(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る基板処理装置の一実施形態である洗浄処理ユニットを装備した基板処理システムを模式的に示す平面図である。
図1の基板処理システム1は、洗浄処理および熱処理といった各種の基板処理を基板Wに対して1枚ずつ実行する枚葉式の基板処理システムである。処理の対象となる基板Wとしては、例えば液晶表示装置用ガラス基板、半導体基板、PDP用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、カラーフィルター用基板、記録ディスク用基板、太陽電池用基板、電子ペーパー用基板等の精密電子装置用基板、矩形ガラス基板、フィルム液晶用フレキシブル基板あるいは有機EL用基板等が挙げられる。以下に説明する例では、基板Wは100mm〜400mmの所定の直径の円形状を有し、微細なパターンWp(
図8)が形成された凹凸形状の表面Wf(
図2)と平坦な裏面Wb(表面Wfの反対側の面)とを有する。ただし、形状や寸法を含む基板の構成はこの例に限られない。
【0012】
基板処理システム1は、基板Wを収容する複数のロードポート2と、基板Wに洗浄処理を行う複数の洗浄処理ユニット3と、基板Wに熱処理を行う複数の熱処理ユニット4とを備える。また、基板Wをシステム内で搬送するために、基板処理システム1はインデクサロボットIRおよびセンターロボットCRを備える。これらのうち、インデクサロボットIRはロードポート2とセンターロボットCRとの間の経路上で基板Wを搬送し、センターロボットCRはインデクサロボットIRと各処理ユニット3、4との間の経路上で基板Wを搬送する。さらに、基板処理システム1はコンピュータで構成されたコントローラ9を備え、コントローラ9が所定のプログラムに従って装置各部を制御することで、以下に説明する各基板処理が基板Wに対して実行される。
【0013】
ロードポート2は、複数の基板Wを鉛直方向に重ねて収容するキャリアCを保持する。このロードポート2内では、各基板Wはその表面Wfが上方に向いた状態(すなわち、その裏面Wbが下方に向いた状態)で収容されている。そして、インデクサロボットIRは未処理の基板Wをロードポート2のキャリアCから取り出すと、この基板WをセンターロボットCRに受け渡し、センターロボットCRはインデクサロボットIRから受け取った基板Wを洗浄処理ユニット3に搬入する。
【0014】
洗浄処理ユニット3は、搬入された基板Wを洗浄してから(洗浄処理)、パターンWpの間を含む基板Wの表面Wfを充填剤溶液の液膜により覆う(塗布処理)。ここで、充填剤溶液は溶質である充填剤を含む溶液である。このように洗浄処理ユニット3は洗浄処理のみならず、塗布処理等の他の基板処理も実行する基板処理装置である。なお、洗浄処理ユニット3の構成および動作については後に詳述する。
【0015】
洗浄処理ユニット3での各基板処理が完了すると、センターロボットCRは洗浄処理ユニット3から基板Wを搬出し、熱処理ユニット4にこの基板Wを搬入する。熱処理ユニット4はホットプレート(図示省略)を有し、センターロボットCRによって搬入された基板Wをホットプレートにより加熱する(熱処理)。この熱処理によって、基板Wの表面Wfを覆っていた充填剤溶液の液膜から溶媒が蒸発し、充填剤溶液の溶質、すなわち充填剤が隣接するパターンWpの間、つまりパターンの凹部Wc(
図8)で固化する。なお、基板Wの加熱方法はこれに限られず、例えば基板Wへの赤外線の照射や、基板Wへの温風の付与等によって基板Wを加熱しても良い。
【0016】
熱処理ユニット4での熱処理が完了すると、センターロボットCRは熱処理ユニット4から搬出した基板WをインデクサロボットIRに受け渡し、インデクサロボットIRは受け取った基板Wをロードポート2のキャリアCに収容する。こうして基板処理システム1での各基板処理が実行済みの基板Wは、外部の充填剤除去装置に搬送される。この充填剤除去装置は、パターンWpの間を含む基板Wの表面Wfからドライエッチングにより充填剤を除去する。なお、充填剤の除去方法はこれに限られず、例えば特開2013−258272号公報のような充填剤の昇華や、特開2011−124313号公報のようなプラズマ処理等によって充填剤を除去しても良い。
【0017】
図2および
図3は
図1の基板処理システムが備える洗浄処理ユニットの一例を模式的に示す部分断面図であり、
図4は
図1の基板処理システムが備える電気的構成の一部を示すブロック図である。
図2と
図3とは、後述するカバープレート35およびノズルユニット36の高さにおいて異なる。また、
図2、
図3および以下の図では、鉛直方向Zを適宜示す。
【0018】
洗浄処理ユニット3は、センターロボットCRによって搬入された基板Wを保持するスピンチャック31と、スピンチャック31に負圧を供給する吸引部32とを有する。このスピンチャック31は、円盤の下面の中心部分から円筒形の軸が下方に突出した形状を有し、鉛直方向Zに平行な中心線Aに対して略回転対称である。スピンチャック31の上面では複数の吸引孔が開口し、基板Wはスピンチャック31の上面に水平に載置される。こうしてスピンチャック31は、基板Wの表面Wfを上方へ向けた状態で基板Wの裏面Wbの中心部分に下方から接触する。この状態で、コントローラ9が吸引部32に吸引指令を出力すると、吸引部32がスピンチャック31の吸引孔に負圧を供給し、基板Wがスピンチャック31により吸着・保持される。
【0019】
また、洗浄処理ユニット3は、スピンチャック31を保持する回転シャフト33と、例えばモータで構成されて回転シャフト33を回転させる回転駆動部34とを有する。回転シャフト33は円筒部331の上面の中心部分から当該円筒部331より小径の円筒部332が上方に突出した形状を有し、円筒部331、332は中心線Aに対して略回転対称である。また、回転シャフト33は、円筒部331の上面であって円筒部332の側方で上方に突出する係合突起333を有する。そして、コントローラ9が回転駆動部34に回転指令を出力すると、回転駆動部34が回転シャフト33に回転駆動力(トルク)を与え、回転シャフト33がスピンチャック31と一体的に中心線Aを中心に回転する。その結果、スピンチャック31に保持される基板Wも中心線Aを中心に回転する。
【0020】
さらに、洗浄処理ユニット3は、スピンチャック31に保持された基板Wの下方に位置するカバープレート35を有する。平面視において、カバープレート35は中心線Aを中心とする略円形の外形を有し、カバープレート35の中心部では円形の中心孔351が開口し、カバープレート35の中心孔351の側方では係合孔352が開口し、カバープレート35の周縁部では周縁孔353が開口する。回転シャフト33の円筒部332はカバープレート35の中心孔351の内側に挿入され、カバープレート35は回転シャフト33の円筒部332より外側で基板Wの裏面Wbに下方から対向する。
【0021】
このカバープレート35は鉛直方向Zに昇降自在であり、基板Wの裏面Wbに近接する近接位置Pc(
図2)と、近接位置Pcよりも基板Wの裏面Wbから下方に離れた離間位置Pd(
図3)とのいずれかに選択的に位置することができる。カバープレート35が離間位置Pdに位置する離間状態では、カバープレート35の係合孔352に回転シャフト33の係合突起333が係合する。カバープレート35はこうして回転シャフト33に係合することで、回転シャフト33の回転に伴って回転することができる。一方、カバープレート35が近接位置Pcに位置する近接状態では、カバープレート35は例えば1mm〜10mm程度のクリアランスを空けて基板Wの裏面Wbに近接し、基板Wの裏面Wbの少なくとも周縁部を下方から覆う。また、この近接状態では、カバープレート35の係合孔352は回転シャフト33の係合突起333から離脱しており、カバープレート35は回転シャフト33の回転に依らず静止する。
【0022】
また、洗浄処理ユニット3は、カバープレート35の周縁孔353に下方から係脱自在なノズルユニット36と、ノズルユニット36を昇降させる昇降駆動部37とを有する。そして、昇降駆動部37はノズルユニット36の昇降に伴ってカバープレート35を昇降させる。
図5はノズルユニットおよびカバープレートの昇降動作の一例を模式的示す部分断面図である。
図5の「ノズルユニット下降位置」「ノズルユニット途中位置」および「ノズルユニット上昇位置」の各欄はそれぞれノズルユニット36が下降位置、途中位置および上昇位置に位置する状態を示す。続いては、
図2ないし
図4に
図5を加えて洗浄処理ユニット3の説明を行う。
【0023】
図5に示すように、ノズルユニット36は、ベース部361と、ベース部361の上面に取り付けられた2つの下側ノズルNa、Nbを有する。ベース部361は、側方に向けて突出する突起部362をその底部に有する。2つの下側ノズルNa、Nbは、スピンチャック31に保持された基板Wの径方向に並び、径方向の周縁側の下側ノズルNaは、上方へ向かうに連れて外側へ傾斜する斜め上方へ処理液を吐出し、径方向の中心側の下側ノズルNbは、鉛直方向Zに対して平行に処理液を吐出する。
【0024】
昇降駆動部37は例えばアクチュエータで構成され、コントローラ9からの指令に従って、下降位置(
図3)と下降位置より高い上昇位置(
図2)との間でノズルユニット36を昇降させる。
図3および
図5の「ノズルユニット下降位置」の欄に示すように、ノズルユニット36が下降位置に位置する状態では、下降位置のノズルユニット36は離間位置Pdに位置するカバープレート35よりも下方に位置する。
図5の「ノズルユニット途中位置」の欄に示すように、ノズルユニット36が下降位置から上昇して途中位置に到達すると、離間位置Pdに位置するカバープレート35の周縁孔353にノズルユニット36が係合し、ノズルユニット36の突起部362がカバープレート35の下面に当接する。ノズルユニット36がさらに上昇すると、カバープレート35がノズルユニット36に伴って上昇し、カバープレート35と回転シャフト33との係合が解除される。そして、
図2および
図5の「ノズルユニット上昇位置」の欄に示すように、ノズルユニット36が上昇位置に到達するのに伴って、カバープレート35が近接位置Pcに到達する。
【0025】
カバープレート35が近接位置Pcに位置する近接状態では、ベース部361の上面とカバープレート35の上面とが面一に並ぶとともに、下側ノズルNa、Nbはスピンチャック31に保持される基板Wの裏面Wbに近接する。そして、下側ノズルNaは裏面Wbの周縁部に対して処理液を吐出でき、下側ノズルNbは下側ノズルNaよりも内側において裏面Wbに対して処理液を吐出できる。
【0026】
また、ノズルユニット36が上昇位置から下降位置へと下降すると、上述とは逆の順序で各動作が実行される。つまり、カバープレート35は、ノズルユニット36の下降に伴って近接位置Pcから離間位置Pdへと下降する。そして、カバープレート35は離間位置Pdに到達すると回転シャフト33に係合して下降を停止する。ノズルユニット36はさらに下降することでカバープレート35の周縁孔353から下方へ離脱し、下降位置に到達する。
【0027】
図2ないし
図4に戻って説明を続ける。
図2および
図3に示すように、洗浄処理ユニット3は、スピンチャック31に保持された基板Wおよびカバープレート35を側方および下方から囲むカップ38を備える。したがって、基板Wやカバープレート35から飛散あるいは落下した処理液は、カップ38に回収される。このカップ38は不図示の昇降機構により
図3の上昇位置と当該上昇位置より下方の下降位置との間で昇降する。そして、カップ38を下降位置に位置させた状態で基板Wがスピンチャック31に着脱され、カップ38を上昇位置に位置させた状態でスピンチャック31に装着された基板Wに対して各種の基板処理が実行される。
【0028】
また、洗浄処理ユニット3は、例えば窒素ガス等の不活性ガスを供給する不活性ガス供給源Sgを備える。そして、回転シャフト33の円筒部332の上部で開口するガス供給口334がバルブV1を介して不活性ガス供給源Sgに接続されている。したがって、コントローラ9がバルブV1を開くと、スピンチャック31に保持された基板Wの裏面Wbとカバープレート35の上面との間に不活性ガス供給源Sgから不活性ガスが供給される。これによって、基板Wの裏面Wbとカバープレート35との間では、不活性ガスが基板Wの中心から周縁に向かう方向に流れる。一方、コントローラ9がバルブV1を閉じると、不活性ガス供給源Sgからのガスの供給が停止する。
【0029】
さらに、洗浄処理ユニット3は、スピンチャック31に保持された基板Wの表面Wfに処理液を吐出する3つの上側ノズルNc、Nd、Neを備える。また、洗浄処理ユニット3は、スピンチャック31に保持された基板Wの表面Wfの中心に対向する対向位置と、この基板Wの表面Wfから水平方向に退避する退避位置との間で上側ノズルNcを移動させるノズル駆動部39を備える。また、図示は省略するが、洗浄処理ユニット3は上側ノズルNd、Neのそれぞれに対しても同様のノズル駆動部39を備える。そして、コントローラ9からの指令を受けて各ノズル駆動部39は上側ノズルNc、Nd、Neをそれぞれ移動させる。
【0030】
このように洗浄処理ユニット3には、基板Wの裏面Wbに処理液を吐出する下側ノズルNa、Nbと、基板Wの表面Wfに処理液を供給する上側ノズルNc、Nd、Neとが設けられている。そして、洗浄処理ユニット3は、これらノズルNa〜Neに処理液を供給する各種供給源Sc、Sr、Ss、Sfを備える。
【0031】
薬液供給源Scは、例えば希フッ酸(DHF)あるいはアンモニア水を含む洗浄液を薬液として供給する。この薬液供給源Scは、直列に接続されたバルブV2、V3を介して上側ノズルNcに接続されている。したがって、コントローラ9がバルブV2およびバルブV3を開くと薬液供給源Scから供給された薬液が上側ノズルNcより吐出され、コントローラ9がバルブV2およびバルブV3のいずれかを閉じると上側ノズルNcからの薬液の吐出が停止する。
【0032】
リンス液供給源Srは、例えばDIW(De-ionized Water)、炭酸水、オゾン水あるいは水素水といった純水をリンス液として供給する。このリンス液供給源Srは、直列に接続されたバルブV4およびバルブV3を介して上側ノズルNcに接続されている。したがって、コントローラ9がバルブV4およびバルブV3を開くとリンス液供給源Srから供給されたリンス液が上側ノズルNcから吐出され、コントローラ9がバルブV4およびバルブV3のいずれかを閉じると上側ノズルNcからのリンス液の吐出が停止する。また、リンス液供給源SrはバルブV5を介して、下側ノズルNb(
図5)に接続されている。したがって、コントローラ9がバルブV5を開くとリンス液供給源Srから供給されたリンス液が下側ノズルNbから吐出され、コントローラ9がバルブV5を閉じると下側ノズルNbからのリンス液の吐出が停止する。
【0033】
溶剤供給源Ssは、基板W上のリンス液を置換する置換処理に用いられる有機溶剤を供給する。本実施形態では、有機溶剤としてIPA(Isopropyl Alcohol)を用いる。この溶剤供給源Ssは、バルブV6を介して下側ノズルNaに接続されている。したがって、コントローラ9がバルブV6を開くと溶剤供給源Ssから供給された溶剤が下側ノズルNaから吐出され、コントローラ9がバルブV6を閉じると下側ノズルNaからの溶剤の吐出が停止する。また、溶剤供給源SsはバルブV7を介して上側ノズルNdに接続されている。したがって、コントローラ9がバルブV7を開くと溶剤供給源Ssから供給された溶剤が上側ノズルNdから吐出され、コントローラ9がバルブV7を閉じると上側ノズルNdからの溶剤の吐出が停止する。
【0034】
充填剤溶液供給源Sfは、アクリル樹脂等のポリマーである充填剤を水に溶解させた溶液を充填剤溶液として供給する。この充填剤溶液供給源Sfは、バルブV8を介して上側ノズルNeに接続されている。したがって、コントローラ9がバルブV8を開くと充填剤溶液供給源Sfから供給された充填剤溶液が上側ノズルNeから吐出され、コントローラ9がバルブV8を閉じると上側ノズルNeからの充填剤溶液の吐出が停止する。
【0035】
図6は
図1の基板処理システムが
図2および
図3の洗浄処理ユニットを用いて実行する基板処理方法の一例を示すフローチャートである。また、
図7は
図6の基板処理方法に従って実行される動作の一例を示すタイミングチャートである。さらに、
図8は
図6の基板処理方法によって基板に対して実行される基板処理の様子を模式的に示す側面図である。このフローチャートは、コントローラ9の制御によって実行される。なお、
図6のフローチャートの実行期間を通して、基板Wとカバープレート35との間にはガス供給口334から継続的に窒素ガスが供給されている。
【0036】
未処理の基板WがセンターロボットCRによって洗浄処理ユニット3のスピンチャック31の上面に搬入されると(ステップS101)、スピンチャック31がこの基板Wを吸着・保持する。また、離間位置Pdに位置していたカバープレート35が近接位置Pcに上昇する。それに続いて、スピンチャック31が回転を開始して、基板Wの回転数がゼロから回転数R4まで加速される。続いて、カバープレート35が近接位置Pcに位置した状態でステップS102の薬液処理が開始される。
【0037】
この薬液処理では、上側ノズルNcが基板Wの表面中央部に対向するように位置決めされ、基板Wが回転数R4(例えば800rpm)で定速回転している状態で上側ノズルNcからDHF(薬液)の基板Wへの供給が開始される(時刻t1)。そして、時刻t1から時刻t2までの期間、基板Wの表面Wfの中央部に継続的に供給されたDHFは、基板Wの回転によって生じる遠心力を受けて基板Wの表面Wfの周縁にまで広がってDHFによる薬液処理が基板Wの表面Wfに施される。
【0038】
時刻t2に薬液処理が完了すると、上側ノズルNcがDHFの供給を停止するとともに、リンス処理(ステップS103)が開始される。このリンス処理では、基板Wの回転数は、時刻t2から時刻t3の期間を通じて回転数R4で一定に維持された後に、時刻t3から時刻t4までの期間をかけて回転数R4から回転数R1に減速される。ここで、回転数R1は、次のようにして形成されるパドル状のリンス液の液膜を維持可能な回転数未満でゼロ以上の回転数であり、特に、本実施形態では回転数R1はゼロに設定されている。また、上側ノズルNcは、基板Wの表面Wfの中央部に対向したまま、時刻t2から時刻t4の期間を通じてリンス液を基板Wの表面Wfに継続的に供給する。
【0039】
時刻t2から時刻t3の期間は、比較的速い回転数R4で基板Wが回転するため、基板Wの表面Wfの中央部に供給されたリンス液は、遠心力を受けて速やかに基板Wの表面Wfの周縁にまで広がって、この周縁から飛散する。また、先の薬液処理で基板Wの表面Wfに供給されたDHFは、リンス液に置換される。一方、時刻t3から時刻t4の期間をかけて基板Wの回転数が減速するにつれて、基板Wの表面Wfに形成されるリンス液の液膜の厚みが増加する。
【0040】
このような洗浄処理(=薬液処理+リンス処理)を行うことで、基板Wの表面WfはDHFにより洗浄された後にリンス液の液膜により覆われる。一方、洗浄処理の実行中を通じて、基板Wの裏面Wbは近接位置Pcに位置するカバープレート35に覆われており、基板Wの裏面WbへのDHFやリンス液の付着が抑制されている。特に洗浄処理と並行して、基板Wの裏面Wbとカバープレート35の上面との間に窒素ガスが継続的に供給されているため、基板Wの回転中心から基板Wの周縁に向かう窒素ガスの気流が基板Wの下面側に生成される。こうして、窒素ガスの気流によって、基板Wの表面Wfから裏面WbへのDHFやリンス液の回り込みをより確実に抑制することが可能となっている。
【0041】
時刻t4にリンス処理が完了すると、パドル処理(ステップS104)が開始される。つまり、時刻t4に基板Wの回転数が回転数R1、すなわちゼロになる際に、コントローラ9は回転駆動部34を構成するモータのエンコーダの出力に基づきスピンチャック31が停止する回転位置を制御する。これによって、スピンチャック31の係合突起333がカバープレート35の係合孔352に鉛直方向Zに対向する回転位置で、スピンチャック31が停止する。こうして基板Wの回転が停止すると、カバープレート35が近接位置Pcから離間位置Pdに下降してスピンチャック31に係合する。
【0042】
時刻t5となるまでは、上側ノズルNcがリンス処理の完了後も継続してリンス液を基板Wの表面Wfに供給し、パドル処理が実行される。このパドル処理でのリンス液の供給速度はリンス処理のそれと同じ供給速度である。そして、時刻t5になると、上側ノズルNcはリンス液の供給を停止する。つまり、パドル処理では、時刻t4から時刻t5の期間を通じて、回転数が回転数R4から減速された基板Wの表面Wfにリンス液が継続的に供給される。こうして
図8中の(a)欄に示すように、多量のリンス液により形成されたパドル状の液膜L1で基板Wの表面Wfを覆い、これによって、リンス液の蒸発に伴って生じる表面張力を受けてパターンWpが倒壊するのを抑制できる。特に本実施形態では、基板Wの回転を停止させた状態でパドル処理を実行しているため、基板Wの表面Wfの全面を十分に濡れた状態に保って、パターンWpの倒壊をより確実に抑制可能となっている。
【0043】
時刻t5にパドル処理が完了すると、上側ノズルNcからのリンス液の供給が停止された後、上側ノズルNcが基板Wの表面中央部の上方から退避する。また、これと同時に液溜め処理(ステップS105)が実行される。つまり、基板Wの回転数を回転数R1に維持したまま時刻t5に上側ノズルNcと入れ替わりに上側ノズルNdが基板Wの表面中央部の上方に移動して位置決めされる。また、
図8中の(b)欄に示すように、位置決めされた上側ノズルNdからIPAが本発明の「有機溶剤」の一例として基板Wの表面Wfの中央部に供給される。これによって、リンス液の液膜L1の中央部にIPAの液溜りL2が形成される。この実施形態では、当該液溜め処理は時刻t6まで継続されて液溜りL2が所定サイズに成長する。
【0044】
時刻t6に液溜め処理が完了すると、スピンチャック31が回転を開始し、ステップS106の置換処理およびステップS107の充填剤塗布処理がこの順序で実行される。また、これら置換処理および充填剤塗布処理の実行中は、カバープレート35がスピンチャック31に係合しているため、基板Wの回転に伴ってカバープレート35も回転する。
【0045】
置換処理(ステップS106)では、上側ノズルNdからのIPAの供給が継続されたまま、時刻t6から時刻t7の期間の間に基板Wの回転数がゼロ(回転数R1)から回転数R2まで加速された後に、時刻t8まで回転数R2に維持される。回転数R2は、回転数R1よりも高く、基板Wの表面Wf上に存在する液体(リンス液、IPA)を基板Wの表面Wfの周縁から飛散させることが可能となる回転数であり、特に本実施形態では回転数R2は回転数R4未満、例えば300rpmに設定している。こうして基板Wの表面Wfの中央部に継続的に供給されたIPAは、遠心力を受けて基板Wの表面Wfの周縁にまで広がりつつ、基板Wの表面Wfからリンス液を除去する。なお、本実施形態では、液溜め処理(ステップS105)および置換処理(ステップS106)の実行中における単位時間当たりのIPAの供給量は一定である。
【0046】
ここで、基板Wの表面Wf上に存在するIPAの液量に着目すると、時刻t5から時刻t6までの液溜め処理の期間は基板の回転数がゼロ(回転数R1)の状態で、IPAを一定の供給速度で表面Wfに供給している。このとき、遠心力が発生しないため、
図7に示すように、供給されたIPAは比較的早い速度で表面Wf上に蓄積されIPAの液だまりが周縁部まで拡大していく。時刻t7(基板の表面Wf全域においてIPAの濃度がほぼ一様になった時点)から基板を回転数R2で回転する。
【0047】
時刻t7では、表面Wfからの混合液の飛散量が一時的に増加するため、表面Wf上のIPAの量が減少する。その後、時刻t7からt8の期間ではIPAの供給速度と表面Wfから飛散する混合液の減少速度とが均衡し、表面Wfには一定量のIPAが蓄積された状態が維持される。
【0048】
こうした供給量プロファイルでIPAを供給することで、いわゆる液切れを防止しながら
図8の(c)欄に示すように基板Wの表面Wfを覆っていたリンス液をIPAの液膜L3に置換することができる。すなわち、基板Wが回転し始めた時点、つまり時刻t6で既に液溜りL2が形成されていることから、置換処理中にリンス液とIPA(有機溶剤)との界面に気体相が入り込む、いわゆる液切れが発生しない。このため、基板Wの表面Wfに形成された複数のパターンWpの間、つまり凹部Wcに気泡が混入するのを確実に防止することができ、その結果、気泡を巻き込むことなく凹部WcがIPAで満たされる。
【0049】
時刻t8に置換処理が完了すると、上側ノズルNdからのIPAの供給が停止された後、上側ノズルNdが基板Wの中央部の上方から退避する。また、これと同時に充填剤塗布処理(ステップS107)が実行される。この充填剤塗布処理では、上側ノズルNdと入れ替わりに上側ノズルNeが基板Wの表面中央部の上方に位置決めされるとともに、時刻t8から時刻t9までの期間に基板Wの回転数は回転数R2から回転数R5まで急速に加速された後に、時刻t10まで回転数R5に維持される。ここで、回転数R5は回転数R2よりも速い回転数であり、特に本実施形態では回転数R5は回転数R4以上(例えば1500rpm〜2000rpm)に設定されている。また、時刻t8から時刻t10の期間を通じて、基板Wの表面中央部に対向する上側ノズルNeが基板Wの表面Wfへ充填剤溶液を供給する。なお、充填剤溶液の供給は、上側ノズルNeが充填剤溶液を1ショットずつ吐出することで実行される。こうして、基板Wの表面Wfの中心に供給される充填剤溶液は、遠心力を受けてIPAの液膜L3の上で広がる。その結果、
図8の(d)欄に示すように、基板Wの表面Wfでは、IPAの液膜L3の上に充填剤溶液の液膜L4が積層される。
【0050】
ちなみに、この実施形態では置換処理および充填剤塗布処理の実行と並行して、カバープレート35を高速で回転させる。このカバープレート35の高速回転は、パドル処理の際に基板Wからカバープレート35に落下したリンス液を遠心力によってカバープレート35から除去するために実行される。
【0051】
時刻t10に充填剤塗布が完了すると、上側ノズルNeが充填剤溶液の供給を停止するとともに、上側ノズルNeが基板Wの表面中央部の上方から退避する。また、これと同時にスピンオフ1処理が開始される(ステップS108)。このスピンオフ1処理では、時刻t10から時刻t11までの期間を通じて基板Wの回転数は回転数R5に維持された後、時刻t11から時刻t12をかけて基板Wの回転数を回転数R1(この実施形態では、ゼロ)に減速される。これによって、
図8中の(e)欄に示すように、余分な充填剤溶液が基板Wの表面Wfから除去されて充填剤溶液の液膜L4の厚みが所望厚さに調整される。この際、コントローラ9は、回転駆動部34を構成するモータのエンコーダの出力に基づきスピンチャック31が停止する回転位置を制御する。これによって、カバープレート35の周縁孔353がノズルユニット36に鉛直方向Zに対向する回転位置で、スピンチャック31が停止する。こうして基板Wおよびカバープレート35の回転が停止すると、ノズルユニット36が上昇を開始するのに伴って、カバープレート35が離間位置Pdから近接位置Pcに上昇する。
【0052】
時刻t12にスピンオフ1処理が完了すると、充填剤沈下処理(ステップS109)が開始する。つまり、基板Wおよびカバープレート35の回転数が回転数R1、本実施形態ではゼロとなってから所定時間が経過するのを待つ。この所定時間の待機の間、IPAの液膜L3上に積層されていた充填剤溶液が沈下する一方、IPAが浮上する。その結果、
図8中の(f)欄に示すように、基板Wの表面Wfに形成されたパターンWpが充填剤溶液の液膜L4に覆われ、隣接するパターンWpの間、つまり凹部Wcには充填剤溶液が充填される。
【0053】
時刻t13に充填剤沈下処理が完了すると、基板Wの回転を開始し、基板Wの回転数がゼロから回転数R4まで加速される。そして、時刻t14までの所定時間、基板Wが回転数R4で定速回転することで、IPAと余分な充填剤溶液を基板Wの表面Wfから除去するスピンオフ2処理が実行される(ステップS110)。その結果、
図8の(g)欄に示すように、パターンWpの高さと同程度の厚みを有した充填剤溶液の液膜L5によって、隣接するパターンWpの間、つまり凹部Wcが満たされる。
【0054】
時刻t14にスピンオフ2処理が完了すると、エッジリンス処理が実行される(ステップS111)。このエッジリンス処理では、基板Wの回転数は、回転数R4から回転数R3まで減速された後、回転数R3に維持される。そして、回転数R3で定速回転する基板Wの裏面Wbに対して、下側ノズルNaおよび下側ノズルNbが処理液を吐出する。具体的には、下側ノズルNaは基板Wの裏面Wbの周縁に向けてIPA(有機溶剤)を吐出する。これによって、充填剤溶液を塗布した際に、基板Wの裏面Wbの周縁に付着した充填剤溶液が除去される。また、下側ノズルNbは、基板Wの裏面Wbの周縁近傍にリンス液を吐出する。こうして吐出されたリンス液は、遠心力によって基板Wの裏面Wbを周縁に向けてつたいながら、基板Wの裏面Wbからパーティクル等を洗い流す。
【0055】
時刻t15にエッジリンス処理が完了すると、基板Wの回転が停止し、カバープレート35が下降する。なお、ここでは、上述したスピンチャック31の停止位置の制御と同様の制御が実行され、下降したカバープレート35はスピンチャック31に係合する。そして、スピンチャック31が基板Wの吸着を解除し、センターロボットCRが基板Wを洗浄処理ユニット3から搬出する(ステップS112)。
【0056】
以上に説明したように本実施形態では、IPAによる置換処理を実行する直前にリンス液の液膜L1の中央部にIPAの液溜りL2を形成している。このため、置換処理を開始するべく基板Wの回転数を増加させる時点で液溜りL2が存在していることにより液切れを確実に防止することができる。すなわち、隣接するパターンWpの間、つまり凹部Wcに気泡を巻き込むことなく、凹部WcにIPAを満たすことができる。その結果、その後に洗浄処理ユニット3内で行われる一連の処理(ステップS107〜S110)によってパターンの凹部Wcに充填剤を良好に充填させることができる。また、熱処理ユニット4による乾燥処理や充填剤除去装置(図示省略)によるポリマー除去処理の実行中に気泡が弾けて気泡痕が残存したり、ポリマーの一部がパーティクルとなるというような不都合が発生するのを防止することができる。
【0057】
このように本実施形態では、基板Wの表面Wfが本発明の「パターン形成面」に相当している。また、リンス処理(ステップS103)、パドル処理(ステップS104)、液溜め処理(ステップS105)、置換処理(ステップS106)、充填剤塗布処理(ステップS107)および充填剤沈下処理(ステップS109)がそれぞれ本発明の「リンス工程」、「液膜形成工程」、「液溜り形成工程」、「置換工程」、「塗布工程」および「充填工程」の一例に相当している。また、回転数R4、R1がそれぞれ本発明の「第1回転数」および「第2回転数」の一例に相当している。また、スピンチャック31、回転駆動部34およびコントローラ9がそれぞれ本発明の「保持部」、「回転部」および「制御部」の一例に相当している。また、リンス液供給源Srと上側ノズルNcとが本発明の「リンス液供給部」として機能し、溶剤供給源Ssと上側ノズルNdとが本発明の「有機溶剤供給部」として機能し、充填剤溶液供給源Sfと上側ノズルNeとが本発明の「充填剤溶液供給部」として機能している。
【0058】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えばリンス液の液膜L1に形成される液溜りL2の大きさについては、液溜め処理(ステップS105)における時刻t6やIPA供給量などを変更することで調整することができる。特に、液切れの発生をより確実に防止する観点に立てば、例えば
図9に示すように、基板Wの回転数を増加させる時刻を時刻t6から時刻t6’に遅らせるとともにIPA供給量を増加させるように構成するのが望ましい(第2実施形態)。
【0059】
また、上記実施形態では、スピンオフ2処理によりIPAと余分な充填剤溶液を基板Wの表面Wfから除去する、いわゆる仕上げ工程を実行しているが、この仕上げ工程においてスピンオフ2処理とともに気化アシスト処理(ガス供給工程)および雰囲気除去処理(洗浄液供給工程)を実行してもよい(第3実施形態)。以下、
図10ないし
図12を参照しつつ本発明の第3実施形態について説明する。
【0060】
図10は本発明に係る基板処理装置の第3実施形態である洗浄処理ユニットの構成を示す図である。この洗浄処理ユニット3が第1実施形態に係る洗浄処理ユニット3(
図2、
図3)と大きく相違する点は、基板Wの表面Wfに向けて不活性ガスを供給する上側ノズルNgが設けられている点と、基板Wの裏面Wb(パターン形成面と反対側の基板Wの主面)の中央部に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給部310が設けられている点とであり、その他の構成は基本的に第1実施形態に係る洗浄処理ユニット3と同一である。そこで、以下においては同一構成に同一符号を付して説明を省略しつつ、相違点について詳述する。
【0061】
第3実施形態では、上側ノズルNc、Nd、Ne以外に上側ノズルNgがさらに設けられるとともに、上側ノズルNgに対してノズル駆動部39(
図2参照)が設けられている。そして、ノズル駆動部39がコントローラ9からの指令を受けて作動することで上側ノズルNgがガス供給位置と待機位置との間を移動する。ガス供給位置は基板Wの表面Wfの中央部から上方に離れた位置を意味し、待機位置はカップ38から離れた位置を意味している。
【0062】
上側ノズルNgには、
図10に示すように、不活性ガス供給源SgがバルブV9を介して接続されている。このため、コントローラ9がバルブV9を開くと、スピンチャック31に保持された基板Wの表面Wfの中央部に向けて不活性ガス供給源Sgから不活性ガスが供給される。これによって、基板Wの表面Wfに沿って不活性ガスが基板Wの中心から周縁に向かう方向に流れる(後で説明する
図12中の(b)欄中の破線矢印参照)。一方、コントローラ9がバルブV9を閉じると、不活性ガス供給源Sgからのガスの供給が停止する。
【0063】
また、洗浄液供給部310では、回転シャフト33の円筒部332の上部で開口する洗浄液供給口311が、
図10に示すように、バルブV10を介して洗浄液供給源Swと接続されている。このため、コントローラ9がバルブV10を開くと、洗浄液供給口311からスピンチャック31に保持された基板Wの裏面Wbの中央部に向けて洗浄液(例えばDIW、炭酸水、オゾン水あるいは水素水といった純水、IPA等の有機溶剤など)が供給される。こうして供給された洗浄液は基板Wの裏面Wbに沿って基板Wの中心から周縁に向かう方向に流れた後で、カップ38に補集される。一方、コントローラ9がバルブV10を閉じると、洗浄液供給源Swからの洗浄液の供給が停止する。
【0064】
このように構成された洗浄処理ユニット3においても、第1実施形態と同様に、
図6に示す基板処理方法が実行される。ただし、第3実施形態では、スピンオフ2処理と並行して、
図11および
図12に示すように、気化アシスト処理および雰囲気除去処理が実行される。なお、その他の処理は第1実施形態と同一である。
【0065】
図11は
図10に示す洗浄処理ユニットにより実行される基板処理動作の一例を示すタイミングチャートである。また、
図12は
図10に示す洗浄処理ユニットにより実行されるスピンオフ2処理、気化アシスト処理および雰囲気除去処理の様子を模式的に示す側面図である。この第3実施形態においては、第1実施形態と同様に、ステップS101〜S109の一連の処理が実行され、
図12の(a)欄に示すように、基板Wの表面Wfに形成されたパターンWpが充填剤溶液の液膜L4に覆われ、隣接するパターンWpの間、つまり凹部Wcには充填剤溶液が充填される。
【0066】
ここで、第1実施形態と同様にスピンオフ2処理のみを行ってもよいのであるが、充填剤溶液の特性(粘度、揮発性、表面張力、溶剤と充填剤の溶解性等)によっては、凹部Wcに対する充填剤溶液の充填率が基板Wの面内において不均一となることがある。すなわち、基板Wの高速回転により発生する遠心力は基板Wの中心部から周縁部に行くにしたがって大きくなり、特に周縁部では凹部Wcに入り込んだ充填剤溶液が上記遠心力によって凹部Wcから排出されることがある。そのため、周縁部での充填率が低下することがある。このような充填率の不均一性を残存させたまま、例えばベーク処理を行うと、充填剤のシュリンクにより凹部Wcに作用する応力が周縁部で偏ってしまう。また、アッシング処理を行うと、凹部Wcにおいて中央側と周縁側とに応力が作用する。ここで、基板Wの中央部における凹部Wcでは充填率が均一であるため、中央側の応力と周縁側の応力とはほぼ同一である。これに対し、基板Wの周縁部における凹部Wcでは充填率が低いため、中央側の応力が周縁側の応力よりも大きく、パターンWpが外周方向に傾くことがある。このように、パターン倒壊をさらに良好に防止するためには基板Wの表面Wfの面内における填率をより一層均一化することが重要となる。
【0067】
そこで、第3実施形態では、上記したようにスピンオフ2処理のほか、気化アシスト処理および雰囲気除去処理を追加実施している。第3実施形態では、
図11に示すようにスピンオフ2処理の回転数R4′を第1実施形態での回転数R4よりも低い回転数に落としている。つまり、以下の不等式、
R1<R4′<R4
が満足されるように設定している。このため、周縁部での充填率が中央部よりも大幅に低下するのを効果的に防止することができる。
【0068】
また、スピンオフ2処理と並行して、コントローラ9がノズル駆動部39に移動指令を与えて上側ノズルNgをガス供給位置に位置させ、さらにバルブV9を開いて基板Wの表面Wfの中央部に向けて不活性ガスを供給する。これにより、
図12の(b)欄に示すように不活性ガスGが基板Wの表面Wfに沿って基板Wの中心から周縁に向かう方向に流れる。したがって、充填剤溶液に含まれる溶剤が不活性ガスに溶かし込まれて基板Wの外周側に排出される。その結果、基板Wの面内での乾燥具合を均一化することができる。
【0069】
ここで、溶剤を含んだ不活性ガスがカップ38内の雰囲気に存在するが、当該不活性ガスに取り込まれた溶剤が基板Wに付着すると、これがパーティクルとなってしまう。溶剤を含んだ不活性ガスはカップ38内の雰囲気に存在するが、これを効率的にカップ38の外に回収できるのであれば、次に説明する雰囲気除去処理は不要である。しかしながら、パーティクルの発生を確実に防止するためには、第3実施形態では雰囲気除去処理を並行して実行する。すなわち、コントローラ9はバルブV10を開いて基板Wの裏面Wbの中央部に向けて洗浄液L6を供給する。これにより、基板Wの裏面Wbに沿って洗浄液L6が基板Wの中心から周縁に向かう方向に流れて基板Wの裏面Wbに不活性ガスに取り込まれた溶剤が付着するのを防止する。また、上記洗浄液L6は基板Wの外周に飛散して溶剤を取り込み、カップ38の外に排出される。このようにカップ38の雰囲気から溶剤が確実に除去することができ、溶剤の基板Wへの付着を確実に防止することができる。
【0070】
以上のように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に凹部Wcに気泡を巻き込むことを確実に防止することができるのみならず、基板Wの面内での充填剤溶液の充填率の均一性を高めることができる。その結果、凹部に充填剤をさらに良好に充填することができる。
【0071】
この第3実施形態では、スピンオフ2処理に対して気化アシスト処理および雰囲気除去処理を併用しているが、溶剤を含んだ不活性ガスをカップ38内の雰囲気から確実に除去できる場合には気化アシスト処理のみを併用してもよい。また、第3実施形態では、スピンオフ2処理を実行する前に一連の処理(ステップS101〜S109)を実施する基板処理方法に対し、気化アシスト処理および雰囲気除去処理を追加適用しているが、気化アシスト処理および雰囲気除去処理の追加適用はこれに限定されるものではない。つまり、
図12に示すように充填剤の沈下処理を行った後に基板Wを回転させて余分な充填剤溶液を基板Wの表面Wfから除去する処理を実行する基板処理方法全般に気化アシスト処理のみ、あるいは気化アシスト処理および雰囲気除去処理を適用してもよい。
【0072】
また、基板Wの裏面Wbへの洗浄液の吐出方式は上記した方式に限定されるものではなく、例えば基板Wの裏面Wbの中央部をバキュームチャックで保持するとともに裏面Wbのうち中央部以外の領域に対して裏面走査ノズルから洗浄液を吐出しながら当該裏面走査ノズルを走査させるように構成してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、基板Wの回転数R1をゼロに設定しているが、回転数R1の値はこれに限定されるものではなく、リンス液のパドル状の液膜L1を維持可能な回転数未満であれば任意である。また、パドル処理(ステップS104)時の回転数と、液溜め処理(ステップS105)時の回転数とを一致させることは必須要件ではなく、例えばパドル処理時の回転数をゼロよりも大きい値に設定した場合、液溜め処理時の回転数をそれよりも低く、例えばゼロに設定してもよい。
【0074】
また、各種の供給源Sc、Sr、Ss、Sf、Sg、Swとしては、対象となる処理液やガスを供給できる用力設備がある場合にはこれを利用しても良い。
【0075】
また、固化した充填剤を基板Wから除去する処理は、基板処理システム1と異なる外部の充填剤除去装置により実行されていた。しかしながら、基板処理システム1が充填剤除去機能を備えても良い。例えば熱処理ユニット4において、昇華により充填剤を除去しても良い。