(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
《防腐食構造》
本発明の第一態様は、金属製配管と、前記金属製配管の接続部に巻回された自己接着型のシリコーン系部材と、が備えられた防腐食構造である。
以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態を例示する。
【0010】
<金属製配管>
図1に示すように、金属製配管10のねじ切り部Aは、第1の配管10の端部において雄ねじの溝11が形成された部分であり、一般に腐食が起こり易い部分である。雄ねじ11には、第2の配管20の雌ねじが累合されていてもよく、この場合のねじ切り部Aは配管接続部と呼ばれる。
金属製配管の接続部は、ねじ切りに限らず、溶接して接続した部分でもよい。
第1の配管10及び第2の配管20の長手方向の形状は特に限定されず、直線状でもよいし、屈曲状でもよい。また、その長手方向の長さも特に限定されず、例えば30cm〜1m程度が挙げられる。第1の配管10及び第2の配管20の直径は特に限定されず、例えば1cm〜1m程度が挙げられる。第1の配管10及び第2の配管20のねじ切り部A以外の管壁は樹脂で被覆されていても構わない。
【0011】
<第一実施形態>
図2に示すように、第一実施形態の防腐食構造には、金属製配管10のねじ切り部Aに巻回された自己接着型のシリコーン系部材30が備えられている。
第1の配管10及び第2の配管20のねじ切り部(接続部)Aは金属製であり、自己接着型シリコーン系部材30が巻回された状態においては、ねじ切り部Aがシリコーン系部材30によって被覆されて、腐食の原因となる酸素や水分から保護されている。一方、シリコーン系部材30が取り外された状態(
図1参照)においては、ねじ切り部(接続部)Aの金属の少なくとも一部が露出する。
【0012】
(自己接着型シリコーン系部材)
本実施形態で用いられる自己接着型シリコーン系部材30は、使用前は未硬化状態であり、接続部に巻回した後で硬化する、硬化型シリコーンゴムからなる部材である。
前記硬化型シリコーンゴムは、一般に2種類に大別される。一方は、未使用時には低温で保存し、硬化時には常温以上に加熱することによって硬化させる、いわゆる付加硬化型シリコーンゴムである。他方は、未使用時には乾燥環境(防湿環境)で保存し、硬化時には空気中の水分を吸湿させることによって硬化させる、いわゆる縮合型シリコーンゴムである。本実施形態の自己接着型シリコーン系部材30は、付加硬化型でもよいし、縮合硬化型であってもよい。
硬化型シリコーンゴムは所望の形状に成形可能であり、成形後の形状を保持する。硬化型シリコーンゴムは流動性がなく圧縮により変形する特性を有している。硬化型シリコーンゴムはウイリアム可塑度(25℃)が50〜450であるのが好ましく、50〜300であるのが特に好ましい。ウイリアム可塑度が前記範囲内にあると、未硬化の状態で所望の形状に成形できるうえその形状を保持できるにもかかわらず圧縮されると容易に変形する。ウイリアム可塑度が前記下限値以上であれば、流動性がなく成形加工ができ、前記上限値以下であれば、圧縮されると容易に変形することができる。ウイリアム可塑度は、JIS K 6249:1997の「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に準じて測定する。すなわち、25℃の環境下において硬化型シリコーンゴム2gの球状の試験片とし、この試験片をセロハン紙に挟んでダイヤルゲージの付いた平行板可塑度計(上島製作所製「ウイリアムプラスとメータ」)中にセットし、5kgの荷重を加えて3分間放置した後、ダイヤルゲージの目盛をミリメートルまで読み取り、試験片の厚さを記録して、この数値を100倍してウイリアム可塑度とする。
【0013】
自己接着型シリコーン系部材30のねじ切り部Aに対する接着力を高める観点から、ねじ切り部Aに予めプライマー処理を施しておくことが好ましい。プライマー剤の選択は、使用するシリコーン系部材30を構成する硬化型シリコーンゴムの種類によって公知のプライマー剤から任意に選択することができる。
プライマー処理を施したSUS304に対する硬化型シリコーンゴムの接着力を、例えばJIS K 6854−1:1999の「90度はく離試験 接着強さ」に基づいて評価した場合、10N/mm以上であることが好ましい。上限値は特に限定されないが、保守点検のためにシリコーン系部材30をねじ切り部Aから取り外すことを考慮して、例えば、100N/mm程度が上限として挙げられる。
【0014】
自己接着型シリコーン系部材30による、ねじ切り部Aの保護性能を高める観点から、そのシリコーン系部材30を構成する硬化型シリコーンゴムの硬化後の硬度を、JIS K 6253:2012の「第3部:デュロメータ硬さ(タイプA)」に基づいて評価した場合、A 40以上であることが好ましい。上限値は特に限定されないが、保守点検のためにシリコーン系部材30をねじ切り部Aから取り外すことを考慮して、例えば、A 90程度が上限として挙げられる。
【0015】
上記のウイリアム可塑度や接着力及び硬度を有する好適な自己接着型シリコーン系部材としては、例えば、信越ポリマー株式会社製の「ポリマエース」として販売されている、HR−2388S(付加硬化型、常温硬化)、HR−120S(付加硬化型、加熱硬化)、HR−120NP(付加硬化型、加熱硬化)、HJ−14S(縮合硬化型)、HJ−1588L(縮合硬化型)等が挙げられる。
【0016】
図2の例においては、テープ状の自己接着型のシリコーン系部材30がねじ切り部Aにらせん状に巻回されている。そのテープの幅及び長さはねじ切り部Aの長さに合わせて適宜設定され、例えば、ねじ切り部Aの配管(直径5cm)の長手方向に沿う長さが15cmである場合、テープの幅2mm〜100mm、テープの長さ20cm〜30cm程度でもよい。広幅のシート状のものをカットして巻回してもよい。厚みは、好ましくは0.3〜10mmで、より好ましくは1〜2mmである。
【0017】
上記の自己接着型シリコーン系部材は、密着性、耐久性、取り扱い性に優れるため、金属製配管の接続部に巻回される防腐食構造用部材として極めて有用である。
【0018】
上記の自己接着型シリコーン系部材は透明であることが好ましい。透明であることにより、巻回された自己接着型シリコーン系部材を透視して、防腐食構造内部の接続部の様子を観察することができる。防腐食構造を除去せずに接続部の様子を観察できるので、その接続部を含む配管のメンテナンスの要否を容易に検討することができる。
【0019】
本実施形態の防腐食構造によれば、金属製配管10,20のねじ切り部Aに対して自己接着型シリコーン系部材30が直接に巻回されているため、ねじ切り部Aに対してシリコーン系部材30が充分に密着している。この結果、腐食の原因となる水や酸素がねじ切り部Aに接触することを防止できるので、ねじ切り部Aの防腐食性、耐候性、耐久性が充分に得られる。また、硬化後の自己接着型シリコーン系部材30は、ベタベタした粘ちょう性を呈さないので、土埃の多い環境においてもねじ切り部Aの汚損を防止できる。また、巻回したシリコーン系部材30をねじ切り部Aの長手方向に沿ってカッター等で切断することにより、必要に応じて施工後に容易に取り外すことができる。
【0020】
<第二実施形態>
図3に示すように、第二実施形態の防腐食構造には、金属製配管のねじ切り部Aに巻回された第1のシリコーン系部材30と、第1のシリコーン系部材30の上に重ねて巻回された第2のシリコーン系部材40と、が備えられている。
図3の例においては、第1のシリコーン系部材30は、第2のシリコーン系部材40によって完全に被覆されており、外部に露出していない。
【0021】
第1のシリコーン系部材30は、前述した自己接着型シリコーン系部材であってもよいし、後述する自己融着型シリコーン系部材であってもよい。
第2のシリコーン系部材40は、前述した自己接着型シリコーン系部材であってもよいし、後述する自己融着型シリコーン系部材であってもよい。
【0022】
具体的な組み合わせとして、(a)第1のシリコーン系部材30が自己接着型シリコーン系部材であり、第2のシリコーン系部材40が自己融着型シリコーン系部材である組み合わせ;(b)第1のシリコーン系部材30が自己融着型シリコーン系部材であり、第2のシリコーン系部材40が自己接着型シリコーン系部材である組み合わせ;(c)第1のシリコーン系部材30が自己接着型シリコーン系部材であり、第2のシリコーン系部材40も自己接着型シリコーン系部材である組み合わせ;が挙げられる。
これらのうち、第1のシリコーン系部材30は未硬化の状態で金属製ねじ切り部Aに対する密着性が優れることから、(a)又は(c)が好ましく、第2のシリコーン系部材40が重ねて巻かれ第1のシリコーン系部材30が圧縮され防腐食構造全体の金属製ねじ切り部Aに対する密着性がさらに優れることから、(a)がより好ましい。
【0023】
図3の例においては、テープ状の第1のシリコーン系部材30がねじ切り部Aを被覆するようにらせん状に巻回され、さらにその上に、テープ状の第2のシリコーン系部材40が第1のシリコーン系部材30を被覆するようにらせん状に巻回されている。
【0024】
第1のシリコーン系部材30の幅と、第2のシリコーン系部材40の幅の関係は特に限定されず、例えば、両方とも幅1cm〜3cm程度のテープ状であってもよいし、何れか一方が他方のテープ状よりも幅広の、例えば幅4cm〜20cmの、テープ状又はシート状であってもよい。ここで、テープ状部材の長さはそのテープ状の幅よりも長く、シート状部材の長さはそのシート状の幅と同じか又はその幅よりも長い。
【0025】
本実施形態の防腐食構造の防腐食性、耐久性、密着性等を向上させる観点から、第1のシリコーン系部材30は、テープ状であり、少なくともねじ切り部Aに対してらせん状に巻回されていることが好ましい。また、第2のシリコーン系部材40は、第1のシリコーン系部材30のテープ状よりも幅広の、シート状又はテープ状であり、第1のシリコーン系部材30の全体を被覆するように巻回されていることがより好ましい。
【0026】
(自己融着型シリコーン系部材)
本実施形態の自己融着型シリコーン系部材は、自己融着性シリコーンゴムからなる部材であることが好ましい。自己融着性シリコーンゴムは、使用時の硬化処理を必要とせず、予め硬化された状態で使用される。自己融着性シリコーンゴムとしては、例えば、特開2016−114180号公報に開示されている、下記の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有するシリコーン組成物を硬化させた硬化物が挙げられる。
【0027】
R
1nSiO
(4−n) ・・・(I)
[式(I)中、R
1は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは1.98〜2.02の範囲の任意の数を表す。]
【0028】
式(I)におけるR
1としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜8の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
R
1は、前記炭化水素基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基でもよい。
シリコーン組成物を硬化させる際に、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物で硬化を促進させる場合には、R
1がアルケニル基又はアルケニル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基で置換された基が好ましい。
式(I)におけるnは、自己融着性を充分に得る観点から、1.98〜2.02であることが好ましい。
【0029】
ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、100〜100,000,000cStであることが好ましく、100,000〜10,000,000cStであることがより好ましい。ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が前記範囲内であると、硬化後の機械的物性に優れるため好ましい。
【0030】
前記ホウ酸化合物としては、例えば、無水ホウ酸、ピロホウ酸、オルトホウ酸等のホウ酸類;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、トリメトキシボロキシン等の無水ホウ酸の誘導体等が挙げられる。また、前記ホウ酸化合物として、例えば、ジメチルジメトキシシラン又はジメチルジエトキシシラン等のオルガノアルコキシシランと無水ホウ酸とを縮合させて得たポリオルガノボロシロキサンを用いることもできる。
前記ホウ酸化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
自己融着型シリコーン系部材における前記ホウ酸化合物の含有割合は、ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。ホウ酸化合物の含有割合が前記下限値以上であれば、充分な自己融着性を確保でき、前記上限値以下であれば、機械的物性の低下を抑制することができる。
【0032】
テープ状又はシート状の自己融着型シリコーン系部材の長手方向に沿う引張強さ(単位:N)は、硬化後の自己接着型シリコーン系部材の最大荷重よりも大きいことが好ましく、例えば、70N以上であることが好ましく、80N以上であることがより好ましく、100N以上であることがさらに好ましい。
テープ状又はシート状の自己融着型シリコーン系部材の長手方向に沿う引張伸び率は、硬化後の自己接着型シリコーン系部材の引張伸び率よりも大きいことが好ましく、例えば、300%以上であることが好ましく、400%以上であることがより好ましく、500%以上であることがさらに好ましい。
上記の引張強さ及び引張伸び率が前記下限値以上であれば、充分に高い自己融着性を発揮でき、配管のねじ切り部又はそこに巻回された自己接着型シリコーン系部材に対してより密着することができる。
上記の引張強さ及び引張伸び率は、引張試験機を用い、テープ状又はシート状のシリコーン系部材の長手方向に沿って、23℃、引張速度500mm/分の条件で測定した値である。
【0033】
上記の自己融着型シリコーン系部材は透明であることが好ましい。透明であることにより、巻回された自己融着型シリコーン系部材を透視して、防腐食構造内部の接続部の様子を観察することができる。防腐食構造を除去せずに接続部の様子を観察できるので、その接続部を含む配管のメンテナンスの要否を容易に検討することができる。
【0034】
《防腐食工法》
本発明の第二態様は、金属製配管の接続部に、自己接着型のシリコーン系部材を巻回する防腐食工法である。この工法によって、第一態様の防腐食構造を形成することができる。
【0035】
図1の金属製配管10のねじ切り部Aに自己接着型シリコーン系部材を巻回する方法としては、例えばテープ状又はシート状の自己接着型シリコーン系部材を、ねじ切り部Aの一端側から他端側へらせん状に巻回する方法が挙げられる。
【0036】
一例として、
図1の配管10のねじ切り部A(配管10,20の配管接続部A)に対して、テープ状又はシート状の第1のシリコーン系部材30をらせん状に巻回し、ねじ切り部Aを覆うと、
図2に示す形態となる。次いで、ねじ切り部Aを覆った第1のシリコーン系部材30の上にテープ状又はシート状の第2のシリコーン系部材40を重ねてらせん状に巻回し、第1のシリコーン系部材30を覆うと、
図3に示す形態となる。ここで、らせん状に巻回する各シリコーン系部材の長手方向はらせん状の周回方向に沿うことが好ましい。
【0037】
第1のシリコーン系部材30及び第2のシリコーン系部材40は、それぞれ独立に、自己接着型シリコーン系部材であってもよいし、自己融着型シリコーン系部材であってもよい。好適な組み合わせとしては、前述した(a)〜(c)が挙げられる。
【0038】
自己接着型シリコーン系部材をねじ切り部Aに巻回した後に加熱することによって、自己接着型シリコーンの硬化を促進してもよい。自己接着型シリコーン系部材は硬化後にその特性が充分に発揮されるからである。加熱する方法としては、例えばドライヤーによって熱風を吹き付ける方法が挙げられる。
自己融着型シリコーン系部材をねじ切り部Aに巻回する際には、密着力及び自己融着力を高める観点から、自己融着型シリコーン系部材を長手方向へ引き伸ばしながら巻き付けることが好ましい。
【0039】
ねじ切り部Aに自己接着型シリコーン系部材を巻回する方法として、次の方法も挙げられる(
図4参照)。まず、支持フィルム50の上に自己接着型シリコーン系部材60の非接着面が接するように載せ、その非接着面の反対側の接着面60aが表面に露出した状態の中間体70を得る。この中間体70の接着面60aをねじ切り部Aの第一部分Aa(
図4の紙面奥側の部分)に密着させるとともに、支持フィルム50の1組の端部50a,50bのうち、支持フィルム50の第一端部50a側をねじ切り部Aの第一部分Aaから見て一方へ向けて(
図4の配管に対して左から右へ向かう方向へ向けて)巻き付けつつ、第一端部50aを第一部分Aaの反対方向に引く。これと同時に、支持フィルム50の第二端部50b側をねじ切り部Aの第一部分Aaから見て左へ向けて(
図4の配管に対して右から左へ向かう方向へ向けて)巻きつつ、第二端部50bを第一部分Aaの反対方向に引く。これにより、第一部分Aaを含むねじ切り部Aに対して自己接着型シリコーン系部材60の接着面60aを押圧できるので、充分に密着させつつ巻回することができる。
上記の工法によれば、溝内やケース内等の作業者の手が届きにくい狭溢部に配管10,20が設置されている場合にも、容易に自己接着型シリコーン系部材60を巻回することができる。巻回後に支持フィルム50は取り外される。
【0040】
支持フィルム50としては、例えば、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル等の比較的柔軟性に富む樹脂フィルムが好ましい。支持フィルム50のサイズは、巻き付け操作を容易にする観点から、自己接着型シリコーン系部材60よりも大きいサイズであることが好ましい。
【実施例】
【0041】
[実施例1]
まず、ポリエチレン被覆鋼管(φ24.7mm)のねじ切り部に対して、第1のシリコーン系部材としての自己接着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅20mm、ウイリアム可塑度200)をらせん状に巻き付けて、
図2の様にねじ切り部を被覆した。続いて、第2のシリコーン系部材としての自己融着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm)を、第1のシリコーン系部材に重ねてらせん状に巻き付けて、
図3の様にねじ切り部を被覆した。これにより鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の防腐食構造に対して、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験で、1000時間後、防腐食構造の変化の有無を目視で確認した(塩水噴霧試験)。
その確認の結果、防腐食構造を形成するシリコーン系部材の表面に少量の塩分が析出していた他は特に変化は無く、3つの試験体の何れにおいても剥離は起きていなかった。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、3つの試験体の何れにも錆は生じていなかった。
以上の結果から、実施例1の防腐食構造は、防腐食性、耐候性、耐久性に優れることが明らかである。
【0042】
[実施例2]
実施例1における第1のシリコーン系部材と、第2のシリコーン系部材を入れ替えた以外は、実施例1と同様に防腐食構造を形成し、塩水噴霧試験を行った。つまり、第1のシリコーン系部材として自己融着型シリコーンゴムテープを用い、第2のシリコーン系部材として自己接着型シリコーンゴムテープを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、防腐食構造の表面に少量の塩分が析出していた。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、わずかながら錆が生じていた。
以上の結果から、実施例2の防腐食構造は、実施例1よりも劣る場合があったものの、防腐食性、耐候性、耐久性は概ね良好であることが分かった。
【0043】
[実施例3]
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に対して、自己接着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm、ウイリアム可塑度100)をらせん状に巻き付けて、
図2の様にねじ切り部を被覆した。これにより鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の防腐食構造体に対して塩水噴霧試験を実施例1と同様に行った。
その結果、防腐食構造を形成するシリコーン系部材の表面に少量の塩分が析出していた。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、少し錆が生じていた。
以上の結果から、実施例3の防腐食構造は、実施例1よりも劣る場合があったものの、防腐食性、耐候性、耐久性は概ね良好であることが分かった。
なお、実施例3は比較例である。
【0044】
[比較例1]
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成せず、ねじ切り部が露出した状態で実施例1と同様に塩水噴霧試験を行った。
その結果、金属製のねじ切り部分の実施例2,3よりも多くの部位に錆が生じていた。
【0045】
[比較例2]
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に対して、自己融着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm)をらせん状に巻き付けて、
図2の様にねじ切り部を被覆した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の試験体に対して塩水噴霧試験を実施例1と同様に行った。
その結果、試験体の表面に少量の塩分が析出していた他、3つの試験体のうち2つにおいて、らせん状に巻回した自己融着型シリコーンゴムテープの一部に緩みが生じていた。次に、カッターで切り裂いて自己融着型シリコーンゴムテープを除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、実施例2,3よりも多くの部位に錆が生じていた。
以上から、比較例2の自己融着型テープのみを被覆した構造は、実施例1〜3よりも劣る結果であった。
【0046】
上記の各試験で用いたシリコーンゴムテープの詳細は下記の通りである。
・自己接着型テープ;縮合硬化型。前述の「90度はく離試験 接着強さ」は10N/mm。前述の硬化後のデュロメータ硬さ(タイプA)は約43。
・自己融着型テープ;前述の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物と含有するシリコーン組成物の硬化物。前述の引張強さは80N以上、引張伸び率は300%以上。