(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983486
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】アルギン酸系ナノファイバー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08B 37/04 20060101AFI20211206BHJP
C08L 5/04 20060101ALI20211206BHJP
D01F 9/04 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
C08B37/04
C08L5/04
D01F9/04
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-72313(P2015-72313)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-190975(P2016-190975A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年12月11日
【審判番号】不服2020-5554(P2020-5554/J1)
【審判請求日】2020年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪本 浩規
【合議体】
【審判長】
大熊 幸治
【審判官】
吉岡 沙織
【審判官】
関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−56456(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/112446(WO,A2)
【文献】
特開2009−41117(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102071497(CN,A)
【文献】
Polymer Engineering & Science,2009年,49(11),p.2242−2248
【文献】
Journal of Biomedical Materials Research,Part B: Applied Biomaterials,2014年,102B(3),p.508−515
【文献】
Soft Nanoscience Letters,2014年,4,p.6−14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
C08L
REGISTRY(STN)
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸を含み直径が1〜50nmであるナノファイバーであって、ナトリウム、カリウムの含有量の和が、前記ナノファイバーの総質量に対して5質量%以下であるナノファイバー。
【請求項2】
アルギン酸と水とを含む混合物に対して、50MPa以上の高圧処理を行う工程を含む、直径が1〜50nmであるアルギン酸のナノファイバーを製造する方法であって、ナトリウム、カリウムの含有量の和が、前記ナノファイバーの総質量に対して5質量%以下である方法。
【請求項3】
前記高圧処理が高圧噴射処理である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記混合物におけるアルギン酸の濃度が0.5〜5質量%である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
pH1〜7で前記高圧処理を行う、請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載のナノファイバー及び水を80質量%以上含む溶媒を含むナノファイバー分散体。
【請求項7】
請求項6に記載の分散体を噴霧乾燥して得られる、粒径(D50)が20μm以下の粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルギン酸系ナノファイバー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルギン酸は、主に海草類に含まれる多糖類の一種であり、α−L−グルロン酸、β−D−マンヌロン酸が直鎖状に共重合した構造を取っており、人工イクラ、ゲル化剤、増粘剤等の食品及び食品添加物、胃粘膜保護剤、歯科印象剤等の医薬品、紙のコーティング剤等の用途に利用されている。しかしながら、アルギン酸は水に不溶とされているため、通常、ナトリウム塩等の形で用いられる(非特許文献1)。
【0003】
アルギン酸をナトリウム塩として用いる場合、アルギン酸の含有量に比例して、ナトリウムの含有量も当然に増加する。しかしながら、食品及び食品添加物、又は医薬品の用途において用いられる場合、ナトリウムの摂取が問題となる可能性がある。また、工業用途として、例えば電子材料等の用途に用いる場合では、ナトリウム原子の含有が望ましくない場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】繊維学会誌 Vol.65、 No.12、444−448(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アルギン酸系ナノファイバー及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
また、金属含有量の低いアルギン酸系ナノファイバー及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記背景のもと、本発明者等は、カルボン酸ナトリウム構造ではなく、カルボン酸構造であれば、ナトリウム等の金属原子の混入を避けることが可能であることに着目した。本発明者等は、前記課題を達成するため、この着眼点に基づき鋭意検討した結果、アルギン酸を用いて、短時間で、簡易に、安価な原料から均一で透明性の高いナノファイバー分散体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
【0009】
項1. β−D−マンヌロン酸構造及び/又はα−L−グルロン酸構造を有する多糖類を含むナノファイバー。
【0010】
項2. アルギン酸構造を有する多糖類を含むナノファイバー。
【0011】
項3. ナトリウム、カリウムの含有量の和が、前記ナノファイバーの総重量に対して5重量%以下である前記項1又は2に記載のナノファイバー。
【0012】
項4. 前記多糖類がβ−D−マンヌロン酸及び/又はα−L−グルロン酸の重合体である、前記項1〜3のいずれかに記載のナノファイバー。
【0013】
項5. 直径が100nm以下である前記項1〜4のいずれかに記載のナノファイバー。
【0014】
項6. アルギン酸及び/又はアルギン酸誘導体と水とを含む混合物に対して、50MPa以上の高圧処理を行う工程を含む、アルギン酸及び/又はアルギン酸誘導体のナノファイバーを製造する方法。
【0015】
項7. 固形分の総重量に対してのナトリウム含有量が5重量%以下である、前記項6に記載の製造方法。
【0016】
項8. 固形分の総重量に対してアルギン酸の割合が50重量%以上である、前記項6又は7に記載の製造方法。
【0017】
項9. pH9以下で前記高圧処理を行う、前記項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
項10. 前記項1〜5のいずれかに記載のナノファイバー及び水を80重量%以上含む溶媒を含むナノファイバー分散体。
【0019】
項11. 前記項10に記載の分散体を噴霧乾燥して得られる、粒径(D50)が20μm以下の粒子。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法によれば、簡易な装置を用いて、分散性及び分散液の透明性が高く、均一で他材料との親和性にも優れるアルギン酸系ナノファイバーとその製造方法を提供できる。また、水に不溶なアルギン酸を用いて、金属含有量の低いアルギン酸系ナノファイバーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例1で用いた原料のアルギン酸のSEM画像である。
【
図2】実施例1で得られたアルギン酸ナノファイバーのSEM画像(倍率:1000倍)である。
【
図3】実施例1で得られたアルギン酸ナノファイバーのSEM画像(倍率:10000倍)である。
【
図4】実施例2で用いた原料のアルギン酸(非膨潤性)のSEM画像である。
【
図5】実施例2で得られたアルギン酸ナノファイバーのSEM画像(倍率:1000倍)である。
【
図6】実施例2で得られたアルギン酸ナノファイバーのSEM画像(倍率:10000倍)である。
【
図7】実施例3で用いた原料のアルギン酸(膨潤性)のSEM画像である。
【
図8】実施例3で得られたアルギン酸ナノファイバーのSEM画像(倍率:1000倍)である。
【
図9】実施例3で得られたアルギン酸ナノファイバーのSEM画像(倍率:10000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.アルギン酸系ナノファイバー
本発明のナノファイバーは、β−D−マンヌロン酸構造及び/又はα−L−グルロン酸構造を有する多糖類を含むナノファイバーである。また、本発明のナノファイバーは、好ましくはアルギン酸構造を有する多糖類を含むナノファイバーである。本発明において、両者ともに「アルギン酸系ナノファイバー」ということもある。
【0023】
本発明のアルギン酸系ナノファイバーは、β−D−マンヌロン酸構造及び/又はα−L−グルロン酸構造(好ましくはアルギン酸構造)を有する多糖類を含むナノファイバーである。β−D−マンヌロン酸構造とは、好ましくは、下記構造式(1):
【0025】
で表わされる構造をいう。α−L−グルロン酸構造とは、好ましくは、下記構造式(2):
【0028】
アルギン酸構造とは、β−D−マンヌロン酸及びα−L−グルロン酸というカルボキシル基を有する単糖が直線上に結合したポリマー構造をいう。より具体的に言えば、前記構造式(1)のみからなるブロック、前記構造式(2)のみからなるブロック、並びに前記構造式(1)及び(2)の混合からなるブロックの3種のブロックによって組み立てられる構造をいう。
【0029】
前記多糖類としては、前記構造式(1)及び前記構造式(2)以外の構造(例えば、前記構造式(1)及び(2)以外の単糖構造)を単量体構造として含んでいてもよい。その他の単量体構造としては、例えば、下記構造式(3):
【0031】
(式中、Rはナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、プロピレングリコールエステルを示す。)
で表わされるβ−D−マンヌロン酸系構造、下記構造式(4):
【0033】
(式中、Rはナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、プロピレングリコールエステルを示す。)
で表わされるα−L−グルロン酸系構造の単糖構造を挙げることができる。
【0034】
前記構造式(1)、(2)、(3)及び(4)の単量体構造は、多糖類全体に対する単量体構造の割合として、95%以上であることが好ましく、97〜100%であることがより好ましい。特に好ましくは、前記多糖類は、実質的に(例えば、99%以上)前記構造式(1)、前記構造式(2)、前記構造式(3)及び前記構造式(4)のみからなるアルギン酸又はその誘導体である。
【0035】
前記アルギン酸又はその誘導体としては、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸エステル(例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル)等を挙げることができる。
【0036】
前記多糖類は、多糖類総重量に対するナトリウム、カリウムの含有量の和が5重量%以下であることが好ましい。ナトリウム、カリウムの含有量は、ICP発光分光分析法、蛍光X線分析(WDX)、原子吸光分析、イオンクロマトグラフィ等により求めることができる。例えば、前記多糖類がアルギン酸又はアルギン酸の誘導体である場合、前記構造式(3)及び(4)におけるRとして、ナトリウム及びカリウムが含まれる。ナトリウム含有量の多いアルギン酸ナトリウムは一般に水溶性であることが知られている。一方、ナトリウム含有量が低い(言い換えると、前記構造式(1)及び(2)の構造の割合が大きい)アルギン酸は、水への溶解性が極めて低い(例えば、pH2.5〜2.8の水へは不溶)ことが知られている。本発明では、アルギン酸等の非水溶性の多糖類であっても、ナノファイバーの成分として好ましく使用できる。
【0037】
本発明のアルギン酸系ナノファイバーは、長くアスペクト比が大きい。例えば、得られるナノファイバーの直径(太さ)は好ましくは100nm以下であり、より好ましくは1〜100nmであり、特に好ましくは1〜50nmである。長さは好ましくは1μm以上であり、より好ましくは1〜30μmである。アスペクト比は好ましくは20以上であり、より好ましくは20〜1000である。ナノファイバーの長さ、太さ、アスペクト比は電子顕微鏡観察(SEM、TEM等)により測定することができる。
【0038】
2.アルギン酸系ナノファイバーの製造方法
本発明のアルギン酸系ナノファイバーは、原料である多糖類(好ましくはアルギン酸及び/又はアルギン酸誘導体)及び溶媒の混合物に対して50MPa以上の高圧処理を行うことにより製造することができる。
【0039】
本発明における高圧処理は、高圧をかけて噴射した混合物同士を衝突させる処理、高圧をかけて混合物を噴射して固体とぶつける処理等が考えられる。当該高圧処理としては、例えば、細いノズル(例えば、直径0.1〜0.2mm程度)から混合物を噴射する方法等が一般的である。混合物を噴射する際の圧力は50MPa以上であり、好ましくは50〜1000MPa、より好ましくは100〜700MPaである。
【0040】
前記高圧処理において、原料である多糖類(好ましくはアルギン酸又はその誘導体)は、種々の多糖類を使用することができる。例えば、一般的に海草類等の天然物から抽出されるアルギン酸及びその誘導体は、含まれる単糖類の比率が原料となる海草類の種類によって異なり、これら種々のアルギン酸及びその誘導体を使用することができる。アルギン酸又はその誘導体としては、水溶性のもの、膨潤性のもの、非膨潤性のもの等が知られているが、そのいずれも使用することができる。これらの多糖類は、一種単独であっても、二種以上混合で用いてもよい。アルギン酸の含有量は、アルギン酸及びアルギン酸の誘導体全量に対して50重量%以上であることが好ましい。
【0041】
また、原料の多糖類(好ましくはアルギン酸又はその誘導体)は、天然物からの抽出以外にも、公知の方法により製造されたものを用いることも可能である。さらに、市販品をそのまま用いることも可能である。市販品としては、株式会社キミカ製のキミカアシッドG又はキミカアシッドSA;和光純薬工業株式会社製のアルギン酸(膨潤性)又はアルギン酸(非膨潤性)等を挙げることができる。
【0042】
前記溶媒としては、多糖類(特にアルギン酸又はその誘導体)との親和性が高い点で、水を含むことが好ましい。溶媒には水以外に有機溶媒を含むことができるが、溶媒の総重量に対して、水の含有量が80重量%以上(80〜100重量%)であることが好ましい。水以外の有機溶媒としては、アルコール等の極性溶媒が好ましい。
【0043】
前記多糖類(好ましくはアルギン酸又はその誘導体)及び溶媒の混合物は、多糖類が溶媒に溶解した溶液であっても、多糖類が溶媒に溶解していない分散液であってもよい。
【0044】
特に、アルギン酸又はその誘導体は、一般的に、水溶性のアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム等が多く使用される。本発明では、これらの水溶性アルギン酸誘導体であっても原料として用いることが可能である。金属塩を含まないアルギン酸は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性溶液にのみ溶解することが可能であり、これらの水溶液は水溶液中で塩を形成して溶解しているだけであるため、前記アルギン酸カリウム及びアルギン酸ナトリウムと同様に使用できる。
【0045】
分散液としては、水、熱水に不溶であるアルギン酸を用いることができる。アルギン酸は膨潤性及び非膨潤性のものが知られているが、そのいずれも使用することができる。アルギン酸であれば、金属の含有、加熱時にアンモニアが発生する等の問題が生じる恐れがなく、広い用途で適用可能である。
【0046】
前記溶媒は、中性の水又は金属塩を含まない酸性水溶液であることが特に好ましい。通常、アルギン酸は中性の水又は酸性溶液には溶解しないが、中性の水又は金属塩を含まない酸性の溶媒を用いることで分散液の状態でナノファイバーを製造することができ、金属の含有等を回避できる。金属塩を含まない酸性水溶液としては、例えば、塩酸、酢酸等を挙げることができる。また、具体的には、中性の水又は金属塩を含まない酸性の溶媒としては、pH9以下(例えば、pH1〜7)の水溶液を挙げることができる。
【0047】
このように、本発明の原料は、前記アルギン酸系ナノファイバーに含まれる多糖類であれば、様々な多糖類(好ましくはアルギン酸又はその誘導体)を用いることができる。例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の水溶性又は非水溶性のいずれのアルギン酸及びアルギン酸誘導体を使用することができる。これらのアルギン酸及びアルギン酸誘導体は、一種単独で用いることができ、また、二種以上混合して用いることもできる。
【0048】
処理を行う際の原料濃度は、混合物全体に対して、0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がより好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。濃度が0.1重量%以上であれば生産性を向上することができ、濃度が20重量%よりも低いことでナノファイバー化が進むにつれて高粘度化する可能性及び高粘度化によりナノファイバー化が不完全になる可能性を防ぐことができる。
【0049】
高圧処理を行う時間は、特に限定的ではなく、通常、1分以上(例えば、1分〜24時間)である。高圧処理は、1回でも、複数回行ってもよい。
【0050】
3.アルギン酸系ナノファイバーを含む分散体
本発明の分散体は、前記アルギン酸系ナノファイバー及び溶媒を含む。溶媒としては、前記製造方法において使用できる溶媒が好ましく、水を含むことが好ましい。
【0051】
本発明の分散体は、処理後の分散体をそのまま用いてもよいが、分散体を濃縮又は希釈することで任意の濃度の分散体とすることができる。また、処理後、分散体をろ過等することで、アルギン酸系ナノファイバーを溶媒と分離し、適宜、分離したアルギン酸系ナノファイバーを溶媒で洗浄した後、再度溶媒に分散させることもできる。洗浄、再度の分散に用いる溶媒は、前記処理で使用する溶媒と同じものを使用することができる。
【0052】
本発明の分散体は、噴霧乾燥することにより、アルギン酸系ナノファイバーを粒径の小さな粒子(好ましくは粒径(D50)が20μm以下)として得ることができる。このような粒子は、例えば、樹脂にアルギン酸系ナノファイバーを混練する場合に好適である。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0054】
実施例1
アルギン酸(株式会社キミカ製「キミカアシッド」SA)20g(
図1)に対して水980gを加え、マグネティックスターラーで10分間混合したところ、不均一な分散液(固形分2重量%)が得られた。その分散液を240MPaの圧力でノズルから噴射し、SiC(炭化ケイ素)ボールに衝突させるという操作を20回繰り返したところ、半透明の均一な分散液が得られた。
【0055】
この分散液のSEM観察により長さ、TEM観察により太さを確認した結果、太さ約10〜40nm、長さは少なくとも3μm以上のナノファイバーが観察された(
図2,3)。
【0056】
実施例2
原料をアルギン酸(非膨潤性:和光純薬性)20g(
図4)に変える以外は、実施例1と同様に処理を行った。
半透明の均一な分散液が得られ、この分散液のSEM観察により長さ、TEM観察により太さを確認した結果、太さ約10〜40nm、長さは少なくとも3μm以上のナノファイバーが観察された(
図5,6)。
【0057】
実施例3
原料をアルギン酸(膨潤性:和光純薬性)20g(
図7)に変える以外は、実施例1と同様に処理を行った。
【0058】
透明で均一な分散液が得られ、この分散液のSEM観察により長さ、TEM観察により太さを確認した結果、太さ約10〜40nm、長さは少なくとも3μm以上のナノファイバーが観察された(
図8,9)。
【0059】
比較例1
実施例2で用いたアルギン酸(非膨潤性:和光純薬性)2gに水98gを加え、マグネティックスターラーで激しく72時間撹拌した。その結果、均一な状態にはならず、速やかにアルギン酸が沈殿した。
【0060】
比較例2
実施例2で用いたアルギン酸(膨潤性:和光純薬性)2gに水98gを加え、マグネティックスターラーで激しく72時間撹拌した。その結果、アルギン酸は水を吸収して膨潤し、半透明の状態となったが均一な分散体にはならなかった。