特許第6983617号(P6983617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983617
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/24 20060101AFI20211206BHJP
   G11C 11/56 20060101ALI20211206BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20211206BHJP
   G11C 16/34 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G11C16/24 110
   G11C11/56 210
   G11C16/04 170
   G11C16/34 140
【請求項の数】8
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-201234(P2017-201234)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-75180(P2019-75180A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳和
【審査官】 堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−142874(JP,A)
【文献】 特表2013−525938(JP,A)
【文献】 特表2008−533644(JP,A)
【文献】 特開2017−168164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/24
G11C 16/34
G11C 11/56
G11C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が閾値電圧に基づいて複数ビットのデータを記憶し、前記複数ビットのデータとして第1データを記憶する場合は第1閾値電圧を有するように設定され、前記複数ビットのデータとして第2データを記憶する場合は前記第1閾値電圧より高い第2閾値電圧を有するように設定される複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセルに接続されたワード線と、
前記複数のメモリセルにそれぞれ接続された複数のビット線と、
書き込み動作においてベリファイ動作を含むプログラムループを実行するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記ワード線に第1ベリファイ電圧と前記第1ベリファイ電圧よりも高い第2ベリファイ電圧とを順に印加し、
前記ワード線に前記第1ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に第1電圧を印加し、前記第2データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に前記第1電圧よりも低い第2電圧を印加し、
前記ワード線に前記第2ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルのうち、前記第1ベリファイ電圧によるベリファイにパスしたメモリセルに接続されたビット線と、前記第2データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線とにそれぞれ前記第1電圧を印加し、前記第1データを書き込むべきメモリセルのうち、前記第1ベリファイ電圧によるベリファイにフェイルしたメモリセルに接続されたビット線に前記第2電圧を印加する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数のメモリセルは、前記複数ビットのデータとして第3データを記憶する場合は前記第2閾値電圧より高い第3閾値電圧を有するように設定され、
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記ワード線に前記第2ベリファイ電圧を印加した後に前記第2ベリファイ電圧よりも高い第3ベリファイ電圧を印加し、
前記ワード線に前記第3ベリファイ電圧を印加している間に、前記第2データを書き込むべきメモリセルのうち、前記第2ベリファイ電圧によるベリファイにパスしたメモリセルに接続されたビット線と、前記第3データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線とにそれぞれ前記第1電圧を印加する、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記ワード線に前記第1ベリファイ電圧を印加している間に、前記第3データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に前記第2電圧を印加し、
前記ワード線に前記第2ベリファイ電圧を印加している間に、前記第3データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に前記第2電圧を印加し、
前記ワード線に前記第3ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線と、前記第2データを書き込むべきメモリセルのうち、前記第2ベリファイ電圧によるベリファイにフェイルしたメモリセルに接続されたビット線とにそれぞれ前記第2電圧を印加する、
請求項に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
各々が閾値電圧に基づいて複数ビットのデータを記憶し、前記複数ビットのデータとして第1データを記憶する場合は第1閾値電圧を有するように設定され、前記複数ビットのデータとして第2データを記憶する場合は前記第1閾値電圧より高い第2閾値電圧を有するように設定される複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセルに接続されたワード線と、
前記複数のメモリセルにそれぞれ接続された複数のビット線と、
前記複数のビット線にそれぞれ接続され、各々が第1ラッチ回路を含み、前記第1ラッチ回路の保持するデータに基づいて対応するビット線に電圧を印加する複数のセンスアンプユニットと、
書き込み動作においてベリファイ動作を含むプログラムループを実行するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記ワード線に第1ベリファイ電圧と前記第1ベリファイ電圧よりも高い第2ベリファイ電圧とを順に印加し、
前記ワード線に前記第1ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の第1ラッチ回路に第1論理レベルに対応するデータを保持させ、前記第2データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の第1ラッチ回路に前記第1論理レベルと異なる第2論理レベルに対応するデータを保持させ、
前記ワード線に前記第2ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルのうち前記第1ベリファイ電圧によるベリファイにパスしたメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の第1ラッチ回路と、前記第2データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の前記第1ラッチ回路とに、それぞれ前記第1論理レベルに対応するデータを保持させ、前記第1データを書き込むべきメモリセルのうち前記第1ベリファイ電圧によるベリファイにフェイルしたメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の第1ラッチ回路に前記第2論理レベルに対応するデータを保持させる、半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数のメモリセルは、前記複数ビットのデータとして第3データを記憶する場合は前記第2閾値電圧より高い第3閾値電圧を有するように設定され、
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記ワード線に前記第2ベリファイ電圧を印加した後に前記第2ベリファイ電圧よりも高い第3ベリファイ電圧を印加し、
前記ワード線に前記第3ベリファイ電圧を印加している間に、前記第2データを書き込むべきメモリセルのうち、前記第2ベリファイ電圧によるベリファイにパスしたメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の第1ラッチ回路と、前記第3データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の第1ラッチ回路とに、それぞれ前記第1論理レベルに対応するデータを保持させる、
請求項に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記ワード線に前記第1ベリファイ電圧を印加している間に、前記第3データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の前記第1ラッチ回路に前記第2論理レベルに対応するデータを保持させ、
前記ワード線に前記第2ベリファイ電圧を印加している間に、前記第3データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の前記第1ラッチ回路に前記第2論理レベルに対応するデータを保持させ、
前記ワード線に前記第3ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の前記第1ラッチ回路と、前記第2データを書き込むべきメモリセルのうち、前記第2ベリファイ電圧によるベリファイにフェイルしたメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の前記第1ラッチ回路とに、それぞれ前記第2論理レベルに対応するデータを保持させる、
請求項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記複数のメモリセルは、前記複数ビットのデータとして第4データを記憶する場合は前記第1閾値電圧よりも低い第4閾値電圧を有するように設定され、
前記複数のセンスアンプユニットの各々は、前記書き込み動作において、前記複数ビットのデータのうち第1ビットに対応する書き込みデータを保持する第2ラッチ回路と、前記複数ビットのデータのうち第2ビットに対応する書き込みデータを保持する第3ラッチ回路と、をさらに含み、
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記ワード線に前記第1ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルのベリファイ結果を、対応するセンスアンプユニット内の前記第1ラッチ回路に保持させ、
前記ワード線に前記第2ベリファイ電圧を印加している間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニットのうち、前記第1ラッチ回路に保持されたデータが前記第1論理レベルに対応するデータであるセンスアンプユニット内の前記第2ラッチ回路及び第3ラッチ回路に、それぞれ前記第4データの前記第1及び第2ビットと同じデータを保持させる、
請求項乃至請求項のいずれかに記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記複数のセンスアンプユニットの各々は、一端及び他端が対応する前記ビット線と電源線との間に接続され且つゲートに前記コントローラが生成した制御信号が入力されるトランジスタをさらに含み、
前記コントローラは、前記ベリファイ動作において、
前記第1ベリファイ電圧及び前記第2ベリファイ電圧に基づいてそれぞれ対応する前記メモリセルに記憶されたデータを判定する際に、前記制御信号の電圧を第1電圧にして、
前記第1ベリファイ電圧に基づいたデータの判定と、前記第2ベリファイ電圧に基づいたデータの判定との間に、前記制御信号の電圧を一時的に前記第1電圧よりも高いキック電圧にして、
前記制御信号の電圧を前記キック電圧としている間に、前記第1データを書き込むべきメモリセルに対応するセンスアンプユニット内の前記第1ラッチ回路に保持されている前記ベリファイ結果を、前記第2ラッチ回路及び前記第3ラッチ回路に反映する、
請求項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としてNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−111847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体記憶装置の書き込み動作を高速化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数のメモリセルと、ワード線と、複数のビット線と、コントローラとを備える。複数のメモリセルは、各々が閾値電圧に基づいて複数ビットのデータを記憶し、複数ビットのデータとして第1データを記憶する場合は第1閾値電圧を有するように設定され、複数ビットのデータとして第2データを記憶する場合は第1閾値電圧より高い第2閾値電圧を有するように設定される。ワード線は、複数のメモリセルに接続される。複数のビット線は、複数のメモリセルにそれぞれ接続される。コントローラは、書き込み動作においてベリファイ動作を含むプログラムループを実行する。コントローラは、ベリファイ動作において、ワード線に第1ベリファイ電圧と、第1ベリファイ電圧よりも高い第2ベリファイ電圧とを順に印加する。コントローラは、ワード線に第1ベリファイ電圧を印加している間に、第1データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に第1電圧を印加し、第2データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に第1電圧よりも低い第2電圧を印加する。コントローラは、ワード線に第2ベリファイ電圧を印加している間に、第1データを書き込むべきメモリセルのうち、第1ベリファイ電圧によるベリファイにパスしたメモリセルに接続されたビット線と、第2データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線とにそれぞれ第1電圧を印加し、前記第1データを書き込むべきメモリセルのうち、前記第1ベリファイ電圧によるベリファイにフェイルしたメモリセルに接続されたビット線に前記第2電圧を印加する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体メモリの全体構成の一例を示すブロック図。
図2】第1実施形態におけるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
図3】第1実施形態におけるメモリセルトランジスタの閾値分布の一例を示す閾値分布図。
図4】第1実施形態におけるロウデコーダモジュールの回路構成の一例を示す回路図。
図5】第1実施形態におけるセンスアンプモジュールの回路構成の一例を示す回路図。
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置の書き込み動作における各配線の信号及び電圧の一例を示すタイミングチャート。
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作における各配線の電圧及び電流の一例を示すタイミングチャート。
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図10】第1実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図11】第1実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図12】第1実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図13】第1実施形態の比較例に係る半導体記憶装置のベリファイ動作における各配線の電圧及び電流の一例を示すタイミングチャート。
図14】第1実施形態の比較例に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図15】第1実施形態の比較例に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図16】第1実施形態及び比較例における書き込みレベルとベリファイ動作中に充電されるビット線との関係の一例を示すダイアグラム。
図17】第2実施形態におけるセンスアンプモジュールの回路構成の一例を示す回路図。
図18】第2実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作における各配線の電圧及び電流の一例を示すタイミングチャート。
図19】第2実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図20】第2実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図21】第2実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図22】第2実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図23】第2実施形態に係る半導体記憶装置のベリファイ動作におけるラッチ回路の動作の一例を示すダイアグラム。
図24】第2実施形態及び比較例における書き込みレベルとベリファイ動作中に充電されるビット線との関係の一例を示すダイアグラム。
図25】第1実施形態の変形例に係る半導体記憶装置のベリファイ動作における各配線の電圧及び電流の一例を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的なものである。各実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものである。尚、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。参照符号を構成する文字の後の数字、及び参照符号を構成する数字の後の文字は、それぞれ同じ文字及び数字を含んだ参照符号によって参照され、且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために用いられている。同じ文字又は数字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素は同じ文字又は数字のみを含んだ参照符号により参照される。
【0008】
[1]第1実施形態
以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0009】
[1−1]構成
[1−1−1]半導体記憶装置10の全体構成
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の全体構成の一例を示している。半導体記憶装置10は、図1に示すように、メモリセルアレイ11、ロウデコーダモジュール12、センスアンプモジュール13、入出力回路14、レジスタ15、ロジックコントローラ16、シーケンサ17、レディ/ビジー制御回路18、並びに電圧生成回路19を備えている。
【0010】
メモリセルアレイ11は、ブロックBLK0〜BLKn(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、ビット線及びワード線に関連付けられた複数の不揮発性メモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位となる。これに限定されず、その他の消去動作については、“不揮発性半導体記憶装置”という2011年9月18日に出願された米国特許出願13/235,389号、“不揮発性半導体記憶装置”という2010年1月27日に出願された米国特許出願12/694,690号にそれぞれ記載されている。これらの特許出願は、その全体が本願明細書において参照により援用されている。
【0011】
ロウデコーダモジュール12は、アドレスレジスタ15Bに保持されたブロックアドレスに基づいて、各種動作を実行する対象のブロックBLKを選択する。そしてロウデコーダモジュール12は、電圧生成回路19から供給された電圧を、選択したブロックBLKに転送する。
【0012】
センスアンプモジュール13は、メモリセルアレイ11から読み出したデータDATを、入出力回路14を介して外部のコントローラに出力する。また、センスアンプモジュール13は、外部のコントローラから入出力回路14を介して受け取った書き込みデータDATを、メモリセルアレイ11に転送する。
【0013】
入出力回路14は、例えば8ビット幅の入出力信号I/O(I/O1〜I/O8)を、外部のコントローラとの間で送受信する。例えば入出力回路14は、外部のコントローラから受信した入出力信号I/Oに含まれた書き込みデータDATをセンスアンプモジュール13に転送し、センスアンプモジュール13から転送された読み出しデータDATを入出力信号I/Oとして外部のコントローラに送信する。
【0014】
レジスタ15は、ステータスレジスタ15A、アドレスレジスタ15B、コマンドレジスタ15Cを含んでいる。ステータスレジスタ15Aは、例えばシーケンサ17のステータス情報STSを保持し、このステータス情報STSをシーケンサ17の指示に基づいて入出力回路14に転送する。アドレスレジスタ15Bは、入出力回路14から転送されたアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDに含まれたブロックアドレス、カラムアドレス、及びページアドレスは、例えばそれぞれロウデコーダモジュール12、センスアンプモジュール13、及びシーケンサ17で使用される。コマンドレジスタ15Cは、入出力回路14から転送されたコマンドCMDを保持する。
【0015】
ロジックコントローラ16は、外部のメモリコントローラから受信した各種制御信号に基づいて、入出力回路14及びシーケンサ17を制御する。各種制御信号としては、例えばチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、及びライトプロテクト信号/WPが使用される。
【0016】
チップイネーブル信号/CEは、半導体記憶装置10をイネーブルにするための信号である。コマンドラッチイネーブル信号CLEは、半導体記憶装置10に入力される信号がコマンドCMDであることを入出力回路14に通知する信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、半導体記憶装置10に入力される信号がアドレス情報ADDであることを入出力回路14に通知する信号である。ライトイネーブル信号/WE及びリードイネーブル信号/REはそれぞれ、例えば入出力信号I/Oの入力及び出力を入出力回路14に対して命令する信号である。ライトプロテクト信号/WPは、例えば電源のオンオフ時に半導体記憶装置10を保護状態にするための信号である。
【0017】
シーケンサ17は、アドレスレジスタ15Bに保持されたアドレス情報ADD、及びコマンドレジスタ15Cに保持されたコマンドCMDに基づいて、半導体記憶装置10全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ17は、ロウデコーダモジュール12、センスアンプモジュール13、電圧生成回路19等を制御して、書き込み動作や読み出し動作等の各種動作を実行する。
【0018】
レディ/ビジー制御回路18は、シーケンサ17の動作状態に基づいてレディ/ビジー信号RBnを生成する。レディ/ビジー信号RBnは、半導体記憶装置10が外部のコントローラからの命令を受け付けるレディ状態であるか、命令を受け付けないビジー状態であるかを、外部のメモリコントローラに通知する信号である。
【0019】
例えば、半導体記憶装置10がレディ状態である場合にはレディ/ビジー信号RBnが“H”レベルになり、半導体記憶装置10がビジー状態である場合にはレディ/ビジー信号RBnが“L”レベルになる。尚、本明細書では、“H”レベルの電圧がゲートに入力されたnチャネルMOSトランジスタはオン状態になり、“L”レベルの電圧がゲートに入力されたnチャネルMOSトランジスタはオフ状態になるものとする。
【0020】
電圧生成回路19は、シーケンサ17の制御に基づいて所望の電圧を生成し、生成した電圧をメモリセルアレイ11、ロウデコーダモジュール12、センスアンプモジュール13等に供給する。
【0021】
[1−1−2]メモリセルアレイ11の回路構成
図2は、第1実施形態におけるメモリセルアレイ11の回路構成の一例であり、1つのブロックBLKの詳細な回路構成を抽出して示している。ブロックBLKは、図2に示すように、例えば4つのストリングユニットSU0〜SU3を含んでいる。
【0022】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0〜BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0〜MT7並びに選択トランジスタST1及びST2を含んでいる。
【0023】
メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を備え、データを不揮発に記憶する。各NANDストリングNSに含まれたメモリセルトランジスタMT0〜MT7は、選択トランジスタST1のソースと選択トランジスタST2のドレインとの間に直列接続される。同一のブロックBLKに含まれたメモリセルトランジスタMT0〜MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0〜WL7に共通接続される。
【0024】
尚、以下の説明では、ストリングユニットSU毎に共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTが記憶する1ビットデータの集合のことを“ページ”と称する。従って、1つのメモリセルトランジスタMTに2ビットデータが記憶される場合、1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、2ページ分のデータを記憶する。
【0025】
選択トランジスタST1及びST2は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。同一のカラムアドレスに対応するNANDストリングNSに含まれた選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに共通接続される。ストリングユニットSU0〜SU3のそれぞれに含まれた選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0〜SGD3に共通接続される。同一のブロックBLKにおいて、選択トランジスタST2のソースはソース線SLに共通接続され、選択トランジスタST2のゲートは選択ゲート線SGSに共通接続される。
【0026】
以上で説明したメモリセルアレイ11の回路構成において、ワード線WL0〜WL7は、ブロックBLK毎に設けられる。ビット線BL0〜BLmは、複数のブロックBLK間で共有される。ソース線SLは、複数のブロックBLK間で共有される。尚、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数と、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の個数とはあくまで一例であり、任意の個数に設計することが出来る。ワード線WL並びに選択ゲート線SGD及びSGSの本数は、メモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の個数に基づいて変更される。
【0027】
[1−1−3]メモリセルトランジスタMTの閾値分布
第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、メモリセルトランジスタMTの書き込み方式として、例えば1つのメモリセルトランジスタMTに3ビットデータを記憶させるTLC(Triple-Level Cell)方式を使用する。
【0028】
図3は、TLC方式における、メモリセルトランジスタMTの閾値分布、データの割り付け、読み出し電圧、及びベリファイ電圧の一例をそれぞれ示している。図3に示す閾値分布の縦軸はメモリセルトランジスタMTの個数に対応し、横軸はメモリセルトランジスタMTの閾値電圧Vthに対応している。
【0029】
TLC方式において複数のメモリセルトランジスタMTは、図3に示すように、8つの閾値分布を形成する。この8個の閾値分布(書き込みレベル)のことを、閾値電圧の低い方から順に“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、“G”レベルと称する。“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルには、例えば以下に示すような、それぞれ異なる3ビットデータが割り当てられる。
【0030】
“ER”レベル:“111”(“下位ビット/中位ビット/上位ビット”)データ
“A”レベル:“011”データ
“B”レベル:“001”データ
“C”レベル:“000”データ
“D”レベル:“010”データ
“E”レベル:“110”データ
“F”レベル:“100”データ
“G”レベル:“101”データ
【0031】
隣り合う閾値分布の間には、それぞれ書き込み動作で使用されるベリファイ電圧が設定される。具体的には、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルにそれぞれ対応して、ベリファイ電圧AV、BV、CV、DV、EV、FV、及びGVが設定される。
【0032】
ベリファイ電圧AVは、“ER”レベルにおける最大の閾値電圧と“A”レベルにおける最小の閾値電圧との間に設定される。メモリセルトランジスタMTにベリファイ電圧AVが印加されると、閾値電圧が“ER”レベルに含まれるメモリセルトランジスタMTがオン状態になり、閾値電圧が“A”レベル以上の閾値分布に含まれるメモリセルトランジスタMTがオフ状態になる。
【0033】
その他のベリファイ電圧BV、CV、DV、EV、FV、及びGVもベリファイ電圧AVと同様に設定される。ベリファイ電圧BVは、“A”レベルと“B”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧CVは、“B”レベルと“C”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧DVは、“C”レベルと“D”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧EVは、“D”レベルと“E”レベルとの間に設定され、読み出し電圧FVは、“E”レベルと“F”レベルとの間に設定され、読み出し電圧GVは、“F”レベルと“G”レベルとの間に設定される。
【0034】
例えば、ベリファイ電圧AVは0.8Vに、ベリファイ電圧BVは1.6Vに、ベリファイ電圧CVは2.4Vに、ベリファイ電圧DVは3.1Vに、ベリファイ電圧EVは3.8Vに、ベリファイ電圧FVは4.6Vに、ベリファイ電圧GVは5.6Vに、それぞれ設定してもよい。しかし、これに限定されることなく、ベリファイ電圧AV、BV、CV、DV、EV、FV、及びGVは、例えば、0V〜7.0Vの範囲で、適宜、段階的に設定してもよい。
【0035】
また、隣り合う閾値分布の間には、それぞれ読み出し動作で使用される読み出し電圧が設定される。具体的には、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“ER”レベルに含まれるのか“A”レベル以上に含まれるのかを判定する読み出し電圧ARは、“ER”レベルにおける最大の閾値電圧と“A”レベルにおける最小の閾値電圧との間に設定される。
【0036】
その他の読み出し電圧BR、CR、DR、ER、FR、及びGRも読み出し電圧ARと同様に設定される。読み出し電圧BRは、“A”レベルと“B”レベルとの間に設定され、読み出し電圧CRは、“B”レベルと“C”レベルとの間に設定され、読み出し電圧DRは、“C”レベルと“D”レベルとの間に設定され、読み出し電圧ERは、“D”レベルと“E”レベルとの間に設定され、読み出し電圧FRは、“E”レベルと“F”レベルとの間に設定され、読み出し電圧GRは、“F”レベルと“G”レベルとの間に設定される。
【0037】
そして、最も高い閾値分布(例えば“G”レベル)の最大の閾値電圧よりも高い電圧に、読み出しパス電圧VREADが設定される。読み出しパス電圧VREADがゲートに印加されたメモリセルトランジスタMTは、記憶するデータに依らずにオン状態になる。
【0038】
尚、ベリファイ電圧AV、BV、CV、DV、EV、FV、及びGVは、例えば読み出し電圧AR、BR、CR、DR、ER、FR、及びGRよりもそれぞれ高い電圧に設定される。つまり、ベリファイ電圧AV、BV、CV、DV、EV、FV、及びGVは、それぞれ“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルの閾値分布の下裾近傍に設定される。
【0039】
以上で説明したデータの割り付けが適用された場合、読み出し動作において下位ビットの1ページデータ(下位ページデータ)は、読み出し電圧AR及びERを用いた読み出し結果によって確定する。中位ビットの1ページデータ(中位ページデータ)は、読み出し電圧BR、DR、及びFRを用いた読み出し結果によって確定する。上位ビットの1ページデータ(上位ページデータ)は、読み出し電圧CR及びGRを用いた読み出し結果によって確定する。このように、下位ページデータ、中位ページデータ、及び上位ページデータがそれぞれ、2回、3回、及び2回の読み出し動作によって確定するため、このデータの割り付けは“2−3−2コード”と称される。
【0040】
尚、以上で説明した1つのメモリセルトランジスタMTに記憶するデータのビット数と、メモリセルトランジスタMTの閾値分布に対するデータの割り当てとはあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、2ビット又は4ビット以上のデータが1つのメモリセルトランジスタMTに記憶されてもよい。また、各読み出し電圧及び読み出しパス電圧は、各方式で同じ電圧値に設定されてもよいし、異なる電圧値に設定されてもよい。
【0041】
[1−1−4]ロウデコーダモジュール12の回路構成
図4は、第1実施形態におけるロウデコーダモジュール12の回路構成の一例であり、1つのブロックBLKに対応するロウデコーダモジュール12の詳細な回路構成を抽出して示している。ロウデコーダモジュール12は、図4に示すように、ロウデコーダRD0〜RDnを含んでいる。
【0042】
ロウデコーダRD0〜RDnは、それぞれブロックBLK0〜BLKnに関連付けられている。つまり、1つのブロックBLKに、1つのロウデコーダRDが関連付けられている。以下に、ブロックBLK0に対応するロウデコーダRD0に着目して、ロウデコーダRDの詳細な回路構成について説明する。
【0043】
ロウデコーダRDは、ブロックデコーダBD並びに高耐圧nチャネルMOSトランジスタTR1〜TR13を含んでいる。ブロックデコーダBDは、ブロックアドレスをデコードして、このデコード結果に基づいて転送ゲート線TGに所定の電圧を印加する。転送ゲート線TGは、トランジスタTR1〜TR13のゲートに共通接続されている。トランジスタTR1〜TR13は、電圧生成回路19から配線された各種信号線と、関連付けられたブロックBLKの各配線との間に接続される。
【0044】
具体的には、トランジスタTR1の一端は、信号線SGSDに接続され、トランジスタTR1の他端は、選択ゲート線SGSに接続される。トランジスタTR2〜TR9の一端は、それぞれ信号線CG0〜CG7に接続され、トランジスタTR2〜TR9の他端は、それぞれワード線WL0〜WL7の一端に接続される。トランジスタTR10〜13の一端は、信号線SGDD0〜SGDD3に接続され、トランジスタTR10〜13の他端は、選択ゲート線SGD0〜SGD3に接続される。
【0045】
以上の構成によりロウデコーダモジュール12は、各種動作を実行するブロックBLKを選択する。具体的には、各種動作時において選択及び非選択ブロックBLKに対応するブロックデコーダBDは、それぞれ“H”レベル及び“L”レベルの電圧を転送ゲート線TGに印加する。
【0046】
例えば、ブロックBLK0が選択された場合、ロウデコーダRD0に含まれたトランジスタTR1〜TR13がオン状態になり、その他のロウデコーダRDに含まれたトランジスタTR1〜TR13がオフ状態になる。つまり、ブロックBLK0に設けられた各配線と、対応する信号線との間の電流経路が形成され、他のブロックBLKに設けられた各配線と、対応する信号線との間の電流経路が遮断される。その結果、電圧生成回路19によって各信号線に印加された電圧が、ロウデコーダRD0を介して、選択されたブロックBLK0に設けられた各配線にそれぞれ印加される。
【0047】
[1−1−5]センスアンプモジュール13の回路構成
図5は、第1実施形態におけるセンスアンプモジュール13の回路構成の一例を示している。センスアンプモジュール13は、ビット線BL0〜BLmにそれぞれ関連付けられた複数のセンスアンプユニットSAUを含み、図5には、1つのセンスアンプユニットSAUの詳細な回路構成が抽出して示されている。
【0048】
センスアンプユニットSAUは、図5に示すように、センスアンプ部SA、並びにラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLを含んでいる。センスアンプ部SA、並びにラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLは、互いにデータを送受信可能なようにバスLBUSによって接続される。
【0049】
センスアンプ部SAは、例えば読み出し動作において、対応するビット線BLに読み出されたデータをセンスして、読み出したデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。センスアンプ部SAは、例えばpチャネルMOSトランジスタ20、nチャネルMOSトランジスタ21〜28、及びキャパシタ29を含んでいる。
【0050】
トランジスタ20の一端は電源線に接続され、トランジスタ20のゲートはラッチ回路SDL内のノードINVに接続される。トランジスタ21の一端はトランジスタ20の他端に接続され、トランジスタ21の他端はノードCOMに接続され、トランジスタ21のゲートには制御信号BLXが入力される。トランジスタ22の一端はノードCOMに接続され、トランジスタ22のゲートには制御信号BLCが入力される。トランジスタ23は、高耐圧のMOSトランジスタであり、トランジスタ23の一端はトランジスタ22の他端に接続され、トランジスタ23の他端は対応するビット線BLに接続され、トランジスタ23のゲートには制御信号BLSが入力される。
【0051】
トランジスタ24の一端はノードCOMに接続され、トランジスタ24の他端はノードSRCに接続され、トランジスタ24のゲートはノードINVに接続される。トランジスタ25の一端はトランジスタ20の他端に接続され、トランジスタ25の他端はノードSENに接続され、トランジスタ25のゲートには制御信号HLLが入力される。トランジスタ26の一端はノードSENに接続され、トランジスタ26の他端はノードCOMに接続され、トランジスタ26のゲートには制御信号XXLが入力される。
【0052】
トランジスタ27の一端は接地され、トランジスタ27のゲートはノードSENに接続されている。トランジスタ28の一端はトランジスタ27の他端に接続され、トランジスタ28の他端はバスLBUSに接続され、トランジスタ28のゲートには制御信号STBが入力される。キャパシタ29の一端はノードSENに接続され、キャパシタ29の他端にはクロックCLKが入力される。
【0053】
以上で説明した制御信号BLX、BLC、BLS、HLL、XXL、及びSTBは、例えばシーケンサ17によって生成される。また、トランジスタ20の一端に接続された電源線には、例えば半導体記憶装置10の内部電源電圧である電圧VDDが印加され、ノードSRCには、例えば半導体記憶装置10の接地電圧である電圧VSSが印加される。
【0054】
ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLは、読み出しデータを一時的に保持する。ラッチ回路XDLは入出力回路14に接続され、センスアンプユニットSAUと入出力回路14との間のデータの入出力に使用される。
【0055】
ラッチ回路SDLは、例えばインバータ30及び31、並びにnチャネルMOSトランジスタ32及び33を含んでいる。インバータ30の入力ノードはノードLATに接続され、インバータ30の出力ノードはノードINVに接続される。インバータ31の入力ノードはノードINVに接続され、インバータ31の出力ノードはノードLATに接続される。トランジスタ32の一端はノードINVに接続され、トランジスタ32の他端はバスLBUSに接続され、トランジスタ32のゲートには制御信号STIが入力される。トランジスタ33の一端はノードLATに接続され、トランジスタ33の他端はバスLBUSに接続され、トランジスタ33のゲートには制御信号STLが入力される。例えば、ノードLATにおいて保持されるデータがラッチ回路SDLに保持されるデータに相当し、ノードINVにおいて保持されるデータはノードLATに保持されるデータの反転データに相当する。ラッチ回路ADL、BDL、CDL、及びXDLの回路構成は、例えばラッチ回路SDLの回路構成と同様のため、説明を省略する。
【0056】
以上で説明したセンスアンプモジュール13において、各センスアンプユニットSAUがビット線BLに読み出されたデータを判定するタイミングは、制御信号STBがアサートされたタイミングに基づいている。本明細書において「シーケンサ17が制御信号STBをアサートする」とは、シーケンサ17が制御信号STBを“L”レベルから“H”レベルに変化させることに対応している。
【0057】
尚、第1実施形態におけるセンスアンプモジュール13の構成は、これに限定されない。例えば、センスアンプユニットSAUにおいて、ゲートに制御信号STBが入力されるトランジスタ28は、pチャネルMOSトランジスタで構成されてもよい。この場合に、「シーケンサ17が制御信号STBをアサートする」とは、シーケンサ17が制御信号STBを“H”レベルから“L”レベルに変化させることに対応する。
【0058】
また、例えばセンスアンプユニットSAUが備えるラッチ回路の個数は、任意の個数に設計することが可能である。この場合にラッチ回路の個数は、例えば1つのメモリセルトランジスタMTが保持するデータのビット数に基づいて設計される。また、1つのセンスアンプユニットSAUには、セレクタを介して複数のビット線BLが接続されてもよい。
【0059】
[1−2]動作
[1−2−1]書き込み動作の概要
第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、書き込み動作においてプログラムループを繰り返し実行する。プログラムループは、プログラム動作及びベリファイ動作を含んでいる。プログラム動作は、所望のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧を上昇させる動作である。ベリファイ動作は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が所望の電圧を超えたかどうかを判定する動作である。
【0060】
以下の説明では、書き込み動作時に“A”レベルに対応するデータを保持し、対応するメモリセルトランジスタMTに当該データを書き込むセンスアンプユニットSAUのことを“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUと称する。“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUに接続されたビット線BLのことを、“A”書き込みのビット線BLと称する。
【0061】
また、以下の説明では、プログラム動作によって閾値電圧を上昇させるメモリセルトランジスタMTのことを書き込み対象のメモリセルトランジスタMTと称する。プログラム動作における閾値電圧の上昇が抑制されるメモリセルトランジスタMTのことを書き込み禁止のメモリセルトランジスタMTと称する。ベリファイ動作において、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“A”レベルを超えたかどうかを判定する読み出し動作のことを、“A”ベリファイと称する。
【0062】
これらの呼称は、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルのそれぞれについても同様に定義される。
【0063】
図6は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の書き込み動作における各配線の電圧の一例であり、入出力信号I/Oの状態と、選択されたワード線WLに対応する信号線CGの電圧とをそれぞれ示している。入出力信号I/Oとしては、半導体記憶装置10が外部のメモリコントローラからコマンド等を受信する期間と、半導体記憶装置10がビジー状態になっている期間とを示している。
【0064】
図6に示すように、まず入出力信号I/Oに、外部のメモリコントローラによって送信されたコマンド等が入力される。具体的には、半導体記憶装置10は、書き込み動作の実行を指示するコマンド、データを記憶させるメモリセルのアドレス、及び書き込みデータを、外部のメモリコントローラから受け取る。半導体記憶装置10は、これらのコマンド、アドレス、及びデータを受け取ると、レディ状態からビジー状態に遷移して書き込み動作を実行する。
【0065】
書き込み動作においてシーケンサ17は、まずプログラム動作を実行する。具体的には、センスアンプモジュール13が、書き込み対象のメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BLに例えば電圧VSSを印加して、書き込み禁止のメモリセルトランジスタMTに対応するビット線に例えば電圧VINHを印加する。電圧VINHはVSSよりも高く、電圧VINHが印加されたビット線BLに対応するNANDストリングNSは、例えばフローティング状態になる。尚、書き込み動作の開始時には、“ER”レベルに対応するメモリセルトランジスタMTが書き込み禁止に設定される。
【0066】
そして、電圧生成回路19が、信号線CGに対してプログラム電圧VPGMを印加する。プログラム電圧VPGMは、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層に電子を注入することが可能な高電圧である。信号線CGに印加されたプログラム電圧VPGMは、ロウデコーダモジュール12を介して、選択されたワード線WLに印加される。
【0067】
すると、書き込み対象のメモリセルトランジスタMTでは、ゲート−チャネル間の電位差により電荷蓄積層に電子が注入され、閾値電圧が上昇する。一方で、書き込み禁止のメモリセルトランジスタMTでは、例えばフローティング状態のNANDストリングNSのチャネルがブーストすることによってゲート−チャネル間の電位差が小さくなり、閾値電圧の上昇が抑制される。
【0068】
次に、シーケンサ17は、ベリファイ動作を実行する。具体的には、電圧生成回路19は、信号線CGに対してベリファイ電圧VFYを印加する。ベリファイ電圧VFYとしては、例えば図3に示すベリファイ電圧AVが使用される。信号線CGに印加されたベリファイ電圧VFYは、ロウデコーダモジュール12を介して選択されたワード線WLに印加される。
【0069】
すると、選択されたワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTは、その閾値電圧に応じてオン状態又はオフ状態になる。そして、各センスアンプユニットSAUは、対応するビット線BLの電圧に基づいて、対応するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が所望のベリファイ電圧を超えたかどうかを判定する。
【0070】
それから、シーケンサ17は、対応するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が所望のベリファイ電圧を超えたことを検知した場合に、当該メモリセルトランジスタMTのベリファイにパスしたものとし、以降のプログラム動作において当該メモリセルトランジスタMTを書き込み禁止とする。
【0071】
一方で、シーケンサ17は、対応するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が所望のベリファイ電圧以下であることを検知した場合に、当該メモリセルトランジスタMTのベリファにフェイルしたものとし、以降のプログラム動作において当該メモリセルトランジスタMTを書き込み対象とする。
【0072】
シーケンサ17は、例えば、1回のベリファイ動作で電圧生成回路19に複数種類のベリファイ電圧を連続で印加させて、センスアンプモジュール13に複数レベルのベリファイを連続して実行させることが出来る。また、シーケンサ17は、1回のベリファイ動作において印加させるベリファイ電圧の種類及び数を、書き込み動作の進行に応じて適宜変更することが出来る。尚、シーケンサ17は、1回のベリファイ動作で電圧生成回路19に1種類のベリファイ電圧を印加させて、センスアンプモジュール13に1レベルのベリファイを実行させるだけでもよい。
【0073】
上述したプログラム動作とベリファイ動作との組が、1回のプログラムループに相当する。シーケンサ17は、このようなプログラムループを繰り返し実行し、プログラム電圧VPGMをプログラムループ毎にΔVPGMずつステップアップさせる。そして、シーケンサ17は、プログラムループを複数回(例えば、19回)繰り返し実行すると、書き込み動作を終了して半導体記憶装置10をビジー状態からレディ状態に遷移させる。
【0074】
尚、シーケンサ17は、例えばベリファイをパスしたメモリセルトランジスタMTの数が所定の数より少なくなったことを検知した場合に、書き込み動作を終了して半導体記憶装置10をビジー状態からレディ状態に遷移させてもよい。
【0075】
ISPP方式(Incremental Step Pulse Program)を用いた場合において、プログラム電圧VPGMのステップアップ幅ΔVPGMとしては、例えば0.8V程度としてよいが、これに限定されない。また、書き込み動作の時間は、例えば1200〜3500μsの範囲となるようにしてもよいが、これに限定されない。
【0076】
[1−2−1]ベリファイ動作の詳細
次に、図7図12を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置10におけるベリファイ動作の詳細について、1回のベリファイ動作で“A”ベリファイと“B”ベリファイとが連続で実行される場合を例に説明する。
【0077】
図7は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10のベリファイ動作における各配線の電圧及び電流の一例であり、選択されたワード線WLに対応する信号線CG、並びに制御信号BLC、HLL、XXL、及びSTBのそれぞれの電圧と、書き込みレベル毎のビット線BLの電圧と、電源電流ICCの電流とをそれぞれ示している。電源電流ICCは、例えば半導体記憶装置10に電源電圧VCCを印加する端子を流れる電流に相当し、例えば半導体記憶装置10の消費電流としてみなすことが出来る。また、電源電流ICCは、例えば制御信号BLCの電圧変化に応じてその電流量が変化する。
【0078】
図8図12は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10のベリファイ動作におけるラッチ回路SDL、ADL、BDL、及びCDLの動作の一例であり、各書き込みレベルに対応するセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDL、ADL、BDL、及びCDL、並びにノードSENの状態を示している。図8図12は、それぞれ図7の(0)〜(4)のそれぞれの期間における動作に対応している。
【0079】
尚、第1実施形態では、センスアンプユニットSAU内のラッチ回路が“ER”レベルに対応するデータを保持する場合に、対応するメモリセルトランジスタMTが書き込み禁止に設定される。
【0080】
また、センスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLが保持するデータが“1”である場合、トランジスタ20がオン状態になり、当該センスアンプユニットSAUに対応するビット線BLが充電される。一方で、ラッチ回路SDLが保持するデータが“0”である場合、トランジスタ20がオフ状態になり、当該センスアンプユニットSAUに対応するビット線BLへの電流の供給が遮断される。つまり、各ラッチ回路が保持する“1”データは、“H”レベル(第1論理レベル)の電圧に対応し、“0”データは、“L”レベル(第2論理レベル)の電圧に対応している。
【0081】
図7に示すように、例えば時刻t0より前の信号線CG並びに制御信号BLCの電圧は電圧VSSであり、制御信号HLL、XXL、及びSTBの電圧は“L”レベルであり、ビット線BLの電圧はVSSである。また、電源電流ICCは、例えばI1となっている。
【0082】
時刻t0において、シーケンサ17は、図8に示すように、“A”書き込みのビット線BLを充電対象に設定し、その他のビット線BLを充電対象外に設定する(図7の(0))。
【0083】
具体的には、シーケンサ17は、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLが保持するデータを“1”にして、その他のセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLがそれぞれ保持するデータを“0”にする。
【0084】
尚、本例では、外部のメモリコントローラから受け取った書き込みデータのうち、下位ビットデータはラッチ回路ADLに保持され、中位ビットデータはラッチ回路BDLに保持され、上位ビットデータはラッチ回路CDLに保持されている。これに限定されず、センスアンプユニットSAUが書き込みデータを保持するラッチ回路は、任意の組み合わせに設定することが可能である。
【0085】
電圧生成回路19は、選択されたワード線WLに対応する信号線CGにベリファイ電圧AVを印加する。当該信号線CGに印加されたベリファイ電圧AVは、ロウデコーダモジュール12を介して、選択されたワード線WLに印加される。
【0086】
シーケンサ17は、制御信号BLCの電圧を電圧Vblcにする。電圧Vblcが印加されたトランジスタ22はオン状態になり、各センスアンプユニットSAUは、内部のラッチ回路に保持する書き込みデータに応じて、対応するビット線BLに電圧を印加する。
【0087】
具体的には、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUが、対応するビット線BLに電圧VBLを印加する。電圧VBLは、例えば読み出し動作時にビット線BLに印加される電圧である。ビット線BLの電圧が上昇するとソース線SLに流れる電流量が増加するため、電源電流ICCがビット線BLの電位変動に応じて例えばI2まで上昇する。
【0088】
また、シーケンサ17は、制御信号HLLを“H”レベルにする。制御信号HLLが“H”レベルになると、トランジスタ25がオン状態になり、ノードSENが充電される。そしてシーケンサ17は、ノードSENの充電が完了すると、制御信号HLLを“L”レベルにする。
【0089】
尚、時刻t0においてシーケンサ17は、図7に示すように信号線CG及び制御信号BLCに対してキック動作を実行してもよい。キック動作とは、ドライバの駆動電圧を一時的に目標の電圧値よりも高い値に設定し、その後に目標の電圧値に下げる電圧印加方法である。例えば、制御信号BLCに対してキック動作が実行された場合、ビット線BLに対する電流の供給量が増加して、一時的にビット線BLが目標の電圧よりも高い電圧に充電される。
【0090】
時刻t1において、シーケンサ17は、制御信号XXLを“H”レベルにする。制御信号XXLが“H”レベルになると、選択されたワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTの状態に基づいて、図9に示すようにノードSENの電位が変化する(図7の(1))。
【0091】
具体的には、ノードSENは、当該センスアンプユニットSAUに対応するメモリセルトランジスタMTがオン状態になった場合に“0”データに相当する状態となり、オフ状態を維持している場合に“1”データに相当する状態となる。
【0092】
次に、シーケンサ17は、制御信号XXLを“L”レベルにした後に、制御信号STBをアサートする。制御信号STBがアサートされると、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUが、ノードSENの状態に基づいて“A”ベリファイを実行し、図10に示すようにセンス結果(ベリファイ結果)を内部のラッチ回路SDLに保持する(図7の(2))。
【0093】
具体的には、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUにおいて、ノードSENが“1”データに相当する状態である場合には、ラッチ回路SDLが保持するデータが“1”に維持され(ベリファイパス)、ノードSENが“0”データに相当する状態である場合には、ラッチ回路SDLが保持するデータが“0”に更新される(ベリファイフェイル)。
【0094】
また、電圧生成回路19は、例えば制御信号STBがアサートされ、“L”レベルに戻される際に、信号線CGにベリファイ電圧BVを印加する。信号線CGに印加されたベリファイ電圧BVは、ロウデコーダモジュール12を介して、選択されたワード線WLに印加される。尚、電圧生成回路19が信号線CGにベリファイ電圧BVを印加するタイミングはこれに限定されず、例えば制御信号STBがアサートされるタイミングから、時刻t2までの間に設定される。
【0095】
次に、シーケンサ17は、図11に示すように“B”書き込みのビット線BLを充電対象に設定する(図7の(3))。具体的には、シーケンサ17は、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLが保持するデータを“1”に更新する。このとき、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLが保持する“A”ベリファイのセンス結果(“1”データ)は、そのまま維持される。
【0096】
そして、時刻t2において、センスアンプユニットSAUのうち、ラッチ回路SDLに“1”のデータが保持されているセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLが充電される。具体的には、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUのうち、“A”ベリファイにパスしたセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLと、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLとがそれぞれ充電対象となる。このとき、“A”ベリファイにフェイルしたセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLは、充電対象外となっている。
【0097】
その一方で、時刻t2におけるビット線BLの充電と並行して、シーケンサ17は、図12に示すように“A”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路に“A”ベリファイのセンス結果を反映する(図7の(4))。
【0098】
具体的には、例えば、図3に示したようにデータが割り付けられている場合、シーケンサ17は、ラッチ回路SDLに保持されるデータとラッチ回路BDLに保持されるデータとの論理積を求め、当該論理積の演算結果とラッチ回路ADLに保持されるデータとの論理和を求め、当該論理和の演算結果によってラッチ回路ADLに保持されるデータを更新する。これにより、“A”ベリファイにパスした場合に、対応するセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路ADL、BDL、及びCDLに保持されたデータを、“ER”レベルと同様のデータに更新する。
【0099】
その結果、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUのうち“A”ベリファイにパスしたセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLも、これ以降のベリファイ動作においては、充電対象外となる。言い換えると、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUのうち“A”ベリファイにパスしたセンスアンプユニットSAUに対応するメモリセルトランジスタMTは、これ以降のプログラム動作においてプログラムの対象外となる。
【0100】
また、時刻t2においてシーケンサ17は、制御信号HLLを“H”レベルにする。制御信号HLLが“H”レベルになると、トランジスタ25がオン状態になり、ノードSENが充電される。そして、シーケンサ17は、ノードSENの充電が完了すると、制御信号HLLを“L”レベルにする。尚、時刻t2においてシーケンサ17は、図7に示すように信号線CG及び制御信号BLCに対してキック動作を実行してもよい。
【0101】
以上のように、図7の(2)〜(4)のそれぞれの期間にはセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路が動作する。この際に電源電流ICCは、例えば、ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLに対する、若しくはそれらからの、若しくはそれら同士でのデータ送受信がなされることによるバスLBUSへの充放電を行うことで電流が増加する。この時の電流の振幅は、他動作で発生する電流より周期が早いため、ノイズのように見えることがある。その結果、例えば図7の(2)〜(4)の期間における電源電流ICCの振幅は、例えば図7の(1)の期間における電源電流ICCの振幅よりも大きくなる。
【0102】
時刻t3において、シーケンサ17は、制御信号XXLを“H”レベルにする。制御信号XXLが“H”レベルになると、選択されたワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTの状態に基づいてノードSENの電位が変化する。
【0103】
次に、シーケンサ17は、制御信号XXLを“L”レベルにした後に、制御信号STBをアサートする。制御信号STBがアサートされると、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAUが、ノードSENの状態に基づいて“B”ベリファイを実行し、センス結果を内部のラッチ回路SDLに保持する。そして、シーケンサ17は、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路に“B”ベリファイの結果を反映する。
【0104】
時刻t4において、シーケンサ17は、信号線CGの電圧と制御信号BLCの電圧とをVSSにして、ベリファイ動作を終了する。
【0105】
以上のように、第1実施形態に係る半導体記憶装置10におけるベリファイ動作では、複数のレベルに対するベリファイを連続で実行した場合に、直前に実行されたベリファイをパスしたメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BLが、続くレベルのベリファイ時で充電される。
【0106】
言い換えると、第1実施形態における1回のベリファイ動作において、最初に実行されるレベルのベリファイでは、当該レベルのベリファイに対応するビット線BLのみが充電され、続くレベルのベリファイでは、当該レベルのベリファイに対応するビット線BLと、その1つ前のレベルのベリファイで充電されたビット線BLのうちベリファイにパスしたメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BLとがそれぞれ充電される。
【0107】
具体的には、例えば1回のベリファイ動作において“A”ベリファイ、“B”ベリファイ、及び“C”ベリファイが連続で実行される場合、“A”ベリファイ時に、“A”書き込みのビット線BLが充電される。“B”ベリファイ時に、“B”書き込みのビット線BLと、“A”ベリファイをパスしたメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BLとが充電される。“C”ベリファイ時に、“C”書き込みのビット線BLと、“B”ベリファイをパスしたメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BLとが充電される。
【0108】
尚、図7においては、時刻t1及びt2間並びに時刻t3及びt4間でそれぞれ制御信号XXLが“L”レベルとなってから制御信号STBがアサートされるまでの間にはタイムラグがあるが、これに限定されない。例えば、制御信号XXLが“L”レベルとなるタイミングと、制御信号STBがアサートされるタイミングとは、同じであってもよい。
【0109】
[1−3]第1実施形態の効果
以上で説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置10に依れば、書き込み動作を高速化することが出来る。以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置10の詳細な効果について説明する。
【0110】
半導体記憶装置の書き込み動作において、ベリファイ動作時に全てのビット線BLを充電して各レベルのベリファイを実行する方法が知られている。このようなベリファイ動作は、センスアンプモジュール13の制御を簡便にすることが出来るため高速に動作することが出来るが、消費電流が大きくなってしまう。
【0111】
ベリファイ動作時の消費電流は、ベリファイ時に必要なビット線BLのみを充電することによって大幅に抑制することが出来る。ここで、第1実施形態の比較例におけるベリファイ動作について、図13〜15を用いて説明する。
【0112】
図13は、第1実施形態の比較例におけるベリファイ動作における各配線の電圧及び電流の一例を示している。図14及び図15は、比較例のベリファイ動作におけるラッチ回路SDL、ADL、BDL、及びCDLの動作の一例を示し、それぞれ図13の(X)及び(Y)のそれぞれの期間における動作に対応している。
【0113】
図13に示すように、比較例におけるベリファイ動作では、第1実施形態で説明した図7の(3)及び(4)に対応する動作が、それぞれ(X)及び(Y)に置き換えられ、図7に示す時刻t2における制御信号BLCのキック動作が、(Y)の動作の後に実行される。
【0114】
具体的には、比較例におけるベリファイ動作では、第1実施形態と同様に制御信号STBをアサートした後に、図14に示すように、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLに保持されている“A”ベリファイのセンス結果(ベリファイ結果)を、他のラッチ回路に反映する(図13の(X))。
【0115】
そして、シーケンサ17は、図15に示すように“B”書き込みのビット線BLを充電対象に設定し、“A”書き込みのビット線BLを充電対象外に設定し(図13の(Y))、時刻t2の動作に移行する。つまり、シーケンサ17は、“A”書き込み及び“B”書き込みのそれぞれのセンスアンプユニットSAUのラッチ回路SDLが保持するデータをそれぞれ“0”及び“1”に更新し、時刻t2の動作に移行する。
【0116】
時刻t2において、各センスアンプユニットSAUは、内部のラッチ回路に保持する書き込みデータに応じて、対応するビット線BLに電圧を印加する。具体的には、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAUが、対応するビット線BLに電圧VBLを印加する。このとき、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUは、対応するビット線BLの電圧をVBLからVSSに下降させる。
【0117】
このように、比較例におけるベリファイ動作では、連続して実行される複数レベルのベリファイにおいて、それぞれベリファイが実行されるレベルに対応するビット線BLのみが充電される。しかしながら、比較例におけるベリファイ動作では、ラッチ回路SDLが保持するセンス結果を他のラッチ回路に反映させてから、続くレベルのベリファイで充電するビット線BLの情報をラッチ回路SDLに保持させるため、ラッチ回路間のデータ転送に要する時間の分、ベリファイ動作の時間が長くなってしまう。すなわち、比較例においては、図13の(Y)の動作が終わるまでは、時刻t2におけるビット線BLへの充電がなされない。
【0118】
そこで、第1実施形態に係る半導体記憶装置10では、ベリファイ動作時において、ラッチ回路SDLが保持するセンス結果をセンスアンプユニットSAU内の他のラッチ回路に反映する前に、このセンス結果を残した状態で、続くレベルのベリファイにおいて充電するビット線BLの情報をラッチ回路SDLに保持させる。
【0119】
つまり、第1実施形態に係る半導体記憶装置10では、続くレベルのベリファイにおけるビット線BLの充電と並行して、その1つ前のベリファイにおけるセンス結果をラッチ回路SDLから他のラッチ回路に反映する。言い換えると、第1実施形態においては、図7の(3)の動作が終わった後、図7の(4)の動作と並行して、時刻t2におけるビット線BLへの充電をすることが出来る。
【0120】
その結果、第1実施形態におけるベリファイ動作では、連続するベリファイにおいてビット線BLを充電するタイミングを比較例よりも早くすることが出来る。具体的には、第1実施形態に対応する図7に示された時刻t1から時刻t2までの期間を、比較例に対応する図13に示された時刻t1から時刻t2までの期間よりも短くすることが出来る。
【0121】
これにより、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、書き込み動作におけるベリファイ動作の時間を比較例よりも短縮することが出来る。従って、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、書き込み動作を高速化することが出来る。
【0122】
尚、第1実施形態におけるベリファイ動作と、比較例におけるベリファイ動作とでは、消費電流が異なっている。図16は、第1実施形態及び比較例における書き込みレベルとベリファイ動作中に充電されるビット線との関係の一例であり、1回のベリファイ動作で“A”ベリファイ、“B”ベリファイ、“C”ベリファイ、“D”ベリファイ、“E”ベリファイ、“F”ベリファイ、及び“G”ベリファイを連続して実行する場合について示している。
【0123】
図16に示すように、“A”ベリファイにおいて充電されるビット線BLの組み合わせは、第1実施形態と比較例とで同じになる。一方で、“B”ベリファイ〜“G”ベリファイにおいてそれぞれ充電されるビット線BLの組み合わせは、それぞれ比較例よりも第1実施形態の方が多くなる。
【0124】
具体的には、第1実施形態におけるベリファイ動作では、比較例におけるベリファイ動作に対して、“B”ベリファイ〜“G”ベリファイにおいてそれぞれ直前のベリファイにパスしたメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BLを充電する分、消費電流が大きくなる。
【0125】
しかしながら、直前のベリファイにパスしたメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BLの本数は、全てのビット線BLの本数に対して占める割合が小さい。従って、第1実施形態に係る半導体記憶装置10は、比較例よりも書き込み動作を高速化し、且つ消費電流の増加を抑制することが出来る。
【0126】
尚、第1実施形態におけるベリファイ動作と、比較例におけるベリファイ動作とは、例えばセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路の動作によって電源電流ICCが受けるノイズの影響を確認することによって区別することが出来る。
【0127】
具体的には、図7に示すように、第1実施形態におけるベリファイ動作では、“B”ベリファイにおいて制御信号BLCのキック動作が実行された際に、図7の(4)に対応するセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路の動作に起因するノイズが電源電流ICCに発生している。
【0128】
一方で、図13に示すように、比較例におけるベリファイ動作では、“B”ベリファイにおいて制御信号BLCのキック動作が実行される前に、ノイズの発生原因となる図13の(X)及び(Y)に対応するセンスアンプユニットSAUの動作が終了しているため、制御信号BLCのキック動作時にラッチ回路の動作に起因するノイズが発生しない。
【0129】
つまり、第1実施形態におけるベリファイ動作が実行されているかどうかは、例えばラッチ回路の動作に起因するノイズが、制御信号BLCのキック動作時において電源電流ICCに発生しているかどうかを確認することによって判断することが出来る。
【0130】
尚、図7及び図13では、電源電流ICCに対して、センスアンプユニットSAU内のラッチ回路が動作している間にのみノイズが発生している場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、その他の期間においてノイズが発生していていも良く、その他の期間におけるノイズは、センスアンプユニットSAU内のラッチ回路が動作している間に発生するノイズよりも相対的に小さくなる。
【0131】
[2]第2実施形態
第2実施形態に係る半導体記憶装置10は、センスアンプユニットSAUが第1実施形態に係る半導体記憶装置10よりも多くのラッチ回路を有する。また、第2実施形態におけるベリファイ動作は、第1実施形態におけるベリファイ動作に対して、ラッチ回路の制御方法が異なっている。以下に、第2実施形態に係る半導体記憶装置10について、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と異なる点について説明する。
【0132】
[2−1]構成
図17は、第2実施形態におけるセンスアンプモジュール13の回路構成の一例であり、1つのセンスアンプユニットSAUの詳細な回路構成が抽出して示している。
【0133】
第2実施形態におけるセンスアンプユニットSAUは、図17に示すように、第1実施形態で図5を用いて説明したセンスアンプユニットSAUに対して、さらにラッチ回路DDLを追加したものと同様である。
【0134】
ラッチ回路DDLは、例えばラッチ回路ADL、BDL、CDLと同様の構成であり、バスLBUSに接続されている。つまり、ラッチ回路DDLは、センスアンプ部SA、並びにラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びXDLと、互いにデータを送受信可能なように構成されている。第2実施形態に係る半導体記憶装置10のその他の構成は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10と同様のため、説明を省略する。
【0135】
[2−2]動作
次に、図18図23を用いて、第2実施形態に係る半導体記憶装置10におけるベリファイ動作の詳細について、1回のベリファイ動作で“A”ベリファイと“B”ベリファイとが連続で実行される場合を例に説明する。
【0136】
図18は、第1実施形態に係る半導体記憶装置10のベリファイ動作における各配線の電圧及び電流の一例であり、選択されたワード線WLに対応する信号線CG、制御信号BLC、HLL、XXL、及びSTB、並びにビット線BLのそれぞれの電圧と、電源電流ICCの電流とをそれぞれ示している。
【0137】
図19図23は、第2実施形態に係る半導体記憶装置10のベリファイ動作におけるラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びDDLの動作の一例であり、各書き込みレベルに対応するセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、及びDDL、並びにノードSENの状態を示している。図19図23は、それぞれ図18の(0)〜(4)のそれぞれの期間における動作に対応している。
【0138】
図18に示すように、時刻t0において、シーケンサ17は、図19に示すように、“A”書き込みのビット線BLを充電対象に設定し、その他のビット線BLを充電対象外に設定する(図18の(0))。
【0139】
具体的には、シーケンサ17は、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLが保持するデータを“1”にして、その他のセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLがそれぞれ保持するデータを“0”にする。
【0140】
尚、本例において、外部のメモリコントローラから受け取った書き込みデータのうち、下位ビットデータはラッチ回路ADLに保持され、中位ビットデータはラッチ回路BDLに保持され、上位ビットデータはラッチ回路CDLに保持されている。これに限定されず、センスアンプユニットSAUが書き込みデータを保持するラッチ回路は、任意の組み合わせに設定することが可能である。
【0141】
電圧生成回路19は、選択されたワード線WLに対応する信号線CGにベリファイ電圧AVを印加する。当該信号線CGに印加されたベリファイ電圧AVは、ロウデコーダモジュール12を介して、選択されたワード線WLに印加される。シーケンサ17は、制御信号BLCの電圧を電圧Vblcにする。電圧Vblcが印加されたトランジスタ22はオン状態になり、各センスアンプユニットSAUは、内部のラッチ回路に保持する書き込みデータに応じて、対応するビット線BLに電圧を印加する。また、シーケンサ17は、制御信号HLLを“H”レベルにする。制御信号HLLが“H”レベルになると、トランジスタ25がオン状態になり、ノードSENが充電される。そして、シーケンサ17は、ノードSENの充電が完了すると、制御信号HLLを“L”レベルにする。
【0142】
時刻t1において、シーケンサ17は、制御信号XXLを“H”レベルにする。制御信号XXLが“H”レベルになると、選択されたワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTの状態に基づいて、図20に示すようにノードSENの電位が変化する(図18の(1))。
【0143】
次に、シーケンサ17は、制御信号XXLを“L”レベルにした後に、制御信号STBをアサートする。制御信号STBがアサートされると、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUが、ノードSENの状態に基づいて“A”ベリファイを実行し、図21に示すようにセンス結果(ベリファイ結果)を内部のラッチ回路DDLに保持する(図18の(2))。
【0144】
また、電圧生成回路19は、例えば制御信号STBがアサートされ、“L”レベルに戻される際に、信号線CGにベリファイ電圧BVを印加する。信号線CGに印加されたベリファイ電圧BVは、ロウデコーダモジュール12を介して、選択されたワード線WLに印加される。尚、電圧生成回路19が信号線CGにベリファイ電圧BVを印加するタイミングはこれに限定されず、例えば制御信号STBがアサートされるタイミングから、時刻t2までの間に設定される。
【0145】
次に、シーケンサ17は、図22に示すように“B”書き込みのビット線BLを充電対象に設定する(図18の(3))。具体的には、シーケンサ17は、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLが保持するデータを“1”に更新し、その他のセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路SDLが保持するデータを“0”に更新する。その結果、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLのみが充電対象となる。
【0146】
そして、時刻t2において、センスアンプユニットSAUのうち、ラッチ回路SDLに“1”のデータが保持されているセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLが充電される。具体的には、“B”書き込みのセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLが充電対象となる。このとき、第2実施形態では、“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLは充電対象外となっている。
【0147】
その一方で、時刻t2におけるビット線BLの充電と並行して、シーケンサ17は、図23に示すように“A”書き込みのセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路に“A”ベリファイの結果を反映する(図18の(4))。具体的には、シーケンサ17は、第1実施形態と同様に、“A”ベリファイにパスした場合に、対応するセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路ADL、BDL、及びCDLに保持されたデータを、“ER”レベルと同様のデータに更新する。
【0148】
また、時刻t2においてシーケンサ17は、制御信号HLLを“H”レベルにする。制御信号HLLが“H”レベルになると、トランジスタ25がオン状態になり、ノードSENが充電される。そして、シーケンサ17は、ノードSENの充電が完了すると、制御信号HLLを“L”レベルにする。
【0149】
以上のように、図18の(2)〜(4)のそれぞれの期間にはセンスアンプユニットSAU内のラッチ回路が動作する。この際に電源電流ICCには、第1実施形態で図7を用いて説明したように、ノイズのように見える振幅の増大が発生する。その結果、例えば図18の(2)〜(4)の期間における電源電流ICCの振幅は、例えば図18の(1)の期間における電源電流ICCの振幅よりも大きくなる。
【0150】
第2実施形態におけるベリファイ動作のその他の動作は、図7を用いて説明した第1実施形態におけるベリファイ動作と同様のため、説明を省略する。
【0151】
[2−2]第2実施形態の効果
以上のように、第2実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態よりもセンスアンプSAUが有するラッチ回路の個数を増やすことによって、センス結果(ベリファイ結果)と、充電するビット線BLの情報とを異なるラッチ回路に保持することが出来る。
【0152】
図24は、第2実施形態と、第1実施形態で説明した比較例における書き込みレベルとベリファイ動作中に充電されるビット線との関係の一例であり、1回のベリファイ動作で“A”ベリファイ、“B”ベリファイ、“C”ベリファイ、“D”ベリファイ、“E”ベリファイ、“F”ベリファイ、及び“G”ベリファイを連続して実行する場合について示している。
【0153】
図24に示すように、第2実施形態における各レベルのベリファイで充電されるビット線BLの個数は、それぞれ比較例における各レベルのベリファイで充電されるビット線BLの個数と同じになる。従って、第2実施形態に係る半導体記憶装置10は、第1実施形態と同様にベリファイ動作を高速化し、且つベリファイ動作時における消費電流を第1実施形態よりも抑制することが出来る。
【0154】
[3]変形例等
実施形態の半導体記憶装置<図1、10>は、複数のメモリセルと、ワード線と、複数のビット線と、コントローラ<図1、17>とを備える。複数のメモリセルは、各々が閾値電圧に基づいて複数ビットのデータを記憶し、複数ビットのデータとして第1データを記憶する場合は第1閾値電圧<図3、例えば“A”レベル>を有するように設定され、複数ビットのデータとして第2データを記憶する場合は第1閾値電圧より高い第2閾値電圧<図3、例えば“B”レベル>を有するように設定される。ワード線は、複数のメモリセルに接続される。複数のビット線は、複数のメモリセルにそれぞれ接続される。コントローラは、書き込み動作においてベリファイ動作を含むプログラムループを実行する。コントローラは、ベリファイ動作において、ワード線に第1ベリファイ電圧<図7、例えばAV>と、第1ベリファイ電圧よりも高い第2ベリファイ電圧<図7、例えばBV>とを順に印加する。コントローラは、ワード線に第1ベリファイ電圧を印加している間に、第1データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に第1電圧<図7、VBL>を印加し、第2データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線に第1電圧よりも低い第2電圧<図7、VSS>を印加する。コントローラは、ワード線に第2ベリファイ電圧を印加している間に、第1データを書き込むべきメモリセルのうち、第1ベリファイ電圧によるベリファイにパスしたメモリセルに接続されたビット線と、第2データを書き込むべきメモリセルに接続されたビット線とにそれぞれ第1電圧を印加する。これにより、半導体記憶装置10は、書き込み動作を高速化することが出来る。
【0155】
尚、上記実施形態において、各時刻における各構成要素の動作タイミングは、ずれていてもよい。例えば、電圧生成回路19が信号線CGに電圧を印加するタイミングと、シーケンサ17が制御信号BLCを変化させるタイミングとは、異なっていてもよい。
【0156】
尚、第1実施形態で説明したベリファイ動作において制御信号BLCは、図25に示すように制御されてもよい。図25は、第1実施形態の変形例に係る半導体記憶装置10のベリファイ動作における各配線の電圧および電流の一例であり、第1実施形態で図7を用いて説明したベリファイ動作に対して、制御信号BLCの制御が異なっている。
【0157】
具体的には、図25に示すようにシーケンサ17は、時刻t1において制御信号XXLを“H”レベルにして、ノードSENの電圧がセンス可能な状態に変化した後に、制御信号BLCの電圧をVSSにする。すると、例えば“A”書き込みのセンスアンプユニットSAUに対応するビット線BLへの電流の供給が停止され、“A”書き込みのビット線BLの電圧が下降する。これに伴い、電源電流ICCの電流値も下降する。
【0158】
そして、シーケンサ17は、制御信号STBをアサートした後に、時刻t2において続くレベルのベリファイを実行する際に、第1実施形態と同様に制御信号BLCの電圧を電圧Vblcにする。続くレベルにおいても、制御信号BLCは上述した時刻t1における動作と同様に制御される。
【0159】
変形例におけるベリファイ動作のその他の動作は、第1実施形態におけるベリファイ動作と同様のため、説明を省略する。これにより、第1実施形態の変形例におけるベリファイ動作では、ベリファイ動作時における消費電流を抑制することが出来る。尚、変形例におけるベリファイ動作の制御信号BLCにおける制御は、第2実施形態におけるベリファイ動作に対しても適用することが可能である。
【0160】
尚、本明細書において“接続”とは、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。また、本明細書において“オフ状態”とは、対応するトランジスタのゲートに当該トランジスタの閾値電圧未満の電圧が印加されていることを示し、例えばトランジスタのリーク電流のような微少な電流が流れることを除外しない。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0162】
10…半導体記憶装置、11…メモリセルアレイ、12…ロウデコーダモジュール、13…センスアンプモジュール、14…入出力回路、15…レジスタ、16…ロジックコントローラ、17…シーケンサ、18…レディ/ビジー制御回路、19…電圧生成回路、BL…ビット線、WL…ワード線、SGD,SGS…選択ゲート線、SU…ストリングユニット、BLK…ブロック、MT…メモリセルトランジスタ、ST…選択トランジスタ、RD…ロウデコーダ、SAU…センスアンプユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25