特許第6983543号(P6983543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983543電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
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  • 特許6983543-電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 図000028
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983543
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 5/147 20060101AFI20211206BHJP
   G03G 5/06 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G03G5/147 502
   G03G5/147 504
   G03G5/06 312
   G03G5/06 313
【請求項の数】9
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-114505(P2017-114505)
(22)【出願日】2017年6月9日
(65)【公開番号】特開2018-205671(P2018-205671A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝治
(72)【発明者】
【氏名】村上 舞
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 善久
【審査官】 塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−115621(JP,A)
【文献】 特開2012−113237(JP,A)
【文献】 特開2015−210447(JP,A)
【文献】 特開2015−222410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 5/00 − 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、該支持体上の電荷発生層、該電荷発生層上の電荷輸送層および該電荷輸送層上の保護層を有する電子写真感光体であって、
該保護層が、
(α)下記式(A)で示される正孔輸送性化合物の重合物、
(β)下記式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂、および、
(γ)下記式(C)で示される正孔輸送性化合
を含有し、
該保護層中の該(β)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.01質量%以上4.0質量%以下であり、
該保護層中の該(γ)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.001質量%以上3.0質量%以下であり、
該電荷輸送層が、
該(γ)、および、
(δ)安息香酸メチルおよび安息香酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
該電荷輸送層中の該(δ)の含有量が、該電荷輸送層の全質量に対して0.8質量%以上5.0質量%以下であ
ことを特徴とする電子写真感光体。
【化1】
(式(A)中、Z〜Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アリール基の置換基は、炭素数1以上6以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基、ハロゲン原子、または、重合性官能基である。ただし、式(A)で示される正孔輸送性化合物は、該置換基としての重合性官能基を1個以上有する。)
【化2】
(式(B)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、または、エチル基を示す。Xは、単結合、酸素原子、または、2価の炭化水素基を示す。)
【化3】
(式(C)中、ArおよびArはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。Arは、n価の芳香族基を示し、nは、1以上3以下の整数である。)
【請求項2】
前記重合性官能基が、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記重合性官能基が、ヒドロキシ基またはヒドロキシメチル基である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
支持体、該支持体上の電荷発生層、該電荷発生層上の電荷輸送層および該電荷輸送層上の保護層を有する電子写真感光体であって、
該保護層が、
(α)下記式(A)で示される正孔輸送性化合物の重合物、
(β)下記式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂、および、
(γ)下記式(C)で示される正孔輸送性化合物
を含有し、
下記式(A)で示される正孔輸送性化合物が有する重合性官能基は、ヒドロキシ基またはヒドロキシメチル基であり、
該保護層中の該(β)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.01質量%以上4.0質量%以下であり、
該保護層中の該(γ)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.001質量%以上3.0質量%以下であり、
該電荷輸送層が、該(γ)を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体。
【化4】
(式(A)中、Z〜Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アリール基の置換基は、炭素数1以上6以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基、ハロゲン原子、または、重合性官能基である。ただし、式(A)で示される正孔輸送性化合物は、該置換基としての重合性官能基を1個以上有する。)
【化5】
(式(B)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、または、エチル基を示す。Xは、単結合、酸素原子、または、2価の炭化水素基を示す。)
【化6】
(式(C)中、ArおよびArはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。Arは、n価の芳香族基を示し、nは、1以上3以下の整数である。)
【請求項5】
前記保護層中の前記(β)の含有量が、前記保護層中の前記(α)の含有量に対して0.01質量%以上2.0質量%以下であり、
前記保護層中の前記(γ)の含有量が、前記保護層中の前記(α)の含有量に対して0.001質量%以上1.0質量%以下である
請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記保護層中の前記(β)の含有量が、前記保護層中の前記(α)の含有量に対して0.01質量%以上0.8質量%以下であり、
前記保護層中の前記(γ)の含有量が、前記保護層中の前記(α)の含有量に対して0.01質量%以上1.0質量%以下である
請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
前記保護層中の前記(β)の含有量Mβと前記保護層中の前記(γ)の含有量Mγが、下記式(質量比)を満たす請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
0.8≦Mβ/Mγ≦500
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真装置ユーザーの多様化が進み、出力される画像には従来よりも高画質であることおよび使用期間における画質の変化がないことが求められている。
特許文献1には、電位変動を抑制するための技術として、特定の重合性化合物と特定の化合物を含む組成物を重合させて得られる保護層を有する電子写真感光体に関する技術が開示されている。
また、特許文献2には、表面層における特定の化合物の含有割合を赤外分光全反射法により得たスペクトルのピーク面積より規定することで、電気特性および耐傷性を向上させた電子写真感光体に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−54132号公報
【特許文献2】特開2014−191118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、電子写真装置ユーザーの多様化に伴い、画像の品質はもちろんのこと、操作性のよさや、メンテナンスの簡便さの向上という部分についても重要な要素となる。そのため、現在では、ユーザー自身による簡便な消耗品の交換が行われるようになっている。その場合にも、サービスマンによる消耗品の交換と同様の画質を得られることが当然求められる。
【0005】
本発明者らの検討によると、特許文献1または2の構成を用いた電子写真感光体は、過剰な白色光に長時間曝された場合に、画像ムラという課題が生じることが明らかになった。また、特許文献2の構成を用いた電子写真感光体では、残留電位の上昇という課題も生じる場合があることが明らかになった。
このことは、ユーザー自身による消耗品の交換により、電子写真感光体が過剰な白色光に長時間曝され、画像ムラや残留電位の上昇が起き得ることを意味する。
【0006】
したがって本発明の目的は、白色光に長時間曝された場合でも、より良質な画像を得ることができ、残留電位の上昇を抑制することができる電子写真感光体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の一態様に係る電子写真感光体は、支持体、該支持体上の電荷発生層、該電荷発生層上の電荷輸送層および該電荷輸送層上の保護層を有する電子写真感光体であって、
該保護層が、
(α)下記式(A)で示される正孔輸送性化合物の重合物、
(β)下記式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂、および、
(γ)下記式(C)で示される正孔輸送性化合
を含有し、
該保護層中の該(β)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.01質量%以上4.0質量%以下であり、
該保護層中の該(γ)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.001質量%以上3.0質量%以下であり、
該電荷輸送層が、
該(γ)、および、
(δ)安息香酸メチルおよび安息香酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
該電荷輸送層中の該(δ)の含有量が、該電荷輸送層の全質量に対して0.8質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする。
【化1】
(式(A)中、Z〜Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アリール基の置換基は、炭素数1以上6以下の直鎖若しくは分岐のアルキル基、ハロゲン原子、または、重合性官能基である。ただし、式(A)で示される正孔輸送性化合物は、該置換基としての重合性官能基を1個以上有する。)
【化2】
(式(B)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、または、エチル基を示す。Xは、単結合、酸素原子、または、2価の炭化水素基を示す。)
【化3】
(式(C)中、ArおよびArはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。Arは、n価の芳香族基を示し、nは、1以上3以下の整数である。)
また、本発明の別の態様に係る電子写真感光体は、支持体、該支持体上の電荷発生層、該電荷発生層上の電荷輸送層および該電荷輸送層上の保護層を有する電子写真感光体であって、
該保護層が、
(α)上記式(A)で示される正孔輸送性化合物の重合物、
(β)上記式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂、および、
(γ)上記式(C)で示される正孔輸送性化合物
を含有し、
上記式(A)で示される正孔輸送性化合物が有する重合性官能基は、ヒドロキシ基またはヒドロキシメチル基であり、
該保護層中の該(β)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.01質量%以上4.0質量%以下であり、
該保護層中の該(γ)の含有量が、該保護層中の該(α)の含有量に対して0.001質量%以上3.0質量%以下であり、
該電荷輸送層が、該(γ)を含有する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
光曝露によるメモリ(以下、「フォトメモリ」とも表記する)がより小さく、かつ残留電位の上昇を抑制することができる電子写真感光体ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
本発明は、支持体、該支持体上の電荷発生層、該電荷発生層上の電荷輸送層および該電荷輸送層上の保護層を有する電子写真感光体であって、
該保護層が、その構成成分として、式(A)で示される正孔輸送性化合物の重合物(α)、式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂(β)、式(C)で示される正孔輸送性化合物(γ)を含有し、保護層中の(α)の含有量に対して保護層中の(β)および(γ)を特定の量含有し、電荷輸送層に(γ)を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0011】
本発明者らの検討によれば、特許文献1または2の構成では保護層中に存在する正孔輸送性化合物の量が多い。そのために、光曝露された際に保護層中で一時的に生じる過剰な電荷輸送によって生じるフォトメモリ分である電荷輸送分および、保護層と電荷輸送層の界面で電荷輸送層から保護層に注入する電荷の量が一時的に増大することにより生じる過剰なフォトメモリ分である注入分により、フォトメモリが発生することが分かった。
また、特許文献2の構成であると、場合によっては残留電位の上昇が見られる場合があることが分かった。
【0012】
上記課題を解決するために本発明者らは、保護層中の(γ)の量を検討した。その結果、(γ)を(α)に対して0.001質量%以上3.0質量%以下含有し、(β)を(α)に対して0.01質量%以上4.0質量%以下含有し、さらには電荷輸送層に(γ)を含有することで、従来技術で発生していたフォトメモリの発生および残留電位の上昇を抑制できることが分かった。
【0013】
本発明の構成により、フォトメモリの発生を抑制することができるメカニズムを以下のように考えている。正孔輸送性化合物が長時間光曝露されると、一時的に過剰な正孔輸送を行うパスが形成されることでフォトメモリの量が増大する場合がある。本発明者らは、前記した過剰な正孔輸送を行うパスは、重合物として存在し周囲から拘束を受けている正孔輸送性化合物よりも、拘束を受けていない正孔輸送性化合物において生じやすいと考えている。そこで、保護層中に存在する(α)に対する(γ)の量をコントロールすることにより上記パスの形成を抑制すること可能になったと推測している。あわせて、保護層に特定の量の(β)を含有することにより、保護層中の(α)および(γ)で生じる前記した過剰正孔輸送を行うパスの形成を抑制し、フォトメモリの発生をさらに低減していると推測している。加えて、電荷輸送層に(γ)を含有することで、電子写真感光体が光曝露された場合に生じる電荷輸送層と保護層の界面での電荷の注入と滞留のバランスが最適化され、フォトメモリの発生を抑制することに対してさらなる効果が出ているものと本発明者らは考えている。また、保護層中の(β)の含有量を適正にすることにより保護層中での電荷の残留や滞留も同時に最適化されることで電子写真感光体の残留電位の上昇も抑制されていると考えている。
【0014】
以上のメカニズムのように、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果を達成することが可能となる。
【0015】
<(α)について>
(α)は下記式(A)で示される正孔輸送性化合物の重合物である。
【化4】
式(A)中、Z〜Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。該アリール基の置換基は、炭素数1以上6以下の直鎖若しくは分岐のアルキル基、ハロゲン原子、または、重合性官能基である。ただし、式(A)で示される正孔輸送性化合物は、重合性官能基を1個以上有する。
【0016】
前記重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基、ヒドロキシ基またはヒドロキシメチル基であると耐摩耗性および重合物における正孔輸送性部位の拘束の強さの観点から好ましい。さらにはアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を2つ以上有するものを含むことが上記理由からさらに好ましい。本発明の効果を得るにあたり、式(A)で示される正孔輸送性化合物はより具体的には下記式(A−1)〜(A−14)で示される正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの化合物を単独で用いても良いし、複数種混合して用いてもよい。
【化5】
【化6】
【化7】
【0017】
<(β)について>
(β)は下記式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂である。
【化8】
式(B)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、または、エチル基を示す。Xは、単結合、酸素原子、または、2価の炭化水素基を示す。
【0018】
電荷輸送を行うパスの過剰な形成の抑制および電荷輸送層からの過剰な電荷の流入を抑制する観点から、(β)としては下記式(B−1)〜(B−8)で示される構造単位を有するものが好ましい。これらの構造単位が単独で(β)を形成しても良いし、複数種用いて共重合体としての(β)を形成してもよい。その共重合形態は、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合などのいずれの形態であってもよい。
【化9】
【0019】
さらに、(β)は重量平均分子量(Mw)が10000以上、120000以下であるポリカーボネート樹脂であることが好ましい。より好ましくは下記表1に示す樹脂B1〜樹脂B6である。樹脂B1〜樹脂B6は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。これらのポリカーボネート樹脂は、公知の方法で合成することができる。例えば、特開2007−047655号公報、特開2007−072277号公報に記載の方法で合成することができる。
【0020】
【表1】
保護層中の(β)の含有量は、(α)の含有量に対して、フォトメモリの発生の抑制の点から0.01質量%以上であり、残留電位上昇の抑制の点から4.0%以下であることが好ましい。
【0021】
<(γ)について>
(γ)は下記式(C)で示される正孔輸送性化合物である。
【化10】
式(C)中、ArおよびArはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。Arは、n価の芳香族基を示し、nは、1以上3以下の整数である。
【0022】
式(C)中、ArおよびArとしてのフェニル基の置換基としては、具体的には置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1以上4以下のアルコキシ基、置換の炭素数2以上4以下の不飽和炭化水素基など等が挙げられる。前記炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、および炭素数2以上4以下の不飽和炭化水素基の置換基としては、フェニル基等の芳香族基があげられる。ArおよびArとしてのフェニル基の置換基としては、メチル基、メトキシ基、4−フェニル−1,3−ブタジエニル基、4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエニル基などが好ましい。
【0023】
式(C)中、Arとしての芳香族基としては、具体的にはフェニル基、ビフェニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、スチルベニル基、[(スチリル)スチリル]フェニル基などが挙げられる。Arとしての芳香族基の置換基としては、ArおよびArとしてのフェニル基の置換基と同じものを用いることができ、好ましくは、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、2,2−ジフェニルビニル基、ジベンゾシクロヘプテン−5−メチリデン基などが挙げられる。
【0024】
本発明の効果を得るにあたり、保護層及び電荷輸送層に含まれる式(C)で示される正孔輸送性化合物は、より具体的には下記のような構造を有する化合物が挙げられる。これらの化合物を単独で用いても良いし、複数種混合して用いることも可能である。
【0025】
保護層中の(γ)の含有量は、(α)の含有量に対して0.001質量%以上3.0%以下であることが好ましい。
【化11】
【化12】
【0026】
<βとγの含有量について>
保護層中の(β)および(γ)の含有量が下記の条件を満たすと、より効率的にフォトメモリの発生の抑制効果が得られるため、本発明の効果がより高まる。保護層中の(β)の含有量が、保護層中の(α)の含有量に対して0.01質量%以上2.0質量%以下であり、保護層中の(γ)の含有量が、保護層中の(α)含有量に対して0.001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。また、保護層中の(β)含有量が、保護層中の(α)の含有量に対して0.01質量%以上0.8質量%以下であり、保護層中の(γ)の含有量が、保護層中の(α)含有量に対して0.01質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましい。
【0027】
さらに、保護層中の(β)の含有量Mβと保護層中の(γ)の含有量Mγが、以下の式
0.8≦Mβ/Mγ≦500
を満たすことにより本発明の効果を効率的に得ることができる。
【0028】
なお、保護層中の(α)の含有量は、特に限定されないが、保護層の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
【0029】
(β)および(γ)を保護層に含有させる方法としては、例えば、保護層用塗布液に添加する方法や、製造方法、例えば電荷輸送層用塗布液および/または保護層用塗布液の塗布条件や乾燥条件、により電荷輸送層中の(β)および(γ)を保護層に混入させる方法などが挙げられる。
【0030】
上述したように(α)に対して特定の量の(β)および(γ)を保護層中に含有することで、本発明の効果を得ることができる。保護層中の(β)および(γ)の含有量は例えば下記の方法で求めることができる。
まず、電子写真感光体の表面からウルトラミクロトームを使用して保護層の切片を切り出す。(β)については赤外分光反射スペクトルより得られた(β)由来のピークの面積を用い、検量線から保護層中の(β)の含有量を算出する。
(γ)については熱分解GC−MSを用い、検量線から保護層中の(γ)の含有量を算出する。
【0031】
<安息香酸メチルおよび安息香酸エチル(δ)について>
本発明の高い効果を得るにあたり、電荷輸送層に(δ)安息香酸メチルおよび安息香酸エチルからなる群より選択される少なくとも1種を含有することがさらに好ましい。この場合、(δ)の含有量は、前記電荷輸送層の全質量に対して0.8質量%以上5.0質量%以下であると好ましい。
【0032】
以下の理由により、電荷輸送層中に(δ)を有することが好ましいと考えられる。
保護層を有する感光体が長時間にわたって光曝露されると、前述したように電荷輸送層と保護層の界面での過剰な電荷の注入をもたらすパスが形成されると本発明者らは考えている。電荷輸送層が(δ)を特定の量含有することによって前記パスを通る過剰な電荷の一部をトラップすることにより、電荷輸送層から保護層への注入分を適正化し、結果としてフォトメモリの発生が抑制されていると推測している。
【0033】
前記電荷輸送層の全質量に対する電荷輸送層中の(δ)の含有量は以下に示す測定方法により求めることができる。
製造した電子写真感光体の表面を研磨シートで研磨することにより保護層を除去した後、5mm×40mmの試料片(以下感光体試料片という)として切り出し、バイアル瓶に入れた。ヘッドスペースサンプラー(TurboMatrix HS40(Perkin Elmer(株)))の設定をOven 200℃、Loop 205℃、Transfer Line 205℃に設定した。発生したガスをガスクロマトグラフィー(四重極型GC/MSシステムTRACE ISQ(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製))で測定することにより電荷輸送層中の(δ)の含有量を検量線から求めた。保護層の除去方法は電荷輸送層に影響を及ぼさない限り自由に選択することができる。
電荷輸送層の質量は測定後にバイアル瓶から取り出した感光体試料片の質量と、電荷輸送層を剥がした試料片の質量の差分と上記(δ)の含有量から求める。電荷輸送層の質量と上記(δ)の含有量から電荷輸送層の全質量に対する(δ)の含有量を算出した。
電荷輸送層を剥がした試料片は、バイアル瓶から取り出した感光体試料片をメチルエチルケトンに5分間浸漬して電荷輸送層を剥がした後、50℃で5分乾燥させることで準備した。
【0034】
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、支持体、電荷発生層、電荷輸送層、および保護層をこの順に有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、電子写真感光体の各構成について説明する。
【0035】
<支持体>
本発明の電子写真感光体の支持体は、導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
【0036】
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与することが好ましい。
【0037】
<導電層>
本発明の電子写真感光体において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
【0038】
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0039】
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
【0040】
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
【0041】
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
【0042】
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
【0043】
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
【0044】
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
【0045】
導電層は、上述の各材料および溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
【0046】
<下引き層>
本発明の電子写真感光体において、支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
【0047】
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
【0048】
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
【0049】
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。
【0050】
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0051】
下引き層は、上述の各材料および溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
【0052】
<感光層>
本発明の電子写真感光体において感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する積層型感光層である。積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
【0053】
(1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
【0054】
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
【0056】
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
【0057】
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
【0058】
電荷発生層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
【0059】
(2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有する必要があり、さらには樹脂を含有することが好ましい。
【0060】
電荷輸送物質としては、少なくとも式(C)で示される正孔輸送性化合物(γ)を含有する。
【化13】
式(C)中、ArおよびArはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である。Arは、n価の芳香族基を示し、nは、1以上3以下の整数である。
(γ)は、式(C−1)〜(C−11)で示される構造を有する正孔輸送性化合物が好ましい。
【0061】
また、上記式(C)で示される正孔輸送性化合物のほかに、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などを含有してもよい。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
【0062】
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
【0063】
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
【0064】
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
【0065】
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
【0066】
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0067】
電荷輸送層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましく、さらには安息香酸メチルまたは安息香酸エチルを用いることが好ましい。
上記の溶剤は混合して用いてもよいし、それぞれ単独で用いてもよい。
【0068】
<保護層>
本発明に関する保護層は、式(A)で示される正孔輸送性化合物の重合物(α)、式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂(β)、および式(C)で示される正孔輸送性化合物(γ)を含有する。
保護層は、
導電性粒子およびその他の電荷輸送物質と、その他の樹脂を含有していてもよい。
【0069】
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
【0070】
その他の電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
【0071】
その他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
【0072】
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
【0073】
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
【0074】
保護層は、上述の各材料および溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0075】
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
【0076】
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段を有することを特徴とする。
【0077】
図1に、電子写真感光体1を備えたプロセスカートリッジ11を有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。なお、図1においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
【0078】
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、および、これらの複合機などに用いることができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
なお、以下に記載の実施例11、12および22は参考例である。
【0080】
・電荷輸送層用塗布液の製造例
(電荷輸送層用塗布液1の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物100部、
樹脂B1を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液1」とする。
【0081】
(電荷輸送層用塗布液2の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物70部、
樹脂B1を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液2」とする。
【0082】
(電荷輸送層用塗布液3の製造例)
式(C−3)で示される正孔輸送性化合物70部、
樹脂B1を100部、
テトラヒドロフラン550部、および、
トルエン250部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液3」とする。
【0083】
(電荷輸送層用塗布液4の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物60部、
式(C−2)で示される正孔輸送性化合物10部、
式(C−3)で示される正孔輸送性化合物30部、
樹脂B1を100部、
下記構造(D)で示される構造単位を有するポリカーボネート(重量平均分子量Mw:55000)0.2部
【化14】
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液4」とする。
【0084】
(電荷輸送層用塗布液5の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物0部、
式(C−3)で示される正孔輸送性化合物50部、
樹脂B1を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液5」とする。
【0085】
(電荷輸送層用塗布液6の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物100部、
樹脂B4を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液6」とする。
【0086】
(電荷輸送層用塗布液7の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物100部、
樹脂B5を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液7」とする。
【0087】
(電荷輸送層用塗布液8の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物100部、
樹脂B3を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液8」とする。
【0088】
(電荷輸送層用塗布液9の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物100部、
樹脂B2を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液9」とする。
【0089】
(電荷輸送層用塗布液10の製造例)
式(C−1)で示される正孔輸送性化合物100部、
樹脂B6を100部、
o−キシレン271部、
安息香酸メチル256部、および、
ジメトキシメタン(メチラール)272部
を混合し、濾過することで電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を「電荷輸送層用塗布液10」とする。
【0090】
・保護層用塗布液の製造例
(保護層用塗布液1の製造例)
式(A−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を混合し、保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液1」とする。
【0091】
(保護層用塗布液2の製造例)
式(A−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部、(C−3)で示される正孔輸送性化合物0.5部を加えて混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液2」とする。
【0092】
(保護層用塗布液3の製造例)
式(A−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部、樹脂B1を0.5部を加えて混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液3」とする。
【0093】
(保護層用塗布液4の製造例)
トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:KAYARAD TMPTA、日本化薬社製)7部、式(A−8)で示される正孔輸送性化合物7部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、BASF社製)1部、シクロペンタノン5部、1−プロパノール50部を混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液4」とする。
【0094】
(保護層用塗布液5の製造例)
式(A−14)で示される正孔輸送性化合物40部、シクロペンタノン30部、1−プロパノール50部を混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液5」とする。
【0095】
(保護層用塗布液6の製造例)
式(A−5)で示される正孔輸送性化合物70部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部、樹脂B1を0.5部、式(C−3)で示される正孔輸送性化合物0.5部を加えて混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液6」とする。
【0096】
(保護層用塗布液7の製造例)
式(A−5)で示される正孔輸送性化合物60部、式(A−8)で示される正孔輸送性化合物10部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部、樹脂B1を0.5部加えて混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液7」とする。
【0097】
(保護層用塗布液8の製造例)
式(A−14)で示される正孔輸送性化合物7部、ベンゾグアナミン化合物(商品名:ニカラックBL−60、三和ケミカル社製)0.2部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン0.1部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.02部、シクロペンタノン30部、シクロペンタノール50部を混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液8」とする。
【0098】
(保護層用塗布液101の製造例)
式(A−14)で示される正孔輸送性化合物70部、ベンゾグアナミン化合物(商品名:ニカラックBL−60、三和ケミカル社製)2部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン1部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.15部、シクロペンタノン70部、シクロペンタノール50部を混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液101」とする。
【0099】
(保護層用塗布液102の製造例)
4官能ラジカル重合性化合物(商品名:SR355、サートマー製)10部、式(A−8)で示される正孔輸送性化合物5部、式(C−7)で示される正孔輸送性化合物5部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、BASF社製)1部、テトラヒドロフラン100部を混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液102」とする。
【0100】
(保護層用塗布液103の製造例)
下記構造式(I)で示される化合物100部、重合開始剤(商品名:VE−73、和光純薬工業(株)製)2部と、酢酸イソブチル300部を混合し、濾過したものを保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液103」とする。
【化15】
【0101】
(保護層用塗布液104の製造例)
式(A−5)で示される正孔輸送性化合物70部、式(C−1)で示される正孔輸送性化合物2.5部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン30部および1−プロパノール30部を混合し、保護層用塗布液とした。得られた保護層用塗布液を「保護層用塗布液104」とする。
【0102】
<電子写真感光体の製造>
・電子写真感光体の製造例
(感光体1の製造例)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
【0103】
次に、酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)0.015部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製)3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部、および、メタノール50部を、ボールミルに入れ、20時間分散処理することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間140℃で加熱し、硬化させることによって、膜厚15μmの導電層を形成した。
【0104】
次に、共重合ナイロン(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部およびメトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部を、メタノール400部/n−ブタノール200部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚0.45μmの下引き層を形成した。
【0105】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部、下記構造式(1)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、
【化16】
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)10部、および、シクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れた。そして、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
【0106】
次に、電荷輸送層用塗布液1を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を昇温時間10分で120℃に到達させ、120℃を40分維持して乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。電荷輸送層を乾燥する条件は表2に示す。
【0107】
次に、保護層用塗布液1を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧60kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は20ppmであった。その後、窒素雰囲気下にて、25℃から110℃まで10秒かけて昇温させた。次に、大気中において、100℃の乾燥炉で10分加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層を形成した。得られた感光体を「感光体1」とする。前記したように熱分解GC−MSのクロマトグラムと赤外分光反射スペクトルピークにより測定した保護層中の(β)の含有量は、保護層中の前記(α)の含有量に対して0.74質量%であり、保護層中の(γ)の含有量は、保護層中の前記(α)の含有量に対して0.82質量%であった。得られた感光体の詳細を表2に示す。
【0108】
(感光体2〜感光体10の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表2に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして表2に示す膜厚の保護層を形成した。得られた感光体を「感光体2〜感光体10」とする。詳細を表2に示す。
【0109】
(感光体11の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。次に、前記保護層用塗布液4を形成した電荷輸送層上にスプレー塗布し、窒素気流中に10分間放置し指触乾燥させた。さらに酸素濃度2%に置換したブース内で160W/cmのメタルハライドランプを用いて、照射距離を120mmにして照射強度700mW/cmで60秒間照射した。その後130℃で20分乾燥させ、膜厚5μmの保護層を形成し、感光体を得た。得られた感光体を「感光体11」とする。詳細を表2に示す。
【0110】
(感光体12の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。次に前記保護層用塗布液5を上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を5分間50℃で乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲気下にて、加速電圧60kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間電子線を塗膜に照射した。なお、電子線の照射から1分間の加熱処理までの酸素濃度は20ppmであった。その後、窒素雰囲気下にて、25℃から110℃まで10秒かけて昇温させた。次に、大気中において、100℃の乾燥炉で10分加熱処理を行い、膜厚5μmである保護層を形成した。得られた感光体を「感光体12」とする。詳細を表2に示す。
【0111】
(感光体13〜感光体23の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表2に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を「感光体13〜感光体23」とする。詳細を表2に示す。
【0112】
(感光体24の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後、前記保護層用塗布液8を電荷輸送層上にスプレー塗布した後、温度150℃、時間30分の硬化反応を実施し、膜厚4μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体11」とする。詳細を表2に示す。
【0113】
(感光体25の製造例)
直径30mm、長さ357.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
【0114】
次に、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤0.8部を添加し、6時間撹拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。シランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)を用いた。
次に、ポリオールとしてのブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)15部を、メチルエチルケトン73.5部および1−ブタノール73.5部の混合溶剤に溶解させた。得られた溶液に上記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部および2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン0.8部(東京化成工業(株)製)を加えた。これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散処理した。分散処理後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング社製)0.01部および架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−102、積水化成品工業(株)製、平均一次粒径2.5μm)を5.6部加えて撹拌し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、この塗膜を40分間160℃で乾燥させて、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
【0115】
次に、感光体1の製造例と同様に電荷発生層、電荷輸送層、保護層を形成した。詳細を表2に示す。得られた感光体を「感光体25」とする。
【0116】
(感光体26の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表2に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を「感光体26」とする。
【0117】
(感光体101の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表2に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を「感光体101」とする。詳細を表2に示す。
【0118】
(感光体102の製造例)
感光体1の製造例と同様に電荷輸送層まで形成した後、保護層用塗布液1を電荷輸送層上に浸漬塗布し、室温で30分風乾した後、160℃で1時間乾燥させることによって、膜厚7μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体102」とする。詳細を表2に示す。
【0119】
(感光体103の製造例)
感光体1の製造例と同様に電荷輸送層まで形成した後、保護層用塗布液102を形成した電荷輸送層上にスプレー塗布し、窒素気流中に10分間放置し指触乾燥させた。さらに酸素濃度2%に置換したブース内で160W/cmのメタルハライドランプを用いて、照射距離を120mmにして照射強度700mW/cmで60秒間照射した。その後130℃で20分乾燥させ、膜厚5μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体103」とする。詳細を表2に示す。
【0120】
(感光体104の製造例)
まず、感光体1の製造例と同様に電荷発生層まで形成した。その後、特許文献2に記載の方法で下記式(II)に示す共重合ポリカーボネート(粘度平均分子量50000)55部、
【化17】
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)40部、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン10質量部をテトラヒドロフラン560部、トルエン240部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、135℃、45分の乾燥を行って膜厚が25μmの電荷輸送層を形成した。その後、前記保護層用塗布液103を形成した電荷輸送層上にリング塗布した後、酸素濃度200ppm以下の状態で、温度160℃、時間60分の硬化反応を実施し、膜厚7μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体104」とする。詳細を表2に示す。
【0121】
(感光体105〜感光体106の製造例)
感光体1と同様にして電荷発生層まで形成した後、表2に示す電荷輸送層用塗布液、乾燥条件を用いて表2に示す膜厚の電荷輸送層を形成した。その後表2に示す保護層用塗布液を用いた以外は感光体1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を「感光体105〜感光体106」とする。詳細を表3に示す。
【0122】
【表2】
【0123】
・評価
<フォトメモリ>
(感光体1の評価)
感光体1を2本用意し、そのうち1本を評価装置であるキヤノン社製の電子写真装置(複写機)(商品名:imageRUNNER(登録商標)ADVANCE C5255)の改造機のシアンステーションに装着し、23℃/50%RH環境下で、上記評価装置のシアンステーションに設置して電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200Vになるように帯電装置および画像露光装置の条件を設定し、あらかじめ電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、もう1本の感光体1の表面に、感光体の回転方向に15mm、感光体の長手方向に100mmの長方形状に穴をあけた遮光シートを巻きつけ、1500lxの昼白色光に5分間曝した。その後、上記評価装置のシアンステーションに設置してあらかじめ設定した条件で光暴露終了から5分後に感光体の表面電位の測定を行った。
遮光シートに穴をあけ、昼白色光に曝した部分と、遮光した部分との明部電位の差の絶対値をフォトメモリとした。ランクについては下記のように設定した。
A:0〜5V
B:6〜10V
C:11〜15V
D:16〜25V
E:26V以上
評価結果を表3に示す。
【0124】
(感光体2〜感光体106の評価)
感光体1と同様の手法で評価を行った。結果を表3に示す。
【0125】
<残留電位の上昇>
(感光体1の評価)
感光体1を評価装置であるキヤノン社製の電子写真装置(複写機)(商品名:imageRUNNER(登録商標)ADVANCE C5255)の改造機のシアンステーションに装着し、23℃/50%RH環境下で、上記評価装置のシアンステーションに設置して電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200Vになるように帯電装置および画像露光装置の条件を設定した。この条件で除電後の感光体表面電位(残留電位)を測定した。初期の感光体および100画だし後の感光体の残留電位の差を確認した。
A:20V以下
B:21V以上
評価結果を表3に示す。
【0126】
(感光体2〜感光体106の評価)
感光体1と同様の手法で評価を行った。結果を表3に示す。
【0127】
【表3】
【符号の説明】
【0128】
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段
図1