(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、本発明の実施形態における混雑情報提供システムの全体概念について説明する。
図1において、1はWiFi通信機能を備えている乗客端末、5は電車、10は電車5の車両内に設置される無線アクセスポイント(以下、車両内APという)、20は駅構内に設置される無線アクセスポイント(以下、駅構内APという)、30は情報処理サーバ、40はユーザ端末である。
【0014】
電車5の各車両の天井等には1〜複数台の車両内AP10が設置され、駅のホーム天井等には駅構内AP20が設置される。車両内AP10と駅構内AP20は、それぞれ、2.4GHz帯や5GHz帯の周波数を用いる無線アクセスポイントである。車両内AP10は電車5の乗客端末1に対してWiFi通信環境を提供する。車両内AP10は、乗客端末1の親機であると同時に駅構内AP20のクライアント端末として機能する。駅構内AP20は図示しないバックホール回線を介して情報処理サーバ30に接続される。
【0015】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態は、車両内AP10が乗客端末1の接続数を基に各車両の混雑率を推定する。また、車両内AP10はWiFi測位を行って各車両の現在位置を推定する。推定した各車両の混雑率と現在位置は情報処理サーバ30に送信される。情報処理サーバ30は、各車両の混雑率と現在位置を統計処理して、現在時刻や将来時刻における車両の混雑率と現在位置をユーザ端末40に提供する。
【0016】
図2を参照して、第1実施形態の構成例を説明する。
図2において、乗客が電車5に乗車すると、乗客端末1は、車両内AP10が定期的に送信するビーコン信号を受信して、車両内AP10との間で認証処理を行って通信を確立する。また、乗客端末1は、定期的に無線アクセスポイントを探索するためのブローブ要求信号を送信する。
【0017】
まず、車両内AP10の内部構成例について説明する。車両内AP10は、端末接続部11、端末接続数特定部12、混雑率推定部13、測位部14、車両位置推定部15、駅構内AP接続部16を備える。
【0018】
端末接続部11は、乗客端末1が定期的に送信するプローブ要求信号を受信する。
【0019】
端末接続数特定部12は、このプローブ要求信号に含まれている乗客端末1を一意に識別可能な端末識別情報(例えばMACアドレス)の異同を分析することによって乗客端末1のユニークな接続数を特定する。同一のMACアドレスを示す乗客端末1がプローブ要求信号を複数回送信しても、乗客端末1を1台として特定することが出来る。
【0020】
混雑率推定部13は、特定した乗客端末1の接続数(ユニーク数)を基に車両の混雑率を推定する。例えば、いま6両編成の電車5の各車両に車両内AP10がそれぞれ一台ずつ設置されているとする。乗客が一人1台の乗客端末1を携帯しているとすれば、一台の車両内AP10に接続される乗客端末1の接続数(ユニーク数)を車両一両あたりの乗客数とみなすことが出来る。
【0021】
その場合、車両一両あたりの混雑率は、「車両内AP10における乗客端末1の接続数(ユニーク数)/当該路線の定員乗車人数(一車両)×100%」の計算式を用いて推定することが出来る。この計算式に用いる路線の定員乗車人数は、鉄道会社から公開されている車両情報を予め車両内AP10に登録しておく。
【0022】
図3に混雑率の一例を示す。
図3の例では、5分おきに車両AP10の接続数(一車両)に基づいて車両ごとに混雑率を計算した。時刻6:00における車両1の混雑率が200%、車両2の混雑率が180%、車両3の混雑率が210%と推定された。
【0023】
ここで、電車5が駅に停車している間は短時間に乗客が電車5に乗り降りするため、乗客端末1の接続数(ユニーク数)を厳密に特定することが困難になる。そこで、電車5が駅に停車中の間は乗客端末1の接続数(ユニーク数)を特定しないようにしてもよい。電車5が駅に停車中かどうかを検出するには、乗客端末1のプローブ要求信号が数秒間にわたって同時に多数発生した場合に停車中と判断してもよい。また、車両内AP10に加速度センサを搭載して、一定時間にわたって加速度の変化がみられない場合に停止中と判断してもよい。
【0024】
図2に戻って、測位部14は、駅構内AP20が定期的に送信するビーコン信号を受信して、その電波強度を測定する。
【0025】
車両位置推定部15は、測定したこの受信電波強度から駅構内AP20との距離を推定して車両内AP10の現在位置の測位を行う。この測位は、既知の3点測位の方法を用いることが出来るので、3台以上の駅構内AP20からのビーコン信号を受信することで車両内AP10の現在位置の測位が可能になる。このビーコン信号には、駅構内AP20のMACアドレス、SSIDが含まれるので、車両内AP10は、駅構内AP20の設置場所情報を予め登録しておくことで、車両内AP10の現在位置、すなわち電車5の各車両の現在位置を推定することが出来る。
【0026】
また、車両位置推定部15は、このWiFi測位を所定の時間間隔で実行して時系列的に分析することで、この電車5がどの駅と駅の間を走行しているのか、どの駅に停止しているのかを推定することが出来る。
【0027】
ここで、電車5が走行中の場合には、駅構内AP20が送信しているビーコン信号の受信電波強度が時々刻々と変動するため厳密な現在位置を測位することが出来ないことがある。そうなると、どの電車がどの順序で駅に到着するのかを判定することが困難になる可能性がある。その場合には、
図4に示すように、同じ路線を走行する複数の電車間で時系列に電車の現在位置を管理することで、電車の到着順序を推定することが出来る。
【0028】
図4の例では、時刻6:00の時点の集計データでは、電車A、電車B、電車Cがそれぞれ新橋−有楽町間を走行中であることが分かるが、どの順序で走行しているかは不明である。時刻6:05の時点の集計データで、電車Aが先に走行している電車であることが分かる。時刻6:10時点の集計データで、電車A、電車B、電車Cの順序で走行していることが分かる。
【0029】
図2に戻って、車両内AP10の駅構内AP接続部16は、推定した車両の混雑率を示すデータと現在位置を示すデータを駅構内AP20経由で情報処理サーバ30に送信する。このとき、車両内AP10の識別情報(例えば、車両内AP10を一意に識別可能なMACアドレス或いは固有のID)を併せて送信してもよい。
【0030】
車両内AP10は、このほか図示していない記憶部と制御部を備える。制御部は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部にインストールされているプログラムに従って動作する。制御部は、このプログラムを実行することで、情報処理に係る汎用機能と連携して、乗客端末1のユニークな接続数の特定、混雑率の推定計算、WiFi測位、その測位に基づく車両の現在位置の推定、各車両の混雑率と現在位置を示すデータの送信等の一連の処理を行う。
【0031】
次に、駅構内AP20の構成例について説明する。駅構内AP20はアクセス側接続部21、バックホール側接続部22を備える。
【0032】
アクセス側接続部21は、電車5の各車両に設置されている車両内AP10との間で通信を確立して車両内AP10から送信されてくる情報を取得する。この情報には、車両内AP10が推定した車両の混雑率と現在位置をそれぞれ示すデータが含まれている。
【0033】
バックホール側接続部22は、アクセス側接続部21が取得した車両の混雑率と現在位置をそれぞれ示すデータを情報処理サーバ30に送信する。このとき、配下の各車両内AP10と駅構内AP20自身をそれぞれ一意に識別可能な識別情報(例えば、MACアドレス或いは固有のID)を情報処理サーバ30に送信してもよい。
【0034】
駅構内AP20は、このほか図示していない記憶部と制御部を備える。制御部は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部にインストールされているプログラムに従って動作する。制御部は、このプログラムを実行することで、情報処理に係る汎用機能と連携して、車両内AP10から送信されてきた情報を情報処理サーバ30に送信する。
【0035】
次に、情報処理サーバ30の構成例について説明する。情報処理サーバ30は、情報取得部31、記憶部32、統計処理部33、情報配信部34、制御部35を備えている。
【0036】
情報取得部31は、駅構内AP20を経由して車両内AP10から送信されてくる情報を取得する。この情報には、車両内AP10が推定した車両の混雑率を示すデータと現在位置を示すデータと、車両内AP10と駅構内AP20それぞれの識別情報が含まれている。
【0037】
記憶部32は、情報取得部31が取得した情報を蓄積するデータベースである。車両の混雑率を示すデータと現在位置を示すデータの一つひとつに、日時情報、曜日、休祝日か否か、車両AP10の識別情報、駅構内APの識別情報等のパラメータを付与してビッグデータ化して蓄積する。ここで、電車5の走行位置(どの駅に停車中か、どの駅とどの駅の間を走行中か)、車両位置(進行方向の先頭から何両目か)をパラメータとして付与してもよい。
【0038】
また、記憶部32には、鉄道会社から公表されている各路線の定員乗車人数、路線ごとの時刻表等の電車5の運行に関連する情報を予め登録しておく。これらの登録情報は固定化された情報であり、鉄道会社からリアルタイムに提供を受ける必要はない。また、車両内AP10を電車5に設置するときに電車5を編成する各車両それぞれの車両番号を知ることが出来るので、車両内AP10と車両番号とを1対1に対応づけて記憶部32に予め記憶しておくことも出来る。記憶部32には、情報処理サーバ30の動作を実行させるための各種プログラムが格納されている。
【0039】
統計処理部33は、記憶部32に蓄積された車両の混雑率を示すデータと現在位置を示すデータに基づいて、各時間、各電車、各駅間、車両ごとの混雑率と現在位置を統計情報として管理する。また、蓄積されたデータを時系列的に分析して、将来時刻における電車5の混雑率を予測する。例えば、
図5に示すように、予測対象とする曜日、時間、乗車予定の電車、遅延の状況、直前を走行する電車の各車両の混雑率を算出して、過去のビッグデータから同様のシチュエーションのデータ群を抽出して、抽出された混雑率の平均値を算出して予測値として算出する。
【0040】
また、統計処理部33は、予め記憶部32に登録した路線ごとの時刻表等の電車5の運行に関連する情報を参照することで、電車5が遅延しているのか否かを判断することが出来る。電車5が遅延したこと原因で混雑率が上昇したのか、慢性的な混雑なのか、直前を走行する他の電車5の混雑率との相関関係の有無を算出することも出来る。直前の電車5が混雑していると、次を走行中の他の電車5は混雑が緩和されている傾向がある。
【0041】
図2に戻って、情報処理サーバ30の情報配信部34は、Webサーバ機能を備えていて、電車5の車両ごとの混雑率をユーザ端末40に配信する。混雑情報の提供を受けるユーザがユーザ端末40のアプリを実行して所定のWebサイトにアクセスすると、情報配信部34はユーザ端末40に対して入力フォームを提供する。ユーザがその入力フォームから路線、駅名、日時等を指定すると、情報配信部34はその指定項目における電車5の各車両の混雑率と当該位置をユーザ端末40のディスプレイに表示させる。
【0042】
制御部35は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部32に格納されているプログラムによって動作する。制御部35は、そのプログラムを実行することで、情報処理に係る汎用機能と連携して、情報取得部31、記憶部32、統計処理部33、情報配信部34の各動作を制御する
【0043】
ユーザ端末40は、操作部41と表示部42を備えている。操作部41は、情報処理サーバ30(Webサーバとしても機能する)にアクセスして、所定の入力フォームから路線、駅名、日時等を指定する入力デバイスでタッチパネルやキーボードである。
【0044】
表示部42は、操作部41によって指定した項目における電車5の各車両の混雑率と当該位置を表示するディスプレイである。
【0045】
ここで、ユーザ端末40は、図示していないが制御部と記憶部を備えている。記憶部にはОSや各種のソフトウェアがインストールされている。インストールされているソフトウェアの一つに混雑情報提供アプリが含まれている。制御部はCPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部にインストールされているプログラムに従って動作する。操作部41を操作して混雑情報提供アプリが実行されることで、情報処理サーバ30が提供するWebサイトにアクセスして混雑率をシスプレイに表示することが出来る。この混雑情報提供アプリは、ユーザ端末40に予めプリインストールされていてもよいし、情報処理サーバ30(Webサーバとしても機能する)からダウンロードされてもよい。
【0046】
ユーザ端末40の画面には混雑率のほか、電車5の走行位置(どの駅に停車中か、どの駅とどの駅の間を走行中か)、車両位置(進行方向の先頭から何両目か)、電車の遅延具合(電車遅延のために混雑しているのか慢性的な混雑なのか)、直前を走行する電車の車両ごとの混雑率との関係が表示される。
【0047】
図6は、ユーザ端末40における混雑率の表示例である。
図6(a)は、首都圏を運行する○○線の運行情報の表示例である。
図6(b)(c)は電車の車両ごとの混雑率の表示例である。混雑率は180%などの数字で表現してもよいし、混雑率の大小ランクをグラフ表示したり、色別に分けて表現するなどの多様な表現方法をとることが出来る。
【0048】
次に、
図7を参照して、情報提供システムの動作の流れについて説明する。電車5の乗客が携帯している複数の乗客端末1は、車両内AP10に対してプローブ要求信号を送信する(S701)。
【0049】
車両内AP10は、複数の乗客端末1から送信されてくるプローブ要求信号を受信して、このプローブ要求信号に含まれている乗客端末1を一意に識別可能なMACアドレスを取得する。車両内AP10は、取得した複数のMACアドレスの異同を分析して乗客端末1の接続数(ユニーク数)を特定する。そして、車両内AP10は、前述した計算式を用いて、特定した乗客端末1の接続数(ユニーク数)を基に各車両の混雑率を推定する(S702)。
【0050】
車両内AP10は、駅構内AP20から送信されてくるビーコン信号の受信電波強度を測定してWiFi測位を行い、測定した電波強度から駅構内AP20との間の距離を計算する。車両内AP10は、予め駅構内AP20の場所位置を登録しておくか、或いは駅構内AP20から場所位置を通知して貰うことで、車両内AP10の現在位置を推定する(S703)。
【0051】
車両内AP10は、混雑率を示すデータと車両の現在位置を示すデータを駅構内AP10に送信する。このとき、車両内AP10の識別情報(MACアドレス或いは固有のID)を駅構内AP20に併せて送信する(S704)。
【0052】
駅構内AP20は、車両内AP10から送信されてきた車両の混雑率を示すデータと現在位置を示すデータを情報処理サーバ30に送信する。このとき、車両AP10と駅構内AP20それぞれの識別情報(MACアドレス或いは固有のID)を情報処理サーバ30に併せて送信する(S705)。
【0053】
情報処理サーバ30は、駅構内AP20から送信されてきた車両の混雑率を示すデータと現在位置を示すデータ、車両AP10と駅構内AP20それぞれの識別情報を記憶部32に記憶する。これらのデータには前述した時刻情報、曜日、休祝日か、否か、時刻情報等のパラメータを付与してビッグデータ化して蓄積する。情報処理サーバ30は、蓄積されたビッグデータを統計処理して現在及び将来時刻における電車5の混雑率を車両単位で算出する(S706)。
【0054】
ユーザがユーザ端末40を操作して混雑情報提供アプリを起動すると、ユーザ端末40は情報処理サーバ30(Webサーバとしても機能する)にアクセスすることが出来る。ユーザが所定の入力フォームから路線、乗車駅、降車駅、乗車日時、降車日時等を入力すると(S707)、情報処理サーバ30から電車5の車両ごとの混雑率や現在位置を示すデータがユーザ端末40に配信され(S708)、ユーザ端末40のディスプレイに表示される(S709)。
【0055】
なお、車両の混雑率の推定計算と電車5の現在位置の推定処理は、情報処理サーバ30側で行うようにしてもよい。その場合の構成と動作については、第2実施形態で説明する。
【0056】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、車両内AP10が乗客端末1の接続数(ユニーク数)とWiFi測位情報を情報処理サーバに送信して、情報処理サーバ30が各車両の混雑率と現在位置を推定する。つまり、情報処理サーバ30が車両の混雑率と現在位置の推定を行う点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
図8は、第2実施形態の構成例である。
図8において、情報処理サーバ30の混雑率推定部36と車両位置推定部37は、
図2の第1実施形態における混雑率推定部13と車両位置推定部15と同様の機能を備える。
【0058】
車両内AP10´の端末接続数特定部12は、乗客端末1が送信するプローブ要求信号に含まれるMACアドレスの異同を分析して乗客端末1のユニークな接続数を特定する。駅構内AP接続部16は、この乗客端末1の接続数(ユニーク数)を駅構内AP20を介して情報処理サーバ300に送信する。
【0059】
情報処理サーバ30´の混雑率推定部36は、駅構内AP20を介して車両内AP10´から送信されてきた乗客端末1の接続数(ユニーク数)を基に車両の混雑率を推定する。この混雑率の推定は、第1実施形態と同様の計算式を用いて推定することが出来る。
【0060】
車両内AP10´の測位部14は、駅構内AP20が定期的に送信するビーコン信号を受信して、その電波強度を測定してWiFi測位を行う。駅構内AP接続部16は、この測位情報(受信したビーコン信号に係る駅構内AP20のMACアドレス、SSID、電波強度)を駅構内AP20を介して情報処理サーバ30´に送信する。
【0061】
情報処理サーバ30´の車両位置推定部37は、車両内AP10´が測定した電波強度から駅構内AP20との距離を推定して車両内AP10´現在位置、すなわち電車5の各車両の現在位置の推定を行う。
【0062】
次に、
図9を参照して、第2実施形態の情報提供システムの動作の流れについて説明する。電車5の乗客が携帯している乗客端末1は、車両内AP10´に対してプローブ要求信号を送信する(S901)。
【0063】
車両内AP10´は、複数の乗客端末1から送信されてくるプローブ要求信号を受信して、このプローブ要求信号に含まれている乗客端末1を一意に識別可能なMACアドレスを取得する。車両内AP10は、取得した複数のMACアドレスの異同を分析して乗客端末1の接続数(ユニーク数)を特定する(S902)。
【0064】
車両内AP10´は、駅構内AP20から送信されてくるビーコン信号の受信電波強度を測定してWiFi測位を行う(S903)。
【0065】
車両内AP10´は、乗客端末1の接続数(ユニーク数)と電波強度の測定値などのWiFi測位情報を駅構内AP20に送信する。このとき、車両内AP10の識別情報(MACアドレス或いは固有のID)を駅構内AP20に併せて送信する(S904)。
【0066】
駅構内AP20は、車両内AP10´から送信されてきた乗客端末1の接続数(ユニーク数)とWiFi測位情報を情報処理サーバ30´に送信する。このとき、車両AP10´と駅構内AP20それぞれの識別情報(MACアドレス或いは固有のID)を情報処理サーバ30に併せて送信する(905)。
【0067】
情報処理サーバ30´は、前述した計算式を用いて、乗客端末1の接続数(ユニーク数)を基に各車両の混雑率を推定する。また、情報処理サーバ30´は、測位情報を基に車両内AP10´と駅構内AP20との間の距離を計算する。情報処理サーバ30´は予め駅構内AP20の場所位置を登録しておくか、或いは駅構内AP20から場所位置を通知して貰うことで、車両内AP10´の現在位置、すなわち電車5の現在位置を推定する(S906)。
【0068】
情報処理サーバ30´は、算出した車両の混雑率を示すデータと現在位置を示すデータ、車両AP10´と駅構内AP20それぞれの識別情報を記憶部32に記憶する。情報処理サーバ30´は、これらのデータに前述したパラメータを付与してビッグデータ化して蓄積する。情報処理サーバ30´は、過去の蓄積データを統計処理して現在及び将来時刻における電車5の混雑率を車両単位で算出する(S906)。
【0069】
情報処理サーバ30(Webサーバとしても機能する)は、ユーザ端末40の入力フォームから入力された路線、乗車駅、降車駅、乗車日時、降車日時等を受信すると(S907)、情報処理サーバ30から電車5の車両ごとの混雑率や現在位置を示すデータがユーザ端末40に配信され(S908)、ユーザ端末40のディスプレイに表示される(S909)。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明した。第1実施形態によれば、電車5の各車両に設置される車両内AP10が、乗客端末1の接続数(ユニーク数)を特定して車両の混雑率の推定計算を行う。また、車両内AP10がWiFi測位を行って、車両の現在位置を推定する。また、第2実施形態によれば、車両内AP10´は乗客端末1の接続数(ユニーク数)を特定しWiFi測位を行うが、車両の混雑率の推定計算と車両の現在位置の推定処理は情報処理サーバ30´が行う。
【0071】
第1実施形態のように、車両内AP10が車両の混雑率と現在位置の推定計算を行うようにすれば、情報処理サーバ30に向かうデータ量を低く抑えることが出来る。首都圏路線のようにデータが大量に発生する場合には、車両内AP10においてデータの集約効果が働くことになる。
【0072】
第2実施形態のように、情報処理サーバ30´が車両の混雑率と現在位置の推定計算を行うようにすれば、車両内AP10´の計算量を低く抑えることが出来る。車両内AP10´の機能を絞ることで製造コストは安価になる。地方路線のように乗客数が少なく全体にデータの発生量が少ない場合には、情報処理サーバ30´に機能を集中させることが出来る。
【0073】
また、第1実施形態と第2実施形態を併用してもよい。例えば、路線の違いや、路線を走行する電車5の本数や乗客端末1の数によって、第1実施形態と第2実施形態を使い分けるようにしてもよい。