【文献】
David A. Vaitekunas, Yoonsik Kim,“IR signature management for the modern navy”,Proc. SPIE 8706, Infrared Imaging Systems: Design, Analysis, Modeling, and Testing XXIV,米国,Society of Photo-Optical Instrumentation Engineers,2013年06月05日,DOI:10.1117/12.2016499
【文献】
Kuk-Il Han, Dong-Geon Kim, Jun-Hyuk Choi, Tae-Kuk Kim,“Study on the Seasonal IR Signature Characteristics of a Naval Ship With Plume Gas Effect”,Journal of the Korea Institute of Military Science and Technology,KR,The Korea Institute of Military Science and Technology,2013年08月05日,Volume 16 Issue 4,p.545-552,DOI: 10.9766/KIMST.2013.16.4.545,ISSN 1598-9127(print), 2636-0640(electronic)
【文献】
David A. Vaitekunas,“IR susceptibility of naval ships using ShipIR/NTCS”,Proc. SPIE 7662, Infrared Imaging Systems: Design, Analysis, Modeling, and Testing XXI,米国,SPIE,2010年04月22日,DOI: 10.1117/12.852131
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
<第一実施形態>
以下、本発明に係る第一実施形態について、
図1〜
図6を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(全体構成)
船舶1の全体構成について説明する。
図1に示すように、船舶1(移動体)は、主機11と、煙突12と、コンソール13と、移動体制御装置20と、を備える。
本実施形態において、船舶1は、護衛艦である。船舶1は、主機11によって、海SEを−X方向に進む。
以下、船舶1の前方から後方に向かう方向は+X方向、船舶1の下方から上方に向かう方向は+Z方向、船舶1の左方から右方に向かう方向は+Y方向とも記載される。
コンソール13は、操作者によって操作される。操作者は、コンソール13によって、情報及び要求を入力する。本実施形態において、操作者は、コンソール13によって、変更したい船舶1の速力を入力する。
以下、各構成について詳しく説明する。
【0022】
(主機)
図1に示されるように、主機11は、エンジンを含む駆動源11aと、主軸11bと、プロペラ11cと、を備える。主機11は、移動体制御装置20に指令によって、主機出力及びプロペラ角度を制御され、主機出力及びプロペラ角度に関連した速力で船舶1を推進させる。
【0023】
駆動源11aは、船舶1内に設けられ、主軸11bを介してプロペラ11cを回転駆動させる。
駆動源11aは、例えば、ディーゼルエンジンであって、加熱された排ガスEGを排出する。本実施形態において、駆動源11aから排出される排ガスEGは、煙突12を介して船舶1外に排出される。
【0024】
主軸11bは、駆動源11aからプロペラ11cに向かって船舶1の後下方へ延びている。主軸11bは、一端が駆動源11a、他端がプロペラ11cに連結されている。
図2に示すように、主軸11bは、駆動源11aによって、自身の軸線Amを中心について、回転駆動される。
【0025】
プロペラ11cは、船舶1の後下方に設けられる。プロペラ11cは、駆動源11aにより、主軸11bを介して回転駆動される。プロペラ11cは、駆動源11aの回転エネルギーを船舶1の推進力(推進エネルギー)に変換する。
プロペラ11cは、プロペラ基部11dと、複数のブレード11eを備える。プロペラ基部11dは、軸線Am周りを周面とする回転体形状を有する。複数のブレード11eは、プロペラ基部11dの外周に環状に並べて配置される。各ブレード11eは、プロペラ基部11dの径方向外側に延びている。各ブレード11eは、プロペラ基部11dの径方向に沿うそれぞれの軸線Ap周りで回動可能となっている。
【0026】
プロペラ11cは、CPP(Controllable Pitch Propeller:可変ピッチプロペラ)であって、一定の主軸回転数に対し、プロペラ角度を変化させることで推進力を変化させることができる。
本実施形態では、プロペラ角度は、
図2に示すように、各ブレード11eのプロペラ基部11dの径方向に沿うそれぞれの軸線Ap周りの回動について、回動角度を変化させることによって調整される。各ブレード11eは、例えば、油圧システムや電気モータ等を用いたアクチュエータによって、軸線Ap周りについて回動駆動される。
【0027】
主機11は、移動体制御装置20の制御によって、所定の主機出力及びプロペラ角度で駆動される。
【0028】
(移動体制御装置)
移動体制御装置20は、コンソール13に入力された情報及び要求に従って、主機11を制御し、船舶1を推進させる。
図3に示すように、移動体制御装置20は、受付部21と、データベース22と、温度設定部23と、馬力設定部24と、指令部25と、を機能的に備える。
本実施形態では、後述するプログラムを実行することにより、船舶1を制御するコンピュータが、移動体制御装置20として機能している。
【0029】
データベース22には、後述する各種データが登録されている。
【0030】
受付部21は、コンソール13に入力された要求を受け付ける。本実施形態では、受付部21は、コンソール13に入力された変更したい速力(速力変更要求)を、要求速力として受け付ける。受付部21は、要求速力に増速するために必要な主機11の馬力を、データベース22に登録されたデータを参照して定める。
【0031】
温度設定部23には、船舶1の排ガスEGの温度の上限値である温度上限値TEuが、設定される。温度設定部23には、温度上限値TEuとして、赤外線によって、自艦が敵艦に発見されにくい程度に低い排ガスEGの温度が設定される。本実施形態において、温度上限値TEuは、コンソール13を介して、操作者によって温度設定部23に入力される。
【0032】
指令部25は、後述する馬力上限値Puを上限として船舶1を増速する指令を行う。本実施形態では、指令部25は、馬力上限値Puに相当する主機11の主機出力及びプロペラ角度となるように、主機11に指令を送る。
指令部25は、データベース22に登録されたデータを参照し、馬力上限値Puで駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定する。馬力上限値Puで駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定するためのデータは、実艦での計測結果及び理論式を基に作成された主機出力及びプロペラ角度と、馬力と、の関係を示すデータである。
【0033】
(馬力設定部)
馬力設定部24は、馬力と排ガス温度との関係式を基に、温度上限値TEuを超過しないように、馬力上限値Puを設定する。
例えば、船舶1において、馬力と排ガス温度とは、
図4に示される関係にある。
図4の横軸は馬力、縦軸は排ガス温度を示す。馬力と排ガス温度との関係をデータベース化しておけば、馬力設定部24は、温度上限値TEuから、温度上限値TEuを超過させない馬力上限値Puを決めることができる。馬力設定部24は、次の3つのモードのうち、いずれかのモードを設定する。
【0034】
(静定赤外線制限モード)
静定赤外線制限モードにおける設定について説明する。
静定赤外線制限モードは、要求速力(受付部21に入力された変更したい速力)に応じると、排ガスEGの静定温度TEsが、温度上限値TEuを超過しそうな場合に適用され得るモードである。
したがって、馬力設定部24は、静定赤外線制限モードを設定する場合、静定温度TEsが温度上限値TEuを超えない範囲で出せる馬力の上限を、馬力上限値Puとして定める。指令部25は、当該馬力上限値Puを上限として、当該馬力上限値Pu内で出せる最大馬力で駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定し、主機11に対し指令を行う。
【0035】
(赤外線優先モード)
赤外線優先モードについて設定について説明する。
赤外線優先モードは、要求速力に応じると、排ガスEGの静定温度TEsは、温度上限値TEuを超過しそうにないものの、排ガスEGのオーバーシュート温度TEtが、温度上限値TEuを超過しそうな場合に適用され得るモードである。
【0036】
一例として、静定時において、主機11が、馬力上限値Puの馬力で船舶1を駆動し、速力Vaで船舶1を推進する場合について
図5を参照して説明する。
図5の横軸は時間、縦軸は馬力(上のグラフ)及び速力(下のグラフ)である。
図5の実線のグラフのように、主機11が船舶1を短時間(時間Ta)で速力Vaに増速させるには、主機11によって出力される馬力が、馬力上限値Puを一時的にオーバーシュートするように、出力される必要がある。しかし、このような出力を実施すると、排ガスEGのオーバーシュート温度TEtが、温度上限値TEuを超過してしまうこととなる。
したがって、赤外線優先モードでは、
図5の点線のグラフのように、(時間に対する)速力Vaの勾配を小さくして、主機11の馬力のオーバーシュートが軽減されるように、移動体制御装置20は、ゆっくりと増速させる制御を行う。
【0037】
したがって、馬力設定部24は、赤外線優先モードを設定する場合、増速の際、ゆっくり要求速力に到達させるように馬力上限値Puを設定する。本実施形態では、ゆっくり要求速力に到達させるため、馬力設定部24は、オーバーシュート温度TEtが温度上限値TEuを超えない範囲で出せる馬力の上限を、馬力上限値Puとして定める。指令部25は、当該馬力上限値Puを上限として、当該馬力上限値Pu内で出せる最大馬力で駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定し、主機11に対し指令を行う。
【0038】
(速力優先モード)
速力優先モードについて設定について説明する。
速力優先モードは、要求速力(受付部21に入力された変更したい速力)に応じても、排ガスEGの静定温度TEsは、温度上限値TEuを超過しそうになく、排ガスEGのオーバーシュート温度TEtも、温度上限値TEuを超過しそうにない場合に適用され得るモードである。
したがって、速力優先モードを適用する場合、馬力設定部24は、受付部21で定められた馬力をそのまま設定する。指令部25は、主機11に対し、当該馬力で増速する指令を行う。本実施形態では、指令部25は、当該馬力で駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定し、主機11に対し指令を行う。
このような指令によって、速力優先モードでは、速やかに要求速力に到達させるため、移動体制御装置20は、一時的に速力をオーバーシュートさせながら要求速力に到達させる制御を行うことができる。
【0039】
(第一判定部及び第二判定部)
馬力設定部24は、第一判定部24aと、第二判定部24bと、を有する。馬力設定部24は、どのモードを設定するかを、第一判定部24a及び第二判定部24bで判定する。具体的には、以下のように判定する。
【0040】
第一判定部24aは、排ガスEGの静定温度TEsが、温度上限値TEuを超過しそうかどうかを判定する。
第一判定部24aの判定に用いられる温度上限値TEuは、前述のとおり温度設定部23に設定されている。
第一判定部24aの判定に用いられる静定温度TEsは、要求速力から推定される。静定温度TEsは、要求速力で静定的に推進するときに煙突12から排出される排ガスの温度である。
第一判定部24aは、静定温度TEsを、データベース22に登録されたデータを参照して決定する。本実施形態では、静定温度TEsを決定するためのデータとして、実艦での計測結果を基に、理論式を補正して作成されたデータが登録されている。
【0041】
第一判定部24aにおいて、静定温度TEsが温度上限値TEuを超過しそうと判定された場合、馬力設定部24は、静定赤外線制限モードを設定する。
第一判定部24aにおいて、静定温度TEsが温度上限値TEuを超過しそうと判定されなかった場合、後述する第二判定部24bの判定によって、馬力設定部24は、赤外線優先モード又は速力優先モードを設定する。
【0042】
第二判定部24bは、排ガスEGのオーバーシュート温度TEtが、温度上限値TEuを超過しそうかどうかを判定する。
第二判定部24bの判定に用いられる温度上限値TEuは、前述のとおり温度設定部23に設定されている。
第二判定部24bの判定に用いられるオーバーシュート温度TEtは、要求速力及び要求速力に増速するために必要な主機11の馬力から推定される。オーバーシュート温度TEtは、要求速力に速やかに増速させるときに、馬力や速力のオーバーシュートに関連して煙突12から排出される排ガスのオーバーシュート温度であって、要求速力と実艦の能力で決まる温度である。
第二判定部24bは、オーバーシュート温度TEtを、データベース22に登録されたデータを参照して決定する。本実施形態では、オーバーシュート温度TEtを決定するためのデータとして、実艦での計測結果を基に、理論式を補正して作成されたデータが登録されている。
【0043】
第二判定部24bにおいて、オーバーシュート温度TEtが温度上限値TEuを超過しそうと判定された場合、馬力設定部24は、赤外線優先モードを設定する。
第二判定部24bにおいて、オーバーシュート温度TEtが温度上限値TEuを超過しそうと判定されなかった場合、馬力設定部24は、速力優先モードを設定する。
【0044】
(移動体制御方法)
本実施形態の移動体制御装置20を用いた移動体制御方法について
図6を参照して説明する。
本移動体制御方法は、ST1〜ST7の各ステップを実施する。
まず、船舶1の排ガスEGの温度の上限値である温度上限値TEuを定める(ST1:温度設定ステップ)。定められた温度上限値TEuは、温度設定部23に設定される。
【0045】
温度設定ステップST1に続いて、受付部21は、要求速力を受け付け、要求速力に増速するために必要な馬力を定める(ST2:速力変更要求ステップ)。
【0046】
速力変更要求ステップST2に続いて、第一判定部24aは、排ガスEGの静定温度TEsが、温度上限値TEuを超過しそうかどうかを判定する(ST3:第一判定ステップ)。
【0047】
静定温度TEsが温度上限値TEuを超過しそうと判定された場合(ST3:YES)、移動体制御装置20は、静定赤外線制限モードで制御を行う(ST4:第一制御ステップ(静定赤外線制限モード))。第一制御ステップST4は、以下の馬力設定ステップST4aと、増速ステップST4bと、を実施する。
静定赤外線制限モードでは、馬力設定部24は、静定温度TEsが温度上限値TEuを超えない範囲で出せる馬力の上限を、馬力上限値Puとして定める(ST4a:馬力設定ステップ)。移動体制御装置20は、当該馬力上限値Puを上限として、当該馬力上限値Pu内で出せる最大馬力で駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定し、主機11に対し指令を行い、船舶1を増速させる(ST4b:増速ステップ)。
【0048】
静定温度TEsが温度上限値TEuを超過しそうと判定されなかった場合(S
T3:NO)、第二判定部24bは、排ガスEGのオーバーシュート温度TEtが、温度上限値TEuを超過しそうかどうかを判定する(ST5:第二判定ステップ)。
【0049】
オーバーシュート温度TEtが、温度上限値TEuを超過しそうと判定された場合(ST5:YES)、移動体制御装置20は、赤外線優先モードで主機11に対する指令を行う(ST6:第二制御ステップ(赤外線優先モード))。第二制御ステップST6は、以下の馬力設定ステップST6aと、増速ステップST6bと、を実施する。
赤外線優先モードでは、馬力設定部24は、増速の際、ゆっくり要求速力に到達させるように馬力上限値Puを設定する(ST6a:馬力設定ステップ)。本実施形態では、ゆっくり要求速力に到達させるため、馬力設定部24は、オーバーシュート温度TEtが温度上限値TEuを超えない範囲で出せる馬力の上限を、馬力上限値Puとして定める。指令部25は、当該馬力上限値Puを上限として、当該馬力上限値Pu内で出せる最大馬力で駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定し、主機11に対し指令を行い、船舶1を増速させる(ST6b:増速ステップ)。
【0050】
オーバーシュート温度TEtが、温度上限値TEuを超過しそうと判定されなかった場合(ST5:NO)、移動体制御装置20は、速力優先モードで主機11に対し指令を行う(ST7:第三制御ステップ(速力制限モード))。第三制御ステップST7は、以下の馬力設定ステップST7aと、増速ステップST7bと、を実施する。
速力優先モードでは、馬力設定部24は、速力優先モードと判定した場合、受付部21で定められた馬力をそのまま設定する(ST7a:馬力設定ステップ)。指令部25は、主機11に対し、当該馬力で増速する指令を行う。本実施形態では、指令部25は、当該馬力で駆動可能な主機出力及びプロペラ角度を決定し、主機11に対し指令を行い、船舶1を増速させる(ST7b:増速ステップ)。
【0051】
(作用及び効果)
移動体制御装置20は、主機出力及びプロペラ角度による排ガス温度の関係を結びつける各種データを基に、設定した排ガスEGの温度上限値TEuを超過しないように主機出力及びプロペラ角度を制御する。
これにより、移動体制御装置20は、排ガスEGの温度をある上限以下にキープするように制御することができる。
【0052】
例えば、船舶1が艦船である場合、主機速力に応じて排ガスから赤外線が排出されており、自艦は敵艦から発見される可能性がある。煙突12から排出された排ガスEGは、内から外に向かって高温部H、中温部M、低温部Lに関連する赤外線分布で赤外線を放出する。
図1には、シミュレーションにて計算された高温部H、中温部M、低温部Lの赤外線分布が加えて示される。自艦は、このような赤外線分布の高温部Hが敵艦に検出されることによって、発見される。
このため、敵艦に発見されないようにするには、自艦は、高温部Hを排熱しないように制御する必要がある。
しかし、主機出力に対する赤外線予想を自艦内で確認する手段が提供されていないと、乗員による赤外線制御ができない。
本実施形態では、移動体制御装置20が、排ガスEGの温度を制御することにより、艦船の隠密行動に貢献することができる。
移動体制御装置20は、いわゆるフィードフォワード制御を行っている。移動体制御装置20は、主機11を制御する前に、排ガスEGの温度をある上限以下にキープできる主機出力及びプロペラ角度の目標値を設定してから、主機11を制御している。したがって、即座に主機11を制御することができる。
【0053】
(変形例)
本実施形態では、静定赤外線制限モードにおいて、馬力設定部24は、静定温度TEsが温度上限値TEuを超えない範囲で出せる馬力の上限を、馬力上限値Puとして定めている。変形例として、静定赤外線制限モードにおいて、馬力設定部24は、オーバーシュート温度TEtが温度上限値TEuを超えない範囲で出せる馬力の上限を、馬力上限値Puとして定めてもよい。
【0054】
本実施形態では、温度上限値TEuは、操作者によって温度設定部23に入力されるが、変形例として、移動体制御装置20自身が設定してもよい。移動体制御装置20自身が設定する場合、例えば、移動体制御装置20が、温度上限値TEuを、周囲温度や自艦と敵艦との距離を参照して設定すれば、移動体制御装置は、自艦が敵艦に発見されにくいように制御できる。周囲温度や自艦と敵艦との距離は、気温計や測距計等のセンサによって検出されてもよいし、操作者がコンソールから入力してもよい。
後述する第二実施形態においても同様である。
【0055】
<第二実施形態>
以下、本発明に係る第二実施形態について、
図7〜
図9を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
本実施形態に係る移動体制御装置は、第一実施形態と基本的に同じであるが、温度検出を行ういわゆるフィードバック制御である点が第一実施形態と異なっている。
【0057】
図7に示すように、船舶101は、主機11と、煙突12と、コンソール13と、温度センサ14と、移動体制御装置120と、を備える。
温度センサ14は、煙突12の排ガスEGの排出箇所付近に配置され、排ガスEGの温度の検出値である温度検出値TEdを検出する。
図8に示すように、移動体制御装置120は、受付部21と、データベース22と、温度設定部23と、温度判定部124と、指令部125と、を機能的に備える。
本実施形態でも、後述するプログラムを実行することにより、船舶101を制御するコンピュータを移動体制御装置120として機能させている。
【0058】
指令部125は、温度検出値TEdが温度上限値TEu以下となるように主機11に指令を送る。本実施形態では、指令部125は、段階的に要求速力まで増速し、温度検出値TEdが温度上限値TEuを超えないように調整する。
温度判定部124は、温度センサ14で検出された温度検出値TEdを取得する。温度判定部124は、取得した温度検出値TEdが温度上限値TEuを超えているかどうかを判定する。本実施形態では、温度判定部124は、指令部125が行う段階的な増速の各段階において、逐次、温度検出値TEdが温度上限値TEuを超えているかどうかを判定する。
【0059】
(移動体制御方法)
本実施形態の移動体制御装置120を用いた移動体制御方法について
図9を参照して説明する。
本移動体制御方法は、ST101〜ST103の各ステップを実施する。
【0060】
まず、船舶101の排ガスEGの温度の上限値である温度上限値TEuが定められる(ST101:温度設定ステップ)。定められた温度上限値TEuは、温度設定部23に設定される。
【0061】
温度設定ステップST101に続いて、受付部21は、要求速力を受け付け、要求速力に増速するために必要な馬力を定める(ST102:速力変更要求ステップ)。
【0062】
速力変更要求ステップST102に続いて、移動体制御装置120は、温度検出値TEdを取得し、温度検出値TEdが、温度上限値TEu以下となるように、船舶101の増速を調整する(ST103:増速調整ステップ)。
増速調整ステップST103は、ST103a〜ST103eの各ステップを実施する。
【0063】
指令部125は、段階的に要求速力まで船舶101を増速させる指令を行う(ST103a:増速指令ステップ)。
【0064】
増速指令ステップST103aに続いて、温度判定部124は、温度センサ14から排ガスEGの温度の検出値である温度検出値TEdを取得する(ST103b:温度取得ステップ)。
【0065】
温度取得ステップST103bに続いて、温度判定部124は、取得した温度検出値TEdが温度上限値TEu以下かを判定する(ST103c:温度判定ステップ)。
【0066】
温度検出値TEdが温度上限値TEu以下であると判定された場合(ST103c:YES)、移動体制御装置120は、随時取得される現時点での速力と要求速力とを比較し、要求速力に達したかどうか判定する(ST103d:要求速力到達判定ステップ)。
【0067】
要求速力に達していないと判定された場合(ST103d:NO)、増速指令ステップST103aに戻り、指令部125は、さらに増速させる指令を行う。
【0068】
要求速力に達していると判定された場合(ST103d:YES)、処理は終了し、船舶101の速力が維持される。
【0069】
温度検出値TEdが温度上限値TEu以下でないと判定された場合(ST103c:NO)、指令部125は、温度上限値TEu以下となるように微調整する指令を行う(ST103e:微調整ステップ)。本実施形態では、温度検出値TEdが温度上限値TEuを超えた場合に、増速を停止し、増速の一段階分減速させる制御を行うことで、温度検出値TEdが、移動体制御装置120は、温度上限値TEu以下となるように調整している。温度検出値TEdが、温度上限値TEu以下となるように調整されると、処理は終了し、船舶101の速力が維持される。
【0070】
なお、上述の各実施形態においては、移動体制御装置の各種機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをマイコンといったコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行うものとしている。ここで、コンピュータシステムのCPUの各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0071】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0072】
上記各実施形態では、移動体として船舶を提示しているが、排ガスを排出する移動体であれば、どのような移動体でも適用できる。例えば、各実施形態の移動体制御装置は、戦車や列車にも適用できる。