(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983464
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】改良された消弧デバイスを有する電気スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 9/44 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
H01H9/44 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-522861(P2020-522861)
(86)(22)【出願日】2018年7月31日
(65)【公表番号】特表2021-500712(P2021-500712A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】EP2018070713
(87)【国際公開番号】WO2019081083
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2020年6月19日
(31)【優先権主張番号】102017125260.6
(32)【優先日】2017年10月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514122166
【氏名又は名称】シャルトバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】特許業務法人 松原・村木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラリク、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ハメル、ダニエル
【審査官】
太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】
特表2017−510033(JP,A)
【文献】
特開昭50−050670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/30− 9/52
H01H 33/00−33/26
H01H 71/00−83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの接点(2)と、
前記接点に関連付けられた消弧デバイスと、
アーク放出用磁界を生成するアーク放出デバイスと
を備え、
前記消弧デバイスは、互いに離間して配置されて第1方向(11)に拡散し、それぞれが永久磁石(6)を有する複数の消弧要素(5)を備え、
前記アーク放出用磁界は、前記接点(2)が開いたときに発生するスイッチングアーク(7)を前記接点から前記消弧要素(5)に放出し、前記アーク放出用磁界は、前記消弧要素(5)の前記永久磁石(6)により少なくとも部分的に生成され又は補助される
ことを前提とする電気スイッチ装置(1)において、
前記消弧要素(5)の前記永久磁石(6)は、前記第1方向(11)に対して垂直な第2方向(12)において互いにオフセットしている
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記第2方向(12)は、前記アーク放出用磁界の主方向に対して平行である
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記第1方向(11)と前記第2方向(12)を含む平面で見たとき、前記消弧要素(5)の前記永久磁石(6)は波状パターンで配置されている
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記第1方向(11)と前記第2方向(12)を含む平面で見たとき、前記消弧要素(5)の前記永久磁石(6)はジグザグパターンで配置されている
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記消弧要素(5)のそれぞれは、電気絶縁材料製の保護スリーブ(8)を有し、前記保護スリーブ(8)は、前記消弧要素(5)において関連付けられた前記永久磁石(6)を覆う
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記消弧要素(5)は、前記保護スリーブ(8)内の異なる位置で前記永久磁石(6)を保持して、前記消弧要素(5)の前記永久磁石(6)の間において前記第2方向(12)のオフセットを生じさせるスペーサ(9)を有する
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記スペーサ(9)は、前記消弧デバイスの全ての前記消弧要素(5)を所定位置で保持するホルダ(10)の一部を構成する
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記アーク放出デバイスは、互いに平行な2枚の極板(16)に位置決めさられた少なくとも1つのアーク放出用磁石(15)を備え、
前記極板(16)は、前記消弧要素(5)と共に組立体(17)を形成し、前記組立体(17)は、工具なしに前記電気スイッチ装置から取り外し可能であると共に、前記アーク放出用磁石(15)に対して電磁的に固定可能である
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記消弧要素(5)のそれぞれには、前記第1方向(11)に略垂直に且つ前記第2方向(12)に垂直に延在し、前記接点(2)から離れる方向に面する外面側に設けられたリブ(18)が割り当てられている
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の電気スイッチ装置(1)において、
前記消弧要素(5)は、前記電気スイッチ装置(1)の消弧チャンバの互いに対向する2つの面側(19、20)と、前記2つの面側を接続する面側(21)とに設けられる
ことを特徴とする電気スイッチ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前提部に係る電気スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電気スイッチ装置は、少なくとも1つの接点と、接点に関連付けられた消弧デバイスと、アーク放出用磁界を生成するアーク放出デバイスとを有する。消弧デバイスは、互いに離間されて配置され且つ第1方向に沿って分散された複数の消弧要素を有し、各消弧要素は、永久磁石を有する。接点が開いたときに発生するスイッチングアークは、アーク放出用磁界により、接点から消弧要素に放出される。アーク放出用磁界は、消弧要素の永久磁石により、少なくとも部分的に生成又は補助される。
【0003】
独立請求項1の前提部に係る電気スイッチ装置は、例えばWO 2015/144309 A1として知られている。当該公報から公知の電気スイッチ装置は消弧チャンバを有し、この消弧チャンバの外側開口部の正面には、複数の円筒状永久磁石が配置される。これらの永久磁石は、一方では、永久に電磁的に生成されるアーク放出用磁界を補助し、他方では、同時に複数の消弧要素を形成し、スイッチングアークを永久磁石により引き付けることで消弧するように配置及び極化されている。各永久磁石は、少なくともアークにさらされる領域においてセラミック製の保護スリーブにより覆われることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された消弧デバイスを有することで電気スイッチ装置をコンパクトに維持することが可能な一般的なタイプの電気スイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、独立請求項1の特徴部により解決される。従って、独立請求項1の前提部に係る電気スイッチ装置において、消弧要素の永久磁石が、第1方向に垂直な第2方向において互いにオフセットしていることで、上記目的を達成する。また、本発明において、消弧要素の永久磁石は、スイッチングアークが永久磁石によって引き付けられることで又は永久磁石に取り込まれることで、永久磁石により消弧されるように配置及び極化される。接点から消弧要素の永久磁石に向かう際、スイッチングアークは拡張される。本発明において、消弧要素の永久磁石を互いにオフセットすることにより、スイッチングアークを例えば波状又はジグザグ状に湾曲させることで、スイッチングアークを追加的に拡張する。このようにスイッチングアークを湾曲させることで、本発明に係るスイッチ装置をコンパクトなデザインにしつつ、スイッチングアークを確実に消弧することが可能となる。
【0006】
本発明の好適な実施形態は、従属項の主題として記載される。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、第2方向は、アーク放出用磁界の主方向に対して平行である。スイッチングアークの移動方向及びアーク放出用磁界の主方向は、互いに垂直であるため、第2方向は、スイッチングアークの移動方向に対して垂直である。この実施形態によれば、消弧要素の永久磁石がオフセットするため、スイッチングアークを著しく湾曲させ又は追加的に拡張することが可能となる。アーク放出用磁界の主方向は、消弧要素の永久磁石の磁化方向に対応すると共に、アーク放出用磁石を設けた場合、アーク放出用磁石の磁化方向に対応する。
【0008】
本発明の別の好適な実施形態によれば、第1方向と第2方向を含む平面で見たとき、
消弧要素の永久磁石は波状パターンで配置されている。この実施形態によっても、スイッチングアークは強力に拡張されてより確実に消弧可能となる。波状パターンは、複数の谷と山を有することが好ましい。また、波状パターンは、正弦波状であることが好ましい。消弧要素の永久磁石は、波形のゼロクロス位置並びに波形の正側及び負側の頂点のそれぞれに配置されることが好ましい。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態によれば、第1方向と第2方向を含む平面で見たとき、消弧要素の永久磁石はジグザグパターンで配置されている。この実施形態によっても、スイッチングアークを強力に湾曲し又は追加的に拡張することが可能となる。
【0010】
本発明の別の好適な実施形態によれば、消弧要素のそれぞれは、消弧要素において関連付けられた永久磁石を覆う電気絶縁材料製の保護スリーブを有する。電気絶縁材料は、耐熱性の点で有利である。この実施形態によれば、本発明に係る電気スイッチ装置の製品寿命を長くすることが可能となる。
【0011】
保護スリーブは、セラミック製であることが好ましい。しかしながら、例えば耐熱プラスチック又は他の好適な材料からなる保護スリーブも可能である。
【0012】
本発明の別の好適な実施形態によれば、消弧要素は、保護スリーブ内の異なる位置で永久磁石を保持して、消弧要素の永久磁石の間において第2方向のオフセットを生じさせるスペーサを有する。この実施形態によれば、本発明に係る電気スイッチ装置について、シンプルな構成及び容易な組立てが可能となる。
【0013】
スペーサは、消弧デバイスの全ての消弧要素を保持するホルダの一部を構成することが好ましい。これによっても、本発明に係るスイッチ装置をシンプルな構成とすることが可能となる。ホルダは、2つの半体で構成されて、各消弧要素の第1スペーサがホルダの第1半体と一体的に構成され、各消弧要素の第2スペータがホルダの第2半体と一体的に構成されることが好ましい。消弧要素において関連付けられた永久磁石は、2つのスペーサの間に配置される。オフセットの大きさに応じて、2つのスペーサの一方を省略可能である。ホルダは、セラミック製であることが好ましい。或いは、ホルダは、耐熱プラスチック製としてもよい。
【0014】
本発明の別の好適な実施形態によれば、アーク放出デバイスは、互いに平行な2枚の極板に位置決めされた少なくとも1つのアーク放出用磁石を備える。極板は、消弧要素と共に組立体を形成し、この組立体は、工具なしにスイッチ装置から取り外し可能であると共に、アーク放出用磁石に対して電磁的に固定可能である。均質なアーク放出用磁界がアーク放出用磁石(永久磁石としてデザインされることが好ましい)と、アーク放出用磁石に関連付けられた2枚の極板とにより生成される。この実施形態によれば、メンテナンス目的で、消弧要素及び極板を有する組立体が容易に且つ迅速に本発明に係る電気スイッチ装置から取り外し可能であるという上記全てのメリットを得ることができる。少なくとも1つのアーク放出用磁石は、この組立体の一部とすることはできない。むしろ、少なくとも1つのアーク放出用磁石は、電気スイッチ装置の筐体に強固に接続される。好ましくは、2つのアーク放出用磁石が、アーク放出デバイス毎に設けられる。また、好ましくは、極板は、対応するアーク放出用磁石と電磁的に固定可能な突出部を有する。好ましくは、各アーク放出用磁石は、消弧要素及び極板を有する組立体がアーク放出用磁石に固定されたとき、第1極板の突出部と第2極板の突出部の間に配置される。
【0015】
本発明の別の好適な実施形態によれば、各消弧要素には、第1方向に略垂直に且つ第2方向に垂直に延在し、接点から離れる方向に面する外面側に設けられたリブが割り当てられる。これらのリブは、消弧領域外におけるスイッチングアークの意図しない再発火を抑制する。リブは、ホルダの一部を構成することが好ましく、プラスチック製又はより好ましくはセラミック製とすることができる。スイッチングアークの移動方向に沿って、リブは、言わば、消弧要素の延長部を形成する。リブは、それぞれのスリーブから前記外面側に向かうことが好ましい。リブは、従来の消弧要素と同様である。
【0016】
本発明の別の好適な実施形態によれば、消弧要素は、互いに対向する2つの面側と、電気スイッチ装置の消弧チャンバの側方において前記2つの面側を接続する面側とに設けられる。この実施形態によれば、コンパクトな構成と、スイッチングアークの確実な消弧の両方を可能とする。
【0017】
消弧要素の永久磁石は、強力な永久磁石であることが好ましい。永久磁石は、例えば、ネオジム製とすることができる。或いは、永久磁石は、強力なフェライト製としてもよい。また、好ましくは、永久磁石は、円柱棒状磁石として設計されて、低コストの一般的な磁石を利用可能とする。この場合、保護スリーブは、中空の円筒状である。
【0018】
本発明は、プリチャージコンタクタに好適に用いることができる。
【0019】
本発明の実施形態は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電気スイッチ装置の概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気スイッチ装置を、
図3の切断線IIに沿って示す断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す電気スイッチ装置を、
図2の切断線IIIに沿って示す縦方向断面図である。
【
図4】
図2において、適切に拡張されたスイッチングアークを発生させた状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るスイッチ装置の縦方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明において、同一の部品には、同一の参照符号が付される。図面に関連する明細書の箇所で明示的に言及されない参照符号を当該図面が含む場合、当該参照符号は、先に説明した又はその後に説明する図面の内容である。
【0022】
図1は、本発明に係る電気スイッチ装置1の概略斜視図である。スイッチ装置1は、接点2と、接点2に関連付けられた消弧デバイスと、アーク放出用磁界(magnetic blowout field)を生成するアーク放出デバイスとを有する。
図1では、本発明に係る電気スイッチ装置の構成要素又は部品のみを示している。
【0023】
接点2は、端子3と、これに対する対極端子4とを含む。端子3及び対極端子4は、本発明に係るスイッチ装置の駆動手段(図示せず)を介して互いに接続可能である。
【0024】
接点2に割り当てられた消弧デバイスは、互いに離間された複数の消弧要素5を有する(
図1では、一部の消弧要素5のみが示されている。)。消弧要素5は、本発明に係るスイッチ装置の縦方向断面を示す
図3と、本発明に係るスイッチ装置の断面を示す
図2とにおいて、複数の消弧要素5から成るグループとして最もよく示されている。
図2に示すように、消弧要素5のそれぞれは、永久磁石6を有する。
【0025】
本発明に係る電気スイッチ装置のアーク放出デバイスは、
図1に示す2つのアーク放出用磁石(blowing magnets)15と、互いに平行に配置され、2つのアーク放出用磁石15に位置決めされた2枚の極板16とを実質的に含む。アーク放出用磁石15も永久磁石である。極板16と共に、アーク放出用磁石15は、均質なアーク放出用磁界を生成し、接点2が開いたときに発生するスイッチングアークは、この磁界を介して、接点2から消弧要素5に向かって放出される。アーク放出用磁界は、消弧要素5の永久磁石6により補助される。いずれの場合でも、消弧要素5の永久磁石6は、スイッチングアークが消弧要素5に引きつけられて消弧要素5により消弧されるような極性を有する。アーク放出用磁石15が、電気スイッチ装置の他の構造(図示せず)に固定される一方、極板16は、本発明に係る電気スイッチ装置の消弧デバイスも含む組立体17の一部である。組立体17は、単純な方法で且つ工具の利用なしに着脱可能である。この目的のため、極板16は、アーク放出用磁石15に対して電磁的に固定可能な突出部22を有する。
【0026】
図3に示すように、消弧要素5は、電気スイッチ装置の消弧チャンバの頂面側19、頂面側19と反対の底面側20及び外面側21に設けられる。頂面側19及び底面側20は、外面側21により互いに接続される。消弧要素5は、互いに離間して配置され、第1方向に沿って分散される。第1方向は、頂面側、外面側及び底面側の間を進む方向であり、
図3の破線11で示される。
図2に示すように、消弧要素5のそれぞれは、永久磁石6と、永久磁石6を覆う保護スリーブ8とを有する。保護スリーブ8は、セラミック製であることが好ましいが、他の適切な電気絶縁材料から構成してもよい。適切なスペーサ9により、保護スリーブ8内において消弧要素5の永久磁石6が異なる位置に保持されることで、
図2に示すように、永久磁石6は、第1方向11と垂直な第2方向12において互いにオフセットされる。第1方向11及び第2方向12を含む平面において、永久磁石6は、波状パターンに配置される。永久磁石6のそれぞれは、正弦波のゼロクロス部分、正側の頂点及び負側の頂点に配置される。
【0027】
スペーサ9はホルダ10の一部であり、ホルダ10は、組立体17の一部であり且つ消弧デバイスの全ての消弧要素5を所定位置に保持する。ホルダ10は、2つの部分からなるデザインであり、半体13、14を含む。各消弧要素5の第1スペーサは、ホルダ10の第1半体13と一体化され、消弧要素5の第2スペーサは、ホルダ10の第2半体14と一体的に構成される。消弧要素5において関連付けられた永久磁石6は、2つのスペーサの間に配置される。正弦波の頂点に設けられる永久磁石6の場合、2つのスペーサの一方が省略される。
【0028】
図3は、接点2から離間するように面する外面側に設けられた消弧要素5のそれぞれに、第1方向11に対して略垂直に且つ第2方向12に対して垂直に延在するリブ18が割り当てられた様子を示す。リブ18は、従来の消弧要素と同様のものであり、消弧要素5の延長部を形成する。リブ18は、消弧要素5から又はセラミック製保護スリーブ8から外方に向かって延在する。リブ18は、プラスチック製又はセラミック製とすることができる。リブ18は、ホルダ10の半体の1つと一体に形成されることが好ましい。
【0029】
本発明に係る電気スイッチ装置の機能について以下で説明する。
【0030】
接点2が開くとき、端子3と対極端子4の間にスイッチングアーク7が生成される。この様子が
図3に示されている。アーク放出用磁石15及び2枚の極板16により生成されたアーク放出用磁界により、スイッチングアーク7は、接点2から消弧デバイスの消弧要素5に向かって放出される。従って、スイッチングアーク7は、接点2から消弧要素5に向かう際に拡張される。このことを図示するため、
図3では、異なる位置のスイッチングアークに、7、7'、7''、7'''、7''''を付して示す。スイッチングアークが消弧要素5に近づくほど、スイッチングアークは長くなる。アーク放出用磁界を補助する消弧要素5の永久磁石6により、スイッチングアークは、消弧要素5に取り込まれて、消弧要素5で消弧される。接点2とは反対側に面するリブ18は、消弧領域外におけるスイッチングアークの意図しない再発火を抑制する。
【0031】
図4に示すように、永久磁石6が第2方向12でオフセットしているため、スイッチングアーク7は、
図3に示すような拡張に加えて、波のように湾曲する。このことは、スイッチングアーク7の付加的な拡張を明らかに意味し、スイッチングアーク7をより確実に消弧可能とする。この点の長所は、本発明では第2方向12にオフセットされるため、電気スイッチ装置がコンパクトに維持され得ることである。
【0032】
図5は、本発明の第2実施形態に係るスイッチ装置の縦方向断面を示す。
図5のスイッチ装置は、
図1〜
図4に示す実施形態の変形例であり、共通の特徴についてここでは繰り返さない。第1実施形態と異なり、
図5のスイッチ装置1は、2つの接点2と共に2重の遮断部(double break)を有する。このケースでは、複数の端子3は、固定端子である。2つの接点2それぞれの対極端子4は、共通のコンタクトブリッジに設けられる。スイッチ装置は、両方の接点2に割り当てられた単一の消弧デバイスを有する。この実施形態においても、消弧デバイスは、第1実施形態と同様に設計された複数の消弧要素5を有する。消弧デバイスは、固定端子3を挟んでコンタクトブリッジとは反対側に配置される。各接点2が開いたときに発生する2つのスイッチングアークは組み合わさって、2つの固定端子3間から消弧デバイス内に案内される単一のスイッチングアーク7を形成する。
図5に示す実施形態において、リブ18は、円筒状の保護スリーブ8と共に、一部が切断された滴状(cut-off drop profile)の断面を成す。