特許第6983536号(P6983536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン軽金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6983536-折り畳みスロープ 図000002
  • 特許6983536-折り畳みスロープ 図000003
  • 特許6983536-折り畳みスロープ 図000004
  • 特許6983536-折り畳みスロープ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983536
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】折り畳みスロープ
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/00 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   E04F11/00 100
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-96108(P2017-96108)
(22)【出願日】2017年5月15日
(65)【公開番号】特開2018-193698(P2018-193698A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】黒田 定信
(72)【発明者】
【氏名】川口 聡
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−055604(JP,A)
【文献】 特開平10−061357(JP,A)
【文献】 特開2017−066595(JP,A)
【文献】 特開2015−161133(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0041838(KR,A)
【文献】 中国実用新案第205421757(CN,U)
【文献】 実開平07−002135(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00−11/18
E04G 27/00
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パネルと第2パネルとを回動軸にて折り畳み可能に連結したスロープであって、
前記回動軸を折り畳む内側にオフセット配置してあることで、前記第1パネルの内側の第1側端部と前記第2パネルの内側の第2側端部とは、当該第1及び第2パネルを水平に展開した際に相互に当接するものであり、
前記第1側端部と第2側端部とは、相互に係合する凹凸部を有し、
前記回動軸は一方の第1パネルの前後方向両端部であって、前記第1側端部から内側斜め上方に配置した回動孔又は回動ピンであり、
前記第2パネルの前後方向両端と前記回動孔又は回動ピンとを連結ブラケットにて回動連結してあることを特徴とする折り畳みスロープ。
【請求項2】
前記相互に係合する凹凸部は、前記一方の第1側端部に有する回動軸に沿った凹溝部と他方の第2側端部に有する凸条部との係合であることを特徴とする請求項1記載の折り畳みスロープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段差部に架け渡して通行できるようにスロープ面を形成するスロープ部材に関し、特に折り畳み可能なスロープに係る。
【背景技術】
【0002】
建築物の段差部や車両の昇降口にできる段差部に架け渡して簡易的にスロープ状の通行部を形成するために用いる簡易スロープとして、本出願人は先に折り畳み可能な簡易スロープを提案している(特許文献1)。
前記特許文献1に記載の折り畳みスロープは、両側のパネル体の相互の側端部から内側斜め上方に延在させた筒部を交互に部分的に切り欠き、各筒部を直線状に交互嵌合配置し、この筒部にシャフトを挿入したものである。
同技術は回動連結部の剛性に優れるものの加工及び組立工数が大きい課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5537136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、回動連結部の剛性を確保しながら、さらに簡単な構造からなる折り畳みスロープの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る折り畳みスロープは、第1パネルと第2パネルとを回動軸にて折り畳み可能に連結したスロープであって、前記回動軸を折り畳む内側にオフセット配置してあることで、前記第1パネルの内側の第1側端部と前記第2パネルの内側の第2側端部とは、当該第1及び第2パネルを水平に展開した際に相互に当接するものであり、前記第1側端部と第2側端部とは、相互に係合する凹凸部を有していることを特徴とする。
本発明に係る折り畳みスロープは、複数のパネルを折り畳み可能に連結してあれば、パネルの数に制限が無く3つ又は4つ等でもよいが、説明の便宜上、第1パネルと第2パネルとの連結構造として表現した。
【0006】
本発明は第1側端部と第2側端部とが凹凸部にて相互に係合するように、第1パネルと第2パネルとを水平に展開することになるので、スロープ面に負荷された荷重はこの相互に係合した凹凸部を介して両側のパネル全体に伝播されるので、これによりスロープ面の剛性が確保される。
【0007】
本発明において、前記相互に係合する凹凸部は、前記一方の第1側端部に有する回動軸に沿った凹溝部と他方の第2側端部に有する凸条部との係合である形態が例として挙げられる。
また、前記回動軸は一方の第1パネルの前後方向両端部であって、前記第1側端部から内側斜め上方に配置した回動孔又は回動ピンであり、前記第2パネルの前後方向両端と前記回動孔又は回動ピンとを連結ブラケットにて回動連結してあってもよい。
本明細書では、通行方向を前後方向と表現する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る折り畳みスロープは、回動連結した隣接パネルの相互の側端部同士を当接させた状態に水平展開するとともに、この当接部に相互に係合する凹凸部を設けたので、スロープ面に負荷された荷重は相互の凹凸部が干渉するようにたわみ分散する。
これにより従来の回動する筒部を相互に部分的に切り欠く加工が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は本発明に係る折り畳みスロープの平面図を示し、(b)はA−A線断面図、(c)はB視図を示す。
図2】(a)〜(c)は組み付け手順を示す。
図3】連結部の拡大図を示す。
図4】本発明のヒンジ構造をフラッパーに適用した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る折り畳みスロープの構造例を図に基づいて以下説明するが、折り畳み可能に連結するパネル数に制限はない。
【0011】
図1(a)は、第1パネル11と第2パネル12とを折り畳み可能に連結した折り畳みスロープ10の平面図を示し、(b)はA−A線断面図を示し、(c)は連結ブラケット20による連結部(B視)を示す。
図2は連結ブラケット20付近の平面拡大図を示す。
第1パネル11と第2パネル12とは通行方向に沿って、相互の側端部にて回動可能に連結してある。
第1パネル11は、内側の(連結側)第1側端部11bから折り畳み方向内側であって、斜め上方にオフセットさせた筒状部11dを有する。
この筒状部11dの端部を用いて図3に示すように後述する回動軸11cを形成する。
第1側端部11bには回動軸11c方向に沿った凹部形状からなる凹溝部の係合凹部11aを有する。
第2パネル12側の第2側端部12bには、第1パネル11側に突設した凸条部からなる係合凸部12aを有する。
図1に示した実施例では外側にレール13,14を有する。
【0012】
図2図3(a)に示すように第2パネルに形成した回動軸方向のビスホール12eに連結ブラケット20の一端に設けた固定孔22からタッピングネジ等の固定部材30を螺入し、この連結ブラケット20を固定連結する。
連結ブラケット20の他方の端部に設けた軸孔21を第1パネル11に設けた筒状部11dの孔中心に合せ[図2(b)]、この軸孔21から筒状部11dに向けスプリングピン(回動ピン)等の軸着部材40を圧入し、連結ブラケット20と回動ピンが相互に回動可能な回動軸11cとなるように連結する。
この状況を図2(c)及び図1(c)に示す。
図3に示すように連結ブラケット20と筒状部11dとの間には、樹脂製のワッシャー41を挿入してある。
これにより図1(c)に2点鎖線で示したように、第2パネル12が回動し折り畳むことができる。
この場合に、回動の際に係合凸部12aが係合凹部11aの内側に干渉しないように凸部の回動外側に所定の隙間dを設けてある。
また、第2パネル12は回動の際に筒状部11dと干渉しないように、断面球面状の切り欠け凹部12cを形成してある。
第2パネルは、通行前後方向の両側端部にビスホール12eを押出成形により形成しやすいように、中空断面12dとした例になっている。
このように第1パネル11と第2パネル12を水平に展開した際に、両側の第1,第2側端部11b,12bが相互に当接するとともに、係合凹部11aと係合凸部12aとが上下方向に干渉するので、第1及び第2パネルの連結部に上からかかる荷重を、この係合凹凸部で受けることで両側パネル全体に伝播させるので剛性が向上する。
また、第1側端部と第2側端部の係合凹部11a,係合凸部12a等は、押出成形にて得られることから、特許文献1に示すような交互の切欠き加工が不要であり、加工レスにてヒンジ構造を得ることができる。
【0013】
図3に示すように、図1の第1パネル11又は第2パネル12の一方向から他方に向けて延在させた突設部15を形成させると、この突設部15がスロープの接地面に干渉し、パネルの回転を防止できる。
【0014】
本発明において、隣接するパネルの相互の回動連結する構造に制限はないが、本実施例のように前後方向両側の連結ブラケットにて連結する構造は簡単であり、また第1パネル11の筒状部11dと第2パネル12の切り欠け凹部12cとの干渉により荷重を分散させることもできる。
【0015】
このような回転ヒンジ構造は、図1に示したスロープに限定されるものではなく、例えば図4に示すように、スロープ111を上下方向に回動連結したフラッパー112との間のヒンジ構造等にも適用でき、各種製品の構造が簡単でヒンジ部の剛性アップ手段として応用できる。
【符号の説明】
【0016】
10 折り畳みスロープ
11 第1パネル
11a 係合凹部
11b 第1側端部
11c 回動軸
11d 筒状部
12 第2パネル
12a 係合凸部
12b 第2側端部
20 連結ブラケット
図1
図2
図3
図4