特許第6983473号(P6983473)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983473ガスタービンシステムロータブレードの冷却通路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983473
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ガスタービンシステムロータブレードの冷却通路
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   F01D5/18
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-96899(P2017-96899)
(22)【出願日】2017年5月16日
(65)【公開番号】特開2017-214923(P2017-214923A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2020年5月13日
(31)【優先権主張番号】15/163,061
(32)【優先日】2016年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】メルボルン・ジェームス・マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】シウチャン・ジェームス・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ステュアート・サミュエル・コリンズ
(72)【発明者】
【氏名】カミーロ・アンドレス・サンパヨ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ブロック
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−245673(JP,A)
【文献】 特開平11−159345(JP,A)
【文献】 特開平10−280976(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0312941(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103422907(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンシステム(10)用のロータブレード(100)であって、当該ロータブレード(100)が、
半径方向内側表面(104)及び半径方向外側表面(106)を備えるプラットフォーム(102)と、
前記プラットフォーム(102)の半径方向内側表面(104)から半径方向内側に延在するシャンク部分(116)であって、前記シャンク部分(116)及び前記プラットフォーム(102)がシャンクポケット(120)を集合的に画定する、シャンク部分(116)と、
前記プラットフォーム(102)の半径方向外側表面(106)から半径方向外側に延在する翼形部(126)であって、1つ又は複数の後縁開口(144)を画定する翼形部(126)
を備えており
前記シャンク部分(116)、前記プラットフォーム(102)及び前記翼形部(126)が、前記シャンク部分(116)又は前記プラットフォーム(102)によって画定される冷却通路入口(150)であって前記シャンクポケット(120)に直結した冷却通路入口(150)から前記プラットフォーム(102)を通り、前記翼形部(126)によって画定され冷却通路出口(152)へ延在する冷却通路(148)を集合的に画定しており、前記冷却通路出口(152)が前記1つ又は複数の後縁開口(144)のすべてから全体的に半径方向内側に配置され、
前記1つ又は複数の後縁開口(144)の1つが前記冷却通路入口(150)と前記冷却通路出口(152)との間に軸方向(A)及び周方向(C)に配置される、ロータブレード(00)。
【請求項2】
前記冷却通路出口(152)が前記プラットフォーム(102)の半径方向外側表面(106)から半径方向外側に配置される、請求項1に記載のロータブレード(00)。
【請求項3】
前記冷却通路入口(150)が前記プラットフォーム(102)の半径方向内側表面(104)から半径方向内側に配置される、請求項1又は請求項2に記載のロータブレード(00)。
【請求項4】
前記翼形部(126)の負圧側壁(138)が前記冷却通路出口(152)を画定する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のロータブレード(00)。
【請求項5】
前記シャンクポケット(120)が前記シャンク部分(116)の正圧側(122)によって画定される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のロータブレード(00)。
【請求項6】
前記冷却通路出口(152)が前記翼形部(126)の根元(130)によって少なくとも部分的に画定される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のロータブレード(00)。
【請求項7】
前記冷却通路(148)がコーティングコレクタ(154)を備える、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のロータブレード(00)。
【請求項8】
前記シャンク部分(116)、前記プラットフォーム(102)、及び前記翼形部(126)が複数の冷却通路(148)を集合的に画定する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のロータブレード(00)。
【請求項9】
圧縮機セクション(14)と、
燃焼セクション(16)と、
1つ又は複数のロータブレード(00)を備えるタービンセクション(18)と
を備えるガスタービンシステム(10)であって、各ロータブレード(00)が、
半径方向内側表面(104)及び半径方向外側表面(106)を備えるプラットフォーム(102)と、
前記プラットフォーム(102)の半径方向内側表面(104)から半径方向内側に延在するシャンク部分(116)であって、前記シャンク部分(116)及び前記プラットフォーム(102)がシャンクポケット(120)を集合的に画定する、シャンク部分(116)と、
前記プラットフォーム(102)の半径方向外側表面(106)から半径方向外側に延在する翼形部(126)であって、1つ又は複数の後縁開口(144)を画定する翼形部(126)
を備えており
前記シャンク部分(116)、前記プラットフォーム(102)及び前記翼形部(126)が、前記シャンク部分(116)によって画定される冷却通路入口(150)であって前記シャンクポケット(120)に直結した冷却通路入口(150)から前記プラットフォーム(102)を通り、前記翼形部(126)によって画定された冷却通路出口(152)へ延在する冷却通路(148)を集合的に画定しており、前記冷却通路出口(152)が前記後縁開口(144)のすべてから半径方向内側に配置され、
前記1つ又は複数の後縁開口(144)の1つが前記冷却通路入口(150)と前記冷却通路出口(152)との間に軸方向(A)及び周方向(C)に配置される、ガスタービンシステム(10)。
【請求項10】
前記冷却通路出口(152)が、前記プラットフォーム(102)の半径方向外側表面(106)から半径方向外側に配置される、請求項に記載のガスタービンシステム(10)。
【請求項11】
前記冷却通路入口(150)が、前記プラットフォーム(102)の半径方向内側表面(104)から半径方向内側に配置される、請求項9又は請求項10に記載のガスタービンシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ガスタービンシステムに関する。より詳細には、本開示は、ガスタービンシステム用ロータブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムは、概して、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、および排気セクションを含む。圧縮機セクションは、ガスタービンシステムに流入する作動流体の圧力を徐々に上昇させ、この圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体および燃料(たとえば、天然ガス)は、燃焼セクション内で混合され、燃焼チャンバ内で燃焼して高圧および高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは燃焼セクションからタービンセクションへ流れ、そこで膨張して仕事を行う。たとえば、タービンセクション内の燃焼ガスの膨張は、発電機などに連結されたロータシャフトを回転させて発電することができる。燃焼ガスはその後、排気セクションを介してガスタービンから排出される。
【0003】
タービンセクションは、複数のロータブレードを含み、そこを流れる燃焼ガスから運動エネルギーおよび/または熱エネルギーを抽出する。これらのロータブレードは、概して、極端に高温の環境で動作する。十分な耐用年数を実現するために、ロータブレードは通常、内部冷却回路を含む。ガスタービンの稼働中、圧縮空気等の冷却媒体は内部冷却回路を通って送られ、ロータブレードを冷却する。
【0004】
いくつかの構成において、冷却媒体は、ロータブレードの後縁を貫通する複数の後縁通路を通って流れる。複数の後縁通路を通って流れる冷却媒体は、後縁に近接する翼形部の部分から熱を吸収することにより、後縁を冷却する。しかし、従来の後縁通路構成では、複数の後縁冷却開口から半径方向内側に配置された翼形部後縁の部分が冷却されないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8827647号明細書
【発明の概要】
【0006】
本技術の態様および利点は、以下の説明に一部分が記述され、またはこの説明から明らかにすることができ、または本技術の実施を通じて理解することができる。
【0007】
一態様において、本開示は、ガスタービンシステム用ロータブレードを対象とする。ロータブレードは、半径方向内側表面および半径方向外側表面を有するプラットフォームを含む。シャンク部分は、プラットフォームの半径方向内側表面から半径方向内側に延在する。シャンク部分およびプラットフォームは、シャンクポケットを集合的に画定する。翼形部は、プラットフォームの半径方向外側表面から半径方向外側に延在する。シャンク部分、プラットフォーム、および翼形部は、シャンク部分またはプラットフォームによって画定され、かつ、シャンクポケットに直結した冷却通路入口からプラットフォームを通り、翼形部によって画定された冷却通路出口へ延在する冷却通路を集合的に画定する。
【0008】
本開示のさらなる態様は、圧縮機セクション、燃焼セクション、およびタービンセクションを有するガスタービンシステムを対象とする。タービンセクションは、1つまたは複数のロータブレードを含む。各ロータブレードは、半径方向内側表面および半径方向外側表面を有するプラットフォームを含む。シャンク部分は、プラットフォームの半径方向内側表面から半径方向内側に延在する。シャンク部分およびプラットフォームは、シャンクポケットを集合的に画定する。翼形部は、プラットフォームの半径方向外側表面から半径方向外側に延在する。シャンク部分、プラットフォーム、および翼形部は、シャンク部分によって画定され、かつ、シャンクポケットに直結した冷却通路入口からプラットフォームを通り、翼形部によって画定された冷却通路出口へ延在する冷却通路を集合的に画定する。
【0009】
本技術のこれらの、ならびに他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されよう。添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、本技術の実施形態を示し、記述とともに本技術の原理を説明する役割を果たす。
【0010】
当業者を対象とし、本技術の最良の形態を含む、本技術の完全かつ実施可能な程度の開示が本明細書に記載され、本明細書は添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に開示された実施形態による例示的ガスタービンの概略図である。
図2】本明細書に開示された実施形態による、図1に示すガスタービンに組み込み可能な例示的ロータブレードの斜視図である。
図3図2に示す例示的ロータブレードの、その様々な特徴をさらに示す上面図である。
図4図2および図3に示すロータブレードの一部分の、複数の冷却通路を示す拡大側面図である。
図5図2および図3に示すロータブレードの一部分の、複数の冷却通路の1つをさらに示す拡大斜視図である。
図6図2および図3に示すロータブレードの一部分の、図4に示す複数の冷却通路に対応する複数の出口を示す、反対側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および図面における参照符号の反復使用は、本技術の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【0013】
次に、本技術の実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の実施例を添付図面に示す。詳細な説明では、数字および文字の符号を使用して図面における特徴を示す。図面および説明における類似または同一の符号は、本技術の類似または同一の部分を示すために使用されている。本明細書で使用する場合、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。用語「上流側」および「下流側」は、流体経路における流体の流れに対する相対的な方向を示す。たとえば、「上流側」は流体が流れてくる方向を示し、「下流側」は流体が流れていく方向を示す。
【0014】
各実施例は、本技術の説明のために提供され、本技術を限定するものではない。実際には、本技術の範囲または趣旨を逸脱することなく、本発明において修正および変形を行い得ることは当業者には明らかであろう。たとえば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態で使用し、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本技術は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るような修正および変形に及ぶことを意図するものである。産業用または陸上用のガスタービンが本明細書に示され説明されているが、本明細書に示され説明されている本技術は、請求項に別段の規定がなされていない限り、陸上用および/または産業用のガスタービンに限定されるものではない。たとえば、本明細書に記載の技術は、航空用ガスタービン(たとえば、ターボファンなど)、蒸気タービン、および海洋用ガスタービンなど、これらの例に限定されるものではないが、任意のタイプのタービンに使用することができる。
【0015】
次に、図面を参照すると、すべての図面を通して同一の番号が同一の要素を示し、図1はガスタービンシステム10を概略的に示す。本開示のタービンシステム10は、ガスタービンシステム10である必要はなく、むしろ蒸気タービンシステムまたは他の適切なシステム等の任意の適切なタービンシステムであってもよいことを理解されたい。ガスタービンシステム10は、吸気セクション12、圧縮機セクション14、燃焼セクション16、タービンセクション18、および排気セクション20を含むことができる。圧縮機セクション14およびタービンセクション18は、シャフト22によって結合することができる。シャフト22は、単一のシャフトまたはシャフト22を形成するように相互に結合された複数のシャフトセグメントであってもよい。
【0016】
タービンセクション18は、概して、複数のロータディスク26(その1つを示す)と、ロータディスク26から半径方向外側に延在し、ロータディスク26に相互接続された複数のロータブレード28とを有するロータシャフト24を含むことができる。各ロータディスク26は順に、タービンセクション18を通って延在するロータシャフト24の部分に結合することができる。タービンセクション18は、ロータシャフト24およびロータブレード28を周方向に囲む外側ケーシング30をさらに含み、それによりタービンセクション18を通る高温ガス通路32を少なくとも部分的に画定する。
【0017】
稼働中、空気等の作動流体は吸気セクション12を通って圧縮機セクション14に流入し、ここで空気が徐々に圧縮されて燃焼セクション16の燃焼器(図示せず)に圧縮空気を供給する。圧縮空気は燃料と混合され、各燃焼器内で燃焼して燃焼ガス34を生成する。燃焼ガス34は、高温ガス通路32を通って燃焼セクション16からタービンセクション18に流入し、ここでエネルギー(運動エネルギーおよび/または熱エネルギー)が燃焼ガス34からロータブレード28に伝達されることにより、ロータシャフト24が回転する。次いで、機械的回転エネルギーを圧縮機セクション14への電力供給および/または発電に使用することができる。タービンセクション18から流出する燃焼ガス34は、その後、排気セクション20を介してガスタービンシステム10から排出される。
【0018】
図2および図3は、本明細書に開示された1つまたは複数の実施形態を組み込むことができ、かつ、図1に示すロータブレード28の代わりにガスタービンシステム10のタービンセクション18に組み込むことができる、例示的ロータブレード100の図である。図2および図3に示すように、ロータブレード100は軸方向A、半径方向R、および周方向Cを画定する。半径方向Rは、軸方向Aに概して直交して延在し、周方向Cは、軸方向Aの周囲に概して同軸状に延在する。
【0019】
図2および図3に示すように、ロータブレード100はプラットフォーム102を含み、タービンセクション18の高温ガス通路32を通って流れる燃焼ガス34(図1)の半径方向内側の流れ境界として概して機能する。より具体的には、プラットフォーム102は、半径方向外側表面106から半径方向に間隔を置いて位置する半径方向内側表面104を含む。プラットフォーム102はまた、後縁面110から軸方向に間隔を置いて位置する前縁面108を含む。前縁面108は、燃焼ガス34の流れの中に配置され、後縁面110は、前縁面108から下流側に配置される。さらに、プラットフォーム102は、負圧側スラッシュ面114から周方向に間隔を置いて位置する正圧側スラッシュ面112を含む。
【0020】
図2に示すように、ロータブレード100は、プラットフォーム102の半径方向内側表面104から半径方向内側に延在するシャンク部分116を含む。1つまたは複数のエンジェルウィング118は、シャンク部分116から軸方向外側に延在することができる。シャンク部分116およびプラットフォーム102は、シャンクポケット120を集合的に画定する。図2に示す実施形態において、シャンクポケット120は、シャンク部分116の周方向内側に、その正圧側122から延在する。しかし、別の実施形態において、シャンクポケット120は、シャンク部分116の周方向内側に、その負圧側(図示せず)から延在してもよい。
【0021】
ロータブレード100はまた、シャンク部分116から半径方向内側に延在する根元部分124を含む。根元部分124は、ロータブレード100をロータディスク26(図1)に相互接続または固定することができる。図2に示す実施形態において、根元部分124は、ファーツリー構造を有する。しかし、根元部分124は、任意の適切な構造(たとえば、ダブテール構造など)を有してもよい。
【0022】
ロータブレード100は、プラットフォーム102から翼形部先端128へ半径方向外側に延在する翼形部126をさらに含む。したがって、翼形部先端128は、ロータブレード100の半径方向最外側部分を概して画定することができる。翼形部126は、翼形部根元130(すなわち、翼形部126とプラットフォーム102との交差部)でプラットフォーム102に結合する。いくつかの実施形態において、翼形部根元130は、翼形部126とプラットフォーム102との間を移行する半径またはフィレット132を含むことができる。この点において、翼形部126は、翼形部根元130と翼形部先端128との間に延在する翼形部スパン134を画定する。翼形部126はまた、正圧側壁136と、反対側の負圧側壁138とを含む。正圧側壁136および負圧側壁138は、翼形部126の前縁140で相互に接合または相互に連結され、燃焼ガス34の流れの中に向けられる。正圧側壁136および負圧側壁138はまた、翼形部126の後縁142で相互に接合または相互に連結され、前縁140から下流側に間隔を置いて位置する。正圧側壁136および負圧側壁138は、前縁140および後縁142の周囲に連続する。正圧側壁136は、概して凹状であり、負圧側壁138は、概して凸状である。
【0023】
図4図6に示すように、翼形部126は、内部冷却回路146と流体連通する1つまたは複数の後縁開口144を画定することができる。より具体的には、内部冷却回路146は、翼形部126を、たとえば蛇行通路でその内部に冷却空気を流すことによって冷却する。いくつかの実施形態において、内部冷却回路146は、ロータブレード100の根元部分124によって画定された吸気ポート(図示せず)を介して冷却空気を受けることができる。内部冷却回路146は、翼形部126によって画定され、その後縁142に沿って配置された1つまたは複数の後縁開口144を介して冷却空気を排出することができる。図4図6に示す実施形態において、1つまたは複数の後縁開口144の半径方向最内側は、翼形部根元130から半径方向外側に配置される。しかし、1つまたは複数の後縁開口144の半径方向最内側開口144は、他の実施形態において、翼形部根元130によって部分的にまたは全体的に画定されてもよい。
【0024】
ロータブレード100は、翼形部根元130およびそれに近接して配置されたプラットフォーム102の部分を冷却する1つまたは複数の冷却通路148をさらに画定する。図4に示す実施形態において、ロータブレード100は、3つの冷却通路148を画定する。しかし、ロータブレード100は、必要または所望に応じて、それ以上またはそれ以下の冷却通路148を画定してもよい。実際には、ロータブレード100は、ロータブレード100が少なくとも1つの冷却通路148を画定する限り、任意の数の冷却通路148を画定することができる。
【0025】
1つまたは複数の冷却通路148のそれぞれは、対応する冷却通路入口150から対応する冷却通路出口152へ延在する。図4に示すように、冷却通路入口150のそれぞれは、シャンクポケット120に直結し、流体連通する。冷却通路出口152のそれぞれは、高温ガス通路32と流体連通する。この点において、シャンクポケット120からの冷却空気は、1つまたは複数の冷却通路148を通って流れ、高温ガス通路32に流出することにより、翼形部根元130およびプラットフォーム102の部分を冷却することができる。
【0026】
プラットフォーム102、翼形部126、および/またはシャンク部分116は、1つまたは複数の冷却通路148を集合的に画定する。図4図6に示す実施形態において、シャンク部分116は、冷却通路入口150を画定し、翼形部126の負圧側壁138は、冷却通路出口152を画定する。したがって、冷却通路148は、シャンク部分116の正圧側122に配置されたシャンクポケット120からシャンク部分116およびプラットフォーム102を通り、翼形部126の負圧側壁138から外へと延在する。別の実施形態において、シャンクポケット120の半径方向外側境界を画定するプラットフォーム102の部分は、冷却通路入口150を画定することができる。これらの実施形態において、シャンク部分116は、1つまたは複数の冷却通路148のいずれの部分も画定しなくてもよい。さらなる実施形態において、プラットフォーム102は、冷却通路出口152を画定することができる。これらの実施形態において、翼形部126は、1つまたは複数の冷却通路148のいずれの部分も画定しなくてもよい。さらに、上述したように、シャンクポケット120は、シャンク部分116の負圧側(図示せず)によって画定されてもよい。そのような実施形態において、翼形部126の正圧側壁136は、冷却通路出口152を画定することができる。この点において、1つまたは複数の冷却通路148は、シャンク部分116の負圧側によって画定されたシャンクポケット120からシャンク部分116およびプラットフォーム102を通り、翼形部126の正圧側壁136から外へと延在する。
【0027】
図4図6に示す実施形態において、1つまたは複数の冷却通路148は、1つまたは複数の後縁開口144のすべてから全体的に半径方向内側に配置される。すなわち、冷却通路入口150および冷却通路出口152は、半径方向最内側後縁開口144から半径方向内側に配置される。より具体的には、冷却通路入口150は、プラットフォーム102の半径方向外側表面106から半径方向内側に配置され、冷却通路出口152は、プラットフォーム102の半径方向外側表面106から半径方向外側に配置される。実際には、冷却通路入口150は、図4に示す実施形態において、プラットフォーム102の半径方向内側表面104から半径方向内側に配置される。しかし、1つまたは複数の冷却通路148は、他の実施形態において、半径方向最内側後縁開口144から部分的にのみ半径方向内側に配置されてもよい。すなわち、冷却通路出口152は、そのような実施形態において、半径方向最内側後縁開口144と半径方向に一列に並べてもよく、または半径方向最内側後縁開口144から半径方向外側に配置してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、冷却通路出口152は、翼形部根元130によって部分的に画定される。図5および図6に示す実施形態において、たとえば、冷却通路出口152は、翼形部根元130によって部分的に画定され、かつ、翼形部126の負圧側壁138によって部分的に画定される。すなわち、冷却通路出口152の一部分は、翼形部根元130を貫通し、冷却通路出口152の別の部分は負圧側壁138を貫通する。別の実施形態において、冷却通路出口152は、翼形部根元130によって部分的に画定され、かつ、プラットフォーム102によって部分的に画定されてもよい。さらなる実施形態において、冷却通路出口152は、負圧側壁138、正圧側壁136、翼形部根元130、またはプラットフォーム102によって全体的に画定されてもよい。
【0029】
図4および図5に示すように、1つまたは複数の後縁開口144は、1つまたは複数の冷却通路148のそれぞれの冷却通路入口150と冷却通路出口152との間に軸方向および周方向に配置される。各冷却通路148が、対応する冷却通路入口150から対応する冷却通路出口152へ延在することから、1つまたは複数の冷却通路148のそれぞれの部分は、1つまたは複数の後縁開口144のすべてと軸方向および周方向に一列に並び、かつ、半径方向に間隔を置いて位置する。この点において、1つまたは複数の冷却通路148は、1つまたは複数の後縁開口144から半径方向内側に位置するプラットフォーム102および翼形部126の部分を通って冷却空気を導く。別の実施形態において、1つまたは複数の冷却通路148は、1つまたは複数の後縁開口144の下を交差しなくてもよい。
【0030】
図4に示す実施形態において、1つまたは複数の冷却通路148のそれぞれの冷却通路入口150は、半径方向に一列に並ぶ。同様に、1つまたは複数の冷却通路148のそれぞれの冷却通路出口152もまた、図6に示すように半径方向に一列に並ぶ。しかし、1つまたは複数の冷却通路入口150は、別の実施形態において、他の冷却通路入口150から半径方向に間隔を置いて位置してもよい。さらに、1つまたは複数の冷却通路出口152は、他の冷却通路出口152から同様に半径方向に間隔を置いて位置してもよい。
【0031】
図4図6に示す実施形態において、1つまたは複数の冷却通路148は、円形の断面形状を有する。しかし、1つまたは複数の冷却通路148は、任意の適切な形状(たとえば、楕円形、卵形、矩形など)を有してもよい。さらに、図4図6に示す実施形態においては、冷却通路148のすべてが同一の断面形状(すなわち円形)を有する。しかし、他の実施形態において、冷却通路148の一部が他の冷却通路148とは異なる断面形状を有してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の冷却通路148は、広がった形状を有してもよい。より具体的には、冷却通路148が広がった形状を有する実施形態において、冷却通路148の断面積は、冷却通路入口150から冷却通路出口152へと増大する。しかし、いくつかの実施形態において、冷却通路148の断面積は、冷却通路入口150から冷却通路出口152へと減少してもよい。さらに、1つまたは複数の冷却通路はまた、図4および図5に示すように一定の断面積を有してもよい。
【0033】
1つまたは複数の冷却通路148のそれぞれは、ロータブレード100に適用されたコーティング(たとえば、遮熱コーティング)が冷却通路148を閉塞させないように、コーティングコレクタ154を任意選択的に含むことができる。図4および図5に示すように、コーティングコレクタ154のそれぞれは、冷却通路出口152の周囲に周方向に配置された(すなわち、カウンタボアと同様の)拡張されたキャビティである。この点において、コーティングコレクタ154は、対応する冷却通路出口152に入りこむ余分のコーティングを集め、それによってコーティングが冷却通路148を塞がないようにする。
【0034】
上述したように、1つまたは複数の冷却通路148は、冷却空気をシャンクポケット120から高温ガス通路32へ導き、それによってプラットフォーム102および翼形部126の部分を冷却する。上述したように、プラットフォーム102および翼形部126は、燃焼ガス34に曝され、その温度が上昇する。しかし、シャンクポケット120は、たとえば圧縮機セクション14から抽出された冷却空気を含むことができる。この冷却空気は、1つまたは複数の冷却通路入口150のそれぞれに流入し、対応する冷却通路148を通って流れる。冷却通路148を通って流れる間、冷却空気はプラットフォーム102および翼形部126から熱を吸収することによって、それらを冷却する。使用済みの冷却空気は、その後、対応する冷却通路出口152を通って1つまたは複数の冷却通路148から流出し、高温ガス通路32へ流れる。
【0035】
より詳細に上述したように、1つまたは複数の冷却通路148のそれぞれは、対応する冷却通路入口150から対応する冷却通路出口152へ延在する。冷却通路入口150は、シャンクポケット120に結合され、冷却通路出口152は、翼形部126によって画定される。この点において、1つまたは複数の冷却通路148は、冷却空気をシャンクポケット120からプラットフォーム102および翼形部126を通って高温ガス通路32へ流出するように導く。したがって、1つまたは複数の冷却通路148は、半径方向最内側後縁開口144から半径方向内側に位置する後縁142に近接するプラットフォーム102および翼形部126の部分を冷却する。
【0036】
本明細書は、最良の形態を含め、本技術を開示するために、また、任意のデバイスまたはシステムの製作および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含め、当業者が本技術を実施できるように、実施例を使用する。本技術の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、それらが本特許請求の範囲の文言と異ならない構成要件を含む場合、または本特許請求の範囲の文言と実質的な差異を有さない等価の構成要件を含む場合に、本特許請求の範囲にあると意図される。
[実施態様1]
半径方向内側表面(104)および半径方向外側表面(106)を備えるプラットフォーム(102)と、
前記プラットフォーム(102)の前記半径方向内側表面(104)から半径方向内側に延在するシャンク部分(116)であって、前記シャンク部分(116)および前記プラットフォーム(102)がシャンクポケット(120)を集合的に画定する、シャンク部分(116)と、
前記プラットフォーム(102)の前記半径方向外側表面(106)から半径方向外側に延在する翼形部(126)と
を備え、
前記シャンク部分(116)、前記プラットフォーム(102)、および前記翼形部(126)が、前記シャンク部分(116)または前記プラットフォーム(102)によって画定され、かつ、前記シャンクポケット(120)に直結した冷却通路入口(150)から前記プラットフォーム(102)を通り、前記翼形部(126)によって画定された冷却通路出口(152)へ延在する冷却通路(148)を集合的に画定する、
ガスタービンシステム(10)用ロータブレード(28、100)。
[実施態様2]
前記冷却通路出口(152)が前記プラットフォーム(102)の前記半径方向外側表面(106)から半径方向外側に配置される、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様3]
前記冷却通路入口(150)が前記プラットフォーム(102)の前記半径方向内側表面(104)から半径方向内側に配置される、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様4]
前記翼形部(126)が1つまたは複数の後縁開口(144)を画定し、前記冷却通路出口(152)が前記1つまたは複数の後縁開口(144)のすべてから全体的に半径方向内側に配置される、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様5]
前記1つまたは複数の後縁開口(144)の1つが前記冷却通路入口(150)と前記冷却通路出口(152)との間に軸方向(A)および周方向(C)に配置される、実施態様4に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様6]
前記翼形部(126)の負圧側壁(138)が前記冷却通路出口(152)を画定する、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様7]
前記シャンクポケット(120)が前記シャンク部分(116)の正圧側(122)によって画定される、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様8]
前記冷却通路出口(152)が前記翼形部(126)の根元(130)によって少なくとも部分的に画定される、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様9]
前記冷却通路(148)がコーティングコレクタ(154)を備える、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様10]
前記シャンク部分(116)、前記プラットフォーム(102)、および前記翼形部(126)が複数の冷却通路(148)を集合的に画定する、実施態様1に記載のロータブレード(28、100)。
[実施態様11]
圧縮機セクション(14)と、
燃焼セクション(16)と、
1つまたは複数のロータブレード(28、100)を備えるタービンセクション(18)と
を備え、
各ロータブレード(28、100)が、
半径方向内側表面(104)および半径方向外側表面(106)を備えるプラットフォーム(102)と、
前記プラットフォーム(102)の前記半径方向内側表面(104)から半径方向内側に延在するシャンク部分(116)であって、前記シャンク部分(116)および前記プラットフォーム(102)がシャンクポケット(120)を集合的に画定する、シャンク部分(116)と、
前記プラットフォーム(102)の前記半径方向外側表面(106)から半径方向外側に延在する翼形部(126)と
を備え、
前記シャンク部分(116)、前記プラットフォーム(102)、および前記翼形部(126)が、前記シャンク部分(116)によって画定され、かつ、前記シャンクポケット(120)に直結した冷却通路入口(150)から前記プラットフォーム(102)を通り、前記翼形部(126)によって画定された冷却通路出口(152)へ延在する冷却通路(148)を集合的に画定する、ガスタービンシステム(10)。
[実施態様12]
前記冷却通路出口(152)が、前記プラットフォーム(102)の半径方向外側表面(106)から半径方向外側に配置される、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様13]
前記冷却通路入口(150)が、前記プラットフォーム(102)の半径方向内側表面(104)から半径方向内側に配置される、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様14]
前記翼形部(126)が1つまたは複数の後縁開口(144)を画定し、前記冷却通路出口(152)が前記後縁開口(144)のすべてから半径方向内側に配置される、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様15]
前記1つまたは複数の後縁開口(144)の1つが前記冷却通路入口(150)と前記冷却通路出口(152)との間に軸方向(A)および周方向(C)に配置される、実施態様14に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様16]
前記シャンクポケット(120)が前記シャンク部分(116)の正圧側(122)によって画定される、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様17]
前記翼形部(126)の負圧側壁(138)が前記冷却通路出口(152)を画定する、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様18]
前記冷却通路出口(152)が前記翼形部(126)の根元(130)によって少なくとも部分的に画定される、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様19]
前記冷却通路(148)がコーティングコレクタ(154)を備える、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
[実施態様20]
前記シャンク部分(116)、前記プラットフォーム(102)、および前記翼形部(126)が複数の冷却通路(148)を集合的に画定する、実施態様11に記載のガスタービンシステム(10)。
【符号の説明】
【0037】
10 ガスタービンシステム
12 吸気セクション
14 圧縮機セクション
16 燃焼セクション
18 タービンセクション
20 排気セクション
22 シャフト
24 ロータシャフト
26 ロータディスク
28 ロータブレード
30 外側ケーシング
32 高温ガス通路
34 燃焼ガス
100 ロータブレード
102 プラットフォーム
104 プラットフォームの半径方向内側表面
106 プラットフォームの半径方向外側表面
108 プラットフォームの前縁面
110 プラットフォームの後縁面
112 プラットフォームの正圧側スラッシュ面
114 プラットフォームの負圧側スラッシュ面
116 シャンク部分
118 エンジェルウィング
120 シャンクポケット
122 シャンク部分の正圧側
124 根元部分
126 翼形部
128 翼形部先端
130 翼形部根元
132 半径またはフィレット
134 翼形部スパン
136 翼形部の正圧側壁
138 翼形部の負圧側壁
140 前縁
142 後縁
144 後縁開口
146 内部冷却回路
148 冷却通路
150 冷却通路入口
152 冷却通路出口
154 コーティングコレクタ
A 軸方向
C 周方向
R 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6