特許第6983555号(P6983555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983555
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ガセット容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/18 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   B65D30/18 E
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-130931(P2017-130931)
(22)【出願日】2017年7月4日
(65)【公開番号】特開2019-14484(P2019-14484A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】502138359
【氏名又は名称】イーエヌ大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】藤本 均
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−145287(JP,A)
【文献】 特開平09−030536(JP,A)
【文献】 特開2017−095178(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19612102(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19535440(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0249919(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第4339436(DE,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107758081(CN,A)
【文献】 意匠登録第1507517(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
B31B 70/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形状の一対の外装フィルムと、該両外装フィルムの両側縁部の間に介在されたガセットフィルムを有し、
袋状に広がる前の折り畳んで偏平にした状態において、前記両外装フィルムは、正面視で使用状態における上縁部と、該上縁部の両端から下方へ延びる両側縁部と、下縁部とを有すると共に、前記両側縁部の上下方向の途中から前記下縁部まで延びる両傾斜縁部が形成され、
前記両ガセットフィルムは、二つに折り畳まれた状態でこの折曲線の上端部が前記両側縁部の前記上縁部から下方へ離間した位置に配置され、該折曲線が該離間した位置から下方に向かうに従って傾斜して該折曲線の下端部が前記下縁部の中央部近傍まで延び、該ガセットフィルムの側縁部は前記外装フィルムの両側縁部、両傾斜縁部、下縁部に沿って形成され、
前記一対の外装フィルムの両側縁部同士が、前記ガセットフィルムの前記折曲線の上端部より上側において互いにシールされ、前記ガセットフィルムの上端部より下方においては、該ガセットフィルムの折り畳まれた一方の側縁部と前記一方の外装フィルムの側縁部、傾斜縁部、下縁部とがシールされ、前記ガセットフィルムの折り畳まれた他方の側縁部と前記他方の外装フィルムの側縁部、傾斜縁部、下縁部とがシールされ、前記左右のガセットフィルムの両下端部の間の前記一対の外装フィルムの下縁部がお互いにシールされ、
袋状に広げた使用状態においては、前記ガセットフィルムの折り畳み状態が広げられ、該ガセットフィルムは前記上端部を頂点として下方に向かうに従って広がり側面視において、該ガセットフィルムは、略三角形状となる共に、該ガセットフィルムは前記傾斜縁部又は、その近傍を起点として前記下縁部側に向かって内側に折り曲げられることにより、略五角形状の底面部が形成され、該底面部を載置面に置くことにより、自立するように構成されている、
ことを特徴とするガセット容器。
【請求項2】
略方形状の一対の外装フィルムと、該両外装フィルムの両側縁部の間に介在されたガセットフィルムを有し、
袋状に広がる前の折り畳んで偏平にした状態において、前記両外装フィルムは、正面視で使用状態における上縁部と、該上縁部の両端から下方へ延びる両側縁部と、下縁部が形成され、
前記両ガセットフィルムは、二つに折り畳まれた状態でこの折曲線の上端部が前記両側縁部の前記上縁部から下方へ離間した位置に配置され、該折曲線が該離間した位置から下方に向かうに従って傾斜して該折曲線の下端部が前記下縁部の中央部近傍まで延び、該ガセットフィルムの側縁部は前記外装フィルムの両側縁部、下縁部に沿って形成され、
前記一対の外装フィルムの両側縁部同士が、前記ガセットフィルムの前記折曲線の上端部より上側において互いにシールされ、前記ガセットフィルムの上端部より下方においては、該ガセットフィルムの折り畳まれた一方の側縁部と前記一方の外装フィルムの側縁部、下縁部とがシールされ、前記ガセットフィルムの折り畳まれた他方の側縁部と前記他方の側縁部、下縁部とがシールされ、前記左右のガセットフィルムの両下端部の間の前記一対の外装フィルムの下縁部がお互いにシールされ、
袋状に広げた使用状態においては、前記ガセットフィルムの折り畳み状態が広げられ、該ガセットフィルムは前記上端部を頂点として下方に向かうに従って広がり側面視において、該ガセットフィルムは、三角形状となる共に、該ガセットフィルムは前記三角形状の底辺を起点として前記下縁部側に向かって内側に折り曲げられることにより、略五角形状の底面部が形成され、該底面部を載置面に置くことにより、自立するように構成されている、
ことを特徴とするガセット容器。
【請求項3】
前記底面部の、前記外装フィルムの下縁部同士が直接シールされた部分の略中央に、前記一対のガセットフィルムの内側への折り込みを容易にするための切り込み部が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガセット容器。
【請求項4】
前記切り込み部は、略半円状であることを特徴とする請求項3に記載のガセット容器。
【請求項5】
前記外装フィルムの下縁部と前記一対のガセットフィルムとがシールされた部分により、前記底面部から表裏方向の外側へ延びる、羽根部を有することを特徴とする請求項乃至4の何れかに記載のガセット容器。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のガセット容器の製造方法であって、
前記一対のガセットフィルムをそれぞれ折り曲げると共に、該一対のガセットフィルムを、下側ほど互いに近づくように傾斜させた状態で、前記一対の外装フィルムに挟み込む第1工程と、
前記一対の外装フィルムの上部で前記側縁部同士をシールすると共に、該一対の外装フィルムと前記一対のガセットフィルムとが重なる部分の外縁部をシールする第2工程と、
前記一対のガセットフィルムの、前記一対の外装フィルムの外縁から外側へはみ出した部分を切除する第3工程と、
を含むことを特徴とするガセット容器の製造方法。
【請求項7】
前記一対のガセットフィルムを所定の位置で内側に折り込む第4工程と、
前記外装フィルム及び前記ガセットフィルムで形成された収容部に、内容物を充填する第5工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のガセット容器の製造方法。
【請求項8】
前記一対の外装フィルムの、前記一対のガセットフィルムの外縁から外側へはみ出した部分を切除する工程を更に含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のガセット容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルム状の包装基材を用いて立体的に構成したガセット容器に関する。この発明のガセット容器は、例えば液状やゼリー状等、流動性がある内容物(食品や医薬品等)を充填する容器に適用して、特に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、流動性がある内容物を充填する容器として、フィルム状の包装基材を用いて立体的に構成したガセット容器が知られている。
【0003】
ガセット容器では、その側面に設けたガセット部の幅(容器の奥行き)を広くすることで、自立を可能にしている。
【0004】
ガセット容器の構造を開示する文献としては、例えば、以下の特許文献1乃至4が知られている。
【0005】
特許文献1の包装容器は、ガセット部を内側に折り込み、その折り込みによって下端部に形成された羽根部を広げることによって、自立を可能にしている。また、この包装容器に内容物を充填する際には、上側の左右両端を爪部(グリッパー)で挟持し、それらの爪部の間隔を狭めると共に開放端部の上側から空気を封入することで、その開放端部を開放している。
【0006】
特許文献2の包装容器は、その側面全体に渡ってガセット部を設けている。そして、正面部の幅が底面側から上端部へ連続的に広がると共に、側面部の幅が底面側から上端部へ連続的に狭まる形状とすることで、1枚のシートから自立可能な容器を組み立てている。
【0007】
特許文献3の包装容器は、その側面全体に渡ってガセット部を設けている。そして、外装シートの下端部を内側に折り込むことで、底面図を形成している。
【0008】
特許文献4の包装容器は、その側面全体に渡ってガセット部を設けている。そして、ガセット部の下端部を内側に折り込むことで、底面図を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−30536
【特許文献2】特開平11−222246
【特許文献3】特開2002−145287
【特許文献4】特開2014−189319
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1−4のガセット容器には、自立安定性が不十分であるという欠点が有る。特に、上記特許文献1、2のガセット容器は、流動体の内容物を充填した場合に底面が凸状に膨らみやすいため、自立型のガセット容器に不向きである。
【0011】
加えて、上記特許文献1、2のガセット容器には、ガセット部を内側に折り込むことによってガセット部を形成するので、このガセット部を十分に幅広に形成することが困難であり、そのため、十分に安定した自立性を確保できないことに加えて、運搬時等の容積効率が悪いという欠点がある。
【0012】
また、特許文献2−4のガセット容器には、その側面全体に渡ってガセット部を設けているので、内容物を充填する際に上側の左右両端をスタンディングパウチ用のグリッパーで挟持できず、従って、ガセット容器専用の充填機が必要となって導入コストが高いという欠点がある。
【0013】
この発明は、自立安定性に優れ、運搬時等の容積効率が高く、且つ、導入コストが安価なガセット容器及びその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を鑑みて、請求項1の発明に係るガセット容器は、略方形状の一対の外装フィルムと、該両外装フィルムの両側縁部の間に介在されたガセットフィルムを有し、
袋状に広がる前の折り畳んで偏平にした状態において、前記両外装フィルムは、正面視で使用状態における上縁部と、該上縁部の両端から下方へ延びる両側縁部と、下縁部とを有すると共に、前記両側縁部の上下方向の途中から前記下縁部まで延びる両傾斜縁部が形成され、前記両ガセットフィルムは、二つに折り畳まれた状態でこの折曲線の上端部が前記両側縁部の前記上縁部から下方へ離間した位置に配置され、該折曲線が該離間した位置から下方に向かうに従って傾斜して該折曲線の下端部が前記下縁部の中央部近傍まで延び、該ガセットフィルムの側縁部は前記外装フィルムの両側縁部、両傾斜縁部、下縁部に沿って形成され、前記一対の外装フィルムの両側縁部同士が、前記ガセットフィルムの前記折曲線の上端部より上側において互いにシールされ、前記ガセットフィルムの上端部より下方においては、該ガセットフィルムの折り畳まれた一方の側縁部と前記一方の外装フィルムの側縁部、傾斜縁部、下縁部とがシールされ、前記ガセットフィルムの折り畳まれた他方の側縁部と前記他方の外装フィルムの側縁部、傾斜縁部、下縁部とがシールされ、前記左右のガセットフィルムの両下端部の間の前記一対の外装フィルムの下縁部がお互いにシールされ、袋状に広げた使用状態においては、前記ガセットフィルムの折り畳み状態が広げられ、該ガセットフィルムは前記上端部を頂点として下方に向かうに従って広がり側面視において、該ガセットフィルムは、略三角形状となる共に、該ガセットフィルムは前記傾斜縁部又は、その近傍を起点として前記下縁部側に向かって内側に折り曲げられることにより、略五角形状の底面部が形成され、該底面部を載置面に置くことにより、自立するように構成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、略方形状の一対の外装フィルムと、該両外装フィルムの両側縁部の間に介在されたガセットフィルムを有し、袋状に広がる前の折り畳んで偏平にした状態において、前記両外装フィルムは、正面視で使用状態における上縁部と、該上縁部の両端から下方へ延びる両側縁部と、下縁部が形成され、前記両ガセットフィルムは、二つに折り畳まれた状態でこの折曲線の上端部が前記両側縁部の前記上縁部から下方へ離間した位置に配置され、該折曲線が該離間した位置から下方に向かうに従って傾斜して該折曲線の下端部が前記下縁部の中央部近傍まで延び、該ガセットフィルムの側縁部は前記外装フィルムの両側縁部、下縁部に沿って形成され、前記一対の外装フィルムの両側縁部同士が、前記ガセットフィルムの前記折曲線の上端部より上側において互いにシールされ、前記ガセットフィルムの上端部より下方においては、該ガセットフィルムの折り畳まれた一方の側縁部と前記一方の外装フィルムの側縁部、下縁部とがシールされ、前記ガセットフィルムの折り畳まれた他方の側縁部と前記他方の側縁部、下縁部とがシールされ、前記左右のガセットフィルムの両下端部の間の前記一対の外装フィルムの下縁部がお互いにシールされ、袋状に広げた使用状態においては、前記ガセットフィルムの折り畳み状態が広げられ、該ガセットフィルムは前記上端部を頂点として下方に向かうに従って広がり側面視において、該ガセットフィルムは、三角形状となる共に、該ガセットフィルムは前記三角形状の底辺を起点として前記下縁部側に向かって内側に折り曲げられることにより、略五角形状の底面部が形成され、該底面部を載置面に置くことにより、自立するように構成されている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1及び請求項2の構成に加え、前記底面部の、前記外装フィルムの下縁部同士が直接シールされた部分の略中央に、前記一対のガセットフィルムの内側への折り込みを容易にするための切り込み部が設けられたことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3の構成に加え、前記切り込み部が、略半円状であることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項乃至4の何れかに記載の構成に加え、前記外装フィルムの下縁部と前記一対のガセットフィルムとがシールされた部分により、前記底面部から表裏方向の外側へ延びる、羽根部を有することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明に係るガセット容器の製造方法は、請求項1乃至4の何れかに記載のガセット容器の製造方法であって、前記一対のガセットフィルムをそれぞれ折り曲げると共に、該一対のガセットフィルムを、下側ほど互いに近づくように傾斜させた状態で、前記一対の外装フィルムに挟み込む第1工程と、前記一対の外装フィルムの上部で前記側縁部同士をシールすると共に、該一対の外装フィルムと前記一対のガセットフィルムとが重なる部分の外縁部をシールする第2工程と、前記一対のガセットフィルムの、前記一対の外装フィルムの外縁から外側へはみ出した部分を切除する第3工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6に記載の構成に加え、前記一対のガセットフィルムを所定の位置で内側に折り込む第4工程と、前記外装フィルム及び前記ガセットフィルムで形成された収容部に、内容物を充填する第5工程と、を更に含むことを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項6又は7に記載の構成に加え、前記一対の外装フィルムの、前記一対のガセットフィルムの外縁から外側へはみ出した部分を切除する工程を更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1及び請求項2の発明では、ガセット容器の両側面部に、上側から下側へ拡幅していく形状のガセットフィルムを設けることでガセット部を構成すると共に、これらガセットフィルムを内側に折り込むことで底部を構成した。このため、請求項1及び請求項2の発明によれば、ガセット部が形成された側面を、左右に折り畳まれて内側に凹んだ状態では無く、左右へ十分に広がった状態にでき、従って、ガセット容器を載置したときの自立性が向上すると共に、十分な容積効率を確保できる。
【0023】
また、請求項1及び請求項2の発明によれば、両方の側縁部の上部に、外装フィルムの側縁部同士がシールされた部分を設けることにより、上部が扁平形状で且つ下部が立体形状となるようにガセット容器を形成したので、これら側縁部の上端付近をグリッパー等で挟持した状態でガセット容器に内容物を充填することができる。従って、請求項1及び請求項2の発明によれば、通常のスタンディングパウチ用の充填機を使用できるので、導入コストが安価である。
【0024】
請求項1及び請求項2の発明によれば、ガセットフィルムを内側に折り込むことが容易になると共に、十分に安定な自立性を得ることができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、切り込み部を設けることにより、ガセットフィルムを内側に折り込むことが更に容易になる。
【0026】
請求項4の発明によれば、切り込み部を略半円形とすることで、この切り込み部を外部ストレスで裂け難くできる。
【0027】
請求項5の発明によれば、羽根部を設けることにより、自立安定性を更に向上させることができる。
【0028】
請求項6の発明によれば、簡単な工程のみで、この発明のガセット容器を製造することができる。
【0029】
請求項7の発明によれば、簡単な工程のみで、請求項5で製造したガセット容器に内容物を充填することができる。
【0030】
請求項8の発明によれば、外装フィルムの、ガセットフィルムの外縁から外側へはみ出した部分を切除することで、ガセット容器の外観を整えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】この発明の実施の形態1に係るガセット容器の外観の概略図であり、(a)は平面側から観た斜視図、(b)は底面側から観た斜視図である。
図2図1(a)の、A−A線に沿った水平断面を上から見た断面図である。
図3】同実施の形態1に係るガセット容器の外観の概略的図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
図4】(a)〜(c)共に、同実施の形態1に係るガセット容器の製造工程を説明するための概念図である。
図5】(a)〜(d)共に、同実施の形態1に係るガセット容器の製造工程を説明するための概念図である。
図6】この発明の実施の形態2に係るガセット容器の外観の概略図であり、(a)は平面側から観た斜視図、(b)は底面側から観た斜視図である。
図7】同実施の形態2に係るガセット容器の外観の概略的図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。
図8】(a)、(b)共に、同実施の形態2に係るガセット容器の製造工程を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[発明の実施の形態1]
以下、この発明の実施の形態1について、図1図5を用いて説明する。
【0033】
図1図3に示すように、この実施の形態1に係るガセット容器100は、一対の外装フィルム110と、一対のガセットフィルム120とを用いて、正面視が略矩形の袋状に形成されている。
【0034】
一対の外装フィルム110は、ガセット容器100の表面101及び裏面(図示せず)の形成に使用される。
【0035】
外装フィルム110の側縁部111のうち、上側側縁部111a(すなわち、外装フィルム110の上端から所定長さに渡る部分)は、例えばヒートシール等によって、互いにシールされている。上側側縁部111aの長さは任意であり、ガセット容器100の全体寸法や、内容物を充填する工程(後述)でガセット容器100を挟持するグリッパーの大きさ等に応じて決定すれば良いが、例えば40〜50mm程度である。
【0036】
一方、外装フィルム110の側縁部111のうち、下側側縁部111b(すなわち、外装フィルム110の側縁部111のうち、上側側縁部111aの下端からその側縁部111の下端までの部分)は、ガセットフィルム120の対応する側縁部121と、例えばヒートシールによって、互いにシールされている。
【0037】
一対のガセットフィルム120で形成される側面102は、拡幅部122と、等幅部123とを備えている。
【0038】
拡幅部122は、側縁部121aが上端部(頂点部)から下方向へ拡幅していく形状を有している(図3(b)参照)。
【0039】
また、等幅部123は、拡幅部122の下方に、この拡幅部122と連続して形成される。この等幅部123は、両側の側縁部121bが、ほぼ同じ距離になるような形状に形成されている(図3(b)参照)。
【0040】
この等幅部123は、ガセット容器100の側縁部121(すなわち、拡幅部122の側縁部121a及び等幅部123の側縁部121b)が外装フィルム110の下側側縁部111bにシールされた状態で、この等幅部123の下方の一部を内側に折り込まれている。そして、その折り込まれた部分がガセット容器100の底面部124を構成している(詳細は後述する)。
【0041】
ガセット容器100の上縁部112は、このガセット容器内に内容物を充填した後でシールされる(後述)。
【0042】
なお、ガセットフィルム120の側縁部121を外装フィルム110の下側側縁部111bにシールする際に、その下縁部の中央部分111eで外装フィルム110同士が直接シールされるようにすると共に、その直接シールされた部分の略中央に、例えば半円形の切り込み部125(図4及び図5参照)を形成することが望ましい。これにより、ガセットフィルム120を、容易に内側へ折り込むことができる(詳細は後述)。
【0043】
ガセット容器100の各部の寸法は、任意である。また、外装フィルム110及びガセットフィルム120の形成材料も任意であるが、例えばレトルトパウチ用の材料を使用できる。
【0044】
次に、ガセット容器100の製造方法について、図4及び図5を用いて説明する。
【0045】
最初に、以下のようにしてガセット容器100用の袋体130を作製する。
【0046】
まず、一対のガセットフィルム120を、それぞれ外側へ折り曲げた状態(すなわち折れ線が内側を向く状態)で、一対の外装フィルム110に挟み込む(図4(a)、(b)参照)。
【0047】
このとき、これらガセットフィルム120は、下側へ向かって互いに近づくように傾斜させた状態で、その上側や下側の一部が外装フィルム110からはみ出すように、配置される。すなわち、ガセットフィルム120は、外装フィルム110の側縁部111のうち、上述の上側側縁部111aが形成される部分(側縁部111c)や下縁部の両端部分111dや中央部分111eで、これら外装フィルム110と接しないように配置される。
【0048】
次に、外装フィルム110及びガセットフィルム120のシールを行う(図4(b)参照)。
【0049】
このシール工程では、外装フィルム110の側縁部111同士が重なっている部分(すなわち、側縁部111c)をシールする。また、外装フィルム110とガセットフィルム120とが重なっている部分では、かかる重なり部分の外縁部111fがシールされる。
【0050】
また、この実施の形態1では、これらのシールと同時に、下縁部の中央部分111eでも、外装フィルム110同士のシールを行う。
【0051】
その後、ガセットフィルム120及び外装フィルム110のうち、側縁部111c,111fからはみ出した部分を切除することにより、袋体130の形状を整える(図4(c)参照)。
【0052】
図4(c)に示したように、この実施の形態1では、袋体130の下部に、平面視が台形の部分131が形成される。これにより、ガセット容器100を完成させたときの、自立安定性を向上させることができる。
【0053】
また、この実施の形態1では、この切除に併せて、下縁部の中央部分111eに切り込み部125を形成する。この切り込み部125の形状は任意であり、三角形、四角形、線状等でも良いが、半円形とすることが望ましい。切り込み部125を半円形とすることで、ガセット容器100の完成後に、この切り込み部125を外部ストレスで裂け難くできるからである。
【0054】
以上により、ガセット容器100用の袋体130が完成する。
【0055】
続いて、以下のようにして、底面部124を組み立てる。
【0056】
まず、この袋体130の、ガセットフィルム120が設けられた部分131を、前後に開く(図5(a)、(b)参照)。
【0057】
そして、開いた部分131を、所定の位置で、それぞれ内側に折り込む(図5(c)参照)。このとき、この実施の形態1では、切り込み部125が設けられているので、外装フィルム110の下縁部の中央部分111eが折り曲がり易く、このためガセットフィルム120を、容易に内側へ折り込むことができる。
【0058】
以上のようにして、袋体130の、底面部124の組み立てが完了する(図5(c)参照)。
【0059】
続いて、袋体130の開口部(上縁部)132を上にして両方の側縁部をグリッパー(図示せず)で挟持し、エアー注入で開口部を広げた後、内容物を充填する。
【0060】
そして、開口部132をシールすることにより、ガセット容器100入りの製品(食品や医薬品等)が完成する(図1参照)。
【0061】
以上説明したように、この実施の形態1に係るガセット容器100によれば、両側面のガセットフィルム120に拡幅部122を形成すると共に、ガセットフィルム120の下部を内側に折り込むことで底面部124を構成したので、ガセット部(側面102)を左右へ十分に広げることができ、そのため、ガセット容器100を載置したときの自立性が向上すると共に、十分な容積効率を確保できる。
【0062】
また、外装フィルム110の側縁部111同士がシールされた部分(すなわち上側側縁部111a)を設けることにより、上部が扁平形状で且つ下部が立体形状となるようにガセット容器100を形成したので、上側側縁部111aをグリッパー等で挟持した状態でガセット容器100に内容物を充填することができる。その結果、この実施の形態1によれば、通常のスタンディングパウチ用の充填機を使用できるので、導入コストが安価である。
【0063】
この実施の形態1によれば、底面部124の中央部分111eで外装フィルム110の下縁部同士をシールすると共に、その中央部分111e以外で外装フィルム110の下縁部をガセットフィルム120とシールすることとしたので、ガセットフィルム120を内側に折り込むことが容易になると共に、十分に安定した自立性を得ることが容易になる。
【0064】
この実施の形態1によれば、底面部124の中央部分111eに切り込み部125を設けたので、ガセットフィルム120を内側に折り込むことが更に容易になる。
【0065】
この実施の形態1によれば、切り込み部125を略半円形とすることで、この切り込み部125を外部ストレスで裂け難くできる。
【0066】
この実施の形態1に係るガセット容器100の製造方法によれば、一対のガセットフィルム120をそれぞれ折り曲げて傾斜させた状態で、一対の外装フィルム110に挟み込み、その後、外装フィルム110の上側側縁部111a同士をシールすると共に、その一対の外装フィルム110と一対のガセットフィルム120とが重なる部分の外縁部111fをシールするので、簡単な工程のみで、内容物を充填する前のガセット容器100を製造することができる。
【0067】
また、この実施の形態1によれば、通常のスタンディングパウチ用の充填機を使用できるので、導入コストが安価である。
[発明の実施の形態2]
次に、この発明の実施の形態2について、図6図8を用いて説明する。図6図8において、図1図7と同じ符号は、それぞれ図1図8と同じ構成を示す。
【0068】
図6及び図7から解るように、この実施の形態2のガセット容器200は、側面部及び底面部の形状が、上述の実施の形態1と異なる。
【0069】
この実施の形態2のガセット容器200は、一対のガセットフィルム120で形成される側面102が拡幅部211のみを備え、等幅部を備えていない。すなわち、この実施の形態2では、拡幅部211が、ガセット容器200の底面部220まで達する形状を有している。
【0070】
また、ガセット容器200は、その底面部220において、平面視が略三角形の羽根部221が、表裏方向の外側へ延設されている。
【0071】
次に、ガセット容器100の製造方法について説明する。
【0072】
まず、実施の形態1の場合(図4(a)参照)と同様、一対のガセットフィルム120を、それぞれ外側へ折り曲げた状態で、一対の外装フィルム110に挟み込む。
【0073】
このとき、実施の形態1と同様、これらガセットフィルム120は、下側へ向かって互いに近づくように傾斜させた状態で、その上側や下側の一部が外装フィルム110からはみ出すように、配置される。
【0074】
但し、この実施の形態2の製造工程は、ガセットフィルム120を、中央部分214を除く下縁部215の全域で外装フィルム110と接するように配置する点で、実施の形態1と異なる(図8(a)参照)。
【0075】
次に、外装フィルム110及びガセットフィルム120のシールを行う。この実施の形態2でも、実施の形態1と同様、外装フィルム110の側縁部同士が重なっている部分212を、ヒートシール等でシールする。また、外装フィルム110とガセットフィルム120とが重なっている部分では、かかる重なり部分の外縁部213がシールされる(図8(a)参照)。
【0076】
加えて、実施の形態1と同様にして、これらのシールと同時に、下縁部の中央部分214でも、外装フィルム110同士のシールを行う。
【0077】
続いて、ガセットフィルム120及び外装フィルム110のうち、側縁部212からはみ出した部分を切除することにより、袋体230の形状を整える(図8(b)参照)。
【0078】
このとき、実施の形態1と同様、この切除に併せて、下縁部の中央部分214に切り込み部125を形成する。
【0079】
次に、実施の形態1と同様にして(図5参照)、袋体230の底面部220を組み立てる。この実施の形態2では、ガセットフィルム120を外装フィルム110に挟み込む際に、これらガセットフィルム120を、中央部分214を除く下縁部215の全域で外装フィルム110と接するように配置したので(図8(a)参照)、底面部220を組み立てる際に、袋体230の下部の角部分216がそのまま羽根部221となる(図8(b)参照)。
【0080】
その後、実施の形態1と同様にして、この袋体230に内容物を充填することで、ガセット容器200入りの製品が完成する(図1参照)。
【0081】
この実施の形態2によっても、上述した実施の形態1と同様を効果を得ることができる。
【0082】
加えて、この実施の形態2によれば、底面部220の表裏方向の外側へ延びる羽根部221を設けたので、ガセット容器200の自立安定性を、実施の形態1に係るガセット容器100よりも更に高めることができる。
【0083】
なお、以上説明した実施の形態1、2は、上部を切り取ることで開封するタイプの容器に適用する場合を例にとって説明したが、スパウト付きの容器に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0084】
100,200 ガセット容器
110 外装フィルム
111 側縁部
112 上縁部
120 ガセットフィルム
122,211 拡幅部
123 等幅部
124 底面部
125 切り込み部
130,230 袋体
220 底面部
221 羽根部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8