(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置であり、半導体素子(トランジスタ、ダイオード、フォトダイオード等)を含む回路、同回路を有する装置等をいう。また、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般をいう。例えば、集積回路、集積回路を備えたチップや、パッケージにチップを収納した電子部品は半導体装置の一例である。また、記憶装置、表示装置、発光装置、照明装置及び電子機器等は、それ自体が半導体装置であり、半導体装置を有している場合がある。
【0029】
本明細書等において、XとYとが接続されていると記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層など)であるとする。
【0030】
トランジスタは、ゲート、ソース、およびドレインと呼ばれる3つの端子を有する。ゲートは、トランジスタの導通状態を制御する制御ノードである。ソースまたはドレインとして機能する2つの入出力ノードは、トランジスタの型及び各端子に与えられる電位の高低によって、一方がソースとなり他方がドレインとなる。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。また、本明細書等では、ゲート以外の2つの端子を第1端子、第2端子と呼ぶ場合や、第3端子、第4端子と呼ぶ場合がある。
【0031】
ノードは、回路構成やデバイス構造等に応じて、端子、配線、電極、導電層、導電体、不純物領域等と言い換えることが可能である。また、端子、配線等をノードと言い換えることが可能である。
【0032】
電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位、ソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。なお、電位とは相対的なものである。よって、GNDと記載されていても、必ずしも0Vを意味しない場合がある。
【0033】
本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、順序を表すために使用される場合がある。または、構成要素の混同を避けるために使用する場合があり、この場合、序数詞の使用は構成要素の個数を限定するものではなく、順序を限定するものでもない。また、例えば、「第1」を「第2」または「第3」に置き換えて、発明の一形態を説明することができる。
【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に関わるレベルシフト回路について、
図1乃至
図6を用いて説明する。
【0035】
[構成例1]
図1に、本発明の一態様に関わるレベルシフト回路110の構成例を示す。
【0036】
レベルシフト回路110は、電位VDD1と電位VSS1との間で振幅をとる入力信号を電位VDD2と電位VSS2との間で振幅をとる出力信号に変換する機能を有する。言い換えると、レベルシフト回路110は、入力信号をより大きい振幅電圧またはより小さい振幅電圧の出力信号に変換する機能を有する。
【0037】
電位VSS1と、電位VSS2とは、等しいと好ましい。また、電位VSS1と電位VSS2とは、いずれも接地電位であってもよい。
【0038】
レベルシフト回路110は、レベルシフト部111と、バッファ回路112とを有する。また、レベルシフト回路110は、入力端子IN1と、インバータ回路23と、出力端子OUT1とを有する。
【0039】
レベルシフト部111は、トランジスタ11と、トランジスタ12と、トランジスタ13と、トランジスタ14と、トランジスタ15とを有する。トランジスタ11、トランジスタ12およびトランジスタ14は、pチャネル型のトランジスタであり、トランジスタ13およびトランジスタ15は、nチャネル型のトランジスタである。
【0040】
バッファ回路112は、インバータ回路21と、インバータ回路22とを有する。
【0041】
トランジスタ11のソースまたはドレインの一方は、電位VDD2が与えられる配線に電気的に接続され、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ12のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ12のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ13のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ13のソースまたはドレインの他方は、電位VSS2が与えられる配線に電気的に接続される。
【0042】
トランジスタ14のソースまたはドレインの一方は、電位VDD2が与えられる配線に電気的に接続され、トランジスタ14のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ15のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ15のソースまたはドレインの他方は、電位VSS2が与えられる配線に電気的に接続される。
【0043】
トランジスタ11のゲートおよびトランジスタ14のゲートは、トランジスタ12のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ13のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。
【0044】
トランジスタ13のゲートは、入力端子IN1およびインバータ回路23の入力端子に電気的に接続される。いいかえると、トランジスタ13のゲートは、レベルシフト回路110の入力信号が入力される配線に電気的に接続される。
【0045】
また、トランジスタ15のゲートは、インバータ回路23の出力端子に電気的に接続される。いいかえると、トランジスタ15のゲートは、レベルシフト回路110の入力信号の反転信号が入力される配線に電気的に接続される。
【0046】
インバータ回路21の入力端子は、トランジスタ14のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ15のソースまたはドレインの一方に電気的に接続され、インバータ回路21の出力端子は、インバータ回路22の入力端子に電気的に接続される。インバータ回路22の出力端子は、トランジスタ12のゲートおよび出力端子OUT1に電気的に接続される。いいかえると、インバータ回路22の出力端子は、トランジスタ12のゲートおよびレベルシフト回路110の出力信号が出力される配線に電気的に接続される。
【0047】
なお、インバータ回路21の入力端子は、バッファ回路112の入力端子として機能し、インバータ回路22の出力端子は、バッファ回路112の出力端子として機能する。
【0048】
以上が、レベルシフト回路110の構成に関する説明である。
【0049】
レベルシフト回路110において、入力端子IN1にLow信号が入力されると、まず、トランジスタ13のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ13がオフ状態となり、また、トランジスタ15のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ15がオン状態となる。トランジスタ15がオン状態となることにより、インバータ回路21の入力端子に電位VSS2が入力されるため、インバータ回路22の出力端子にLow信号が出力され、したがって、出力端子OUT1に、Low信号が入力される。
【0050】
レベルシフト回路110において、入力端子IN1にHigh信号が入力されると、まず、トランジスタ13のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ13がオン状態となり、また、トランジスタ15のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ15がオフ状態となる。次に、トランジスタ13がオン状態となることにより、トランジスタ11のゲートおよびトランジスタ14のゲートに電位VSS2が入力されるため、トランジスタ11およびトランジスタ14がオン状態となる。さらに、トランジスタ14がオン状態となることにより、インバータ回路21の入力端子に電位VDD2が入力されるため、インバータ回路22の出力端子にHigh信号が出力され、したがって、出力端子OUT1に、High信号が入力される。
【0051】
入力端子IN1にHigh信号が入力されるとき、トランジスタ11およびトランジスタ13がいずれもオン状態となるため、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方とトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間に電流が流れやすい状態となる。しかし、インバータ回路22の出力端子にHigh信号が出力されることにより、トランジスタ12のゲートにもHigh信号が印加され、トランジスタ12がオフ状態となる。これによって、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方とトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間の電流が遮断される。したがって、レベルシフト回路110の構成とすることにより、消費電力の増大を抑制することができる。
【0052】
また、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方とトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間の電流が遮断されることによって、トランジスタ11およびトランジスタ13に対する負荷を抑制することができる。したがって、レベルシフト回路110の構成とすることにより、トランジスタ11およびトランジスタ13の特性変動を防ぐことができ、トランジスタサイズを拡大する必要性が低減される。
【0053】
[構成例2]
次に、
図2を用いてレベルシフト回路110と同様の機能を有するレベルシフト回路115の構成について説明する。
【0054】
レベルシフト回路115は、バッファ回路112の代わりにバッファ回路113を有する点で、レベルシフト回路110と異なる。すなわちレベルシフト回路115は、レベルシフト部111と、バッファ回路113とを有する。また、レベルシフト回路115は、入力端子IN1と、インバータ回路23と、出力端子OUT1とを有する。
【0055】
バッファ回路113は、インバータ回路24およびインバータ回路25を有する。インバータ回路24およびインバータ回路25は、いずれも、2の入力端子を有するインバータ回路である。
【0056】
インバータ回路24は、トランジスタ16と、トランジスタ17とを有する。トランジスタ16のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ17のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0057】
インバータ回路25は、トランジスタ18と、トランジスタ19とを有する。トランジスタ18のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ19のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0058】
トランジスタ16およびトランジスタ18は、pチャネル型のトランジスタであり、トランジスタ17およびトランジスタ19は、nチャネル型のトランジスタである。
【0059】
トランジスタ16のゲートは、インバータ回路24の第1の入力端子として機能する。また、トランジスタ17のゲートが、インバータ回路24の第2の入力端子として機能する。また、トランジスタ16のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ17のソースまたはドレインの一方の両方に電気的に接続される端子は、インバータ回路24の出力端子として機能する。
【0060】
トランジスタ18のゲートは、インバータ回路25の第1の入力端子として機能する。また、トランジスタ19のゲートが、インバータ回路25の第2の入力端子として機能する。また、トランジスタ18のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ19のソースまたはドレインの一方の両方に電気的に接続される端子は、インバータ回路25の出力端子として機能する。
【0061】
レベルシフト回路115が有するレベルシフト部111は、レベルシフト回路110が有するレベルシフト部111と同様の構成を有する。レベルシフト回路115が有するレベルシフト部111に関する説明は、レベルシフト回路110が有するレベルシフト部111に関する説明を参照することができる。
【0062】
インバータ回路24の第1の入力端子であるトランジスタ16のゲートは、トランジスタ14のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ15のソースまたはドレインの一方に電気的に接続され、インバータ回路24の第2の入力端子であるトランジスタ17のゲートは、入力端子IN1に電気的に接続される。
【0063】
インバータ回路25の第1の入力端子であるトランジスタ18のゲートは、インバータ回路24の出力端子に電気的に接続され、インバータ回路25の第2の入力端子であるトランジスタ19のゲートは、インバータ回路23の出力端子に電気的に接続される。また、インバータ回路25の出力端子は、トランジスタ12のゲートおよび出力端子OUT1に電気的に接続される。いいかえると、インバータ回路25の出力端子は、トランジスタ12のゲートおよびレベルシフト回路115の出力信号が出力される配線に電気的に接続される。
【0064】
なお、トランジスタ16のゲートは、バッファ回路113の入力端子として機能するともいえる。また、インバータ回路25の出力端子は、バッファ回路113の出力端子として機能するともいえる。
【0065】
以上が、レベルシフト回路115の構成に関する説明である。
【0066】
レベルシフト回路115において、入力端子IN1にLow信号が入力されると、まず、トランジスタ13のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ13がオフ状態となり、トランジスタ15のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ15がオン状態となり、トランジスタ17のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ17がオフ状態となり、トランジスタ19のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ19がオン状態となる。
【0067】
次に、トランジスタ15がオン状態となることにより、トランジスタ16のゲートに電位VSS2が入力されるため、トランジスタ16がオン状態となる。続いてトランジスタ18のゲートに電位VDD2が入力されるため、トランジスタ18はオフ状態となる。従ってインバータ回路25の出力端子からは電位VSS2が出力される。すなわち、出力端子OUT1に、Low信号が出力される。
【0068】
一方、レベルシフト回路115において、入力端子IN1にHigh信号が入力されると、まず、トランジスタ13のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ13がオン状態となり、トランジスタ15のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ15がオフ状態となり、トランジスタ17のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ17がオン状態となり、トランジスタ19のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ19がオフ状態となる。
【0069】
次に、トランジスタ13がオン状態となることにより、トランジスタ11のゲートおよびトランジスタ14のゲートに電位VSS2が入力されるため、トランジスタ11およびトランジスタ14がオン状態となる。さらに、トランジスタ14がオン状態となることにより、トランジスタ16のゲートに電位VDD2が入力される。
【0070】
次に、トランジスタ16のゲートに電位VDD2が入力されることにより、トランジスタ16がオフ状態となるため、トランジスタ18のゲートに電位VSS2が印加される。これによって、トランジスタ18がオン状態となるため、インバータ回路25の出力端子からは電位VDD2が出力される。すなわち、出力端子OUT1にHigh信号が出力される。
【0071】
入力端子IN1にHigh信号が入力されるとき、トランジスタ11およびトランジスタ13がいずれもオン状態となるため、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方とトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間に電流が流れやすい状態となる。しかし、インバータ回路25の出力端子にHigh信号が出力されることにより、トランジスタ12のゲートにもHigh信号が印加され、トランジスタ12がオフ状態となる。これによって、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方とトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間の電流が遮断される。したがって、レベルシフト回路115の構成とすることにより、消費電力の増大を抑制することができる。
【0072】
また、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方とトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間の電流が遮断されることによって、トランジスタ11およびトランジスタ13に対する負荷を抑制することができる。したがって、レベルシフト回路115の構成とすることにより、トランジスタ11およびトランジスタ13の特性変動を防ぐことができ、トランジスタサイズを拡大する必要性が低減される。
【0073】
また、
図1に示すレベルシフト回路110の構成と比較すると、
図2に示すレベルシフト回路115は、バッファ回路113(インバータ回路24およびインバータ回路25)を有する構成であることにより、出力信号を増幅させ、より安定に動作することが可能である。
【0074】
例えば、入力端子IN1に入力される入力信号がHighからLowに変化するとき、トランジスタ16のゲートに入力される電位が、十分に低下しない場合があると想定する。このような場合であっても、トランジスタ17のゲートにはLow信号が入力端子IN1から入力されるため、トランジスタ17は、確実にオフ状態となる。したがって、トランジスタ18のゲートにHigh信号を入力しやすくなる。
【0075】
また例えば、入力端子IN1に入力される入力信号がLowからHighに変化するとき、トランジスタ18のゲートに入力される電位が、十分に低下しない場合があると想定する。このような場合であっても、トランジスタ19のゲートにはLow信号が、インバータ回路23の出力端子から入力されるため、トランジスタ19は、確実にオフ状態となり、インバータ回路24は、High信号を出力しやすくなる。
【0076】
従って、レベルシフト回路115は、バッファ回路113の構成を使用することにより、バッファ回路113に入力された信号を増幅して出力することができる。よって、レベルシフト回路115は、より安定な動作が可能である。
【0077】
ここで、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115の比較例として、トランジスタ12のゲートが、インバータ回路21の入力端子と接続されるレベルシフト回路を想定する(
図6(A)参照)。レベルシフト回路110、レベルシフト回路115および
図6(A)に示すレベルシフト回路のいずれにおいても、入力端子IN1に入力される信号がHighからLowに変化するとき、トランジスタ12はオン状態となるのが好ましい。
【0078】
しかし、
図6(A)に示すレベルシフト回路において、入力端子IN1に入力される信号がHighからLowに変化するとき、トランジスタ12のゲートに印加される電位は、トランジスタ12をオン状態とするのに十分に低下しにくい場合がある。また、トランジスタ12がオン状態とならないために、
図6(A)に示すレベルシフト回路は、動作できなくなることがある。
【0079】
一方、レベルシフト回路110において、バッファ回路112の出力端子から出力される信号は、バッファ回路112の入力端子(インバータ回路21の入力端子ともいえる)に入力される信号よりも増幅される。したがって、レベルシフト回路110においては、入力端子IN1に入力される入力信号がHighからLowに変化するとき、トランジスタ12のゲートに印加される電位は、トランジスタ12をオン状態とするのに十分に低下しやすくなる。したがって、レベルシフト回路110は、
図6(A)に示すレベルシフト回路と比較してより安定に動作しやすいといえる。
【0080】
また、レベルシフト回路115において、バッファ回路113の出力端子から出力される信号は、バッファ回路113の入力端子に入力される信号よりも増幅される。したがって、レベルシフト回路115においては、入力端子IN1に入力される入力信号がHighからLowに変化するとき、トランジスタ12のゲートに印加される電位は、トランジスタ12をオン状態とするのに十分に低下しやすくなる。したがって、レベルシフト回路115は、
図6(A)に示すレベルシフト回路と比較してより安定に動作しやすいといえる。
【0081】
次に、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115の別の比較例として、
図6(B)に示すレベルシフト回路のように、トランジスタ11のゲートおよびトランジスタ14のゲートが、トランジスタ11のソースまたはドレインのいずれか他方およびトランジスタ12のソースまたはドレインのいずれか一方に接続される構成を想定する。
図6(B)において、トランジスタ14のソースまたはドレインの他方、トランジスタ15のソースまたはドレインの一方および、インバータ回路21の入力端子に電気的に接続されるノードをノードVLSとする。
【0082】
図6(B)に示すレベルシフト回路においては、レベルシフト回路110と同様に、入力端子IN1にHigh信号が入力され、インバータ回路22の出力端子にHigh信号が出力されるときに、トランジスタ12がオフ状態となるため、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間の電流が遮断される。しかし、トランジスタ12がオフ状態となることにより、トランジスタ11のゲートおよびトランジスタ14のゲートに印加される電位が不定となるため、ノードVLSにおける電位は、不定となる。
【0083】
ノードVLSにおける電位が不定となると、インバータ回路21またはインバータ回路22において、貫通電流が発生しやすくなり、消費電力が増加しやすくなる。また、ノードVLSにおける電位が不定となると、レベルシフト回路の周囲から受けるノイズの影響を受けて、入力端子IN1に入力される信号とは論理が逆の信号を出力端子OUT1から出力してしまう恐れがある。
【0084】
レベルシフト回路の周囲から受けるノイズは、例えば、レベルシフト回路が有する配線と、当該配線に近接する周囲の配線との間の容量カップリングによって発生することがある。また、例えば、電位VSS1と、電位VSS2とが異なる値となることで、トランジスタ15の動作が安定しないことによって発生することがある。
【0085】
一方、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115において、トランジスタ12は、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方と、トランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間に接続される。したがって、トランジスタ12がオフ状態であるときでも、トランジスタ11、トランジスタ14は、オン状態であるため、バッファ回路の入力端子に電位VDD2を入力することができる。
【0086】
従って、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115は、バッファ回路の入力端子に入力される電位が不定となるのを防ぐことができる。そのため、バッファ回路において、貫通電流が発生するのを抑制し、消費電力を小さくすることができる。また、レベルシフト回路の周囲から受けるノイズがあっても、入力端子IN1に入力される入力信号と論理が逆の信号を出力することを防ぐことができる。よって、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115は、安定に動作することができる。
【0087】
また、
図6(B)に示すレベルシフト回路においては、入力端子IN1にHigh信号が入力されるときに、トランジスタ12をオフ状態とすることで、トランジスタ11のゲートおよびトランジスタ14のゲートに接続される配線に電荷が残留しやすい。入力端子IN1に入力される入力信号がHighからLowに変化するとき、この残留した電荷によってレベルシフト回路の動作に不具合が発生する場合がある。
【0088】
一方、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115においては、入力端子IN1にHigh信号が入力されるときに、トランジスタ12をオフ状態としても、トランジスタ11のゲートおよびトランジスタ14のゲートに接続される配線に電荷が残留しにくい。よって、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115は、安定に動作することができる。
【0089】
さらに、上記のように、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115において、トランジスタ12は、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方と、トランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間に接続される。また、トランジスタ12のゲートは、バッファ回路の出力端子および出力端子OUT1に電気的に接続される。これによって、入力端子IN1にHigh信号が入力され、バッファ回路の出力端子にHigh信号が出力されるときに、出力信号を安定に保ったまま、トランジスタ12をオフ状態とし、トランジスタ11のソースまたはドレインの他方とトランジスタ13のソースまたはドレインの一方との間の電流を遮断することができる。これによって、トランジスタ11およびトランジスタ13に対する負荷を抑制し、トランジスタ11およびトランジスタ13の劣化を防ぐことができる。
【0090】
従って、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115は、プロセス上の原因でトランジスタの特性が不安定となり、トランジスタが劣化しやすくなっていたり、レベルシフト回路の周囲から受けるノイズが大きくなったりするような場合であっても、安定に動作することができる。
【0091】
よって、レベルシフト回路110およびレベルシフト回路115は、トランジスタの特性変動が見込まれる場合であっても、nチャネル型のトランジスタのサイズをpチャネル型のトランジスタのサイズよりも大きくしなくても、安定に動作することが可能である。したがって、レベルシフト回路110またはレベルシフト回路115の構成とすることによって、トランジスタサイズの拡大の必要性を低減することができる。
【0092】
さらに、レベルシフト回路110またはレベルシフト回路115の構成とすることによって、遅延時間の増加、電流の増加および面積増加等の問題が発生するのを防ぐことができる。
【0093】
[構成例3]
次に、
図3を用いて、レベルシフト回路110の変形例であるレベルシフト回路120について説明する。
【0094】
レベルシフト回路120はレベルシフト回路110と同様に、電位VDD1と電位VSS1との間で振幅をとる入力信号を電位VDD2と電位VSS2との間で振幅をとる出力信号に変換する機能を有する。言い換えると、レベルシフト回路120は、入力信号を、より大きい振幅電圧またはより小さい振幅電圧の出力信号に変換する機能を有する。
【0095】
レベルシフト回路120は、出力信号の反転信号を出力する機能を有する点で、レベルシフト回路110と異なる。
【0096】
レベルシフト回路120は、レベルシフト部121と、レベルシフト部122と、インバータ回路42と、インバータ回路41とを有する。また、レベルシフト回路120は、入力端子IN2と、インバータ回路43と、出力端子OUT2と、出力端子OUT2Bとを有する。
【0097】
電位VSS1および電位VSS2は等しいと好ましい。また、電位VSS1および電位VSS2はいずれも接地電位であってもよい。
【0098】
出力端子OUT2Bは、出力端子OUT2に出力される出力信号の反転信号が出力される端子である。
【0099】
レベルシフト部121は、トランジスタ31と、トランジスタ32と、トランジスタ33と、トランジスタ34と、トランジスタ35とを有する。また、レベルシフト部122は、トランジスタ36と、トランジスタ37と、トランジスタ38と、トランジスタ39と、トランジスタ40とを有する。
【0100】
トランジスタ31、トランジスタ32、トランジスタ34、トランジスタ36、トランジスタ37およびトランジスタ39は、pチャネル型のトランジスタであり、トランジスタ33、トランジスタ35、トランジスタ38およびトランジスタ40は、nチャネル型のトランジスタである。
【0101】
トランジスタ31のソースまたはドレインの一方は、電位VDD2が与えられる配線に電気的に接続され、トランジスタ31のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ32のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ32のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ33のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ33のソースまたはドレインの他方は、電位VSS2が与えられる配線に電気的に接続される。
【0102】
トランジスタ34のソースまたはドレインの一方は、電位VDD2が与えられる配線に電気的に接続され、トランジスタ34のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ35のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ35のソースまたはドレインの他方は、電位VSS2が与えられる配線に電気的に接続される。
【0103】
トランジスタ31のゲートおよびトランジスタ34のゲートは、トランジスタ32のソースまたはドレインのいずれか他方およびトランジスタ33のソースまたはドレインのいずれか一方に電気的に接続される。
【0104】
トランジスタ36のソースまたはドレインの一方は、電位VDD2が与えられる配線に電気的に接続され、トランジスタ36のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ37のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ37のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ38のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ38のソースまたはドレインの他方は、電位VSS2が与えられる配線に電気的に接続される。
【0105】
トランジスタ39のソースまたはドレインの一方は、電位VDD2が与えられる配線に電気的に接続され、トランジスタ39のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ40のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ40のソースまたはドレインの他方は、電位VSS2が与えられる配線に電気的に接続される。
【0106】
トランジスタ36のゲートおよびトランジスタ39のゲートは、トランジスタ37のソースまたはドレインのいずれか他方およびトランジスタ38のソースまたはドレインのいずれか一方に電気的に接続される。
【0107】
図3において、トランジスタ33のゲートおよびトランジスタ40のゲートは、入力端子IN2に電気的に接続される。いいかえると、トランジスタ33のゲートおよびトランジスタ40のゲートは、レベルシフト回路120の入力信号が入力される配線に電気的に接続される。
【0108】
入力端子IN2は、インバータ回路43の入力端子に電気的に接続される。また、トランジスタ35のゲートおよびトランジスタ38のゲートは、インバータ回路43の出力端子に電気的に接続される。いいかえると、トランジスタ35のゲートおよびトランジスタ38のゲートは、レベルシフト回路120の入力信号の反転信号が入力される配線に電気的に接続される。
【0109】
インバータ回路41の入力端子は、トランジスタ34のソースまたはドレインの他方及びトランジスタ35のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、インバータ回路41の出力端子は、出力端子OUT2Bおよびトランジスタ37のゲートに電気的に接続される。
【0110】
インバータ回路42の入力端子は、トランジスタ39のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ40のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、インバータ回路42の出力端子は、トランジスタ32のゲートおよび出力端子OUT2に電気的に接続される。
【0111】
以上が、レベルシフト回路120の構成に関する説明である。
【0112】
レベルシフト回路120において、入力端子IN2にLow信号が入力されると、まず、トランジスタ33のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ33がオフ状態となり、トランジスタ35のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ35がオン状態となり、トランジスタ38のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ38がオン状態となり、トランジスタ40のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ40がオフ状態となる。
【0113】
続いて、レベルシフト部121においては、トランジスタ35がオン状態となることにより、インバータ回路41の入力端子に電位VSS2が入力されるため、出力端子OUT2Bに、High信号が入力される。
【0114】
同時に、レベルシフト部122においては、トランジスタ38がオン状態となることにより、トランジスタ36のゲートおよびトランジスタ39のゲートに電位VSS2が入力されるため、トランジスタ36およびトランジスタ39がオン状態となる。さらに、トランジスタ39がオン状態となることにより、インバータ回路42の入力端子に電位VDD2が入力されるため、出力端子OUT2に、Low信号が入力される。
【0115】
一方、レベルシフト回路120において、入力端子IN2にHigh信号が入力されると、まず、トランジスタ33のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ33がオン状態となり、トランジスタ35のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ35がオフ状態となり、トランジスタ38のゲートに電位VSS1が入力されることによりトランジスタ38がオフ状態となり、トランジスタ40のゲートに電位VDD1が入力されることによりトランジスタ40がオン状態となる。
【0116】
続いて、レベルシフト部121においては、トランジスタ33がオン状態となることにより、トランジスタ31のゲートおよびトランジスタ34のゲートに電位VSS2が入力されるため、トランジスタ31およびトランジスタ34がオン状態となる。さらに、トランジスタ34がオン状態となることにより、インバータ回路41の入力端子に電位VDD2が入力されるため、出力端子OUT2Bに、Low信号が入力される。
【0117】
同時に、レベルシフト部122においては、トランジスタ40がオン状態となることにより、インバータ回路42の入力端子に電位VSS2が入力されるため、出力端子OUT2に、High信号が入力される。
【0118】
入力端子IN2にHigh信号が入力されるとき、インバータ回路42の出力端子にHigh信号が出力されることにより、トランジスタ32のゲートにHigh信号が印加されるためトランジスタ32がオフ状態となる。これによって、トランジスタ31のソースまたはドレインの他方と、トランジスタ33のソースまたはドレインの一方との間の電流が遮断される。したがって、トランジスタ31およびトランジスタ33に対する負荷を抑制し、トランジスタ31およびトランジスタ33の劣化を防ぐことができる。
【0119】
入力端子IN2にLow信号が入力されるとき、インバータ回路41の出力端子にHigh信号が出力されることにより、トランジスタ37のゲートにHigh信号が印加されるためトランジスタ37がオフ状態となる。これによって、トランジスタ36のソースまたはドレインの他方とトランジスタ38のソースまたはドレインの一方との間の電流が遮断される。したがって、トランジスタ36およびトランジスタ38に対する負荷を抑制し、トランジスタ36およびトランジスタ38の劣化を防ぐことができる。
【0120】
また、レベルシフト回路120は、レベルシフト部121およびレベルシフト部121に入力される信号の反転信号が入力されるレベルシフト部122を有する。したがって、レベルシフト部121またはレベルシフト部122のいずれか一方が動作不良を起こす場合であっても、レベルシフト部121またはレベルシフト部122のいずれか他方が正常に動作し出力信号を出力することで、レベルシフト部121またはレベルシフト部122のいずれか一方が有するトランジスタ32またはトランジスタ37のオンオフの切り替えは確実に行われる。
【0121】
例として、レベルシフト部121およびレベルシフト部122は、入力される信号がHighからLowに変化するときに動作不良を起こしやすい場合を想定して、レベルシフト回路120の動作方法を説明する。まず、入力端子IN2にHigh信号が入力される。このとき、レベルシフト部121にはHigh信号が入力され、レベルシフト部122にはLow信号が入力される。また、出力端子OUT2にはHigh信号が出力され、出力端子OUT2Bには、Low信号が出力される。
【0122】
次に、入力端子IN2に入力される信号がHighからLowに変化する。このとき、レベルシフト部121に入力される信号はHighからLowに変化するため、レベルシフト部121は、動作不良を起こしやすい。その一方、レベルシフト部122に入力される信号がLowからHighに変化するとき、レベルシフト部122は、動作不良を起こさない。よって、インバータ回路42の入力端子に出力される信号は、LowからHighに変化し、出力端子OUT2に出力される信号は、HighからLowに変化する。
【0123】
出力端子OUT2に出力される信号が、HighからLowに変化することにより、トランジスタ32のゲートにLow信号を印加し、トランジスタ32をオン状態とすることができる。これによって、トランジスタ31およびトランジスタ34をオフ状態とすることができるため、レベルシフト部121の論理を確定し、出力端子OUT2BにLow信号を出力することができる。
【0124】
従って、レベルシフト回路120は、レベルシフト部121またはレベルシフト部122のいずれか一方が動作不良を起こす場合であっても、正常に動作しやすいレベルシフト回路であるといえる。ここでは、レベルシフト部121が動作不良を起こし、レベルシフト部122が正常に動作する場合の動作方法を説明したが、レベルシフト回路120の動作方法はこれに限られない。レベルシフト部122が動作不良を起こし、レベルシフト部121が正常に動作する場合であっても、レベルシフト回路120は正常に動作することができる。
【0125】
従って、レベルシフト回路120は、プロセス上の原因でトランジスタの特性が不安定となり、トランジスタが劣化しやすい場合またはレベルシフト部121またはレベルシフト部122のいずれか一方が動作不良を起こしやすい場合であっても、安定に動作することができる。
【0126】
よって、レベルシフト回路120は、トランジスタの特性変動が見込まれる場合であっても、nチャネル型のトランジスタのサイズをpチャネル型のトランジスタのサイズよりも大きくしなくても、安定に動作することが可能である。したがって、レベルシフト回路120の構成とすることによって、トランジスタサイズの拡大の必要性を低減することができる。
【0127】
さらに、レベルシフト回路120の構成とすることによって、遅延時間の増加および電流の増加等の問題が発生するのを防ぐことができる。
【0128】
[構成例4]
なお、レベルシフト回路120に、インバータ回路を加える構成としてもよい。
図4に、レベルシフト回路120と同様の構成に加えて、インバータ回路51、インバータ回路52、インバータ回路53およびインバータ回路54を有するレベルシフト回路130を示す。
【0129】
レベルシフト回路130は、レベルシフト部121と、レベルシフト部122と、インバータ回路41と、インバータ回路42と、インバータ回路43と、インバータ回路51と、インバータ回路52と、インバータ回路53と、インバータ回路54とを有する。また、レベルシフト回路130は、入力端子IN3と、出力端子OUT3と、出力端子OUT3Bとを有する。
【0130】
出力端子OUT3Bは、出力端子OUT3に出力される出力信号の反転信号が出力される端子である。
【0131】
レベルシフト回路130が有するレベルシフト部121は、トランジスタ31と、トランジスタ32と、トランジスタ33と、トランジスタ34と、トランジスタ35とを有する。また、レベルシフト回路130が有するレベルシフト部122は、トランジスタ36と、トランジスタ37と、トランジスタ38と、トランジスタ39と、トランジスタ40とを有する。
【0132】
なお、レベルシフト回路130が有するレベルシフト部121およびレベルシフト部122に関する説明は、レベルシフト回路120が有するレベルシフト部121およびレベルシフト部122に関する説明を参照することができる。
【0133】
レベルシフト回路130が有するインバータ回路41の入力端子は、トランジスタ34のソースまたはドレインの他方及びトランジスタ35のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、レベルシフト回路130が有するインバータ回路41の出力端子は、インバータ回路51の入力端子に電気的に接続される。
【0134】
インバータ回路51の出力端子は、インバータ回路52の入力端子および出力端子OUT3に電気的に接続される。
【0135】
インバータ回路52の出力端子は、トランジスタ37のゲートに電気的に接続される。
【0136】
レベルシフト回路130が有するインバータ回路42の入力端子は、トランジスタ39のソースまたはドレインの他方及びトランジスタ40のソースまたはドレインの一方に電気的に接続される。また、レベルシフト回路130が有するインバータ回路42の出力端子は、インバータ回路53の入力端子に電気的に接続される。
【0137】
インバータ回路53の出力端子は、インバータ回路54の入力端子および出力端子OUT3Bに電気的に接続される。
【0138】
インバータ回路54の出力端子は、トランジスタ32のゲートに電気的に接続される。
【0139】
以上が、レベルシフト回路130の構成に関する説明である。
【0140】
レベルシフト回路130において、入力端子IN3にHigh信号が入力されるとき、出力端子OUT3に、High信号が出力され、出力端子OUT3Bに、Low信号が出力される。また、レベルシフト回路130において、入力端子IN3にLow信号が入力されるとき、出力端子OUT3にLow信号が出力され、出力端子OUT3BにHigh信号が出力される。
【0141】
入力端子IN3にHigh信号が入力されるとき、インバータ回路51の出力端子にHigh信号が出力されることにより、トランジスタ37がオフ状態となる。これによって、トランジスタ36のソースまたはドレインの他方と、トランジスタ38のソースまたはドレインの一方との間の電流を遮断することができる。これによって、トランジスタ36およびトランジスタ38に対する負荷を抑制し、トランジスタ36およびトランジスタ38の劣化を防ぐことができる。
【0142】
入力端子IN3にLow信号が入力されるとき、インバータ回路53の出力端子にHigh信号が出力されることにより、トランジスタ32がオフ状態となる。これによって、トランジスタ31のソースまたはドレインの他方とトランジスタ33のソースまたはドレインの一方との間の電流を遮断することができる。これによって、トランジスタ31およびトランジスタ33に対する負荷を抑制し、トランジスタ31およびトランジスタ33の劣化を防ぐことができる。
【0143】
従って、レベルシフト回路130は、プロセス上の原因でトランジスタの特性が不安定となり、トランジスタが劣化しやすくなっていたり、レベルシフト回路の周囲から受けるノイズが大きくなったりするような場合であっても、安定に動作することができる。
【0144】
上記のレベルシフト回路110、レベルシフト回路115、レベルシフト回路120およびレベルシフト回路130において、nチャネル型のトランジスタは、チャネルが酸化物半導体で形成されているトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう)であってもよい。
図5に示すように、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)を有する層の上に形成することができるため、レベルシフト回路の面積を低減させることができ、好ましい。
【0145】
図5を用いて、SiトランジスタおよびOSトランジスタの両方を用いる回路の例について説明する。
図5(A)に示す回路図は、pチャネル型のSiトランジスタ2200とnチャネル型のOSトランジスタ2100を直列に接続し、且つそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMOSインバータの構成を示している。
【0146】
図5(B)に、
図5(A)に示すCMOSインバータが形成された半導体装置の断面図を示す。
図5(B)において、X1−X2方向はチャネル長方向、Y1−Y2方向はチャネル幅方向を示す。
図5(B)に示す半導体装置は、下部にSiトランジスタ2200を有し、上部にOSトランジスタ2100を有している。なお、一点鎖線より左側がトランジスタのチャネル長方向の断面、右側がチャネル幅方向の断面である。
【0147】
図5(B)に示す構成では、Siトランジスタ2200の上部に、絶縁体2201、絶縁体2207を介してOSトランジスタ2100が設けられている。また、Siトランジスタ2200とOSトランジスタ2100の間には、複数の配線2202が設けられている。また、各種絶縁体に埋め込まれた複数のプラグ2203により、上層と下層にそれぞれ設けられた配線や電極が電気的に接続されている。また、OSトランジスタ2100を覆う絶縁体2204と、絶縁体2204上に配線2205と、が設けられている。
【0148】
なお、トランジスタに使用することができる酸化物半導体については、実施の形態2で詳細に説明する。
【0149】
Siトランジスタを有する層の上にOSトランジスタを形成するプロセスにおいて、場合によっては、OSトランジスタを形成する工程によってSiトランジスタの特性変動が見込まれる場合がある。このような場合に、レベルシフト回路において、OSトランジスタであるnチャネル型のトランジスタのサイズを拡大することが要求されることがある。
【0150】
しかし、上記のように、レベルシフト回路110、レベルシフト回路115、レベルシフト回路120およびレベルシフト回路130は、pチャネル型のトランジスタの特性変動が見込まれる場合であっても、nチャネル型のトランジスタのサイズをpチャネル型のトランジスタのサイズよりも大きくしなくても、安定に動作することが可能である。
【0151】
したがって、レベルシフト回路110、レベルシフト回路115、レベルシフト回路120およびレベルシフト回路130において、pチャネル型のトランジスタをSiトランジスタで形成し、nチャネル型のトランジスタをOSトランジスタで形成する場合、nチャネル型のトランジスタを有する層をpチャネル型のトランジスタを有する層の上に形成することができ、かつ、nチャネル型のトランジスタのサイズをpチャネル型のトランジスタのサイズよりも大きくする必要性が低減される。これらの理由によって、レベルシフト回路110、レベルシフト回路115、レベルシフト回路120およびレベルシフト回路130の面積を低減させることができる。
【0152】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0153】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に記載のレベルシフト回路を使用することのできる表示装置について説明する。以下で例示する表示装置は、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示装置である。
【0154】
[構成例]
図10(A)は、表示装置400の構成の一例を示すブロック図である。表示装置400は、表示部362にマトリクス状に配列した複数の画素410を有する。また表示装置400は、回路GDと、回路SDを有する。また、方向Rに配列した複数の画素410、回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、および複数の配線CSCOMを有する。また、方向Cに配列した複数の画素410、回路SDと電気的に接続する複数の配線S1、および複数の配線S2を有する。
【0155】
なお、ここでは簡単のために回路GDと回路SDを1つずつ有する構成を示したが、液晶素子を駆動する回路GDおよび回路SDと、発光素子を駆動する回路GDおよび回路SDとを、別々に設けてもよい。
【0156】
回路SDに、本発明の一態様のレベルシフト回路を使用することができる。
図7を使用して、回路SDとして使用することのできるソースドライバIC600の構成例を説明する。
【0157】
ここでは、本実施の形態の理解を容易にするため、ソースドライバIC600の仕様を次のように設定する。ソースドライバIC600に伝送される画像信号はシリアル形式の8ビットデジタル信号である。8ビットデジタル信号のデータが階調レベルを表す。また、画像信号の伝送方式は差動方式である。差動形式の画像信号の一方が画像信号DP[7:0]であり、他方が画像信号DN[7:0]である。データ信号用の出力ピンの数は1080である。
【0158】
ソースドライバIC600は、1080のピン640、8のピン641、8のピン642、LVDS(小振幅差動信号)レシーバ610、ロジック回路611、回路620、電圧生成回路(VGEN)631、バッファ回路(BUF)632を有する。回路620は、シフトレジスタ(SR)612、ラッチ回路(D−LAT)613、レベルシフタ(LS)614、パストランジスタロジック回路(PTL)615、マルチプレクサ(MUX)616、増幅回路(AMP)617を有する。
【0159】
レベルシフタ614において、実施の形態1に記載のレベルシフト回路を使用することができる。実施の形態1に記載のレベルシフト回路を使用することによって、ソースドライバIC600の面積増大を抑制することができる。また、実施の形態1に記載のレベルシフト回路を使用することによって、ソースドライバIC600の消費電力の増加を抑制することができる。
【0160】
ピン640は、データ信号用の出力ピンであって、配線S1または配線S2と電気的に接続される。ピン641およびピン642は、差動信号用の入力ピンである。例えば、ピン642<1>には、ピン641<1>の入力信号の論理を反転した信号が入力される。例えば、ピン641<1>−641<8>にはそれぞれ画像信号DP[0]−DP[7]がそれぞれ入力され、ピン642<1>−642<8>には画像信号DN[0]−DN[7]がそれぞれ入力される。
【0161】
ピン641およびピン642は画像信号DP[7:0]、DN[7:0]の入力だけでなく、コマンド信号の入力にも用いられる。ソースドライバIC600には、ピン640、ピン641およびピン642の他に、電源電圧の入力用ピン、各種信号の入力用ピン、各種信号の出力用ピンが設けられている。
【0162】
LVDSレシーバ610は、入力された差動信号をシングルエンド方式の信号に変換する機能を有する。ここでは、LVDSレシーバ610によって、画像信号DP[7:0]、DN[7:0]は、シングルエンド方式の画像信号DSE[7:0]に変換される。
【0163】
ロジック回路611は、外部から入力されるコマンド信号等に従い、回路620を制御する。具体的には、ロジック回路611は信号SSP、SRCLK、LTS[7:0]、POL_OUT[7:0]等を生成する。信号SSP、SRCLKは、SR612の制御信号である。信号LTS[7:0]はD−LAT613の制御信号である。信号POL_OUT[7:0]はMUX616の制御信号である。
【0164】
ロジック回路611は、シリアル形式の画像信号をパラレル形式の画像信号に変換する機能(シリアルーパラレル変換機能)を有する。具体的には、ロジック回路611は信号DSE[7:0]を8の8ビットデジタル信号(DOUT[63:0])に変換する。信号DOUT[8α+7:8α](αは0乃至7の整数)のデータは、配線S1または配線S2に書き込まれる8ビットの階調データである。
【0165】
図8を用いて、ソースドライバIC600の動作の概要を説明する。
図8に示すように、ソースドライバIC600の動作は、3つに大別される。期間T1は、コマンド信号の処理期間である。期間T1では、ロジック回路611は、ピン641、642から入力される差動信号をコマンド信号として処理する。期間T1の長さは入力するコマンド信号の数によって決まる。少なくとも、ソースドライバIC600をリセットするためのコマンド信号(RES)、および、ピン640の極性を決定するためのコマンド信号(CMD_POL)が入力される。また、ここでは、コマンド信号のデータ幅は1乃至8ビットとすることができる。
【0166】
本明細書において、ピン640の極性とは、ピン640から出力されるデータ信号DSの極性のことを指す。
【0167】
期間T2は画像信号処理期間である。期間T2では、ソースドライバIC600は、ピン641、642から入力される差動信号を画像信号として処理する。つまり、期間T2で、画像信号DP[7:0]、DN[7:0]からデータ信号DS<1>―DS<1080>が生成される。期間T2に、画像信号DP[7:0]がピン641に、画像信号DN[7:0]がピン642に入力され、LVDSレシーバ610で信号DSE[7:0]に変換される。ロジック回路611は、LVDSレシーバ610から出力される信号DSE[7:0]を画像信号として処理し、回路620を制御して、回路620でデータ信号DS<1>―DS<1080>を生成させる。
【0168】
期間T3は、ブランク期間である。期間T3では、例えば、8’h0の差動信号をピン641、642に入力すればよい。期間T3では、ソースドライバIC600は待機状態である。期間T3の後、信号RESの入力で次の期間T1が開始する。信号RESは、ロジック回路611でコマンド信号処理のトリガーとなる信号でもある。
【0169】
回路620は、信号DOUT[63:0]を処理して、1080のデータ信号DSを生成する。データ信号DSは、階調データを表すアナログ信号である。データ信号DS<1>−DS<1080>は、それぞれ、ピン640<1>−640<1080>から出力される。
【0170】
ここでは、SR612は、135段のフリップフロップ回路(以下、「SR−FF」と呼ぶ。)を有する。1段目のSR−FFに信号SSP(スタートパルス信号)を入力することで、各段のSR−FFから所定のタイミングで1ビットの信号SMP(サンプリング信号)が出力される。したがって、SR612から、135ビットの信号SMP[134:0]が出力される。各段のSR−FFが信号SMPを出力するタイミングは、クロック信号SRCLKによって制御される。
【0171】
信号SMP[134:0]に従い、D−LAT613は信号DOUT[63:0]をサンプリングする。これにより、D−LAT613は、1080の8ビットのデータ信号を記憶する。D−LAT613からの1080のデータ信号の出力のタイミングは、信号LTS[7:0]によって制御される。LS614はD−LAT613から出力された1080のデータ信号をそれぞれレベルシフトする。
【0172】
PTL615はデジタルアナログ(D−A)変換機能を持つ回路である。ここでは、PTL615は、LS614の出力信号のデータをもとに、1080のアナログ信号対を生成する。アナログ信号対は、極性が正のアナログ信号と負のアナログ信号からなる。
【0173】
PTL615は、PTL615PおよびPTL615Nを有する。PTL615Pは、LS614の出力信号を正のアナログ信号に変換する機能を有し、PTL615Nはこれを負のアナログ信号に変換する機能を有する。VGEN631は、PTL615P、615NがD−A変換を行うための基準電圧を生成するための回路である。
【0174】
MUX616には、1080の正負のアナログ信号対が入力される。MUX616は、信号POL[7:0]に従い、アナログ信号対のうちの何れか一方を選択し、AMP617に出力する。BUF632は信号POL_OUTをバッファし、かつレベルシフトして出力する。BUF632の出力信号が信号POL[7:0]である。
【0175】
AMP617はMUX616から出力される1080のアナログ信号をそれぞれ増幅する。AMP617の1080の出力信号がデータ信号DS<1>−DS<1080>である。
【0176】
図9は、ソースドライバIC600の構成例を示すブロック図であり、回路620については、第1列、第2列の回路要素を代表的に示している。
図9に示す複数のピン645は、ロジック回路611を制御するための制御信号の入力に用いられる。ここでは、ピン645はシングルエンド方式のデジタル信号の入力用端子である。ピン645は適宜設ければよい。例えば、ピン640の極性を設定するための制御信号をピン645から入力すれよい。これについては後述する。
【0177】
(D−LAT613)
図9に示すように、D−LAT613は、列ごとに、LAT61、LAT62を有する。LAT61、LAT62はそれぞれ8ビットのデータを記憶できるラッチ回路である。信号SMP[134:0]の各1ビットで8のLAT61が制御される。LAT62は、対応する列のLAT61の出力信号をラッチする。LAT62から出力される信号DLT[7:0]は、LAT61が保持しているデータと同じ論理を持つ信号である。各LAT62には、ラッチ信号として信号LTS[7:0]の何れか1ビットが入力される。アクティブなラッチ信号が入力されることで、信号DTL[7:0]のデータが更新される。
【0178】
なお、
図9において、符号として用いられていないアラビア数(1、8)は、信号のビット幅を表している。例えば、
図9では、LAT61には、8ビットの信号DOUTがロジック回路611から入力され、SR612からは1ビットの信号SMPが入力されることを示している。
【0179】
(LS614)
LS614には、列ごとにLS64を有する。各列において、LS64は、信号DLT[7:0]をレベルシフトし、信号DECP[7:0]、DECPB[7:0]を生成する。信号DECP[7:0]は信号DLT[7:0]と同じ論理を持ち、信号DECPB[7:0]は信号DECP[7:0]の反転信号である。なお、ここでは、信号DECP[7:0]のうち、下位7ビットの信号DECP[6:0]がPTL615P、615Nに出力される。なお、LS614の出力信号の構成は、D−A変換処理を行う回路構成によって、適宜設定される。
【0180】
(PTL615P、615N)
PTL615Pは列ごとに、MUX65Pを有し、PTL615Nは列ごとにMUX65Nを有する。MUX65P、65Nは、それぞれ、LS64の出力信号をアナログ信号に変換する機能を有する。ここでは、MUX65Pは、信号DECPB[7:0]をアナログ変換して、信号DPTPを生成し、MUX65Nは、信号DECPB[7:0]をアナログ変換して、信号DPTNを生成する。信号DPTP、DPTNは階調データに対応する電圧を持つアナログ信号である。信号DPTPは正極性のデータ信号DSに対応し、信号DPTNは負極性のデータ信号DSに対応する。
【0181】
(MUX616、AMP617)
MUX616は列ごとに選択回路(SEL)26を有し、AMP617は列ごとにAMP27をする。SEL26は、制御信号に従って、信号DPTP、DPTNの何れか一方をAMP27に出力する。信号POL[7:0]の何れか1ビットが制御信号として、SEL26に入力される。入力される1ビットの信号POLのデータが“1”であれば、SEL26は信号DPTPを出力し、データが“0”であれば、信号DPTNを出力する。
【0182】
SEL26の出力信号はAMP27で増幅され、出力される。信号DPTPをAMP27で増幅することで、正のデータ信号DSが得られ、信号DPTNをAMP27で増幅することで、負のデータ信号DSが得られる。つまり、信号DSの極性は、対応する列のSEL26を制御する信号POLのデータ(“0”/“1”)によって決定することができる。
【0183】
(VGEN631)
VGEN631は、VGEN631P、631Nを有する。VGEN631Pは電圧VP<0>−VP<255>を生成し、VGEN631Nは電圧VN<0>−VN<255>を生成する。電圧VP<0>−VP<255>はPTL615Pのデジタルアナログ変換処理のための基準電圧であり、それぞれ、階調レベル0−255に対応する。電圧VN<0>−VN<255>はPTL615Nのデジタルアナログ変換処理のための基準電圧であり、それぞれ、階調レベル0−255に対応する。
【0184】
電圧VP<255>は電圧VP<0>よりも大きく、電圧VN<255>は電圧VN<0>よりも小さい。例えば、電圧VP<0>、電圧VN<0>をそれぞれVCOM(液晶素子のコモン電圧)と同じ電圧とすることで、MUX65Pは電圧がVCOM以上のアナログ信号を生成でき、MUX65Nは、電圧がVCOM以下のアナログ信号を生成できる。
【0185】
以上が、ソースドライバIC600の構成に関する説明である。
【0186】
実施の形態1に記載のレベルシフト回路を有するソースドライバIC600を使用することで、表示装置400の消費電力の増加を抑制することができ、また、表示装置400のサイズの増加を抑制することができる。
【0187】
画素410は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素410において、液晶素子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
【0188】
図10(B1)は、画素410が有する導電層311bの構成例を示す。導電層311bは、画素410における液晶素子の反射電極として機能する。また導電層311bには、開口451が設けられている。
【0189】
図10(B1)には、導電層311bと重なる領域に位置する発光素子360を破線で示している。発光素子360は、導電層311bが有する開口451と重ねて配置されている。これにより、発光素子360が発する光は、開口451を介して表示面側に射出される。
【0190】
図10(B1)では、方向Rに隣接する画素410が異なる色に対応する画素である。このとき、
図10(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口451が一列に配列されないように、導電層311bの異なる位置に設けられていることが好ましい。これにより、2つの発光素子360を離すことが可能で、発光素子360が発する光が隣接する画素410が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子360を離して配置することができるため、発光素子360のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であっても、高い精細度の表示装置を実現できる。
【0191】
また、
図10(B2)に示すような配列としてもよい。
【0192】
非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が小さすぎると、発光素子360を用いた表示が暗くなってしまう。
【0193】
また、反射電極として機能する導電層311bに設ける開口451の面積が小さすぎると、発光素子360が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
【0194】
開口451の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口451を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口451を同じ色を表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
【0195】
[回路構成例]
図11は、画素410の構成例を示す回路図である。
図11では、隣接する2つの画素410を示している。
【0196】
画素410は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子340、スイッチSW2、トランジスタM、容量素子C2、および発光素子360等を有する。また、画素410には、配線G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、および配線S2が電気的に接続されている。また、
図11では、液晶素子340と電気的に接続する配線VCOM1、および発光素子360と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
【0197】
図11では、スイッチSW1およびスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示している。
【0198】
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソースまたはドレインの一方が配線S1と接続され、ソースまたはドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、および液晶素子340の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接続されている。液晶素子340は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
【0199】
また、スイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソースまたはドレインの一方が配線S2と接続され、ソースまたはドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジスタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソースまたはドレインの一方、および配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソースまたはドレインの他方が発光素子360の一方の電極と接続されている。発光素子360は、他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
【0200】
図11では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されている例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させることができる。
【0201】
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液晶素子340が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCOMには、所定の電位を与えることができる。
【0202】
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM2および配線ANOには、発光素子360が発光する電位差が生じる電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制御する信号を与えることができる。
【0203】
図11に示す画素410は、例えば、反射モードの表示を行う場合には、配線G1および配線S1に与える信号により駆動し、液晶素子340による光学変調を利用して表示することができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G2および配線S2に与える信号により駆動し、発光素子360を発光させて表示することができる。また、両方のモードで駆動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1および配線S2のそれぞれに与える信号により駆動することができる。
【0204】
なお、
図11では一つの画素410に、一つの液晶素子340と一つの発光素子360とを有する例を示したが、これに限られない。
図12(A)は、一つの画素410に一つの液晶素子340と4つの発光素子360(発光素子360r、360g、360b、360w)を有する例を示している。
【0205】
図12(A)では
図11の例に加えて、画素410に配線G3および配線S3が接続されている。
【0206】
図12(A)に示す例では、例えば4つの発光素子360を、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液晶素子340として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また透過モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
【0207】
また、
図12(B)には、画素410の構成例を示している。画素410は、電極311が有する開口部と重なる発光素子360wと、電極311の周囲に配置された発光素子360r、発光素子360g、および発光素子360bとを有する。発光素子360r、発光素子360g、および発光素子360bは、発光面積がほぼ同等であることが好ましい。
【0208】
[表示パネルの構成例]
図13は、本発明の一態様の表示パネル300の斜視概略図である。表示パネル300は、基板351と基板361とが貼り合わされた構成を有する。
図13では、基板361を破線で明示している。
【0209】
表示パネル300は、表示部362、回路364、配線365等を有する。基板351には、例えば回路364、配線365、および画素電極として機能する導電層311b等が設けられる。また
図13では基板351上にIC373とFPC372が実装されている例を示している。そのため、
図13に示す構成は、表示パネル300とFPC372およびIC373を有する表示モジュールと言うこともできる。
【0210】
回路364は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
【0211】
配線365は、表示部362や回路364に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や電力は、FPC372を介して外部、またはIC373から配線365に入力される。
【0212】
また、
図13では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板351にIC373が設けられている例を示している。IC373は、例えば走査線駆動回路、または信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示パネル300が走査線駆動回路および信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC372を介して表示パネル300を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC373を設けない構成としてもよい。また、IC373を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC372に実装してもよい。
【0213】
図13には、表示部362の一部の拡大図を示している。表示部362には、複数の表示素子が有する導電層311bがマトリクス状に配置されている。導電層311bは、可視光を反射する機能を有し、後述する液晶素子340の反射電極として機能する。
【0214】
また、
図13に示すように、導電層311bは開口を有する。さらに導電層311bよりも基板351側に、発光素子360を有する。発光素子360からの光は、導電層311bの開口を介して基板361側に射出される。
【0215】
また、基板361上にはタッチセンサを設けることができる。例えば、シート状の静電容量方式のタッチセンサ366を表示部362に重ねて設ける構成とすればよい。または、基板361と基板351との間にタッチセンサを設けてもよい。基板361と基板351との間にタッチセンサを設ける場合は、静電容量方式のタッチセンサのほか、光電変換素子を用いた光学式のタッチセンサを適用してもよい。
【0216】
[断面構成例1]
図14に、
図13で例示した表示パネルの、FPC372を含む領域の一部、回路364を含む領域の一部、および表示部362を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。なお、タッチセンサ366は含まない。
【0217】
表示パネルは、基板351と基板361の間に、絶縁層220を有する。また基板351と絶縁層220の間に、発光素子360、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、着色層174等を有する。また絶縁層220と基板361の間に、液晶素子340、着色層171等を有する。また基板361と絶縁層220は接着層181を介して接着され、基板351と絶縁層220は接着層182を介して接着されている。
【0218】
トランジスタ206は、液晶素子340と電気的に接続し、トランジスタ205は、発光素子360と電気的に接続する。トランジスタ205とトランジスタ206は、いずれも絶縁層220の基板351側の面上に形成されているため、これらを同一の工程を用いて作製することができる。
【0219】
基板361には、着色層171、遮光層172、絶縁層161、および液晶素子340の共通電極として機能する導電層313、配向膜173b、絶縁層167等が設けられている。絶縁層167は、液晶素子340のセルギャップを保持するためのスペーサとして機能する。
【0220】
絶縁層220の基板351側には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、絶縁層215等の絶縁層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層212、絶縁層213、および絶縁層214は、各トランジスタを覆って設けられている。また絶縁層214を覆って絶縁層215が設けられている。絶縁層214および絶縁層215は、平坦化層としての機能を有する。なお、ここではトランジスタ等を覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214の3層を有する場合について示しているが、これに限られず4層以上であってもよいし、単層、または2層であってもよい。また平坦化層として機能する絶縁層214は、不要であれば設けなくてもよい。
【0221】
また、トランジスタ201、トランジスタ205、およびトランジスタ206は、一部がゲートとして機能する導電層221、一部がソースまたはドレインとして機能する導電層222、半導体層231を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
【0222】
液晶素子340は反射型の液晶素子である。液晶素子340は、導電層311a、液晶312、導電層313が積層された積層構造を有する。また、導電層311aの基板351側に接して、可視光を反射する導電層311bが設けられている。導電層311bは開口251を有する。また、導電層311aおよび導電層313は可視光を透過する材料を含む。また、液晶312と導電層311aの間に配向膜173aが設けられ、液晶312と導電層313の間に配向膜173bが設けられている。また、基板361の外側の面には、偏光板170を有する。
【0223】
液晶素子340において、導電層311bは可視光を反射する機能を有し、導電層313は可視光を透過する機能を有する。基板361側から入射した光は、偏光板170により偏光され、導電層313、液晶312を透過し、導電層311bで反射する。そして、液晶312および導電層313を再度透過して、偏光板170に達する。このとき、導電層311bと導電層313の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板170を介して射出される光の強度を制御することができる。また光は着色層171によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
【0224】
発光素子360は、ボトムエミッション型の発光素子である。発光素子360は、絶縁層220側から導電層191、EL層192、および導電層193bの順に積層された積層構造を有する。また導電層193bを覆って導電層193aが設けられている。導電層193bは可視光を反射する材料を含み、導電層191および導電層193aは可視光を透過する材料を含む。発光素子360が発する光は、着色層174、絶縁層220、開口251、導電層313等を介して、基板361側に射出される。
【0225】
ここで、
図14に示すように、開口251には可視光を透過する導電層311aが設けられていることが好ましい。これにより、開口251と重なる領域においてもそれ以外の領域と同様に液晶312が配向するため、これらの領域の境界部で液晶の配向不良が生じ、意図しない光が漏れてしまうことを抑制できる。
【0226】
ここで、基板361の外側の面に配置する偏光板170として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、外光反射を抑制するために光拡散板を設けてもよい。また、偏光板の種類に応じて、液晶素子340に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
【0227】
導電層191の端部を覆う絶縁層216上には、絶縁層217が設けられている。絶縁層217は、絶縁層220と基板351が必要以上に接近することを抑制するスペーサとしての機能を有する。またEL層192や導電層193aを遮蔽マスク(メタルマスク)を用いて形成する場合には、当該遮蔽マスクが被形成面に接触することを抑制する機能を有していてもよい。なお、絶縁層217は不要であれば設けなくてもよい。
【0228】
トランジスタ205のソースまたはドレインの一方は、導電層224を介して発光素子360の導電層191と電気的に接続されている。
【0229】
トランジスタ206のソースまたはドレインの一方は、接続部207を介して導電層311bと電気的に接続されている。導電層311bと導電層311aは接して設けられ、これらは電気的に接続されている。ここで、接続部207は、絶縁層220に設けられた開口を介して、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を接続する部分である。
【0230】
基板351と基板361が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204は、接続層242を介してFPC372と電気的に接続されている。接続部204は接続部207と同様の構成を有している。接続部204の上面は、導電層311aと同一の導電膜を加工して得られた導電層が露出している。これにより、接続部204とFPC372とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0231】
接着層181が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接続部252において、導電層311aと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層313の一部が、接続体243により電気的に接続されている。したがって、基板361側に形成された導電層313に、基板351側に接続されたFPC372から入力される信号または電位を、接続部252を介して供給することができる。
【0232】
接続体243としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体243として、弾性変形、または塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体243は、
図14に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体243と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
【0233】
接続体243は、接着層181に覆われるように配置することが好ましい。例えば硬化前の接着層181に、接続体243を散布すればよい。
【0234】
図14では、回路364の例としてトランジスタ201が設けられている例を示している。
【0235】
図14では、トランジスタ201およびトランジスタ205の例として、チャネルが形成される半導体層231を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。一方のゲートは導電層221により、他方のゲートは絶縁層212を介して半導体層231と重なる導電層223により構成されている。このような構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。このとき、2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表示パネルを大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
【0236】
なお、回路364が有するトランジスタと、表示部362が有するトランジスタは、同じ構造であってもよい。また回路364が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部362が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。
【0237】
各トランジスタを覆う絶縁層212、絶縁層213のうち少なくとも一方は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層212または絶縁層213はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能となり、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
【0238】
基板361側において、着色層171、遮光層172を覆って絶縁層161が設けられている。絶縁層161は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層161により、導電層313の表面を概略平坦にできるため、液晶312の配向状態を均一にできる。
【0239】
[断面構成例2]
また、本発明の一態様の表示パネルは、
図15に示すように、画素に設けられる第1のトランジスタと、第2のトランジスタが重なる領域を有する構成であってもよい。このような構成とすることで、一画素あたりの面積を小さくすることができ、高精細な画像が表示できる画素密度の高い表示パネルを形成することができる。
【0240】
例えば、発光素子360を駆動するためのトランジスタであるトランジスタ205と、トランジスタ208が重なる領域を有する構成とすることができる。または、液晶素子340を駆動するためのトランジスタ206と、トランジスタ205およびトランジスタ208の一方が重なる領域を有する構成であってもよい。
【0241】
[断面構成例3]
また、本発明の一態様の表示パネルは、
図16に示すように、表示パネル300aと表示パネル300bが接着層350を介して貼り合わされた構成であってもよい。表示パネル300aは、表示部362aに液晶素子340およびトランジスタ206を有し、表示部362aを駆動する回路364aにトランジスタ201aを有する。表示パネル300bは、表示部362bに発光素子360およびトランジスタ205、208を有し、表示部362bを駆動する回路364bにトランジスタ201bを有する。
【0242】
このような構成とすることで、表示パネル300aおよび表示パネル300bのそれぞれに適した作製工程を用いることができ、製品歩留りを向上させることができる。
【0243】
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0244】
〔基板〕
表示パネルが有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0245】
厚さの薄い基板を用いることで、表示パネルの軽量化、薄型化を図ることができる。さらに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示パネルを実現できる。
【0246】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全体に熱を容易に伝導できるため、表示パネルの局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0247】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用いることができる。
【0248】
また、金属基板の表面を酸化する、または表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電着法、蒸着法、またはスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲気で放置するまたは加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成してもよい。
【0249】
可撓性を有し、可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10
−6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示パネルも軽量にすることができる。
【0250】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のことを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好ましい。
【0251】
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。または、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0252】
可撓性を有する基板に、表示パネルの表面を傷などから保護するハードコート層(例えば、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
【0253】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示パネルとすることができる。
【0254】
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示している。
【0255】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0256】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0257】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAC−OSなどを用いることができる。
【0258】
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
【0259】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0260】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn−M−Zn系酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0261】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのとき酸化物半導体を用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できる、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。
【0262】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×10
17/cm
3以下、好ましくは1×10
15/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
13/cm
3以下、より好ましくは1×10
11/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
10/cm
3未満であり、1×10
−9/cm
3以上のキャリア密度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0263】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0264】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
17atoms/cm
3以下とする。
【0265】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは2×10
16atoms/cm
3以下にする。
【0266】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×10
18atoms/cm
3以下にすることが好ましい。
【0267】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向した結晶を有するCAAC−OS(C−Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor、または、C−Axis Aligned and A−B−plane Anchored Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0268】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0269】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC−OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0270】
<CAC−OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud−Aligned Composite)−OSの構成について説明する。
【0271】
CAC−OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0272】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0273】
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InO
X1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、In
X2Zn
Y2O
Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaO
X3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、Ga
X4Zn
Y4O
Z4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInO
X1、またはIn
X2Zn
Y2O
Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0274】
つまり、CAC−OSは、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0275】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO
3(ZnO)
m1(m1は自然数)、またはIn
(1+x0)Ga
(1−x0)O
3(ZnO)
m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0276】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0277】
一方、CAC−OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0278】
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0279】
なお、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0280】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0281】
CAC−OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0282】
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0283】
また、CAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
【0284】
また、例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaO
X3が主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0285】
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaO
X3などが主成分である領域と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0286】
ここで、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域は、GaO
X3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。したがって、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0287】
一方、GaO
X3などが主成分である領域は、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaO
X3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0288】
したがって、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaO
X3などに起因する絶縁性と、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(I
on)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0289】
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC−OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0290】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0291】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型のトランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを低減することができるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなどを用いる場合に適している。
【0292】
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0293】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0294】
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0295】
また、発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0296】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0297】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10
−5[g/(m
2・day)]以下、好ましくは1×10
−6[g/(m
2・day)]以下、より好ましくは1×10
−7[g/(m
2・day)]以下、さらに好ましくは1×10
−8[g/(m
2・day)]以下とする。
【0298】
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
【0299】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。
【0300】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0301】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0302】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0303】
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶素子などを用いることができる。
【0304】
本発明の一態様では、特に反射型の液晶素子を用いることができる。
【0305】
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光板を設ける。また偏光板よりも外側に、バックライトを設ける。バックライトとしては、直下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであってもよい。LED(Light Emitting Diode)を備える直下型のバックライトを用いると、ローカルディミングが容易となり、コントラストを高めることができるため好ましい。また、エッジライト型のバックライトを用いると、バックライトを含めたモジュールの厚さを低減できるため好ましい。
【0306】
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
【0307】
また、反射型、または半透過型の液晶素子を用いる場合、偏光板よりも外側に、フロントライトを設けてもよい。フロントライトとしては、エッジライト型のフロントライトを用いることが好ましい。LED(Light Emitting Diode)を備えるフロントライトを用いると、消費電力を低減できるため好ましい。
【0308】
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、LED、有機EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
【0309】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0310】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0311】
EL層には低分子系化合物および高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0312】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0313】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の波長(例えば350nm乃至750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を適用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトルは、緑色および赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
【0314】
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層または燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。
【0315】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0316】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合金、またはこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい。
【0317】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、またはこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケル、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。また銅、パラジウム、マグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接して金属膜または金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このような金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とインジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用いることができる。
【0318】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、インクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、またはメッキ法を用いて形成することができる。
【0319】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、および電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、それぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料として機能させることもできる。
【0320】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、鉛、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0321】
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0322】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0323】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
【0324】
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0325】
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0326】
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0327】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0328】
(実施の形態3)
実施の形態2で説明した表示装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置または画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図17に示す。
【0329】
図17(A)はナビゲーションシステムであり、筐体971、表示部973、操作キー974等を有する。表示部973にはタッチセンサが設けられ、主な入力操作を行うことができる。
図17(A)に示したナビゲーションシステムに、実施の形態2で説明した表示装置を用いることで、低消費電力化することができ、また、当該ナビゲーションシステムのサイズの増加を抑制することができる。
【0330】
図17(B)は、折り畳み可能な電子機器であり、筐体901a、筐体901b、ヒンジ903、表示部902等を有する。表示部902は筐体901a及び筐体901bに、組み込まれている。
【0331】
筐体901aと筐体901bとは、ヒンジ903で回転可能に連結されている。電子機器は、筐体901aと筐体901bとが閉じた状態と、開いた状態と、に変形することができる。これにより、持ち運ぶ際には可搬性に優れ、使用するときには大きな表示領域により、視認性に優れる。
【0332】
また、ヒンジ903は、筐体901aと筐体901bとを開いたときに、これらの角度が所定の角度よりも大きい角度にならないように、ロック機構を有することが好ましい。例えば、ロックがかかる(それ以上に開かない)角度は、90度以上180度未満であることが好ましく、代表的には、90度、120度、135度、150度、または175度などとすることができる。これにより、利便性、安全性、及び信頼性を高めることができる。
【0333】
表示部902は、タッチパネルとして機能し、指やスタイラスなどにより操作することができる。
【0334】
筐体901aまたは筐体901bのいずれか一には、無線通信モジュールが設けられ、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi−Fi(登録商標)などのコンピュータネットワークを介して、データを送受信することが可能である。
【0335】
表示部902は、一つのフレキシブルディスプレイで構成されていることが好ましい。これにより、筐体901aと筐体901bの間で途切れることのない連続した表示を行うことができる。なお、筐体901aと筐体901bのそれぞれに、ディスプレイが設けられる構成としてもよい。
【0336】
図17(B)に示した折り畳み可能な電子機器に実施の形態2で説明した表示装置を用いることで、低消費電力化することができ、また、当該折り畳み可能な電子機器のサイズの増加を抑制することができる。
【0337】
図17(C)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク963、スピーカ967、表示部965、操作キー966等を有する。
図17(C)に示したデジタルカメラに実施の形態2で説明した表示装置を用いることで、低消費電力化することができ、また、当該デジタルカメラのサイズの増加を抑制することができる。
【0338】
図17(D)は腕時計型の情報端末であり、筐体931、表示部932、リストバンド933、操作用のボタン935、竜頭936、カメラ939等を有する。表示部932はタッチパネルとなっていてもよい。
図17(D)に示した腕時計型の情報端末に実施の形態2で説明した表示装置を用いることで、低消費電力化することができ、また、当該腕時計型の情報端末のサイズの増加を抑制することができる。
【0339】
図17(E)は携帯電話機の一例であり、筐体951、表示部952、操作ボタン953、外部接続ポート954、スピーカ955、マイク956、カメラ957等を有する。当該携帯電話機は、表示部952にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部952に触れることで行うことができる。
図17(E)に示した携帯電話機に実施の形態2で説明した表示装置を用いることで、低消費電力化することができ、また、当該携帯電話機のサイズの増加を抑制することができる。
【0340】
図17(F)は携帯データ端末であり、筐体911、表示部912、カメラ919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。
図17(F)に示した携帯データ端末に実施の形態2で説明した表示装置を用いることで、低消費電力化することができ、また、当該携帯データ端末のサイズの増加を抑制することができる。
【0341】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。