(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0018】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、
図1を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体に画像が記録される。記録媒体としては、布帛又は建築用資材が例示される。画像の記録に用いられるインクは、例えば、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色である。但し、これら各色のインクとは異なる色のインクを用いるようにしてもよい。インクの色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。各色のインクは、例えば、色剤及び添加剤といった所定の成分を溶媒に分散させてなる。インクの種類としては、水系のインクと溶剤系のインクがある。紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクも実用化されている。実施形態では、インク色及びインクの種類を特定することなく説明する。
図1では、インクジェット記録装置10の図示は、簡略化され、実際には色毎に設けられる各部の図示は、1色分のみとされている。ハッチングは、断面された部分を示す。
図1では、記録媒体の図示は、省略されている。
【0019】
インクジェット記録装置10は、メインタンク20と、サブタンク24と、液面検出装置30と、インクジェットヘッド60と、供給流路70と、供給弁72と、接続流路74と、制御装置80を備える。メインタンク20は、インクを貯留する。サブタンク24は、メインタンク20から供給されたインクを貯留する。実施形態では、メインタンク20の内部に形成された空間を「貯留室22」という。サブタンク24の内部に形成された空間を「貯留室26」という。メインタンク20では、インクは、貯留室22に貯留され、サブタンク24では、インクは、貯留室26に貯留される。貯留室22は、大気と通じ合う。インクジェット記録装置10で記録媒体に画像が記録される場合、貯留室26は、大気圧より低い圧力(負圧)とされる。但し、
図1では、貯留室26を負圧とする構成に関する図示は、省略されている。
【0020】
サブタンク24には、液面検出装置30が取り付けられる。液面検出装置30は、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置を検出する。液面検出装置30は、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置に応じて電気信号を出力し又は電気信号の出力を停止する。実施形態では、液面検出装置30から出力される前述の電気信号を「液面レベル信号」といい、液面レベル信号の出力又は未出力は、次の通りとする。即ち、液面検出装置30は、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が鉛直方向の所定の位置より上方である場合、液面レベル信号を出力する。液面検出装置30は、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が前述の所定の位置より下方である場合、液面レベル信号を出力しない。サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が前述の所定の位置である場合において、液面レベル信号の出力又は未出力は、何れであってもよい。実施形態では、液面検出装置30では、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が前述の所定の位置である場合、液面レベル信号は、出力されないこととする。液面レベル信号が出力されなくなる前述の所定の位置を「下限位置」という(
図2の「第二状態」参照)。液面レベル信号が出力される下限位置より上方の範囲を「出力範囲」という(
図2の「第二状態」参照)。液面検出装置30に関するこの他の説明は、後述する。
【0021】
インクジェットヘッド60は、サブタンク24から供給されたインクを吐出する。インクジェットヘッド60には、内部流路62と複数のノズル64が形成される。内部流路62は、複数のノズル64へと繋がる。インクジェットヘッド60に供給されたインクは、内部流路62を流れて複数のノズル64に到達する。インクジェットヘッド60では、インクは、複数のノズル64から吐出される。
【0022】
供給流路70は、メインタンク20とサブタンク24を繋ぐ。供給流路70には、メインタンク20からサブタンク24に供給されるインクが流れる。供給流路70には、供給弁72が設けられる。供給弁72は、供給流路70を開閉する。供給弁72としては、公知の電磁弁が採用される。
【0023】
インクジェット記録装置10では、サブタンク24は、インクジェットヘッド60の鉛直方向の上側に設けられる。接続流路74は、このような位置関係とされるサブタンク24とインクジェットヘッド60を繋ぐ。接続流路74には、サブタンク24からインクジェットヘッド60に供給されるインクが流れる。
【0024】
インクジェット記録装置10では、供給弁72が開かれた状態である場合、メインタンク20から流出したインクは、供給弁72を通過し、サブタンク24に流入する。これに伴い、サブタンク24では、インクの貯留量が増加し、インクの液面が上昇する。インクジェット記録装置10では、メインタンク20は、サブタンク24より鉛直方向の上側に設けられる。このとき、メインタンク20とサブタンク24の間には、次の高低差が設けられる。前述の高低差は、メインタンク20に貯留されたインクの液面がサブタンク24に貯留されたインクの液面より高くなる位置の差である。これに伴い、インクは、自重によりメインタンク20から流出し、供給流路70をサブタンク24に向けて流れる。
【0025】
供給弁72が閉じられた状態である場合、メインタンク20からサブタンク24へのインクの流れは、遮断される。この場合、インクは、サブタンク24に供給されない。このような状態でインクジェットヘッド60からインクが吐出されると、サブタンク24に貯留されたインクは、減少し、インクの液面は、下降する。
【0026】
制御装置80は、制御部82と、タイマ84と、接続インターフェース86を備える。実施形態では、接続インターフェース86を、「接続I/F86」と記載する。制御部82は、インクジェット記録装置10で実行される各種の動作を制御する。例えば、制御部82は、インクジェットヘッド60からのインクの吐出を制御する。制御部82は、供給弁72の開閉を制御する。制御部82は、例えば、CPUと、記憶部と、RAMを含む。CPUは、演算処理を実行する。記憶部は、例えば、不揮発性のメモリ及び/又はハードディスクである。記憶部には、インクジェット記録装置10で実行される各種の動作用のプログラムが記憶される。RAMは、CPUが記憶部に記憶されたプログラムを実行する際の作業領域となる。
【0027】
タイマ84は、時間の経過を計測する。タイマ84は、ソフトウェアタイマであってもよい。接続I/F86には、液面検出装置30と供給弁72が接続される。液面検出装置30からの液面レベル信号は、接続I/F86を介して制御装置80に入力される。液面レベル信号は、接続I/F86から制御部82に出力される。接続I/F86では、供給弁72に開放信号と閉鎖信号が出力される。開放信号は、供給弁72を開かれた状態とする電気信号である。閉鎖信号は、供給弁72を閉じられた状態とする電気信号である。
図1では、制御装置80が、例えば、サブタンク24より鉛直方向の上側に図示されている。但し、このような制御装置80の配置は、メインタンク20とサブタンク24と液面検出装置30とインクジェットヘッド60と供給流路70と供給弁72と接続流路74と共に、制御装置80を図示した作図上の理由によるもので、
図1は、制御装置80の鉛直方向の位置を限定するものではない。
【0028】
<供給弁の開閉動作>
供給弁72の開閉動作の一例について、
図2を参照して説明する。
図2では、インクに関する図示とサブタンク24の部分の図示は、2点鎖線とされている。供給弁72の開閉は、制御部82(CPU)によって制御される。サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲である場合(
図2の「第一状態」及び「第三状態」参照)、液面検出装置30では、液面レベル信号が出力される。液面レベル信号は、接続I/F86を介して制御装置80に入力される。制御部82は、液面レベル信号を取得する。供給弁72は、閉じられた状態とされる。メインタンク20からサブタンク24へのインクの供給は、停止している。
【0029】
インクジェットヘッド60からインクが吐出されると、サブタンク24に貯留されたインクは、減少し、インクの液面は、下降する。インクの吐出が継続され、インクの液面位置が下限位置となり出力範囲から外れた場合(
図2の「第二状態」参照)、液面検出装置30では、液面レベル信号が出力されなくなる。制御部82は、液面レベル信号が取得されなくなったタイミングで供給弁72に開放信号を出力する。開放信号は、接続I/F86から供給弁72に出力される。供給弁72は、開かれた状態へと切り替わる。これに伴い、メインタンク20に貯留されたインクは、供給流路70を流れてサブタンク24に供給される。
【0030】
その後、制御部82は、所定のタイミングで供給弁72に閉鎖信号を出力する。閉鎖信号は、接続I/F86から供給弁72に出力される。供給弁72は、閉じられた状態へと切り替わる。これに伴い、メインタンク20からサブタンク24へのインクの供給は、停止する。閉鎖信号が出力されるタイミングは、例えば、次のように設定される。即ち、制御部82は、供給弁72への開放信号の出力に合わせてタイマ84での時間の計測を開始する。タイマ84で計測される時間が設定時間になった場合、制御部82は、供給弁72に閉鎖信号を出力する。
【0031】
設定時間としては、上述した開放信号が供給弁72に出力されるタイミングでサブタンク24に貯留されたインクの液面が予め定めた上限位置まで上昇するのに要する時間が設定される。換言すれば、設定時間としては、サブタンク24に貯留されたインクの液面が下限位置(
図2の「第二状態」参照)から上限位置まで上昇するのに要する時間が設定される。設定時間は、例えば、実験により求められる。サブタンク24に貯留されたインクの液面の下限位置と上限位置は、例えば、貯留室26の容積に基づき設定される。例えば、下限位置は、貯留室26の容積のM%となる鉛直方向の位置とされ、上限位置は、貯留室26の容積のN%(N>M)となる鉛直方向の位置とされる。下限位置を貯留室26の容積のM%となる鉛直方向の位置とした場合、出力範囲は、鉛直方向の下側となる貯留室26の底面を基準として、貯留室26の容積のM%となる鉛直方向の位置より上方の範囲となる。設定時間は、供給弁72の開閉動作用のプログラムに登録される。このような供給弁72の開閉動作によって、サブタンク24でのインクの貯留量を一定の範囲に保つことができる。ノズル64に形成されるメニスカスを安定させることができる。記録媒体に画像を高品質に記録することができる。
【0032】
<液面検出装置>
液面検出装置30について、
図1〜
図3を参照して説明する。液面検出装置30は、ステム32と、リードスイッチ40と、フロート50を備える(
図2参照)。ステム32は、底を有する筒状とされる。液面検出装置30は、ステム32が鉛直方向に沿った状態でサブタンク24に取り付けられる(
図1参照)。ステム32の底は、液面検出装置30がサブタンク24に取り付けられた状態で鉛直方向の下側となるステム32の部分である。実施形態では、液面検出装置30がサブタンク24に取り付けられた状態を「取付状態」という。ステム32は、非磁性の材料で形成される。例えば、ステム32は、後述する第一フロート52及び/又は第二フロート54を形成する合成樹脂と同一材質の合成樹脂製とされる。この場合、ステム32では、合成樹脂は、未発泡の状態とするとよい。
【0033】
ステム32には、第一ストッパ部34と第二ストッパ部36が設けられる(
図2参照)。第一ストッパ部34と第二ストッパ部36は、所定の間隔だけ離間した状態で設けられる。第一ストッパ部34は、ステム32の外周を所定の位置から細径とすることで形成された段差部である。第二ストッパ部36は、細径とされたステム32の外周の部分をフランジ状に張り出させて形成される。液面検出装置30では、第二ストッパ部36は、ステム32の底の部分に形成される。第二ストッパ部36は、例えば、Cリングのような部材によって形成されてもよい。第二ストッパ部36をCリングとする場合、細径とされたステム32の外周には、環状の溝がステム32の底の部分に形成されてもよい。第二ストッパ部36となるCリングは、この溝に嵌め込まれる。
【0034】
第一ストッパ部34は、複数の第一突起35を含む。第一ストッパ部34で複数の第一突起35は、第二ストッパ部36と対向する第一ストッパ部34の面に設けられる。第一突起35は、前述の面から第二ストッパ部36の側に突出する。第二ストッパ部36の側は、取付状態では鉛直方向の下側となる。第一突起35が前述の面から突出する量は、例えば、1mm程度とされる。第二ストッパ部36は、複数の第二突起37を含む。第二ストッパ部36で複数の第二突起37は、第一ストッパ部34と対向する第二ストッパ部36の面に設けられる。第二突起37は、前述の面から第一ストッパ部34の側に突出する。第一ストッパ部34の側は、取付状態では鉛直方向の上側となる。第二突起37が前述の面から突出する量は、例えば、1mm程度とされる。
【0035】
取付状態で第一ストッパ部34は、複数の第一突起35で後述するフロート50の第一フロート52の鉛直方向の上側の端面と接し、フロート50の鉛直方向の上側への移動を規制する。取付状態で第二ストッパ部36は、複数の第二突起37で後述するフロート50の第二フロート54の鉛直方向の下側の端面と接し、フロート50の鉛直方向の下側への移動を規制する。第一突起35と第二突起37は、先端が先細りした形状とするとよい。例えば、第一突起35と第二突起37は、山状、錐状又は半球状とされる。このような形状により、第一ストッパ部34では、第一フロート52の鉛直方向の上側の端面との接触面積を更に小さくすることができ、第二ストッパ部36では、第二フロート54の鉛直方向の下側の端面との接触面積を更に小さくすることができる。第一突起35と第二突起37は、3個以上設けるとよい。この場合、複数の第一突起35と複数の第二突起37は、等角度間隔で設けるとよい。実施形態で例示する液面検出装置30は、第一突起35が90°間隔で4個設けられ、第二突起37が120°間隔で3個設けられた構成に基づく。第一突起35は、錐状とされ、第二突起37は、半球状とされている。第一突起35と第二突起37の形状、数及び配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0036】
リードスイッチ40は、ステム32の収容室38に設けられる。収容室38は、ステム32の内部に形成された空間である。リードスイッチ40は、収容室38の所定の位置に所定の方法で固定される。液面検出装置30では、リードスイッチ40は、上述したステム32の細径となる部分に対応する収容室38の位置に1本のリード線44と共に嵌め込まれる。リードスイッチ40には、2個の接点42が設けられる。2個の接点42には、2本のリード線44がそれぞれ接続される。2本のリード線44は、ステム32の外部に引き出される。ステム32では、取付状態で鉛直方向の上側となる収容室38の部分に封止部46が装着される。2本のリード線44は、封止部46を貫通して外部に引き出される。2本のリード線44は、リードスイッチ40とは反対側の端部で接続I/F86に接続される。
図1では、リード線44の図示は、簡略化されて1本とされている。
【0037】
リードスイッチ40としては、小型のリードスイッチを採用するとよい。更に、リードスイッチ40としては、感動値の高いリードスイッチを採用するとよい。例えば、リードスイッチ40としては、全長が13mm程度で且つ感動値が10AT〜13AT程度のリードスイッチが採用される。これにより、低い磁力によってもリードスイッチ40を作動させることができる。
【0038】
フロート50は、第一フロート52と、第二フロート54を含む。フロート50では、第一フロート52と第二フロート54は、別体とされる(
図3参照)。即ち、第一フロート52と第二フロート54は、分離した状態とされる。第一フロート52は、環状とされる。第二フロート54は、環状とされる。第一フロート52と第二フロート54では、取付状態で鉛直方向の上側及び下側となる各端面は、環状の平面とされる。第一フロート52と第二フロート54の内径及び外径の各寸法は、同一又は同程度とされる。例えば、第一フロート52と第二フロート54の外径は、10mm〜15mm程度とされる。第一フロート52の寸法L1と第二フロート54の寸法L2は、「寸法L1<寸法L2」とされる。第一フロート52の寸法L1は、取付状態で鉛直方向に沿った第一フロート52の高さ寸法である。第二フロート54の寸法L2は、取付状態で鉛直方向に沿った第二フロート54の高さ寸法である。但し、第一フロート52と第二フロート54の前述の各寸法L1,L2は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0039】
第一フロート52と第二フロート54には、ステム32が挿入される(
図2参照)。ステム32が挿入された第一フロート52と第二フロート54は、取付状態で鉛直方向に隣り合う。第二フロート54は、取付状態で第一フロート52の鉛直方向の下側に設けられる。換言すれば、第一フロート52は、取付状態で第二フロート54の鉛直方向の上側に設けられる。液面検出装置30では、第一フロート52と第二フロート54は、所定の範囲をステム32に沿って移動する。実施形態では、前述の所定の範囲を「移動範囲」という(
図2の「第一状態」参照)。移動範囲は、液面検出装置30で第一フロート52と第二フロート54が移動可能な範囲である。移動範囲は、第一ストッパ部34と第二ストッパ部36の間の細径となるステム32の部分に対応する。前述の細径となるステム32の部分は、取付状態で鉛直方向の下側となる。
【0040】
つまり、フロート50は、全体として環状の形状を有し、環状のフロート50には、ステム32が挿入される。フロート50は、移動範囲をステム32に沿って移動する。インクジェットヘッド60からインクが吐出され、サブタンク24に貯留されたインクの液面が下降する場合、フロート50(第一フロート52及び第二フロート54)は、下降するインクの液面と共に鉛直方向の下側に移動する。サブタンク24にインクが供給され、サブタンク24に貯留されたインクの液面が上昇する場合、フロート50(第一フロート52及び第二フロート54)は、上昇するインクの液面と共に鉛直方向の上側に移動する。インクジェット記録装置10では、サブタンク24へのインクの供給時、フロート50は、鉛直方向の上側の移動端に到達する。即ち、サブタンク24へのインクの供給時、フロート50は、第一フロート52の鉛直方向の上側の端面が第一ストッパ部34の複数の第一突起35と接した状態となる(
図2の「第三状態」参照)。
【0041】
第一フロート52は、磁石粉末を含む合成樹脂製とされる。即ち、第一フロート52は、環状の樹脂磁石である。磁石粉末は、リードスイッチ40をオンする磁力を発生する。第一フロート52は、リードスイッチ40を作動させる。即ち、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲である場合、第一フロート52は、鉛直方向において2個の接点42が重複する範囲に位置する(
図2の「第一状態」及び「第三状態」参照)。この場合、リードスイッチ40では、2個の接点42が接続される。これに伴い、リードスイッチ40は、オンの状態となる。従って、液面検出装置30では、上述した通り、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲である場合、液面レベル信号が出力される。サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲から外れている場合、第一フロート52は、鉛直方向において2個の接点42が重複する範囲に位置しない(
図2の「第二状態」参照)。この場合、リードスイッチ40では、2個の接点42は、接続されない。これに伴い、リードスイッチ40は、オフの状態となる。従って、液面検出装置30では、上述した通り、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲から外れている場合、液面レベル信号は、出力されない。
【0042】
磁石粉末としては、フェライト粉末が例示される。フェライト粉末としては、ストロンチウムフェライト粉末が例示される。但し、磁石粉末は、フェライト粉末とは異なる粉末としてもよい。磁石粉末は、例えば、希土類磁石粉末としてもよい。希土類磁石粉末としては、ネオジウム粉末が例示される。第一フロート52では、合成樹脂は、未発泡の状態とするとよい。第一フロート52では、磁石粉末の配合量は、第一フロート52からの磁力が次の状態となるように設定するとよい。前述の状態は、第一フロート52からの磁力がリードスイッチ40を作動させるのに必要となる最小値となる状態である。これにより、第一フロート52の比重を小さくすることができる。第一フロート52の仕様に関し、第一フロート52は、例えば、取付状態で鉛直方向にNS着磁され、リードスイッチ40の作動に必要な磁力の最小値は、9mT程度とされる。第一フロート52の比重は、1.2程度とされる。第二フロート54は、合成樹脂製とされる。第二フロート54は、磁石粉末を含まない。第二フロート54では、合成樹脂は、未発泡又は発泡の何れの状態であってもよい。第二フロート54を形成する合成樹脂を未発泡又は発泡の何れの状態とするかは、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0043】
第一フロート52と第二フロート54を形成する合成樹脂は、ポリメチルペンテンとされる。ポリメチルペンテンの比重は、0.82〜0.84程度である。ポリメチルペンテンとしては、三井化学株式会社製のTPX(登録商標)が実用化されている。但し、第一フロート52及び/又は第二フロート54を形成する合成樹脂は、ポリメチルペンテンとは異なる合成樹脂としてもよい。この場合、前述の合成樹脂は、比重が1.0未満である合成樹脂とするとよい。例えば、第二フロート54は、前述のポリメチルペンテン製である場合の他、発泡ポリプロピレン製としてもよい。発泡ポリプロピレンの比重(かさ比重)は、0.50〜0.64程度である。例えば、第一フロート52と第二フロート54の質量は、外径を上述した10mm〜15mm程度とした場合、次のようにされる。即ち、第一フロート52の質量は、0.30g〜0.32gとされる。第二フロート54の質量は、ポリメチルペンテン製である場合、0.37g〜0.39gとされ、発砲ポリプロピレン製である場合、0.24g〜0.30gとされる。第一フロート52と第二フロート54を形成する合成樹脂は、諸条件を考慮して適宜選定される。第二フロート54がポリメチルペンテン製である場合、第二フロート54では、ポリメチルペンテンは、未発泡の状態としてもよい。
【0044】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0045】
(1)液面検出装置30では、フロート50は、第一フロート52と、第二フロート54を含む(
図2及び
図3参照)。第一フロート52は、磁石粉末を含む。第一フロート52は、環状で且つ合成樹脂製とされる。第二フロート54は、磁石粉末を含まない。第二フロート54は、環状で且つ合成樹脂製とされる。第二フロート54は、取付状態で第一フロート52より鉛直方向の下側に設けられる。そのため、第一フロート52によりリードスイッチ40を作動させることができる。第二フロート54により第一フロート52に浮力を作用させることができる。フロート50を小型化することができる。小型の液面検出装置30とすることができる。液面検出装置30のサイズに制限されることなく、サブタンク24を設計することができる。適切なサイズのサブタンク24とすることができる。
【0046】
(2)第一フロート52は、磁石粉末とポリメチルペンテンを含む環状の樹脂磁石とすることができる。第二フロート54は、ポリメチルペンテン製とすることができる。第二フロート54は、発泡ポリプロピレン製とすることができる。この場合、フロート50を軽量化することができる。発泡ポリプロピレンは、ポリメチルペンテンより比重が小さく、第二フロート54をより軽量化することができる。液面検出装置30では、第一フロート52と第二フロート54の外径及び質量を上述した各値とすることが可能で、フロート50の小型化を実現することができる。発明者は、ポリメチルペンテンがインクに対する耐薬品性に優れている点を確認している。フロート50の耐久性を高めることができる。この点に関し、発明者は、発泡ポリプロピレンについても好ましい実験結果を得ている。従って、第二フロート54としては、発泡ポリプロピレン製がより好ましいと考えられる。フロート50をインクに浮かせる力として、インクの表面張力を利用することも可能となる。
【0047】
(3)ステム32では、第一ストッパ部34に複数の第一突起35が設けられ、第二ストッパ部36に複数の第二突起37が設けられる(
図2参照)。インクジェット記録装置10では、サブタンク24に貯留されたインクの液面の上昇に伴いフロート50が鉛直方向の上側の移動端に移動することがある(
図2の「第三状態」参照)。この場合、フロート50と第一ストッパ部34の接触は、複数の第一突起35を介した状態となる。そのため、フロート50の第一フロート52が第一ストッパ部34に吸着するといった事象の発生を防止することができる。インクジェット記録装置10では、サブタンク24に貯留されたインクの液面の下降に伴いフロート50が鉛直方向の下側の移動端に移動することがある。この場合、フロート50と第二ストッパ部36の接触は、複数の第二突起37を介した状態となる。そのため、フロート50の第二フロート54が第二ストッパ部36に吸着するといった事象の発生を防止することができる。液面検出装置30では、インクの液面の変化に対応させたフロート50のスムーズな移動が実現される。
【0048】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0049】
(1)液面検出装置30では、フロート50は、第一フロート52と、第二フロート54を含む。第一フロート52と第二フロート54は、別体とされる(
図3参照)。フロートは、第一フロートと第二フロートを一体とした形状としてもよい。この場合、第一フロートと第二フロートは、例えば、接着剤により接合される。接着剤は、例えば、インクに対する耐薬品性を考慮して適宜選定される。
【0050】
(2)液面検出装置30は、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲である場合、液面レベル信号を出力し、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲から外れている場合、液面レベル信号を出力しない。液面検出装置での液面レベル信号の出力は、次のようにしてもよい。即ち、液面検出装置は、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲である場合、液面レベル信号を出力せず、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲から外れている場合、液面レベル信号を出力してもよい。この場合、第一フロート52が鉛直方向においてリードスイッチの2個の接点が重複する範囲に位置する場合、2個の接点は、接続されない。第一フロート52が鉛直方向においてリードスイッチの2個の接点が重複する範囲に位置しない場合、2個の接点は、接続される。制御部82は、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲から外れている場合に液面検出装置から出力される液面レベル信号を、接続I/F86を介して取得する。制御部82は、液面レベル信号の取得に応じて供給弁72に開放信号を出力する。
【0051】
(3)インクジェット記録装置10では、サブタンク24へのインクの供給は、供給開始後、設定時間の経過に伴い停止される。1個のサブタンク24に対して液面検出装置30と同様の2個の液面検出装置を設けてもよい。この場合、制御部82では、第一液面検出装置からの液面レベル信号の取得又は未取得により、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲ではなく下限位置である又は下限位置より下方であるかが判断され、供給弁72への開放信号の出力が制御される。制御部82では、第二液面検出装置からの液面レベル信号の取得又は未取得により、サブタンク24に貯留されたインクの液面位置が出力範囲ではなく上限位置である又は上限位置より上方であるかが判断され、供給弁72への閉鎖信号の出力が制御される。
【0052】
液面検出装置30では、フロート50が鉛直方向の上側の移動端に到達した状態で、第一フロート52は、鉛直方向において2個の接点42が重複する範囲に位置する(
図2の「第三状態」参照)。液面検出装置では、ステムは、第一フロート52が前述の範囲を鉛直方向の上側に通過する位置まで移動範囲が拡張された構成としてもよい。前述の移動範囲は、上述した移動範囲(
図2の「第一状態」参照)と同様、液面検出装置でフロート50(第一フロート52及び第二フロート54)が移動可能な範囲である。この場合、サブタンク24へのインクの供給は、サブタンク24に貯留されたインクの液面が上昇し、第一フロート52が鉛直方向において2個の接点42が重複する範囲を鉛直方向の上側に通過したタイミングで停止させてもよい。制御部82では、サブタンク24へのインクの供給が開始され、インクの液面位置が下限位置より上方となった状態で液面レベル信号の取得が再開される。その後、サブタンク24に貯留されたインクの液面が更に上昇し、第一フロート52が鉛直方向において2個の接点42が重複する範囲を鉛直方向の上側に通過したタイミングで、液面検出装置では、液面レベル信号が出力されなくなる。制御部82は、液面レベル信号が取得されなくなったタイミングで供給弁72に閉鎖信号を出力する。閉鎖信号は、接続I/F86から供給弁72に出力される。供給弁72は、閉じられた状態へと切り替わる。これに伴い、メインタンク20からサブタンク24へのインクの供給は、停止する。
【0053】
(4)インクジェット記録装置10は、シリアル型及びライン型の何れであってもよい。即ち、液面検出装置30は、サブタンク24を備えるインクジェット記録装置であれば、その型式に関わらず採用することができる。シリアル型及びライン型のインクジェット記録装置は、既に実用化された型式であり、共に公知である。従って、これらに関するこの他の説明は、省略する。
【0054】
(5)液面検出装置30は、インクジェット記録装置10のサブタンク24に貯留されたインクの液面位置を検出する。液面検出装置30の構造は、インクジェット記録装置10で、サブタンク24とは異なる各種の貯留タンクに貯留された液体の液面位置を検出する液面検出装置に採用することができる。例えば、メインタンク20に貯留されたインクの液面位置を検出する場合、液面検出装置30と同様の構造の液面検出装置をメインタンク20に取り付けることもできる。インクジェット記録装置10がメインタンク20及びサブタンク24以外に、更に、
図1で不図示の貯留タンクを備え、この貯留タンクに貯留された液体の液面位置を検出する場合、液面検出装置30と同様の構造の液面検出装置をこの貯留タンクに取り付けることもできる。