【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0052】
以下の実施例・比較例では、下記の方法で測定および評価を行った。
【0053】
(粒子径の測定)
粒度分布計(ゼータサイザーナノZS、マルバーン製)を用い、ガラス製セルに約1mlの溶液を入れて25℃で測定した。
【0054】
(棘の高さの測定および棘状の突起が粒子表面に占める割合の算出)
棘の形状は、下記の手順で測定した。
【0055】
1.走査透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、HD2300[製品名])を用いて100万倍の倍率で得られた粒子の反射像を複数撮影した。
【0056】
2.ランダムに30個以上の粒子を抽出し、Photoshop(Adobe社製)のような画像処理ソフトで2値化した。
【0057】
3.粒子表面を測定し、表面に対して垂直方向の高さが3nm以上20nm以下の凹凸を棘とみなした。
【0058】
棘状の突起が粒子表面に占める割合は、下記のように求めた。
【0059】
4.上記2.で得られた画像内の各粒子について、前記棘の領域を除いた形状の断面積及び重心を求め、前記断面積と同じ面積の真円の外周長をA、重心を中心とする真円を特定する。また、前記棘の形状は、前記真円からから突き出た形状となるように特定する。その時、前記真円の外周において、前記棘が付き出ていると重なる部分の長さをBとした。棘状の突起が粒子表面に占める割合は、B/Aとして算出した。
【0060】
(溶液中のpHの測定)
水溶液のpHの測定には、堀場製作所製のD−71Sを用いた。
【0061】
(屈折率の測定)
シリコンウエハ上に成膜した薄膜を用い、分光エリプソメータ(VASE、J・A・Woolam製)で、波長380nmから800nmまで屈折率を測定した。その際、薄膜に対してはCauchyモデルを適用し、フィッティングを行った。得られた屈折率の550nmの値を本実施例の屈折率として表記した。
【0062】
(中空粒子膜のボイドサイズ及び密度の測定)
中空粒子膜中のボイドサイズ及び密度は、下記の手順で算出した。
【0063】
1.走査型電子顕微鏡(Philips社製、XL30[製品名])を用いて10万倍の倍率で得られた粒子の反射像を1枚撮影した。
【0064】
2.Photoshop(Adobe社製)のような画像処理ソフトで、最表面に粒子が存在する領域としない領域を2値化した。
【0065】
3.粒子が存在しない2000nm2以上の空間をボイドとみなし、1μm2あたりのボイドの個数を求めた。
【0066】
(散乱の測定)
成膜した薄膜に対し、照度4000ルクスの光量を垂直に照射した状態で、後方45°の角度からカメラで撮影し、得られた画像から基板の映る範囲の700×700ピクセルの範囲を指定し、画像処理ソフトで解析した際の輝度値を散乱値とした。
【0067】
光源には、150Wのハロゲンファイバー照明装置(PHL−150C)を用い、ハロゲンファイバー照明装置で発せられた光をロッドホモジナイザ(RHO−13S−E2)に通し、虹彩絞りで照度を4000ルクスになるように光量を調節した。撮影に用いたカメラは、カメラレンズ(Compact−Macro Lens EF 50mm)を装着したカメラ(Canon EOS40D)を用い、シャッタースピード10秒、絞りF10、ISO400の条件で撮影した。画像処理ソフトにはPhotoshop(Adobe社製)を用いた。
【0068】
<実施例1>
事前にテトラエトキシシラン(キシダ化学製)2gをpH8.0の水に加えて24時間撹拌し、シリカ微粒子を合成した。この微粒子のゼータ電位を測定したところ、表1のような値となった。
【0069】
【表1】
【0070】
[第一工程]
スチレンを用いてコア粒子となるポリスチレン重合体を合成した。まず、反応容器内に水240gと0.01g/ml濃度の臭化セチルトリメチルアンモニウム水溶液(シグマアルドリッチ社製、以下、CTAB)5gを入れた後、窒素を充満して80℃に加熱した。加熱後、特級スチレン(キシダ化学製)2mlを加えて5分撹拌し、さらにスチレンの重合開始剤である0.1g/ml濃度の2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩水溶液(以下、AIBA)を10ml加え、4時間攪拌を行った。室温まで冷却した後、この混合液1ccを用いてDLSによる数平均粒子径を測定したところ、27.4nmであった。
【0071】
[第二工程]
第一工程で得られたコア粒子分散液245gがpH4.5となるように塩酸(キシダ化学製)を添加した。このとき、コア粒子のゼータ電位を測定すると、+47mVであった。その後、テトラエトキシシラン(キシダ化学製)を2g混合して撹拌を行い、コアシェル粒子の分散液を調製した。50時間後、1ccを取り出し、DLSで粒子径及びゼータ電位を測定したところ、32.2nm、+27mVであった。また、走査型電子顕微鏡で粒子を観察したところ、表面に棘を有するコアシェル型の粒子を確認することができた。
【0072】
[第三工程]
第二工程で得られたコアシェル粒子分散液240gに対し、n−オクチルジメチルクロロシラン(東京化成製)を5gとトルエン50gを加え、2時間撹拌を行った。24時間静置し、水層とトルエン層に分離した。
【0073】
[第四工程]
第三工程で得られる水層を抽出した後、MWCO100,000の限外濾過膜に繰り返し透過させ、水溶性の不純物を水分子と同時に除去しながら、イソプロピルアルコールを添加した。また、限外濾過により、濃縮も行い、全量が30ccとなったところで限外濾過を停止した。得られた溶液0.3gを乾燥し、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、表面に棘形状を有する中空粒子を確認することができた。また、50万倍に拡大した画像を5枚撮影し、粒子23個に対して棘の平均高さと、棘状の突起が粒子表面に占める割合を画像処理により求めたところ、それぞれ7nm及び20%となった。
【0074】
[第五工程]
第四工程で得られた30ccのイソプロピルアルコール溶媒の中空粒子塗料をBK−7上ガラス上にスピンコートを用いて成膜した。この単層膜の屈折率を測定すると、1.11であり、散乱値は19となった。また、ダイヤモンドカッターで基材を切断し、走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、
図4に示すように膜厚123nmの粒子積層膜を観察することができた。表面の観察画像を用いて粒子の充填率を計算したところ、70%であった。この充填率を用いた場合、計算上膜の屈折率は1.14であったので、屈折率が0.03低下可能なことが確認できた。
【0075】
実施例の粒子と反射防止膜の物性は表2に記載する通りだった。
【0076】
<実施例2>
[第一工程〜第二工程]
pHを3.0に調製する以外は、実施例1と同様にして行い、表面に棘を有する33.5nmのコアシェル型粒子を得ることができた。また、ゼータ電位を測定したところ、+30mVであった。
【0077】
[第三工程〜第四工程]
実施例1と同様にして行ったところ、棘の平均高さが12nmで、棘状の突起が粒子表面に占める割合が25%の中空粒子を確認することができた。
【0078】
[第五工程]
実施例1と同様にして、中空粒子の成膜を行ったところ、膜の屈折率が1.12で散乱値が20であった。表面の観察画像を用いて粒子の充填率を計算したところ、65%であった。この充填率から予想される屈折率は1.15となったため、0.03屈折率の低下を確認することができた。
【0079】
<実施例3>
[第一工程〜第二工程]
pHを5.5に調製する以外は、実施例1と同様にして行い、表面に棘を有する33.6nmのコアシェル型粒子を得ることができた。
【0080】
[第三工程〜第四工程]
実施例1と同様にして行ったところ、棘の平均高さが5nmで、棘状の突起が粒子表面に占める割合が10%の中空粒子を確認することができた。
【0081】
[第五工程]
実施例1と同様にして、中空粒子の成膜を行ったところ、膜の屈折率が1.11で、散乱値が20であった。表面の観察画像を用いて粒子の充填率を計算したところ、68%であった。この充填率から予想される屈折率は1.14となったため、0.03屈折率の低下を確認することができた。
【0082】
<実施例4>
[第一工程〜第二工程]
pHを6.0に調製する以外は、実施例1と同様にして行い、表面に棘を有する33.4nmのコアシェル型粒子を得ることができた。また、ゼータ電位を測定したところ、+17mVであった。
【0083】
[第三工程〜第四工程]
実施例1と同様にして行ったところ、棘の平均高さが4nmで、棘状の突起が粒子表面に占める割合が9%の中空粒子を確認することができた。
【0084】
[第五工程]
実施例1と同様にして、中空粒子の成膜を行ったところ、膜の屈折率が1.11で、散乱値が21であった。表面の観察画像を用いて粒子の充填率を計算したところ、67%となった。この充填率から予想される屈折率は1.14となったため、0.03屈折率の低下を確認することができた。
【0085】
<実施例5>
[第一工程〜第二工程]
実施例1と同様に行った。
【0086】
[第三工程]
第二工程で得られたコアシェル粒子分散液240gに対し、テトラヒドロフラン(THF)240gを加え、1時間撹拌を行った。
【0087】
[第四工程]
第三工程で得られた水とTHFの混合液をMWCO100,000の限外濾過膜に繰り返し透過させ、水溶性の不純物を水分子と同時に除去しながら、イソプロピルアルコールを添加した。また、限外濾過により、濃縮も行い、全量が30ccとなったところで限外濾過を停止した。このとき、DLSを用いて中空粒子の集合体のサイズを測定したところ、348nmであっため、集合体のサイズが229nmとなるまでさらに限外濾過を行った。
【0088】
[第五工程]
実施例1と同様にして、中空粒子の成膜を行ったところ、膜の屈折率が1.09で、散乱値が16であった。また、中空粒子膜のボイド密度を測定したところ、粒子が存在しない2000nm2以上のボイド空間は1個/μm2となった。
【0089】
<実施例6>
[第一工程〜第三工程]
実施例5と同様に行った。
【0090】
[第四工程]
実施例5と同様に1度目の限外濾過を行った後、中空粒子集合体のサイズを159nmとなるまで2度目の限外濾過を行った。
【0091】
[第五工程]
実施例1と同様にして、中空粒子の成膜を行ったところ、膜の屈折率が1.10で、散乱値が8.5であった。また、中空粒子膜のボイド密度を測定したところ、粒子が存在しない2000nm2以上のボイド空間は確認できなかった。
【0092】
<比較例1>
[第一工程〜第二工程]
実施例1と同様の第一工程を実施した後、第二工程でpH6.5に調製し、ケイ素アルコキシドとしてテトラエトキシシラン(東京化成製)2gを混合して撹拌したところ、3時間撹拌したところで粒子同士の凝集が目視で確認できた。走査透過型電子顕微鏡を用いて1粒子のサイズを見積もったところ、約33nmであったが、表面に棘は確認できなかった。凝集した粒子のゼータ電位を測定したところ、+7mVであった。
【0093】
[第三工程〜第四工程]
実施例1と同様にし、得られた粒子を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、棘を有さない中空粒子の凝集体を確認した。
【0094】
[第五工程]
実施例1と同様にして、中空粒子の成膜を行ったところ、膜の屈折率が1.22で散乱値が75であった。
【0095】
<比較例2>
[第一工程〜第二工程]
第二工程でpH8.0に調製する以外は、比較例1と同様にして行い、コアシェル粒子を合成したところ、5時間撹拌したところで粒子同士の凝集が目視で確認できた。走査透過型電子顕微鏡を用いて1粒子のサイズを見積もったところ、約33nmであった。粒子の表面に棘は確認できなかった。凝集した粒子のゼータ電位を測定したところ、+4mVであった。
【0096】
[第三工程〜第四工程]
実施例1と同様にし、得られた粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、棘を有さない中空粒子の凝集体を確認した。
【0097】
[第五工程]
実施例1と同様にして、中空粒子の成膜を行ったところ、膜の屈折率が1.21で、散乱値は82であった。
【0098】
<比較例3>
[第一工程〜第二工程]
第二工程でpHを2.0に調製する以外は、比較例1と同様にして行い、表面に棘を有する31.9nmのコアシェル型粒子を得ることができた。また、ゼータ電位を測定したところ、+32mVであった。棘の形状を測定したところ、棘の平均高さが22nmで、と棘状の突起が粒子表面に占める割合35%であった。
【0099】
[第三工程]
実施例1と同様にして得られた水層及びトルエン層の両方から0.3gずつ取り出して、乾燥させ、走査型電子顕微鏡で観察したところ、中空粒子は観察できなかった。
【0100】
<比較例4>
日揮触媒化成製の20wt%濃度の中空シリカ粒子塗料(スルーリア1110)を用いて検討を行った。まず、粒子を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、棘を有さない中空粒子を確認した。この粒子塗料を5重量%となるようにイソプロピルアルコールで希釈し、スピンコートで成膜を行った。得られた膜の屈折率及び散乱を測定したところ、屈折率が1.19、散乱が22であった。走査型電子顕微鏡を用いて撮影した画像の中から任意の粒子20個を取り出し、二次元の空洞とシリカの割合よりこの中空粒子の屈折率を見積もったところ、1.258となった。また、充填率が70%となったため、膜の屈折率の計算値は1.19となり、実測値と同じ値となった。
【0101】
【表2】