(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1反射領域と前記第2反射領域との間に存在する光学素子の厚さの合計をLg、前記第1反射領域を含む光学面と前記第2反射領域を含む光学面との間隔をLmとするとき、
0.3≦Lg/Lm≦0.95
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の撮像装置。
前記光軸に垂直かつ水平面に平行な第1の方向における前記反射部の直径は、前記光軸及び前記第1の方向に垂直な第2の方向における前記反射部の直径よりも大きいことを特徴とする請求項12に記載の光学系。
前記光学系及び前記撮像素子を保持する保持部材を有し、該保持部材は外部に対する鉛直方向における位置決めのための基準面を備え、該基準面は前記光軸に対して非平行であることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態において、「光学面」とは屈折面や反射面のことを指し、「光軸」とは光学系における各光学面の中心(面頂点)を通る軸を指し、「間隔」とは光軸上での面間隔のことを指すものとする。
【0010】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る撮像装置1000の光軸Aを含むYZ断面における要部概略図であり、
図1(b)は、撮像装置1000をY方向から見たときの要部概略図である。撮像装置1000は、光学系100と、光学系100を介して物体(被写体)を撮像する撮像素子110とを有する。なお、
図1では、水平方向(H方向)において左側(−H側)が物体側であり、右側(+H側)が像側である。また、
図1(b)では、Y方向における中心像高に向かう光束を示している。
【0011】
光学系100は、不図示の物体からの光束を集光して物体の像を形成するための結像光学系(撮像光学系)である。光学系100の像面IMGの位置には、撮像素子110の撮像面(受光面)が配置されている。撮像素子110としては、例えばCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子を採用することができる。
【0012】
ここで、本実施形態に係る光学系100は、物体側に向かって凸形状の第1反射領域を含む第1光学素子G1と、物体側に向かって凸形状の第2反射領域G2Mを含む第2光学素子G2とを備える反射屈折光学系である。物体側からの光は、第2反射領域G2M、第1反射領域G1M、第2光学素子G2の屈折領域G2Tを順に介して像側へ向かい、像面IMGを形成する。
【0013】
このように、光学系100は、正のパワーの反射面(凹反射面)である第1反射領域G1Mと負のパワーの反射面(凸反射面)である第2反射領域G2Mとを備えることで、光路を折り畳んで小型化を実現しつつ、収差の発生を抑制することができる。このとき、第1反射領域G1M及び第2反射領域G2Mの配置は、シュバルツシルト光学系と同様になるため、絞り値(F値)が小さく明るい光学系を実現することが可能になる。
【0014】
また、本実施形態に係る撮像素子110の撮像面は、光学系100からの光束のうち、軸上光束を受光せず、軸外光束のみを受光するように配置されている。ただし、軸上光束とは光軸A上に集光される光束であり、軸外光束とは軸上光束以外の光束である。具体的に、本実施形態では、撮像素子110の撮像面を光軸Aに対してY方向に偏心させることで、光軸Aに対して鉛直方向(V方向)における下側(−V側)にのみ撮像面が配置された構成を採っている。
【0015】
これにより、撮像面が光軸Aに対して撮像面とは反対側(+V側)から光学系100に入射する軸外光束のみを受光するように構成することができる。このように、撮像面が軸外光束のみを受光する構成を採ることで、各反射領域により光路を折り畳んで小型化を図りつつ、撮像素子110を各光学素子や各光路と干渉しないように配置することができる。
【0016】
なお、撮像面を光軸Aに対して偏心させる代わりに、遮光部材によって撮像面に軸外光束のみが到達するように構成してもよい。例えば、第1光学素子G1の物体側面における光軸A上の領域及び光軸Aに対して−V側の領域に遮光膜を設けることで、軸上光束及び光軸Aに対して−V側からの軸外光束が撮像面に到達しないようにすることができる。また、第1反射領域G1Mを構成する反射膜の透過率が十分に低い場合は、第1反射領域G1Mが前述した遮光部材として機能するため、別途遮光部材を設けなくてもよい。
【0017】
上述したように、撮像装置1000は、物体を撮像する際に軸上光束を使用せず、軸外光束のみを使用する構成を採っている。そのため、光軸Aが水平方向に対して平行となるように光学系100を配置した場合、撮像装置1000の中心画角の向きが水平方向に対して非平行に設定されることになる。しかし、多くの場合、撮像装置の撮像対象となる物体は水平方向における撮像装置の正面に存在するため、このような配置では物体の良好な画像を得ることはできない。そこで、本実施形態に係る撮像装置1000では、中心画角の向きが水平方向に近づくように、光学系100の光軸Aを水平面(HX平面)に対して傾けている。
【0018】
ただし、光学系100においては、軸上において結像性能が最も高く、軸上から離れるに従って結像性能が低下する。また、コサイン4乗則などにより、光学系100により集光される光束の光量は軸上から離れるに従って低下する。よって、撮像対象となる物体からの光束が光学系100における軸上付近を通過するように光学系100を配置することが必要になる。特に、撮像装置1000を車載カメラや監視カメラ等として用いる場合、撮像装置1000に対して+V側よりも−V側に存在する物体(道路標識、障害物、人など)に注目する必要がある。
【0019】
また、特に屋外で使用される車載カメラや監視カメラ等の撮像装置においては、太陽のような光強度の強い光源からの光(不要光)が撮像面に入射することで、取得される画像にゴーストが生じてしまうという問題がある。特に、光学系100のように、反射面によって光路を折り畳み軸外光束のみを結像に用いる構成においては、不要光が反射面を介さずに撮像面に入射することで生じるゴーストが問題になる。このようなゴーストの発生は、光学系100に入射するときの不要光が光軸Aに対して平行に近いほど顕著になる。
【0020】
そこで、本実施形態に係る撮像装置1000では、光学系100からの光束のうち、光軸Aに対して+V側の軸外光束のみを撮像面が受光するようにしている。さらに、撮像装置1000では、物体側よりも像側の方が+V側に位置するように光軸Aが傾いている。言い換えると、光学系100よりも+V側の水平面に対して、光軸Aが物体側よりも像側で近付くように傾いている。これにより、撮像対象となる物体からの光束が、光学系100における結像性能が高い軸上近傍の領域を通過し易くなるため、物体の良好な画像を取得することができる。また、太陽などの+V側に存在する光源からの不要光が、光学系100における軸上近傍の領域を通過し難くなるため、ゴーストの発生を抑制することができる。
【0021】
なお、光軸Aを含み水平面に垂直な第1の断面(VH断面)において、光軸Aと水平面との成す角度が画角の半値よりも大きくなるように光軸Aを傾けることが望ましい。光軸Aと水平面との成す角度が画角の半値よりも小さい場合、中心画角の向きを水平方向に対して十分に近づけることができず、注目する物体の良好な画像が得られなくなる可能性がある。
【0022】
また、光軸Aを傾ける際には、物体側からの光束のうち撮像面の中心に到達する光線が、光学系100の最も物体側の光学面に入射するときに水平面に対して平行になるようにすることが好ましい。これにより、撮像対象となる物体からの光束が、光学系100における軸上近傍の領域をより通過し易くなるようにすることができる。ただし、ここでの平行とは、厳密な平行に限らず、光軸Aが水平面に対して数度(3°以内)傾いた場合(略平行)を含んでいる。
【0023】
図2は、撮像装置よりも+V側(画角中心に対して20°上方)に存在する光源Sからの不要光に起因して生じるゴーストをシミュレーションした結果を示す。
図2(a)は、本実施形態に係る撮像装置100の撮像面における照度分布を示し、
図2(b)は、比較例に係る撮像装置(撮像装置1000をH方向に対して反転させたもの)の撮像面における照度分布を示している。照度分布の図における横軸及び縦軸は、撮像面の中心を基準としたときの位置(mm)を示している。また、照度分布の図の右側にあるヒストグラムにおいて、縦軸は照度を対数で表示したものであり、横軸はその照度となる画素が生じる頻度を対数で表示したものである。
【0024】
図2より、本実施形態に係る撮像装置1000では目立ったゴーストが生じていないのに対して、比較例に係る撮像装置ではゴーストGho(照度が高い画素)が顕著に生じていることがわかる。これは、比較例に係る撮像装置においては、物体側よりも像側の方が−V側に位置するように光軸Aが傾いているため、光源Sからの不要光が光学系における軸上近傍の領域を通過し易いためである。
【0025】
以上、本実施形態に係る撮像装置1000によれば、装置全体の小型化を実現しつつ、高い結像性能とゴーストの低減とを両立することができる。
【0026】
[実施例1]
以下、本発明の実施例1に係る撮像装置1000について説明する。本実施例に係る撮像装置1000は、上述した実施形態に係る撮像装置1000と同様の構成を採っているため、重複する説明を省略する。撮像装置1000の諸元値は、後述する数値実施例1に対応する。
【0027】
本実施例に係る光学系100は、正のパワーの屈折領域G1Tを含む第1光学素子G1と、負のパワーの屈折領域G2Tを含む第2光学素子G2と、正のパワーの屈折領域G3Tを含む第3光学素子G3とを備えている。また、第2光学素子G2の像側面に設けられた第2反射領域G2Mが開口絞りの役割を果たしている。この構成により、開口絞りの前後における各屈折領域のパワー配置の対称性を確保し、倍率色収差などの諸収差を良好に補正することができる。
【0028】
さらに、本実施例に係る光学系100では、凹反射面を含む第1光学素子G1を反射屈折素子としているため、光学素子の枚数の増大を抑制して全系を小型化しつつ、収差を良好に補正することができる。また、本実施例に係る第3光学素子G3は、正パワーの屈折領域G3Tを含んでいる。これにより、凸反射面である第2反射領域G2Mを有する第2光学素子G2の像側面における屈折領域G2Tで発生するコマ収差等の収差を良好に補正することができる。よって、第1光学素子G1及び第2光学素子G2を反射屈折素子とした小型な構成においても、高い結像性能を実現することが可能になる。
【0029】
具体的に、本実施例に係る第1光学素子G1は、物体側面及び像側面の両方が物体側に向かって凸形状である正メニスカスレンズであって、屈折領域G1T及び第1反射領域G1Mを有する反射屈折素子(反射屈折レンズ)である。本実施例に係る第1反射領域G1Mは、第1光学素子G1の像側面に設けられた表面鏡であるが、第1光学素子G1の物体側面に設けられた裏面鏡であってもよい。ただし、倍率色収差等の諸収差の補正のために、後述する開口絞りの前後での光束の屈折回数の対称性を持たせるには、第1反射領域G1Mを表面鏡とすることが望ましい。本実施例に係る第1光学素子G1において、第1反射領域G1Mは光軸Aに対して−V側にのみ配置されている。
【0030】
本実施例に係る第2光学素子G2は、物体側面及び像側面の両方が物体側に向かって凸形状である負メニスカスレンズであって、屈折領域G2T及び第2反射領域G2Mを有する反射屈折素子である。また、本実施例に係る第3光学素子G3は、正のパワーの両凸レンズであって、反射領域を持たない屈折素子(屈折レンズ)である。なお、第1光学素子G1、第2光学素子G2、及び第3光学素子G3の夫々の形状は、
図1に示したものに限られず、必要に応じて適宜変更可能である。
【0031】
そして、本実施例に係る第2反射領域G2Mは、結像に寄与する有効光を反射する反射部と、それ以外の光束を遮光する遮光部とで構成されており、開口絞りの役割を果たしている。なお、反射部は反射膜(蒸着膜)などで構成され、遮光部は吸光部材で構成される。
【0032】
不図示の物体からの光は、第1光学素子G1の物体側面に入射し、第1光学素子G1の像側面における屈折領域G1T及び第2光学素子G2の物体側面における屈折領域G2Tを透過して、第2反射領域G2Mにおける反射部で反射される。このとき、光束の一部は第2反射領域G2Mの遮光部により遮光される。
【0033】
第2反射領域G2Mの反射部で反射された光は、第2光学素子G2の物体側面を透過して、第1光学素子G1の像側面における第1反射領域G1Mで反射される。第1反射領域G1Mで反射された光は、再び第2光学素子G2の物体側面に入射して、第2光学素子G2の屈折領域G2T及び第3光学素子G3の屈折領域G3Tを透過し、光学ブロックCGを介して平面形状の像面IMGを形成する。なお、光学ブロックCGは、カバーガラスや光学フィルター等に相当するパワーを持たない光学素子である。
【0034】
図1(b)に示すように、X方向において、光学系100は光軸Aに対して対称な形状であり、物体側からの光は光軸Aに対して両側から第1光学素子G1に入射する。すなわち、Y方向の各位置でのZX断面において、光学系100は光軸Aに対して対称な形状である。一方、
図1(a)に示すYZ断面においても、光学系100は光軸Aに対して対称な形状であるが、物体側からの光は光軸Aに対して+Y側のみから第1光学素子G1に入射し、光軸Aに対して−Y側に像面が形成される。このように、光学系100は、YZ断面において光束が光軸Aに対して一方の側のみから第1光学素子G1に入射する構成、すなわち光束が各光学面に斜入射する構成を採っている。
【0035】
本実施例に係る光学系100の光軸Aを含むZX断面での画角は50°である。光軸Aを基準(0°)として+X側を正、−X側を負とするとき、ZX断面での画角内の角度θxの範囲は−25°≦θx≦+25°である。また、光学系100の光軸Aを含むYZ断面での画角は29°である。第1光学素子G1の物体側面に入射する光束のうち撮像面の中心に到達する光線(中心光線)を基準(0°)として+Y側を正、−Y側を負とするとき、YZ断面での画角内の角度θyの範囲は−14.5°≦θy≦+14.5°である。なお、この中心光線と光軸Aとのなす角度は40°である。
【0036】
本実施例に係る光学系100では、ZX断面での画角が光軸Aの両側に対称に設定されているのに対して、YZ断面での画角は光軸Aに対して+Y側にのみ設定されている。そして、光学系100では、光軸を含むZX断面での画角よりも、光軸を含みZX断面に垂直なYZ断面での画角の方が小さくなっている。また、本実施例に係る光学系100は、全ての光学面の面頂点及び曲率中心が光軸Aの上に存在する共軸系であり、かつ全ての光学面が光軸Aに対して回転対称な形状である回転対称系である。このように、光学系100を共軸系かつ回転対称系とすることで、ZX断面及びYZ断面の夫々で諸収差を良好に補正することができる。
【0037】
本実施例では、第1光学素子G1と第2光学素子G2との間の媒質を、第2光学素子G2よりも小さい屈折率の材料としている。これにより、第2光学素子G2の物体側面における、光軸Aに対して下側で屈折する光束の屈折角と上側で屈折する光束の屈折角とを同等にすることができ、コマ収差、倍率色収差、及び歪曲収差を良好に補正することが可能になる。
【0038】
第2光学素子G2の物体側面における光軸Aに対して上側の領域は、物体側から入射する光に向かって凸形状であるため、光軸Aの近傍を通過する光よりも、光軸Aから離れた位置を通過する光束の方を大きく屈折させる。よって、第2光学素子G2の物体側面における上側の領域に入射する各光束の角度は不均一になり、コマ収差、倍率色収差、及び歪曲収差が発生してしまう。一方、第2光学素子G2の物体側面における光軸Aに対して下側の領域は、第1光学素子G1の方へ出射する光に向かって凹形状であるため、光軸Aの近傍を通過する光よりも、光軸Aから離れた位置を通過する光束の方を大きく屈折させる。
【0039】
ここで、第2光学素子G2の物体側面における上側の領域と下側の領域との間の光路には第2反射領域G2Mが配置されているため、光束内の各光線の配置(光軸Aからの距離の長短)は、上側の領域に入射する時と下側の領域から出射する時とで反対になる。よって本実施例に係る光学系100は、第2光学素子G2の物体側面における上側の領域で発生したコマ収差、倍率色収差、及び歪曲収差を、第2光学素子G2の物体側面における下側の領域によってキャンセルすることができる。
【0040】
このとき、第1光学素子G1と第2光学素子G2との間の媒質と第2光学素子G2とに十分な屈折率差を生じさせるためには、その媒質の屈折率をできるだけ小さくすることが望ましく、特に本実施例のように空気とすることがより好ましい。なお、必要に応じて、第1光学素子G1と第2光学素子G2との間に他の光学素子を配置してもよい。ただし、その場合は、第1光学素子G1とそれに隣接する光学素子との間に、空気などの屈折率が小さい媒質を配置することが望ましい。
【0041】
本実施例に係る第2反射領域G2Mは、上述したように凸形状の反射面であり、かつ開口絞りの機能を備えている。このように、負のパワーの第2反射領域G2Mを開口絞りとすることにより、像面湾曲や非点収差への影響を抑えつつ、球面収差を良好に補正することができる。また、第2反射領域G2Mに負のパワーを持たせることによって、第1反射領域G1Mと像面IMGとの間隔を適切に確保することができ、光学系100と撮像素子との干渉を回避することが容易になる。なお、本実施例では、第2反射領域G2Mを、光軸Aから離れるに従ってパワーが小さくなる非球面とすることによって、球面収差をより良好に補正することを可能にしている。
【0042】
また、本実施例に係る第2反射領域G2Mの反射部は楕円形状であり、その長軸はZX断面に平行、短軸はYZ断面に平行となっている。言い換えると、第2反射領域G2Mの反射部の光軸Aに垂直かつ水平面に平行なX方向(第1の方向)の直径は、反射部の光軸A及び第1の方向に垂直なY方向(第2の方向)の直径よりも大きくなっている。具体的に、本実施例に係る光学系100の絞り値は、X方向においてはF=1.2、Y方向においてはF=3.0である。
【0043】
すなわち、本実施例に係る光学系100の絞り値は、光学系100の画角が光軸Aに対して対称であるZX断面よりも、光学系100の画角が光軸Aに対して非対称であるYZ断面の方が大きく(暗く)なるように設定されている。これにより、ZX断面において明るさと解像度を向上させつつ、YZ断面において光束幅を狭めて光路干渉を回避し易くすることができ、各光学面の配置の自由度を向上させることが可能になる。なお、第2反射領域G2Mの反射部は楕円形状に限られるものではなく、必要に応じて矩形などにしてもよい。
【0044】
本実施例に係る第1反射領域G1Mは、主に像面湾曲を補正する役割を果たしている。一般的に、光学系において像面湾曲を補正するためには、正のパワーと負のパワーとの打ち消し合いによって各光学面のペッツバール和を小さくし、ペッツバール像面が平面に近づくように光学設計が行われる。それに対して、本実施例に係る光学系100では、第1光学素子G1の第1反射領域G1Mのサグ量を適切に設定することで像面湾曲を補正している。これについて、以下で詳細に説明する。
【0045】
本実施例に係る光学系100は、全体として正のパワーを有しているため、像面近傍に結像した際のペッツバール像面は、光軸Aから周辺部へ向かうに従って物体側に変位した湾曲形状となる傾向がある。一方、第1反射領域G1Mは、凹形状、すなわち光軸Aから周辺部へ向かうに従って像側に変位した形状であるため、第1反射領域G1Mと像面IMGとの間隔は光軸Aから周辺部へ向かうに従って短くなる。
【0046】
よって、第1反射領域G1Mが生じさせた像高毎の光路差により、光学系100の像面湾曲を良好に補正することができる。さらに、第1反射領域G1Mを非球面とすることで、第1反射領域G1Mが球面である場合に補正しきれない像面湾曲を、第1反射領域G1Mの非球面成分によって補正することができる。これにより、第1反射領域G1Mのサグ量の設計自由度を向上させることができ、像面湾曲をより良好に補正することが可能になる。
【0047】
なお、光学系の像面湾曲を補正するためには、光軸上と比較して周辺部の方でパワーが小さくなるように非球面を構成することが一般的である。一方、本実施例では、一般的な光学系とは異なり第1反射領域G1Mのサグ量により像面湾曲を補正しているため、第1反射領域G1Mの非球面量は光軸A上と比較して周辺部でパワーが大きくなるように設定されている。
【0048】
本実施例では、第1光学素子G1における屈折領域G1T及び第1反射領域G1Mによって、上述したような良好な収差補正を可能にしている。このとき、屈折領域G1T及び第1反射領域G1Mを一つの光学素子に設けることで、これらを互いに異なる光学素子に設ける場合と比較して、光学素子の枚数の増大や各光学素子の相対的な配置誤差の発生を抑制することができる。そして、第1光学素子G1を物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとすることで、光学系100を広角化した場合にも、屈折領域G1Tによって倍率色収差を良好に補正することができる。
【0049】
上述したように、本実施例に係る第3光学素子G3は、正パワーを有することで、凸反射面である第2反射領域G2Mを有する第2光学素子G2の像側面における屈折領域G2Tで発生するコマ収差等の諸収差を良好に補正している。このとき、本実施例のように第3光学素子G3の像側面を物体側に向かって凹形状とすることが望ましい。光学系100における最も像側に配置された光学面(最終面)を物体側に向かって凹形状の屈折面とすることで、他の光学面で補正しきれなかった像面湾曲や非点収差を良好に補正することができる。ただし、必要に応じて第3光学素子G3の像側面を物体側に向かって凸形状としてもよいが、この場合は第3光学素子G3よりも像側に、物体側に向かって凹形状の屈折面を更に配置することが望ましい。
【0050】
ここで、第1反射領域G1Mと第2反射領域G2Mとの間に存在する光学素子の厚さの合計をLg、第1反射領域G1Mを含む光学面と第2反射領域G2Mを含む光学面との間隔をLmとするとき、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。ただし、ここでの厚さとは、光軸A上での厚さを示している。本実施例においては、第2光学素子G2の厚さがLg、第1光学素子G1の像側面と第2光学素子G2の像側面との間隔がLmである。
0.3≦Lg/Lm≦0.95・・・(1)
【0051】
条件式(1)の下限値を下回ると、第1反射領域G1Mと第2反射領域G2Mとの間に存在する屈折面における光軸Aに近い部分で光束が屈折するため、倍率色収差を良好に補正することが難しくなる。また、条件式(1)の上限値を上回ると、第1反射領域G1Mと第2反射領域G2Mとの間に存在する各光学面同士の間隔が狭くなり過ぎるため、光束を十分に屈折させることができず、倍率色収差を良好に補正することが難しくなる。更に、以下の条件式(1a)を満足することがより好ましい。
0.32≦Lg/Lm≦0.90・・・(1a)
【0052】
また、第1反射領域G1Mを含む光学面の曲率半径をRp、第2反射領域G2Mを含む光学面の曲率半径をRnとするとき、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。本実施例においては、第1光学素子G1の像側面の曲率半径がRp、第2光学素子G2の像側面の曲率半径がRnである。
0.7≦Rp/Rn≦1.3・・・(2)
【0053】
本実施例に係る光学系100では、色収差の発生を抑制するために、第1反射領域G1M及び第2反射領域G2Mが比較的大きなパワーを有している。よって、条件式(2)を満足することにより、光学系100におけるペッツバール和を小さくし、像面湾曲の発生を抑制することができる。条件式の範囲を外れると、光学系100におけるペッツバール和が大きくなってしまい、像面湾曲の発生を十分に抑制することが難しくなる。更に、以下の条件式(2a)を満足することがより好ましい。
0.75≦Rp/Rn≦1.2・・・(2a)
【0054】
また、第1光学素子G1よりも像側において第1光学素子G1に最も近い屈折面の曲率半径をR1、該屈折面と第2反射領域G2Mを含む光学面との間隔をL1とするとき、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。本実施例においては、第2光学素子G2の物体側面の曲率半径がR1、第2光学素子G2の物体側面と像側面との間隔がL1である。
2.0≦R1/L1≦5.5・・・(3)
【0055】
条件式(3)の下限値を下回ると、第1光学素子G1よりも像側において第1光学素子G1に最も近い屈折面に対する軸外光束の入射角が小さくなり過ぎてしまい、軸外光束の主光線が十分に屈折しなくなる。よって、光学系100を広角化する際に第1光学素子G1を大型化することが必要になるため、全系の小型化が難しくなる。また、条件式(3)の上限値を上回ると、第1光学素子G1よりも像側において第1光学素子G1に最も近い屈折面に対する軸外光束の入射角が大きくなり過ぎてしまい、倍率色収差や非点収差を良好に補正することが難しくなる。更に、以下の条件式(3a)を満足することがより望ましい。
2.5≦R1/L1≦5.0・・・(3a)
【0056】
本実施例に係る光学系100についての各条件式の値を、後述する表1に示す。表1に示すように、光学系100は上述した条件式の全てを満足している。
【0057】
図3は、本実施例に係る光学系100の横収差図である。
図3では、光学系100の5つの画角におけるC線(波長656.3nm)、d線(波長587.6nm)、F線(波長486.1nm)、及びg線(波長435.8nm)の夫々に対する横収差を示しており、数値の単位はmmである。
図3を見て分かる通り、コマ収差や倍率色収差が良好に補正されている。また、光学系100の開口率(ビネッティング)は全画角において100%であるため、第2反射領域G2Mによるケラレが生じておらず、軸上から軸外にかけて明るい光学系が実現できている。
【0058】
[実施例2]
以下、本発明の実施例2に係る撮像装置2000について説明する。本実施例に係る撮像装置2000において、上述した実施例1に係る撮像装置1000と同等の構成については説明を省略する。撮像装置2000の諸元値は、後述する数値実施例2に対応する。
【0059】
図4(a)は、本実施例に係る撮像装置2000の光軸Aを含むYZ断面における要部概略図であり、
図4(b)は、撮像装置2000をY方向から見たときの要部概略図である。本実施例に係る光学系200は、第1光学素子G1と第2光学素子G2との間に第4光学素子G4が配置されており、第2反射領域G2Mに2つの反射部が設けられている点で、実施例1に係る光学系100とは異なる。
図4(b)に示すように、光学系200は、2つの反射部によりZX断面において瞳を二分割する構成を採っている。これにより、光学系200を測距光学系として用いることができる。
【0060】
図5は、光学系200において、Z方向における−Z側から見たときの第2反射領域G2Mの反射部の要部概略図である。
図5において、実線は第2反射領域G2Mにおける反射部を示し、破線は光学系200における収差が十分に補正され高い結像性能が得られる部分に対応する有効領域を示している。言い換えると、
図5における破線は、光学系200を測距光学系ではなく実施例1と同様に通常の撮像光学系として用いると仮定したときの反射部を示している。
【0061】
図5に示すように、光学系200の第2反射領域G2Mには、光軸Aに対してX方向に偏心した二つの反射部201,202が設けられている。この二つの反射部201,202によれば、ZX断面において光学系200の瞳を分割することができる。なお、反射部201,202は、実施例1と同様に反射膜などによって形成される。
【0062】
光学系200を測距光学系として用いる場合、その像面IMGには、反射部201で反射された光束が形成した被写体の像と、反射部202で反射された光束が形成した被写体の像とを区別して光電変換できる撮像素子210が配置される。このような撮像素子210と、光学系200と、後述する処理部とによって、車載カメラなどの測距装置を構成することができる。
【0063】
被写体が光学系200の前側焦点面上にあるときは、光学系200の像面において、分割された二つの光束による像に位置ずれは発生しない。しかし、被写体が光学系200の前側焦点面以外の位置にあるときは、分割された二つの光束による像に位置ずれが発生する。このとき、各光束が形成する像の位置ずれは被写体の前側焦点面からの変位量に対応しているので、各光束による像の位置ずれ量及び位置ずれの方向を取得することで、被写体までの距離を測定することができる。
【0064】
光学系200では二つの反射部をX方向に偏心させているが、必要に応じてY方向に偏心させてもよい。ただし、測距精度を向上させるためには、二つの反射部をX方向に偏心させることが望ましい。これは、
図5の破線で示す有効領域について、光軸Aに対して非対称であるY方向における絞り値よりも、光軸Aに対して対称であるX方向における絞り値の方が小さいためである。
【0065】
本実施例に係る光学系200について、ZX断面での画角は50°、YZ断面での画角は46°、ZX断面において中心光線と光軸Aとのなす角度は38°である。また、
図5に破線で示した第2反射領域G2Mの有効領域の絞り値は、X方向において1.5、Y方向において5.3となっている。そして、光学系200は、以下の表1に示すように上述した条件式の全てを満足している。
【0067】
図6は、本実施例に係る光学系200の横収差図である。
図6を見て分かる通り、コマ収差や倍率色収差が良好に補正されている。また、光学系200の開口率は全画角において100%であり、軸上から軸外にかけて明るい光学系が実現できている。このように、小型でありながら高い結像性能を有する光学系を測距装置に適用することで、装置全体の小型化と高度な測距精度を実現することが可能になる。
【0068】
なお、
図5の破線で示した有効領域の全域に反射膜を設けることで、本実施例に係る光学系200を実施例1に係る光学系100と同様の撮像光学系として用いてもよい。この場合にも、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、実施例1に係る光学系100を、本実施例に係る光学系200と同様に測距光学系として用いてもよい。その場合は、光学系200と同様に、実施例1乃至3に係る光学系における第2反射領域G2Mに2つの反射部を設けることで、瞳を分割できるようにすればよい。
【0069】
[数値実施例]
以下、上述した実施例1及び2に係る各撮像装置に対応する数値実施例1及び2を示す。
【0070】
各数値実施例において、面番号は物体側から数えた光学面の番号(i)を示し、rは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径(mm)を示し、dは第i面と第(i+1)面との間隔(mm)、を示す。Nd及びνdの夫々は、第i面と第(i+1)面との間の媒質のd線に対する屈折率及びアッベ数を示す。また、Fnoは絞り値を示し、焦点距離の単位はmmである。ただし、面間隔dは、光路に沿って像側に向かうときに正、物体側に向かうときに負としている。なお、「E±N」は「×10
±N」を意味している。
【0071】
各数値実施例において、面番号の横に「*」が付いている光学面は非球面である。各数値実施例における非球面形状の各光学面は、光軸Aを中心とした回転対称形状であり、以下の非球面式で表現される。
【0073】
ここで、zは非球面形状の光軸方向のサグ量(mm)、cは光軸A上における曲率(1/mm)、kは円錐定数(コーニック定数)、hは光軸Aからの半径方向の距離(mm)、A〜Dの夫々は4次項〜10次項の非球面係数である。上記の非球面式において、第1項は参照球面のサグ量を示しており、この参照球面の曲率半径はr=1/cである。また、第2項以降の項は、参照球面上に付与される非球面成分のサグ量(非球面量)を示している。なお、本実施例では4次項〜10次項の非球面係数を用いたが、12次以上の項の非球面係数を用いてもよい。各数値実施例においては、光学面が非球面形状である場合、参照球面の曲率半径をその光学面の曲率半径としており、その曲率半径が上述した各条件式を満足している。
【0074】
(数値実施例1)
面データ
面番号 r d Nd νd
1 22.61 3.31 1.847 23.8
2* 22.99 3.15
3 37.27 7.97 1.487 70.2
4* 29.37 -7.97 1.487 70.2
5 37.27 -3.15
6* 22.99 3.15
7 37.27 7.97 1.487 70.2
8* 29.37 0.15
9 24.44 9.16 1.642 58.4
10 -43.13 0.89
11 ∞ 1.00 1.516 64.1
12 ∞ 1.00
非球面係数
面番号 K A B C D
2, 6 0.000E+00 2.874E-06 -2.575E-09 5.243E-11 -9.892E-14
4, 8 0.000E+00 1.797E-05 -7.547E-08 6.649E-10 -2.000E-12
各種データ
焦点距離 10.8
Fno(ZX断面) 1.2
Fno(YZ断面) 3.0
画角(ZX断面) ±25°
画角(YZ断面) ±14.5°
【0075】
(数値実施例2)
面データ
面番号 r d Nd νd
1 24.35 2.61 1.652 58.6
2* 25.92 4.89
3 46.14 3.00 1.541 47.2
4 18.52 8.64 1.757 47.8
5* 30.72 -8.64 1.757 47.8
6 18.52 -3.00 1.541 47.2
7 46.14 -4.89
8* 25.92 4.89
9 46.14 3.00 1.541 47.2
10 18.52 8.64 1.757 47.8
11* 30.72 0.71
12 36.16 4.50 1.652 58.6
13 -58.25 0.00
14 ∞ 1.00 1.517 64.2
15 ∞ 1.00
非球面係数
面番号 K A B C D
2, 8 0.000E+00 1.936E-06 1.954E-09 1.044E-11 -8.875E-15
5, 11 0.000E+00 1.368E-05 -7.957E-08 6.694E-10 -1.928E-12
各種データ
焦点距離 10.9
Fno(ZX断面) 1.5
Fno(YZ断面) 5.3
画角(ZX断面) ±25°
画角(YZ断面) ±23°
【0076】
[車載カメラシステム]
図7は、本実施形態に係る車載カメラ10及びそれを備える車載カメラシステム(運転支援装置)600の構成図である。車載カメラシステム600は、自動車等の車両に設置され、車載カメラ10により取得した車両の周囲の画像情報に基づいて、車両の運転を支援するための装置である。
図8は、車載カメラシステム600を備える車両700の概略図である。
図8においては、車載カメラ10の撮像範囲50を車両700の前方に設定した場合を示しているが、撮像範囲50を車両700の後方に設定してもよい。
【0077】
図7に示すように、車載カメラシステム600は、車載カメラ10と、車両情報取得装置20と、制御装置(ECU:エレクトロニックコントロールユニット)30と、警報装置40と、を備える。また、車載カメラ10は、撮像部1と、画像処理部2と、視差算出部3と、距離算出部4と、衝突判定部5と、を備えている。画像処理部2、視差算出部3、距離算出部4、及び衝突判定部5で、処理部が構成されている。撮像部1は、上述した何れかの実施例に係る撮像装置であり、撮像素子として撮像面位相差センサを採用したものである。
【0078】
図9は、本実施形態に係る車載カメラシステム600の動作例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って、車載カメラシステム600の動作を説明する。
【0079】
まず、ステップS1では、撮像部1を用いて車両の周囲の対象物(被写体)を撮像し、複数の画像データ(視差画像データ)を取得する。
【0080】
また、ステップS2では、車両情報取得装置20から車両情報の取得を行う。車両情報とは、車両の車速、ヨーレート、舵角などを含む情報である。
【0081】
ステップS3では、撮像部1により取得された複数の画像データに対して、画像処理部2により画像処理を行う。具体的には、画像データにおけるエッジの量や方向、濃度値などの特徴量を解析する画像特徴解析を行う。ここで、画像特徴解析は、複数の画像データの夫々に対して行ってもよいし、複数の画像データのうち一部の画像データのみに対して行ってもよい。
【0082】
ステップS4では、撮像部1により取得された複数の画像データ間の視差(像ズレ)情報を、視差算出部3によって算出する。視差情報の算出方法としては、SSDA法や面積相関法などの既知の方法を用いることができるため、本実施形態では説明を省略する。なお、ステップS2,S3,S4は、上記の順番に処理を行ってもよいし、互いに並列して処理を行ってもよい。
【0083】
ステップS5では、撮像部1により撮像した対象物との間隔情報を、距離算出部4によって算出する。距離情報は、視差算出部3により算出された視差情報と、撮像部1の内部パラメータ及び外部パラメータと、に基づいて算出することができる。なお、ここでの距離情報とは、対象物との間隔、デフォーカス量、像ズレ量、などの対象物との相対位置に関する情報のことであり、画像内における対象物の距離値を直接的に表すものでも、距離値に対応する情報を間接的に表すものでもよい。
【0084】
そして、ステップS6では、距離算出部4により算出された距離情報が予め設定された設定距離の範囲内に含まれるか否かの判定を、衝突判定部5によって行う。これにより、車両の周囲の設定距離内に障害物が存在するか否かを判定し、車両と障害物との衝突可能性を判定することができる。衝突判定部5は、設定距離内に障害物が存在する場合は衝突可能性ありと判定し(ステップS7)、設定距離内に障害物が存在しない場合は衝突可能性なしと判定する(ステップS8)。
【0085】
次に、衝突判定部5は、衝突可能性ありと判定した場合(ステップS7)、その判定結果を制御装置30や警報装置40に対して通知する。このとき、制御装置30は、衝突判定部5での判定結果に基づいて車両を制御し、警報装置40は、衝突判定部5での判定結果に基づいて警報を発する。
【0086】
例えば、制御装置30は、車両に対して、ブレーキをかける、アクセルを戻す、各輪に制動力を発生させる制御信号を生成してエンジンやモータの出力を抑制する、などの制御を行う。また、警報装置40は、車両のユーザ(運転者)に対して、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与える、などの警告を行う。
【0087】
以上、本実施形態に係る車載カメラシステム600によれば、上記の処理により、効果的に障害物の検知を行うことができ、車両と障害物との衝突を回避することが可能になる。特に、上述した各実施例に係る光学系を車載カメラシステム600に適用することで、車載カメラ10の全体を小型化して配置自由度を高めつつ、広画角にわたって障害物の検知及び衝突判定を行うことが可能になる。
【0088】
ここで、本実施形態では、車載カメラ10が撮像面位相差センサを有する撮像部1を1つのみ備える構成について説明したが、これに限られず、車載カメラ10として撮像部を2つ備えるステレオカメラを採用してもよい。この場合、撮像面位相差センサを用いなくても、同期させた2つの撮像部の夫々によって画像データを同時に取得し、その2つの画像データを用いることで、上述したものと同様の処理を行うことができる。ただし、2つの撮像部による撮像時間の差異が既知であれば、2つの撮像部を同期させなくてもよい。
【0089】
また、距離情報の算出については、様々な実施形態が考えられる。一例として、撮像部1が有する撮像素子として、二次元アレイ状に規則的に配列された複数の画素部を有する瞳分割型の撮像素子を採用した場合について説明する。瞳分割型の撮像素子において、1つの画素部は、マイクロレンズと複数の光電変換部とから構成され、光学系の瞳における異なる領域を通過する一対の光束を受光し、対をなす画像データを各光電変換部から出力することができる。
【0090】
そして、対をなす画像データ間の相関演算によって各領域の像ずれ量が算出され、距離算出部4により像ずれ量の分布を表す像ずれマップデータが算出される。あるいは、距離算出部4は、その像ずれ量をさらにデフォーカス量に換算し、デフォーカス量の分布(撮像画像の2次元平面上の分布)を表すデフォーカスマップデータを生成してもよい。また、距離算出部4は、デフォーカス量から変換される対象物との間隔の距離マップデータを取得してもよい。
【0091】
なお、本実施形態では、車載カメラシステム600を運転支援(衝突被害軽減)に適用したが、これに限られず、車載カメラシステム600をクルーズコントロール(全車速追従機能付を含む)や自動運転などに適用してもよい。また、車載カメラシステム600は、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。また、本実施形態に係る車載カメラ10、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0092】
[変形例]
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【0093】
例えば、各実施例では第1光学素子G1として第1反射領域G1M及び屈折領域G1Tの両方を含む反射屈折素子を採用しているが、第1光学素子G1として第1反射領域G1Mのみを含む反射素子(ミラー)を採用してもよい。また、各実施例に係る光学系は、第1光学素子G1及び第2光学素子G2以外の屈折光学素子を備えているが、第1光学素子G1及び第2光学素子G2から成る構成を採用してもよい。この場合、第2光学素子G2として、物体側面及び像側面の夫々が曲率半径の異なる複数の光学面で構成されたプリズムを採用してもよい。これにより、各実施例に係る光学系と比較して光学素子の数を減らしつつ、良好な結像性能を得ることが可能になる。
【0094】
また、実施例2のように第2反射領域G2Mが二つの反射部を含む場合においても、その有効領域のX方向の直径をY方向の直径よりも大きく設定することが望ましい。言い換えると、二つの反射部のX方向において最も離れた端部同士の距離を、二つの反射部のY方向における最大径よりも大きく設定することが望ましい。これにより、実施例1と同様に、ZX断面において明るさと解像度を向上させつつ、YZ断面において光路干渉を回避し易くすることができる。
【0095】
なお、撮像装置を外部(車両や建物)に対して固定(位置決め)する場合、光学系及び撮像素子を保持する保持部材(筐体)に位置決めのための基準面を設けることが考えられる。例えば、撮像装置を車両や建物の天井に設置する場合、夫々を鉛直方向において位置決めするためには、保持部材における光軸Aに対して鉛直方向における上側にのみ基準面を設ければよい。その際、上述したように、光学系の光軸Aを適切に傾けるためには、保持部材における基準面が光軸Aに対して非平行となるように構成することが望ましい。例えば、
図10に示すように、保持部材60の鉛直方向における上側(+V側)の端部に、水平面(HX平面)と略平行な基準面70を設ければよい。