(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属部材には、前記被処理体と前記浮上ユニットの間に存在するガスを吸引可能な複数の吸気孔が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザ照射装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本実施の形態にかかるレーザ照射装置、レーザ照射方法、半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、レーザが照射される被処理体をアモルファスシリコン膜付きガラス基板であるとして説明するが、被処理体は、特に限定されるものではない。
【0009】
レーザ照射装置の一例は、基板上に形成されたアモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して、ポリシリコン膜を形成するエキシマレーザアニール装置である。したがって、レーザ照射装置は、液晶表示パネルや有機EL(ElectroLuminescence)表示パネルの製造工程において、TFT(Thin Film transistor)アレイ基板を製造するために使用される。すなわち、レーザ照射装置は、TFTアレイ基板などの半導体装置の製造工程に用いられる。
【0010】
[レーザ照射装置の基本構成]
本実施の形態にかかるレーザ照射装置は、例えば、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Poly-Silicon)膜を形成するエキシマレーザアニール(ELA:Excimer laser Anneal)装置である。まず、レーザ照射装置の基本構成について、
図1〜
図3を用いて説明する。
図1は、レーザ照射装置の基本構成を説明するための平面図である。
図2は、
図1に示すレーザ照射装置の切断線II−IIにおける断面図である。
図3は、
図1に示すレーザ照射装置の切断線III−IIIにおける断面図である。
【0011】
なお、以下に示す図では、説明の簡略化のため、適宜、xyz3次元直交座標系を示している。z方向は鉛直上下方向であり、y方向はライン状のレーザスポットに沿った方向であり、x方向は、搬送方向である。x方向に搬送(スキャン)しながら、y方向に沿ったライン状のレーザ光を基板に照射している。また、x方向とy方向は矩形状の被処理体16の端辺に沿った方向である。
【0012】
図1〜
図3に示すように、レーザ照射装置1は、浮上ユニット10、搬送ユニット11、及びレーザ発生装置14を備える。
図2に示すように、浮上ユニット10は、浮上ユニット10の表面からガスを噴出するように構成されており、浮上ユニット10の表面から噴出されたガスが被処理体16の下面に吹き付けられることで、被処理体16が浮上する。例えば、被処理体16はガラス基板である。被処理体16が搬送される際、浮上ユニット10は被処理体16の上側に配置されている他の機構(不図示)に被処理体16が接触しないように浮上量を調整している。
【0013】
搬送ユニット11は、浮上している被処理体16を搬送方向(x方向)に搬送する。
図1、
図3に示すように、搬送ユニット11は、保持機構12と移動機構13とを備える。保持機構12は、被処理体16を保持する。例えば、保持機構12は、多孔質体を備える真空吸着機構を用いて構成することができる。あるいは、保持機構12は、後述するラフ浮上ユニット113と同様に、吸気孔を有する金属部材を用いて構成することも可能である。さらには、保持機構12は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材などの樹脂系材料で形成されていてもよい。保持機構12(真空吸着機構)は、排気ポート(不図示)に接続されており、排気ポートはエジェクタや真空ポンプなどに接続されている。よって、保持機構12にはガスを吸引するための負圧が作用するため、保持機構12を用いて被処理体16を保持することができる。
【0014】
また、保持機構12は吸着動作を行うための昇降機構(不図示)を備えている。昇降機構は、例えば、エアシリンダやモータなどのアクチュエータ等を備えている。例えば、保持機構12は吸着位置まで上昇した状態で、被処理体16を吸着する。また、保持機構12は、吸着を解除した状態で、待機位置まで下降する。
【0015】
本実施の形態では、
図3に示すように、保持機構12は、被処理体16のレーザ光が照射される面(上面)と逆側の面(下面)、つまり、被処理体16の浮上ユニット10と対向する側の面を吸引することで、被処理体16を保持している。また、保持機構12は、被処理体16の+y方向における端部(つまり、被処理体16の搬送方向と垂直な方向における端部)を保持している。
【0016】
搬送ユニット11が備える移動機構13は保持機構12と連結されている。移動機構13は、保持機構12を搬送方向(x方向)に移動可能に構成されている。搬送ユニット11(保持機構12及び移動機構13)は、浮上ユニット10の+y方向の端部側に設けられており、保持機構12で被処理体16を保持しつつ、移動機構13が搬送方向に移動することで被処理体16が搬送される。
【0017】
図1に示すように、例えば、移動機構13は浮上ユニット10の+y方向の端部を+x方向に沿ってスライドするように構成されており、移動機構13が浮上ユニット10の端部を+x方向に沿ってスライドすることで、被処理体16がx方向に沿って搬送される。このとき、移動機構13の移動速度を制御することで、被処理体16の搬送速度を制御することができる。移動機構13は、例えば、図示しないモータなどのアクチュエータとリニアガイド機構やエアベアリング等を備えている。
【0018】
図1、
図2に示すように、被処理体16にはレーザ光15(以下、レーザ光の照射位置も符号15で示す)が照射される。例えば、レーザ照射装置はレーザアニール装置であり、この場合はレーザ発生装置14にエキシマレーザ等を用いることができる。レーザ発生装置14から供給されたレーザ光は、シリンドリカルレンズを有する光学系(不図示)においてライン状となる。被処理体16にはライン状、具体的には焦点がy方向に伸びるレーザ光15(ラインビーム)が照射される(
図1参照)。換言すると、レーザ光15の被処理体16上における照射位置は被処理体16の搬送方向(x方向)と垂直な方向(y方向)に伸びている。
【0019】
被処理体16は、例えば、非晶質膜(アモルファスシリコン膜)が形成されたガラス基板である。非晶質膜にレーザ光15を照射してアニール処理することで、非晶質膜を結晶化させることができる。例えば、アモルファスシリコン膜を、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)に変換することができる。
【0020】
図1〜
図3に示すレーザ照射装置1では、浮上ユニット10を用いて被処理体16を浮上させながら、搬送ユニット11を用いて被処理体16の下面を保持して、被処理体16を搬送方向に搬送している。このとき、レーザ照射装置1が備える搬送ユニット11は、被処理体16を搬送した際に、平面視において(つまりz方向からみて)、搬送ユニット11がレーザ照射位置15と重畳しない位置を保持して被処理体16を搬送している。つまり、
図1に示すように、被処理体16を搬送方向に搬送した際に、搬送ユニット11が被処理体16を保持する位置(保持機構12の位置に対応)が、レーザ照射位置15と重畳しないようにしている。
【0021】
例えば、被処理体16の平面形状は4辺を有する四角形(矩形状)であり、搬送ユニット11(保持機構12)は、被処理体16の4辺中の1辺のみを保持している。そして、搬送ユニット11(保持機構12)は、被処理体16が搬送されている期間においてレーザ光が照射されない位置を保持している。
【0022】
このような構成とすることで、搬送ユニット11が被処理体16を保持する位置(保持機構12の位置に対応)とレーザ照射位置15とを離間させることができる。レーザ照射位置15は、被処理体16の−Y側のほぼ半分となっており、かつ、搬送ユニット11が+Y側の端部を保持する。保持機構12の近傍のたわみが大きくなる箇所とレーザ照射位置15との距離を大きくすることができる。よって、レーザ照射時における被処理体16の保持機構12に起因するたわみの影響を低減させることができる。
【0023】
y方向において、レーザ照射位置15の長さは、被処理体16のほぼ半分程度の長さとなっている。したがって、被処理体16がレーザ照射位置15を1回通過することで、被処理体16のほぼ半分の領域において、アモルファスシリコン膜が結晶化する。そして、図示しない回転機構により、被処理体16をZ軸回りに180度回転した後、搬送ユニット11が、被処理体16を−X方向に搬送する。あるいは、回転された被処理体16を−X方向に搬送後、搬送ユニット11が、再度+X方向に搬送してもよい。そして、−X方向の搬送時、あるいは、180度回転後の再度の+X方向への搬送時に、レーザ光が被処理体16に照射される。これにより、被処理体16がレーザ照射位置15を通過して、被処理体16の残りの半分の領域において、アモルファスシリコン膜が結晶化する。このように、被処理体16を往復移動させることで、被処理体16のほぼ全体において、アモルファスシリコン膜が多結晶シリコン膜に変換される。
【0024】
[浮上ユニット10]
次に、浮上ユニット10の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、浮上ユニット10の構成を示すxy平面図である。浮上ユニット10は、精密浮上領域31と、準精密浮上領域32と、ラフ浮上領域33とを備えている。
【0025】
精密浮上領域31は、レーザ光の照射位置15を含む領域である。すなわち、xy平面視において、精密浮上領域31は、レーザ光の焦点(レーザ照射位置15)と重畳する領域である。精密浮上領域31は、レーザ照射位置15よりも大きい矩形状の領域となっている。
【0026】
準精密浮上領域32は、精密浮上領域31と隣接する領域である。x方向において、準精密浮上領域32は、精密浮上領域31の両側に配置されている。さらに、精密浮上領域31の+y側にも、準精密浮上領域32が配置されている。矩形状の精密浮上領域31の3辺と隣接するように準精密浮上領域32は、コの字状に形成されている。準精密浮上領域32は、精密浮上領域31よりも大きい領域となっている。
【0027】
ラフ浮上領域33は、準精密浮上領域32と隣接する領域である。つまり、準精密浮上領域32は、ラフ浮上領域33と精密浮上領域31との間に配置されている。X方向において、ラフ浮上領域33は、精密浮上領域31の両側に配置されている。すなわち、ラフ浮上領域33は、準精密浮上領域32の+x側と−x側に分離して配置されている。xy平面視において、準精密浮上領域32、及びラフ浮上領域33は、レーザ光の焦点(レーザ照射位置15)と重畳しない領域である。
【0028】
次に、
図5、及び
図6を用いて、各領域におけるブロックの構成を説明する。
図5は、浮上ユニット10の一部の構成を模式的に示す平面図であり、
図6は、
図5のVI−VI断面図である。なお、
図5、及び
図6は、レーザ照射位置15の周辺における浮上ユニット10の部分的な構成を示している。具体的には、x方向における端部のラフ浮上領域33を省略して図示している。
【0029】
精密浮上領域31には、精密浮上ユニット111が設けられている。xy平面視において、精密浮上ユニット111は、レーザ照射位置15と重複している。xy平面視において、精密浮上ユニット111はy方向を長手方向とする矩形状になっている。なお、図では、精密浮上領域31が1つの精密浮上ユニット111により構成されているが、精密浮上領域31は、2以上の精密浮上ユニット111により構成されていてもよい。
【0030】
準精密浮上領域32には、複数の準精密浮上ユニット112が設けられている。x方向において、精密浮上ユニット111の両側に準精密浮上ユニット112が配置されている。ここでは、5個の準精密浮上ユニット112によって、コの字型の準精密浮上領域32が構成されている。xy平面視において、それぞれの準精密浮上ユニット112は、y方向を長手方向とする矩形状になっている。
図5では、それぞれの準精密浮上ユニット112は、異なる大きさとなっている。それぞれの準精密浮上ユニット112は、同じ大きさとなっていてもよく、一部又は全て異なる大きさとなっていてもよい。
【0031】
ラフ浮上領域33には、複数のラフ浮上ユニット113が設けられている。x方向において、準精密浮上領域32の両側には、それぞれラフ浮上ユニット113が設けられている。xy平面視において、それぞれのラフ浮上ユニット113は、x方向を長手方向とする矩形状になっている。
図5では、それぞれのラフ浮上ユニット113は、同じ大きさとなっている。それぞれのラフ浮上ユニット113は、一部又は全て異なる大きさとなっていてもよい。
【0032】
ここで、レーザ照射位置15となるY方向位置では、
図6に示すように、−x側から+x側に向かうにつれて、ラフ浮上ユニット113、準精密浮上ユニット112、精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113の順番で配置されている。−x側から、ラフ浮上ユニット113、準精密浮上ユニット112、精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113の順番に被処理体16が通過していく。
【0033】
図6に示すように、精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113は、それぞれ上方にガス(例えば、空気)を噴出している。ガスが被処理体16の下面に吹き付けられることで、被処理体16が浮上する。よって、浮上ユニット10と被処理体16とが非接触の状態となる。さらに、精密浮上ユニット111、及び準精密浮上ユニット112は、被処理体16と浮上ユニット10との間に存在するガスを吸引している。ラフ浮上ユニット113は、準精密浮上ユニット112と同様にガスを吸引可能な構成となっている。
【0034】
精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113には、例えば、ガスを供給するためのガス供給源(不図示)が接続される。また、精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113には、ガスを吸引するための真空発生源(不図示)が接続される。ガス供給源は、コンプレッサやガスボンベなどであり、圧縮ガスを供給する。真空発生源は、真空ポンプやエジェクタなどである。
【0035】
精密浮上ユニット111は、準精密浮上ユニット112、及びラフ浮上ユニット113よりも浮上量の精度が高い。準精密浮上ユニット112はラフ浮上ユニット113よりも浮上量の精度が高い。そして、最も浮上量の精度の高い精密浮上領域31において、レーザ光が被処理体16に照射される。例えば、準精密浮上ユニット112は、精密浮上ユニット111が被処理体16を浮上させる際の精度とラフ浮上ユニット113が被処理体16を浮上させる際の精度との間の精度で被処理体16を浮上させるように構成されている。
【0036】
精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113は、それぞれベースユニット114に取り付けられている。ベースユニット114は、例えば、アルミニウム製の金属プレートである。精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113は、例えば、ボルト等により、ベースユニット114に固定されている。精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113の上面は、実質的に同じ高さになっている。すなわち、浮上ユニット10の上面(浮上面)は実質的に平面となっている。なお、各ユニットとベースユニット114との間には、高さ調整のためのプレートなどが設けられていてもよい。また、ベースユニット114の内部には、ガスを噴出又は吸引するための流路となる内部空間(不図示)が設けられていてもよい。
【0037】
各ユニット(精密浮上ユニット111、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113)の間には、溝115が形成されている。溝115は、x方向、又はy方向に沿って延びており、浮上ユニット10の外周面まで到達している。例えば、隣接する精密浮上ユニット111と準精密浮上ユニット112との間には、y方向に延びる溝115が配置されている。同様に、隣接する準精密浮上ユニット112とラフ浮上ユニット113との間には、y方向に延びる溝115が配置されている。また、隣接する2つの準精密浮上ユニット112の間には、x方向又はy方向に延びる溝115が配置されている。同様に、隣接する2つのラフ浮上ユニット113の間には、x方向に延びる溝115が配置されている。
【0038】
各ユニットは、溝115の幅だけ離間して、配置されている。換言すると、各ユニットの間には、溝115の幅に対応する空間が設けられている。溝115は、例えば、幅10mm程度となっている。もちろん、溝115の幅は、10mmに限られるものではない。溝115の幅は、各ユニットの幅よりも小さくなっている。
【0039】
ここで、
図6に示すように、浮上ユニット10の表面(上面)、及びその近傍を表面部140とする。精密浮上領域31において、浮上ユニット10の表面部140には、精密浮上ユニット111が設けられている。準精密浮上領域32において、浮上ユニット10の表面部140には、準精密浮上ユニット112が設けられている。ラフ浮上領域33において、浮上ユニット10の表面部140には、ラフ浮上ユニット113が設けられている。なお、表面部140は、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113に施された表面処理の厚さよりも若干厚い部分である。準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113の表面処理については後述する。
【0040】
精密浮上ユニット111は、多孔質体を有している。具体的には、精密浮上ユニット111の表面部140には、多孔質体が設けられている。準精密浮上ユニット112、及びラフ浮上ユニット113は、金属部材を有している。具体的には、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113の表面部140には、金属部材が設けられている。
【0041】
準精密浮上ユニット112、及びラフ浮上ユニット113は、同様の構成を有している。精密浮上ユニット111、ラフ浮上ユニット113の構成について、以下に説明する。
【0042】
[ラフ浮上ユニット113]
まず、ラフ浮上ユニット113の構成について、
図7、及び
図8を用いて説明する。
図7は、ラフ浮上ユニット113の構成を模式的に示す平面図である。
図8は、
図7のVIII−VIII断面図である。なお、準精密浮上ユニット112の構成は、ラフ浮上ユニット113と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0043】
ラフ浮上ユニット113は、金属部材131を有している。金属部材131は、例えば、アルミニウム製又はステンレス鋼(SUS)製の金属ブロックにより形成されている。金属部材131には、複数の吸気孔137と、複数の噴出孔138とが設けられている。金属部材131を機械加工することで、金属部材131の表面部140には、複数の吸気孔137と、複数の噴出孔138とが形成される。吸気孔137と噴出孔138は、それぞれ、所定の径でz方向に延びる貫通孔(空間)となっている。xy平面視において、例えば、吸気孔137と噴出孔138とは、直径が数mm程度の円形になっている。
【0044】
xy平面視において、吸気孔137と噴出孔138とが所定の間隔を隔てて、配置されている。ここでは、x方向、及びy方向に沿って、吸気孔137と噴出孔138とがアレイ状に配列されている。吸気孔137はガスを吸引可能な開口であり、ガス吸引部として機能する。噴出孔138は、ガスを噴出可能な開口であり、ガス噴出部として機能する。
【0045】
図8に示すように、金属部材131には、供給流路133と、供給ポート134と、吸気ポート135と、吸気流路136と、が形成されている。供給ポート134と、吸気ポート135とは、金属部材131の底面側(−z側)に設けられており、例えば、ベースユニット114の内部空間に接続される。供給流路133と、吸気流路136は、金属部材131の底面から上面に向かうように、金属部材131の内部に形成されている。このように、金属部材131の内部には、ガスの流路となる空間が設けられている。
【0046】
吸気ポート135は、真空ポンプ等の真空発生源に接続されている。吸気ポート135は、吸気流路136を介して、吸気孔137と繋がっている。ここでは、吸気流路136が、金属部材131の内部で、複数に分岐している。従って、1つの吸気ポート135が複数の吸気孔137と連通している。真空発生源により、吸気流路136が負圧空間となる。吸気孔137から、金属部材131と被処理体16との間のガスを吸引することができる。
【0047】
供給ポート134は、ガスボンベ等のガス供給源と接続されている。供給ポート134は、供給流路133を介して、噴出孔138と繋がっている。ここでは、供給流路133が、金属部材131の内部で、複数に分岐している。従って、1つの供給ポート134が複数の噴出孔138と連通している。ガス供給源により、吸気流路136は、正圧空間となる。噴出孔138から、被処理体16に対してガスを噴出することができる。
【0048】
負圧空間となる吸気流路136と、正圧空間となる供給流路133とは、分離されている。すなわち、負圧空間と正圧空間との気密が保たれている。
【0049】
さらに、
図8に示すように、金属部材131には、表面処理部132が設けられている。金属部材131の上面(浮上面)に、表面処理部132が形成されている。さらに、金属部材131の側面の上面側にも、表面処理部132が形成されている。金属部材131の側面の一部と上面とに、帯電防止処理を施すことで、表面処理部132が形成される。金属部材131の表面処理部132には、例えば、レイデント処理(登録商標)やアルマイト処理が施される。表面処理部132の上面には帯電防止のための被膜が設けられている。
【0050】
ラフ浮上領域33において、表面処理部132を有する金属部材131が、浮上ユニット10の表面部140を構成する。すなわち、ラフ浮上ユニット113の表面部140は、表面処理部132、及び金属部材131により、構成されている。表面部140は、金属部材131の上面に設けられた表面処理部132の厚さよりも厚い部分である。
【0051】
ラフ浮上ユニット113の表面部140は、多孔質材料ではない稠密な材料により構成されている。すなわち、ラフ浮上ユニット113の表面部140には、ポーラス状ではない金属部材131が設けられている。このように、非多孔質材料である金属部材131を表面部140に用いることで、パーティクルの発生を抑制することができる。例えば、被処理体16がラフ浮上ユニット113と接触したとしても、パーティクルの発生を抑制することができる。精密浮上領域31を除く浮上ユニット10のほぼ全体が非多孔質材料である金属材料により形成されているため、多孔質体からのパーティクルの発生量を抑制することができる。
【0052】
被処理体16の浮上量が不十分な場合や、被処理体16のたわみ量が大きい場合、
図9に示すように、被処理体16の端部がラフ浮上ユニット113と接触してしまい、ラフ浮上ユニット113が破損するおそれがある(
図9の破損箇所146参照)。ラフ浮上ユニット113の表面部140が、後述する精密浮上ユニット111のように、多孔質体で形成されている場合、ラフ浮上ユニット113の破損箇所146において、パーティクルが発生してしまう。
【0053】
本実施の形態のように、ラフ浮上ユニット113、及び準精密浮上ユニット112の表面部140を金属部材131により形成する。こうすることで、準精密浮上領域32とラフ浮上領域33とでは、浮上ユニット10の上面(浮上面)に多孔質体が露出していない構成となる。よって、多孔質体の破損を起因とするパーティクルの発生を抑制することができる。
【0054】
また、金属部材131には複数の噴出孔138が形成されている。噴出孔138からガスが被処理体16に向けて噴出されている。よって、被処理体16が浮上ユニット10の上を浮上する。ガスの供給量を制御することで、浮上量を調整することができる。
【0055】
さらに、金属部材131には、ガスを吸引可能な吸気孔137が形成されている。吸気孔137からガスを吸引することで、被処理体16を平坦にすることができる。例えば、吸気孔137からガスを吸引しない場合、噴出孔138から噴出したガスが被処理体16の下面に吹き付けられて被処理体16が浮上した際に、
図10に示すように、被処理体16とラフ浮上ユニット113との間にガス溜まり145が形成される。このガス溜まり145は被処理体16がたわむ原因となる。
【0056】
このガス溜まり145の影響によって、被処理体16の中央部のみが浮上し被処理体16の角部が大きくたわむという現象が起こり、被処理体16の角部がラフ浮上ユニット113に衝突する場合がある。このような現象は、被処理体16の面積が大きくなるほど、また被処理体16の厚さが薄くなるほど顕著にあらわれる。
【0057】
被処理体16とラフ浮上ユニット113との間に存在するガス(ガス溜まり145))を吸気孔137から吸引することで、被処理体16のたわみを低減することができる。換言すると、被処理体16を平坦にすることができる。被処理体16のたわみ量は、供給ポート134に供給されるガスの量と吸気ポート135から排気するガスの量とのバランスを調整することで制御することができる。
【0058】
浮上量が十分であり、被処理体16と浮上ユニット10とが接触しないのであれば、一部のユニットでは、吸気孔137からガスを吸引しないようにしてもよい。例えば、ラフ浮上ユニット113において、吸気孔137からガスを吸引しないようにしてもよい。真空発生源と吸気ポート135との間のバルブを閉じて、真空発生源を吸気孔137に接続しないようにする。これにより、ラフ浮上ユニット113において、吸引を行わずに、ガスを噴出のみを行うことができる。
【0059】
ガスの吸引を行わない場合、ラフ浮上ユニット113が吸気孔137を有していなくてもよい。すなわち。吸気孔137が設けられていないラフ浮上ユニット113をラフ浮上領域33に設けてもよい。
【0060】
本実施の形態の例では、準精密浮上ユニット112では、ガスを吸引するようにし、ラフ浮上ユニット113からはガスを吸引しないようにしている。換言すると、
図7、
図8に示す構成を有するユニットのうち、ガスを吸引するユニットが準精密浮上ユニット112となり、吸引しないユニットがラフ浮上ユニット113となる。
【0061】
準精密浮上ユニット112は、ラフ浮上ユニット113から精密浮上ユニット111に被処理体16が搬送される際、又は、精密浮上ユニット111からラフ浮上ユニット113に被処理体16が搬送される際に、被処理体16のたわみ量が滑らかに変化するように構成されている。換言すると、精密浮上ユニット111における被処理体16のたわみ量とラフ浮上ユニット113における被処理体16のたわみ量との差分を吸収するように、準精密浮上ユニット112は、被処理体16を搬送する。
【0062】
よって、領域間を移動する際に生じる被処理体16のたわみのレーザ照射に対する影響を抑制することができる。換言すると、準精密浮上ユニット112を設けることで、被処理体16のたわみが大きい位置とレーザ照射位置15との距離を離すことができるので、準精密浮上ユニット112がない構成と比べて、レーザ照射位置15における被処理体16のたわみを低減させることができる。
【0063】
このように、準精密浮上ユニット112は、精密浮上ユニット111が被処理体16を浮上させる際の精度とラフ浮上ユニット113が被処理体16を浮上させる際の精度との間の精度で被処理体16を浮上させるように構成されている。レーザ照射位置15においてレーザ光の焦点深度(DOF)から外れてしまうことを抑制することができる。よって、レーザ光の照射ムラを抑制することができ、均一なポリシリコン膜を形成することができる。
【0064】
なお、上記の説明では、準精密浮上ユニット112において、ガスの噴出と吸引とを用い、ラフ浮上ユニット113において、ガスの噴出のみを用いていたが、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113の両方において、ガスの噴出と吸引とを用いてもよい。あるいは、準精密浮上ユニット112、ラフ浮上ユニット113の両方において、ガスの吸引を用いずに、ガスの噴出のみを用いてもよい。ユニット毎又は領域毎に、ガスの吸引量、及び噴出量を調整してもよい。
【0065】
さらに、本実施の形態では、
図5、
図6に示したように、隣接するユニット間に溝115が形成されている。溝115は、x方向、又はy方向に沿って延びており、浮上ユニット10の外周面まで到達している。溝115の幅は、各ユニットの幅(例えばラフ浮上ユニット113の幅)よりも小さくなっている。溝115は、例えば、幅10mm程度で有り、高さ(深さ)20mm程度である。溝115は、被処理体16とラフ浮上ユニット113の上面との間に存在するガスを排出する。
【0066】
ユニット間に溝115を形成しない場合は、噴出孔138から噴出したガスが被処理体16の下面に吹き付けられて被処理体16が浮上した際に、被処理体16とラフ浮上ユニット113との間にガス溜まり145が形成される(
図10参照)。このガス溜まり145は被処理体16がたわむ原因となる。
【0067】
これに対して、本実施の形態では、
図11に示すように、隣接する2つのラフ浮上ユニット113の間に、溝115が設けられている。被処理体16とラフ浮上ユニット113との間に存在するガスが溝115を通して浮上ユニット10の外側に排出される。よって、ラフ浮上ユニット113の上を被処理体16が通過する際に被処理体16がたわむことを抑制することができる。
【0068】
さらに、隣接する準精密浮上ユニット112とラフ浮上ユニット113との間、隣接する2つの準精密浮上ユニット112の間、及び、隣接する精密浮上ユニット111と準精密浮上ユニット112との間にも、溝115が形成されている。これにより、ガスの排出量を増加することができるため、ガス溜まり145の発生を抑制することができる。被処理体16のたわみを抑制することができる。
【0069】
このように、準精密浮上領域32、及びラフ浮上領域33の表面部140には、金属部材131が設けられている。複数の金属部材131が配置されることで、ラフ浮上領域33の表面部140が形成される。複数の金属部材131が配置されることで、準精密浮上領域32の表面部140が形成される。なお、ガスの噴出量と吸引量は、各ユニットにおける吸気孔137の配置、噴出孔138の配置などに応じて、適宜設定すればよい。なお、準精密浮上ユニット112やラフ浮上ユニット113の表面にも、ガスを排出するための溝を形成してもよい。
【0070】
[精密浮上ユニット111]
精密浮上ユニット111は、被処理体16を精密に浮上させて搬送するユニットであり、搬送時の被処理体16のたわみ量を小さくしながら搬送することができるように構成されている。精密浮上ユニット111は、被処理体16を浮上させるためのガスの噴出量を精密に制御している。精密浮上ユニット111は、ガスの噴出および吸引を用いて被処理体16を浮上させるように構成されている。なお、精密浮上ユニット111の詳細な構成について、
図12、
図13を用いて説明する。
【0071】
図12、
図13はそれぞれ、精密浮上ユニット111の構成例を説明するための断面図、及び平面図である。
図12に示すように、精密浮上ユニット111は、台座121および多孔質体122を備える。多孔質体122は台座121の上側に設けられており、ガス噴出部として機能する。
【0072】
図13の平面図に示すように、多孔質体122は給気ポート124_1、124_2に接続されており、圧縮されたガスが給気ポート124_1、124_2を介して多孔質体122に供給される。例えば、給気ポート124_1、124_2は精密浮上ユニット111の下部に設けられている。なお、
図13に示す断面図では、給気ポート124_1、124_2の配置と排気ポート125_1、125_2の配置とが重なるため、給気ポート124_1、124_2の図示を省略している。多孔質体122に供給された圧縮ガスは、多孔質体122の内部を通過した後、多孔質体122の上面から上方に噴出する。これにより、被処理体16が浮上する。
【0073】
また、多孔質体122には複数の吸気孔127が形成されている。吸気孔127は、多孔質体122に貫通穴を空けることで形成することができる。
図13に示すように、吸気孔127は、多孔質体122の上面(つまり、被処理体16と対向する面)において均一に配置されている。x方向、及びy方向において、吸気孔127は一定の間隔で配列されている。吸気孔127は、被処理体16と精密浮上ユニット111との間に存在するガス(ガス溜まり(
図10の符号145参照))を吸引する。
図12に示すように、吸気孔127は流路126を介して排気ポート125_1、125_2に接続されている。例えば、排気ポート125_1、125_2は精密浮上ユニット111の下部に設けられている。排気ポート125_1、125_2にはエジェクタや真空ポンプなどが接続されており、エジェクタや真空ポンプなどを用いて排気ポート125_1、125_2を吸引する(つまり負圧にする)ことで、精密浮上ユニット111の上面に存在するガスを吸気孔127から吸引することができる。
【0074】
図12に示すように、精密浮上ユニット111では、多孔質体122から上方にガスが噴出しているので、精密浮上ユニット111の上に被処理体16が搬送されてくると、このガスが被処理体16の下面に吹き付けられることで被処理体16が浮上する。よって、精密浮上ユニット111と被処理体16とが非接触の状態となる。このとき、被処理体16と精密浮上ユニット111との隙間、つまり被処理体16の浮上量は、給気ポート124_1、124_2に供給されるガスの量、換言すると、多孔質体122から噴出するガスの量を調整することで制御することができる。
【0075】
なお、精密浮上ユニット111において、排気ポート125_1、125_2による吸気で負圧となる空間(吸気孔127、流路125を含む空間)は、供給ポート124_1、124_2による給気で正圧となる空間から分離されている。すなわち、負圧となる空間と正圧となる空間との気密が保たれている。
【0076】
また、被処理体16と精密浮上ユニット111との間に存在するガス(ガス溜まり(
図10の符号145参照))を吸気孔127から吸引することで、被処理体16のたわみを低減することができる。換言すると、被処理体16を平坦にすることができる。被処理体16のたわみ量は、給気ポート124_1、124_2に供給されるガスの量と排気ポート125_1、125_2から排気するガスの量とのバランスを調整することで制御することができる。
【0077】
なお、ガスの噴出量と吸引量は、各ユニットの面積や多孔質体122の気孔率、吸気孔127の配置などに応じて、適宜設定すればよい。
【0078】
このように、精密浮上ユニット111の表面部140が多孔質体により形成されている。準精密浮上ユニット112と精密浮上ユニット111とが異なる材料により形成されている。準精密浮上ユニット112と精密浮上ユニット111とが異なる熱膨張係数で膨張した場合でも、ユニット間に溝115が介在しているため、精密浮上ユニット111と準精密浮上ユニット112とが接触することを防ぐことができる。よって、パーティクルの発生をより抑制することができる。
【0079】
(半導体装置の製造方法)
次に、その他の実施の形態として、上記で説明したレーザ照射装置を用いた半導体装置の製造方法について説明する。本実施の形態では、レーザ照射装置としてレーザアニール装置を用いることで、基板上に形成した非晶質膜にレーザ光を照射して非晶質膜を結晶化させることができる。例えば、半導体装置はTFT(Thin Film transistor)を備える半導体装置であり、この場合はアモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して結晶化させてポリシリコン膜を形成することができる。
【0080】
図14〜
図18は、半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。上記で説明した本実施の形態にかかるレーザ照射装置は、TFTアレイ基板の製造に好適である。以下、TFTを有する半導体装置の製造方法について説明する。
【0081】
まず、
図14に示すように、ガラス基板201上に、ゲート電極202を形成する。ゲート電極202は、例えば、アルミニウムなどを含む金属薄膜を用いることができる。次に、
図15に示すように、ゲート電極202の上に、ゲート絶縁膜203を形成する。ゲート絶縁膜203は、ゲート電極202を覆うように形成される。その後、
図16に示すように、ゲート絶縁膜203の上に、アモルファスシリコン膜204を形成する。アモルファスシリコン膜204は、ゲート絶縁膜203を介して、ゲート電極202と重複するように配置されている。
【0082】
ゲート絶縁膜203は、窒化シリコン膜(SiN
x)、酸化シリコン膜(SiO
2膜)、又はこれらの積層膜等などである。具体的には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート絶縁膜203とアモルファスシリコン膜204とを連続成膜する。アモルファスシリコン膜204付のガラス基板201がレーザ照射装置1における被処理体16となる。
【0083】
そして、
図17に示すように、上記で説明したレーザ照射装置を用いてアモルファスシリコン膜204にレーザ光を照射してアモルファスシリコン膜204を結晶化させて、ポリシリコン膜205を形成する。これにより、シリコンが結晶化したポリシリコン膜205がゲート絶縁膜203上に形成される。
【0084】
このとき、上記で説明した本実施の形態にかかるレーザ照射装置を用いることで、レーザ照射時におけるガラス基板201のたわみの影響を低減させることができ、アモルファスシリコン膜204に照射されるレーザ光の焦点深度(DOF)から外れてしまうことを抑制することができる。よって、均一に結晶化されたポリシリコン膜205を形成することができる。
【0085】
その後、
図18に示すように、ポリシリコン膜205の上に層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bを形成する。層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bは、一般的なフォトリソグラフィー法や成膜法を用いて形成することができる。
【0086】
上記で説明した半導体装置の製造方法を用いることで、TFTを備える半導体装置を製造することができる。なお、これ以降の製造工程については、最終的に製造するデバイスによって異なるので説明を省略する。
【0087】
(有機ELディスプレイ)
次に、TFTを備える半導体装置を用いたデバイスの一例として、有機ELディスプレイについて説明する。
図19は、有機ELディスプレイの概要を説明するための断面図であり、有機ELディスプレイの画素回路を簡略化して示している。
図19に示す有機ELディスプレイ300は、各画素PxにTFTが配置されたアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0088】
有機ELディスプレイ300は、基板310、TFT層311、有機層312、カラーフィルタ層313、及び封止基板314を備えている。
図19では、封止基板314側が視認側となるトップエミッション方式の有機ELディスプレイを示している。なお、以下の説明は、有機ELディスプレイの一構成例を示すものであり、本実施の形態は、以下に説明される構成に限られるものではない。例えば、本実施の形態にかかる半導体装置は、ボトムエミッション方式の有機ELディスプレイに用いられていてもよい。
【0089】
基板310は、ガラス基板又は金属基板である。基板310の上には、TFT層311が設けられている。TFT層311は、各画素Pxに配置されたTFT311aを有している。さらに、TFT層311は、TFT311aに接続される配線等を有している。TFT311a、及び配線等が画素回路を構成する。なお、TFT層311は、
図19で説明したTFTに対応しており、ゲート電極202、ゲート絶縁膜203、ポリシリコン膜205、層間絶縁膜206、ソース電極207a、及びドレイン電極207bを有する。
【0090】
TFT層311の上には、有機層312が設けられている。有機層312は、画素Pxごとに配置された有機EL発光素子312aを有している。有機EL発光素子312aは、例えば、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、及び陰極が積層された積層構造を有している。トップエミッション方式の場合、陽極は金属電極であり、陰極はITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜である。さらに、有機層312には、画素Px間において、有機EL発光素子312aを分離するための隔壁312bが設けられている。
【0091】
有機層312の上には、カラーフィルタ層313が設けられている。カラーフィルタ層313は、カラー表示を行うためのカラーフィルタ313aが設けられている。すなわち、各画素Pxには、R(赤色)、G(緑色)、又はB(青色)に着色された樹脂層がカラーフィルタ313aとして設けられている。有機層312から放出された白色光は、カラーフィルタ313aを通過すると、RGBの色の光に変換される。なお、有機層312に、RGBの各色を発光する有機EL発光素子が設けられている3色方式の場合、カラーフィルタ層313を省略してもよい。
【0092】
カラーフィルタ層313の上には、封止基板314が設けられている。封止基板314は、ガラス基板などの透明基板であり、有機層312の有機EL発光素子の劣化を防ぐために設けられている。
【0093】
有機層312の有機EL発光素子312aに流れる電流は、画素回路に供給される表示信号によって変化する。よって、表示画像に応じた表示信号を各画素Pxに供給することで、各画素Pxでの発光量を制御することができる。これにより、所望の画像を表示することができる。
【0094】
なお、上記では、TFTを備える半導体装置を用いたデバイスの一例として、有機ELディスプレイについて説明したが、TFTを備える半導体装置は、例えば液晶ディスプレイであってもよい。また、上記では、本実施の形態にかかるレーザ照射装置をレーザアニール装置に適用した場合について説明した。しかし、本実施の形態にかかるレーザ照射装置は、レーザアニール装置以外の装置にも適用することができる。
【0095】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。