使用される場合、「治療用mRNA」という用語は、治療用タンパク質をコードするmRNAを指す。治療用タンパク質は、疾患を処置するため、または疾患の徴候及び症状を改善するために、宿主細胞または対象において様々な効果を媒介する。例えば、治療用タンパク質は、欠損または異常であるタンパク質を置換し、内因性タンパク質の機能を増強し、細胞に新規機能を提供する(例えば、内因性細胞活性を阻害もしくは活性化する)か、または別の治療用化合物(例えば、抗体−薬物コンジュゲート)の送達剤として作用し得る。治療用mRNAは、以下の疾患及び状態の処置に有用であり得る:細菌感染症、ウイルス感染症、寄生虫感染症、細胞増殖障害、遺伝的障害、及び自己免疫障害。
【0167】
したがって、本発明のポリヌクレオチドは、治療剤または予防剤として使用してもよい。それらは医学分野での使用のために提供されている。例えば、本明細書に記載のRNAを対象に投与してもよく、ここでポリヌクレオチドはインビボで翻訳されて治療用ペプチドを生成する。ヒト及び他の哺乳動物における疾患または状態の診断、処置または予防のための組成物、方法、キット、及び試薬が提供される。本発明の活性治療剤としては、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有する細胞、またはポリヌクレオチドから翻訳されたポリペプチドが挙げられる。
【0168】
ポリヌクレオチドは、細胞、組織または生物体において翻訳のために誘導され得る。そのような翻訳は、インビボであっても、エクスビボであっても、培養物中であっても、またはインビトロであってもよい。細胞、組織または生物体は、RNAポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有する有効量の組成物と接触させられる。
【0169】
ポリヌクレオチドの「有効量」とは、少なくとも部分的には、標的組織、標的細胞型、投与手段、ポリヌクレオチドの物理的特性(例えば、サイズ及び修飾ヌクレオチドの程度)ならびにポリヌクレオチドの他の成分及び他の決定基に基づいて提供される。一般に、有効量のポリヌクレオチドは、好ましくは同じペプチドをコードする対応する未修飾ポリヌクレオチドを含有する組成物よりも効率的に、細胞内で誘導されるかまたは促進されたペプチド生成を提供する。ペプチド産生の増大は、細胞トランスフェクションの増大、ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳の増大、核酸分解の減少(例えば、修飾ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳の持続時間の増大により示される)、または宿主細胞におけるペプチド産生の変化により実証され得る。
【0170】
本発明のRNAは、限定するものではないが、生物製剤、抗体、ワクチン、治療用タンパク質またはペプチド、細胞透過性ペプチド、分泌タンパク質、原形質膜タンパク質、細胞質または細胞骨格タンパク質、細胞内膜結合タンパク質、核タンパク質、ヒト疾患に関連するタンパク質、標的化部分、または治療適応が同定されていないが、それにもかかわらず研究及び発見の分野において有用性があるヒトゲノムによってコードされるタンパク質を含む任意のいくつかの標的カテゴリーから選択される目的のポリペプチドをコードするように設計され得る。「治療用タンパク質」とは、細胞に投与したときに治療的、診断的、及び/または予防的効果を有し、かつ/または所望の生物学的効果及び/または薬理学的効果を引き出すタンパク質を指す。
【0171】
本明細書中に開示されるRNAは、1つ以上の生物製剤をコードし得る。本明細書中で使用される場合、「生物学的」とは、本明細書中に提供される方法によって産生され、そして重篤なまたは生命を脅かす疾患または病状を処置、治癒、軽減、予防または診断するために使用され得るポリペプチドベースの分子である。本発明による生物製剤としては、限定するものではないが、アレルギー性抽出物(例えば、アレルギー注射及び試験用)、血液成分、遺伝子治療製品、移植に使用されるヒト組織または細胞製品、ワクチン、モノクローナル抗体、サイトカイン、増殖因子、酵素、血栓溶解薬、及び免疫調節薬がとりわけ挙げられる。
【0172】
本発明によれば、現在市販されているかまたは開発中の1つ以上の生物製剤は、本発明のRNAによってコードされ得る。理論に拘束されることを望まないが、本発明のRNAへの公知の生物製剤のコードポリヌクレオチドの組み込みは、少なくとも部分的には、構築物設計の特異性、純度、及び/または選択性に起因して改善された治療効果をもたらすと考えられる。
【0173】
本明細書中に開示されるRNAは、1つ以上の抗体またはその断片をコードし得る。「抗体」という用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、及び一本鎖分子)、ならびに抗体断片を含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」と互換的に用いられる。本明細書中で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る、天然に存在する突然変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)の可能性以外は同一である。モノクローナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原部位に対して向けられている。
【0174】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、具体的には、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同であり、ただし、鎖(複数可)の残りの部分は、それらが所望の生物活性を示す限り、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体の断片中の対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含む。本明細書において目的のキメラ抗体としては、限定するものではないが、非ヒト霊長類由来の可変ドメイン抗原結合配列(例えば、Old World Monkey、Apeなど)及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体が挙げられる。
【0175】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合及び/または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)
2及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体;ナノボディ;一本鎖抗体分子及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0176】
任意の5つのクラスの免疫グロブリン、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ及びミューと呼ばれる重鎖を含む、本発明のRNAによってコードされ得る。サブクラスである、ガンマ及びミューをコードするポリヌクレオチド配列も含まれる。それ故、抗体の任意のサブクラスが、部分的または全体的にコードされ得、そして以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を含む。本発明によれば、現在市販されているかまたは開発中の1つ以上の抗体または断片は、本発明のRNAによってコードされ得る。
【0177】
本発明のRNAにコードされた抗体は、限定するものではないが、血液、心血管、CNS、中毒(抗毒素を含む)、皮膚科、内分泌学、胃腸、医用イメージング、筋骨格、腫瘍学、免疫学、呼吸器系、感覚系及び抗感染症などの多くの治療分野における状態または疾患の処置に利用され得る。
【0178】
一実施形態では、本明細書に開示されるRNAは、モノクローナル抗体及び/またはその変異体をコードし得る。抗体の変異体としてはまた、限定するものではないが、置換変異体、保存的アミノ酸置換、挿入変異体、欠失変異体及び/または共有結合誘導体も挙げられる。一実施形態では、本明細書に開示のRNAは、免疫グロブリンFc領域をコードし得る。別の実施形態では、RNAは、変異免疫グロブリンFc領域をコードし得る。
【0179】
本明細書中に開示されるmRNAは、1つ以上のワクチン抗原をコードし得る。本明細書中で使用される場合、「ワクチン抗原」とは、特定の疾患または感染因子に対する免疫を向上させる生物学的調製物である。本発明によれば、現在市販されているかまたは開発中の1つ以上のワクチン抗原は、本発明のRNAによってコードされ得る。
【0180】
本発明のRNA中にコードされたワクチン抗原は、がん、アレルギー及び感染性疾患を含むがこれらに限定されない多くの治療分野における状態または疾患を治療するために利用してもよい。いくつかの実施形態では、がんワクチンは、コンカテマーもしくはペプチドエピトープをコードする個々のRNAまたはそれらの組み合わせの形態の個別化されたがんワクチンであってもよい。
【0181】
本発明のRNAは、1つ以上の抗菌ペプチド(AMP)または抗ウイルスペプチド(AVP)をコードするように設計され得る。AMP及びAVPは、限定するものではないが、微生物、無脊椎動物、植物、両生類、鳥類、魚類、及び哺乳類などの広範囲の動物から単離及び記載されている。本明細書に記載の抗微生物ポリペプチドは、1つ以上のエンベロープウイルス(例えば、HIV、HCV)による細胞融合及び/またはウイルス侵入を遮断し得る。例えば、抗微生物ポリペプチドは、ある領域に対応する合成ペプチド、例えば、ウイルスエンベロープタンパク質、例えばHIV−1 gp120またはgp41の膜貫通サブユニットの少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60アミノ酸の連続配列を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。HIV−1 gp120またはgp41のアミノ酸及びヌクレオチド配列は、例えば、Kuiken et al.,(2008)“HIV Sequence Compendium,”Los Alamos National Laboratoryに記載されている。
【0182】
いくつかの実施形態では、抗微生物ポリペプチドは、対応するウイルスタンパク質配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、100%の配列相同性を有し得る。いくつかの実施形態では、抗微生物ポリペプチドは、対応するウイルスタンパク質配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列相同性を有し得る。
【0183】
他の実施形態では、抗微生物ポリペプチドは、ある領域に対応する合成ペプチド、例えば、キャプシド結合タンパク質の結合ドメインの少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60アミノ酸の連続配列を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、抗微生物ポリペプチドは、キャプシド結合タンパク質の対応する配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または100%の配列相同性を有し得る。
【0184】
本明細書に記載の抗菌ポリペプチドは、プロテアーゼ二量体化を遮断し、ウイルスプロタンパク質(例えば、HIV Gag−polプロセシング)の機能性タンパク質への切断を阻害し、それによって1つ以上のエンベロープウイルス(例えば、HIV、HCV)の放出を防止し得る。いくつかの実施形態では、抗微生物ポリペプチドは、対応するウイルスタンパク質配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、100%の配列相同性を有し得る。
【0185】
他の実施形態では、抗菌性ポリペプチドは、ある領域に対応する合成ペプチド、例えば、プロテアーゼ結合タンパク質の結合ドメインの少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60アミノ酸の連続配列を含んでもよいし、またはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、抗菌性ポリペプチドは、プロテアーゼ結合タンパク質の対応する配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、100%の配列相同性を有し得る。
【0186】
RNAワクチン抗原または抗菌ペプチドが処置し得る感染性疾患の非限定的な列挙を以下に示す:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、マイコバクテリア感染を引き起こすHIV、AIDS関連悪液質、AIDS関連サイトメガロウイルス感染、HIV関連腎症、脂肪異栄養症、AID関連クリプトコックス髄膜炎、AIDS関連好中球減少症、Pneumocysitis jiroveci(Pneumocystis carinii)感染症、AID関連トキソプラズマ症、A型、B型、C型、D型またはE型の肝炎、疱疹、帯状疱疹(水疱瘡)、風疹(風疹ウイルス)、黄熱病、デング熱など(フラビウイルス)、インフルエンザ(インフルエンザウイルス)、出血性感染症(マールブルグまたはエボラウイルス)、レジオネラ症などの細菌感染症(レジオネラ)、胃潰瘍(ヘリコバクター)、コレラ(ビブリオ))、E.coli感染、ブドウ球菌感染症、サルモネラ感染症またはレンサ球菌感染症、破傷風(破傷風菌)、原虫感染症(マラリア、睡眠病、リーシュマニア症、トキソプラズマ症、すなわち、プラスモジウム、トリパノソーマ、リーシュマニア及びトキソプラズマによって引き起こされる感染症)、ジフテリア、ハンセン病、はしか、百日咳、狂犬病、破傷風、結核、腸チフス、水痘、下痢感染症、例えば、アメーバ症、クロストリジウム・ディフィシレ関連下痢症(CDAD)、クリプトスポリジウム症、ジアルジア症、シクロスポリア症及びロタウイルス性胃腸炎、日本脳炎などの脳炎、西部ウマ脳炎及びダニ媒介脳炎(TBE)、真菌性皮膚病、例えば、カンジダ症、爪甲真菌症、頭部白癬/しらくも、体部白癬(Tinea corporis)/体部白癬(body ringworm)、頑癬/いんきんたむし、スポロトリクム症及び足白癬/水虫(Athlete’s foot)、髄膜炎、例えば、インフルエンザ菌b型(Hib)、髄膜炎、ウイルス性、髄膜炎菌感染症及び肺炎球菌感染症、軽視される熱帯病、例えば、アルゼンチン出血熱、リーシュマニア症、線形動物/線虫感染、ロスリバーウイルス感染症及び西ナイルウイルス(WNV)病、非HIV STD、例えば、トリコモナス症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、性感染性クラミジア疾患、軟性下疳及び梅毒、非特異的細菌感染、例えば、蜂窩織炎、ライム病、MRSA感染、シュードモナス、ブドウ球菌感染症、ボタン熱、レプトスピラ症、リウマチ熱、ボツリヌス中毒症、リケッチア症及び乳様突起炎、寄生生物感染、例えば、嚢虫症、エキノコックス症、吸虫(Trematode)/吸虫感染(Fluke infection)、旋毛虫症、バベシア症、牛バエ幼虫症、裂頭条虫症及びトリパノソーマ症、呼吸器感染症、例えば、アデノウイルス感染、アスペルギルス症感染、鳥(H5N1)インフルエンザ、インフルエンザ、RSV感染、重症急性呼吸器症候群(SARS)、副鼻腔炎、レジオネラ症、コクシジオイデス症及びブタ(H1N1)インフルエンザ、菌血症などの敗血症、敗血症/敗血性ショック、未熟児における敗血症、尿路感染症、例えば、膣感染症(細菌性)、膣感染症(真菌)及び淋菌感染、ウイルス性皮膚疾患、例えば、B19パルボウイルス感染症、いぼ、性器ヘルペス、口腔顔面ヘルペス、帯状疱疹、内耳感染症、胎児サイトメガロウイルス症候群、食物感染症、例えば、ブルセラ症(Brucella種)、Clostridium perfringens(Epsilon毒素)、E.coli O157:H7(Escherichia coli)、サルモネラ中毒(サルモネラ種)、Shingellosis(Shingella)、ビブリオ症及びリステリア症、バイオテロリズム及び潜在的な流行性疾患、例えば、エボラ出血熱、ラッサ熱、マールブルク出血熱、ペスト、炭疽ニパウイルス病、ハンタウイルス、痘瘡、鼻疽(Burkholderia mallei)、類鼻疽(Burkholderia pseudomallei)、Psittacosis(Chlamydia psittaci)、Q熱(Coxiella burnetii)、野兎病(Fancisella tularensis)、風疹、おたふく風邪及びポリオ。
【0187】
本明細書中に開示されるRNAは、1つ以上の確認された、または「試験中」の治療用タンパク質またはペプチドをコードし得る。本発明によれば、現在市販されているかまたは開発中の1つ以上の治療用タンパク質またはペプチドを、本発明のRNAによってコードしてもよい。本発明のRNAにコードされる治療用タンパク質及びペプチドは、限定するものではないが、血液、心血管、CNS、中毒(抗毒素を含む)、皮膚科、内分泌学、遺伝学、尿生殖器、胃腸、筋骨格系、腫瘍学、及び免疫学、呼吸器系、感覚系及び抗感染症などの、多くの治療分野における状態または疾患を処置するために利用され得る。
【0188】
本明細書中に開示されるRNAは、1つ以上の細胞透過性ポリペプチドをコードし得る。本明細書中で使用される場合、「細胞透過性ポリペプチド」またはCPPとは、分子の細胞内取り込みを促進し得るポリペプチドを指す。本発明の細胞透過性ポリペプチドは、1つ以上の検出可能な標識を含み得る。ポリペプチドは部分的に標識されていても全体にわたって完全に標識されていてもよい。RNAは、検出可能な標識を完全にコードしていても、部分的にコードしていても、または全くコードしていなくてもよい。細胞透過性ペプチドは、シグナル配列も含んでもよい。本明細書中で使用される場合、「シグナル配列」とは、タンパク質翻訳中に新生タンパク質のアミノ末端に結合したアミノ酸残基の配列を指す。シグナル配列は、細胞透過性ポリペプチドの分泌をシグナル伝達するために使用され得る。
【0189】
一実施形態では、RNAはまた、融合タンパク質もコードし得る。この融合タンパク質は、荷電タンパク質を治療用タンパク質に作動可能に連結することによって作製され得る。本明細書中で使用される場合、「作動可能に連結された」とは、細胞内に導入された場合、複合体の発現を可能にするように連結されている治療用タンパク質及び荷電タンパク質を指す。本明細書中で使用される場合、「荷電タンパク質」とは、正、負または全体的に中性の電荷を帯びたタンパク質を指す。好ましくは、治療用タンパク質は、融合タンパク質の形成において荷電タンパク質に共有結合され得る。全アミノ酸または表面アミノ酸に対する表面電荷の比は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8または0.9であってもよい。
【0190】
RNAによってコードされる細胞透過性ポリペプチドは、翻訳後に複合体を形成し得る。この複合体は、細胞透過性ポリペプチドに連結、例えば、共有結合した荷電タンパク質を含んでもよい。
【0191】
一実施形態では、細胞透過性ポリペプチドは、第1ドメイン及び第2ドメインを含んでもよい。第1ドメインは、過荷電ポリペプチドを含んでもよい。第2ドメインは、タンパク質結合パートナーを含んでもよい。本明細書中で使用される場合、「タンパク質結合パートナー」としては、限定するものではないが、抗体及びその機能的断片、足場タンパク質、またはペプチドが挙げられる。細胞透過性ポリペプチドは、タンパク質結合パートナーに対する細胞内結合パートナーをさらに含んでもよい。細胞透過性ポリペプチドは、RNAが導入され得る細胞から分泌され得る。細胞透過性ポリペプチドはまた、第1の細胞も透過し得る。
【0192】
一実施形態では、RNAは、タンパク質結合パートナーを含み得る細胞透過性ポリペプチドをコードし得る。タンパク質結合パートナーとしては、限定するものではないが、抗体、超荷電抗体または機能的断片が挙げられる。RNAは、タンパク質結合パートナーを含む細胞透過性ポリペプチドが導入されている細胞に導入されてもよい。
【0193】
ヒト及び他の真核細胞は、膜によって多くの機能的に異なる区画に細分される。各膜結合区画、すなわち細胞小器官は、細胞小器官の機能に必須の異なるタンパク質を含む。細胞は、タンパク質を特定の細胞小器官に向けるために、タンパク質内に位置するアミノ酸モチーフである「選別シグナル」を使用する。シグナル配列、シグナルペプチド、またはリーダー配列と呼ばれる1種の選別シグナルは、あるクラスのタンパク質を小胞体(ER)と呼ばれる細胞小器官へ向かわせる。
【0194】
シグナル配列によってERを標的とするタンパク質は、分泌タンパク質として細胞外空間に放出され得る。同様に、細胞膜上に存在するタンパク質もまた、タンパク質を膜に保持する「リンカー」のタンパク質分解的切断によって細胞外空間に分泌され得る。理論に束縛されることを望まないが、本発明の分子は、上記の細胞輸送を活用するために使用され得る。そのため、本発明のいくつかの実施形態では、分泌タンパク質を発現させるためにRNAが提供される。一実施形態では、これらは大量の貴重なヒト遺伝子産物の製造に使用してもよい。
【0195】
本発明のいくつかの実施形態では、RNAを提供して、原形質膜のタンパク質を発現する。
【0196】
本発明のいくつかの実施形態では、RNAを提供して、細胞質タンパク質または細胞骨格タンパク質を発現する。
【0197】
本発明のいくつかの実施形態では、RNAを提供して、細胞内膜結合タンパク質を発現する。
【0198】
本発明のいくつかの実施形態では、RNAを提供して、核タンパク質を発現する。
【0199】
本発明のいくつかの実施形態では、RNAを提供して、ヒトの疾患に関連するタンパク質を発現する。
【0200】
RNAは、天然もしくは天然に存在するRNAのヌクレオチド配列を有してもよく、または天然もしくは天然に存在するペプチドをコードするヌクレオチド配列を有してもよい。あるいは、RNAは、天然または天然に存在するRNAのヌクレオチド配列に対してあるパーセントの同一性を有するヌクレオチド配列を有してもよいし、またはmRNAは、天然または天然に存在するペプチドのヌクレオチド配列に対してあるパーセントの同一性を有するペプチドをコードするヌクレオチド配列を有してもよい。当技術分野において公知の「同一性」という用語は、配列を比較することによって決定される、2つ以上のペプチドの配列間の関係を指す。当技術分野において、同一性とはまた、2つ以上のアミノ酸残基のストリング間の一致の数によって決定されるように、ペプチド間の配列関連性の程度も意味する。同一性は、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって対処されるギャップアライメント(もしあれば)を有する2つ以上の配列のうち小さい方の間の同一の一致のパーセントを測定する。関連ペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算され得る。そのような方法としては、限定するものではないが、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M.Stockton Press,New York,1991;及びCarillo et al.,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)に記載される方法が挙げられる。
【0201】
したがって、いくつかの実施形態では、RNAによってコードされるペプチドは、参照ポリペプチドと同じまたは類似の活性を有し得るポリペプチド変異体である。あるいは、変異体は、参照ポリペプチドと比較して変更された活性(例えば、増大または減少)を有し得る。一般に、本発明の特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、本明細書に記載の及び当業者に公知の配列アラインメントプログラム及びパラメーターにより決定した場合、その特定の参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、ただし100%未満の配列同一性を有する。そのようなアラインメントのためのツールとしては、BLASTスイートのツール(Stephen F.Altschul,Thomas L.Madden,Alejandro A.Schaffer,Jinghui Zhang,Zheng Zhang,Webb Miller,andDavid J.Lipman(1997)and“Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389−3402.)が挙げられる。他のツールは、本明細書中に、具体的には「同一性」の定義において、記載されている。BLASTアルゴリズム中のデフォルトパラメーターとしては、例えば、期待閾値10、ワードサイズ28、一致/不一致スコア1、−2、ギャップコスト線形が挙げられる。例えばホモサピエンスのような、種特異的反復のための選択と同様に、任意のフィルターを適用してもよい。
【0202】
本発明によれば、ポリヌクレオチドは、目的の1つ以上のポリペプチドまたはその断片をコードするためのRNAを含む。目的のポリペプチドとしては、限定するものではないが、全ポリペプチド、複数のポリペプチドまたはポリペプチドの断片が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「目的のポリペプチド」という用語は、本発明の一次構築物中にコードされるように選択される任意のポリペプチドを指す。本明細書において用いる場合、「ポリペプチド」とは、最も多くの場合ペプチド結合によって一緒に結合される、アミノ酸残基のポリマー(天然または非天然)を意味する。この用語は、本明細書で使用する場合、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。いくつかの例では、コードされるポリペプチドは、約50アミノ酸より小さく、そのためこのポリペプチドは、ペプチドと呼ばれる。ポリペプチドがペプチドである場合、それは少なくとも約2、3、4、または少なくとも5アミノ酸残基の長さであろう。したがって、ポリペプチドとしては、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片、ならびに上述の他の等価物、変異体、及び類似体が挙げられる。ポリペプチドは、単一分子であってもよく、または二量体、三量体もしくは四量体のような多分子複合体であってもよい。それらはまた、抗体またはインスリンなどの単鎖または多鎖ポリペプチドを含んでもよく、そして会合または連結されてもよい。最も一般的なジスルフィド結合は、多鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用され得る。
【0203】
「ポリペプチド変異体」という用語は、それらのアミノ酸配列が天然または参照配列と異なる分子を指す。アミノ酸配列変異体は、天然または参照配列と比較して、アミノ酸配列内の特定の位置に置換、欠失、及び/または挿入を有し得る。通常、変異体は天然または参照配列に対して少なくとも約50%の同一性を有し、そして好ましくは、それらは天然または参照配列に対して少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%同一である。
【0204】
いくつかの実施形態では、「変異体模倣物」が提供される。本明細書において用いる場合、「変異体模倣物」という用語は、活性化配列を模倣するであろう1つ以上のアミノ酸を含むものである。例えば、グルタメートは、ホスホロ−トレオニン及び/またはホスホロ−セリンの模倣物として役立ち得る。あるいは、変異体模倣物は、不活性化をもたらし得る場合もあるし、または模倣物を含有する不活性化生成物をもたらす場合もあり、例えば、フェニルアラニンは、チロシンの不活性化置換として作用する場合もあり;またはアラニンは、セリンの不活性化置換として作用する場合もある。
【0205】
本発明は、変異体及び誘導体を含むポリペプチドベースのいくつかの種類の組成物を企図する。これらとしては、置換型、挿入型、欠失型及び共有結合型の変異体及び誘導体が挙げられる。「誘導体」という用語は、「変異体」という用語と同義で使用されるが、一般には、参照分子または出発分子に対して何らかの方法で修飾及び/または変更されている分子を指す。
【0206】
そのように、参照配列、特に本明細書に開示されているポリペプチド配列に関して置換、挿入及び/または付加、欠失及び共有結合修飾を含むポリペプチドをコードするRNAは、本発明の範囲内に含まれる。例えば、1以上のリジンのような配列タグまたはアミノ酸を、本発明のペプチド配列に(例えば、N末端またはC末端に)付加してもよい。配列タグは、ペプチド精製に使用しても、または局在化に使用してもよい。リジンは、ペプチドの溶解度を高めるため、またはビオチン化を可能にするために使用してもよい。あるいは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基は任意選択的に、短縮配列を提供するために欠失されてもよい。特定のアミノ酸(例えば、C末端残基またはN末端残基)は、代わりに、例えば、可溶性であるか、または固体に結合しているより大きな配列の一部としての配列の発現など、配列の用途に応じて欠失されてもよい。
【0207】
ポリペプチドに言及する場合の「置換変異体」とは、天然配列または出発配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その場所の同じ位置に異なるアミノ酸が挿入されているものである。置換は、分子中の1個のアミノ酸のみが置換されている場合は単一でもよく、または同一分子中で2個以上のアミノ酸が置換されている場合は複数であってもよい。
【0208】
本明細書中で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」という用語は、配列中に通常存在するアミノ酸の、同様のサイズ、電荷、または極性の異なるアミノ酸による置換をいう。保存的置換の例としては、イソロイシン、バリン及びロイシンなどの非極性(疎水性)残基の別の非極性残基への置換が挙げられる。同様に、保存的置換の例としては、アルギニンとリジンの間、グルタミンとアスパラギンの間、グリシンとセリンの間などの、ある極性(親水性)残基の別のものへの置換が挙げられる。さらに、リジン、アルギニンもしくはヒスチジンなどの塩基性残基の別のものへの置換、またはアスパラギン酸またはグルタミン酸などの1つの酸性残基の別の酸性残基への置換は、保存的置換のさらなる例である。非保存的置換の例としては、システイン、グルタミン、グルタミン酸もしくはリジンなどの極性(親水性)残基の代わりに、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸残基の置換及び/または非極性残基の場合は極性残基の置換が挙げられる。
【0209】
ポリペプチドに言及するときの「挿入変異体」とは、天然または出発配列中の特定の位置のアミノ酸に直接隣接して挿入された1つ以上のアミノ酸を有するものである。アミノ酸に「直接隣接する」とは、そのアミノ酸のアルファ−カルボキシ官能基またはアルファ−アミノ官能基のいずれかに結合していることを意味する。
【0210】
ポリペプチドに言及する場合の「欠失変異体」は、天然のまたは出発アミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸が除去されたものである。通常、欠失変異体は、分子の特定の領域において1つ以上のアミノ酸が欠失しているであろう。
【0211】
ポリペプチドに言及する場合の「共有結合誘導体」としては、有機タンパク質または非タンパク質誘導体誘導体化剤を用いた天然または出発タンパク質の修飾、及び/または翻訳後修飾が挙げられる。共有結合修飾は、伝統的には、タンパク質の標的アミノ酸残基を、選択された側鎖もしくは末端残基と反応し得る有機誘導体化剤と反応させることによって、または選択された組換え宿主細胞において機能する翻訳後修飾の機構を利用することによって導入される。得られた共有結合誘導体は、生物学的活性、イムノアッセイ、または組換え糖タンパク質の免疫親和性精製のための抗タンパク質抗体の調製に重要な残基を同定することに向けられたプログラムにおいて有用である。そのような修飾は、当該技術分野の範囲内であり、過度の実験をすることなく行われる。
【0212】
特定の翻訳後修飾は、発現されたポリペプチドに対する組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニル及びアスパラギニル残基はしばしば翻訳後に対応するグルタミル及びアスパルチル残基に脱アミド化される。あるいは、これらの残基は、弱酸性条件下で脱アミド化される。これらの残基のいずれの形態も、本発明に従って製造されたポリペプチド中に存在し得る。
【0213】
他の翻訳後修飾としては、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のアルファアミノ基のメチル化が挙げられる(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))。
【0214】
ポリペプチドに関して本明細書で使用される場合、「ドメイン」という用語は、1つ以上の同定可能な構造的または機能的特徴または特性(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用の部位として働く結合能力)を有するポリペプチドのモチーフを指す。
【0215】
ポリペプチドに関して本明細書中で使用される場合、アミノ酸ベースの実施形態に関する「部位」という用語は、「アミノ酸残基」及び「アミノ酸側鎖」と同義的に使用される。ある部位は、本発明のポリペプチドに基づく分子内で修飾、操作、変更、誘導体化または多様化され得るペプチドまたはポリペプチド内の位置を表す。
【0216】
本明細書中で使用される場合、「末端の」または「末端」という用語は、ポリペプチドに言及する場合、ペプチドまたはポリペプチドの末端を指す。そのような末端は、ペプチドまたはポリペプチドの最初または最後の部位だけに限定されず、末端領域にさらなるアミノ酸を含んでもよい。本発明のポリペプチドベースの分子は、N末端(遊離アミノ基(NH2)を有するアミノ酸で終結)及びC末端(遊離カルボキシル基(COOH)を有するアミノ酸で終結)の両方を有することを特徴とし得る。本発明のタンパク質は、いくつかの場合において、ジスルフィド結合によってまたは非共有結合力(マルチマー、オリゴマー)によって一緒にされた複数のポリペプチド鎖から構成されている。これらの種類のタンパク質は、複数のN末端及びC末端を有するであろう。あるいは、ポリペプチドの末端は、場合によっては有機複合体などの非ポリペプチド系部分で開始または終了するように修飾されてもよい。
【0217】
いずれかの特徴が本発明のRNAによってコードされるポリペプチドの所望の成分として同定または定義されると、これらの特徴のいくつかの操作及び/または修飾のいずれかを、移動、交換、反転、欠失、ランダム化または複製によって行ってもよい。さらに、特徴の操作が本発明の分子に対する修飾と同じ結果をもたらし得ることが理解される。例えば、全長未満の分子をコードするように核酸を修飾するのと同様に、ドメインを欠失させることを含む操作は、分子の長さの変更をもたらすであろう。
【0218】
修飾及び操作は、それだけに限らないが、部位特異的突然変異誘発などの当技術分野において公知の方法によって達成してもよい。次いで、得られた修飾分子を、本明細書に記載のものなどのインビトロまたはインビボアッセイ、または当技術分野で公知の他の任意の適切なスクリーニングアッセイを用いて活性について試験してもよい。
【0219】
製剤/薬学的組成物
本発明は、ポリヌクレオチド及びそれらの医薬組成物を、任意選択的に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて提供する。薬学的組成物は、任意選択的に1つ以上の追加の活性物質、例えば、治療的及び/または予防的に活性な物質を含んでもよい。本発明の薬学的組成物は、無菌であっても、及び/または発熱物質を含まないものであってもよい。製剤及び/または薬剤の製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に見出され得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト、ヒト患者または対象に投与される。本開示の目的のために、「活性成分」という句は、一般に、本明細書に記載されるように送達されるポリヌクレオチド、例えば、mRNAをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0221】
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知であるか、または今後開発される任意の方法によって調製される場合もある。一般に、そのような調製方法は、活性成分を賦形剤及び/または1つ以上の他の副成分と会合させ、次いで必要に応じて及び/または望ましい場合には生成物を、望ましい単回または複数回投与単位に分割、成形及び/または包装するステップを包含する。
【0222】
本発明による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の同一性、大きさ、及び/または状態に応じて、さらに組成物が投与される経路に応じて変化する。例として、この組成物は、0.1%〜100%、例えば0.5〜50%、1〜30%、5〜80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0223】
本発明のポリヌクレオチドを、1つ以上の賦形剤を用いて製剤化して、以下を行ってもよい:(1)安定性を増大する;(2)細胞トランスフェクションを増大させる;(3)持続放出または遅延放出を可能にする(例えばデポ製剤から);(4)生体内分布を変える(例えば、特定の組織または細胞型を標的とする);(5)インビボでコードされたタンパク質の翻訳を増大させるか;及び/または(6)インビボでコードされたタンパク質の放出プロファイルを変える。あらゆる溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、賦形剤などの従来の賦形剤に加えて、本発明の賦形剤としては、限定するものではないが、脂質、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コア−シェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドでトランスフェクトした細胞、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0224】
いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子は、1つ以上のリポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子を使用して製剤化してもよい。一実施形態では、核酸分子の医薬組成物は、脂質ナノ粒子(LNP)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子はMC3ベースの脂質ナノ粒子である。
【0225】
一実施形態では、ポリヌクレオチドは、脂質−ポリカチオン複合体に製剤化してもよい。脂質−ポリカチオン複合体の形成は、当該分野において公知の方法によって達成され得る。非限定的な例として、ポリカチオンとしては、限定するものではないが、ポリリジン、ポリオルニチン及び/またはポリアルギニンなどのカチオン性ペプチドまたはポリペプチドを含み得る。別の実施形態では、ポリヌクレオチドは、限定するものではないが、コレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)などの非カチオン性脂質をさらに含み得る、脂質−ポリカチオン複合体中に製剤化され得る。
【0226】
リポソーム製剤は、限定するものではないが、カチオン性脂質成分の選択、カチオン性脂質飽和度、PEG化の性質、全成分の比率、及びサイズなどの生物物理学的パラメーターの影響を受ける場合がある。Sempleら(Semple et al.Nature Biotech.2010 28:172−176:その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)による一例では、リポソーム製剤は、57.1%のカチオン性脂質、7.1%のジパルミトイルホスファチジルコリン、34.3%のコレステロール、及び1.4%のPEG−c−DMAから構成された。別の例として、カチオン性脂質の組成を変えることは、様々な抗原提示細胞にsiRNAをより効果的に送達し得る(Basha et al.Mol Ther.2011 19:2186−2200;その全体が参照により本明細書に組み入れられる)。いくつかの実施形態では、リポソーム製剤は、約35〜約45%のカチオン性脂質、約40%〜約50%のカチオン性脂質、約50%〜約60%のカチオン性脂質及び/または約55%〜約65%のカチオン性脂質を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リポソーム中の脂質対RNAの比は、約5:1〜約20:1、約10:1〜約25:1、約15:1〜約30:1、及び/または少なくとも30:1であってもよい。
【0227】
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)製剤中のPEGの比率を増減してもよいし、及び/またはPEG脂質の炭素鎖長をC14からC18に変更してLNP製剤の薬物動態及び/または生体分布を変えてもよい。非限定的な例として、LNP製剤は、約0.5%〜約3.0%、約1.0%〜約3.5%、約1.5%〜約4.0%、約2.0%〜約4.5%、約2.5%〜約5.0%、及び/または約3.0%〜約6.0%の脂質モル比のPEG−c−DOMG(R−3−[(ω−メトキシ−ポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル)]−1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−アミン)(本明細書ではPEG−DOMGとも呼ばれる)をカチオン性脂質、DSPC及びコレステロールと比較して含んでもよい。別の実施形態では、PEG−c−DOMGは、限定するものではないが、PEG−DSG(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)、PEG−DMG(1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール)及び/またはPEG−DPG(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)などの、PEG脂質で置き換えてもよい。カチオン性脂質は、限定するものではないが、DLin−MC3−DMA、DLin−DMA、C12−200及びDLin−KC2−DMAなどの当該分野で公知の任意の脂質から選択されてもよい。
【0228】
一実施形態では、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの脂質を含み得るナノ粒子に製剤化される。この脂質は、限定するものではないが、DLin−DMA、DLin−K−DMA、98N12−5、C12−200、DLin−MC3−DMA、DLin−KC2−DMA、DODMA、PLGA、PEG、PEG−DMG、PEG化脂質及びアミノアルコール脂質から選択され得る。別の態様では、脂質は、限定するものではないが、DLin−DMA、DLin−D−DMA、DLin−MC3−DMA、DLin−KC2−DMA、DODMA及びアミノアルコール脂質などのカチオン性脂質であってもよい。アミノアルコールカチオン性脂質は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20130150625号に記載されている脂質であってもよいし、及び/またはそれに記載の方法よって製造された脂質であってもよい。非限定的な例として、カチオン性脂質は、2−アミノ−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z,2Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625中の化合物1);2−アミノ−3−[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z)−オクタデカ−9−エン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625の化合物2);2−アミノ−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−[(オクチルオキシ)メチル]プロパン−1−オール(US20130150625中の化合物3);及び2−(ジメチルアミノ)−3−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]−2−{[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン−1−イルオキシ]メチル}プロパン−1−オール(US20130150625の化合物4);またはその任意の薬学的に許容される塩もしくは立体異性体であってもよい。
【0229】
脂質ナノ粒子製剤は、典型的には脂質、特にイオン化可能カチオン性脂質、例えば2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、またはジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)を含み、さらに中性脂質、ステロール及び粒子凝集を減少し得る分子、例えばPEGまたはPEG修飾脂質を含む。
【0230】
一実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、(i)2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)からなる群より選択される少なくとも1つの脂質;(ii)DSPC、DPPC、POPC、DOPE及びSMから選択される中性脂質;(iii)ステロール、例えばコレステロール;ならびに(iv)約20〜60%のカチオン性脂質:5〜25%の中性脂質:25〜55%のステロール;0.5〜15%のPEG−脂質のモル比のPEG−脂質、例えば、PEG−DMGまたはPEG−cDMAから本質的になる。
【0231】
一実施形態では、この製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択されるカチオン性脂質をモル基準で約25%〜約75%まで、例えば、モル基準で、約35〜約65%、約45〜約65%、約60%、約57.5%、約50%または約40%含む。
【0232】
一実施形態では、この製剤は、中性脂質をモル基準で約0.5%〜約15%、例えばモル基準で約3〜約12%、約5〜約10%、または約15%、約10%、または約7.5%含む。例示的な中性脂質としては、限定するものではないが、DSPC、POPC、DPPC、DOPE及びSMが挙げられる。一実施形態では、この製剤は、ステロールをモル基準で約5%〜約50%(例えば、モル基準で約15〜約45%、約20〜約40%、約40%、約38.5%、約35%または約31%)含む。例示的なステロールはコレステロールである。一実施形態では、この製剤は、モル基準で約0.5%〜20%のPEGまたはPEG修飾脂質(例えば、モル基準で約0.5〜約10%、約0.5〜約5%、約1.5%、約0.5%、約1.5%、約3.5%、または約5%)を含む。一実施形態では、PEGまたはPEG修飾脂質は、2,000Daの平均分子量のPEG分子を含む。他の実施形態では、PEGまたはPEG修飾脂質は、2,000未満、例えば約1,500Da、約1,000Da、または約500Daの平均分子量のPEG分子を含む。例示的なPEG修飾脂質としては、限定するものではないが、PEG−ジステアロイルグリセロール(PEG−DMG)(本明細書ではPEG−C14またはC14−PEGとも呼ばれる)、PEG−cDMAが挙げられる。
【0233】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される25〜75%のカチオン性脂質、0.5〜15%の中性脂質、5〜50%のステロール、及び0.5〜20%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0234】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)、から選択される35〜65%のカチオン性脂質、3〜12%の中性脂質、15〜45%のステロール、及び0.5〜10%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0235】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される45〜65%のカチオン性脂質、5〜10%の中性脂質、25〜40%のステロール、及び0.5〜10%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0236】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される約60%のカチオン性脂質、約7.5%の中性脂質、約31%のステロール、及び約1.5%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0237】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される約50%のカチオン性脂質、約10%の中性脂質、約38.5%のステロール、及び約1.5%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0238】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される約50%のカチオン性脂質、約10%の中性脂質、約35%のステロール、約4.5%または約5%のPEGまたはPEG修飾脂質、及び約0.5%の標的脂質をモル基準で含む。
【0239】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される約40%のカチオン性脂質、約15%の中性脂質、約40%のステロール、及び約5%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0240】
一実施形態では、本発明の製剤は、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、ジリノレイル−メチル−4−ジメチルアミノブチレート(DLin−MC3−DMA)、及びジ((Z)−ノナ−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)から選択される約57.2%のカチオン性脂質、約7.1%の中性脂質、約34.3%のステロール、及び約1.4%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0241】
一実施形態では、本発明の製剤は、PEG脂質から選択される約57.5%のカチオン性脂質であるPEG−cDMA(PEG−cDMAは、Reyes et al.(J.Controlled Release,107,276−287(2005)(その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)にさらに考察されている)、約7.5%の中性脂質、約31.5%のステロール、及び約3.5%のPEGまたはPEG修飾脂質をモル基準で含む。
【0242】
好ましい実施形態では、脂質ナノ粒子製剤は、モル比で約20〜70%のカチオン性脂質:5〜45%の中性脂質:20〜55%のコレステロール:0.5〜15%のPEG修飾脂質;より好ましくは、約20〜60%のモル比のカチオン性脂質:5〜25%の中性脂質:25〜55%のコレステロール:0.5〜15%のPEG修飾脂質の脂質混合物から本質的になる。
【0243】
特定の実施形態では、脂質モル比は、約50/10/38.5/1.5(モル%カチオン性脂質/中性脂質、例えば、DSPC/コレステロール/PEG修飾脂質、例えば、PEG−DMG、PEG−DSGまたはPEG−DPG)、57.2/7.1134.3/1.4(モル%カチオン性脂質/中性脂質、例えばDPPC/コレステロール/PEG修飾脂質、例えばPEG−cDMA)、40/15/40/5(モル%カチオン性脂質/中性)脂質、例えばDSPC/コレステロール/PEG修飾脂質、例えばPEG−DMG)、50/10/35/4.5/0.5(モル%カチオン性脂質/中性脂質、例えば、DSPC/コレステロール/PEG修飾脂質、例えば、PEG−DSG)、50/10/35/5(カチオン性脂質/中性脂質、例えばDSPC/コレステロール/PEG修飾脂質、例えばPEG−DMG)、40/10/40/10(モル%カチオン性脂質/中性脂質、例えばDSPC/コレステロール/PEG修飾脂質、例えばPEG−DMGまたはPEG−cDMA)、35/15/40/10(mol%カチオン性脂質/中性脂質、例えばDSPC/コレステロール/PEG−修飾脂質、例えば、PEG−DMGまたはPEG−cDMA)または52/13/30/5(モル%カチオン性脂質/中性脂質、例えばDSPC/コレステロール/PEG修飾脂質、例えばPEG−DMGまたはPEG−cDMA)である。
【0244】
例示的な脂質ナノ粒子組成物及びそれを作製する方法は、例えば、Semple et al.(2010)Nat.Biotechnol.28:172−176;Jayarama et al.(2012)、Angew.Chem.Int.Ed.,51:8529−8533;及びMaier et al.(2013)Molecular Therapy 21,1570−1578(それぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0245】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、PEG脂質、及び構造脂質を含んでもよく、任意選択的に非カチオン性脂質を含んでもよい。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約40〜60%のカチオン性脂質、約5〜15%の非カチオン性脂質、約1〜2%のPEG脂質、及び約30〜50%の構造的脂質を含み得る。別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約50%のカチオン性脂質、約10%の非カチオン性脂質、約1.5%のPEG脂質、及び約38.5%の構造脂質を含み得る。さらに別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約55%のカチオン性脂質、約10%の非カチオン性脂質、約2.5%のPEG脂質、及び約32.5%の構造脂質を含み得る。一実施形態では、カチオン性脂質は、限定するものではないが、DLin−KC2−DMA、DLin−MC3−DMA及びL319などの、本明細書に記載の任意のカチオン性脂質であり得る。
【0246】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、4成分脂質ナノ粒子であってもよい。脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG脂質及び構造脂質を含み得る。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約40〜60%のカチオン性脂質、約5〜15%の非カチオン性脂質、約1〜2%のPEG脂質、及び約30〜50%の構造脂質を含んでもよい。別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約50%のカチオン性脂質、約10%の非カチオン性脂質、約1.5%のPEG脂質、及び約38.5%の構造脂質を含んでもよい。さらに別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約55%のカチオン性脂質、約10%の非カチオン性脂質、約2.5%のPEG脂質、及び約32.5%の構造脂質を含んでもよい。一実施形態では、カチオン性脂質は、限定するものではないが、DLin−KC2−DMA、DLin−MC3−DMA及びL319などの本明細書に記載の任意のカチオン性脂質であってもよい。
【0247】
一実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG脂質及び構造脂質を含んでもよい。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約50%のカチオン性脂質DLin−KC2−DMA、約10%の非カチオン性脂質DSPC、約1.5%のPEG脂質PEG−DOMG及び約38.5%の構造脂質コレステロールを含む。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約50%のカチオン性脂質DLin−MC3−DMA、約10%の非カチオン性脂質DSPC、約1.5%のPEG脂質PEG−DOMG及び約38.5%の構造脂質コレステロールを含む。非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約50%のカチオン性脂質DLin−MC3−DMA、約10%の非カチオン性脂質DSPC、約1.5%のPEG脂質PEG−DMG及び約38.5%の構造脂質コレステロールを含む。さらに別の非限定的な例として、脂質ナノ粒子は、約55%のカチオン性脂質L319、約10%の非カチオン性脂質DSPC、約2.5%のPEG脂質PEG−DMG、及び約32.5%の構造脂質コレステロールを含む。
【0248】
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、直径が約10〜約100nm、例えば、限定するものではないが、約10〜約20nm、約10〜約30nm、約10〜約40nm、約10〜約50nm、約10〜約60nm、約10〜約70nm、約10〜約80nm、約10〜約90nm、約20〜約30nm、約20〜40nm、約20〜約50nm、約20〜約60nm、約20〜約70nm、約20〜約80nm、約20〜約90nm、約20〜約100nm、約30〜約40nm、約30〜約50nm、約30〜約60nm、約30〜約70nm、約30〜約80nm、約30〜約90nm、約30〜約100nm、約40〜約50nm、約40〜約60nm、約40〜約70nm、約40〜約80nm、約40〜約90nm、約40〜約100nm、約50〜約60nm、約50〜約70nm、約50〜約80nm、約50〜約90nm、約50〜約100nm、約60〜約70nm、約60〜約80nm、約60〜約90nm、約60〜約100nm、約70〜約80nm、約70〜約90nm、70〜約100nm、約80〜約90nm、約80〜約100nm及び/または約90〜約100nmの脂質ナノ粒子に製剤化され得る。
【0249】
一実施形態では、脂質ナノ粒子は、約10〜500nmの直径を有し得る。一実施形態では、脂質ナノ粒子は、100nm超、150nm超、200nm超、250nm超、300nm超、350nm超、400nm超、450nm超、500nm超、550nm超、600nm超、650nm超、700nm超、750nm超、800nm超、850nm超、900nm超、950nm超または1000nm超の直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質ナノ粒子は、50〜150nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質ナノ粒子は、80〜100nmの平均直径を有する。
【0250】
本開示による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、処置される対象の同一性、大きさ、及び/または状態に応じて、さらに組成物を投与する経路に応じて変化してもよい。例えば、組成物は、0.1%〜99%(w/w)の活性成分を含んでもよい。例として、組成物は、0.1%〜100%、例えば0.5〜50%、1〜30%、5〜80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含んでもよい。
【0251】
一実施形態では、この組成物は、MC3、コレステロール、DSPC及びPEG2000−DMG、緩衝剤クエン酸三ナトリウム、スクロース、ならびに注射用水を含む脂質ナノ粒子に製剤化された、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含有する。非限定的な例として、この組成物は、以下を含む:2.0mg/mLの製剤原料、21.8mg/mLのMC3、10.1mg/mLのコレステロール、5.4mg/mLのDSPC、2.7mg/mLのPEG2000−DMG、5.16mg/mLのクエン酸三ナトリウム、71mg/mLのスクロース及び約1.0mLの注射用水。
【0252】
本発明のポリヌクレオチドは、治療上有効な結果をもたらす任意の経路によって投与してもよい。本発明は、それを必要とする対象に本発明に従ってポリヌクレオチドを投与することを包含する方法を提供する。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、及び全身状態、疾患の重篤度、特定の組成物、その投与方法、その活動方法などに応じて、対象ごとに異なるであろう。本発明に従う組成物は、典型的には投与の容易さ及び投薬量の均一性のために単位剤形で製剤化される。しかしながら、本発明の組成物の1日の総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する具体的な治療上有効、予防上有効、または適切な画像化投与量レベルは、処置される障害及び障害の重症度;用いた特定の化合物の活性;採用した特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別及び食事;採用した特定の化合物の投与時間、投与経路、及び排泄速度;処置の期間;使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;ならびに医学の分野で周知の同様の要因を含む様々な要因に依存するであろう。
【0253】
特定の実施形態では、本発明による組成物は、所望の治療的、診断的、予防的、または画像化を得るために、1日あたり1回以上、1日あたり対象の体重1kgあたり、約0.0001mg/kg〜約100mg/kg、約0.001mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.005mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.001mg/kg〜約0.005mg/kg、約0.05mg/kg〜約0.5mg/kg、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、約0.1mg/kg〜約40mg/kg、約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、または約1mg/kg〜約25mg/kgを送達するのに十分な用量レベルで投与され得る。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、隔日、3日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、または4週間ごとに送達され得る。特定の実施形態では、所望の投与量は、複数回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14またはそれ以上の投与)を使用して送達され得る。複数回投与を採用する場合、本明細書に記載の投与計画のような分割投与計画を使用してもよい。
【0254】
本明細書に記載のポリヌクレオチド医薬組成物は、鼻腔内、気管内、または注射用(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、心臓内、腹腔内、及び皮下)のような、本明細書に記載の剤形に製剤化してもよい。
【0255】
本発明は、ポリヌクレオチド(例えば、RNA分子)ならびに任意選択的に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせたポリヌクレオチド組成物及び/または複合体を含む医薬組成物を提供する。
【0256】
本発明は、ポリヌクレオチド(例えば、RNA分子)ならびに関連する医薬組成物及び複合体を、任意選択的に1つ以上の医薬上許容される賦形剤と組み合わせて提供する。薬学的組成物は、1つ以上の追加の活性物質、例えば治療的及び/または予防的活性物質を任意選択的に含んでもよい。本発明の薬学的組成物は、無菌であっても、及び/または発熱物質を含まないものであってもよい。医薬品の製剤及び/または製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に見出され得る。
【0257】
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト、ヒト患者または対象に投与される。本開示の目的のために、「活性成分」という句は、一般に、本明細書に記載されるように送達されるべきポリヌクレオチド(例えば、RNA分子)を指す。
【0258】
本明細書で提供される薬学的組成物の説明は、主にヒトへの投与に適した薬学的組成物を対象としているが、そのような組成物は一般に任意の他の動物、例えば非ヒト動物、例えば、非ヒト哺乳動物への投与に適していると当業者には理解されるだろう。組成物を様々な動物への投与に適したものにさせるための、ヒトへの投与に適した薬学的組成物の修飾は十分に理解されており、当業者の獣医薬理学者は、存在する場合、単に通常の実験を用いてそのような修飾を設計及び/または実施し得る。薬学的組成物の投与が企図される対象としては、限定するものではないが、ヒト及び/または他の霊長類;哺乳動物、例としては、商業的に関連のある哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/またはラットなど;及び/または鳥類、例としては、商業的に関連する鳥、例えば、家禽、ニワトリ、カモ、ガチョウ及び/または七面鳥が挙げられる。
【0259】
本明細書に記載の薬学的組成物の製剤は、薬理学の分野において公知であるかまたは今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、そのような調製方法は、活性成分を賦形剤及び/または1つ以上の他の副成分と会合させ、次いで必要に応じて及び/または望ましい場合にはその生成物を、望ましい単回または複数回投与単位に分割、成形及び/または包装するステップを包含する。
【0260】
本発明による薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、処置される対象の同一性、大きさ、及び/または状態に応じて、さらにその組成物が投与される経路に応じて変化する。例として、この組成物は、0.1%〜100%、例えば0.5〜50%、1〜30%、5〜80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含んでもよい。
【0261】
本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるかまたは図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されない。本発明は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行されてもよい。また、本明細書で使用されている表現及び用語は説明を目的としており、限定と見なされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、または「有する」、「含有する」、「包含する」、及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【実施例】
【0262】
実施例1.ポリヌクレオチドの製造
本発明によれば、ポリヌクレオチド及び/またはその部分もしくは領域の製造は、「Manufacturing Methods for Production of RNA Transcripts」(代理人整理番号M500)と題する、2013年3月15日に出願されたWO2014/152027(その内容が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示される方法を利用して達成され得る。精製方法は、国際特許出願WO2014/152030号及びWO2014/152031号(それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に教示されている方法を包含し得る。
【0263】
ポリヌクレオチドの検出及び特徴付け方法は、WO2014/144039(その全体が参照により本明細書に組み入れられる)に教示されているように行ってもよい。
【0264】
本開示のポリヌクレオチドの特徴付けは、ポリヌクレオチドマッピング、逆転写酵素配列決定、電荷分布分析、及びRNA不純物の検出からなる群より選択される手順を使用して達成してもよく、ここで特徴付けは、RNA転写物配列を決定すること、RNA転写物の純度を決定すること、またはRNA転写物の荷電異質性を決定することを包含する。そのような方法は、例えば、WO2014/144711及びWO2014/144767に教示されており、そのそれぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0265】
実施例2.キメラポリヌクレオチド合成
序
本発明によれば、三リン酸化学を用いてキメラポリヌクレオチドの2つの領域または部分を接合しても、または連結してもよい。
【0266】
この方法によれば、100ヌクレオチド以下の最初の領域または部分は、5’一リン酸及び末端の3’desOHまたはブロックされたOHを用いて化学的に合成される。この領域が80ヌクレオチドより長い場合、それはライゲーション用の2本鎖として合成され得る。
【0267】
最初の領域または部分がインビトロ転写(IVT)を使用して非位置的に修飾された領域または部分として合成される場合、5’一リン酸の変換とそれに続く3’末端のキャッピングが続く場合がある。
【0268】
一リン酸保護基は、当該分野で公知の任意の保護基から選択され得る。
【0269】
キメラポリヌクレオチドの第2の領域または部分は、化学合成法またはIVT法のいずれを用いて合成してもよい。IVT法は、修飾キャップを有するプライマーを利用し得るRNAポリメラーゼを含み得る。あるいは、最大130ヌクレオチドのキャップを化学的に合成し、そしてIVT領域またはその一部に結合してもよい。
【0270】
ライゲーション方法については、DNA T4リガーゼによるライゲーション、それに続くDNAseによる処理は容易に連結を回避するはずであることに留意のこと。
【0271】
キメラポリヌクレオチド全体をリン酸−糖骨格で製造する必要はない。領域または部分の1つがポリペプチドをコードする場合、そのような領域または部分はリン酸−糖骨格を含むことが好ましい。
【0272】
次いで、ライゲーションは、任意の公知のクリックケミストリー、オルソクリックケミストリー、ソルリンク(solulink)、または当業者に公知の他のバイオコンジュゲートケミストリーを使用して行われる。
【0273】
合成経路
キメラポリヌクレオチドは、一連の出発セグメントを用いて作製される。そのようなセグメントとしては以下が挙げられる:
(a)通常の3’OHからなる、キャップされ保護された5’セグメント(SEG.1)
(b)ポリペプチドのコード領域を含み得、正常な3’OHを含んでいる5’三リン酸セグメント(SEG.2)
(c)コルジセピンを含む、または3’OHを含まない、キメラポリヌクレオチドの3’末端(例えば、テール)の5’一リン酸セグメント(SEG.3)
【0274】
合成後(化学的またはIVT)、セグメント3(SEG.3)をコルジセピンで処理し、次にピロホスファターゼで処理して5’一リン酸を生成する。
【0275】
次にセグメント2(SEG.2)を、RNAリガーゼを用いてSEG.3に連結する。次いで、連結したポリヌクレオチドを精製し、ピロホスファターゼで処理して二リン酸を切断する。次いで、処理したSEG.2−SEG.3構築物を精製し、そしてSEG.1を5’末端に連結させる。キメラポリヌクレオチドのさらなる精製ステップを実施してもよい。
【0276】
キメラポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする場合、連結されたまたは接続されたセグメントは、5’UTR(SEG.1)、オープンリーディングフレームまたはORF(SEG.2)及び3’UTR+ポリA(SEG.3)として表され得る。
【0277】
各ステップの収率は、90〜95%程度であってもよい。
【0278】
実施例3:DNA鋳型の製造のためのPCR
cDNAの調製のためのPCR手順は、Kapa Biosystems(Woburn,MA)による2×KAPA HIFI(商標)HotStart ReadyMixを使用して行われる。このシステムには、2×KAPA ReadyMix12.5μl;フォワードプライマー(10uM)0.75μl;リバースプライマー(10uM)0.75μl;鋳型cDNA−100ng;及び25.0μlに希釈したdH
2Oを含む。反応条件は95℃で5分間であり、そして98℃で20秒間、次いで58℃で15秒間、次いで72℃で45秒間、次いで72℃で5分間、次いで4℃の25サイクルである。
【0279】
InvitrogenのPURELINK(商標)PCR Micro Kit(Carlsbad,CA)を製造元の指示(最大5μg)に従って使用して反応液をクリーンアップする。より大きな反応は、より大きな容量を有する生成物を使用するクリーンアップを必要とするだろう。クリーンアップ後、NANODROP(商標)を用いてcDNAを定量し、アガロースゲル電気泳動によって分析してcDNAが予想されるサイズであることを確認する。次いで、インビトロ転写反応に進む前に、cDNAを配列決定分析にかける。
【0280】
実施例4.ショートモデルRNA−1のIVT及びIFN−β分析
IVT反応は、特定のヌクレオチドで「スパイク」され得、サイトカイン反応の混入物が最小限になり、収率が良くなる。あるプロセスでは、表1に示すように、他のNTPに対するGTP比が増大し、総NPT負荷が高くなり、NTP:Mg
2+モル比が増大した。これらの特定のヌクレオチドは、ショートモデルRNAと呼ばれる。ショートモデルRNAの目的は、全長RNAにおいて観察された本発明の方法と同じサイトカインシグナル/等モルの効果(従来技術)を再現することであった。この構築物は、LC/MS(全長RNAでは現在実現可能ではなかった)によって全長の不純物を検出するのに十分に小さかった。
【0281】
【表1】
【0282】
2つの異なるIVTプロセスを使用して調製されたショートモデル転写物が、全長転写物について観察されたインビトロ(BJ線維芽細胞)IFNβ反応を模倣するか否かを決定するために、独立した実験プロセス(すなわち、粗IVT、限外濾過、またはdT精製)研究を設定した。標的RNAと同じIVT条件下で、そして同じDNA鋳型二重鎖から産生されたサロゲートRNA、ショートモデルRNA−1を生成した。サイトカイン応答は、BJ線維芽細胞におけるIFN−βアッセイにおける全長RNAの応答を模倣していた(
図1)。等モルのIVTプロセスを使用して調製されたショートモデル転写物は、アルファIVTプロセスを使用して調製された材料よりも高いIFNβ応答を有する。限外濾過及びdT精製の後、サイトカイン応答は保存された。
【0283】
さらに、ショートモデルRNA−1(シュードウリジンに修飾された全てのウリジン及び5’O−メチルによって修飾された全てのシチジン)の不純物プロファイリングは、等モル過程における逆相補体(dsRNA)の存在を示したが、アルファ反応においては示さなかった。9つの異なる種が同定された:2つの間で重なっているピークはアボーティブ種を表しているが、等モル製剤でのみ見られるピークは逆相補性種である。スクリーニングを、様々な量のウリジン及びシチジン修飾を有する種について行い、逆相補性種及びアボーティブ種を3つ全てに見出した(
図2)。アボーティブ転写物は、センスであり、そして逆相補物はアンチセンス転写物である。IFN−βレベルもまた3つの間で変動した(
図2)。上部はG0=標準A、G、C、Uであり、中央は、G5=標準A、G、C及び1−メチルシュードUであり、下部は、G6=標準A、G、C及び5−メトキシウリジンである。3つの異なる化学において2つの異なるプロセスによって調製されたショートモデル転写物は、BJFアッセイにおける相違にもかかわらず、LCMSによる類似の不純物プロファイルを有し、異なる化学に対して鋭敏であるように思われる。
【0284】
モデル転写物及びインタクトな転写物のLCMS分析を、25℃で6時間のIVTによって調製した。短い転写物及び全長の転写物を、25℃で6時間、等モル及びアルファプロセスを使用して調製した(37℃、2時間である我々の通常のIVTではない)。低温IVT反応(<30℃)は、37℃よりも多量の逆相補体RNAを生成する。試料の不純物プロファイルをLCMSによって分析した。両方のプロセスを使用して調製された試料は両方ともアボーティブ/切断型生成物を含んでいた。等モルプロセスを用いて調製された転写物は、様々な長さのポリU種を含んでいた。アルファプロセスは、等モルプロセスを使用して存在量が標準条件よりも大きかった25℃においてもなお逆相補体の形成を軽減する(
図3)。
【0285】
相補的/アンチセンスRNAの検出
T7が新生転写RNAから重合するので、免疫刺激不純物は、RNA鋳型RNA転写によって引き起こされるように思われる。生成された相補的/アンチセンスRNA(dsRNA)は、混合塩基、ポリU成分、及び5’三リン酸(5’ppp)を示し、これは任意の塩基から開始する。RNA鋳型転写を実施した。qPCRによってインビトロ転写に必要な閾値未満であると決定されたDNA鋳型を除く、全てのIVT成分と共に、逆相精製hEPO G5(低温)を、4mg/mLでインキュベートして(インビトロ転写反応の典型的な収率と一致)て、RNA鋳型転写現象を探求した。その材料をUPLC及びインビトロBJF IFNβアッセイにより分析した。UPLC分析によって、異常なRNA転写産物、そして最も顕著にはポリU種が(DNA鋳型の非存在下で)RNA鋳型転写を介して産生されることが実証された。RNA及び全てのIVT成分を用いて実施された反応は、IFNβホットであり、一方RNAを用いずに実施された反応はコールドであった。(
図4)。
【0286】
二本鎖RNAは、逆相(RP)精製転写RNAから除去してもよい。RNase III処理hEPO G5材料のキャピラリー電気泳動分析を実施した。hEPO G5を等モルまたはアルファ条件を用いて調製し、そして一部をRPにより精製した。次いでその試料を、RNase IIIで処理し、キャピラリー電気泳動により分析した。アルファプロセスによって調製された材料は、等モルプロセスによって調製されたものよりも少ないRNase III基質を含んでいた。RP精製は、等物質及びアルファ物質からRNase III基質の大部分を除去する。アルファプロセス及び逆相精製は、RNase III基質(例えば、dsRNA)における相乗的な減少を提供するように思われる(
図5A)。RNase III処理hEPO G0材料のキャピラリー電気泳動分析を実施した。hEPO G0を、等モルプロセスを用いて調製し、そして一部をRPにより精製した。次いで、試料をRNase IIIで処理し、そしてキャピラリー電気泳動により分析した(青:処理済み;黒:未処理)。RP精製された材料は、RP精製されなかった材料よりも含んでいるRNase III基質が少なかった(最新技術)(
図5B)。
【0287】
RNase IIIは、dsRNA特異的ヌクレアーゼである。RNA調製物を、一定時間RNase III処理に供する。RNA純度/不純物プロファイルを、RNase III処理前後で比較し、HPLCまたはキャピラリー電気泳動によって測定する。分解された全長産物の量は、RNA調製物中に存在する二本鎖RNA不純物のレベルに比例した。見かけの大きさ/保持時間の変化によって示されるように分解された量は、RNase III基質の量と考えられた。dsRNAを含まない試料は、RNase III処理前後でほぼ同一の純度を示すはずである。かなりの量のdsRNAを含有する試料は、HPLCまたはキャピラリー電気泳動によって見られるように、未処理供給原料中に存在する実質的な切断生成物の形成及び全長RNAの枯渇を示すであろう。(例えば、元のmRNAの80%がRNase III処理後に残っている場合、20%がRNase IIIの基質であった)。
【0288】
図5A及び5Bからの試料のIFNβ及びhEPO発現分析を実施した。処理試料及び未処理試料を分析して、RNAse III処理がBJ線維芽細胞におけるIFNβ応答及びhEPO発現にどのように影響するかを決定した(インビトロ)。hEPO A100 G5等モル物質は、未処理試料及びRIII処理試料について同様に発現することが見出された。等処理したRP試料のサイトカインレベルは、RIIIで処理した後に減少した。hEPO A100 G5アルファ物質は全て同様に発現し、ゼロ/低いIFNβ応答を有した。TL物質は発現していない。しかしながら、RIII処理は、+及び−RP試料の両方についてCKレベルを低下させた。G0 hEPO A100材料には、RNase III処理から最大の効果が見られた。RNase III処理後、+及び−RP精製試料は両方とも、発現の増大及びIFNβレベルの減少が見られた(
図6)。
【0289】
異なるプロセスを使用して転写され、そしてRNase IIIで処理された短い転写物のキャピラリー電気泳動分析を行った。質問は、ショートモデル転写産物を用いてRNase III処理の効果を特徴付け得るか否か?であった。サロゲートRNA構築物を等モルまたはアルファプロセスを用いて転写し、次いでRNase IIIで処理し、そしてキャピラリー電気泳動により分析した。等モルの材料はほとんどRNase IIIの基質を含んでいるように見えたが、アルファプロセス材料は、CE(キャピラリー電気泳動)によれば、基質を含んでいなかった。RNase III処理により、モデルRNAのピークはフラグメントアナライザー上で5〜7ヌクレオチドシフトする。等モルのIVTは、主ピークよりも216ヌクレオチド短い強烈な第2ピークを形成し、これはORFを含むmRNAでも観察された(
図7)。したがって、モデルRNA及びLC/MSを使用して、どの成分が切断されたか、及び推論によってどの成分が残っているかを正確に特徴付け得る。HPLC純度法は、切断産物の単離及び濃縮の際にポリUを示した(
図9)。RNase IIIで処理したRNAサロゲート2 EQ転写産物のRP分析(
図7の上の図と同じ構築物...別の分析)を行った。サロゲートRNA転写物をRNase IIIで処理した後、RP分析によっていくつかの種が観察された。このRP法は、テール選択的方法であったので、我々はこれらの早期溶出ピークが短いオリゴ及び/またはテール変異体であると仮定する(
図8A)。RNase IIIで処理されたアルファプロセス転写物を用いて転写されたRNAサロゲート2アルファ構築物のRP分析を行った。本発明者らは、RIIIで処理したサロゲートRNAアルファ材料についてのRPトレースにおいて、さらなる不純物ピークのピークの発生及び全体的な純度への明らかな変化は観察しなかった。したがって、本発明者らは、アルファプロセスは等モルプロセスと同じdsRNA種を作らないと結論付け得る(
図8B)。
【0290】
RP画分からのRNase III及びサイトカインデータによるdsRNAの存在量
RNaseIII処理があったhEPOのRP分画とRNaseIII処理がなかったhEPOのRP分画を実施した。等モルプロセス及びアルファプロセスの両方を介して転写されたhEPO G5 mRNAを、逆相HPLCによって精製した。画分を溶出勾配にわたって集めた。画分を、RNase IIIで処理し、続いて未処理のRNA及びRNase III処理を比較するキャピラリー電気泳動により分析した(重ね合わせた)。RNA画分もBJ線維芽細胞にトランスフェクトし、IFN−B誘導を、RNase III処理の前後に評価した(
図9)。
【0291】
RP分画hEPO EQ+/−R III処理のキャピラリー電気泳動分析を行った。hEPO EQを、RNase IIIで処理し、次いでRP精製し、分画し、そしてCE(キャピラリー電気泳動)によって分析した(青:RIII処理;黒:未処理)。RNA不純物を含有する初期等モル画分(画分1〜6)は、かなりの量のdsRNA/RNase III基質を示す。dsRNAは、初期の画分に富んでいた。これは高いINF−Bレベルによって確認された。等モル画分7〜9は、CE(キャピラリー電気泳動)によるより低レベルのdsRNA/RNase III基質を示し、これはまた、IFN−Bのレベルの減少によっても確認された。各画分のRNase III処理は、IFN−B誘導を基礎レベルまで減少させ、これもまたIFN−B不純物がdsRNAからなることを裏付けている(
図10A〜C)。未処理またはRNase III処理後のhEPO EQ G5のインビトロIFNβ分析(
図10D)。
【0292】
RP分画hEPOアルファ+/−RIII処理のキャピラリー電気泳動分析を実施した。hEPOアルファを、RNase IIIで処理し、次いでRP精製し、分画し、そしてCE(キャピラリー電気泳動)によって分析した(青:RIII処理;黒:未処理)(
図11A〜C)。未処理またはRNase III処理後のhEPOアルファG5のインビトロIFNβ分析(
図11D)。オーバーレイ電気泳動図は実質的に同一であるので、全ての画分は両方のキャピラリー電気泳動による微量レベルのdsRNA(RNase III基質)を示す。これは、処理画分と未処理画分の両方において基礎レベルのIFN−Bによって確認された。アルファプロセスで転写されたRNAは、初期の画分中に非全長/切断型RNA不純物が存在するにもかかわらず、dsRNAを欠いていた。
【0293】
dsRNA存在量のELISA検出
J2/K2 dsRNA ELISAは、dsRNAの存在量を測定するために開発された。プレートをJ2モノクローナル(IgG)抗体でコーティングし、次いでブロックした。次いで、目的のRNAを所定の濃度で添加し、1時間インキュベートした。K2モノクローナル抗体を加え(IgM)、そしてHRP結合抗IgMヤギポリクローナル抗体を加えた。TMBを添加してシグナルを発生させた。アッセイは、長さが40塩基対を超える二重鎖を検出する。J2は、RIIIエンドポイントの決定を支援し得る。dsRNAのノックダウンは、RPまたはRNase III処理で観察された(
図12)。J2アッセイは、等モル物質中にアルファよりもかなり多いdsRNAが存在したことを示唆する。RPプロセスは、RIII処理と同程度に、EQ試料からdsRNA材料を除去する。アルファ反応mRNAは、等モルのIVT生成物と比較して供給原料中のdsRNAが少なかった。また、dT精製RNase III材料におけるノックダウンは、TrisRPよりも大きいことが観察された。このアッセイではまた、dsRNAがRNase III処理によって除去されたことが示された(
図13)。J2によって検出されたdsRNAレベルは、構築物/プロセス/化学に基づいて変化するが、RNase III処理は、ほとんどのdsRNAレベルをベースラインまで減少させるように思われる。ヌクレアーゼP1処理後のLCMS分析では、α反応群と比較して、非Gで開始された逆相補体が等モル量の群においてより多く存在するので、FFB mRNA中にさらなるNTPが存在することが示された(表2)。
【0294】
【表2】
【0295】
低温IVTにおけるRNA鋳型転写の緩和
異なるプロセス及び化学を用いて調製したhEPO構築物に対するIFNβ応答を実施した。IVT特徴付け研究に示されるように、アルファ反応は低温誘導サイトカインスパイクに対してそれほど敏感ではなかった(
図14)。25℃で行われたときの標準的な等モルIVTは、増強されたIFN−B誘導不純物存在量を生成する。異なるプロセスを用いて調製したhEPO構築物について全ヌクレオチド分析を行った。37℃及び25℃の両方でIVTを実施する場合、アルファプロセス条件(GDP及びGTP)は両方とも、外来のIFN−B誘導性不純物形成を軽減する。ヌクレオチド分布は、ヌクレアーゼP1研究における対照領域にわたって一貫しており(灰色の枠)、同じhEPOプラスミドは一貫した切断を示す(
図15)。等モルのIVTプロセスを25℃で実行すると、おそらくポリUの進化に起因して、37℃よりも多量のウリジン/1−メチルシュードUが存在し、アルファプロセス(GDP及びGTP)は25℃でも一貫したヌクレオチド分布を示し、さらに不純物形成の緩和を支持している。バーの高さの違いは、おそらく濃度の違いに起因するものである。25℃の標準IVTでは、U含有量は時間とともに増大した。モル補正したヌクレオチド組成を表3及び4に示した。G及びUは理論値であるが、一方Aは過剰に表されそしてCは過少に表された。アルファ反応による温度条件間の偏差は少なく、標準のIVTではUで最大の偏差が観察された。
【0296】
【表3】
【0297】
【表4】
【0298】
「強制」RNA鋳型転写
不純物分析は、G5 eGFP EQを使用して、様々な化学におけるRNAベースのIVTのLCMSによって実行された。4mg/mLのeGFP G5 等 RNAを使用し、DNA鋳型は使用しないで、IVTを(様々な化学的性質で)設定した。ポリU種は、RNA鋳型転写から生成される。RNA鋳型転写は、化学とは無関係に起こる。逆相精製したeGFP G5(コールド)を、qPCRによってインビトロ転写に必要な閾値未満であると決定されたDNA鋳型を除く、全てのIVT成分と共に、4mg/mL(インビトロ転写反応の典型的な収量と一致)でインキュベートし、RNA鋳型転写現象を探究した。その物質をLC/MSによって分析した(
図16A(等モルプロセス)、16B(アルファプロセス))。
【0299】
RNA鋳型IVT産物についてのIFNβ分析を実施した。材料は、
図16由来のものであった。RNAに基づくIVTの後、LCMS分析(ポリU種)とIFNβ応答との間に相関があるか否かを決定するために試料をインビトロで分析した。アルファ(A100)RNAベースのIVTは、等モルの材料よりもCK応答が低い材料を生成する。(G0またはG5);ここでも、アルファプロセスがRNA鋳型転写産物の形成を軽減することを示唆している。G6は全てコールドであった;(不純物の生成にもかかわらず本質的にコールド)(
図17)。
【0300】
dsRNAがキャップされてもよいか否かを決定するために、dsRNAをワクシニアによってキャップできないことが実施された。両方とも5’三リン酸を有するフォワード相補オリゴ及びリバース相補オリゴをアニーリングし、次いでワクシニアを使用してキャッピングプロセスに供し、dsRNAをキャッピングしてもよいか否かを決定した。pppFオリゴ(5’pppGを含む)は、ワクシニアを使用してcap1にキャップすることができる。pppRCオリゴ(5’pppUを含む)は、ワクシニアを使ってキャップできない。pppF+pppRCを有するdsRNAは、ワクシニアを用いてキャップできない(
図18)。
【0301】
CIPを使用したdsRNAの脱リン酸化を行って、子牛の腸ホスファターゼが異なる5’/3’オーバーハングを有するdsRNAを脱リン酸化するか否かを確認した。種々のF及びRCオリゴをアニーリングし、次いでCIPで処理し、脱リン酸化効率についてLCMSにより分析した。5’オーバーハングを有するdsRNAは完全に脱リン酸化されてもよい。完全二重鎖dsRNAは、部分的に脱リン酸化できる。3’オーバーハングを有するdsRNAは、完全に脱リン酸化できない。これによって、ホスファターゼがCK応答を低下させるのに100%有効ではなかった理由が示される(
図19)。
【0302】
エレクトロフェログラムで示される前述のインビボ研究において投与されたmRNAのCE(キャピラリー電気泳動)純度を実施した。(
図20)。5’UTRがアルファ反応の有効性に影響を与える可能性があるので、構造がある役割を果たす可能性がある(
図20)。
【0303】
インビボ研究
RIII処理は、未修飾種及び完全に修飾された種(全てのウリジンが1−メチルシュードウリジンであった)の両方を用いて、マウスにおいて明確なサイトカインノックダウンを示した。それは基礎レベル近くまでサイトカインをノックダウンするための独立した方法として使用され得る。雌性マウス(1群あたりn=5)に0.5mg/kgの選択した試験材料を1回注射した。
【0304】
異なるIVTプロセス及び精製順列を使用して転写されたG0及びG5 hEPO mRNAのIFNβ分析を実施して、異なる化学物質、プロセス、及び処理を用いて生成された材料に対するIFNβ応答が何であるかを決定した(インビトロ;BJ線維芽細胞)。+RIII、+RP、及びアルファプロセスは、G5のインビトロでのIFNβ応答に対して同様の効果(減少)を有する。G0は、アルファ+RIIIが、等+RIIIより優れていたことを実証している(
図21)。
【0305】
G0またはG5化学、等モル量またはアルファプロセス、及びELISAによるRNase III処理を用いて調製したhEPOのインビボ(Balb−Cマウス)発現を行って、種々のプロセス(化学、IVTプロセス、RIII処理)を用いて調製したhEPOによって発現がどのように影響されるかを調べた。
図12、20、21、22と同じ材料。異なるプロセスによって生成されたRNAを用いたhEPO発現に有意差はない(
図22)。
【0306】
RNaseIII処理が有った異なるIVTプロセス及び精製順列とRNaseIII処理がなかった異なるIVTプロセス及び精製順列を使用して転写されたインビボ(Balb−Cマウス)G0及びG5のhEPOのmRNAについてのサイトカイン(luminex)パネルを実施して、
図12、20、21、22と同じ材料で決定した。Balb−Cマウスを0.5mpk製剤化RNAで処理した後のサイトカイン分析。未処理のアルファ物質は、IP10のEQ物質(G5)と同様のCK応答を有する。全体的に、RNase III処理と組み合わせたアルファプロセスは、特にG0において、等モル比較剤(+RNase III)よりも低い免疫刺激活性を付与するようである。RIII処理は、CK応答を低下させる(
図23A〜23D)。
【0307】
G0またはG5化学、等モルまたはアルファプロセス、及びRNase III処理を用いて調製したhEPOで処理したBalb−Cマウスの脾臓からのB細胞活性化、を行った。活性化B細胞(CD86+ CD69+)を、様々なプロセスを用いて調製したhEPOでの処理後のそれらの応答に関して分析した。B細胞活性化は、サイトカイン(luminex)パネルとおおまかに相関している。RIII処理は、未処理対照と比較して、CK応答を減少させる(
図24)。
【0308】
短い5’三リン酸化オリゴのインビトロ分析を行って、短い5’三リン酸化オリゴがインビトロでIFNβ応答を刺激するか否かを決定した(BJF、IFNβ)。ssRNA及びdsRNAの12未満のヌクレオチドまたは塩基対は、BJF中のIFNβを刺激しない(
図25)。
【0309】
ポリU及びdsRNA標準のインビトロ分析を行い、5’三リン酸化オリゴ標準を使用しているか否か、BJFのIFNβ応答を刺激するのは何かを判断した。20bp超のpppF+pppRC dsRNAは免疫刺激性であった。5’三リン酸化ポリUは、<25ntまたは25bpのssRNAまたはdsRNAとして免疫刺激性ではなかった(
図26)。
【0310】
3’オーバーハングを有するdsRNA標準のインビトロ分析を行って、dsRNA標準についてIFNβ応答に対して3’オーバーハング長の依存性があるか否かを決定した。3’オーバーハングが長いほど、IFNβ反応は低くなる(
図27)。
【0311】
5’オーバーハング、完全二重鎖、及び3’オーバーハングの長さが異なるdsRNA標準のインビトロ分析を実施して、オーバーハングの長さ/同一性がIFNβ応答に依存するか否かを決定した。ssRNA pppRCオリゴはホットである。5’オーバーハング(及び約20bp二重鎖)のdsRNAは、完全な二重鎖より免疫刺激性が低くなる。3’オーバーハングを有するdsRNAは、完全二重鎖と同等かそれ未満の免疫刺激を有する。dsRNA二重鎖が長いほど、CK応答が高い(
図28)。
【0312】
ポリU種のインビトロ分析を実施して、ポリU種がIFNβ応答をシミュレートするのに何が必要かを決定した。5’三リン酸を含むssRNA ポリU標準はわずかに免疫刺激性である。OH−F30(30bp二重鎖)を有するdsRNAとして、相加的CK応答があった。しかしながら、ポリU標準は、全長mRNA(A100)の存在下では免疫刺激性ではない(
図29)。
【0313】
ssRNAオリゴヌクレオチド標準のインビトロ分析を行って、ssRNA標準に対するIFNβ応答が何であるかを決定した。(Fまたはフォワードオリゴは、アボーティブまたは短縮型種を表し;RまたはRCまたは逆相補体オリゴは、RNA鋳型転写によって生成された逆相補体種を表す)。5’三リン酸を含むフォワードオリゴは、IFNβを刺激しない。5’三リン酸を有する逆相補体オリゴは、25ntを超える長さでIFNβを刺激する(
図30)。
【0314】
5’官能基(三リン酸及びヒドロキシル)がIFNβ応答に影響するか否かを判断するために、異なる5’官能基を有するdsRNAオリゴ標準のインビトロ分析を行った。Fオリゴ上の5’三リン酸及びRCオリゴ上の5’ヒドロキシルは、>20bpでIFNβをシミュレートする。Fオリゴ上の5’三リン酸とRCオリゴ上の5’ヒドロキシルは、>25bpでIFNβをシミュレートする。Fオリゴ上の5’ヒドロキシル及びRCオリゴ上の5’三リン酸は、>20bpでIFNβを刺激する。20bp超のIFNβをシミュレートするために必要な三リン酸は1つだけであった(
図31)。
【0315】
CIP処理dsRNAオリゴ標準のIFNβ分析を実施した。様々なオーバーハング長のdsRNAオリゴ標準をCIPで処理し、IFNβ応答を分析した。LCMSによって、脱リン酸化(すなわち、5’オーバーハング)が観察された試料(
図19)は、未処理試料ほどIFNβを刺激しなかった。CIPによって脱リン酸化されなかった試料(すなわち、完全二重鎖及び3’オーバーハング)は、IFNβ応答+/−CIPに変化がなかった(
図32)。
【0316】
ssRNA不純物用量応答(BJ線維芽細胞中のIFNβ)を実施して、インビトロでのssRNA不純物標準の用量依存性が何であるかを決定した(BJF、IFNβ)。反応を刺激するためにいずれか1つの種類の不純物がどれくらい必要だったか。<20merのssRNA(RC)はホットではなかった。>30merのssRNA(RC)は、約>1ng/uL(または>2.5ng/トランスフェクション)でIFNβを刺激した。ssRNA CK応答(RC)に対して見かけの長さ依存性があった。オリゴが長ければ長いほど、CK応答は高くなる(
図33)。
【0317】
dsRNA不純物用量応答(BJ線維芽細胞におけるIFNβ)を実施して、インビトロでのdsRNA不純物標準の用量依存性(BJF、IFNβ)を決定した。20〜30bpのdsRNAは、約>1ng/uL(>2.5ng/トランスフェクション)でIFNβを刺激する。>30bpのdsRNAは、約0.1ng/uL(>0.25ng/トランスフェクション)でIFNβを刺激する。IFNβ応答をサイレンシングするためには、>1000×の希釈の>30bpのdsRNAが必要であった・・・応答を刺激するには、これらの不純物のほんの数分子で十分であることが示されている。dsRNA CK応答に対する見かけの長さ依存性があった・・・二重鎖が長いほど、CK応答は高い(
図34)。
【0318】
フォワードオリゴ標準の修飾5’ヌクレオチドに対するIFNβ応答を、5’ヌクレオチド(三リン酸化)がCK応答に影響するか否かを決定するために行った。5’A/C/UがFオリゴに付加されたとき、CK応答が誘導された。5’非−Gは、IFNβ応答を変化させない(依然としてコールド)。これは、配列依存性があったことを示唆する(RCがホットなので)(
図35)。
【0319】
5’ヌクレオチド(三リン酸化)がCK応答に影響を与えるか否かを判断するために、逆相補体オリゴ標準の修飾5’ヌクレオチドに対するIFNβ応答を実施した。5’GがRCオリゴに付加されると、CK応答が誘導された。RCオリゴ上の5’pppGはIFNβ応答をサイレンシングする。これによって、配列同一性が何であっても、5’GがCK応答をサイレンシングすることが示唆される(
図36)。
【0320】
5’ヒドロキシル官能化dsRNAのIFNβ応答を行って、5’官能基(ppp対OH)がdsRNAのサイトカイン応答にどの程度影響するかを決定した。5’ppp−F/5’ppp−RC二重鎖から5’OH−F/5’OH−RCまでを試験した。5’pppまたは5’OHのいずれかを用いた>30bp dsRNAのIFNβ応答があった。これによって、5’の官能基が何であっても、30bpを超えるdsRNAがBJFのIFNβ応答を刺激したことが示唆される(
図37)。
【0321】
推測
IVT副産物としてのRNA鋳型転写は大幅に減少し、アルファ反応プロセスでほぼ排除された。逆相補体の形成を軽減した結果として、目的の不純物であるdsRNA(5’pppを有する)と非pppG(pppA、pppC、及びpppU)で開始するRNAの両方が対処される。
【0322】
RNA鋳型転写は、37℃未満のIVT反応温度(例えば、25℃)で増強された。IVT反応が進行している間に37℃の加熱を達成するための傾斜時間は、特に25℃〜37℃の時間傾斜が増大するにつれて、より高い不純物レベルをもたらし得る。微量のRNA鋳型転写種が周囲温度で検出されたので、アルファ反応プロセスは25℃でより寛容であった。
【0323】
RPは、等モルプロセスよりもアルファ反応の方が効果的であった。アルファ反応では不純物量がより少なく、分離の改善をもたらす。「純度」がより明確に解明され得、潜在的に負荷の課題を増やし、生産性を高め得る。単一のRPサイクルは、GDPアルファ反応を用いて未修飾種をベースラインにノックするのに十分であるが、一方、等モルのIVTを用いて未修飾種の2つの画分を得るためには2〜3連続するRPサイクルが必要である。
【0324】
実施例5.アルファプロセスを用いて生成されたRNAは<40%のランオン転写物を有する。
hEPO RNAは、等モルまたはアルファプロセスを用いて生成した。RNAを、Rnase T1で消化し、テール断片をLCMSによって分析した。3’mPのテールの断片は、ランオン転写物を示す。アルファプロセスは、32780Daであると計算された3’OH(クリーン)と32860Daであると計算された5’OH/3’mP(ランオン)を生成した。等モルプロセスは、32861Daの5’OH/3’mP(ランオン)及びはるかに少量の3’OH(クリーン)を生成した(
図38)。
【0325】
実施例6.総消化は、等モルプロセス由来のRNAがアルファプロセスで作られたRNAより高い存在量の非GTP5’ヌクレオチドを有することを示す
短いオープンリーディングフレームRNAを4つの異なる条件を用いて生成した:37℃2時間(標準)対25℃6時間及び等モル対アルファ。各RNAを、単一ヌクレオチドに酵素的に消化し、次いで5’ヌクレオチド存在量をLCMS(例えば、pppGまたはGTP、pppAまたはATPなど)によって分析した。5’Gは、最初の鋳型ヌクレオチドであり、つまり、不純なRNA集団が生成されたならば、ATP、CTP、またはUTP(例えば、等モルプロセス)として5’ヌクレオチドの大部分が存在することになり、純粋なRNA集団が生成されたならば、5’ヌクレオチドの大部分はGTPになる(例えば、アルファプロセス)ことを意味する。
【0326】
実施例7.アルファプロセスによって生成された短いオープンリーディングフレームRNAは、より少ない逆相補体を生成する
32P−GTPまたは32P−CTPのいずれかを含む等モルまたはアルファプロセスを用いて、G0(野生型)及びG5(m
1Ψ)化学において、短いオープンリーディングフレームRNAを生成した。32P−GTP標識アボーティブ転写物及び32P−CTP標識逆相補補体転写物。G0とG5の化学の間でアボーティブまたはRCプロファイルに違いはなかった。等モルプロセス及びアルファプロセスは、同様のアボーティブプロファイルを有する。等モルプロセスは、アルファプロセスよりも多くの逆相補体を生成する。
【0327】
実施例8.RNase T1消化は、ランオンの転写物集団に情報提供する
RNase T1は、5’水酸化物と3’一リン酸を残して、グアノシンヌクレオチドの後でRNAを特異的に切断するエンドヌクレアーゼである。3’末端に鋳型化グアノシンヌクレオチドを含む構築物では、RNase T1を使用して、3’水酸化物を含むきれいな転写物と比較して、3’一リン酸を残すランオン転写物の集団を識別し得る。等モルまたはアルファプロセスを用いてhEPO RNAを生成し、次いでRNase T1で消化し、そして質量分析により分析した。3’オリゴ断片を分析し、その3’不均一性について定量した。等モルプロセスで生成されたRNAは、約70〜80%のランオン転写物を含むが、アルファプロセスで生成されたRNAは、30〜40%のランオン転写物を含む。
【0328】
実施例9.試料純度を決定するためのRNAの全消化
ショートモデルRNA構築物(サロゲートRNA1)を、37℃または25℃のインキュベーションで等モルまたはアルファプロセスを用いて生成した。各試料をオリゴdT樹脂で精製して未反応のNTPを除去した。各試料を、S1及びベンゾナーゼヌクレアーゼを用いて単一ヌクレオチドに酵素的に消化した。5’末端で三リン酸化されている5’ヌクレオチドの存在量を質量分析によって分析した。抽出されたイオンピークを積分し、NTP存在量%を表5にまとめる。5’GTPが最初の鋳型化ヌクレオチドであるため、純粋なRNA集団は高い%GTP値で示される。同様に、不純なRNA集団は、比較的少量のGTPによって示される。EQプロセスを使用して生成された試料は、5%を超える非GTP5’ヌクレオチドを含むが、アルファプロセスを使用して生成された試料は5%未満の非GTP5’ヌクレオチドを有する。
【0329】
【表5】
【0330】
実施例10.dsRNA ELISAはdsRNAの存在を示す
hEPO RNA構築物を、等モルまたはアルファプロセスを使用して生成し、そしてオリゴdT樹脂のみ(−RP)または逆相精製(+RP)のいずれかにより精製した。dsRNA特異的抗体を使用するELISAを使用して、異なるプロセスを使用して生成されたRNAの純度の相対的差異を決定する。等モルプロセスを用いて生成されたRNAは、アルファプロセスを用いて生成されたRNAよりも有意により多くのdsRNAを含む(
図39)。逆相精製は、−RP RNAの純度を向上させる。
【0331】
実施例11.放射性シーケンシングゲル分析は試料純度を決定する
ショートモデルRNA構築物(サロゲートRNA 1)を等モルまたはアルファプロセスを用いて作製した。各IVT反応は、アボーティブ転写物を標識する
32P−GTP、または逆相補体転写物を標識する
32P−CTPのいずれかを含有した。RNA試料を配列決定ゲルによって分析した。
32P−GTPデータに基づくと、2つのプロセス間でアボーティブ転写物量に差はない。
32P−CTPデータに基づいて、等モルプロセスは、アルファプロセスよりも多くの逆相補体を生成する。
【0332】
実施例12.mRNAにドープされたdsRNAのインビボ分析
逆相精製したhEPO mRNAを、インタクトなhEPO構築物の最初の60ヌクレオチドに相当する5%、0.5%または0.05%w/wの60bp dsRNAを用いてドープした。mRNA試料を、MC3中に製剤化し、次いで0.5mpkでC57BL/6及びBalb−cマウスにIV投与した。24時間後、脾臓を採取し、ホモジナイズして単細胞懸濁液を生成した。脾細胞をB細胞マーカーについて染色し、次いでフローサイトメトリーによって分析した。活性化B細胞集団を、それらのCD86及びCD69マーカーの発現に基づいて分析した。60bpのdsRNAは以下の配列を有する。
【0333】
【化1】
【0334】
アルファプロセスによって生成されたhEPO mRNAを与えられた群は、ドープされたdsRNAとともにhEPOを与えられた群よりもB細胞活性化が低かった。血清も6時間後に収集し、サイトカイン・ルミネックス(luminex)パネルによって分析した。luminexパネルからのIP−10、IFN−ガンマ、及びIFN−アルファのマーカーについての発現傾向は、B細胞活性化分析からの傾向と一致しており、ドープされた試料中のdsRNAがI型インターフェロン経路を誘発させ、それがB細胞活性化をもたらしたことが示される。
【0335】
等価物
当業者は、本明細書に記載されている本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または慣用的な実験のみを用いて確認し得る。そのような等価物は、添付の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
【0336】
本明細書に開示されている、特許文献を含む全ての参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。