特許第6983472号(P6983472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983472共有結合性有機構造体、共有結合性有機構造体を用いた吸着材、及び共有結合性有機構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983472
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】共有結合性有機構造体、共有結合性有機構造体を用いた吸着材、及び共有結合性有機構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/26 20060101AFI20211206BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20211206BHJP
   C08G 73/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B01J20/26 A
   B01J20/30
   B01J20/26 D
   B01J20/26 G
   C08G73/00
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-96725(P2017-96725)
(22)【出願日】2017年5月15日
(65)【公開番号】特開2018-192397(P2018-192397A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】特許業務法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】金子 卓
(72)【発明者】
【氏名】北川 進
(72)【発明者】
【氏名】堀毛 悟史
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−519961(JP,A)
【文献】 特表2010−516869(JP,A)
【文献】 特開2011−042724(JP,A)
【文献】 特開2012−207206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 − 20/34
C08G 73/00 − 73/26
C08G 79/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結クラスタと多座コア部が共有結合によって連続的に連結された共有結合性有機構造体であって、
前記連結クラスタは窒素原子を含有しており、前記連結クラスタの窒素原子と前記多座コア部の炭素原子が二重結合にて連結された結晶性の粒子として構成され、
前記連結クラスタは、1つの芳香環、または複数の芳香環が縮合したアセン類のいずれかを分子中に含んでおり、
前記多座コア部は、1以上のベンゼン環に前記炭素原子が結合した構造を備えており、
前記粒子中に芳香環の数が異なる複数種類の前記連結クラスタが存在している共有結合性有機構造体。
【請求項2】
前記複数種類の連結クラスタは、フェニル基を含む前記連結クラスタと、ナフチル基を含む前記連結クラスタとを含んでいる請求項1に記載の共有結合性有機構造体。
【請求項3】
フェニル基を含む前記連結クラスタと、ナフチル基を含む前記連結クラスタとの比は、40:60〜20:80の範囲内である請求項2に記載の共有結合性有機構造体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の共有結合性有機構造体を備え、気相または液相のを吸着および脱着する吸着材。
【請求項5】
連結クラスタと多座コア部が共有結合によって連続的に連結された共有結合性有機構造体の製造方法であって、
前記連結クラスタは窒素原子を含有しており、前記連結クラスタの窒素原子と前記多座コア部の炭素原子が二重結合にて連結された結晶性の粒子として構成され、
前記連結クラスタは、1つの芳香環、または複数の芳香環が縮合したアセン類のいずれかを分子中に含んでおり、
前記多座コア部は、1以上のベンゼン環に前記炭素原子が結合した構造を備えており、
所定種類の窒素含有クラスタを含んだ前記共有結合性有機構造体を生成する生成工程と、
前記共有結合性有機構造体に含まれる前記所定種類の窒素含有クラスタの一部を異なる種類の窒素含有クラスタに置換する置換工程と、
を備える共有結合性有機構造体の製造方法。
【請求項6】
前記置換工程では、前記異なる種類の窒素含有クラスタを前記共有結合性有機構造体に対して1〜4当量の割合で混合する請求項に記載の共有結合性有機構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結クラスタ多座コア部が共有結合された共有結合性有機構造体、共有結合性有機構造体を用いた吸着材、及び共有結合性有機構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを吸着する吸着材として、結晶構造により細孔(1〜2nm以下)が形成されたアルミノケイ酸塩や、設計的に細孔(〜2nm)が形成されたシリカ系材料といった多孔質材料が知られている。アルミノケイ酸塩としてはアルミナ/シリカ比が低いゼオライトがあるが、これは吸着エネルギーが大きく、吸脱着時の温度差が小さいと吸脱着量差が小さくなる。シリカ系材料としてはメソポーラスシリカがあるが、これは合成が難しく、吸脱着の繰り返しによる安定性も低い。他の多孔質材料としては、活性炭があるが、比表面積が大きいものの、細孔容積が小さいため吸着量が小さい。さらに、多孔質材料以外の吸着材としては高分子吸着材があるが、これは吸着量が多いものの、吸着による膨張と脱着による収縮を伴うため、吸脱着速度が遅い。
【0003】
近年、有機化合物を構成要素とした共有結合性有機構造体(COF:Covalent Organic Frameworks)を吸着材として用いることが報告されている(特許文献1、非特許文献1参照)。COFはナノサイズの細孔を有する多孔質材料であり、細孔の大きさや形状を分子構造で設計することができるという優れた特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5559545号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】H.Furukawa, O. M. Yaghi, Journal of the American Chemical Society, 131, 8875(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現在報告されているCOFは、化学的安定性が低いという課題があり、さらに吸脱着量差は他の材料からなる吸着材と比較して高くなってはいない。特許文献1および非特許文献1で報告されているCOFは、連結クラスタにホウ酸エステルが含まれており、水分の吸着によってホウ酸エステルが加水分解する。このため、耐久性が低くなり、水分の吸着量が少なくなる。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、共有結合性有機構造体において、耐久性を向上させ、ガスの吸着量を増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、窒素原子を含んだ窒素含有クラスタと多座コア部が共有結合によって連続的に結合された共有結合性有機構造体であって、連結クラスタは窒素原子を含有しており、連結クラスタの窒素原子と多座コア部の炭素原子が二重結合にて連結された結晶性の粒子として構成され、連結クラスタは、1つの芳香環、または複数の芳香環が縮合したアセン類のいずれかを分子中に含んでおり、多座コア部は、1以上のベンゼン環に炭素原子が結合した構造を備えており、粒子中に芳香環の数が異なる複数種類の連結クラスタが存在していることを特徴とする。
【0009】
本発明の共有結合性有機構造体は、窒素含有クラスタによって多座コア部を連結した構成を備えており、窒素含有クラスタと多座コア部の間には炭素原子と窒素原子が共有結合したイミンが形成されている。このため、化学的安定性が高く、耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の共有結合性有機構造体は、結晶粒子中に複数種類の窒素含有クラスタが含まれている。このため、1種類の窒素含有クラスタが含まれる共有結合性有機構造体よりも、ガスの吸着量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る共有結合性有機構造体の製造工程を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る共有結合性有機構造体の製造工程を示す図である。
図3】第1〜第3実施例の共有結合性有機構造体を粉末X線回折法で測定した結果を示す図である。
図4】第1〜第3実施例の共有結合性有機構造体のNMRスペクトルを示す図である。
図5】第1〜第3実施例の共有結合性有機構造体の水蒸気吸着量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の吸着材は、所定のガスを吸着する吸着材であり、具体的には吸着質として水蒸気を吸着するようになっている。本実施形態の吸着材は、例えばデシカント空調において、室内に供給される空気を除湿する除湿ロータに用いることができる。
【0013】
本実施形態の吸着材は、共有結合性有機構造体(COF)から構成されている。COFは、有機化合物が共有結合して周期構造を形成した多孔質の結晶性材料である。COFは、粉末状の結晶粒子となっている。本実施形態のCOFは、連結クラスタと多座コア部とが共有結合によって連続的に連結された構造体であり、多数の細孔が形成された網目形状となっている。多座コア部は、網目形状の分岐点に位置する有機構造部であり、連結クラスタは、隣り合う多座コア部を連結する有機構造部である。
【0014】
連結クラスタは、窒素原子を含有する窒素含有クラスタとなっている。本実施形態の窒素含有クラスタは、芳香族化合物に2つの窒素原子が結合した構造を備えている。窒素含有クラスタは、芳香族化合物として、1つの芳香族炭化水素または複数の環を持つ多環芳香族炭化水素、1つまたは複数の環を持つ複素環式芳香族化合物のいずれかを分子中に含んでいる。窒素含有クラスタは、以下の化学式(1)で示すことができる。
【0015】
【化1】
ただし、aおよびbは0以上の整数であり、R1〜R8は、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、芳香族複素環基のいずれかである。アルキル基は、直鎖状または分岐状でもよく、シクロアルキル基でもよい。アルキル基の炭素数は1〜20程度である。アルコキシ基は、直鎖状または分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよい。アルコキシ基の炭素数は1〜20程度である。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。アリール基には、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
【0016】
窒素含有クラスタの具体例として、以下に示すベンゼン、ナフタレンまたはアントラセンに2つの窒素原子が結合した構造を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
【化2】
本実施形態の多座コア部は、1以上のベンゼン環に2つの炭素原子が結合した構造を備えている。多座コア部は、以下の化学式(2)〜(5)で示すことができる。
【0018】
【化3】
化学式(2)〜(5)において、R1〜R14は、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、芳香族複素環基のいずれかである。アルキル基は、直鎖状または分岐状でもよく、シクロアルキル基でもよい。アルキル基の炭素数は1〜20程度である。アルコキシ基は、直鎖状または分岐状でもよく、シクロアルキルオキシ基であってもよい。アルコキシ基の炭素数は1〜20程度である。アリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。アリール基には、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
【0019】
多座コア部の具体例として、以下に示す構造を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
【化4】
窒素含有クラスタに含まれる2つの窒素原子が隣接する多座コア部に含まれる炭素原子と共有結合している。窒素含有クラスタの窒素原子と多座コア部の炭素原子は共有結合しており、窒素原子と炭素原子が二重結合したイミン(−C=N−)が形成されている。
【0021】
窒素含有クラスタと多座コア部は、連続的に結合して2次元状に広がる平面状構造体が形成されている。この平面状構造体が積層されることで、積層状の結晶構造を備えるCOFが構成される。
【0022】
COFの具体例として、以下の化学式(6)〜(8)に示す構造を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
化学式(6)のCOF(以下、「COF−LZU」という)は、1,3,5−ベンゼントリカルボアルデヒドとp−フェニレンジアミンを脱水縮合反応させることで得られる。化学式(7)のCOF(以下、「COF−Naph」という)は、1,3,5−ベンゼントリカルボアルデヒドと1,4−ナフタレンジアミンを脱水縮合反応させることで得られる。化学式(8)のCOF(以下、「COF−AN」という)は、1,3,5−ベンゼントリカルボアルデヒドと9,10−アントラセンジアミンを脱水縮合反応させることで得られる。
【0026】
本実施形態の吸着材として用いられるCOFは、1つの結晶粒子中に複数の窒素含有クラスタが存在する複合COFとして構成されている。複合COFには、窒素含有クラスタが異なる複数種類のCOFが含まれており、これら複数種類のCOFが1つの結晶粒子を構成している。複合COFとしては、COF−LZUとCOF−Naphが含まれた構成、あるいはCOF−LZUとCOF−ANが含まれた構成を挙げることができる。
【0027】
複合COFは、特定種類のCOFからなる結晶粒子に含まれる窒素含有クラスタの一部を異なる種類の窒素含有クラスタで置換することで得ることができる。
【0028】
例えば、図1に示すように、COF−LZUからなる結晶粒子にナフタレンジアミンを混合し、COF−LZUのベンゼン環の一部をナフタレンで置換することでCOF−LZUとCOF−Naphが含まれた複合COFを得ることができる。この場合には、出発物質であるCOF−LZUが結晶粒子の内殻部に存在し、置換により生成したCOF−Naphが結晶粒子の外殻部に存在するコアシェル構造になっていると推察される。
【0029】
また、図2に示すように、COF−LZUからなる結晶粒子にアントラセンジアミンを混合し、COF−LZUのベンゼン環の一部をアントラセンで置換することでCOF−LZUとCOF−ANが含まれた複合COFを得ることができる。この場合には、出発物質であるCOF−LZUが結晶粒子の内殻部に存在し、置換により生成したCOF−ANが結晶粒子の外殻部に存在するコアシェル構造になっていると推察される。
【0030】
本実施形態の複合COFを用いた吸着材は、1種類の窒素含有クラスタしか含まないCOFを用いた吸着材に比べて、水蒸気の吸着量が増大する。例えば、COF−LZUとCOF−Naphが含まれた複合COFからなる吸着材は、COF−LZUからなる吸着材およびCOF−Naphからなる吸着材のいずれよりも水蒸気の吸着量が増大する。
【0031】
以上説明した本実施形態の吸着材として用いられるCOFは、窒素含有クラスタによって多座コア部を連結した構成を備えており、窒素含有クラスタと多座コア部の間には炭素原子と窒素原子が共有結合したイミンが形成されている。このため、本実施形態のCOFを用いた吸着材は、水蒸気を吸着しても加水分解しないため、ホウ酸エステルを含んだCOFに比較して、化学的安定性が高く、耐久性が向上している。
【0032】
また、本実施形態の吸着材は、1つの結晶粒子中に異なる窒素含有クラスタが含まれる複合COFから構成されている。このため、本実施形態の吸着材は、1種類の窒素含有クラスタが含まれるCOFから構成される吸着材よりも、ガスの吸着量を増大させることができる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明の第1〜第3実施例について説明する。第1〜第3実施例では、COF−LZUを出発物質としてナフタレンジアミンを混合することで、COF−LZUとCOF−Naphが含まれた複合COFを合成した。第1〜第3実施例は、COF−LZUに混合するナフタレンジアミンの割合が異なっている。
【0034】
図1に示すように、COF−LZUからなる結晶粒子を生成する生成工程を行った後、COF−LZUの窒素含有クラスタの一部を置換する置換工程を行うことで、COF−LZUとCOF−Naphが含まれた複合COFの結晶粒子を得ることができる。
【0035】
まず、1,3,5−ベンゼントリカルボアルデヒドとp−フェニレンジアミンの混合物を70℃で6日加熱した。混合物の溶媒としてジオキサンと6M酢酸を用いた。得られた沈殿物を濾過し、洗浄、溶媒の除去を行ってCOF−LZUの結晶粒子を得た。
【0036】
次に、溶媒中でCOF−LZUの結晶粒子に対して1,4−ナフタレンジアミンを所定割合で混合し、70℃で加熱し窒素含有クラスタの置換反応を行った。COF−LZUに1当量のナフタレンジアミンを混合した例を第1実施例とし、COF−LZUに2当量のナフタレンジアミンを混合した例を第2実施例とし、COF−LZUに4当量のナフタレンジアミンを混合した例を第3実施例とする。
【0037】
得られた沈殿物を濾過し、洗浄、溶媒の除去を行ってCOF−LZUとCOF−Naphが含まれた複合COFの結晶粒子を得た。
【0038】
図3は、第1〜第3実施例の複合COFと、比較例としてCOF−LZUおよびCOF−Naphを粉末X線回折法(PXRD)で測定した結果を示している。
【0039】
図3に示すように、第1〜第3実施例の複合COFは、出発物質のCOF−LZUに比べて、(100)面および(200)面のピーク強度が増加している。このため、第1〜第3実施例の複合COFでは、COF−LZUのベンゼン環の一部がナフタレンに置換され、COF−LZUとCOF−Naphが含まれた構造となっていることが分かる。
【0040】
図4は、第1〜第3実施例の複合COFと、比較例としてCOF−LZUおよびCOF−NaphのNMRスペクトルを示している。図4において、Hcはナフタレンジアミン由来のピークであり、Hfはフェニレンジアミン由来のピークである。
【0041】
HcピークおよびHfピークに基づいて算出したナフタレンジアミンとフェニレンジアミンの比は、COF−LZUは0:100であり、COF−Naphは100:0である。また、第1〜第3実施例のナフタレンジアミンとフェニレンジアミンの比は、第1実施例(ナフタレンジアミン1当量)が20:80、第2実施例(ナフタレンジアミン2当量)が30:70、第3実施例(ナフタレンジアミン4当量)が60:40である。
【0042】
このように、第1〜第3実施例では、COF−LZUに混合するナフタレンジアミンの割合が高くなると、複合COFに含まれるCOF−Naphの割合が高くなっていることが分かる。
【0043】
図5は、第1〜第3実施例の複合COFと、比較例としてCOF−LZUおよびCOF−Naphの水蒸気の吸着量および脱着量を示している。縦軸は1グラム当たりの水蒸気の吸着量(cm-3)を示し、横軸は相対圧を示している。
【0044】
図5に示すように、COF−LZUおよびCOF−Naphに比べて、第1〜第3実施例の複合COFは、水蒸気の吸着量が増大している。つまり、COF−LZUおよびCOF−Naphを含んだ混合COFの結晶粒子は、COF−LZUのみからなる結晶粒子やCOF−Naphのみからなる結晶粒子よりも、水蒸気の吸着量が増大するという結果が得られた。
【0045】
図5に示すように、第1〜第3実施例の混合COFの水蒸気の吸着量は、第3実施例>第2実施例>第1実施例の順になっている。つまり、複合COFに含まれるCOF−Naphの割合が高い方が水蒸気の吸着量が大きくなっている。
【0046】
図5に示すように、COF−LZUは、相対圧が低い領域での脱着時に水蒸気の吸着量が多く残っている。つまり、COF−LZUは、相対圧が低い領域での水蒸気の吸脱着量差が小さい。
【0047】
これに対し、第1〜第3実施例の複合COFは、相対圧が低い領域での脱着時の吸着量がCOF−LZUよりも少なくなっている。このため、第1〜第3実施例の複合COFは、COF−LZUよりも、相対圧が低い領域での水蒸気の吸脱着量差が大きくなっている。
【0048】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0049】
(1)上記実施形態では、図1に示すように、COF−LZUを出発物質としてCOF−LZUとCOF−Naphが含まれる混合COFを合成したが、これに限らず、COF−Naphを出発物質としてCOF−LZUとCOF−Naphが含まれる混合COFを合成してもよい。この場合には、COF−Naphにフェニレンジアミンを混合し、COF−Naphを構成する窒素含有クラスタのナフタレンをベンゼン環に置換すればよい。
【0050】
同様に、上記実施形態では、図2に示すように、COF−LZUを出発物質としてCOF−LZUとCOF−ANが含まれる混合COFを合成したが、これに限らず、COF−ANを出発物質としてCOF−LZUとCOF−ANが含まれる混合COFを合成してもよい。この場合には、COF−ANにフェニレンジアミンを混合し、COF−ANを構成する窒素含有クラスタのアントラセンをベンゼン環に置換すればよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、本発明の吸着材で吸着質として水蒸気を吸着するように構成したが、これに限らず、本発明の吸着材で水蒸気とは異なる気相あるいは液相の吸着質を吸着するようにしてもよい。例えば、本発明の吸着材で二酸化炭素を吸着するようにしてもよく、あるいは気相または液相の揮発性有機化合物を吸着するようにしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5