(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判別部にて計算した統計値を基に良否判別を行った後に、製造装置に対して品質情報を送信する品質情報送信部を有する請求項1又は2に記載の粉粒体担持シートの検査装置。
前記動的2値化処理が、前記元画像と前記ぼかし処理後の画像との各画素の差分をとり、該差分の値がしきい値より低い階調となっている画素を抽出する処理である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉粒体担持シートの検査装置。
前記動的2値化処理が、前記元画像と前記ぼかし処理後の画像との各画素の差分をとり、該差分の値がしきい値より低い階調となっている画素を抽出する処理である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の粉粒体担持シートの検査方法。
【背景技術】
【0002】
粉粒体などの被検物に対して種々の検査を行うための技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、平面基材上に載置された粉体に光を照射して粉体から得られる反射光等の強度を測定し、得た測定値と検量値とを比較して粉体の目付を測定する方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、背景に濃淡ムラのある原画像データから多項式近似し、フィルタ処理等を行って、検出対象物の画像データを画像全体にわたって抽出する画像解析装置が記載されている。
また、特許文献3には、粉粒体の充填状況の撮像画像を基に粉粒体の粒度分布を計測する方法が記載されている。具体的には撮像画像に2次元フーリエ変換を施し、低周波域及び高周波域のパワースペクトルの平均値を求める。次いで、その平均値比で定義されるスペクトル偏在度を算出し、検量線を用いて粒度分布を算出する画像解析装置が記載されている。
特許文献4に記載の分散性評価装置は、シート電極に塗工されたペースト中の活物質の均一分散性などを評価するとされる。具体的には、微小粒子の撮像データから検査画像を生成し、検査画像に基づいて評価対象の粒子領域を抽出する。各粒子領域の重心を規定して、ボロノイ図を作成し、検査画像を区画して複数の分散領域を生成する。分散領域の面積値に基づいて、微小粒子の分散性を評価することが記載されている。
【0005】
特許文献5には、画像全体にわたって画像データを分割し、各分割画像データに対して、各領域内輝度を求めて最も明るい部分を強調処理して得た各画像データと、各中間値処理を行って得た各画像データとを比較して均一性を検査する検査装置が記載されている。
特許文献6には、検査対象物を表す画像信号が示す画像の各部分の濃度値を統計処理して、濃度値のバラツキを統計量に変換し、各部分について統計量と基準値とを比較して対象物の良否を判定する検査装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シートに機能性粉粒体を担持させた物品の製造において、品質を担保するうえで担持させた粉粒体が適切に担持できていることを確認する必要がある。シート上に散布された粉粒体を測定する場合、シートの地合ムラが粉粒体として誤認識されることがあるため、粉粒体の精度のよい検出が求められていた。例えば、高吸収性ポリマー材(SAP:Superabsorbent polymer)を含む吸収性シートなどでは、基材シートが不織布などの繊維の集合体からなるものであり、地合ムラによる誤検出を抑えることが重要となる。
特許文献1、3及び4に記載された発明では、粉粒体等が載置された基材等の表面状態の影響が考慮されていないため、シートの地合ムラの影響を排除してシート上に散布された粉粒体の分散性や量を測定することができない。また特許文献2、5及び6に記載された装置では、原画像データを構成する画素に対する輝度レベルを表す波形を水平方向に多項式近似する必要がある。そのため、輝度レベル差が小さい地合ムラや境界がはっきりしない地合ムラの影響を排除して測定することが容易ではない。
【0008】
本発明は、シート上に担持された粉粒体を確認する際に、粉粒体として検出されるシートの地合ムラの影響を排除して、シート上に担持された粉粒体を精度よく検出する検査装置及び検査方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、粉粒体が担持されたシートの検査装置であって、
前記シートの撮像領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部にて得た撮像画像を処理する処理部と、
前記処理部にて求めた統計値に基づいて前記シートの良否判別を行う判別部とを備え、
前記処理部が、前記撮像画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像にフィルタ処理を行い粉粒体の画像を抽出する粉粒体抽出部と、前記抽出した粉粒体の画像を複数の領域に区分し、該領域について下記(1)〜(3)のいずれか1つ以上の統計値を算出して保存する統計処理部とを有する
粉粒体担持シートの検査装置を提供する。
(1)前記粉粒体が抽出された画素数もしくは該画素数を基に換算した換算面積、(2)前記画素数もしくは前記換算面積の最大値と最小値、及び(3)前記画素数もしくは前記換算面積の偏差。
【0010】
本発明は、粉粒体が担持されたシートの検査方法であって、
前記シートを撮像して撮像画像を得る画像取得処理と、
前記撮像画像にフィルタ処理を行い粉粒体の画像を抽出する粉粒体抽出処理と、
前記粉粒体の抽出画像を複数の領域に区分し、該複数の領域について下記(1)〜(3)のいずれか1つ以上を算出し、粉粒体の統計値を得て保存する統計処理と、
前記統計値に基づいて前記シートの良否判別を行う判別処理とを有する
粉粒体担持シートの検査方法を提供する。
(1)前記粉粒体が抽出された画素数もしくは該画素数を基に換算した換算面積、(2)前記画素数もしくは前記換算面積の最大値と最小値、及び(3)前記画素数もしくは前記換算面積の偏差。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、シート上に担持された粉粒体を確認する際に、粉粒体として誤検出されるシートの地合ムラの影響を排除して、シート上に担持された粉粒体を精度よく検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る粉粒体担持シートの検査装置及び検査方法の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら、以下に説明する。まず、検査装置の好ましい一例について、
図1を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の粉粒体担持シートの検査装置10(10A)は、シート100の上面に担持された粉粒体110の分布状態を検査する。
粉粒体110は、シート100上に接着剤(図示せず)を介して接着されたものであり、単にシート100上に粉粒体110が載置されているものや、接着された粉粒体110上にさらに載置されたもの等も含む。シート100に沿って記載された矢印Aは、シート100の搬送方向を示す。シート100には、不織布、パルプシート、織布、フィルム、等を挙げることができる。また粉粒体110には、高吸収性ポリマー、発熱体微粒子、その他の粉粒体を挙げることができる。
【0015】
検査装置10Aには、上記粉粒体110が分布しているシート100上の撮像領域100Sを裏面から照明する透過型照明の照明部20、照明部20によって照明された撮像領域100Sを撮像する撮像部30が配されている。照明部20は、照明光を発光する発光部21と、発光部21に電力を供給するとともに発光部21の光量を調整する電源部22とを備えている。さらに撮像部30には、信号線SL1を介して、撮像によって得た撮像画像を処理する処理部40が接続されている。
【0016】
発光部21は、撮像部30の撮像方向に対して、シート100の撮像領域100Sを挟んで対向する位置に配されたものである。したがって、発光部21から発せられる照明光がシート100の裏面から表面に透過して、その透過光が撮像部30によって受光される。発光部21は、撮像に十分な明るさを提供できる照明光を発光するものであれば、特に制限なく採用でき、例えば、白色光源を用いることが好ましい。白色光源の白色バックライト照明には、例えば、株式会社キーエンス製のCA−DSW15(商品名)を挙げることができる。照明光の強度は、撮像部30による撮像が適正露光となるように、電源部22によって発光部へ供給される電力量によって調整される。これによって、撮像部30によって得られる撮像領域100Sの撮像画像が適正な明るさになり、粉粒体が明確に撮像される。
【0017】
撮像部30には、矢印A方向に移動するシート100の撮像領域100Sを静止画像として撮像できる種々の撮像手段を特に制限なく採用できる。例えば、エリアカメラなどがある。特に、画像処理しやすくするために、撮像部30の撮像素子にイメージセンサを用いることが好ましい。イメージセンサは、電荷結合素子(CCD)イメージセンサであってもCMOSイメージセンサであってもよい。撮像部30には、例えば、400万画素モノクロCMOSイメージセンサを搭載したオムロン株式会社製FH−SM04(商品名)を用いることができる。また撮像レンズには、例えば、オムロン株式会社製の25mmレンズである3Z4S−LE VS−2514H1(商品名)を用いることができる。なおイメージセンサは、モノクロイメージセンサであっても、カラーイメージセンサであってもよく、例えば256階調のグレースケールでの階調表現ができるものが好ましく、さらに高精細イメージセンサを用いた高階調な階調表現ができるものがより好ましい。また、イメージセンサ中の2画素もしくは4画素又はそれ以上に複数画素を1画素にして、階調表現を高めてもよい。これにより、シート100の地合ムラの影響をより明確に撮像することが可能になる。
【0018】
上記処理部40には、撮像部30によって得た撮像画像を取得する画像取得部41を有する。さらに取得した撮像画像に対してフィルタ処理を行って粉粒体の画像を抽出する粉粒体抽出部42と、粉粒体110の抽出画像に対して設定した複数の領域のそれぞれについて粉粒体の統計値を算出して保存する統計処理部43とを有する。上記フィルタ処理が動的2値化処理であることが好ましい。動的2値化処理については、後述する検査方法の説明において詳述する。
また処理部40から照明部20の電源部22に接続される信号線SL2を有する。
上記処理部40には、例えば、オムロン株式会社製の高速コントローラFH−3050−10(商品名)を用いることができる。高速コントローラは、製造装置の制御装置(図示せず)より検査要求信号(トリガ信号)を受け取り、シート100の撮像領域100Sを撮像して得た撮像画像に対し、後述する各種フィルタ処理を行う。
【0019】
上記複数の領域のそれぞれに対して、上記統計値は、下記(1)〜(3)のうち、いずれか一つ以上を用いることができる。(1)粉粒体110が抽出された画素数もしくは該画素数を基に換算した面積(以下、換算面積)。(2)画素数もしくは換算面積の最大値と最小値。(3)画素数もしくは換算面積の偏差。上記(1)〜(3)における画素は、上記撮像画像を粉粒体抽出処理によって2値化した白画素であることが好ましい。
さらに、上記(1)〜(3)の移動平均値を上記統計値にしても好ましい。
面積に換算することで,オペレータ等に対して、判別に用いる面積の基準がわかりやすくなる。
【0020】
上記処理部40には、処理部40にて計算した統計値に基づいて上記シート100の良否判別を行う判別部50が接続される。
【0021】
上記判別部50には、上記良否判別を行った後に、シート100の製造装置(図示せず)に対して品質情報を送信する品質情報送信部60が接続されることが好ましい。
【0022】
上記シート100上に粉粒体110を担持させるには、検査位置に到達する前に、シート100の上面に粉粒体110を担持させておくことが好ましい。その好ましい一例は、接着剤塗布装置210によってシート100の上面に接着剤(図示せず)を塗布し、塗布された接着剤上に、粉粒体散布装置220から粉粒体110を散布して、シート100上に粉粒体110を担持させることが好ましい。シート100上に粉粒体110が担持された粉粒体担持シートを上記検査装置10によって粉粒体110の分布状態を検査する。
【0023】
図2は、別の実施形態における検査装置10(10B)の概略構成図である。前述の検査装置10(10A)は、透過照明光を利用してシートの撮像領域100Sを撮像するものであったが、検査装置10(10B)は、照明部23の発光部24によって撮像領域100Sを照らし、その反射光を利用して撮像部30にて撮像するものである。したがって、照明部23の発光部24以外は前述の検査装置10Aと同様の構成を有する。この構成では、照明部23の発光部24が撮像領域100Sに対して撮像部30と同じ側に配される。そのため、発光部24が、撮像部30から撮像領域100Sに向けられた撮像視野を妨げない位置に配されることが好ましい。
【0024】
上記粉粒体担持シートの検査装置10によれば、シート100上に担持された粉粒体110を確認する際に、粉粒体110として検出されるシート100の地合ムラの影響を排除して、シート100上に担持された粉粒体110を精度よく検出することができる。
【0025】
次に、本発明の粉粒体が担持されたシートの検査方法の好ましい実施形態を、
図3〜8を参照して、以下に説明する。この検査方法は、上記検査装置10を用いて行うことが好ましい。
【0026】
図3に示すように、粉粒体が担持されたシートの検査方法では、まず、「検査要求信号の有無」S1によって、粉粒体が担持されたシートに対して、検査要求信号が出されているか、否かを判定する。検査要求信号が出されている「Yes」の場合、粉粒体を担持させたシート100の撮像領域100Sを撮像して撮像画像を取得する「画像取得処理」S2を行う。続いて、撮像画像に対してフィルタ処理を行って粉粒体の抽出画像を得る「粉粒体抽出処理」S3を行う。次に、上記粉粒体の抽出画像を複数に区分することで複数の領域を設定し、この複数の領域のそれぞれについて粉粒体に関する統計値を計算し保存する「統計処理」S4を行う。「統計処理」S4は、前述した処理部40によって処理を行う。その後、「統計処理」S4によって計算した統計値に基づいてシート100の良否判別を行う「判別処理」S5を行い、「結果出力」S6によって、「判別処理」S5によって得た判別結果を出力する。
【0027】
以下、上記各処理の具体例について説明する。
図3に示す「画像取得処理」S2では、
図1に示したように、上記シート100の粉粒体110が分布している撮像領域100Sを照明部20によって照明し、撮像部30を用いてシート100の照明された撮像領域100Sを撮像する。そして、撮像により得た撮像画像を画像取得部41に保存する。
【0028】
図4に示すように、上記「粉粒体抽出処理」S3では、まず「ぼかし処理」S31を行う。具体的には、元画像(orgImg)(
図5(A)参照)に対して、例えば、ガウシアンフィルタ又は移動平均フィルタ等を用いたぼかし処理を行う。そして該ぼかし処理により得たぼかし画像(meanImg)(
図5(B)参照)を保存する。ガウシアンフィルタは、注目画素に近いほど、平均値を計算するときの重みが大きく、遠くなるほど重みが小さくなるガウス分布関数を用いて画像の階調表現を滑らかにする処理を行うフィルタである。移動平均フィルタは、各画素の値を、周辺画素の平均値に置き換える処理を行うフィルタである。この処理を行うと、全体的にエッジがなまった画像を生成する。「なまった」とはエッジがぼやけていてはっきりと見えない状態をいう。
上記ぼかし処理における、ぼかしの程度は、概ね粉粒体が判別できなくなる程度の強度に設定することが好ましい。例えば、60×60画素のガウシアンフィルタを使用することができる。ぼかし処理を行うことにより、不織布の坪量ムラによって生じる階調値のムラと粉粒体の分布ムラを抽出することができる。
【0029】
次に、「動的2値化処理」S32を行う。この処理S32では、撮像部30によって撮像して得た元画像(orgImg)及びぼかし処理後の画像(meanImg)を用いて動的2値化処理を行い、動的2値化処理後の画像(dynImg)を格納する。具体的には、撮像部30によって撮像して得た元画像(orgImg)とぼかし処理後の画像(meanImg)の各画素の差分をとり、その差分の値が、しきい値より低い階調値となっている画素を抽出する。すなわち、設定したしきい値より低い階調値である画素を白画素に変換する。変換された白画素を動的2値化処理後の画像(dynImg)(
図5(C)参照)を格納する。
動的2値化処理は、一画素ごとにしきい値を決定し、シートの地合ムラによって生じる明るさの変動を吸収しながら2値化する手法であるため、地合ムラによるノイズを吸収し検査可能な画像を生成することができる。
【0030】
次に、「オープニング処理」S33を行う。「オープニング処理」では動的2値化処理後の画像(dynImg)をオープニング処理し、処理後の画像(openedImg)を格納する。オープニング処理では、各画像を一旦収縮処理した後、膨張処理する。収縮処理とは、注目画素の隣接画素に1画素でも黒い画素があれば黒画素に置き換える処理をいう。また膨張処理とは、注目画素の隣接画素に1画素でも白い画素があれば白画素に置き換える処理をいう。そしてオープニング処理は、同じ回数分だけ収縮処理した後に膨張処理を行う。オープニング処理では、小さいパターンや細いパターンが除去される。例えば、不織布などの繊維を誤検出したものが除去される。その結果、オープニング処理後の画像(openedImg)を得る(
図5(D)参照)。
オープニング処理における、収縮、膨張処理の回数は以下のように設定する。
収縮処理:シートの繊維もしくは微小な粉粒体(撮像時のノイズと区別がつかないような小さい粒子)が消える程度の回数を設定する。
膨張処理:収縮処理と同じ回数を設定する(収縮処理によって小さくなった粉粒体を収縮処理前の粉粒体と同じ大きさに戻すための処理)。
以上の処理により、シートの地合ムラの影響を除いて粉粒体の分布を精度よく抽出することができる。
【0031】
上記「統計処理」S4では、
図6に示すように、先ず「オープニング処理後の画像に対し小領域Rijを設定する」S41を行う。この処理S41では、オープニング処理後の画像(Opening)を縦横に複数(i×j個:i、jは自然数)に区分して(
図7(A)参照)、小領域Rijを設定する(
図7(B)参照)。小領域Rijの大きさは、後述する判別処理S5における粉粒体の局所量の過大、過少、分散性の悪化を適切に判断するのに適した区分にするという観点から、1区画の大きさを、例えば、2×2〜20×20程度の均等な大きさに区分する。この大きさによって、小領域Rijの個数が決定する。
次に、「各小領域Rijについて白画素数[Sij]を計数」S42によって、それぞれの小領域Rijにおける白画素数を計数する。白画素数は、画素数又は画素数から換算した画素面積全体に対して計数される。
そして、「Sijについて統計値を計算する。平均値AVE[Sij]、最大値MAX[Sij]、最小値MIN[Sij]、偏差STD[Sij]、合計値SUM[Sij]」S43を行う。Rijの各要素の白画素数Sijについて、平均値は白画素数の単純平均値を求め、最大値は白画素数の最大値を求め、最小値は白画素数の最小値を求める。また統計値の偏差は標準偏差を求める。標準偏差は、各データの値と平均の差の2乗の合計を、データの総数で割った値の正の平方根で求まる。さらに、平均値、最大値、最小値、偏差のそれぞれについての合計値SUM[Sij]を求める。このようにして、前述した(1)〜(3)の各統計値が求まる。
以上の処理によって、粉粒体担持シートの画像に関する統計的データを生成することができる。
また、上記統計値には、前述の(1)〜(3)の移動平均値を用いることも好ましい。移動平均値は、複数回検査を行った時の各統計値の履歴データから求めることができる。
例えば、n回目(nは自然数)の検査で求められた平均値AVE[Sij]をAnとした場合、移動平均値MAnは、次式にて求めることができる(Nは移動平均区間であり、n以下の自然数)。
【0033】
同様に、最大値、最小値、偏差、合計値の移動平均値についても求めることができる。
【0034】
上記検査方法では、さらに「判別処理」S5によって、上記統計値に基づいて上記シート100の良否判別を行う。
【0035】
良否判別の具体的な方法の一例を、
図8を参照して以下に説明する。
まず、「合計値SUM>上限閾値又は合計値SUM<下限閾値」S51を行う。上限閾値は合計値SUMの上限値を規定する閾値であり、下限閾値は合計値SUMの下限値を規定する閾値である。S51の判断処理において、合計値SUMが上限閾値より大きい、又は合計値SUMが下限閾値より小さい場合には、「Yes」と判断して「粉粒体量異常フラグF1をON」S52を行う。一方、合計値SUMが上限閾値以下である、又は下限閾値以上である場合には、「No」と判断して「粉粒体量異常フラグF1をOff」S53を行う。
【0036】
そしてS52、S53のいずれの場合も「最大値MAX>上限閾値」S54に進む。このS54の判断処理において、最大値MAXが上限閾値より大きい場合には「Yes」と判断して「局所量過大フラグF2をON」S55を行う。一方、最大値MAXが上限閾値以下である場合には「No」と判断して「局所量過大フラグF2をOff」S56を行う。
【0037】
S55、S56のいずれの場合も「最小値MIN<下限閾値」S57に進む。このS57の判断処理では、最小値MINが下限閾値より小さい場合には「Yes」と判断して「局所量過少フラグF3をON」S58を行う。一方、最小値MINが下限閾値以上である場合には「No」と判断して「局所量過少フラグF3をOff」S59を行う。
【0038】
S58、S59のいずれの場合も「偏差STD>閾値」S60に進む。閾値は偏差STDの上限値を規定する閾値である。このS60の判断処理において、偏差STDが閾値より大きい場合には「Yes」と判断して「粉粒体分散性悪化フラグF3をOn」S61を行う。一方、偏差STDが閾値以下である場合には「No」と判断して「粉粒体分散性悪化フラグF3をOff」S62を行う。
以上の処理により、粉粒体の量や分散性の異常(散布状態の均一性の異常)を検出することができる。具体的には、S54、S57の判断処理によって局所的な粉粒体の量の過大もしくは過小を検出することができる。またS60の判断処理によってシートに担持された粉粒体の分散性の悪化を検出することが可能となる。
【0039】
また、上記「判別処理」S5にて、計算した統計値を基に良否判別を行った後に、シート100の製造装置に対して品質情報を送信することが好ましい。品質情報には、粉粒体の量の異常、局所的な粉粒体の量の過大もしくは過小、粉粒体の分散性の悪化等が挙げられる。
品質情報を受け取ったシート100の製造装置のオペレータは、品質情報の内容をもとに、製造装置の点検や補修など、シート100の品質を確保するうえで必要な措置を講じることができる。また、検査装置が異常の発生した位置を特定することによって、効率よく点検を行うことができる。
【0040】
上記粉粒体担持シートの検査方法によれば、シート100上に担持された粉粒体110を確認する際に、粉粒体110として検出されるシート100の地合ムラの影響を排除して、シート100上に担持された粉粒体110を精度よく検出することができる。
また、シート100に担持された粉粒体110が撮像されるため、シート100に粉粒体110が担持されていることが保証される。さらに局所的な量が過大、もしくは過少を検出することができる。またさらに、シート100に担持された粉粒体110の分散性の悪化を検出することができる。
また、上記検査方法によれば、画像処理のおける領域設定を規定し、判別処理を組合せることによって、均一分布だけではなく、設定した通りの不均一分布ができているかを判断することもできる。