【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、研究を重ねた結果、スルホン酸基含有ポリマーとアルコキシシランとを特定の比率となるように混合し、アルコキシシランを加水分解させることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0008】
即ち、本発明は、スルホン酸基含有ポリマーとアルコキシシランとを混合した混合物を調製し、上記混合物中で上記アルコキシシランを加水分解させてなり、以下の式1を満足することを特徴とするアルコキシシラン加水分解組成物である。
(式1) WA/WB=3.5/96.5〜50/50
(式1中、WAは、上記混合物中の上記スルホン酸基含有ポリマーの配合量(質量)を表し、WBは、上記混合物中の上記アルコキシシランの配合量(質量)を表す。)
また、上記スルホン酸基含有ポリマーは、スルホン酸基変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
また、上記アルコキシシランは、テトラアルコキシシランの加水分解物であることが好ましい。
また、本発明は、スルホン酸基含有ポリマーとアルコキシシランとを混合した混合物を調製する工程と、上記混合物中で上記アルコキシシランを加水分解させる工程を有し、以下の式1を満足することを特徴とするアルコキシシラン加水分解組成物の製造方法でもある。
(式1) WA/WB=3.5/96.5〜50/50
(式1中、WAは、上記混合物中の上記スルホン酸基含有ポリマーの配合量(質量)を表し、WBは、上記混合物中の上記アルコキシシランの配合量(質量)を表す。)
以下、本発明のアルコキシシラン加水分解組成物について詳細に説明する。
【0009】
本発明は、スルホン酸基含有ポリマーとアルコキシシランとを混合した混合物を調製し、上記混合物中で上記アルコキシシランを加水分解させてなり、以下の式1を満足することを特徴とするアルコキシシラン加水分解組成物である。
(式1) WA/WB=3.5/96.5〜50/50
(式1中、WAは、上記混合物中の上記スルホン酸基含有ポリマーの配合量(質量)を表し、WBは、上記混合物中の上記アルコキシシランの配合量(質量)を表す。)
本発明によって奏される優れた保存安定性は、スルホン酸基含有ポリマーの存在下で、アルコキシシランを加水分解することにより、加水分解反応に対しては優れた触媒作用を有する一方で、アルコキシシランの加水分解物の縮合反応を抑制するという、スルホン酸基含有ポリマーの特徴によりもたらされたものであると考えられる。また、アルコキシシランの加水分解物は、上述したように、縮合反応が容易に進行してしまうので、単離して構造や特性を特定することが極めて困難であり、本発明のアルコキシシラン加水分解組成物の構造や特性を特定することも極めて困難である。
なお、従来の方法によりアルコキシシランを加水分解した後に、スルホン酸基含有ポリマーを添加したとしても、上述した優れた保存安定性を得ることはできない。
【0010】
上記スルホン酸基含有ポリマーとしては、スルホン酸基変性ポリビニルアルコールが好ましい。
上記スルホン酸基含有ポリマーを得る方法としては、例えば、酢酸ビニル系モノマーとスルホン酸基含有モノマーを共重合し、その後ケン化して得られるものや、酢酸ビニル系モノマーとスルホン酸塩含有モノマーを共重合し、その後ケン化及びイオン交換によってスルホン酸塩をスルホン酸基に変換して得られるもの等が挙げられる。
なお、上記ケン化する際のケン化度としては、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
【0011】
上記酢酸ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミスチリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、バーサテック酸ビニル等のビニルエステル系モノマー等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、ビニルスルホン酸、アクリルアミドターシャリーブチルスルホン酸、オルトスチレンスルホン酸、メタスチレンスルホン酸、パラスチレンスルホン酸等が挙げられる。
上記スルホン酸塩含有モノマーとしては、上記スルホン酸基含有モノマーの塩等が挙げられる。
【0012】
上記スルホン酸基含有ポリマーとしては、CKS−50、L−3266(日本合成化学社製)、SK−5102(クラレ社製)、A−12SL(東亞合成社製)等の市販のスルホン酸塩含有ポリマーを、イオン交換処理等により脱塩したものが挙げられる。
【0013】
また、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類等が挙げられる。
なかでも、水系の溶媒中において比較的安定であることから、テトラアルコキシシラン類が好ましい。
なかでも、加水分解速度が大きく、また、加水分解によって発生するアルコールの乾燥性が適切であることから、テトラエトキシシランがより好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
上記スルホン酸基含有ポリマーと上記アルコキシシランとを混合した混合物を調製する際には、溶媒(溶剤)を用いて上記混合物を調製するのが好ましい。
上記溶媒(溶剤)としては、上記スルホン酸基含有ポリマーを溶解し得るものであれば、水性及び非水性のどちらの溶剤でも使用できる。
上記溶媒(溶剤)としては、水と低級アルコールとの混合溶剤を用いることが好ましい。
具体的には、水と、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数2〜4の低級アルコールの少なくとも1種を15〜70質量%含む混合溶剤であることが好ましい。
上記混合溶剤を使用すると、スルホン酸基含有ポリマーの溶解性が良好となり、適度な固形分を維持するためにも好適である。
上記混合溶剤中の炭素数2〜4の低級アルコールの含有量が上記範囲外であると、スルホン酸基含有ポリマーが析出、若しくは、保存安定性が低下することがある。
【0015】
上記アルコキシシラン加水分解組成物は、加水分解をさらに制御するために一般的に知られている触媒、塩化錫やアセチルアセトナート等を添加してもよい。
【0016】
本発明のアルコキシシラン加水分解組成物は、上記混合物中の上記スルホン酸基含有ポリマーの配合量と、上記混合物中の上記アルコキシシランの配合量とが、下記(式1)を満足することにより、得られるアルコキシシラン加水分解物の保存安定性を優れたものとすることができる。
(式1) WA/WB=3.5/96.5〜50/50
(式1中、WAは、上記混合物中の上記スルホン酸基含有ポリマーの配合量(質量)を表し、WBは、上記混合物中の上記アルコキシシランの配合量(質量)を表す。)
上記WA/WBが3.5/96.5未満であると、保存安定性が低下し、WA/WBが50/50を超えると、樹脂が析出もしくは保存安定性が低下する。
上記WA/WBは、4/96〜15/85であることが好ましい。
【0017】
〔アルコキシシラン加水分解組成物の製造方法〕
本発明は、スルホン酸基含有ポリマーとアルコキシシランとを混合した混合物を調製する工程と、上記混合物中で上記アルコキシシランを加水分解させる工程を有し、以下の式1を満足することを特徴とするアルコキシシラン加水分解組成物の製造方法でもある。
(式1) WA/WB=3.5/96.5〜50/50
(式1中、WAは、上記混合物中の上記スルホン酸基含有ポリマーの配合量(質量)を表し、WBは、上記混合物中の上記アルコキシシランの配合量(質量)を表す。)
上記アルコキシシラン加水分解組成物を製造する方法としては、上記構成要件を満たせば従来公知の方法を用いることができ、例えば、テトラアルコキシシランに溶媒及びスルホン酸基含有ポリマーを加え、攪拌装置や分散装置を利用して各成分を混合する方法等を挙げることができる。
【0018】
上記攪拌装置や分散装置としては、通常の撹拌装置や分散装置であれば特に限定されず、これらを用いて分散液中で各成分を均一に混合することができればよく、例えば、スリーワンモータ(新東科学社製)等が挙げられる。