特許第6983517号(P6983517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トプコンの特許一覧

<>
  • 特許6983517-測量機 図000002
  • 特許6983517-測量機 図000003
  • 特許6983517-測量機 図000004
  • 特許6983517-測量機 図000005
  • 特許6983517-測量機 図000006
  • 特許6983517-測量機 図000007
  • 特許6983517-測量機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983517
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】測量機
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   G01C15/00 103A
   G01C15/00 103D
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-39551(P2017-39551)
(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公開番号】特開2018-146299(P2018-146299A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】石鍋 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】大友 文夫
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/039053(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0025491(US,A1)
【文献】 特許第4427389(JP,B2)
【文献】 特開2003−130644(JP,A)
【文献】 特開2008−039600(JP,A)
【文献】 特開平10−019560(JP,A)
【文献】 特開平11−214360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に測距光を照射し、前記測距光が前記測定対象物で反射した反射測距光と内部参照光とに基づいて前記測定対象物までの距離を測定する測量機であって、
前記測距光を射出する光源と、
前記反射測距光を透過させるとともに、前記反射測距光の波長域とは異なる波長域の反射視準光であって前記測定対象物で反射した反射視準光を反射させ前記測定対象物の像を結像させる合焦部材と、
前記合焦部材を透過した前記反射測距光と前記内部参照光とを受光する測距受光部と、
前記合焦部材で反射した前記反射視準光を受光する視準受光部と、
前記合焦部材と前記視準受光部との間の光路に設けられるとともに前記合焦部材が配置された光軸と同じ光軸上に配置され、前記合焦部材で反射した前記反射視準光を前記視準受光部に向かって反射させる反射ミラーと、
前記光軸と同じ光軸上に配置された対物レンズと、
を備え
前記合焦部材は、前記測定対象物で反射し前記対物レンズで集光された前記反射測距光を透過させて前記測距受光部に受光させるとともに、前記測定対象物で反射し前記対物レンズで集光された前記反射視準光を反射させ、
前記反射ミラーは、前記合焦部材で反射した前記反射視準光を前記視準受光部に向かって反射させて前記視準受光部に受光させることを特徴とする測量機。
【請求項2】
前記視準受光部は、前記合焦部材により結像された像の前記反射視準光による明暗を電子信号に変換するイメージセンサであることを特徴とする請求項に記載の測量機。
【請求項3】
前記合焦部材は、前記反射測距光を集光させない板状部材であり、前記光軸に沿って移動することにより前記視準受光部上に前記測定対象物の像を結像させることを特徴とする請求項1または2に記載の測量機。
【請求項4】
前記合焦部材は、前記反射測距光の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項に記載の測量機。
【請求項5】
前記合焦部材は、前記反射視準光の波長域の光を反射するハーフミラーであることを特徴とする請求項に記載の測量機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物に測距光を照射し測定対象物までの距離を測定する測量機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ光線を測定対象物に照射して光波距離測定を行う測量機が開示されている。特許文献1に記載された測量機では、測定対象物で反射した反射測距光は、ダイクロイックミラーで反射し、測距光受光部で受光される。そして、測距光受光部による反射測距光の受光結果と、内部参照光の受光結果と、に基づいて測定対象物までの距離が測定される。
【0003】
一方で、測定対象物からの自然光は、ダイクロイックミラーを透過し、正立正像プリズムに入射する。そして、合焦レンズを光軸に沿って調整することで、正立像がレチクル上に結像される。レチクル上の像は、接眼レンズを介して測定者により視認可能とされている。また、正立正像プリズムにおいて分割された自然光の一部は、レチクルと共役な位置に配置された画像受光部上に結像される。画像受光部上の像は、画像処理部を介して制御演算部に画像信号として送信され、視準範囲の画像として表示部に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4427389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された測量機では、合焦レンズが光軸に沿って調整されることで、ダイクロイックミラーを透過した測定対象物からの自然光が、正立像としてレチクル上に結像されたり、レチクルと共役な位置に配置された画像受光部上に結像されたりする。そのため、合焦レンズなどの光学部品の点数を削減することが困難であり、測量機の小型化および軽量化を実現するという点においては改善の余地がある。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、光学部品の点数を削減することができる、あるいは小型化および軽量化を実現することができる測量機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明によれば、測定対象物に測距光を照射し、前記測距光が前記測定対象物で反射した反射測距光と内部参照光とに基づいて前記測定対象物までの距離を測定する測量機であって、前記測距光を射出する光源と、前記反射測距光を透過させるとともに、前記反射測距光の波長域とは異なる波長域の反射視準光であって前記測定対象物で反射した反射視準光を反射させ前記測定対象物の像を結像させる合焦部材と、前記合焦部材を透過した前記反射測距光と前記内部参照光とを受光する測距受光部と、前記合焦部材で反射した前記反射視準光を受光する視準受光部と、前記合焦部材と前記視準受光部との間の光路に設けられるとともに前記合焦部材が配置された光軸と同じ光軸上に配置され、前記合焦部材で反射した前記反射視準光を前記視準受光部に向かって反射させる反射ミラーと、前記光軸と同じ光軸上に配置された対物レンズと、を備え、前記合焦部材は、前記測定対象物で反射し前記対物レンズで集光された前記反射測距光を透過させて前記測距受光部に受光させるとともに、前記測定対象物で反射し前記対物レンズで集光された前記反射視準光を反射させ、前記反射ミラーは、前記合焦部材で反射した前記反射視準光を前記視準受光部に向かって反射させて前記視準受光部に受光させることを特徴とする測量機により解決される。
【0008】
前記構成によれば、合焦部材は、光源から射出された測距光が測定対象物で反射した反射測距光を透過させる。一方で、合焦部材は、反射測距光の波長域とは異なる波長域の反射視準光であって測定対象物で反射した反射視準光を反射させる。つまり、合焦部材は、測距系光路においては透過部材として機能し、視準系光路においては反射部材として機能する。そして、合焦部材は、合焦部材で反射した反射視準光を受光する視準受光部上に測定対象物の像を結像させる。このように、合焦部材が反射測距光を透過させ反射視準光を反射させるため、反射測距光と内部参照光とを受光する測距受光部上に測定対象物の像を結像させるための例えば凹レンズなどの合焦レンズが不要である。これにより、光学部品の点数を削減することができる。また、合焦部材が反射視準光を反射させるため、合焦部材からみて光学系の内側に視準受光部を配置させることができる。これにより、反射視準光が例えばダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムなどを透過する場合と比較して、測量機の全長を短くすることが可能となり、測量機の小型化および軽量化を実現することができる。
【0010】
また、測量機は、反射ミラーと、対物レンズと、をさらに備える。反射ミラーは、合焦部材と視準受光部との間の光路に設けられるとともに、合焦部材が配置された光軸と同じ光軸上に配置されている。また、反射ミラーは、合焦部材で反射した反射視準光を視準受光部に向かって反射させる。対物レンズは、合焦部材が配置された光軸と同じ光軸上に配置されている。そして、合焦部材は、測定対象物で反射し対物レンズで集光された反射測距光を透過させて測距受光部に受光させるとともに、測定対象物で反射し対物レンズで集光された反射視準光を反射させる。反射ミラーは、合焦部材で反射した反射視準光を視準受光部に向かって反射させて視準受光部に受光させる。このように、反射視準光は、対物レンズで集光され、合焦部材において反射し、反射ミラーにおいてさらに反射して視準受光部において受光される。これにより、反射ミラーが設けられていない場合と比較すると、合焦部材は、約半分程度の移動距離で視準受光部上に測定対象物の像を結像させることができる。すなわち、反射ミラーが設けられていない場合と比較すると、視準受光部上に測定対象物の像を結像させるための合焦部材の移動距離は、約半分程度になる。これにより、測量機の全長をより短くすることが可能となり、測量機の小型化および軽量化を実現することができる。また、視軸の偏差が生ずることを抑えることができる。
【0011】
好ましくは、前記視準受光部は、前記合焦部材により結像された像の前記反射視準光による明暗を電子信号に変換するイメージセンサであることを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、視準受光部がイメージセンサであるため、測定者が像を視認するための例えば接眼レンズやレチクルなどの光学部品が不要となる。これにより、光学部品の点数をより削減することができる。また、測量機の全長をより短くすることが可能となり、測量機の小型化および軽量化を実現することができる。
【0013】
好ましくは、前記合焦部材は、前記反射測距光を集光させない板状部材であり、前記光軸に沿って移動することにより前記視準受光部上に前記測定対象物の像を結像させることを特徴とする。
前記構成によれば、合焦部材は、レンズのようには反射測距光を集光させないため、合焦部材が配置された光軸に沿って移動した場合であっても、測距受光部上に測定対象物の像を結像させる動作に与える影響を抑えることができる。
好ましくは、前記合焦部材は、前記反射測距光の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタであることを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、合焦部材は、バンドパスフィルタであるため、測距受光部上に測定対象物の像を結像させる動作に与える影響を抑えつつ、視準系光路の光軸に沿って移動することで、視準受光部上に測定対象物の像を結像させることができる。
【0015】
好ましくは、前記合焦部材は、前記反射視準光の波長域の光を反射するハーフミラーであることを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、合焦部材は、ハーフミラーであるため、測距受光部上に測定対象物の像を結像させる動作に与える影響を抑えつつ、視準系光路の光軸に沿って移動することで、視準受光部上に測定対象物の像を結像させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光学部品の点数を削減することができる、あるいは小型化および軽量化を実現することができる測量機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る測量機を表す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る測量機を表す斜視図である。
図3】本実施形態に係る測量機の構成の概略を表すブロック図である。
図4】本実施形態の光学系を表す平面図である。
図5】本実施形態の測距系光路を表す平面図である。
図6】本実施形態の合焦部材を透過する光の波長と透過率との関係を例示するグラフである。
図7】本実施形態の視準系光路を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1および図2は、本発明の実施形態に係る測量機を表す斜視図である。
なお、図1は、測量機2を接眼レンズ28の側から眺めた斜視図である。図2は、測量機2を対物レンズ85の側から眺めた斜視図である。
【0021】
測量機2は、例えばトータルステーションなどと呼ばれ、角度(鉛直角および水平角)を検出する電子セオドライトと、光波距離計と、を備える。すなわち、測量機2は、測距および測角を行う機器である。
【0022】
図1および図2に表した測量機2は、基台部3と、架台4と、望遠鏡部5と、操作表示部6と、を備える。架台4は、基台部3を介して例えば三脚(図示せず)などに設置される。基台部3は、整準螺子31を有する。架台4は、整準螺子31による整準が行われることで、水平に維持される。図1および図2に表した矢印A11のように、架台4は、鉛直軸A21を中心として回転可能とされている。
【0023】
望遠鏡部5は、架台4に支持されている。図1および図2に表した矢印A12のように、望遠鏡部5は、水平軸A22を中心として回転可能とされている。望遠鏡部5には、対物レンズ85および接眼レンズ28が設けられている。なお、接眼レンズ28は、必ずしも設けられていなくともよい。後述するように、接眼レンズ28が設けられていなくとも、使用者は、表示部61に表示された視準範囲の画像を確認することにより、測定対象物9を視認することができる。
【0024】
操作表示部6は、架台4に設けられている。図1に表したように、操作表示部6は、表示部61と、操作入力部62と、を有する。表示部61には、例えば測量時の条件や、測距および測角の測定結果や、画像処理された結果(視準範囲の画像)などが表示される。測量機2の使用者は、測距および測角を行う際に、測定条件などを操作入力部62により入力する。具体的には、操作入力部62は、テンキー部621と、機能選択キー部622と、カーソルキー部623と、を有する。例えば、使用者は、機能選択キー部622を用いて、測距モードや、自動焦点モードや、手動焦点モードなどの機能を選択する。
【0025】
図2に表したように、架台4の側方部には蓋部42が設けられている。図2に表した矢印A13のように、蓋部42は、水平軸A23を中心として回転可能とされている。使用者は、蓋部42を開くことでバッテリーの抜き差しを行うことができる。
【0026】
図3は、本実施形態に係る測量機の構成の概略を表すブロック図である。
図3に表したように、本実施形態に係る測量機2は、制御部21と、鉛直角測角部22と、水平角測角部23と、測距部24と、光源25と、測距受光部26と、視準受光部27と、操作表示部6と、光学系8と、を備える。操作表示部6は、図1および図2に関して前述した通りである。
【0027】
制御部21は、制御演算部211と、画像処理部212と、記憶部213と、を有する。制御演算部211は、例えばCPU(Central Processing Unit)などであり、操作入力部62から送信された信号(指令)に基づいて、プログラムの起動や、信号の制御処理や、演算や、表示部61および測距部24などの駆動制御などを実行する。すなわち、制御演算部211は、測量機2の全体の制御を行うとともに、測量条件や、測定結果(測距結果および測角結果)や、画像処理された結果(視準範囲の画像)などを表示部61に表示させる。
【0028】
制御演算部211は、画像処理部212から入力される画像データ信号と、画像データを撮像したときの測量データ(例えば鉛直角測角部22から送信された鉛直角信号、水平角測角部23から送信された水平角信号、および測距部24から送信された距離信号)と、を関連付けて記憶部213に記憶させる。
【0029】
画像データ信号と測量データとの関連付けは、測定点毎に記録エリアを記憶部213に作成し、その記録エリア内に画像データ信号格納エリアと測量データ格納エリアとを作成することにより行われる。あるいは、画像データ信号と測量データとの関連付けは、記憶部213に画像データ信号格納エリアと測量データ格納エリアを作成し、画像データ信号および測量データを互いに分離して画像データ信号格納エリアと測量データ格納エリアとに格納するとともに、画像データ信号と測量データとをリンクさせる管理データを作成するなどの既知の方法で行われてもよい。
【0030】
記憶部213には、例えば、測定のためのシーケンスプログラムや、画像処理のための画像処理プログラムや、演算プログラムなどが格納されている。記憶部213としては、例えば、測量機2に内蔵された半導体メモリなどが挙げられる。あるいは、記憶部213としては、測量機2に接続可能なCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、RAM(Random access memory)、ROM(Read only memory)、ハードディスク、メモリカードなどの種々の記憶媒体が挙げられる。
【0031】
鉛直角測角部22は、望遠鏡部5の傾斜角を検出する鉛直角エンコーダの検出信号に基づいて、望遠鏡部5で測定対象物9を視準した状態における水平に対する鉛直角を測定する。水平角測角部23は、架台4の回転角を検出する水平角エンコーダの検出信号に基づいて、望遠鏡部5で測定対象物9を視準した状態における基準方向に対する測定対象物9の水平角を測定する。
【0032】
測距部24は、光源25を駆動制御する。光源25は、望遠鏡部5の内部に設けられ、例えばレーザ光などの測距光251を射出する。光源25から射出された測距光251は、望遠鏡部5の内部に設けられた光学系8を介して測定対象物9に照射される。測定対象物9で反射した反射測距光252は、光学系8を介して、望遠鏡部5の内部に設けられた測距受光部26において受光される。測距受光部26は、受光した反射測距光252による明暗(受光結果)を電子信号(受光信号)に変換し、受光信号を測距部24に送信する。測距部24は、測距受光部26から送信された受光信号に基づいて測定対象物9までの距離を演算する。測距部24の演算結果は、制御演算部211に入力される。
【0033】
視準受光部27は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサであり、反射測距光252の波長域とは異なる波長域の反射視準光253を受光する。反射視準光253は、反射測距光252の波長域とは異なる波長域を有する光であって、測定対象物9で反射した光である。すなわち、視準受光部27は、測定対象物9で反射した反射視準光253を受光し、測定対象物9の画像を受光する。反射視準光253としては、例えば自然光や赤外光などが挙げられる。但し、反射視準光253は、これだけには限定されない。反射視準光253は、光学系8を介して、望遠鏡部5の内部に設けられた視準受光部27において受光される。視準受光部27は、反射視準光253による明暗(受光結果)を電子信号(画像信号)に変換し、画像信号を画像処理部212に送信する。
【0034】
画像処理部212は、視準受光部27から送信された画像信号の画像処理を実行し、画像データ信号として制御演算部211に送信する。制御演算部211は、画像処理部212から送信された画像データ信号に基づいて演算を実行し、望遠鏡部5による視準範囲の画像を表示部61に表示させる制御を実行する。
【0035】
図4は、本実施形態の光学系を表す平面図である。
図4に表した光学系8において、第1光軸801上には、コリメートレンズ81と、ハーフミラー82と、第1反射ミラー83と、が配置されている。また、第2光軸802上には、第2反射ミラー84と、対物レンズ85と、合焦部材86と、メニスカスレンズ87と、第3反射ミラー(反射ミラー)88と、測距受光部26と、第2調光用ND(Neutral Density)フィルタ892と、が配置されている。第1光軸801は、第2光軸802とは異なる他の軸として存在する。すなわち、第1光軸801は、第2光軸802と同一軸上には存在しない。第1光軸801は、第2光軸802と平行である。
【0036】
第3反射ミラー88の反射光軸上には、視準受光部27が配置されている。また、ハーフミラー82の反射光軸上には、第1調光用NDフィルタ891が配置されている。
【0037】
光源25は、測距部24から送信された駆動信号に基づいて、例えばレーザ光などの測距光251を射出する。光源25から射出された測距光251は、コリメートレンズ81により平行な光束とされ、ハーフミラー82に向かう。ハーフミラー82に入射した測距光251の一部は、ハーフミラー82を透過し、第1反射ミラー83および第2反射ミラー84において反射して測定対象物9に向けて照射される。
【0038】
ハーフミラー82に入射した測距光251の他の一部は、ハーフミラー82において内部参照光として反射し、第1調光用NDフィルタ891を透過して光ファイバ893に入射する。光ファイバ893の内部を伝わった内部参照光は、第2調光用NDフィルタ892を透過し、測距受光部26において受光される。測距受光部26は、受光した内部参照光による明暗(受光結果)を電子信号(受光信号)に変換し、受光信号を測距部24に送信する。
【0039】
測定対象物9で反射し対物レンズ85で集光された反射測距光252は、合焦部材86を透過し、メニスカスレンズ87でさらに集光され、第2調光用NDフィルタ892を透過して測距受光部26において受光される。一方で、反射測距光252の波長域とは異なる波長域の反射視準光253は、対物レンズ85で集光され、合焦部材86において反射し、第3反射ミラー88においてさらに反射して視準受光部27において受光される。以下、反射測距光252の光路および反射視準光253の光路を、図面を参照してさらに説明する。
【0040】
図5は、本実施形態の測距系光路を表す平面図である。
図6は、本実施形態の合焦部材を透過する光の波長と透過率との関係を例示するグラフである。
なお、説明の便宜上、図5では第2調光用NDフィルタ892を省略している。
【0041】
図5に表したように、測定対象物9で反射した反射測距光252は、対物レンズ85で集光される。対物レンズ85で集光された反射測距光252は、合焦部材86を透過し、メニスカスレンズ87でさらに集光されて測距受光部26において受光される。すなわち、測定対象物9の像が測距受光部26上に結像される。
【0042】
合焦部材86の入射面(対物レンズ85側の面)には、ロングパスフィルタ861が設けられている。図6(a)に表したように、ロングパスフィルタ861は、任意の波長よりも短波長側の光の透過を阻止し、任意の波長よりも長波長側の光を透過させる。また、合焦部材86の射出面(測距受光部26側の面)には、ショートパスフィルタ862が設けられている。図6(b)に表したように、ショートパスフィルタ862は、任意の波長よりも長波長側の光の透過を阻止し、任意の波長よりも短波長側の光を透過させる。合焦部材86の両側の面にロングパスフィルタ861およびショートパスフィルタ862が設けられているため、図6(c)に表したように、本実施形態の合焦部材86は、反射測距光252の波長域の光を透過させるバンドパスフィルタとして機能する。
【0043】
なお、ロングパスフィルタ861は、反射視準光253の波長域に応じて、合焦部材86の射出面(測距受光部26側の面)に設けられていてもよい。また、ショートパスフィルタ862は、反射視準光253の波長域に応じて、合焦部材86の入射面(対物レンズ85側の面)に設けられていてもよい。
【0044】
図3および図4に関して前述したように、測距受光部26は、受光した反射測距光252および内部参照光による明暗(受光結果)を電子信号(受光信号)に変換し、受光信号を測距部24に送信する。測距部24は、測距受光部26から送信された反射測距光252の受光信号と、測距受光部26から送信された内部参照光の受光信号と、に基づいて測定対象物9までの距離を演算する。
【0045】
図7は、本実施形態の視準系光路を表す平面図である。
図7に表したように、反射測距光252の波長域とは異なる波長域の反射視準光253であって測定対象物9で反射した反射視準光253は、対物レンズ85で集光される。対物レンズ85で集光された反射視準光253は、合焦部材86の例えばロングパスフィルタ861により透過を阻止され、合焦部材86で反射する。なお、反射視準光253は、反射視準光253の波長に応じて、合焦部材86のショートパスフィルタ862により透過を阻止されてもよい。合焦部材86において反射した反射視準光253は、第3反射ミラー88においてさらに反射して視準受光部27に向かう。
【0046】
すなわち、第3反射ミラー88は、合焦部材86と視準受光部27との間の光路に設けられ、合焦部材86で反射した反射視準光253を視準受光部27に向かって反射させる。本実施形態の第3反射ミラー88は、本発明の「反射ミラー」に相当する。
【0047】
図7に表した矢印A1のように、合焦部材86は、第2光軸802に沿って移動することにより視準受光部27上に測定対象物9の像を結像させる。つまり、反射視準光253は、合焦部材86において反射し、第3反射ミラー88においてさらに反射して視準受光部27において受光される。言い換えれば、測定対象物9の像が視準受光部27上に結像する。例えば、合焦部材86が第2光軸802に沿って測距受光部26の側へ移動すると、合焦部材86の移動前と比較して、近距離の測定対象物9の像が視準受光部27上に結像する。一方で、例えば、合焦部材86が第2光軸802に沿って対物レンズ85の側へ移動すると、合焦部材86の移動前と比較して、遠距離の測定対象物9の像が視準受光部27上に結像する。
【0048】
このとき、合焦部材86は、バンドパスフィルタなどの板状部材であり、反射測距光252を透過させる一方で、レンズのようには反射測距光252を集光させない。そのため、合焦部材86は、図7に表した矢印A1のように第2光軸802に沿って移動した場合であっても、測距受光部26上に測定対象物9の像を結像させる動作に与える影響を抑えることができる。
【0049】
なお、合焦部材86は、バンドパスフィルタには限定されず、反射視準光253の波長域の光を反射するハーフミラーであってもよい。この場合であっても、合焦部材86は、測距受光部26上に測定対象物9の像を結像させる動作に与える影響を抑えつつ、第2光軸802に沿って移動することで、視準受光部27上に測定対象物9の像を結像させることができる。また、合焦部材86は、必ずしも移動しなくともよい。例えば、図7に表した矢印A2のように、視準受光部27が第3反射ミラー88の反射光軸に沿って移動してもよい。この場合であっても、測定対象物9の像を視準受光部27上に結像させることができる。
【0050】
図3に関して前述したように、視準受光部27は、反射視準光253による明暗(受光結果)を電子信号(画像信号)に変換し、画像信号を画像処理部212に送信する。制御演算部211は、画像処理部212から送信された画像データ信号に基づいて演算を実行し、望遠鏡部5による視準範囲の画像を表示部61に表示させる制御を実行する。これにより、使用者は、表示部61に表示された視準範囲の画像を確認することにより、測定対象物9を視認することができる。
【0051】
本実施形態に係る測量機2によれば、合焦部材86は、光源25から射出された測距光251が測定対象物9で反射した反射測距光252を透過させる。一方で、合焦部材86は、反射測距光252の波長域とは異なる波長域の反射視準光253であって測定対象物9で反射した反射視準光253を反射させる。つまり、合焦部材86は、図5に表した測距系光路においては透過部材として機能し、図7に表した視準系光路においては反射部材として機能する。そして、合焦部材86は、合焦部材86で反射した反射視準光253を受光する視準受光部27上に測定対象物9の像を結像させる。このように、合焦部材86が反射測距光252を透過させ反射視準光253を反射させるため、反射測距光252と内部参照光とを受光する測距受光部26上に測定対象物9の像を結像させるための例えば凹レンズなどの合焦レンズが不要である。これにより、光学部品の点数を削減することができる。また、合焦部材86が反射視準光253を反射させるため、合焦部材86からみて光学系8の内側に視準受光部27を配置させることができる。これにより、反射視準光が例えばダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムなどを透過する場合と比較して、測量機2の全長を短くすることが可能となり、測量機2の小型化および軽量化を実現することができる。
【0052】
また、図7に関して前述したように、第3反射ミラー88は、合焦部材86と視準受光部27との間の光路に設けられるとともに、合焦部材86が配置された第2光軸802と同じ第2光軸802上に配置されている。また、第3反射ミラー88は、合焦部材86で反射した反射視準光253を視準受光部27に向かって反射させる。そのため、反射視準光253は、互いに同じ第2光軸802上に配置された合焦部材86と第3反射ミラー88とにおいて反射する。これにより、第3反射ミラー88が設けられていない場合と比較すると、合焦部材86は、約半分程度の移動距離で視準受光部27上に測定対象物9の像を結像させることができる。すなわち、第3反射ミラー88が設けられていない場合と比較すると、視準受光部27上に測定対象物9の像を結像させるための合焦部材86の移動距離は、約半分程度になる。これにより、測量機2の全長をより短くすることが可能となり、測量機2の小型化および軽量化を実現することができる。また、視軸の偏差が生ずることを抑えることができる。
【0053】
また、視準受光部27が例えばCCDやCMOSなどのイメージセンサであるため、使用者(測定者)が像を視認するための例えば接眼レンズやレチクルなどの光学部品は、必ずしも設けられていなくともよい。これにより、光学部品の点数をより削減することができる。また、測量機2の全長をより短くすることが可能となり、測量機2の小型化および軽量化を実現することができる。
【符号の説明】
【0054】
2・・・測量機、 3・・・基台部、 4・・・架台、 5・・・望遠鏡部、 6・・・操作表示部、 8・・・光学系、 9・・・測定対象物、 21・・・制御部、 22・・・鉛直角測角部、 23・・・水平角測角部、 24・・・測距部、 25・・・光源、 26・・・測距受光部、 27・・・視準受光部、 28・・・接眼レンズ、 31・・・整準螺子, 42・・・蓋部、 61・・・表示部、 62・・・操作入力部、 81・・・コリメートレンズ、 82・・・ハーフミラー、 83・・・第1反射ミラー、 84・・・第2反射ミラー、 85・・・対物レンズ、 86・・・合焦部材、 87・・・メニスカスレンズ、 88・・・第3反射ミラー、 211・・・制御演算部、 212・・・画像処理部、 213・・・記憶部、 251・・・測距光、 252・・・反射測距光、 253・・・反射視準光、 621・・・テンキー部、 622・・・機能選択キー部、 623・・・カーソルキー部、 801・・・第1光軸、 802・・・第2光軸、 861・・・ロングパスフィルタ、 862・・・ショートパスフィルタ、 891・・・第1調光用NDフィルタ、 892・・・第2調光用NDフィルタ、 893・・・光ファイバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7