(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、大便器に設けられる洗浄装置の高機能化に伴って、設置スペースの確保の観点から、脱臭機能を維持したままで脱臭装置のコンパクト化が求められている。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱臭機能を維持したままコンパクト化することができる脱臭装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、便器本体(例えば、後述する便器本体2)が有する便鉢(例えば、後述する便鉢4)の後部に設置され、斜め下方に向けて開口している吹出口(例えば、後述する吹出口33)を側方に有するベース(例えば、後述するベース8)と、前記ベースの上方に空間を形成するように前記ベースを覆うカバー(例えば、後述するカバー11)と、を備える脱臭装置(例えば、後述する局部洗浄装置3)を提供する。
【0007】
前記カバーは、側面視で前記吹出口の少なくとも一部を遮蔽していることが好ましい。
【0008】
前記ベースは、前記吹出口と前記便鉢の上端周縁との間に間隔を空けた状態で前記便鉢の後部上に載置されていることが好ましい。
【0009】
通過する空気に含まれる臭気を取り除き、通過した空気を斜め下方に向けて放出する脱臭部(例えば、後述する脱臭カートリッジ31)を備え、前記吹出口は、前記脱臭部から放出された空気を前記ベースの外側に吹き出すことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、脱臭機能を維持したままコンパクト化することができる脱臭装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、便宜上、左右方向は便座に着座する大便器の利用者から見た左右方向を意味する。
【0013】
まず、
図1及び
図2を用いて、大便器1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る局部洗浄装置3を備える大便器1をその前方斜め上方から視た斜視図である。
図2は、便座5、便蓋6、及び局部洗浄装置3のカバー11を取り外した状態の大便器1の上面図である。
【0014】
図1及び
図2に示す大便器1は、水洗式の大便器であり、便器本体2と、局部洗浄装置3と、等を備える。また、大便器1は、洗浄水を貯留するタンク100と、洗浄水を供給するポンプ、弁及び配管と、等を備えるが、これらの説明については省略する。
【0015】
便器本体2は、汚物を受ける便鉢4と、この便鉢4の底部から下方に延びる排水管(図示省略)と、便鉢4に対して開閉する便座5及び便蓋6と、を含んで構成される。便鉢4の上部には、その周縁に沿って洗浄水の旋回流を生成するリム流水路(図示省略)と、その旋回流を排水管に向けて落し込む流れを生成する落し込み流路(図示省略)と、が形成されている。
【0016】
局部洗浄装置3は、便鉢4の後部に設けられる。この局部洗浄装置3は、局部洗浄や温風乾燥等のための各種機能部品を収容するケース7を備える。ケース7は、便鉢4の上端周縁に設置されるベース8と、このベース8の前面中央に形成された横長の開口部9を開閉するシャッター10と、ベース8に組み付けられるカバー11と、を有する。カバー11には、便座5及び便蓋6がそれぞれ回動可能に取り付けられている。
【0017】
このような局部洗浄装置3は、洗浄水を吐出するノズルユニット12と、このノズルユニット12に温水を供給する温水供給ユニット13と、風を送り出す送風ユニット14と、汚物から発生する臭気を除去する脱臭ユニット15と、これら各ユニット12〜15の駆動を司る制御基板16と、この制御基板16及び各種機能部品に電力を供給する電源基板17と、等を備える。この局部洗浄装置3は、脱臭ユニット15を中心に、脱臭装置として機能する。
【0018】
ノズルユニット12は、ベース8の中央に配置されている。このノズルユニット12は、肛門洗浄用の洗浄ノズル18と、この洗浄ノズル18を駆動させるノズル駆動機構19と、洗浄ノズル18と共に左右に並んでツインノズルを構成するビデ用の洗浄ノズル20と、この洗浄ノズル20を駆動させるノズル駆動機構21と、を有する。
【0019】
左右一対の洗浄ノズル18,20は、互いに平行で前方に向かって下方に傾斜するように、ベース8に対して進退可能に支持される。これら洗浄ノズル18,20は、不使用時に、開口部9を閉じた状態のシャッター10の内側に収容されている。
【0020】
肛門洗浄用の洗浄ノズル18は、ノズル駆動機構19によって斜め下方に進出することで、その先端が、シャッター10の内面の突起(図示省略)を介してシャッター10の内面下側を押すことになり、開口部9を閉じる方向に付勢されているシャッター10を、上方に回動させながら開いて開口部9の前方に突出する。この時、洗浄ノズル18に押し開かれたシャッター10は、開口部9を閉じる方向の付勢力に抗して、開口部9の下側から開く下開き状態になる。
【0021】
ビデ用の洗浄ノズル20は、ノズル駆動機構21によって斜め下方に進出することで、その先端が、シャッター10の内面の突起(図示省略)を介してシャッター10の内面上側を押すことになり、開口部9を閉じる方向に付勢されているシャッター10を、下方に回動させながら開いて開口部9の前方に突出する。この時、洗浄ノズル20に押し開かれたシャッター10は、開口部9を閉じる方向の付勢力に抗して、開口部9の上側から開く上開き状態になる。
【0022】
これら洗浄ノズル18,20は、それぞれ、下方に位置する先端部に、温水供給ユニット13によって供給された洗浄水を吐出する吐出孔22を有する。
【0023】
温水供給ユニット13は、ベース8の右側に配置されている。この温水供給ユニット13は、個別の配管を介して各洗浄ノズル18,20に接続されており、設定温度に調温された温水を、洗浄水として各洗浄ノズル18,20へ供給する。
【0024】
送風ユニット14は、ベース8の右側に配置されている。この送風ユニット14は、外気を開口部9に導く送風ダクト24と、この送風ダクト24内に設けられた送風機25と、送風ダクト24内における送風機25の下流側に設けられたヒーター26及びイオン発生装置27と、を備える。
【0025】
送風ダクト24は、外気の取込口(図示省略)を上流端に有すると共に、開口部9からケース7の外側に臨む吹出口28を下流端に有する。この送風ダクト24は、送風機25の駆動によって、取込口から外気を取り込んで吹出口28から風を吹き出す。送風機25は、送風ダクト24内に、取込口から吹出口28への気流を発生させる。ヒーター26は、送風ダクト24に取り込まれた空気を温める。イオン発生装置27は、送風ダクト24に取り込まれた空気を電離させてプラスイオンとマイナスイオンを生じさせる。
【0026】
このような送風ユニット14は、送風機25と共にヒーター26を駆動させることで、吹出口28から温風を吹き出す。また、送風ユニット14は、送風機25と共にイオン発生装置27を駆動させることで、吹出口28からプラスイオンとマイナスイオンを含む風を吹き出し、これらのイオンによって浮遊菌を不活化する。これにより、浮遊菌の繁殖を抑制し又は除菌する。
【0027】
脱臭ユニット15は、ベース8の左側に配置されている。この脱臭ユニット15は、便鉢4内の空気を便鉢4の外部に導く脱臭ダクト29と、この脱臭ダクト29内に設けられた送風機30と、脱臭ダクト29内における送風機30の下流側に設けられた脱臭カートリッジ31と、を備える。
【0028】
脱臭ダクト29は、ベース8の前方中央寄りに形成された吸込口32を上流端に有すると共に、ベース8の左側に形成された吹出口33を下流端に有する。その脱臭ダクト29は、送風機30の駆動によって、吸込口32から便鉢4内の空気を吸い込んで吹出口33から風を吹き出す。送風機30は、脱臭ダクト29内に、吸込口32から吹出口33への気流を発生させる。脱臭カートリッジ31は、脱臭用の触媒を内蔵しており、脱臭ダクト29に吸い込まれた空気を通過させることで、通過する空気に含まれる臭気を取り除く。
【0029】
なお、本実施形態では、脱臭カートリッジ31として、活性炭等を触媒とする吸着型の脱臭剤を採用するが、光触媒のように紫外線等の光線を照射することによって物質を分解する機能を有する分解型のものを採用してもよい。
【0030】
次に、
図3及び
図4を用いて、脱臭ユニット15について説明する。
図3は、局部洗浄装置3をその前方斜め下方から視た斜視図である。
図4は、
図2における矢印IV−IVの方向に視た脱臭ユニット15の断面図である。
【0031】
図3及び
図4に示すように、ベース8の左側に形成された吹出口33は、左側側方に向けて斜め下方に開口している。ベース8は、吹出口33と便鉢4の上端周縁との間に間隔34を空けた状態で載置される。カバー11は、ベース8の上方に空間を形成するようにベース8を覆う。このカバー11は、左側側面視で吹出口33を遮蔽している。
【0032】
なお、吹出口33は、その傾斜方向に沿って延びる複数の直線状の孔子によって格子状に形成されている。ここで、通常、吹出口を格子状とすることにより開口面積は小さくなるところ、本実施形態の吹出口33は傾斜しているため、十分な開口面積が得られるようになっている。
【0033】
ベース8は、脱臭カートリッジ31が配置される部分が、吹出口33の方向に向かって下方に傾斜している。脱臭カートリッジ31は、吹出口33の方向に向かって下方に傾斜するように配置される。これにより、脱臭カートリッジ31は、通過した空気を吹出口33に向かって斜め下方に放出する。結果、吹出口33は、脱臭カートリッジ31から放出された空気をベース8の外側に滑らかに吹き出す。
【0034】
次に、局部洗浄装置3の動作モードについて説明する。
【0035】
局部洗浄装置3は、脱臭モード、お尻洗浄モード、ビデモード、温風乾燥モード、鉢内除菌モード等の各種動作モードで動作する。
【0036】
脱臭モードは、便鉢4内を脱臭する動作モードである。脱臭モードにおいて局部洗浄装置3は、肛門洗浄用の洗浄ノズル18を斜め下方に進出させることで、シャッター10を上方に回動させて下開き状態にする。その後、局部洗浄装置3は、送風ユニット14の送風機25を駆動させて、吹出口28から吹き出される風を便鉢4の内面に広がる方向に導くと共に(
図2中の矢印参照)、脱臭ユニット15の送風機30を駆動させて、吸込口32から便鉢4内の空気を吸い込み脱臭カートリッジ31で臭気を取り除く。なお、脱臭モードにおいて局部洗浄装置3は、送風ユニット14のヒーター26及びイオン発生装置27を駆動させない。
【0037】
お尻洗浄モードは、肛門を洗浄する動作モードである。お尻洗浄モードにおいて局部洗浄装置3は、肛門洗浄用の洗浄ノズル18を斜め下方に進出させることで、シャッター10を上方に回動させて下開き状態にする。その後、局部洗浄装置3は、温水供給ユニット13を駆動させて、洗浄ノズル18の吐出孔22から肛門に向けて洗浄水を吐出させると共に、脱臭ユニット15の送風機30を駆動させて、吸込口32から便鉢4内の空気を吸い込み脱臭カートリッジ31で臭気を取り除く。なお、お尻洗浄モードにおいて局部洗浄装置3は、送風ユニット14を駆動させない。
【0038】
ビデモードは、女性の局部を洗浄する動作モードである。ビデモードにおいて局部洗浄装置3は、肛門洗浄用の洗浄ノズル18を斜め下方にわずかに進出させることで、シャッター10を上方にわずかに回動させてから、ビデ用の洗浄ノズル20を斜め下方に進出させることで、引き続きシャッター10を上方に回動させて下開き状態にする。その後、局部洗浄装置3は、温水供給ユニット13を駆動させて、洗浄ノズル20の吐出孔23から女性の局部に向けて洗浄水を吐出させると共に、脱臭ユニット15の送風機30を駆動させて、吸込口32から便鉢4内の空気を吸い込み脱臭カートリッジ31で臭気を取り除く。なお、ビデモードにおいて局部洗浄装置3は、送風ユニット14を駆動させない。
【0039】
温風乾燥モードは、臀部を温風で乾燥させる動作モードである。温風乾燥モードにおいて局部洗浄装置3は、ビデ用の洗浄ノズル20を斜め下方に進出させることで、シャッター10を下方に回動させて上開き状態にする。その後、局部洗浄装置3は、送風ユニット14の送風機25及びヒーター26を駆動させて、吹出口28から吹き出される温風を臀部に向かう方向に導く。なお、温風乾燥モードにおいて局部洗浄装置3は、送風ユニット14のイオン発生装置27、及び脱臭ユニット15を駆動させない。
【0040】
鉢内除菌モードは、便鉢4内を除菌する動作モードである。鉢内除菌モードにおいて局部洗浄装置3は、肛門洗浄用の洗浄ノズル18を斜め下方に進出させることで、シャッター10を上方に回動させて下開き状態にする。その後、局部洗浄装置3は、送風ユニット14の送風機25及びイオン発生装置27を駆動させて、吹出口28から吹き出されるプラスイオンとマイナスイオンを含む風を便鉢4の内面に広がる方向に導く。なお、鉢内除菌モードにおいて局部洗浄装置3は、送風ユニット14のヒーター26、及び脱臭ユニット15を駆動させない。
【0041】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態に係る局部洗浄装置3は、便器本体2が有する便鉢4の後部に設置され、斜め下方に向けて開口している吹出口33を側方に有するベース8と、ベース8の上方に空間を形成するようにベース8を覆うカバー11と、を備える。
これにより、吹出口33が便鉢4の上端周縁と上下で重なる場合であっても、吹出口33からベース8の外側に空気を吹き出すことができるので、吹出口33が便鉢4の上端周縁よりも外側に位置するようにベース8を大型化する必要がない。このため、局部洗浄装置3をコンパクト化することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る局部洗浄装置3は、ベース8を覆うカバー11を備え、カバー11は側面視で吹出口33の少なくとも一部を遮蔽しているため、吹出口33が隠れ、意匠性を向上させることができる。
また、ベース8が、吹出口33と便鉢4の上端周縁との間に間隔を空けた状態で載置されるので、便鉢4の大きさに関係なく利用することができる。
さらには、脱臭カートリッジ31から斜め下方に向けて放出された空気を、斜め下方に向けて開口している吹出口33がベース8の外側に吹き出すので、吹出口33での圧損を少なくすることができる。
【0043】
以上、本発明の局部洗浄装置3の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。