特許第6983586号(P6983586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983586透明導電性フィルム用のハードコートフィルム
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  • 特許6983586-透明導電性フィルム用のハードコートフィルム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983586
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】透明導電性フィルム用のハードコートフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/046 20200101AFI20211206BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   C08J7/046 Z
   B32B27/18 Z
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-170693(P2017-170693)
(22)【出願日】2017年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-44151(P2018-44151A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2020年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-175055(P2016-175055)
(32)【優先日】2016年9月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】399020212
【氏名又は名称】東山フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】市岡 和也
(72)【発明者】
【氏名】福岡 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亜耶
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕伸
(72)【発明者】
【氏名】木村 正人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/079866(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/084008(WO,A1)
【文献】 特開2012−020538(JP,A)
【文献】 特開2018−008431(JP,A)
【文献】 特開2008−026883(JP,A)
【文献】 特開2016−035012(JP,A)
【文献】 特開2011−202104(JP,A)
【文献】 特開2016−035013(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191243(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/04−7/06
B32B
H01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な非晶性ポリマーフィルム基材の一方の面にハードコート層を有する、透明導電性フィルム用のハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層は、バインダーと複数の微粒子とを含み、
前記微粒子の平均粒径は、前記ハードコート層の平均膜厚の50%以下であって、
前記微粒子が、前記ハードコート層の、前記非晶性ポリマーフィルム基材がある側とは反対の表面の側に偏在し、その表面の、算術平均粗さRaが、2〜20nmの範囲にあり、かつ、
前記ハードコート層の前記表面の凸部の分布密度、ここでは、白色干渉計を用いた三次元算術平均粗さSaの測定における、そのSaの測定基準となる平均面からの高さが2nm以上になっている凸部の、面積当たりの個数が、5000〜500000個/mm2の範囲にある、透明導電性フィルム用のハードコートフィルム。
【請求項2】
前記微粒子の平均粒径は、50〜500nmの範囲にある、請求項1に記載の透明導電性フィルム用のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層の平均膜厚は、0.5〜10.0μmの範囲にあり、前記ハードコート層における前記微粒子の割合は、1〜25重量%の範囲にある、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム用のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記微粒子は、有機微粒子である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム用のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層の前記表面に、光学調整層が設けられている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム用のハードコートフィルム。
【請求項6】
前記非晶性ポリマーフィルム基材の他方の面に、他のハードコート層を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム用のハードコートフィルム。
【請求項7】
前記非晶性ポリマーフィルム基材の他方の面側に、その他方の面側の最外層を形成するように保護フィルムが貼り合わされている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム用のハードコートフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透明な非晶性ポリマーフィルムを基材として用いる透明導電性フィルム用のハードコートフィルムに関するものであり、特に静電容量式等のタッチパネルに使用される透明導電性フィルム用のハードコートフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスマートフォンやタブレットPCなどのように、表示画面に触れることで情報を入力できる装置として、静電容量式等のタッチパネルが広く用いられていた。ここで、タッチパネル用の透明導電性フィルムとしては、基材フィルム上に、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)を、蒸着とかスパッタリング等の工法により積層したものが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、透明導電性フィルムの基材としては、複屈折が大きい結晶性ポリマーフィルムである、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いていたが、例えばサングラス越しにモバイル端末を操作するような場合にあっては、偏光サングラスの使用により干渉縞(uneven interference)が発生する問題があることから、複屈折が小さい非晶性ポリマーフィルムを基材として用いることが提案された。
【0004】
しかし、非晶性ポリマーフィルムを基材とした透明導電性フィルムにより、上記の干渉縞の発生は解消されたが、非晶性ポリマーフィルムは、結晶性ポリマーフィルムと比べ、フィルムの表面が傷つきやすいという欠点があった。そこで、非晶性ポリマーフィルムの片面あるいは両面にハードコート層を設けた、透明導電性フィルム用のハードコートフィルムが考えられたが、この場合、ハードコートフィルムをロール状に巻き取ると、重なり合うハードコートフィルムの基材の裏面とハードコート層、あるいはハードコート層同士が密着してしまう、ブロッキングの問題があった。そこで、非晶性ポリマーフィルム上に粒子を含むハードコート層を設け、ハードコート層およびその上の金属層表面に凹凸を形成させ、耐ブロッキング性(anti−blocking)を改良することが提案された(例えば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−68690号公報
【特許文献2】特開2013−107349号公報
【特許文献3】特開2013−243115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記従来の透明導電性フィルム用のハードコートフィルムにおいては、粒子を用いて、ハードコート層に、比較的大きな表面凹凸を形成させていることから、耐ブロッキング性は改良されるものの、液晶等の表示装置に適用した場合、前記表面凹凸がレンズとして働くことに起因する「ギラツキ(sparkle)」による視認性の低下の問題があった。
【0007】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、十分な耐ブロッキング性を得ることができ、かつ、表示装置に適用した場合に、画像のギラツキを抑えることができる、透明導電性フィルム用のハードコートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、透明な非晶性ポリマーフィルム基材の一方の面にハードコート層を有する。ここで、前記ハードコート層は、バインダーと複数の微粒子とを含み、前記微粒子の平均粒径は、前記ハードコート層の平均膜厚の50%以下である。そして、前記微粒子が、前記ハードコート層の、前記非晶性ポリマーフィルム基材がある側とは反対の表面の側に偏在し、その表面の、算術平均粗さRaが、2〜20nmの範囲にある。また、前記ハードコート層の前記表面の凸部の分布密度、ここでは、白色干渉計を用いた三次元算術平均粗さSaの測定における、そのSaの測定基準となる平均面からの高さが2nm以上になっている凸部の、面積当たりの個数が、5000〜500000個/mm2の範囲にある。
【0009】
この透明導電性フィルム用のハードコートフィルムによると、透明な非晶性ポリマーフィルム基材の一方の面のハードコート層に含まれる微粒子は、その平均粒径が、ハードコート層の平均膜厚の50%以下と小さく、その微粒子がハードコート層の表面の側に偏在している。そこで、その微粒子の影響を受けたハードコート層の表面の算術平均粗さRaを2nm以上とすることで、ハードコートフィルムの十分な耐ブロッキング性を得ることができ、また、そのハードコート層の表面の算術平均粗さRaを20nm以下とすることで、このハードコートフィルムを表示装置に適用した場合に、画像のギラツキを抑えることができる。ここで、ハードコート層の表面の凸部の分布密度はかなり大きく、5000〜500000個/mm2の範囲にある。
【0010】
【0011】
また、請求項に記載の発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、請求項1に記載のハードコートフィルムにおいて、前記微粒子の平均粒径は、50〜500nmの範囲にある。
【0012】
また、請求項に記載の発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、請求項1または2に記載のハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層の平均膜厚は、0.5〜10.0μmの範囲にあり、前記ハードコート層における前記微粒子の割合は、1〜25重量%の範囲にある。
【0013】
また、請求項に記載の発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、請求項1ないしのいずれか1項に記載のハードコートフィルムにおいて、前記微粒子は、有機微粒子である。
【0014】
また、請求項に記載の発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、請求項1ないしのいずれか1項に記載のハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層の前記表面に、光学調整層が設けられている。
【0015】
また、請求項に記載の発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、請求項1ないしのいずれか1項に記載のハードコートフィルムにおいて、前記非晶性ポリマーフィルム基材の他方の面に、他のハードコート層を有する。
【0016】
また、請求項に記載の発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムは、請求項1ないしいずれか1項に記載のハードコートフィルムにおいて、前記非晶性ポリマーフィルム基材の他方の面側に、その他方の面側の最外層を形成するように保護フィルムが貼り合わされている。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムによれば、平均粒径の小さい微粒子をハードコート層の表面の側に偏在させて、その表面の算術平均粗さRaを2〜20nmとすることで、十分な耐ブロッキング性を得ることができ、かつ、表示装置に適用した場合に、表面凹凸に起因する画像のギラツキを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の一実施の形態の模式図である。
図2】この発明の他の実施の形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムを実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る透明導電性フィルム用のハードコートフィルムの一実施の形態を示す。図中符号1は、透明導電性フィルム用のハードコートフィルムを示す。
【0021】
このハードコートフィルム1は、透明な非晶性ポリマーフィルム基材2の一方の面にハードコート層3を有する。ハードコート層3は、バインダー(binder component)と複数の微粒子4、4とを含む。そして、微粒子4の平均粒径は、ハードコート層3の平均膜厚の50%以下(好ましくは、33%以下)であって、その微粒子4が、ハードコート層3の、前記非晶性ポリマーフィルム基材2がある側とは反対の表面の側に偏在し、その表面の、算術平均粗さRaが、2〜20nm(好ましくは2〜10nm、さらに好ましくは2〜8nm)の範囲にある。ここで、微粒子4の形状は、球状が好ましいが、特にこれに限定されない。平均粒径とは、国際標準化機構規格ISO 13320を基にした日本工業規格JIS Z8825に従うレーザ回折・散乱法により得られる体積基準の粒子径分布の、算術平均値である。そして、ハードコート層3の平均膜厚とは、ハードコート層3の表面と非晶性ポリマーフィルム基材2との界面からの反射光を分光解析される測定法で得られた膜厚をいう。
【0022】
また、ハードコートフィルム1は、非晶性ポリマーフィルム基材2の他方の面に、他のハードコート層5を有する。そして、このハードコートフィルム1におけるハードコート層3の前記表面に、直接、あるいは何らかの層を介して透明導電層(図示せず)が設けられて、透明導電性フィルムとなる。透明導電層には、酸化インジウム錫などの金属酸化物とか銅や銀などの金属層が挙げられる。
【0023】
具体的には、ハードコートフィルム1の基材2となる非晶性ポリマーフィルムを形成する材料としては、脂環構造を有する非晶質オレフィンが好ましいが、これに限定されるわけではない。非晶質オレフィンとしては、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)やシクロオレフィンコポリマー(COC)等がある。また、この基材2の材料は、ポリカーボネートやトリアセチルセルロースやポリイミド等であってもよい。この基材2の厚さは、10〜500μmであるのが好ましく、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmであるのがよい。また、基材2の表面に、予め、易接着層の塗工やコロナ放電処理等の物理処理等の前処理を施すことで、積層されるハードコート層3との密着性を向上させることができる。
【0024】
ハードコート層3は、非晶性ポリマーフィルム基材2の一方の面に、少なくともバインダーと複数の微粒子4(詳しくは、有機微粒子)とを含むハードコート層用塗工液を塗工し、次いで乾燥し、紫外線露光することで作製される。塗工方法については特に制限はなく、例えば、リバースグラビアコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、キスコート法等の方法を用いることができるが、これらの方法に限定されるわけではない。
【0025】
微粒子4は、塗工液の塗工、乾燥、紫外線露光工程の中(特に、乾燥工程)で凝集し、ハードコート層3の表面の側に偏在することで、表面に凹凸が形成される。そのため乾燥が速すぎると、凝集・表面への偏在が不十分となるため、乾燥は50〜120℃の温度で10〜180秒間程度行うことが好ましく、特に乾燥温度は50〜80℃が好ましい。乾燥時間は、長いほどよいが、生産性を考慮すれば、10〜120秒程度とすることがさらに好ましい。
【0026】
そして、乾燥後に、ハードコート層3に紫外線を照射して硬化させることで、微粒子4の凝集体をハードコート層3の表面の側に固定化することができる。紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の紫外線照射装置を用いることができる。紫外線の照射量は、50〜800mJ/cm2の範囲、好ましくは、100〜300mJ/cm2の範囲であるのがよい。
【0027】
このハードコート層3の平均膜厚は、0.5〜10.0μmの範囲にあるのが好ましく、0.75〜5.0μmの範囲にあるのがより好ましい。平均膜厚が0.5μm未満であると、ハードコート層3の硬度が不充分となる虞があり、10.0μmを超えると、ハードコート層3あるいはその上の層にクラックが入ったり、巻き取りが困難となる虞があるだけでなく、透明性等の光学特性が低下する虞もある。
【0028】
詳細には、ハードコート層用塗工液は、ハードコート層3を形成する硬化性組成物と有機溶剤とからなる。この硬化性組成物は、微粒子4を含有するが、好ましくは、紫外線によって硬化するものがよい。より詳細には、この硬化性組成物としては、紫外線硬化性化合物および光(詳しくは、紫外線)重合開始剤を含むバインダー、微粒子4、レベリング剤等を含む、紫外線硬化型の組成物であることが好ましい。ここで、紫外線硬化性化合物としては、例えば、紫外線硬化性のモノマー、オリゴマー、プレポリマー単独またはそれら混合物があり、特に、アクリル酸エステル化合物とかメタクリル酸エステル化合物、あるいはビニル化合物等が好ましい。光(紫外線)重合開始剤は、紫外線照射により分解して重合を開始させるものであれば特に制限されず、それら光重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0029】
また、微粒子4の平均粒径は、50〜500nmの範囲にあるのが好ましく、80〜400nmの範囲にあるのがより好ましく、120〜400nmの範囲にあるのがさらに好ましい。そこで、ハードコート層3の表面凹凸は、これらの微粒子4、4(図示実施の形態においては、微粒子4、4の凝集体)によって形成されるが、平均粒径が50nm未満では充分な表面凹凸を形成することができない虞があり、平均粒径が500nmを越えると、ヘイズが上昇する虞がある。
【0030】
そして、ハードコート層3における微粒子4の割合(つまりは、ハードコート層用塗工液のうち有機溶剤を除いた部分に対する微粒子4の割合)は、粒径(平均粒径)によって異なるが、1〜25重量%の範囲にあるのが好ましく、さらには、2〜20重量%の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは、4〜18重量%の範囲にあるのがよい。1重量%未満では表面凹凸を充分に形成することができず、また、25重量%を越えるとヘイズ上昇などの問題が発生する懸念がある。
【0031】
また、微粒子4は、バインダーを含む塗工液中では安定に分散され、塗工、乾燥、紫外線照射後には表面の側に偏在することが必要であり、そのためにバインダーとの親和性を有し、比重、屈折率の点でバインダーと同様な特性を有することが好ましい。そして、この微粒子4を含むハードコート層3の表面の凸部の分布密度は、5000〜500000個/mm2の範囲にあるのが好ましい。ここで、凸部の分布密度は、三次元算術平均粗さSaの測定における、そのSaの測定基準となる平均面からの高さが2nm以上になっている凸部の、面積当たりの個数である。
【0032】
微粒子4(有機微粒子)としては、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、スチレン系樹脂、好ましくは、乳化重合法により合成された、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、スチレン系樹脂を素材とする微粒子がよく、その他にも、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂等を素材とする微粒子であってもよいが、こられに限定されるわけではない。また、これらの微粒子4、4は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
また、微粒子4の塗工液中での沈降、凝集を防ぎ、安定した連続生産性を確保するため、分散剤を微粒子100重量部に対して、0.01〜5重量部を添加してもよい。分散剤としては種々の界面活性剤があるが、アニオン系とかノニオン系の界面活性剤が好ましい。詳細には、分散剤となる界面活性剤として、硫酸エステル系、カルボン酸系等のアニオン型界面活性剤、ポリエチレングリコールエステル系等のノニオン型界面活性剤、フッソ系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アミド結合を有する高分子型界面活性剤等がある。
【0034】
また、ハードコート層3に表面凹凸を形成するために、微粒子4を表面近傍へ偏在させながら適度に凝集させるのがよく、例えば、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤のような粒子凝集剤を同時に添加することもできる。
【0035】
また、ハードコート層3の塗工時の濡れ性(wettability)を改良するとともに、干渉縞(uneven interference)やハジキ(cissing)を防止するため、前記界面活性剤の他にレベリング剤を用いても良い。このレベリング剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系のレベリング剤を用いることができるが、シリコーン系レベリング剤がより好ましい。シリコーン系レベリング剤としては、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アクリル基を有するポリエーテル変性シリコーン、アクリル基を有するポリエステル変性シリコーン等があるが、特にポリジメチルシロキサン系レベリング剤、例えばジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等が好ましい。また、フッ素系レベリング剤としては、フルオロ基、親水基、親油基、紫外線反応性基含有オリゴマー等がある。
【0036】
前記レベリング剤は、前記ハードコート層用塗工液における含有量が、バインダー(詳しくは、紫外線硬化性化合物および光重合開始剤を含むバインダー)に対し、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.05〜2重量%であることがより好ましい。
【0037】
また、前記ハードコート層用塗工液には、有機溶剤が含まれるが、この有機溶剤で紫外線硬化性化合物、光重合開始剤、微粒子4、およびレベリング剤等を溶解あるいは分散させることで、ハードコート層3を形成するための塗工液とすることができる。また有機溶剤を用いて塗工液を希釈することにより微粒子4が含有するハードコート層3の膜厚(平均膜厚)を適宜調節する。
【0038】
さらに、塗工液を塗工、乾燥、紫外線照射工程で有機溶剤が揮発することにより、微粒子4を凝集させるために、有機溶剤としては微粒子4と親和性が高いもの、例えば溶解度パラメータδが8〜11の範囲の有機溶剤を用いるのが好ましい。この範囲の有機溶媒は、微粒子4の分散性に優れ、耐ブロッキング性に優れる表面凹凸を有するハードコート層3を形成することができる。
【0039】
有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのようなアルコール系の有機溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン(アノン)、アセトン等のようなケトン系有機溶剤や、酢酸ブチル、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のようなエステル系有機溶剤や、トルエン、キシレン等のような芳香族系有機溶剤や、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のようなアミド系有機溶剤等を用いることができる。そして、これら例示の有機溶剤は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いても良いが、その溶解度パラメータδは、8〜11の範囲であることが好ましく、さらには、δが8〜10の範囲にあるケトン系またはエステル系が好ましい。
【0040】
そして、ハードコート層用塗工液における有機溶剤の含有量は、ハードコート層3の膜厚(平均膜厚)やハードコート層用塗工液の粘度等を考慮して決定されるが、硬化性組成物に対し、20〜95重量%の範囲内であることが好ましく、さらには、40〜90重量%の範囲内であるのがより好ましい。
【0041】
次に、以上の構成からなるハードコートフィルム1の作用効果について説明する。このハードコートフィルム1によると、透明な非晶性ポリマーフィルム基材2の一方の面のハードコート層3に含まれる微粒子4は、その平均粒径が、ハードコート層3の平均膜厚の50%以下と小さく、その微粒子4がハードコート層3の表面の側に偏在している。そこで、その微粒子4の影響を受けたハードコート層3の表面の算術平均粗さRaを2nm以上とすることで、ハードコートフィルム1の十分な耐ブロッキング性を得ることができ、また、そのハードコート層3の表面の算術平均粗さRaを20nm以下とすることで、このハードコートフィルム1を表示装置に適用した場合に、画像のギラツキ(sparkle)を抑えることができる。また、ハードコート層3の表面の算術平均粗さRaが20nmを超える場合には、画像のギラツキが増し視認性が損なわれる虞がある。
【0042】
すなわち、このハードコートフィルム1によれば、平均粒径の小さい微粒子4をハードコート層3の表面の側に偏在させて、その表面の算術平均粗さRaを2〜20nmとすることで、十分な耐ブロッキング性を得ることができ、かつ、表示装置に適用した場合に、表面凹凸に起因する画像のギラツキを抑えることができる。
【0043】
また、ハードコート層3の表面の凸部の分布密度はかなり大きく、好ましくは5000個/mm2以上、さらに好ましくは10000個/mm2以上であり、分布密度が5000個/mm2未満では十分な耐ブロッキング性が得られない場合もある。また、分布密度が500000個/mm2を超えるとヘイズ上昇などの問題が発生する虞がある。ここで、十分な視認性を確保するためには、ヘイズは、2%以下とするのがよく、さらに好ましくは、1%以下とするのがよい。
【0044】
また、ハードコートフィルム1は、ハードコート層3が十分な耐ブロッキング性を有しており、そのままでロールとして巻き取ることができるが、非晶性ポリマーフィルム基材2が薄いと取り扱いが難しくなるため、後述する保護フィルム7を貼り合せても良い。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、図2に示すように、ハードコート層3の前記表面に、光学調整層6が設けられてもよい。図示実施の形態においては、光学調整層6は、高屈折率層6aと低屈折率層6bとの二層からなるが、勿論一層からなっても構わない。ここで、高屈折率層6aにおいては、金属酸化微粒子を含んでもよい。この金属酸化微粒子としては、例えば、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、ケイ素、ニオブ、マグネシウム、クロム、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモン、白金等の酸化物があるが、特に、酸化ジルコニウム、酸化チタンが好ましい。また、ハードコートフィルム1は、非晶性ポリマーフィルム基材2の他方の面に、他のハードコート層5を有する。そして、非晶性ポリマーフィルム基材2の他方の面側に、その他方の面側の最外層を形成するように保護フィルム7が貼り合わされている。図示実施の形態においては、他のハードコート層5を有するため、保護フィルム7は、他のハードコート層5の、非晶性ポリマーフィルム基材2がある側とは反対の表面に貼り合わされる。もっとも、他のハードコート層5が無い場合には、保護フィルム7は、非晶性ポリマーフィルム基材2の他方の面に貼り合わされる。保護フィルム7は、基材となるプラスチックフィルム基材7aの一方の面に粘着層7bを有する。この保護フィルム7を形成する材料は限定されないが、熱処理工程中および熱処理工程後のカールの制御という観点から、ハードコートフィルム1と加熱収縮率および線膨張係数が近い材料が好ましい。そして、この図2に示すように、ハードコートフィルム1における光学調整層6の、ハードコート層3がある側とは反対の表面に、透明導電層8が設けられて、透明導電性フィルムが形成される。
【0046】
また、図2において、ハードコート層3の表面に加えて、他のハードコート層5の、非晶性ポリマーフィルム基材2がある側とは反対の表面に、屈折率層6が設けられてもよい。
【0047】
また、他のハードコート層5は、微粒子を含んでいなくてもよく、また、ハードコート層3と同様に平均粒径が他のハードコート層5の平均膜厚の50%以下となる複数の微粒子(特に、平均粒径が他のハードコート層5の平均膜厚の50%以下であって、微粒子が、他のハードコート層5の、非晶性ポリマーフィルム基材2がある側とは反対の表面の側に偏在し、その表面の、算術平均粗さRaが、2〜20nmの範囲となる、複数の微粒子であったり、ハードコート層3に含まれる微粒子4と同様の条件の複数の微粒子)、あるいはそれよりも大となる複数の微粒子を含むものであってもよい。
【0048】
また、ハードコートフィルム1は、他のハードコート層5を有するが、このハードコート層5は、なくてもよい。また、ハードコート層3に含まれる微粒子4は、有機微粒子であるのが好ましいが、無機微粒子であってもよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0050】
<実施例1>
(ハードコート層用塗工液(1)の調整)
SUS(ステンレス鋼)製容器に、アクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)を10.36g、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:8019ADDITIVE)の1重量%のMIBK(methyl isobutyl ketone)溶液を0.41g、MIBKを4.23gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(A)を調整した。
【0051】
また、別のSUS製容器に、上記のアクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)からアクリル樹脂系微粒子4を抜いたアクリレート化合物組成物を11.39g、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:8019ADDITIVE)の1重量%のMIBK溶液を0.45g、MIBKを3.15gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(B)を調整した。
【0052】
新たなSUS製容器に、ハードコート層用塗工液(A)を2.0g、ハードコート層用塗工液(B)を2.0gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(1)を調整した。
【0053】
(ハードコートフィルム(1)の作製)
非晶性ポリマーフィルム基材2としてシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名:ゼオノアフィルムZF16、厚み100μm)を用いた。このフィルムの片面にコロナ処理を施した後、上記のハードコート層用塗工液(1)を、#5のワイヤーバーを用いて塗工し、その後、80℃の温度で1.0分間かけて乾燥し、次いで、高圧水銀ランプを用いて、光量200mJ/cm2の条件で紫外線を照射し、ハードコート層を硬化させて、ハードコートフィルム(1)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は1.5μmであった。
【0054】
<実施例2>
(ハードコートフィルム(2)の作製)
ハードコート層用塗工液を、実施例1のハードコート層用塗工液(A)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(2)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は1.5μmであった。
【0055】
<実施例3>
(ハードコート層用塗工液(2)の調整)
SUS製容器に、実施例1のアクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)の微粒子4を、粒径(平均粒径)400nmのアクリル樹脂系微粒子(粒子濃度5.5重量%)に変更した、固形分濃度55.5%のアクリレート化合物組成物を10.26g、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:8019ADDITIVE)の1重量%のMIBK溶液を0.41g、MIBKを4.33gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(C)を調整した。
【0056】
新たなSUS製容器に、実施例1のハードコート層用塗工液(B)を2.0g、上記のハードコート層用塗工液(C)を2.0gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(2)を調整した。
【0057】
(ハードコートフィルム(3)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)を、上記のハードコート層用塗工液(2)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(3)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は1.5μmであった。
【0058】
<実施例4>
(ハードコートフィルム(4)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)を、実施例3のハードコート層用塗工液(C)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(4)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は1.5μmであった。
【0059】
<実施例5>
(ハードコートフィルム(5)の作製)
ハードコート層用塗工液を、実施例1のハードコート層用塗工液(A)に変更し、#8のワイヤーバーを用いる以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(5)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は5.0μmであった。
【0060】
<実施例6>
(ハードコート層用塗工液(3)の調整)
SUS製容器に、実施例1のアクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)の微粒子4を、粒径(平均粒径)180nmのアクリル樹脂系微粒子(粒子濃度5.5重量%)に変更した、固形分濃度55.5%のアクリレート化合物組成物を10.26g、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:8019ADDITIVE)の1重量%のMIBK溶液を0.41g、MIBKを4.33gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(3)を調整した。
【0061】
(ハードコートフィルム(6)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)を、上記のハードコート層用塗工液(3)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(6)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は1.5μmであった。
【0062】
<実施例7>
(ハードコート層用塗工液(4)の調整)
SUS製容器に、アクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)を2.91g、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:8019ADDITIVE)の1重量%のMIBK溶液を0.11g、MIBKを4.98gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(4)を調整した。
(ハードコートフィルム(7)の作製)
【0063】
ハードコート層用塗工液を、上記のハードコート層用塗工液(4)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(7)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は0.75μmであった。
【0064】
<実施例8>
(ハードコート層用塗工液(5)の調整)
SUS製容器に、実施例1のアクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)の微粒子4を粒子濃度8.5重量%に増量した、固形分濃度50.0%のアクリレート化合物組成物を3.2g、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製:8019ADDITIVE)の1重量%のMIBK溶液を0.12g、MIBKを4.67gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(5)を調整した。
(ハードコートフィルム(8)の作製)
【0065】
ハードコート層用塗工液(1)を、上記のハードコート層用塗工液(5)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(8)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は0.75μmであった。
【0066】
<実施例9>
(ハードコート層用塗工液(6)の調整)
SUS製容器に、アクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−735−35L、固形分濃度50重量%、粒子濃度10重量%、粒径(平均粒径)120nm)を4.0g、PGMを4.0g加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(6)を調整した。
【0067】
(ハードコートフィルム(9)の作製)
非晶性ポリマーフィルム基材2としてシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名:ゼオノアフィルムZD16、厚み100μm)を用い、#7のワイヤーバーを用いる以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(9)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は2.0μmであった。
【0068】
<実施例10>
(ハードコートフィルム(10)の作製)
#4のワイヤーバーに変更する以外は実施例9と全く同様にして、ハードコートフィルム(10)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は1.0μmであった。
【0069】
<実施例11>
(ハードコート層用塗工液(7)の調整)
SUS製容器に、アクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−735−35L、固形分濃度50重量%、粒子濃度10重量%、粒径(平均粒径)120nm)を15.0kg、PGMを15.0kg加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(7)を調整した。
【0070】
(ハードコートフィルム(11)の作製)
非晶性ポリマーフィルム基材2としてシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名:ゼオノアフィルムZD16、厚み100μm)を用いた。このフィルムの両面にコロナ処理を施した後、上記のハードコート層用塗工液(7)を、リバースグラビアを用いて塗工し、その後、70℃の温度で1.5分間かけて乾燥し、次いで、高圧水銀ランプを用いて、光量200mJ/cm2の条件で紫外線を照射し、ハードコート層を硬化させて、ハードコートフィルム(11)を作製した。得られたハードコート層3、5の膜厚(平均膜厚)は1.0μmであった。
【0071】
<実施例12>
(ハードコート層用塗工液(8)の調整)
SUS製容器に、アクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)を16.47kg、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:8019ADDITIVE)の10重量%のMIBK溶液を0.24kg、MIBKを6.86kg、シクロヘキサノンを27.45kgを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(8)を調整した。
【0072】
(ハードコートフィルム(12)の作製)
非晶性ポリマーフィルム基材2としてシクロオレフィンフィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名:ゼオノアフィルムZF16、厚み100μm)を用い、ハードコート層用塗工液(7)を、上記のハードコート層用塗工液(8)に変更する以外は実施例11と全く同様にして、ハードコートフィルム(12)を作製した。得られたハードコート層3、5の膜厚(平均膜厚)は1.5μmであった。
【0073】
<実施例13>
(光学調整層用塗工液(1)の調整)
SUS製容器に、酸化ジルコニウム微粒子を含むアクリレート化合物組成物(固形分濃度40重量%、屈折率1.65)を3.38kg、MIBKを26.63kgを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、光学調整層用塗工液(1)を調整した。
【0074】
(光学調整層付きハードコートフィルム(1)の作製)
実施例12で作製したハードコートフィルム(12)を用い、その片面であるハードコート層3の表面に、上記光学調整層用塗工液(1)を、リバースグラビアを用いて塗工し、その後100℃の温度で1.5分間かけて乾燥し、次いで、窒素ガス雰囲気下で高圧水銀ランプを用いて、光量200mJ/cm2の条件で紫外線を照射し、光学調整層を硬化させて、光学調整層付きハードコートフィルム(1)を作製した。得られた光学調整層6(詳しくは、高屈折率層6a)の膜厚は60nmであった。
【0075】
<実施例14>
光学調整層用塗工液(1)を、ハードコートフィルム(12)の両面に塗工する以外は、実施例13と全く同様にして、光学調整層を硬化させて、光学調整層付きハードコートフィルム(2)を作製した。得られた光学調整層6(詳しくは、高屈折率層6a)の膜厚は、60nmであった。
【0076】
<実施例15>
実施例13にて作製した光学調整層付きハードコートフィルム(1)の光学調整層6が設けられていない面側に、粘着層7bを有するプラスチック保護フィルム7を貼り合わせ、保護フィルムおよび光学調整層付きハードコートフィルム(1)を作製した。
【0077】
<比較例1>
(ハードコート層用塗工液(9)の調整)
SUS製容器に、実施例1のハードコート層用塗工液(A)を1.25g、ハードコート層用塗工液(B)を3.75gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(9)を調整した。
【0078】
(ハードコートフィルム(13)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)を、上記のハードコート層用塗工液(9)に変更する以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(13)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は1.5μmであった。
【0079】
<比較例2>
(ハードコート層用塗工液(10)の調整)
SUS製容器に、実施例1のアクリル樹脂系微粒子4を含有するアクリレート化合物組成物(アイカ工業株式会社製、商品名:アイカアイトロンZ−739L、固形分濃度55重量%、粒子濃度5重量%、粒径(平均粒径)120nm)からアクリル樹脂系微粒子4を抜いたアクリレート化合物組成物を5.0g、ポリエーテル変性シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:8019ADDITIVE)の1重量%のMIBK溶液を0.20g、1,3−ジオキソラン(1,3−dioxolane)を0.40g、粒径(平均粒径)1500nmの球状アクリル粒子(綜研化学株式会社製、商品名:MX−150)を1.0gを加え、全体が均一に混合されるよう撹拌を行い、ハードコート層用塗工液(10)を調整した。
【0080】
(ハードコートフィルム(14)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)を、上記のハードコート層用塗工液(10)に変更し、#6のワイヤーバーを用いる以外は実施例1と全く同様にして、ハードコートフィルム(14)を作製した。得られたハードコート層3の膜厚(平均膜厚)は2.0μmであった。
【0081】
[ハードコートフィルムの評価]
(表面粗さRa)
白色干渉計(株式会社菱化システム製、商品名:VertScan)を用い、10×10cmに切り出したサンプルをステージに置き、50倍レンズにて、表面粗さ(算術平均粗さ)Raを3回測定し、その平均値を算出した。
【0082】
(表面凸部の分布密度)
白色干渉計(株式会社菱化システム製、商品名:VertScan)を用い、三次元算術平均粗さSaの測定データから、そのSaの測定基準となる平均面からの高さが2nm以上になっている凸部の個数をカウントした。
【0083】
(ヘイズ)
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名:NDH 5000)にて測定した。
【0084】
(耐ブロッキング性)
作製したハードコートフィルムから、A4サイズのサンプルを切り出し、10枚を重ね合わせ、25℃/60%の恒温恒湿条件下で、10kgの荷重を72時間与え、フィルムの同士の密着性を目視で観察した。
【0085】
その結果、全く密着せず密着跡も認められないものを◎、密着はしていないがわずかに密着跡が認められるものを○、密着しているものを×と判断した。
【0086】
(ギラツキ)
高精細なディスプレイを搭載するタブレットPC(Apple社製、商品名:i−Pad)の画面全体を緑色表示にし、その上に評価すべきハードコートフィルムを載せて、ギラツキを目視判定した。ギラツキが全く認められないものを○、ギラツキがわずかでも認められるものを×と判断した。
【0087】
実施例および比較例のハードコートフィルムの性能を下記表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1から、実施例1〜12におけるハードコートフィルムは、表面粗さ(算術平均粗さ)Raが小さく、表面の凸部の密度が高く、ヘイズが低く、フィルム表面に微小な凸部が多数形成されている。このハードコートフィルムは、ギラツキがなく、十分な耐ブロッキング性を有している。
【0090】
また、微粒子4の添加量が少ない比較例1では、表面粗さRaが小さく、表面の凸部の分布密度が低く、十分な耐ブロッキング性が得られていない。一方、大きな微粒子4を用いた比較例2では、表面粗さRaは大きく、表面の凸部の分布密度が低く、フィルム表面に比較的大きな凸部が少数形成され、耐ブロッキング性は確保されているものの、ギラツキがあり、視認性が低下している。
【0091】
また、実施例13〜15に関しては、表1に記載しないが、実施例13は、実施例12のハードコートフィルムに光学調整層6を設けたものであり、表面粗さRaが、3.3nm、表面凸部分布密度が、103000個/mm2、ヘイズが0.7%であり、耐ブロッキング性の評価は、○であった。この実施例13は、膜厚が60nmの光学調整層6を有するが、表面粗さは、ほとんど変化せず、実施例12と同様の耐ブロッキング性が得られている。
【符号の説明】
【0092】
1 ハードコートフィルム
2 非晶性ポリマーフィルム基材
3 ハードコート層
4 微粒子
5 他のハードコート層
6 光学調整層
7 保護フィルム
図1
図2