特許第6983541号(P6983541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983541
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】撮像光学系及びそれを用いた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   G02B13/00
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-109742(P2017-109742)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-205474(P2018-205474A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】山岸 正和
【審査官】 岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−209377(JP,A)
【文献】 特開2011−027859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
フォーカシングに際して前記第1レンズ群は移動し、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をf、無限遠から近距離へのフォーカシングに伴う前記第1レンズ群の移動量をT1とするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
0.30<|T1/f|<0.95
なる条件式を満足することを特徴とする撮像光学系。
【請求項2】
前記第1a群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズ、正レンズ、負レンズから成ることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学系。
【請求項3】
前記第1b群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像光学系。
【請求項4】
前記第1b群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像光学系。
【請求項5】
前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズ、正レンズよりなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項6】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第1a群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズ、正レンズ、負レンズからなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする撮像光学系。
【請求項7】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第1b群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする撮像光学系。
【請求項8】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第1b群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする撮像光学系。
【請求項9】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズ、正レンズよりなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする撮像光学系。
【請求項10】
前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズは、像側のレンズ面が凹形状であり、前記開口絞りの像側に隣接して配置されたレンズは、物体側のレンズ面が凹形状であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項11】
前記第1a群と前記第1b群との合成焦点距離をf1abとするとき、
|f/f1ab|<0.25
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項12】
前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
|f/f2|<0.40
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項13】
前記第2レンズ群の最も像側には、物体側のレンズ面が凹形状の正レンズが配置されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項14】
前記第1c群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズと正レンズを接合した接合レンズ、正レンズよりなることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の撮像光学系。
【請求項15】
前記第1c群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズと負レンズを接合した接合レンズ、正レンズよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像光学系。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の撮像光学系と、該撮像光学系によって形成された像を受光する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像光学系に関し、特に一眼レフカメラ、デジタルスチルカメラ、フィルム用カメラ、ビデオカメラ、監視用カメラ等の撮像装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レンズ交換式のスチルカメラ等の撮像装置に用いる撮像光学系には、大口径比で、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して収差変動が少なく、フォーカス全域にわたり高い光学性能を有することが要求されている。
【0003】

特許文献1は、撮像倍率1.5程度の近接撮影においても十分な収差補正がなされた広角マクロレンズ系を開示している。特許文献2は、球面収差やコマ収差を低減したダブルガウスタイプのマクロレンズ系を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−298840号公報
【特許文献2】特開2013−231941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダブルガウスタイプの撮像光学系は、大口径比化が容易で、物体距離の変動に対する収差変動が比較的少ないという特徴がある。しかしながら、ダブルガウスタイプの撮像光学系において、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して全系を移動させると、瞳の移動量が増加してくる。この結果、フォーカス全域で周辺光量を確保しようとすると、レンズ有効径が増大し全系が大型化してくる。
【0006】
大口径比で、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して高い光学性能を有し、かつ周辺光量を充分得るためには、レンズ構成や各レンズに用いる材料等を適切に設定することが重要となってくる。
【0007】
本発明は、無限遠から近距離へのフォーカシングに伴う収差変動が少なく、フォーカス全域で高い光学性能を有し、周辺光量を充分確保することが容易な撮像光学系及びそれを有する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
フォーカシングに際して前記第1レンズ群は移動し、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み
記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり
記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をf、無限遠から近距離へのフォーカシングに伴う前記第1レンズ群の移動量をT1とするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
0.30<|T1/f|<0.95
なる条件式を満足することを特徴としている。
本発明の他の撮像光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第1a群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズ、正レンズ、負レンズからなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする。
本発明の他の撮像光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第1b群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする。
本発明の他の撮像光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第1b群は、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする。
本発明の他の撮像光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する撮像光学系において、
前記第1レンズ群は開口絞りを含み、
前記開口絞りの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとするとき、前記第1レンズ群は、最も物体側のレンズから前記レンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群、前記レンズGhから前記開口絞りの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群、前記開口絞りの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群からなり、
前記第2レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、負レンズ、正レンズよりなり、
前記第1a群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5
なる条件式を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して収差変動が少なく、フォーカス全域で高い光学性能を有し、周辺光量を充分確保することが容易な撮像光学系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1におけるレンズ断面図
図2】(A)、(B) 本発明における実施例1の無限遠と近距離(撮影倍率0.5)における縦収差図
図3】本発明の実施例2におけるレンズ断面図
図4】(A)、(B) 本発明における実施例2の無限遠と近距離(撮影倍率0.5)における縦収差図
図5】本発明の実施例3におけるレンズ断面図
図6】(A)、(B) 本発明における実施例3の無限遠と近距離(撮影倍率0.5)における縦収差図
図7】本発明の撮像装置の要部概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の撮像光学系及びそれを有する撮像装置の実施例について説明する。本発明の撮像光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、正または負の屈折力の第2レンズ群から成り、フォーカシングに際して第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が変化する。
【0012】
図1は、本発明の実施例1の撮像光学系について、無限遠に合焦(フォーカス)しているときのレンズ断面図である。図2(A)、(B)は、本発明の実施例1の撮像光学系について、無限遠と近距離(撮像倍率−0.5)に合焦しているときの縦収差図である。実施例1はFナンバー2.91、撮像画角42.2度の撮像光学系である。
【0013】
図3は、本発明の実施例2の撮像光学系について、無限遠に合焦しているときのレンズ断面図である。図4(A)、(B)は、本発明の実施例2の撮像光学系について、無限遠と近距離(撮像倍率−0.5)に合焦しているときの縦収差図である。実施例2はFナンバー2.91、撮像画角40.8度の撮像光学系である。
【0014】
図5は、本発明の実施例3の撮像光学系について、無限遠に合焦しているときのレンズ断面図である。図6(A)、(B)は、本発明の実施例3の撮像光学系について、無限遠と近距離(撮像倍率−0.5)に合焦しているときの縦収差図である。実施例3はFナンバー2.91、撮像画角41.4度の撮像光学系である。図7は本発明の撮像装置の要部概略図である。
【0015】
本発明の撮像光学系はデジタルカメラやビデオカメラ、放送用カメラ、監視用カメラ、銀塩写真用カメラ等の撮像装置に用いられる。
【0016】
実施例1乃至3に対応する図1図3図5のレンズ断面図において、左方が物体側で、右方が像側である。レンズ断面図において、L0は撮像光学系である。L1は正の屈折力の第1レンズ群、L2は負の屈折力の第2レンズ群である。
【0017】
無限遠から至近へのフォーカシングに際して、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2は、互いの間隔が拡大するように矢印に示すように物体側に移動する。第1レンズ群L1は、負の屈折力の第1a群L1a、正の屈折力の第1b群L1b、正の屈折力の第1c群L1cより構成されている。SPは開口絞りであり、第1レンズ群L1に配置されている。第1レンズ群L1を構成する第1a群L1a、第1b群L1b、第1c群L1cの各群の区分けは次のとおりである。
【0018】
開口絞りSPの物体側において軸上光線の入射高hが最も高いレンズをレンズGhとする。第1a群L1aは、最も物体側のレンズからレンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される。第1b群L1bは、レンズGhから開口絞りSPの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される。第1c群L1cは、開口絞りSPより像側に配置されたレンズにより構成される。IPは像面であり、デジタルスチルカメラやビデオカメラの撮像光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面が、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する。
【0019】
収差図において、FnoはFナンバーである。ωは半画角(度)である。また球面収差図において実線のdはd線(波長587.6nm)、二点鎖線のgはg線(波長435.8nm)である。非点収差図で点線のΔMはd線におけるメリディオナル像面、実線のΔSはd線におけるサジタル像面である。歪曲収差図はd線について示している。倍率色収差図において二点鎖線のgはg線である。後述する数値データをmm単位で表したとき縦収差図において、球面収差は0.4mm、非点収差は0.4mm、歪曲は2%、倍率色収差は0.05mmのスケールで描かれている。
【0020】
ダブルガウスタイプの撮像光学系において、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して全体を移動させる方式をとる場合、撮影倍率を向上させようとするとフォーカシングに伴う瞳の移動量が増加してくる。この結果、フォーカス全域で周辺光量を確保しようとすると、レンズの有効径が増加してくる。
【0021】
特許文献1に開示された広角マクロレンズ系は、物体側のレンズ群の負の屈折力が弱いため、レンズ間隔が広く、レンズ全長が増大する傾向があった。特許文献2に開示されたマクロレンズ系は、物体側のレンズ群の負の屈折力が弱く、レンズの有効径が増大する傾向があった。
【0022】
本発明は物体側に負の屈折力の大きなレンズ群を配置することによって、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して高い光学性能を有しつつ、周辺光量を充分確保している。
【0023】
本発明の撮像光学系の構成について説明する。本発明の撮像光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、正または負の屈折力の第2レンズ群L2から成る。第1レンズ群L1は開口絞りSPを有している。開口絞りSPの物体側において軸上光線の入射高hが最も高くなるレンズをレンズGhとする。
【0024】
このとき、第1レンズ群L1は、最も物体側のレンズからレンズGhの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される負の屈折力の第1a群L1a、レンズGhから開口絞りSPの物体側に隣接して配置されたレンズまでで構成される第1b群L1bを有する。更に開口絞りSPの像側に配置されたレンズにより構成される第1c群L1cからなる。
【0025】
そして、第1a群L1aの焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
−1.5<f1a/f<−0.5 ・・・(1)
なる条件式を満足する。
【0026】
次に、条件式(1)の技術的意味について説明する。条件式(1)は、第1a群L1aの焦点距離を適切に設定することで、レンズの大型化を防ぎながら軸外光束のケラレを少なくするための条件式である。条件式(1)の上限値を超えて第1a群L1aの負の屈折力が強くなる(負の屈折力の絶対値が大きくなる)と、光線のはねあげが大きくなり像側に続く第1b群L1bの有効径が大型化してしまう。
【0027】
条件式(1)の下限値を超えて、第1a群L1aの負の屈折力が弱くなる(負の屈折力の絶対値が小さくなる)と、入射瞳を充分に物体側へ移動させることができず、第1a群L1aの径が大型化してしまう。より好ましくは、条件式(1)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
−1.0<f1a/f<−0.6 ・・・(1a)
【0028】
以上により、本発明では、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して収差変動が少なく、高い光学性能を有し、周辺光量を充分確保した撮像光学系L0を得ている。
【0029】
次に本発明のより好ましい構成について説明する。第1a群L1aと第1b群L1bとの合成焦点距離をf1abとする。第2レンズ群L2の焦点距離をf2とする。無限遠から近距離へのフォーカシングに際して第1レンズ群L1が光軸上を移動する移動量をT1とする。但し、フォーカシングに際してのレンズ群の移動量の符号は無限遠に合焦しているときと比較して近距離に合焦しているときにレンズ群が像側に位置するときを正とする。また、近距離とは撮像倍率が−0.5のときをいう。
【0030】
このとき次の条件式のうち1つ以上を満足するのが良い。
|f/f1ab|<0.25 ・・・(2)
|f/f2|<0.40 ・・・(3)
0.30<|T1/f|<0.95 ・・・(4)
【0031】
次に前述の各条件式の技術的意味について説明する。条件式(2)は、開口絞りSPの物体側のレンズ系の屈折力を弱めることにより、長いバックフォーカスを確保して、例えばデジタル一眼レフカメラなどの撮像装置への対応を容易にしている。条件式(2)の上限値を超えると長いバックフォーカスを確保するのが困難となる。条件式(2)は、より好ましくは次の数値範囲とするのが良い。
0.05<|f/f1ab|<0.15 ・・・(2a)
【0032】
条件式(3)は、第2レンズ群の屈折力を弱くすることでフォーカシングに際してのコマ収差の変動・像面湾曲の変動を少なくするためのものである。条件式(3)の上限値を超えるとコマ収差や像面湾曲を良好に補正するのが困難になる。条件式(3)は、より好ましくは次の数値範囲とするのが良い。
|f/f2|<0.32 ・・・(3a)
【0033】
条件式(4)は無限遠から近距離へのフォーカシングにおける第1レンズ群L1の移動量T1に関する。条件式(4)の下限値を超えると、近距離での撮影倍率が低くなる。
【0034】
条件式(4)の上限値を超えて、フォーカシングに伴う第1レンズ群L1の移動量が大きくなると、各レンズを保持する鏡筒で軸外光束がけられやすくなるか、光束がけられないようするためレンズ有効径が大型化してしまう。条件式(4)は、より好ましくは次の数値範囲とするのが良い。
0.35<|T1/f|<0.85 ・・・(4a)
【0035】
また各実施例において好ましくは次の構成をとるのが良い。第1b群L1bに含まれる開口絞りSPに隣接して配置されたレンズは像側のレンズ面が凹形状であり、第1c群L1cに含まれる開口絞りSPに隣接して配置されたレンズは物体側のレンズ面が凹形状であることが好ましい。
【0036】
開口絞りSPを挟んで対称のレンズ形状とすれば諸収差、特に球面収差、コマ収差等の補正が容易になる。第2レンズ群L2に含まれるレンズの中で最も像側には、物体側のレンズ面が凹形状の正レンズが配置されていることが良い。これによれば、撮像光学系L0をデジタルカメラに用いて、撮影する場合にセンサ面で反射した外光がさらにレンズ面に反射して起こるゴースト、フレアを低減することが容易になる。
【0037】
第1a群L1aは、物体側から像側へ順に配置された、負レンズ、正レンズ、負レンズから成ることが好ましい。これによれば、第1a群L1aにおいて球面収差およびコマ収差を良好に補正することが容易になる。
【0038】
次に各実施例のレンズ構成の特徴について説明する。実施例1において、第1b群L1bは、物体側から像側へ順に配置された、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなる。実施例2、3において、第1b群L1bは、物体側から像側へ順に配置された正レンズ、正レンズ、正レンズと負レンズを接合した接合レンズよりなる。
【0039】
実施例1、2において、第1c群L1cは、物体側から像側へ順に配置された、負レンズと正レンズを接合した接合レンズ、正レンズよりなる。実施例3において、第1c群L1cは物体側から像側へ順に配置された正レンズと負レンズを接合した接合レンズ、正レンズよりなる。実施例1乃至3において、第2レンズ群L2は物体側から像側へ順に配置された負レンズ、正レンズよりなる。
【0040】
以上の如く構成することによって、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して高い光学性能を有し、周辺光量を充分確保した撮像光学系が容易に得られる。
【0041】
以上、本発明の好ましい撮像光学系の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0042】
次に、図7を用いて、本発明の撮像光学系を用いた撮像装置(デジタルカメラ)の実施例を説明する。
【0043】
図7において、10は実施例1乃至3の撮像光学系1を有する撮影レンズである。撮像光学系1は保持部材である鏡筒2に保持されている。20はカメラ本体であり、撮影レンズ10からの光束を上方に反射するクイックリターンミラー3、撮影レンズ10の像形成位置に配置された焦点板4より構成されている。更に、焦点板4に形成された逆像を正立像に変換するペンタダハプリズム5、その正立像を観察するための接眼レンズ6などによって構成されている。
【0044】
7は感光面であり、CCDセンサやCMOSセンサ等のズームレンズによって形成される像を受光する固体撮像素子(光電変換素子)や銀塩フィルムが配置される。撮影時にはクイックリターンミラー3が光路から退避して、感光面7上に撮影レンズ10によって像が形成される。実施例1乃至3にて説明した利益は、本実施例に開示したような撮像装置において効果的に享受される。また本発明の撮像光学系はクイックリターンミラーのない、ミラーレスのカメラにも同様に適用することができる。またプロジェクター用の画像投射光学系に適用することもできる。
【0045】
以下に実施例1乃至3に対応する数値データ1乃至3を示す。各数値データにおいてiは物体側から数えた面の順番を示す。数値データにおいてriは物体側より順に第i番目のレンズ面の曲率半径、diは物体側より順に第i番目のレンズ厚及び空気間隔、ndiとνdiは各々物体側より順に第i番目のレンズの材料の屈折率とアッベ数である。
【0046】
また、焦点距離、Fナンバー等のスペックに加え、像高は半画角を決定する最大像高、レンズ全長は第1レンズ面から像面までの距離である。バックフォーカスBFは最終レンズ面から像面までの長さを示している。また、各光学面の間隔dが(可変)となっている部分は、フォーカシングに際して変化するものであり、別表に無限遠と近距離に合焦したときの面間隔を記している。また前述の各条件式に関するパラメータと数値データとの関係を表1に示す。
【0047】
(数値データ1)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 44.754 1.33 1.51742 52.4
2 20.133 2.64
3 37.890 2.21 1.83481 42.7
4 126.802 1.37
5 -56.860 1.08 1.65412 39.7
6 37.197 0.10
7 25.847 4.24 1.91082 35.3
8 -91.901 0.10
9 22.695 5.37 1.49700 81.5
10 -27.281 1.21 1.67300 38.1
11 16.999 4.00
12(絞り) ∞ 3.22
13 -17.664 1.08 1.74951 35.3
14 -57.124 2.52 1.77250 49.6
15 -19.984 0.10
16 43.300 3.11 1.59522 67.7
17 -54.253 (可変)
18 -120.283 1.02 1.57135 53.0
19 40.483 1.26
20 -197.824 1.49 1.83400 37.2
21 -47.842 (可変)
像面 ∞
【0048】
各種データ
無限遠
焦点距離 55.99
Fナンバー 2.91
像高 21.60
レンズ全長 83.72

無限遠 近距離

d17 1.59 6.52
d21 44.70 64.14
【0049】
(数値データ2)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 100.713 1.90 1.51742 52.4 34.40
2 31.744 2.40 31.62
3 54.445 3.70 1.83481 42.7 31.45
4 335.375 1.80 31.08
5 -93.936 1.70 1.65412 39.7 31.08
6 65.641 0.15 31.74
7 40.381 5.26 1.91082 35.3 32.72
8 274.681 0.20 32.39
9 97.015 3.61 1.77250 49.6 32.21
10 -230.550 0.15 31.80
11 46.053 6.93 1.43875 94.9 30.02
12 -53.455 1.60 1.67300 38.1 28.55
13 28.307 5.38 25.80
14(絞り) ∞ 5.07 25.75
15 -28.710 1.70 1.74951 35.3 25.70
16 -91.895 5.27 1.77250 49.6 27.21
17 -32.073 0.15 28.40
18 59.915 4.50 1.59522 67.7 28.26
19 -138.951 (可変) 27.84
20 -271.305 1.50 1.57135 53.0 27.02
21 59.363 2.14 28.00
22 -463.747 2.49 1.83400 37.2 28.20
23 -84.618 (可変) 28.84
像面 ∞
【0050】
各種データ
無限遠
焦点距離 91.23
Fナンバー 2.91
像高 34.00
レンズ全長 132.54

無限遠 近距離
d19 2.62 11.75
d25 72.31 101.74
【0051】
(数値データ3)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 102.350 1.90 1.51742 52.4 34.74
2 30.964 3.04 31.82
3 54.214 3.61 1.83481 42.7 31.50
4 300.347 1.72 30.99
5 -96.419 1.70 1.65412 39.7 30.99
6 66.963 0.15 31.69
7 39.557 5.68 1.91082 35.3 32.77
8 262.701 0.20 32.37
9 93.505 3.34 1.77250 49.6 32.18
10 -307.363 0.15 31.79
11 45.450 7.06 1.43875 94.9 30.09
12 -53.047 1.60 1.67300 38.1 28.60
13 27.448 2.68 25.82
14(絞り) ∞ 5.07 25.84
15 -29.243 4.10 1.77250 49.6 25.87
16 -19.345 1.30 1.74951 35.3 26.63
17 -31.853 0.15 28.00
18 57.017 5.01 1.59522 67.7 27.99
19 -128.825 (可変) 27.52
20 -198.208 1.50 1.57135 53.0 26.32
21 59.707 2.21 27.39
22 -577.406 2.81 1.83400 37.2 27.77
23 -79.829 (可変) 28.54
像面 ∞
【0052】
各種データ
無限遠
焦点距離 90.00
Fナンバー 2.91
像高 34.00
レンズ全長 132.06

無限遠 近距離
d19 2.68 10.70
d23 71.55 102.77
【0053】
【表1】
【符号の説明】
【0054】
L0 撮像光学系 L1 第1レンズ群 L2 第2レンズ群
L1a 第1a群 L1b 第1b群 L1c 第1c群
SP 開口絞り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7