特許第6983567号(P6983567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983567
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】半導体装置、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/861 20060101AFI20211206BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 21/322 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01L29/91 J
   H01L29/91 B
   H01L29/91 D
   H01L29/06 301G
   H01L29/06 301V
   H01L29/91 F
   H01L29/50 B
   H01L21/28 301R
   H01L21/322 L
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-146369(P2017-146369)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2019-29469(P2019-29469A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】松崎 欣史
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−246570(JP,A)
【文献】 特開2011−166052(JP,A)
【文献】 特開昭54−002076(JP,A)
【文献】 特開2012−043891(JP,A)
【文献】 米国特許第06404037(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0055882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/868
H01L 29/861
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 21/322
H01L 21/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一導電型である半導体基板と、前記半導体基板の一方の主面側の一部に形成され、前記第一導電型とは逆導電型の第二導電型である第一部位と、前記第一部位と接合された電極層と、前記電極層に重ねて形成された導電性マスク層と、を少なくとも備え、
前記電極層は、前記半導体基板の周縁から中心に向かう位置において、前記一方の主面側に重ねて形成されており、
前記半導体基板には、周縁から中心に向かって延びる再結合層が形成されており、
前記再結合層の一方の端部は、前記第一部位の前記半導体基板との接合面のうち、前記半導体基板の周縁側の端部の近傍にあり、前記再結合層の一方の端部の深さ方向の分布は、前記導電性マスク層の膜厚に倣って形成され
前記再結合層の前記一方の端部は、前記第一部位に接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記再結合層の前記一方の端部は、前記第一部位の底面よりも浅い方向に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電性マスク層は、はんだ材からなり、前記導電性マスク層は、該導電性マスク層の周縁から中心に向かって高さが漸増するように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板には、前記第一部位の外側であって、前記半導体基板の一方の主面側から深さ方向に広がる前記第二導電型の第二部位が更に形成され、
前記再結合層は、前記第二部位の底面と同じか、それよりも深い位置に広がることを特徴とする請求項1ないしいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項1ないしいずれか一項記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の一方の主面側の一部に第二導電型である前記第一部位を形成する第二導電型拡散層形成工程と、
前記第一部位に接するように前記電極層を形成する電極層形成工程と、
前記電極層に重ねて導電性マスク層を形成するマスク層形成工程と、
前記導電性マスク層を照射マスクとして用いて、前記半導体基板の深さ方向に高エネルギー粒子を照射して、前記再結合層を形成する再結合層形成工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記再結合層形成工程では、前記高エネルギー粒子として、ヘリウムまたはプロトンが照射されることを特徴とする請求項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイオードなどの半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一例であるプレーナ型ダイオードは、例えばn型シリコン基板の上に酸化膜(パッシベーション)を形成し、この酸化膜を不純物拡散のマスク層として所定箇所に不純物を拡散させてp型領域(活性層)を形成することによって得られる。こうしたプレーナ型ダイオードは、過渡動作時にp型領域とパッシベーションとの接続部にホール電流が集中し、電流密度が高くなることが知られている。
【0003】
こうしたホール電流の集中によってプレーナ型ダイオードが熱破損する虞がある。ホール電流の集中によるプレーナ型ダイオードが熱破損を防止するために、例えば、特許文献1では、p型領域とn型領域(半導体基板)との界面付近に広がる低ライフタイム領域と称される欠陥領域を形成し、こうした欠陥領域によって、ホール電流の集中を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005―340528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構造の半導体装置では、p型領域の内部に欠陥領域を形成しているため、活性層における電荷キャリアのライフタイムに影響を及ぼし、順電圧が増大してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、順電圧を増大させることなく、ホール電流の集中による熱破損を防止することが可能な半導体装置、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、第一導電型である半導体基板と、前記半導体基板の一方の主面側の一部に形成され、前記第一導電型とは逆導電型の第二導電型である第一部位と、前記第一部位と接合された電極層と、前記電極層に重ねて形成された導電性マスク層と、を少なくとも備え、前記電極層は、前記半導体基板の周縁から中心に向かう位置において、前記一方の主面側に重ねて形成されており、前記半導体基板には、周縁から中心に向かって延びる再結合層が形成されており、前記再結合層の一方の端部は、前記第一部位の前記半導体基板との接合面のうち、前記半導体基板の周縁側の端部の近傍にあり、前記再結合層の一方の端部の深さ方向の分布は、前記導電性マスク層の膜厚に倣って形成され、前記再結合層の前記一方の端部は、前記第一部位に接していることを特徴とする。
【0008】
半導体装置、例えばプレーナ型ダイオードは、第一部位の接合面に一方の端部が接するように再結合層を形成しつつも、第一部位の内部まで再結合層を延ばさない構成にすることによって、第一部位における電荷キャリアのライフタイムを短縮してしまうことを防止する。即ち、第一部位の内部まで再結合層を形成すると、第一部位における電荷キャリアのライフタイムが短縮され、順電圧が増大してしまう虞があるが、第一部位の内部まで再結合層を延ばさない構成にすることによって、第一部位における順電圧の増大を防止することが可能になる。
【0009】
加えて、例えば過渡動作時において、第一部位にホール電流が集中し、電流密度が高くなるが、この第一部位の接合面に一方の端部が接するように再結合層を形成することにより、半導体基板の周縁部分の電荷キャリアのライフタイムが短縮され、半導体基板の周縁部分のホールが素早く消失する。これによって、半導体基板の周縁部分のホール電流集中が低減され、半導体装置が熱破損することを防止することができる。
【0011】
また、本発明では、前記再結合層の前記一方の端部は、前記第一部位の底面よりも浅い方向に向けて傾斜していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明では、前記導電性マスク層は、はんだ材からなり、前記導電性マスク層は、該導電性マスク層の周縁から中心に向かって高さが漸増するように形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、前記半導体基板には、前記第一部位の外側であって、前記半導体基板の一方の主面側から深さ方向に広がる前記第二導電型の第二部位が更に形成され、前記再結合層は、前記第二部位の底面と同じか、それよりも深い位置に広がることを特徴とする。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法は、前記各項記載の半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板の一方の主面側の一部に第二導電型である前記第一部位を形成する第二導電型拡散層形成工程と、前記第一部位に接するように前記電極層を形成する電極層形成工程と、前記電極層に重ねて導電性マスク層を形成するマスク層形成工程と、前記導電性マスク層を照射マスクとして用いて、前記半導体基板の深さ方向に高エネルギー粒子を照射して、前記再結合層を形成する再結合層形成工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【0015】
再結合層形成工程では、半導体基板の一方の主面側から高エネルギー粒子を照射することによって、半導体基板の格子欠陥を高密度に形成する。半導体基板の深さ方向における再結合層の形成位置は、高エネルギー粒子の照射エネルギーにより決まる。即ち、こうした高エネルギー粒子のマスクとなる導電性マスク層の厚みによって、再結合層の形成位置を制御することができる。これにより、半導体基板の任意の深さ位置に再結合層を形成することが可能になる。
【0016】
また、本発明では、前記再結合層形成工程では、前記高エネルギー粒子として、ヘリウムまたはプロトンが照射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、順電圧を増大させることなく、ホール電流の集中による熱破損を防止することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態のプレーナ型ダイオード(半導体装置)における半導体基板の周縁部分の積層方向(厚み方向)に沿った断面を示す要部拡大断面図である。
図2】本発明の第二実施形態のプレーナ型ダイオード(半導体装置)における半導体基板の周縁部分の積層方向(厚み方向)に沿った断面を示す要部拡大断面図である。
図3】本発明の半導体装置の製造方法を説明するフロー図である。
図4】本発明の半導体装置の製造方法を段階的に示した断面図である。
図5】本発明の半導体装置の製造方法を段階的に示した断面図である。
図6】再結合層形成工程を模式的に示した模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の半導体装置およびその製造方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0020】
(半導体装置:第一実施形態)
本発明の半導体装置の一例として、プレーナ型ダイオードの構成を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明するプレーナ型ダイオードは、ガードリングを備えたプレーナ型ダイオードにおける半導体基板の周縁部分の一構成例を挙げて説明するものである。よって、これら周縁部分よりも中心側の構成は特に限定されるものではない。ここでいう周縁部分とは、半導体基板のある一方の周縁から、半導体基板の中心に向かって任意の幅で広がる領域を指している。
【0021】
まず最初に、本実施形態で説明する半導体装置の一例として挙げるプレーナ型ダイオードについて、全体構成の概要を説明する。
【0022】
図1は、第一実施形態のプレーナ型ダイオード(半導体装置)の周縁部分における積層方向(厚み方向)に沿った断面を示す要部拡大断面図である。なお、この図1において、紙面に向かって右側を周縁側、左側を中心側と称することがある。
本実施形態に係るプレーナ型ダイオード(半導体装置)10は、n−型(第一導電型)である半導体基板11と、半導体基板11の一方の主面11a側の一部に形成され、n−型とは逆導電型のp+型(第二導電型)である活性層(第一部位)12と、活性層12と接合されたアノード電極(電極層)13と、アノード電極13に重ねて形成された導電性マスク層16と、を少なくとも備え、アノード電極13は、半導体基板11の周縁から中心に向かう位置において、一方の主面11a側に重ねて形成されており、半導体基板11には、周縁側から中心側に向かって延びる再結合層21が形成されており、再結合層21の一方の端部21aは、活性層12の半導体基板11との接合面12aに連なる活性層12の端部であって半導体基板11の周縁寄りの端部12asの近傍の領域29にあり、導電性マスク層16の表面形状(例えば導電性マスク層16の周縁16asにおける表面形状)に倣った形状に形成されている。領域29としては、例えば、活性層12の外部のうち、活性層12の接合面12aと当該接合面12aに連なる活性層12の端部(端面)12asとの角部の近傍の領域であればよい。
【0023】
より具体的には、本発明のプレーナ型ダイオード10は、n−型の半導体基板11を備えている。半導体基板11は、例えばSiウェーハから構成されている。なお、半導体基板11は、Siウェーハ以外にも、例えば、SiCウェーハを用いることもできる。
【0024】
半導体基板11の一方の主面11a側の一部に、第一導電型とは逆導電型のp+型を成す活性層(第一部位)12が形成されている。この活性層12は、半導体基板11の周縁側から中心側に向かって所定の距離だけ離れた位置であって、半導体基板11の一方の主面11aから厚み方向に沿って所定の深さまで形成されている。半導体基板11は、一方の主面11a側はn−型半導体領域とされ、他方の主面11b側はn+型拡散層であるカソード領域14が形成される。活性層12の底面12aeは、このカソード領域14よりも浅い位置(半導体基板11の一方の主面11a側)に形成されている。
【0025】
半導体基板11の一方の主面11aのうち、活性層12の形成領域には、半導体基板11の一方の主面11aにおいて、半導体基板11の周縁側(周縁部位)には、第一導電型で半導体基板11の不純物濃度より高いn+型を成すチャネルストッパ層19が形成されている。このチャネルストッパ層19の底面は、活性層12の底面12aeよりも浅い位置において形成されている。こうしたチャネルストッパ層19は、活性層12からその周辺に広がる空乏層が半導体基板11の周縁に達することを抑止する。
【0026】
半導体基板11の一方の主面11aのうち、活性層12とチャネルストッパ層19との間には、酸化膜(パッシベーション)17が形成されている。より具体的には、酸化膜17の一端は、活性層12の端部に重なるように形成されることで接している。また、酸化膜17の他端は、チャネルストッパ層19の端部に重なるように形成されることで接している。こうした酸化膜17は、例えば、SiOから構成されている。
【0027】
アノード電極13は、半導体基板11の一方の主面11aに重なるように形成され、その一部が活性層12に接し、これに連なる残りの一部が酸化膜17の一端側に重なる。アノード電極13は、例えばAlから構成されている。
なお、アノード電極13に重ねて、Ti層、およびNi層を形成した上で、例えばはんだ材からなる導電性マスク層16を形成する。
【0028】
アノード電極13の上には、導電性マスク層16が形成されている。この導電性マスク層16は、後ほど説明するプレーナ型ダイオード10の製造方法において、再結合層21を形成する際に用いる高エネルギー粒子照射時のマスクとして作用する。導電性マスク層16は、例えば、はんだ材から構成されている。
【0029】
導電性マスク層16を構成するはんだ材の例としては、Pb含有はんだ又はPbフリーはんだを用いることができる。
【0030】
導電性マスク層16は、周縁16asから中心に向かって高さが漸増するように形成されている。より具体的には、導電性マスク層16の周縁16asにおいて比較的急激に厚みが増加する湾曲傾斜面が形成され、さらに、この湾曲傾斜面に連なるように導電性マスク層16の中心に向かって緩やかに厚みが増える又はほぼ一定となるような形状に形成されていることが好ましい。
【0031】
半導体基板11の他方の主面11bの全域には、半導体基板11のn−型半導体よりも不純物濃度が高く、オーミック性が得られる高不純物濃度のn+型(第一導電型)のカソード領域14が形成されている。また、半導体基板11の他方の主面11bの全域には、このカソード領域14に接するように、カソード電極15が形成されている。カソード電極15は、例えばNiから構成されている。
【0032】
また、半導体基板11の一方の主面11aにおいて、活性層12よりも周縁側であって、チャネルストッパ層19よりも中心側には、半導体基板11の一方の主面11a側から深さ方向に広がるp+型のガードリング(第二部位)18が更に形成されている。ガードリング18は、半導体基板11を平面視した場合に、アノード電極13と接する活性層12よりも、半導体基板11の周縁側において活性層12を取り囲むように環状に形成される。この第1実施形態においては、ガードリングは半導体基板11の一方の主面11aに沿って離間するようにして2つ形成されている。
このようなガードリング18は、空乏層を活性層12から半導体基板11の周縁側へ延びるように作用することによって、電界集中を緩和させる。
【0033】
なお、こうしたガードリング18は、1つ、ないし3つ以上形成されていてもよい。また、それぞれのガードリング18は、互いに離間させずに接するように形成することもできる。また、それぞれのガードリング18は、不純物濃度の異なる2層以上の複層構造とすることもできる。
【0034】
第一実施形態のプレーナ型ダイオード10の半導体基板11には、半導体基板11の周縁11eから中心に向かって延びる再結合層21が形成されている。なお、半導体基板11の中心は、図1に示す半導体基板11の周縁11eとは反対側の周縁との間にある中心を示している。より具体的には、再結合層21は、半導体基板11の周縁11e側となる他方の端部21bが半導体基板11の周縁11eまで延びており、また、他方の端部21bとは反対側の一方の端部21aが、活性層12の半導体基板11に対する接合面12aのうち、半導体基板11の周縁11e側の端部12asまで延びている。
【0035】
そして、再結合層21の一方の端部21aは、導電性マスク層16の表面形状に倣った形状に形成されている。より具体的には、再結合層21の一方の端部21aは、導電性マスク層16の周縁16asの湾曲した表面形状に近似した形状とされている。即ち、再結合層21の一方の端部21aは、半導体基板11の中心に向かうにつれて、活性層12の接合面12aのうち底面12aeよりも浅い方向に向けて湾曲するように傾斜している。
【0036】
後ほど説明する半導体装置の製造方法において、導電性マスク層16は、再結合層21を形成する際に用いる高エネルギー粒子照射時のマスクとして利用する。これにより、再結合層21の一方の端部21aの形状は、導電性マスク層16の形状に倣った形状になる。
【0037】
また、本実施形態では、再結合層21の一方の端部21aにおける端面21afは、活性層12の接合面12aと当該接合面12aに連なる活性層12の端部(端面)12asとの角部に接するように形成されており、なおかつ、再結合層21は、活性層12の内部には形成されていない。
【0038】
再結合層21は、一方の端部21aから半導体基板11の中心に向かって、ガードリング18の底面よりも深い位置で直線状に延びている。なお、こうした再結合層21の湾曲した一方の端部よりも周縁側の領域は、ガードリング18の底面に接する深さで形成することもできる。
【0039】
再結合層21は、半導体基板11に高エネルギー粒子、例えばヘリウムやプロトンを照射することによって形成された、結晶格子欠陥を高密度に含む層である。こうした再結合層21は、電荷キャリアの寿命を短くする。
【0040】
以上のような構成の第一実施形態のプレーナ型ダイオード10の作用を説明する。
本発明のプレーナ型ダイオード10によれば、活性層12の接合面12aに一方の端部が接するように再結合層21を形成しつつも、活性層12の内部まで再結合層21を延ばさない構成にすることによって、活性層12における電荷キャリアのライフタイムを短縮してしまうことを防止する。即ち、活性層12の内部まで再結合層21を形成すると、活性層12における電荷キャリアのライフタイムが短縮され、順電圧が増大してしまう虞がある。しかし、本発明のプレーナ型ダイオード10のように、活性層12の内部まで再結合層21を延ばさない構成にすることによって、活性層12における順電圧の増大を防止することが可能になる。
【0041】
加えて、例えば過渡動作時において、活性層12と酸化膜17との接続部分にホール電流が集中し、電流密度が高くなる。しかしながら、こうした活性層12の接合面12aに再結合層21の一方の端部21aが接するように形成することにより、半導体基板11における再結合層21が形成された部分の電荷キャリアのライフタイムが短縮される。再結合層21によって半導体基板11の再結合層21が形成された部分のホールが素早く消失し、活性層12と酸化膜17との接続部分のホール電流の集中が緩和される。これによって、プレーナ型ダイオード10の熱破損を防止できる。
【0042】
(半導体装置:第二実施形態)
図2は、第二実施形態のプレーナ型ダイオード(半導体装置)の半導体基板の周縁部分における積層方向に沿った断面を示す要部拡大断面図である。なお、第一実施形態と同様の構成には同一の番号を付し、その詳細な説明は省略する。
第二実施形態のプレーナ型ダイオード30の半導体基板11には、半導体基板11の周縁11eから中心に向かって延びる再結合層31が形成されている。より具体的には、再結合層31は、半導体基板11の周縁11e側となる他方の端部31bが半導体基板11の周縁11eまで延びており、また、他方の端部31bとは反対側の一方の端部31aにおける端面31afは、活性層12の接合面12aから所定の間隔を保って離間するように形成されている。
【0043】
また、再結合層31の一方の端部31aは、導電性マスク層16の周縁16asの湾曲した表面形状に近似した形状とされている。即ち、再結合層31の一方の端部31aは、半導体基板11の中心に向かうにつれて、活性層12の接合面12aのうち底面12aeよりも浅い方向に向けて湾曲するように傾斜している。
【0044】
こうした第二実施形態のプレーナ型ダイオード30も、活性層12の接合面12aの近傍まで再結合層31を形成しつつも、活性層12との間に所定の間隔を保って、活性層内部まで再結合層31を延ばさない構成にすることによって、活性層12における電荷キャリアのライフタイムを短縮してしまうことを防止する。即ち、活性層12の内部まで再結合層31を形成すると、活性層12における電荷キャリアのライフタイムが短縮され、順電圧が増大してしまう虞がある。しかし、本発明のプレーナ型ダイオード30のように、活性層12の内部まで再結合層31を延ばさない構成にすることによって、活性層12における順電圧の増大を防止することが可能になる。
【0045】
また、例えば、プレーナ型ダイオード10を備えたスイッチング電源では、非常時における緊急停止などを行うなどの過渡動作時において、活性層12と酸化膜17との接続部分にホール電流が集中し、電流密度が高くなる。しかしながら、こうした活性層12の接合面12aの近傍まで再結合層31の一方の端部31aを延ばすことにより、半導体基板11における再結合層31が形成された部分の電荷キャリアのライフタイムが短縮される。再結合層31によって半導体基板11の再結合層31が形成された部分の正孔が素早く消失し、逆回復電流の変化率が大きくなり、活性層12と酸化膜17との接続部分のホール電流の集中が緩和される。これによって、半導体基板11の周縁部分のリーク電流の増加が抑制され、プレーナ型ダイオード30が熱破損することを防止することができる。
【0046】
(半導体装置の製造方法)
次に、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下の実施形態では、半導体装置の製造方法の一例として、図1に示す構成のプレーナ型ダイオード10の製造方法を例示する。
図3は、本発明の半導体装置の一例であるプレーナ型ダイオードの製造方法を説明するフロー図である。また、図4図5は、本発明の半導体装置の一例であるプレーナ型ダイオードの製造方法を段階的に示した断面図である。また、図6は、再結合層形成工程を模式的に示した断面図である。
まず、プレーナ型ダイオード10の製造にあたっては、n−型の半導体基板11、例えばSiウェーハを用意する。n−型の不純物濃度は、例えば2×1014atoms/cm程度である。
【0047】
次に、図4(a)に示すように、半導体基板11の一方の主面11a側の所定の領域に活性層(第一部位)12やガードリング18などのp型拡散層を形成する(p型拡散層形成工程S1)。このp型拡散層形成工程S1では、まず、半導体基板11の一方の主面11aの全体に酸化膜を形成し、この酸化膜を写真露光およびエッチングまでのフォトリソグラフィープロセスによって、活性層12やガードリング18の形成位置を除いた部分だけをマスクする。そして、このエッチング後の酸化膜をマスクにして、例えばホウ素やアルミニウム等のp型不純物を熱拡散させ、半導体基板11の一方の主面11a側の所定の領域に、p+型の活性層12やガードリング18を形成する。こうしたp+型拡散層の不純物濃度は、例えば1×1019atoms/cm程度である。
【0048】
次に、図4(b)に示すように、半導体基板11の一方の主面11aの周辺部分に、チャネルストッパ層19を形成し、かつ、半導体基板11の他方の主面11bから所定の深さ範囲まで、第一導電型の高濃度不純物のn+型拡散層であるカソード領域14を形成する(n型拡散層形成工程S2)。n型拡散層形成工程S2では、前工程であるp型拡散層形成工程S1におけるp型不純物の熱拡散時に、半導体基板11の一方の主面11aに生じる酸化膜を利用して、この酸化膜を写真露光およびエッチングまでのフォトリソグラフィープロセスによって、チャネルストッパ層19の形成位置を除いた部分だけをマスクする。そして、このエッチング後の酸化膜をマスクにして、例えばリンやヒ素等のn型不純物を熱拡散させ、半導体基板11の一方の主面11aの周辺部分にn+型のチャネルストッパ層19を形成する。
【0049】
また、半導体基板11の他方の主面11bには、特に酸化膜などのマスクを形成せずにn型不純物を熱拡散させ、半導体基板11の他方の主面11bから一方の主面11aに向かって所定の深さ範囲までn+型のカソード領域14を形成する。n+型の不純物濃度は、例えば1×1020atoms/cm程度である。
【0050】
なお、本実施形態では、n型拡散層形成工程S2において、n−型の半導体基板11の他方の主面11bにn型不純物を熱拡散させてn+型のカソード領域14を形成しているが、これ以外にも、他方の主面11b側に(カソード領域14となる)n+型不純物拡散層が予め形成されている半導体基板を用いることもできる。この場合、n型拡散層形成工程S2において、カソード領域14を形成する工程は実施しなくてもよい。
【0051】
次に、図4(c)に示すように、半導体基板11の一方の主面11a側に、酸化膜17を形成する(酸化膜形成工程S3)。酸化膜17の形成にあたっては、半導体基板11の一方の主面11a側に、例えはSiO等を成膜する。そして、写真露光およびエッチングまでのフォトリソグラフィープロセスによって、所定の形状の酸化膜17を形成する。なお、この酸化膜形成工程S3は、前工程であるn型拡散層形成工程S2におけるn型不純物の熱拡散時に、半導体基板11の一方の主面11aに生じる酸化膜を用いることができる。
【0052】
次に、図5(a)に示すように、半導体基板11の一方の主面11a側にアノード電極13を形成する(電極層形成工程S4)。アノード電極13の形成にあたっては、半導体基板11の一方の主面11a側に例えばAl層を形成する。そして、写真露光およびエッチングまでのフォトリソグラフィープロセスによって、所定の形状のアノード電極13を形成する。
【0053】
なお、アノード電極13を構成するAlに重ねて、後工程で形成する導電性マスク層16に対する濡れ性を高めるために、Ti層、およびNi層を形成することが好ましい。アノード電極13を構成するAlは、一般に、導電性マスク層16を構成するはんだ材に対する濡れ性が低く、そのままでは後工程でアノード電極13に重ねて導電性マスク層16を形成しにくい場合があるが、Ti薄膜を介して、はんだ材に対して濡れ性が高いNi薄膜を形成することにより、後工程でアノード電極13対して導電性マスク層16を密着させることで、アノード電極13に重ねるようにして導電性マスク層16を形成することができる。
また、アノード電極13を、導電性マスク層16を構成するはんだ材に対して濡れ性の高いNiによって形成することもできる。この場合、アノード電極13を多層構成にする必要は無い。
【0054】
次に、図5(b)に示すように、アノード電極13に重ねて導電性マスク層16を形成する(マスク層形成工程S5)。導電性マスク層16の形成にあたっては、アノード電極13上に、はんだペーストを塗布する。この時、アノード電極13の中心から周縁に向かってはんだペースト厚みが薄くなっていくように塗布する。そして、アノード電極13上に塗布したはんだペーストを溶融することによって、導電性マスク層16が形成される。こうして形成された導電性マスク層16は、その周縁16asから中心に向けて盛り上がるような凸状を成す。
【0055】
次に、図5(c)に示すように、この導電性マスク層16をマスク(照射マスク)として用いて、高エネルギー粒子の照射によって再結合層21を形成する(再結合層形成工程S6)。図6に示すように、再結合層形成工程S7では、半導体基板11の一方の主面11a側から高エネルギー粒子、例えばヘリウムまたはプロトン(図6ではヘリウム)を照射することによって、半導体基板11を構成するシリコン結晶の格子欠陥を高密度に形成する。
【0056】
半導体基板11の厚み方向(深さ方向)における再結合層21の形成位置は、ヘリウムの照射エネルギーが均一であるならば、導電性マスク層16の厚みにより決まる。即ち、こうしたヘリウムのマスクとなる導電性マスク層16の厚みによって、再結合層21の厚み方向(深さ方向)における形成位置を制御することができる。具体的には、導電性マスク層16の厚みが厚くなるに従って(半導体基板11の中心側の位置に向かうに従って)、再結合層21の形成位置が半導体基板11の一方の主面11a側に向かって浅くなっていき(半導体基板11の中心側の位置に向かうに従って浅い位置となるように)、導電性マスク層16の厚みが一定以上の厚みとなる位置においては、半導体基板11にヘリウムが全く到達せず、半導体基板11において再結合層21が形成されなくなる。
【0057】
こうした導電性マスク層16の作用によって、半導体基板11のうち活性層12が形成されている部分(半導体基板11の中心側)は活性層12が形成されていない部分(半導体基板11の周縁側)に比べて導電性マスク層16が厚く形成されているために、ヘリウムを照射してもヘリウムは活性層12に到達しないため、活性層12に再結合層21が形成されることが無い。
【0058】
一方、導電性マスク層16の周縁16asは、その厚みが半導体基板11の周縁側に向かうにつれて漸減するため、導電性マスク層16の厚みに応じて、半導体基板11の所定の深さ位置から、半導体基板11の周縁側に向かって徐々に深くなるように湾曲した再結合層21が形成される。こうした再結合層21の一方の端部21aは、導電性マスク層16の厚みによってヘリウムの到達深さが変わるといった特性のため、導電性マスク層16の表面形状に倣った形状に形成される。即ち、再結合層21の一方の端部21aは、導電性マスク層16の周縁16asの湾曲した表面形状に近似した形状に形成される。
【0059】
再結合層21の一方の端部21aよりも他方の端部21bに向かう部分では、半導体基板11の一方の主面11aに導電性マスク層16が形成されていないために、再結合層21は、一定の深さで直線状に形成される。本実施形態では、ガードリング18,18の底面よりも深い位置で他方の端面に向かって直線状に延びるように再結合層21が形成される。
【0060】
この後、半導体基板11の他方の主面11bにおいて、カソード領域14に重ねるように、例えばNiからなるカソード電極15を形成することで、本発明の半導体装置の一例であるプレーナ型ダイオード10を製造することができる(図1参照)。
なお、カソード電極15は、前述した電極層形成工程S4において、アノード電極13とともに形成することもできる。この場合、半導体基板11の一方の主面11aおよび他方の主面11bに同時にNiからなる電極層を形成することになり、全体の工程がより簡略化される。
【0061】
この後、製品組み立て時の熱処理によって再結合層21の欠陥アニールを行う。
【0062】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
10 プレーナ型ダイオード(半導体装置)
11 半導体基板
12 活性層(第一部位)
13 アノード電極(電極層)
14 カソード領域
15 カソード電極
16 導電性マスク層(はんだ層)
17 酸化膜(パッシベーション)
18 ガードリング(第二部位)
21 再結合層
図1
図2
図3
図4
図5
図6